The Sims 2
【ざ しむず つー】
ジャンル
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人生シミュレーション
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対応機種
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Windows 98~XP
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発売元
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エレクトロニック・アーツ
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開発元
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マクシス
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発売日
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2004年9月16日
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判定
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良作
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シムシティシリーズ
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概要
5年間に2000万本という脅威の売上を達成した人生シミュレーションゲームの『シムピープル』。
本作はその第二弾。名称も原題に合わせて『ザ・シムズ2』となった。
前作をベースにあらゆる要素をパワーアップさせ、前作同様に多くのアドオンが発売された。
主なパワーアップポイント
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表現力の大幅アップ
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前作ではシム(人間)はポリゴンで表現され背景は2Dのクォータービューだったが、全てが3Dポリゴンで表現されるようになった。
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これにより360度のあらゆる角度から眺めることが出来、拡大縮小も自在になった、シムの視線から生活を眺めるといった事が可能。
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オブジェクトの表現力も大幅アップ。鏡はしっかりと風景を反射し、ピアノは中身の部品までしっかりと作りこまれている。
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拡大すればシムがプレイしているゲーム画面まで覗ける(遊んでいるソフトは『シムシティ4 デラックス』や『ザ・シムズ』だったりする)。
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シムの表現もポリゴンにテクスチャ(スキン)を貼り付けていた形式から変更され、鼻の高さ、目の位置…といった顔の特徴を事細かに設定する事で作るようになった。
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鏡を使用する事で、プレイ中でも髪型や服を細かく変更できるようになった。
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「BodyShop」という公式ツールを使用する事で前作と同様にシムの服などを自分でデザインする事が出来る。肌や眼の色も自由に変更出来、異星人のようなキャラも作成可能。
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また、シムに表情がつき表情豊かに喜怒哀楽が表現されるようになった。
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「結婚」「出産」といった一大イベントが発生すると、ムービー仕立ての表示になりシムの人生を盛り上げる。
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一生をシミュレート
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前作では、大人と赤ん坊と子供の3段階しか存在せず時間の経過による成長も存在しなかったが、本作ではシムの一生をシミュレートする事をウリにしており、多くの成長段階が存在し寿命による死亡も起こるようになった。
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赤ん坊:操作はできず、大人シムがミルクを与えたり、オシメを変えて育てる。
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幼児:よちよち歩きのシム。子供に成長するまでに「おまる」「歩き方」「話し方」を教育出来る。これらを教えておくと今後のスキルの取得速度が早くなる。
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子供:前作の子供と同様。今作ではスキルを鍛える事が出来るようになった。
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十代:学校に通いながらアルバイトをする事が出来る。夜更かしをするとニキビが出来るといった事も…。
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大人:シムの本番、本格的に仕事が出来るようになり、結婚や出産も可能になる。
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老人:ほぼ大人と同様だが女性シムは出産できない。仕事を引退して年金生活も出来る。これまで歩んできた人生によって寿命が異なる。
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より個性的になったシム
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シムは願望を抱くようになり、「家庭」「知識」「ロマンス」「財産」等の願望が存在する。
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願望に沿って「望み」と「恐れ」があり、それらを達成することで願望メーターが上下する。
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ロマンス願望のシムは多くの恋愛を望み、財産願望のシムは少しでも高い家具を買う事を好むといった個性が加えられた。
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これによって誰を使っても同じような人生になる事は少なくなり、自由度の高さ故に戸惑うプレイヤーに対する処置にもなっている。
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願望が叶えられる事で願望ポイントがたまり、特殊なアイテムと引き換える事も可能となる他、一定の願望メーターをためる事で「プラチナ」としてブーストする。
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「プラチナ」状態になると欲求メーターに関わらずあらゆるアクションが成功し、仕事の評価も最高になる等の強力な効果が得られる。
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願望が多く叶えられるほど「幸せ」な状態となり、欲求メーターが減りにくくなったり寿命が長くなる。
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逆にあまりにも願望を無視すると不幸になり、最悪になると発狂する。セラピスト(シムが見ている幻影)が出て治していってくれるが。
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成長段階の瞬間に願望メーターがマイナス値のままだと悪い成長を遂げた事になり後の人生にも影響を及ぼす。
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シムが印象的な出来事に遭遇した場合、思い出として記憶するようになった。
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時々、昔あった出来事や知人の事を思いふけったり故人を思い出して泣いたりとより人間臭くなった。
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夫に先立たれたおばあさんシムは毎日のように窓辺やお墓で泣き明かしてしまい、その後の人生が悲しみに包まれる事も…
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しかし、一度でも浮気をした夫婦だった場合は事あるごとに蒸し返してケンカになる為、修復は非常に難しく、関係が悪いまま配偶者が亡くなってもほとんど悲しまないなど、人間関係に対する描写は非常にリアルになった。
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浮気を直接見られていなくとも、ご近所さんにゴシップ(噂)を持ちかける事で知られてしまうといった事も起こる。
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遺伝と家系図
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前作は男女がキスをする事で子供が産まれていたが、本作では異性とウフフな事をする事で子供を残す事が出来る。
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女性シムは妊娠すると徐々におなかが大きくなり、つわりが起こって吐き気を催したり欲求メーターが非常に下がりやすい不安定な状態になる等、描写がリアルになった。
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子供は両親の特徴を受け継ぎ、肌の色、眼の色、顔の特徴等が父親や母親に似たシムが生まれる。現実同様、兄妹でも父親似だったり母親似とマチマチ。
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髪型も受け継がれる為、親父のハゲが遺伝するという悲劇も起こる。
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父や母に似ず、祖父母の特徴が色濃く現れるという隔世遺伝が起こる事もある。
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家系図が追加され、代々のシムを見る事が出来る。
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これにより、1つの世帯を何代も続けるというプレイが出来るようになった。
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前作同様に同性のシムをパートナーにする事が可能。この場合は子供を作れないが、養子を得る事は可能、同様に家系図に残る。
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シムは「両親」「兄妹」の他、「おじ」「おば」「祖父母」「いとこ」等を認知するようになり、親族同士では恋愛関係にならないといった配慮がされている。
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他の家に住む祖父母が、たまに赤ん坊の世話をしに来てくれるという事も。
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パワーアップしたアクション
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料理の種類の概念が登場し、スキルによって色々な種類の料理が作れるようになった。
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「スパゲティ」等の一般的な料理に交じって「チリコンカルネ」などの聞きなれない料理なども交じっており、その日の気分で作る料理を決めれる。
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イーゼルもパワーアップし、創作スキルの高いシムが使用すると風景画や他のシムの肖像画を描く事が出来るようになった。
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好きな風景を描かせたり、歴代の当主の肖像画を残すといった楽しみ方もできる。
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絵画は描いたシムが死ぬ事で価値が上がり、時間の経過とともに売値が伸びていくといった芸術家のような要素も。
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自身に対してアクションを行えるようになった。
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代表的なのが「ヨガ」、その場で禅のポーズを取り、欲求メーターの低下を抑える。
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余談だが、一定時間ヨガを続ける事で禅のポーズのまま浮遊し、さらにはテレポートする事も可能。
お前はどこのストリートファイターだ
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ラジオの内容もパワーアップし、様々なジャンルのBGMを流すことが出来る。本作で流れるBGMはアメリカでヒットした曲が元になっている。
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シムの仕事もパワーアップ
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曜日の概念が追加され、一週間の内の2~3日ほどは休日となり趣味や昇進に向けてのスキルアップの時間に当てることが出来るようになった。
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仕事中も欲求メーターが変化し、ご飯を食べたり、トイレに行ったりといった行動が自動で行われる。
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女性シムが妊娠した場合、産休をもらえるようになりその間は有給扱いとなる。
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前作では昇進条件を満たしても昇進するかは運次第だったが、今作では評価メーターが見えるようになり、満タンになると昇進するといった目安にできる。
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仕事の合間に2択の選択を求められることがあり、一気に昇進できたり罰金を取られたり最悪はクビにされるといったイベントが発生する。無視することも可能。
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一定のランクまで昇進することで「職業ボーナス」とよばれる専用のアイテムを貰うことが出来、アイテムを使って他のシムにスキルを教える事が出来るようになる。
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その他のパワーアップポイント
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アップデートにより、個人の所有物の概念がうまれた、これにより、各自で携帯電話やゲームプレイヤー等の私物を所持する事が出来るようになった。
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死んでしまったシムの墓を公共地区に送れるようになり、墓地を作れるようになった。
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家の建設要素もパワーアップし、3階建ての家が作れるようになった。テクニックを駆使すれば地下室のような部屋を持つ家も作る事が出来る。
評価点
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前作同様自由度が高い
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パワーアップした点はそのまま評価点となるが、前作同様本作も自由度が高い。
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メイドや警察官、泥棒といったNPCと交流が出来るようになった。
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自分の家に入った泥棒を口説き落として夫にしたり雇ったメイドを愛人にすることも可能。
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隠し要素も多く、例えば望遠鏡を覗くと低確率で宇宙人に拉致される事があるのは前作と同じだが本作では男性シムがさらわれると妊娠する。
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妊娠した子はスターチャイルドとなり、特異な外見を持つようになる。
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アドオンによる拡張性の高さ
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本作も8つのアドオンソフトが発売され、導入することで様々な要素が拡張される。
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人気なのは四季が導入され、農作業や釣りが可能になる「シーズンズ!」。レストラン・美容院・小売店を営業できる「ハッピーショップライフ」、あらゆるペットが飼えるようになる「ペットライフ」等。
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いずれも『シムピープル』で行われた拡張の要素は本作でも概ね実装されており、さらにパワーアップした形になっている。
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アドオンにもよるが、下手なシミュレーションゲーム1本分ぐらいの作り込みがされている物もあり、導入することでプレイの幅は大幅に広がる。
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アドオン1つにつき、「吸血鬼」「ゾンビ」といった変異体と呼ばれる形態が追加されるのも特徴である。
問題点
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要求スペックが上がった結果、ロード時間が長くなった。
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アドオンを導入すると公共地区に行く回数が増える事になるが、その度に長いロードが挟まるようになり、貧弱なマシンの場合は移動に10分ほどかかる事もある。
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バグ
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やはり細かいバグに悩まされることが多く、なんらかの原因でオブジェクトに挟まってシムが一切動けなくなるといった症状も多発する。
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嫌チート派でも、バグが起こった時の緊急処置のために「moveObjects(自由にオブジェクトを動かせる)」「ResetSim(シムの状態をリセットさせる)」といったチートを頻繁に使用する事になる。
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初期の頃は家電の修理に来た修理屋が感電して死んでしまうといったギャグのようなバグも存在していた。
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デフォルトで加齢をオフ出来ない。
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デフォルトで加齢をオフ出来ず、前作のように延々と同じシムでプレイする事が出来ない。
加齢を止めるにはチートコマンドを使用する必要がある。
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導入が難しい
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メディアがCDからDVDへ移行する期間に発売された為、無印だけでもCD-ROM4枚という大作でありアドオンも発売順からインストールしなくてはならない。
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さらには途中のアドオンから供給メディアがDVD-ROMに変わる為、読み取るドライブにも気をつける必要がある(現在ではほとんど問題はないが…)。
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パッケージを全て揃えるには膨大な数のディスクを交換しながらインストールをしなくてはならず、非常に煩わしい。品薄から現在は店頭で手に入れることはほぼ不可能。
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前作で存在していた全てのアドオンがセットになった完全版が販売されていないのも問題点。
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その他の問題点
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遺伝を重ねると顔面が崩壊していく。
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西洋顔や東洋顔のシムのハーフの場合、ストレートに特徴が遺伝する為、アゴがシャープなたらこ唇といった妙な容姿になりやすい。
そうでなくとも、遺伝を重ねるとだんだんと顔面崩壊がひどくなり、珍妙な顔をしたシムで溢れかえるようになる。
賛否両論点
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難易度が低い
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請求書(定期的に届く家賃や光熱費のような請求)の額が前作よりも大分控えめになった為、お金で困る事が減り、余程の事がなければ破産しなくなった。
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お菓子もタダで手に入る上に、空腹度の回復値が非常に高いため、餓死することも少なくなった。
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更には仕事でもらえるお金も増え、イベントによる臨時収入(遺産相続等)も増え、欲求メーターの回復速度も前作から上がっているため、プレイしやすくはなったものの、プレイすればするほどお金が余ることになり、ダレやすくなってしまった感がある。
総評
好評だった前作を正当に進化させ、前作同様、長く遊ばれてきたシリーズである。
今作のウリとなった「一生のシミュレート」と「代々続く家系図」によって、さらに色々なストーリーを描けるようになった。
最終的には5年間で1億本近くの売上げという、前作以上のモンスターソフトとなった。
余談
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デフォルトでいるシム達の中には、前作にもいたゴス家(前作では「ゴシック派」)なども登場する。
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時が経ったと言う事で、子供だったカサンドラが大人になっていたり、モティマーも老人化しているといった、時の流れを感じさせる設定になっている。
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ゴス家は『ザ・シムズ3』や『The Sims 4』にも登場。シリーズ皆勤賞でもある。
最終更新:2021年03月13日 11:10