麻雀
【まーじゃん】
| ジャンル | テーブルゲーム | 
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| 対応機種 | ファミリーコンピュータ | 
| メディア | 192KbitROMカートリッジ ディスクカード(片面)
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| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 任天堂 エスアールディー
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| 発売日 | 【FC】1983年8月27日 【FCD】1986年2月21日
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| 定価 | 【FC】3,800円→4,500円 【FCD】2,600円
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| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 日本一売れたとされる麻雀ソフト | 
 
概要
ファミコン初期に代表される任天堂の無印系タイトルゲームの一つでその名の通り極普通の麻雀ゲーム(2人打ち)である。
同じ無印タイトルのテーブルゲーム『五目ならべ 連珠』とともに1983年8月に発売された準ローンチタイトル。
このような任天堂の無印系タイトルのゲームは後に発売される『ベースボール』『テニス』などスポーツ系が主流となるが、同日発売の上記と並んでファミコンにおける同様のタイトルのゲームとしては初作品である。
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ファミコン最初の麻雀ゲームである。
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コンシューマー初ではない。日本メールサービスの『マイコン麻雀』が1982年で、コンシューマー初の麻雀ゲームだと思われる(ただし麻雀専用機なのに価格は驚愕の48,800円!)。
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また電子ゲームでは1983年にバンダイの『パーフェクト麻雀』(16,800円)が登場している。
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同時期に発売された麻雀ゲームだとSG-1000/SC-3000用の「麻雀」がある。こっちは開発がアルファ電子で中身は時間制限のないジャンピューターになっている。
 
1986年2月には『ベースボール』『テニス』などスポーツの無印系タイトルゲーム4本とともにディスクシステムのローンチとして移植される形で再発売された。
内容
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ツモと打牌は十字ボタンで選択してAボタン、副露などの操作は画面中央のコマンド欄から十字ボタンで選択してBボタンで行う。
基礎ルール
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両者の持ち点は30,000からで、プレイヤー側が親で開始。
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ハコテン(飛び/ドボン)は無い。マイナス点になってもリーチをかけられる。
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東1・2局、南1・2局の計4局を半荘とし、それを1ゲームとする。 西、北は常にオタ牌扱いとなる。南2局流局の時点で親(CPU)がノーテン(※テンパイでない)の場合でも半荘終了となる。
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半荘終了時に得点の多い側が1勝となる。その後、点数をリセットして次の半荘を開始。いずれかが3勝先取で決着となる。
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1翻役が確定していない状態で和了するとヤクナシチョンボ、ノーテンで和了ったりノーテンリーチをかけて流局を迎えるとノーテンチョンボになる。
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連荘あり(八連荘無し)。4本場から「リャンシです」の警告が出る。
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ドラは表示された牌そのものがドラになる「現物ドラ方式」を採用。現在主流の次牌方式(たとえばドラ表示が「二萬」だった場合、次位牌「三萬」がドラになる方式)ではない。
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「中」がドラ表示になった場合、ドラは白(ハク)ではなく「中」がそのまま現物ドラになる。この場合「中」はドラ表示として1牌使われ、残り3牌しか場に存在しない事になる。
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ドラは表ドラ・裏ドラ・槓ドラありで槓ウラドラは無い。
 
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チョンボは親で12,000点、子で8,000点(満貫払い)。ノーテン罰符は1,500点。
役に関するルール
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可能なもの
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不可能なもの
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ピンフのツモ和了、流し満貫、槍槓、ダブル以上の役満(役が重複しない為)。
 
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一発は「リーチ ソク」としてリーチと複合した二翻役とする。
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ダブルリーチ一発の時はダブルリーチの下にソクと表記される。
 
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スウカンツ(四槓子)は4回目のカンが成立した時点で和了とする。
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チュウレンポウト(九蓮宝燈)は萬子のみ。
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レンホウ(人和)は役満として採用。
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大四喜、小四喜はどちらも「スーシーホウ」と表記される。
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フリテンリーチをするとツモッても流局してもフリテンチョンボになる。
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役満は複合せず、複合手で和了っても役名は代表として一種(内部データ登録順に)記載されるだけでシングル役満(親48,000、子32,000)となる。
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たとえば四暗刻と清老頭が複合していても代表として「スウアンコウ」のみのシングル役満となる。
 
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四暗刻単騎などの場合もダブル役満にはならない。
難易度
ゲームの最初に難易度を初級・中級・上級のいずれかから選べる。難易度毎の違いは以下の通り。
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初級は配牌が甘めで、チョンボ防止機能がある(役がない状態での和了及びリャンシの場での一翻しかつかない和了、フリテン/ノーテンリーチ、リャンシ中の確定役のないリーチ、リーチ後の当たり牌見逃し、フリテン待ちでのロンあがりが不可能)。
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初級モードのみイカサマも可能になる。
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複数のボタンを同時に押しながら電源をONにして開始すると高得点を匂わせる面子が揃っている。
 
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中級からは配牌が厳しく、上記の()内と同じことをするとチョンボになる。
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上級は配牌が更に厳しくなっている。
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また思考制限時間が毎巡12秒になり、一定時間過ぎてもツモや打牌がないと警告音が鳴り、12秒経過すると強制的にツモやカーソル上の牌を切られてしまう。
 
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CPUの強さ自体には変更は無いようで、初級といえど弱すぎて困る事はない。あくまで補助機能と配牌の甘さによる調整。
評価点
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FCのドットで牌を細かく書き込んでいること。特に萬子は『ジャンピューター』などの他社作品では「○万」としていたものが多かったが、本作ではちゃんと「○萬」になっている。
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実際には、当時の技術水準的に使えるドットに余裕があったからこそ出来たといえる。
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対局の最初に牌は天地や順番がバラバラになったものが配られ、そこからきれいに整列され直す演出がある。
 細かい演出だが雰囲気作りに一役買っている。
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近年の作品でも、天地バラバラになっている演出は殆ど見られない。
 
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またポーズをすると画面全体が真っ暗になりカップコーヒーが表示される
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上級におけるカンニング防止と思われるが、コーヒーの絵が妙に描き込まれており味がある。大人向けのゲームである事を漂わせる演出である。
 
 
問題点
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強さが配牌やツモの引き、ルールに依存しており、麻雀の上手さは感じない。ただ、たまに数順で高い手で上がる事がある。
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そもそも、電子ゲーム版「コンピュータ麻雀 役満」同様、CPUはまともな思考ルーチンを持っていない可能性が高い。アーケードの脱衣麻雀のように強くすると天和や地和を連発するなんてバランスでないのは救い。
 
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当時でもすでに廃れていた、現物ドラを採用している。
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お遊び要素や対局中のBGMが無いため、内容のシンプルさも相まってやや地味で華に欠ける。
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捨牌のとき、たまに普段鳴らない変な音が鳴ることがある。おそらくバグだが進行に影響はない。
 
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一人用なのに2Pコントローラーでも操作できてしまう。
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子供が勝手に2P側のボタンを押してチョンボに、ということもあるので注意。
 
総評
ファミコン初期作ゆえに地味かつシンプルながらも麻雀の魅力を可能な限り限られたスペックの中で再現しており、コンパクトながらも家庭で手軽に麻雀が楽しめるという売りを武器に大ヒットを記録した。
何故売れたか?
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本作の売り上げの決め手といえる要素は、一人でも麻雀を楽しめると言うアドバンテージは当然として、それ以上に子供が親にFC本体をねだる際の「麻雀も遊べる」という口説き文句にある。これによりお父さんの財布の紐が緩み、ソフト共々本体の売り上げに貢献したといえるだろう。
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実はFC本体の最初のテレビCMで真っ先に映されるのはこの『麻雀』である。
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二番手が『五目ならべ』そして『ポパイ』『ドンキーコング』『マリオブラザーズ』と続く。
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任天堂も『麻雀』や『五目ならべ』をプレイすると思われる(コンピューターゲームに懐疑的な)当時のお父さん層に積極的にアピールしていたようである。
 
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また当時は1960年代から70年代にかけて起こっていた麻雀ブームの影響もあり麻雀を楽しむ大人が多かった、という事情もあり液晶ゲームでも麻雀専用に作られたものや、エポック社の『ゲームポケコン』でも麻雀があるなど、サラリーマン層をターゲットにした電子ゲームも発売されており、ゲーム機でも麻雀は需要があった。
 
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またファミコンのスイッチをオンしてコントローラーを操作するだけで麻雀を気軽に遊べる点も大きい理由として挙げられる。
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今となってはゲームソフトなどで当たり前にできる麻雀であるが、当時麻雀のみならずボードゲームを遊ぶには物置から箱を取り出し牌や小さい部品を約10分程準備しなければならず、かつ牌が1つでも紛失してしまうとプレイできなくなってしまう。そんな中でお手軽に麻雀を遊べるのは非常に便利になった声も多い。
 
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麻雀はルール以外でも覚えるべきことが多かったり面子(プレイヤー)を3〜4人集めないと遊べなかったりといざプレイするとなるとかなりハードルの高い遊びである。それらを可能な限り緩和したコンピュータ麻雀ゲームとして、アーケードの『PT麻雀』や『ジャンピューター』が世に出て久しい時期に発売された本作は、前述の2作品などを遊ぶためにゲームセンター・ゲーム喫茶に足を運ぶ手間がかからず、基板や筐体自体を買うよりはるかに手の出しやすい家庭用ハードであることが、大きなアドバンテージになっている。
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コンピュータ麻雀はPCにも出ていたが、当時はPC本体が非常に高価だったこともあり普及率が低かったので、当然PC麻雀の普及率は更に低かった。
 
その後
ディスクシステムにローンチタイトルの一つとして移植された。
アーケード用にも移植。下記参照。
『どうぶつの森+』にもファミコン家具として収録されている。公式ホームページのあいことばを入力する事で手に入れることができた。
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アーケード版について
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1984年に任天堂VSシステムでアーケード版も登場している。
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2020年2月21日に、アーケードアーカイブスにて配信された。税込み838円。
 
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難易度選択がなくなり、初級で固定されている。但し、上級と同様の思考時間制限がある。
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チョンボなどは発生しないが、12秒操作しないと自動的に打牌されてしまう。
 
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左右どちらのコントローラーでも操作できてしまう。荷物等による誤操作に注意が必要。
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半荘1回分で終了。
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表裏2画面使用により、2人対戦プレイが可能。
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乱入対戦はできない。二人同時に開始しなければならない。
 
 
余談
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流局時でのSEなどは同時発売の『五目ならべ 連珠』でも使われている。
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こちらでは決着がつかずに盤面全部を埋め尽くして「引分再試合」にならないと流れないので、まず聴くことはない。
 
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1984年11月に『4人打ち麻雀』と、本作の続編っぽいタイトルが発売されているが、これは発売元こそ任天堂だが中身はハドソンのPC用ソフト『ジャン狂』の移植。
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そのため『五目ならべ 連珠』のように本作のタイトルBGMやSEの流用などもされておらず事実上まったくの別物で続編という位置付けにはならない。
 
最終更新:2025年03月16日 18:47