テイルズ オブ グレイセス

【ているず おぶ ぐれいせす】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:守る強さを知るRPG)

通常版

本体同梱版
対応機種 Wii
メディア 12cm光ディスク 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2009年12月10日
定価 通常版: 7,329円
Wii本体同梱版: 27,800円(全て税込)
プレイ人数 1人(戦闘のみ1~4人)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 暴力、言葉・その他
通信機能 ニンテンドーWi-Fiコネクション(DLC)対応
廉価版 みんなのおすすめセレクション:2011年3月24日/2,800円
判定 なし
判定(修正版) 改善
良作
ポイント 最高の戦闘と良好なシナリオ
周回時の引き継ぎバグ(現在は修正済み)
テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク

概要

『テイルズ オブ』シリーズの1作。略称は『グレイセス』『TOG』。キャラクターデザインはいのまたむつみ。


特徴

戦闘システム「SS-LMBS(スタイルシフト リニアモーションバトルシステム)」

  • 3Dの戦闘。旧来のTP制に代わって、PS2版『テイルズ オブ デスティニー』で評判の高かったCC(チェイン・キャパ)が導入されている。3D戦闘での非TP制は今作が初となる。
  • これまでの3D戦闘で猛威を奮っていたフリーランは大幅に弱体化。
    • 今作のフリーランは移動速度が遅く、CCも減少していくなどデメリットが目立つ。主な用途は立ち位置の微調整となる。一応、装備で速度アップも可能。
  • フリーランが大幅弱体化した一方で、従来あったバックステップを強化した新たな移動・回避手段として前後左右に素早く移動できる「アラウンドステップ」がある。
    • ステップにはCCを1消費するが、敵の攻撃をジャストタイミングで回避すれば「対応回避」となり、被ダメージを1にした上でCC等が回復する。
    • 常にロックオン対象へ向いたままステップを行うので、フリーランのように「敵に背を向けて逃げ回る」といったことは起こらない。
    • 基本これらを駆使して立ち回るため、PS2版『TOD』で好評だった空中戦の要素は今作では廃された。
  • スタイルシフト
    • 本作には他作品における通常攻撃という概念が存在せず、攻撃力依存のアーツ技(A技)、術攻撃力依存のバースト(B技)という二種類に大別される攻撃手段を瞬時に使い分けながら戦うというシステムになっている。
    • A技は従来の通常攻撃に近い位置付けではあるが、ボタンと方向キーの組み合わせや連続入力の段階によって多くのバリエーションが存在し、それら全てに別々の技名や性能が設定されている。攻撃方法も初段こそ地味だが、連続で繰り出すにつれて派手で強力な技になっていく。
    • 同じ技を連発すると命中率に減少補正がかかり、敵に攻撃を回避されやすくなる。これにより様々な技を使い分ける必要がある。
  • エレスゲージ
    • 敵に攻撃を当てたり、敵の攻撃を防御・回避することで、水色のエレスゲージが溜まっていく。ゲージが溜まると一定時間エレスライズ状態となる。エレスライズ中はCCが常に全快になり、鋼体がつき、秘奥義も発動可能になる。その他にも、エレスライズ開始時に発生するボーナス効果がある。
    • 敵側にも同様に赤色のエレスゲージがある。敵側のエレスゲージが満タンになると一定時間エレスブレイク状態となる。エレスブレイク中は敵がのけぞらなくなり、特定の敵は秘奥義も発動してくる可能性がある。
  • 秘奥義の大幅充実。プレイヤーキャラには1キャラに3つ用意されており、スポット参戦キャラはおろか一部の中ボスまで用意されている。バリエーション、演出、戦略性のあらゆる面で良質である。
    • 隠し秘奥義やパターン違いも含めると軽く30を超え、しかも対ラスボス専用ボイスや専用秘奥義まで用意されている。
    • 後述するシステムのおかげで発動する機会も多く、ダメージ的にも十分実用的。演出面でもこれまでのD2チーム作品同様にスピーディで、3DCGによるカメラワークも加わりさらに迫力があると好評。
    • 自分とターゲットの位置によって巻き込める敵の数が大きく変わってくるので、配置を工夫する楽しみが大きい。うまく決まると非常に爽快。
+ 参考動画:秘奥義集

  • 防御姿勢を一定時間取り続けると特殊効果が得られる。防御時間に応じて、得られる効果が クリティカル率上昇 → 鋼体付加(敵の攻撃でのけぞらない) → 攻撃で敵をほぼ確実にのけぞらせる と変化していく。
    • CCが自動回復するまでの間の安定行動である。防御中に敵の様子を見てアラウンドステップ(対応回避)を狙い、攻撃に転じることもできる。
    • ただし長時間防御し続けると逆に防御を崩されてしまうようになるので、防御していれば優位という訳でもないバランスになっている。
    • 味方AIは詠唱中に攻撃を受けそうになると防御してくれるため想定外の大ダメージを突然食らう機会は少ない。ただしクリティカルゲージを削り切られることにより防御を破られた時や、ガードブレイク攻撃は除く。
  • 従来の火属性、水属性といった属性の概念は無くなり、代わりに「特性」が追加された。
    • これはその敵の弱点や、その術技で突ける弱点を表す。大抵の敵に複数個の特性が設定されており、全ての術技にも何らかの特性が設定されている。敵の特性を突くと、通常は確実に相手をのけぞらせることができ、以降の連続ヒット中の攻撃全てにダメージ倍率が掛かるようになる。
      • 例えば「植物」「斬撃」という特性を持った敵には、「植物」「斬撃」の特性を持った術技を当てれば、効果的にダメージを与えられる。
    • 連続ヒット中に、その敵に設定されている全ての特性を突ければ、CCが増加するといったボーナスが得られて攻めを継続できる。
    • 敵の中には、「暴星バリア」を展開するものがいる。
      • 暴星バリア中に敵に対しては全てのダメージが1になり、のけぞらなくなる。
      • 「暴星」の特性を持った術技を当てることで、敵の暴星バリアを解除できる。
    • 従来の属性耐性のような概念は敵側には無い。そのため「この装備や術技では戦えない」ということはない。
  • 敵のHPのゲージ表示はカーソルと一体化したものとなった。
    • 後の作品でもこのカーソル一体型のHPゲージが採用されている。
  • 攻撃中に操作キャラを変更した場合、変更元のキャラは自動的に連携を継続してくれる。
  • 戦闘難易度はデフォルトでは4段階、最終的には全部で6段階から設定できる。
  • 勝利後の掛け合いは今回はやたらキャラが動く。中には短いチャット並みの長さを誇る物まで。掛け合いはパーティの組み合わせによって変わり、従来通り一人が一言言うだけのものもあり、総じてバリエーション豊富なため飽きにくい。もちろんスキップ可能で、見るか見ないかは完全に自由。後のテイルズオブシリーズ作品では初回は強制的に見せられるようなものもありテンポが崩れることもあり得るが本作にはそういった煩わしさは一切無い。
  • 戦闘中にパーティ全体の作戦を一括変更する「号令」システムは今作では無い。
+ 参考動画:勝利後の決め台詞&掛け合い集

ストーリー・キャラクター

  • 『アビス』『ヴェスペリア』と据え置きのシリーズ作品は尖ったキャラ付けの作品が続いていた。それに対して本作のキャラクターたちの設定は比較的穏やかである。
    • シナリオを通してのキャラ同士の関係の変化は見所である。また、パーティーは家族をイメージしているらしい。
  • プロローグにあたる「少年時代」と、本編といえる「青年時代」に分かれており、主人公アスベルの成長をプレイヤーが追体験できる。
    • 序盤~中盤にかけては、少年時代編を踏まえた上で、数々の事件を乗り越えつつ、主人公を取り巻く人間関係に強くスポットが当たる。
    • 中盤から、段々と規模の大きな話に発展していく。
  • メインシナリオは30時間程で攻略できるやや短いものとなっているが、その分サブイベントが充実。
    • キャラにまつわる様々な性格のやり取りが見られるというだけではなく、称号・アイテム獲得を通じて戦闘にもリンクする。
  • シリーズ定番のチャットは、今作にも勿論搭載。今回は時折カットインが入り、より演出面が強化されている。
  • メインシナリオでは語られないキャラクターの過去や思いなどがチャット等で語られる。シリアスなものやほのぼのとしたものも勿論あるが、とにかくぶっ飛んだ内容の物が多く、割と真面目だった特典DVDの反動とか言われる事も多々。特に水着イベントとフルボイスで進行する「シェリ雪姫」のイベントは際立っている。

エレスポット

  • エナジーという数値を消費することで、マップ移動中に様々なアイテムを自動生成したり、戦闘中に特定条件で料理の効果を発生させたり、戦闘勝利時の報酬を増加させたりする便利なシステム。
  • エレスポットのセット枠にて、どんな機能を発揮させるかを設定する。エレスポットを利用すればするほど、エナジー容量やセットできる枠の数が増えていく。
  • 料理の効果は、例えば「パーティHPが30%以下のとき、HP70%回復、武器の性能アップ」など。ピンチの時に回復術を使う必要が無いので地味に助かる。
  • 魔導書をセットすることにより、アイテム出現率や成長の強化、料理効果の強化など様々な効果を得られる。
    • 術技の使用回数を2倍にするなどのやり込み向きの物や、戦闘参加人数が一人になる、経験値を増やす代わりにステータスを半減させるなど縛りプレイ向けのものもある。

デュアライズ

  • 二つのアイテムを合成して新たなアイテムを作り出すシステム。デュアライズは各地のショップで行える。
  • 本作には合成用の「素材」アイテムが多数存在する。
  • 回復アイテムを作り出したり、料理と料理を組み合わせて新たな料理を作り出すこともできる。
    • 例えば「グミの実」と「リンゴ」をデュアライズすれば、お馴染みの「アップルグミ」が作れる。
      「ライス」と「のり」で「おにぎり」を、さらに「おにぎり」と「ウメボシ」で「梅干おにぎり」を作り出せたりする。
      • デュアライズで作った料理はアイテムとして使用可能。移動中しか使えないが、エレスポット同様パーティ全員を回復でき、効果も一部を除いて反映される。
  • 素材を組み合わせて換金用のアイテムを作り出すこともできる。その分、今作は戦闘するだけではお金が貯まりにくいバランスになっている。
  • 武具に、様々なスキル(特殊効果)を持った「欠片」をデュアライズすることで、その武具にスキルを付加できる。
    • スキルが付加された武具を戦闘で使い込むと、武具の能力が強化される。
    • 強化された武具同士をデュアライズすると、デュアライズに使った武具は無くならず、それぞれのスキルのみが抽出され、両スキルを併せ持った装備品「宝石」を作り出すことができる。武具はスキルを失うが、強化された能力値はそのまま残る。
    • スキルを抽出した武具に再びスキルを付加して、その武具を使い込んで能力を強化して、再びスキルを抽出して…と繰り返すことで、その武具をどこまでも強化していける。

その他

  • これまでのシリーズにも時々あった、称号付け替えによるボーナスシステムが進化。称号その物を育成することでランクが上がりスキルを習得できる。
    • 一つの称号に付きランクが5まであり、ランクが上がるとステータスがアップしたり、新しい技を覚えたりする、レアな称号では「○○コンボで秘奥義発動可」というとんでもないスキルまで覚える*1
      • 称号は敵を倒す、宿屋の依頼を達成する、アイテムを使うなどで得られるスキルポイントによって成長。
    • スキルだけでなく、称号にもそれぞれ装備効果があり、スキルを覚え終えた称号を更に育てると、装備効果がより強化されるマスターランクになる。
    • 育成はオート設定も可能、設定したランクまで育つと必要SPの少ない称号に付け替えてくれる。称号の数はDLCを除いても全919もあるので優先したいスキルがある時だけ手動で基本はオート任せになる。
      • パーティにいないキャラはオートで称号ランク3以下の称号がセットされる、という特性があり長期離脱などの場合は非常に便利。
      • なお一人で戦闘する闘技島などのイベント戦闘で「その戦闘の時だけいない」場合も当てはまってしまい優先的に育成したい称号がある場合や、やりこみなどの理由でこのスキルは覚えたくないという場合には煩わしくなってしまう問題もある。
  • 「魔法カルタ」という要素があり、歴代シリーズキャラのカルタが手に入る。ある程度集めるとカルタで対戦するミニゲームもできる。
    • 但し、僅かながらキャラには作品の偏りがある。PS3版ではこの偏りはほぼ解消された。
  • 『かめにんマーチャント!』というニンテンドーDSとの連動要素が存在する。ランダム生成されるダンジョンを敵と戦いながら冒険する内容。

評価点

  • 戦闘システム
    • シリーズの3D戦闘では最高の出来との評価が多い。従来に比べて内容が大幅に充実しており、完成度が高い。
    • 沢山の要素が詰め込まれた戦闘システムではあるが、それまでの『デスティニー2』や『リバース』のように難解なわけではなく、それでいて奥深いものとなっている。
      • A技を連打するだけでも見栄えのいいコンボになり、AIも優秀なため、戦闘が苦手なプレイヤーでも非常にとっつきやすい。
    • 従来から存在する部分に関しても、多くの点で良いとこ取りをしているため2D派、3D派を問わず高い評価を得ている。
    • 全体的に「~しなければならない」要素が少ないのが大きな特徴で、シリーズ中では突出してストレスが少ない設計になっている。
      • 命中が低い仲間の攻撃が回避された瞬間にコンボが途切れるといったことは発生せず、敵が仰け反っている間に他のキャラが攻撃を当てられればコンボを続けられるため、シビアにステータスを管理する必要は無い。
      • ダウンした敵に対し何も考えず攻撃してもダメージは通るが、起こすことが出来ればコンボを続けることも可能。
      • 上述のように敵に耐性の概念がないため、事前準備が適当でも、最低でも普通には戦えるようになっている。
      • エレスポットは一旦設定すればエナジーを補充する以外に逐一面倒を見る必要が無い。その補充すら自動で行う魔導書も存在する。
  • キャラは立っており、多くのプレイヤーから好評を受けていると言える。
  • シナリオは後に完全版が出るものの本作単体でもしっかり完結しており、エンディングは名シーンであると特に好評である。
    + シナリオ全般に関して(ネタバレあり)
    • 全般的に人物描写は丁寧で共感しやすく、 ウィンドルでの展開の荒波っぷりとエンディングの変化球具合には特に定評がある 。フェンデルのみアスベルは脇に寄り他キャラが中心になるが、世界の中心の孤島以降は再び主人公らしくなる。話が進むとラムダやソフィの正体が明確になり*2、ラストダンジョンではラムダのさらに詳細な身の上が明かされ、その上でラストバトルに挑むという一貫性のある流れになっている。中盤までのアスベルの報われない境遇が、エンディングでのラムダへの共感につながっており、一種の伏線になっている。
    • 大煇石を巡るイベントに関しては、ギスギスしていたパーティ内の関係が大幅に改善されるため、ちょっとした旅行気分を味わえる。これはシェリアやヒューバートとの仲が改善されたことや、ソフィがヒューバートと再接触し記憶を取り戻したことが影響している。また、いかにも冒険している感のある見所もある。たとえば超巨大生物の登場、足を踏み入れて明らかになるフェンデルの実態、異星人との遭遇など。
  • とてつもなく快適なユーザーインターフェースを持つ。その優秀さは枚挙にいとまがない。
    + 例えば…
    • あまりに高速なロードによりシームレスで戦闘しているのと大差ない。
    • 称号により自動的にスキルを覚えさせられるためテンポよくゲームを進められる。
    • それまでの作品に存在したシステムであるマジカルポットとフードサックを合わせてさらに機能を追加したようなエレスポットの存在。
    • 現在与えているダメージと、これまでの累積ダメージの表示の両立。
    • 現在操作しているキャラから、残り3人のうち目的のキャラへ瞬時に操作を変更可能。
    • ボスに敗北した際に即座にリトライできる。
  • 豊富なやり込み要素。
    • これまでの過去作でも武器に能力を付加させたりとあったが本作ではどんな武器でも全能力999のカンストが狙える。ただし狙おうとすると本編クリアかそれ以上の時間を必要とする。
  • サブシナリオもかなり豊富。前作の『テイルズ オブ ヴェスペリア』での 期間限定や前提条件による発生イベント が多く、その点でも批判はされたが、本作でそれは改善*3されている。また、ギャグ要素の強いものや、ぬいぐるみイベントを始めとした感動的なものまでバリエーションは非常に多彩。
    • あくまで寄り道要素ではあるが、アイテムや称号の取得、または依頼品によるSP獲得等、決して無駄にならないのが嬉しい。
    • 進行中・完了済みのサブイベント一覧もメニューで確認できるようになり、フラグ管理が楽になった。
  • また、各種要素における説明文が極めて遊び心が多い*4
    • 特に称号数が多くなった本作では、称号の説明文を見るだけでも暇つぶしになってしまう。妙に バカゲー的な方向で力の入った説明文 は、シリアスなシナリオとのギャップもあってかいい清涼剤になる。
      • 素材の数もかなり増えたため、そちらの説明文もどうぞ。
  • BGMはOP「まもりたい ~White Wishes~」や終盤の通常戦闘「焦燥の剣」、中ボス戦闘「狂乱舞踏」など高評価の曲が存在する。
  • モーションキャプチャー等の技術に関してはWii『ラタトスクの騎士』から引き継がれ更に強化されており、滑らかなキャラクターの動きが実現されている。

問題点

バグ

  • ゲームを1周クリアする分には問題はないが、2周目以降の引き継ぎに関するバグが多数存在した。
    • 例を挙げると「特定のアイテムを入手した状態で、ブック(コレクション要素をまとめたもの)を引き継ぐと隠しダンジョンに入れない、闘技島で隠しボスと戦えない」など。
      • バグの回避方法は発見されているが、全てを回避する方法は複雑であり、きっちり理解して引き継ぎをする必要があった。しかしそうして引き継ぎを行っても一部の敵が出現しないバグもあるためフルコンプは不可能というやりこみユーザーを絶望させる問題だった。
    • ひどい物ではWiiの電源が強制的に落ちるバグまで存在。遂には「バグレイセス」という蔑称まで付けられてしまった。
    • 有利になる物もあり、ゲームバランスを壊してしまうものの秘奥義連発や高HPのボスを一撃で倒せるバグもある。だが、それ以上に不利益をもたらすバグが多かった。
      • 攻略Wikiなどでは「2周目以降はバグを回避するゲーム」とも言われていた。
  • 上記のバグに対し、発売元であるバンナムは2010年3月8日に謝罪文を掲載し、ソフトの無償交換を開始した (交換品は同年3月下旬より順次配送)。
    • その修正版では上記のような致命的なバグはほぼ全て修正された。
      • ただし、致命的でこそ無いものの、修正されていない細かいバグもある。
      • 水着で初登場するマリクなど、わざと残したとしか思えないバグもある。プレイヤーに有利なり無害であればまだネタで済むレベルであると言えよう。

バグ以外の問題点

  • 基本的には難易度は低めなのだが、序盤のある重要キャラとの戦闘だけ異常に難易度が高い。お供が2人ついている上に威力のある術を非常に速い詠唱速度で連射してくるため、序盤であるにもかかわらずゲーム中最大の難所となってしまっている。
  • フリーランが暴発する。
    • スティックを上下で通常移動しようとするところ、左右に倒してしまうとフリーランが暴発する。
  • アラウンドステップが暴発する。
    • スティックを上下でごく短距離を通常移動しようとするところ、弾いてしまうとアラウンドステップが暴発する。これは、スティックを「一瞬だけ倒してすぐ戻す」という操作が「弾く」という操作に極めて近いためである。ちなみに、もう一つのアラウンドステップの方法である防御ボタン+スティックを倒すことにより暴発無く確実にアラウンドステップできるため、弾く方の操作は単なる邪魔物と言われる。今後の作品において削除されることを望むユーザは多い。
  • 「号令」システムが無いのが不便。
  • AIはシリーズ中ではかなり賢い方であるが、問題が無いわけではない。
    • ガードブレイク攻撃に弱い。もちろん回避してくれることもあるが、ガードブレイク攻撃を連発してくる一部のボス戦ではキャラチェンジを強制されるため、良い意味での難しさではなく理不尽さを感じることがある。攻撃を受ける前に相手を殴りまくって中断させるという手も用意されているが、そちらを選ぶメリットは小さい。特に、雪山と隠しダンジョン7階で出現するボスはガードブレイク攻撃の頻度があまりにも高く、キャラチェンジが使いこなせなければ全キャラの生存は絶望的といっても過言では無い。
    • 回復術を使えないキャラがもれなく突撃脳。体力が低くても突っ込んでいく。クリティカルゲージの回復や、アスベルの場合はB技が体力回復も兼ねているので無意味なわけではないが、大人しくして欲しい時もある。
  • 称号効果の一つ「○○以上のダメージを半減」が強力で、高難易度だとこの称号の有無で生存率が大きく変わる程有用な物*5なのだが、ヒューバートとリチャードの二人だけが入手できない。
    • 本来この効果の付いた称号自体は全員が入手できるので、この二人だけ別の効果に変更されている理由は不明。
    • PS3版ではヒューバートは他の五人と同じ様に変更されたが、リチャードは変更されず他の称号でも追加されなかった。
  • コスチュームの変更が称号の装備効果となっているため、コスチュームを変えている間は称号の装備効果を得られず戦力が犠牲になってしまう、当然他の称号の育成も出来ないため自由な着せ替えができなくなっている。
    • PS3版ではステータス画面で着せ替えが出来るようになり改善されている。
  • クリテイカル○回、特性攻撃○回などの称号の多くが周回ごとに回数がリセットされてしまい、何周もしているうちにそのうち勝手に取得できるだろう、という考えでは中々取得できない。
    • 特にチャット収集率100%が条件の「雑談コンプリーター」を取得するには、これと決めた一周の間に全てのチャットを逃さず見る必要がある。
      • またニンテンドーDS連動のミニゲーム「かめにんマーチャント!」をクリアしないと見られないチャットがあるため、この称号の入手にはDSが必須となる。
      • PS3版ではこれらの称号の入手条件が緩和され、称号の必要回数も引き継げるようになった。雑談コンプリーターは一周の間という条件は変わらないが、必要な収集率が95%になっている。
  • 武具や宝石の付加効果が周回するたびに完全に失われてしまう。何らかの形で次周に引き継ぎたいという声が存在する。
  • ダンジョンマップはモデリングの使い回しが多い。ただしこれは本作に限った話ではなく、省力や効率化の範囲内と言える。
  • アニメムービーのクオリティが過去作に比べ低い。特にOPムービーに顕著。
    • 本編中のムービーの一部を4秒程度だが使い回しているため、手抜きと言われることもある。
    • 肝心の作画そのものも動きが少ない、シーンごとのキャラの顔が違いすぎているなど不評。ただし、動きの少なさについては曲がミディアムバラードなので違和感は無い。
    • 制作班は「映画ヴェスペリア」や「ももへの手紙」と掛け持ちであり、その影響が出たためだと思われる。
    • 作画自体に破綻はなく、過去作のレベルではなく一般アニメの通常回ぐらいの作画を期待して見る分には無害。
    • 本作や『バーサス』のOPなどが不評だったせいかは不明だが、次回作の『エクシリア』では別のアニメ制作会社がムービーを担当することになった。

賛否両論点

  • シリーズでお馴染みのグレードシステムが「戦闘終了時の評価」ではなく「ゲームのやりこみ度」でポイントが手に入るようになっている。
    • これにより1周目で高グレードを獲得するにはその周で隙無く相当やりこまなければならず、初回プレイではグレードもほんの少ししか手に入らず、その周回ではやりなおしがきかなくなる問題もある。
  • 従来の、キャラクターの大きさに対しデフォルメされたフィールドマップではなくなり、街と街の間は等身大の間道・街道やダンジョンで結ばれるようになった。
    • 等身大ゆえの臨場感を味わえるようになった。カメラは回せないものの、閉塞感を感じないように視点が工夫されておりバランスは良い。
    • 探索ポイントからアイテムを拾ったり、NPCがいたり、シャトルを手に入れてからの座標探索など楽しめる点は結構ある。
    • 終盤はシャトルを呼び出して瞬時に町・街道・ダンジョンに移動できる。しかし、等身大化と省力化の妥協点なのか、ファンタジアからの伝統である空を自由に飛んだりするシステムは無くなってしまった。利便性は向上している一方、味気なくなったと受け取るプレイヤーもいる。
+ 歴代シリーズからのゲストキャラの技に関して
  • 歴代シリーズからのゲストキャラ3人のうち、『デスティニー2』のリアラと『ハーツ』のコハクの秘奥義がなぜか原作で秘奥義だった技ではなく原作では上級術だった術(コハクに至っては原作秘奥義は格闘技だったにもかかわらず)になっている。またリアラは原作では術者にもかかわらず、本作ではほとんど術を習得しておらず杖による接近戦を挑んでくる。そのため某所では「撲殺聖女」という異名をつけられるほど。PS3版ではリアラに多少術が追加されたものの撲殺聖女っぷりは変わっておらず二人の秘奥義にも変更はない。
    • なおこれ以前に発売した『レディアントマイソロジー2』や『バーサス』ではちゃんと原作同様の秘奥義となっているためなぜ変更したか不明である。
      • ただ、上記2作でのリアラの秘奥義は「フィールド全域にダメージ+味方全員のHP全快」という効果のため、変更は仕方がないともいえる。だがリアラには原作では秘奥義に当たる術が他に三種類あるためやはり理由が不明である。
  • クリティカルが出た時の、ヒット数の少ない技とヒット数の多い技の威力の差が著しい。クリティカルゲージが満タンになった時の1ヒットのみ威力が2倍になるためである。
    • たとえば1ヒットの葬刃はクリティカルが出れば威力がそのまま倍増するが、9ヒットの四葬天幻は9ヒットのうちの1ヒットのみが倍増するため全体としての威力上昇は微々たるものとなる。
  • 今作はボス敵等の仰け反り時間がかなり短くなっている。これによりAさん→Bさんのコンボはやりづらくなっておりボスならではの強さが発揮されている反面、Aさん→Aさんのコンボは短い仰け反り時間でも繋がる技だけに絞ることを推奨という窮屈なものとなっている。
    • ボス戦はコンボよりも、攻撃を開始するタイミングを測ったり、防御・対応回避・フィールド上での位置取り・誰にアイテムを使わせるかといった立ち回りを楽しむものであるという意見もある。立ち回りが楽しいのはボス戦に限った話ではないが。
    • そもそも、ルート式であるA技は従来の通常攻撃に該当し、繋がらない技が存在することは従来と変わらない。むしろ、本作においては繋がらない技をエレスライズやアラウンドステップによる仰け反り延長などで繋げられるため、工夫の余地が存在する。

総評

何らかの穴を持つ作品が増えつつあるのはシリーズ作品乱発の弊害なのか、今作はデバッグの甘さにそれが出てしまったと言えるだろう。
評価が分かれる箇所もあることはあるが、戦闘・シナリオとも好評な意見が多く「バグさえなければ…」と悔やむファンは多かった。
バグによるクリア後・2周目のゲーム性の低下は非常に重く受け止められたため評価を落としていたが、修正ディスクにより改善され良作となった。


余談

評価

  • 第5回人気投票ではアスベルの3位を筆頭に、パーティキャラ7人全員が30位以内にランクインという第1回の『ファンタジア』以来の快挙を成し遂げている。
  • 日本ゲーム大賞2009 フューチャー部門を受賞。
  • 「みんなのニンテンドーチャンネル」のアンケート「みんなのおすすめ」で最も取得が困難なプラチナランクを取得。(サービス終了時点にてゴールド)
  • 外部の催しだが、第2回RPG最萌トーナメントにてソフィが優勝。
  • ブランド低下やWiiの市場問題により累計売上はまさかの21万ほどとなってしまった。これは今まで発売したテイルズ本編作品の中では最下位の売上でもある。(ソース

小ネタ

  • パスカルの術技の大半は『魔法少女リリカルなのは』からの影響が見られる。
  • アスベルの服のモチーフは新撰組の羽織。
  • シリーズとは無関係だが『.hack』シリーズの『.hack//Link』に今作の主人公のアスベルとパーティメンバーのマリクのコスチュームなどのコラボもある。
  • チャットやディスカバリー、装備品や性質といった要素にWiiの販売元である任天堂の代表作「スーパーマリオ」のネタが盛り込まれている。
  • Wiiソフトで話題を呼んだあのオプーナのネタも盛り込まれている。
  • ちなみに、今作ではハウス食品とのコラボで、なんとマーボーカレーを発売してしまった。こちらも中々の評判だとか。
    • 感想は述べられなかったものの「『ぷっ』すま」でも取り上げられた。

バグ対応

  • 実はバグを修正したソフトの交換は2010年3月8日以前から行っており、バンナムのHPから『グレイセス』のバグについてメールを送るとバグ修正版と交換してくれた。
    • この情報は瞬く間にファンの間に広がり、過去の『ソウルキャリバーIII』などの件*6を見ても「バンナムが交換対応なんかする訳がない」と絶望していたファンを驚かせたという。
    • 「交換が遅すぎたのでは」との批判もあったが、「今作のバグの量を見る限りは修正に手間取るのも仕方ない」とする意見もあり、好意的意見に関しても大方のユーザーが「(今までのバンナムのバグなどへの対応を見る限り)今回も対応する訳がない」と思っていたという事実もあるため、「対応しただけマシ」という考えが根底にあることも否めない。
      • そもそもWiiは仕様上、他のハードと違いパッチで修正できないので修正版のソフトをわざわざ作っただけでも立派という意見もある。

その後の展開


テイルズ オブ グレイセス エフ

【ているず おぶ ぐれいせす えふ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:守る強さを知るRPG)

対応機種 プレイステーション3
メディア BD-ROM 1枚
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2010年12月2日
定価 8,379円
プレイ人数 1人(戦闘のみ1~4人)
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン セクシャル、暴力、言葉・その他
通信機能 PlayStation Network対応
DLC配信
廉価版 PlayStation3 the Best:2012年8月2日/3,800円
判定 良作
ポイント 『グレイセス』の完全版
テイルズ オブ シリーズ

概要

Wiiで発売された『テイルズ オブ グレイセス』(以下、無印)に様々な調整を加え、新規エピソードを追加したもの。
新規エピソードは本編クリア後の後日談となっており、本編のストーリーには基本的に改変は加えられていない。
PS3での発売の要望が多かった為、2010年2月に「移植することを決定した」とインタビューで述べられている


追加要素・評価点

追加シナリオ「未来への系譜編」

  • 本編クリア後にプレイ可能となる本編の半年後を舞台とするシナリオ。
    本編では明かされなかったフォドラ滅亡の真相が描かれ、テーマとして永遠に近い命を持つ者と人間との種としての違いに焦点が当てられている。
    + ネタバレ注意
  • 本編のシナリオはその時点で十分に完結したものであったが、系譜編は追加シナリオでありながら後付け感を感じさせない、本編の内容やテーマをより掘り下げたものとなっている。
  • 「ヒューマノイドであるソフィとアスベル達人間との寿命の違い」という重い問題に焦点があてられるが、これにたいして本編でもたびたび描写されてきた、本作の一つのテーマとも言える家族関係がその一つの解決策となる。
    • 「家族関係」については系譜編においても大きなテーマと言ってもよく、本編中では曖昧なままだったアスベルとシェリア、ヒューバートとパスカルの恋愛描写が深堀される。
      明確に「家族」と言える関係へと進展するキャラクターもいる。
  • ラムダも大きく掘り下げられており、本編中では決着が保留となっていたアスベル達 とラムダとの和解も大きなテーマとなっている。
    • 序盤はまだアスベルに心を開いていない状態だが、系譜編を通してアスベルとの対話が描かれ、最終的にはパーティメンバーとの絆を深め、8人目の仲間と言っていい魅力的なキャラクターへと変化していく。
  • これらの描写は本編EDのラストシーンにつながっており、系譜編をクリアしたときに改めてそのラストシーンがより納得のいく形で理解できるようになる。
  • リチャードは、本編ではマリク・ヒューバートとはパーティとしての関わることがなかったが、系譜編ではしっかりと絡んでおり、他のメンバーとも関係が改善され、名実ともに仲間として描かれるようになった。
    • 本編ではほぼ描かれなかった余裕のある状態であり、少年時代を思わせる「兄貴」らしいユーモアのある言動も見られるようになるなど魅力がより深まったと言える。

さらに評価を高めた戦闘

  • 最も特徴的なのが、系譜編にて使用可能になる「アクセルモード」の追加。
    • 時間経過で回復する「アクセルゲージ」が50%以上の時に発動でき、全キャラ共通のHP回復、CC回復、状態異常回復等の効果に加え、各キャラにそれぞれ異なった効果を得られる。
      また、アクセルゲージが100%の時にアクセルを発動した場合に発動できる秘奥義も追加された。これによって、自分の好きなキャラで思い通りの戦闘がやりやすくなった。
    • アクセルの性能は全員同程度と言うわけではなく、アスベルやマリクのアクセルモードは性能が控えめで癖が強いが、ヒューバートやパスカルやシェリアのアクセルモードは一目でわかるほどに強力かつ使いやすい物である。
      • 効果の一例を挙げると、パーティーを立て直すのが役割のシェリアは敵全体を一定時間停止させる、強力な攻撃術と味方の補助ができるパスカルは陣内の味方に鋼体や攻撃必中効果を与えるといった内容。
      • 基本的に元々の性能が低めで扱いにくいキャラほど強力な能力となっており、無印でそれなりにあったキャラ毎の格差は小さくなったと言える。
    • 全キャラともアクセル発動時に1秒間の無敵や仰け反りからの強制復帰など、強力な副次効果を得られるため、使いどころは非常に多い。
    • アクセル習得後は系譜編をクリアして本編に戻っても使用可能。隠しダンジョンでもそのまま使用でき、グレードショップで称号を引き継げば2周目以降は本編序盤から使用可能。
    • 前述の通りアクセルゲージは時間経過で増加するため、フリーランを利用することで、無双シリーズにおける所謂「赤逃げ」*7に近いことができると思われそうだが、無印から変わらずフリーラン中はCCが大きく減少するためこの手段は容易には使えない。
  • そのほかにも細かい調整がなされている。
    • 味方キャラに新しいA技、B技が追加された。
    • 敵キャラの技や秘奥義も増えており、無印で没になっていた中級、上級術も多数追加され、死にステータスに近かった「術防御」の存在意義が大幅に上がった。
    • リチャードには新たに加入機会が与えられた事で使用機会が格段に増え、技の数が大幅に増量(暴星特性の技も追加)し、秘奥義の数もアスベル達と同じ数になったり大きく改善されている。
      • リチャードは本編と系譜編で戦闘ボイスがほぼ全て差し替えられており、威圧的な印象を受ける本編と違い、穏やかな印象を受ける台詞に変わっている。
        それに伴って戦闘後の掛け合いも追加されている。中でもソフィとリチャードの掛け合いは感慨深いものになっている。
    • 既存の部分についても、敵味方ともに技の性能や、能力値、スキルや装備の性能など多くの部分が強化された。
      これにより無印では低めだった難易度が上昇し、より歯ごたえのある戦闘が楽しめるようになった。
    • 詠唱術→詠唱術の連携が可能になったため、術系キャラの戦力が大幅に底上げされ、戦闘の爽快感がさらに増した。
    • 無印では称号の習得のために必要とされる術技の使用回数が多すぎることに対して不満の声も多かったが、習得条件が見直され入手しやすくなっている。
  • リメDにもあった「なりきり」が称号として追加された。
    • コスチュームチェンジと同じく、ステータス画面で身につける。戦闘シーンのみキャラになりきり、イベントシーンや移動中は反映されない。これにより本編でも(擬似的にだが)リチャードを使えるようになった。称号取得に必要なアイテムは未来への系譜編でのみ入手可能。
  • フリーランの操作がL2+スティック操作になったことで暴発することが無くなった。

その他の評価点

  • 無印は重大なバグが多くメーカーにより修正ソフトとの無償交換が行われていたが、それに加えて細かいバグの修正が行われた。
  • コスチュームの仕様が変更され、コスチューム変更と称号育成が両立可能になった。
  • 音楽も後日談用に新曲が追加されているが、そのどれも桜庭氏の本気が窺えるような高評価を得ている曲ばかり。特に際立つのが新ボス用の戦闘曲「夢幻乱舞」、ラストダンジョンの戦闘曲「全てを賭して」であり、どちらも名曲と評判である。
    • 通常戦闘BGMと呼ぶべきものは新たに2曲追加され合計8曲となった。無印の頃は『デスティニー2』と並びシリーズ最多であったが、この追加で単独首位となった。
    • ちなみに今作は数曲だが作曲者の桜庭氏が自らピアノを担当するなどといったシリーズ初の生演奏を使用した楽曲が存在する。
    • また、既存のBGMも使用箇所が一部変更されている。終盤に訪れる研究施設のボス戦では「決戦!奮い立たせて」が「約束された闘い」に差し替えられた。一部のチャットから発生するイベントバトルにおいては、通常戦闘BGMだったものが「惑う剣」に差し替えられた。
  • イベントスキップが可能になった。グレードボーナスの早解きボーナス*8を狙う際に役に立つ。
  • グラフィックはHD用にクオリティアップしている。
    • キャラモデルに縁取りが追加されて視認性が良くなり、ソフィの前髪の長さを僅かに変更して表情変化が分かりやすくなった他、背景も一部新たな物に差し替えられている。
  • 魔法カルタの種類が増え、作品の偏りがなくなった。また、各難易度のノーミスクリア賞品に無印の予約特典だった『ヴェスペリア』のコスチューム称号が入手できるようになった。

問題点

衣装関連

  • 無印から追加された衣装がDLCなしでは数えるほどで、マリク・パスカル・ヒューバートに至っては0。リチャードも系譜編で自動的に入手出来る衣装一つだけで、他のキャラのようにサブイベントで衣装が手に入ると言ったことはない。
    新要素であるアタッチメントは本編中で3種類しか手に入らない。
    • NPCのヴィクトリアに新規で水着イベント&3Dモデルが用意されたにもかかわらずリチャードに水着衣装がないことは批判される。
    • 前作とは違い、アタッチメントは引き継ぎができないため、本編中で入手するものはストーリーを進めて再び入手しないと装備できない。
  • DLC衣装は多いが、1着当たりの値段がヴェスペリアに比べて高くなっている。
    • 一部のコスチュームは戦闘曲や戦闘後の掛け合いが変わる効果があり、中には歴代シリーズのアレンジやオリジナル曲などもある。
      • しかし戦闘曲は変えずにキャラの衣装だけを変えたいという要望も多く、仕様として痒いところに手が届いていない。
      • 次作の『エクシリア』及び『2』でもこの仕様が継承され、戦闘曲の切り替えは『ゼスティリア』まで待つ事となる。
    • ちなみにDLCは本編で入手不可能な衣装称号とアタッチメントを全て買えば14000円以上になる。

戦闘関連

  • リチャードの性能については無印に比べれば大幅に強化されたものの、それでもなお見劣りする。一周目はそれほど他と差はつかないのだが、二周目以降は称号の少なさ、隠しダンジョンでの最強武器が入手不可などの理由でステータスやスキル面で差がついてしまう。
    • ただし、やり込み要素である隠しダンジョンには本編でしか行けないため*9、リチャードを使う場合は結局のところはなりきりで使用することになる。なりきりではステータスやスキルはなりきり元のキャラクターの者が参照されるため、ステータスなどの格差については実際のところ問題視されることは少ない。
      どちらかといえば隠しダンジョンにリチャードを連れていけるようにして欲しかったという声が多い。
  • 戦闘は全体的に調整されたものの、アスベルの四葬天幻やシェリアの水蛇刀、清潤のようにほとんど使ってもらえない技がそのまま残っており、本作でも使い勝手は悪いまま。
  • ショートカット機能が追加されたが、ショートカットにセットした技のキャンセル受付時間が非常に短い。
    • 元々は味方に指示を出すためのシステムなのだが、操作キャラの技登録数を増やすために使うプレイヤーが多いため不満点として挙げられやすい。
  • 「高HPの敵を一撃で倒せるバグ」は修正されたが、別の手段で再現できてしまう。
    • 無印の方法は使えなくなったものの、新たに搭載されたアクセルモードを用いて同じことが再現できる。これは”受けたダメージを攻撃に上乗せ”という称号の装備効果を利用したもので、意図して使えばバランスブレイカーとなってしまう。

その他問題点

  • サウンドがPCM 2chのみで、5.1chサラウンドなどの音響設定が全部無くなった事は不満点として挙げられている。
    • PS3のゲームはほぼ全てのソフトがドルビーサラウンドなどに対応しており、前作のヴェスペリアでもPS3版では多くの音響設定に対応していた。
  • 原作で批判されたアニメムービーの質については、オープニングのタイトルロゴにfの文字が追加され、HD用にアプコンされただけであり肝心の作画の方については修正されていない。
  • ハードがWiiからPS3へと変更されたため当然ではあるが、DSと連動することで遊べるミニゲーム「かめにんマーチャント!」(およびそのDSiウェア版との連動要素)は削除されている。
    • 雑誌『電撃ゲームス Vol.13』掲載のインタビューによると、PSPとの連動要素として存続が検討されていたが一から作り直す必要があったため実現しなかったとのこと。

総評

「バグさえなければ…」という声を実現するのみならず、元々高かった戦闘の評価をさらに高めることに成功した作品。後日談の追加により元々人気の高かったシナリオやキャラクターがより魅力的になった、人を選ばずオススメできる良作である。
Wiiは持っていないがグレイセスに興味はあるという方が購入しても決して損をしたとは感じないだろう。


余談

  • 日本での初週売上本数は22.4万本となり、初週で無印の累計を超える好調な売上となった。累計は全世界で約100万本。(ソース
  • 海外大手ゲーム情報サイトGameTrailersの、JRPGの優れた戦闘システム TOP5を選出した特集“Top 5 JRPG Battle Systems”にて3位を取得。(2014年)
  • 「アニメワン」におけるアンケート「全てのテイルズ オブ シリーズで一番好きな作品は?(総票数4475票)」にて1位を取得。(2012年)
  • DLC売上はトップクラスに高い。さらにソフト売上との比も考慮に入れた場合、同時期の作品中では飛び抜けた高さを持つ。
  • 『ファミ通』にてRPG総選挙が開催され、選外となったものの中間発表においては『エターニア』とともに名前が挙がった。(2017年)
  • その後の展開について。
+ ※ネタバレを含む
  • 公式からドラマCD『テイルズ オブ グレイセス エフ 20XX(西暦年) Winter(またはSummer)』が発売されており、キャラクター達の日常が描写されている。ストーリー上の時期は定かではないが、ソフィの立場から察するに、未来への系譜編の中盤以降の話であることは確実。
  • 機種変更に伴う「大人の事情」によって一部内容に変更がある。
    • マリオやサムスやオプーナネタも別の名称になったりテキストが変更されている。
    • 無印の頃からポケモンが元ネタと思われるネタが存在していたが表現が間接的なためかこちらは特に変更されてない。むしろ増えている。
  • リチャードの「ともだち……ィィィイイ」の一連のシーンは無印の時点でも評価が高かった(同時にネタにもされていた)が、PS3版はより凄惨さを感じさせる演技にパワーアップしている。
  • 完全版商法もユーザーからの評判は悪いが、2010年10月10日の総合イベント“マチ★アソビ”でのユーストリーム配信にて「先に遊べるならいいじゃないですか」とバンナム広報が完全版商法を肯定する発言をし非難の声が上がった
  • 2025年1月16日*10にSwitch/PS5/PS4/XSX/One/Steamで『テイルズ オブ グレイセス エフ リマスター』が発売。
最終更新:2025年02月23日 17:37

*1 通常、秘奥義はエレスライズ中のみ解禁

*2 序盤から描写のあった暴星魔物・単粒子保全・分減保全等もフォドラにて明かされる

*3 無論、期間限定、前提条件の必要なイベントは少々ある。

*4 一応『ヴェスペリア』の時点でもかなりはっちゃけていた。

*5 むしろ普段はこれしか付けなくなるぐらいの一強状態となっている

*6 メモリーカードのデータを破損させるというもの。メーカーは「作品専用のメモカを購入してください」という対応は無いに等しい物だった

*7 体力ゲージが低下し赤くなると、必殺技を撃つためのゲージが時間経過で増加することを利用したヒットアンドアウェイ戦法。無双では雑兵からの横槍による事故なども多くあまり長時間にわたって本戦法を取ることは推奨されない

*8 プレイ時間10時間以内で次周に引き継ぐと得られる。

*9 隠しダンジョンは系譜編攻略が前提の難易度

*10 Steam版のみ2025年1月17日