遊☆戯☆王デュエルモンスターズ6 エキスパート2
【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずしっくす えきすぱーとつー】
ジャンル
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対戦型カードゲーム
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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GBA用カートリッジ
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発売元
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コナミ
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開発元
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コナミコンピュータエンタテインメントジャパン(EAST)
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発売日
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2001年12月20日
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価格
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5,800円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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前作から大幅にパワーアップ 一部のキャラに積み込み1キルを実装という暴挙
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遊☆戯☆王 関連作品リンク
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概要
遊戯王デュエルモンスターズシリーズのナンバリングタイトル6作目。
前作『DM5』に引き続き、『遊戯王オフィシャルカードゲーム デュエルモンスターズ』(以下「OCG」)の「新エキスパートルール」に完全準拠した作品となっている。
収録カードは『Labyrinth of Nightmare -悪夢の迷宮-』(2001年7月発売)までの全種類(イラスト違いを含む)、及び一部の使用不可のプロモーションカードが収録されており、全1,111種類に及ぶ。
特徴
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今作では原作「バトルシティ」編の世界観となっており、ストーリーこそ希薄なものの実際の童実野町を舞台としたマップ内にデュエリストや情報をくれるNPCが配置されている。
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カレンダーこそなくなったものの、曜日システムは健在。またゲーム進行に伴い大会が開催されるという点も同じである。
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ゲームが進むと原作にも登場したカード盗賊団「グールズ」が登場し、一般人に紛れて登場する。
グールズの面々を一通り倒すとグールズのアジトに乗り込むイベントが発生し、デッキ編成は可能だが連戦となる。連戦に勝利するとグールズの面々も通常デュエリストとして登場するようになる。本作の数少ないストーリー要素である。
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OCGルールの完全再現、カードパックの再現などの特徴は前作『DM5』と同様。そちらの記事や遊戯王OCG関連サイトなども参照のこと。
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今作よりデュエルフィールドに除外ゾーンが登場している。ちなみに本作では《霊滅術師 カイクウ》のように除外を行うカードが大幅に増えている。
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なお、『DM5』とはカードトレードが可能である。
評価点
ゲームシステムの大幅な改善
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召喚時の演出、チェーン処理などの速度が目に見えて改善。前作と比べると劇的なパワーアップを遂げており、かなり快適なプレイが可能となった。
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チェーンの選択肢の出現が必ず出現する点は変わらない。この点に関してはかなり後の作品になるまでなかなか改善されなかった。
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デュエル開始前のじゃんけんの後にL+Rボタンを押しながらデュエルに入ると常時早送りになるコマンドが実装された。Bボタンを押しっぱなしにする必要がなくなり、操作ミスなどを誘発しにくくなっている。
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フェイズ移行に関してはBボタンを押して出現するコマンドから選択する方式に統一された。
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ゲーム内のテキストに漢字表記が導入され、読みやすくなった。
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デッキ構築画面で「カード種別の絞り込み」が実装され、カードを探しやすくなった。ただデッキレシピを保存する機能はまだない。
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パスワードでのカード入手はデュエリストポイントを消費して行うようになった。パスワードの有無による難易度の格差に関しては序盤においてはかなり改善されている。
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パスワードの際にデュエリストポイントを消費するようになったことによって、前作では殆ど意味を成していなかったデュエリストポイントの役割が増えたのは改良点に挙げて良いだろう。
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ちなみにデュエリストポイントを一定数所持することが出現条件になっているパックも存在している。パスワードで先物のカードを入手するのと引き換えに、パックの出現が遅くなるという形でバランスが取られている。
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初期から獲得可能なパックが「vol.7」までに拡充された。これに上述のパスワードの仕様変更も相まって、初期段階からゲーム内で獲得可能なカードでデッキを強化出来る様になった。
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制限デュエルの登場
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種族縛りなどの制限ルールで行うデュエル大会が登場。通常とは全く異なる戦略のデュエルを行えることでマンネリを防止できることもあってか、制限デュエルの登場は概ね好評を得た。
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全てクリアすると制限・準制限カードを無視してデッキを組むことが出来る。
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やりこみ要素
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メニュー画面に行く場面で、左上に10個の黄色いアイコンがある。これは、様々な条件を達成すると、アイコンがつくようになっているので、やりこみ要素の一つになる。
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「デュエリスト全員に10勝」や、「カード全て収得」「パック全種入手」等、様々。
世界観
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マップ画面の導入、NPCの登場により、「バトルシティ」の雰囲気はかなり再現されている。
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ストーリーこそ希薄なものの、本作発売時点で登場していた原作のバトルシティ編のデュエリストは闇マリクまで含めてほぼ全て対戦可能な相手として登場している。
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キャラクターを選択してデュエルを行う…という点だけを見ればこれまでのDMシリーズとは大差はないのだが、そこに世界観を表現する要素を大幅に増強したことによってプレイヤーが受けるイメージは劇的に改善されている。
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ちなみにデュエル中にもキャラクターが原作・アニメになぞらえたセリフを喋る時がある。特定のカードの発動や召喚が条件のようだ。後述の積み込みコンボで目にする機会が多いが、他のキャラクターにも多く実装されている。
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わざわざ選択肢まで用意して「トゥーンはお好きですか?」と聞いてくるペガサスは特に印象深いところ。「YES」と答えると「ワタシも大好きデース!」と返され、「NO」と答えると「そうですか…」と残念がる。
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NPCのセリフには、「デッキの枚数は多い方が良いとは限らない」「攻撃力の高いモンスターばかりを入れたデッキが強いとは限らない」など、デッキ構築に役立つヒントが多くある。
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グールズ(後述)に警戒する人や、インセクター羽蛾に不快感を抱く人など、世界観にあったセリフも多い。
賛否両論点
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初期デッキにかなり癖がある
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初期デッキは固定の36枚(うち1枚は融合モンスター)+モンスター5枚・魔法5枚・罠5枚のいずれかが(5枚は3種類とも全て固定)入ったパックが貰える。特に《強欲な壺》や《早すぎた埋葬》が入っている魔法が頭1つ抜けて優秀。
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前作のように通常モンスターと扱いづらい魔法・罠ばかりで組まれているというわけではなく、原作で遊戯が使ったモンスターを中心としたデッキとなっており、原作ファンに取っては馴染みやすいカードで構成されたデッキとなっている。
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魔法カードが際立って強力であり、上述の5枚パックのぶんを除いても《死者蘇生》、《天使の施し》、《ブラック・ホール》といった強力なカードが目白押しとなっている。これは前後作の初期デッキには決して見られない特徴である。
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しかし、下級モンスターの数が非常に少なく、展開要員も《巨大ネズミ》以外一切居ないため非常に手札事故を起こしやすい。上級・最上級モンスターは生贄を揃えないと当然出すことができず、融合・儀式関連カードも入っているが、条件を満たせていない状態では何の役にも立たない。
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とりあえずモンスターを出すだけなら困らなかった前作と比べると、馴染みやすくはなったが使いやすさの面では少々厳しくなってしまった。
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もっとも、上述の通り魔法カードは非常に強力なので全体的なデッキパワーは決して低くない。
初期デッキでも勝負になる相手はちゃんと存在しており、最初からカードパックは「Vol.7」まで出現しており、有用なカードも数多い。下級モンスターさえ有用なものが揃えば、序盤からかなり強力なデッキを扱うことが出来る。
問題点
一部のキャラクターの積み込み
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一部のキャラクターの手札が高確率で同じものとなり、強烈なコンボを決めてくる。
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闇遊戯・海馬瀬人・孔雀舞が高確率で行ってくる他、モクバも低確率ながら海馬と同様のものを行ってくる。
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明らかに意図的な要素である証拠として、これらのコンボを行う際に相手キャラクターが専用のセリフを喋るということが挙げられる。
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当然ながらカードゲームにあるまじき仕様であり、本作最大の問題点とされる。
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しかし当時のOCGのカードプールでは、原作での実力者である上記のキャラを原作同様の実力に仕上げるのは不可能であり、その制限の中での「キャラの強さの表現」としては擁護点がないわけでもない。カードゲームとしての遊戯王とキャラゲーとしての遊戯王のゲームデザインのせめぎ合いから生じた悲劇、といえよう。
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むしろ問題なのは上記の3キャラはあろうことか初期段階でも出現することである。ゲーム開始直後の初戦で海馬と遭遇してしまい1ターンキル…ということになってしまうことも十分考えられる。デッキ構築が充実してからのゲーム後半での登場であれば、まだ評価はマシだったかもしれない。
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なお、NPCのセリフに「どうしても勝てないようであれば、勝てそうな相手を選んで…」というものがある。初期デッキではほぼ確実に勝てない相手が存在することを示唆しているセリフと取れなくもない。
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積み込みコンボの詳細
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闇遊戯
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磁石の戦士α・β・γの3体手札からを生け贄に捧げ《磁石の戦士マグネット・バルキリオン》を特殊召喚。バルキリオンの効果で3体の磁石の戦士を墓地から蘇生してバルキリオンを墓地に送る。そして死者蘇生などでバルキリオンを蘇生。《サンダー・ボルト》でプレイヤーのフィールドを一掃し、一斉攻撃で8100ダメージで1ターンキル。
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余談だが、敗北後の会話で闇遊戯の背景にこのコンボに一切関係がない《ブラック・マジシャン》が出現する演出がある。当時のカードプールで《ブラック・マジシャン》を活躍させるのは難しかったとはいえ、あんまりな扱いである。
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海馬瀬人
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除去魔法(《サンダー・ボルト》、《ハーピィの羽根帚》など)でプレイヤーのフィールドを一掃した後、《デビル・フランケン》を召喚。その効果で融合デッキより《青眼の究極竜》を特殊召喚。《巨大化》を装備して攻撃力を2倍にし、攻撃力9000となった究極竜で一撃必殺。
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低確率でモクバも使用してくる。本人曰く「兄サマに教えてもらったコンボ」とのこと。普段は最弱クラスのキャラなので、このコンボを使用してくるときとのギャップが激しい。
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孔雀舞
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《ハーピィ・レディ・SB》を召喚し、《万華鏡-華麗なる分身-》で《ハーピィ・レディ三姉妹》を特殊召喚、フィールド魔法《デザートストーム》や装備魔法《サイバー・ボンテージ》で攻撃力を増強して一斉攻撃。
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ギリギリ1ターンキルには届かないもののやはりダメージは大きい。ただし除去カードまで積み込む余裕がないためか、遊戯や海馬と比べるとまだ対処は容易。
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いずれも魔法で大量展開し戦闘ダメージで一気に勝負をつけてこようとするため、《クリボー》の手札誘発効果や、除去前のターン開始時に発動できる《和睦の使者》などでの対策が有効。
また、総じてキーカードを落とされると弱いため、手札を全て墓地に捨てさせる《手札抹殺》や当時「ハンデス三種の神器」と称された《押収》《いたずら好きな双子悪魔》《強引な番兵》でキーカードを手札から落とせれば無力化できる。 ただし、いずれにしても上記の対策カードが引けなければどうしようもなく、最初から所持しているのはこれらのうち《クリボー》だけである。
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非常識なプレイング
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行動パターンが入念に練られていないのか、CPUがおかしな行動を見せる事が多い。
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《ニュート》を絶対セットして反転召喚しない、適当すぎるタイミングの《破壊輪》はまだいい方で、《鉄の騎士 ギア・フリード》を《早すぎた埋葬》で蘇生させようとする、《王宮の勅命》が貼られている状態で魔法カードを連発してくるのは最早伝説である。
「グールズ」の問題
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ゲームが進行すると一般人に紛れて出現するようになり、強制的にデュエルとなる。敗北するとレアリティが高いカードを問答無用で奪われてしまう。
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一般人に話しかけなければ遭遇はしないが、上記のストーリーを進めるためにはどうしても戦わなければならない。
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本作はオートセーブなので敗北したあとではもう間に合わない。勝算が乏しくなった段階で電源を落とすくらいしか対処法がない。
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グールズのアジトのイベントをクリアすると通常デュエリスト扱いとして登場するようになるため、カードを奪われることもなくなる。
バグ・一部カードの処理
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一部のカード効果にバグが存在している。前作と比べると複雑な効果のカードが増えた影響か。
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相手のモンスターを《心変わり》で奪った後に《クロス・ソウル》を使った場合、相手フィールドが空であっても発動できてしまい生け贄を選べなくなって進行不能になってしまうバグは危険度が高い。
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《早すぎた埋葬》で蘇生された《クリッター》や《黒き森のウィッチ》が墓地へ送られた時、自壊した《早すぎた埋葬》までウィッチやクリッターの効果を複製してサーチ効果を2回発動できてしまう、本作のカードプールで強力デッキとなっている【エクゾディア】をさらに凶悪化させてしまうインチキ極まりない挙動を見せる事も。
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《生け贄封じの仮面》が発動している状態で相手が《キャノン・ソルジャー》を召喚してきた場合、相手がキャノン・ソルジャーの効果を発動しようとする→生け贄封じの仮面の効果で発動出来ない→再びキャノン・ソルジャーの効果を発動する→生け贄封じの仮面の…と無限ループが起きてしまい、電源を切るしか方法が無くなる。
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上記の《霊滅術師 カイクウ》がダメージを与えた場合、通常「2枚まで」モンスターを除外する事が出来るのだが、本作の場合「何枚でも」モンスターを除外する事が出来る。
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当時の遊戯王のカードプールの場合、除外したカードを墓地に戻したりフィールドに戻すカードがかなり少なかった。またそのようなカードだとしても、使いにくいカードが多かった というのも付け加えておく。
その他
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制限デュエル関連
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構築が制限されるのはプレイヤーのみであり、対戦相手となるキャラのデッキは変わらないためプレイヤー側が一方的に不利になるだけである。
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海馬や舞が相手となる制限内容が存在するため、上記の詰み込みコンボへの対策カードが減るのは純粋に厳しい。
総評
前作から大幅パワーアップを遂げたOCGルールの作品であり、発売時点では1つの到達点である。
本作のあとしばらくはまた非OCGルールの作品が続き、その後OCGルール準拠作品が主流となったあとも多すぎる歯抜け収録などで問題点が多い作品が多かったこともあり、
エキスパート2006発売までのOCG準拠の作品では本作が最高峰の完成度であるとの評価も多い。
今となってはカードプール的にも古い作品であることは否めないが、発売時点での評価として見れば十分良作に値する作品であると言える。
余談
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本作以降、ソフトに同梱されるカードのランダム封入がなくなった。ゲーム外の事項なので余談扱いではあるが、商法としては明らかに改善された点である。
ちなみに本作の4枚の特典カードは全て原作者の高橋和希描き下ろしである。なお、ゲーム内にはこれらの特典カードのデータは収録されていない。
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本作の攻略本に収録された《王家の神殿》はその強力な効果から後に禁止カードとなったのだが、2015年にエラッタ(効果が弱体化)されて使用可能になっている。
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本作を多言語対応とした『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ インターナショナル ワールドワイドエディション』が2003年4月17日に発売されている。
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海外版とも完全互換で通信対戦が可能。更にゲーム内で6ヶ国語に言語を変更できる。
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セリフやカードテキストなどの文章以外のゲーム内表記が英語に変更(例:ドローフェイズ→Draw Phase)。カードイラストも海外版のものに統一されている。
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カードのグラフィックがさり気なく「世界統一フォーマット」に変更。もっともゲーム上では攻撃力・守備力の表示位置が変わっただけだが。
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DM6で問題視されていた一部キャラの積み込みがの発生率が大幅に低下、あるいは削除された。
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海馬に関してはコンボに必要なカード数が少ないこともあってかそこそこの確率で起こる。ただその場合も全体除去カードまで引いていることはほとんどなく、初期デッキでも《攻撃の無力化》などで十分対処可能になっている。
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1年以上間が空いたために、カードプールは相対的に古いものとなってしまった。実際のカード発売から実に2年近く経っている計算になる。
このカードプールのタイムラグの大きさは以降のGBAシリーズにも引き継がれてしまい、『エキスパート3』『インターナショナル2』にも同様の問題が存在している。
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Nintendo Switch/Steamで2025年2月27日に『遊戯王 アーリーデイズコレクション』が発売。本作が収録されている。
最終更新:2025年03月01日 02:03