Wolfenstein: The New Order
【うるふぇんしゅたいん ざ にゅー おーだー】
| ジャンル | FPS |  
  
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| 対応機種 | Windows(Steam) プレイステーション4
 プレイステーション3
 Xbox One
 Xbox 360
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| 発売元 | ベセスダ・ソフトワークス | 
| 開発元 | MachineGames | 
| 発売日 | 2014年5月20日(海外) 2014年6月5日(日本)
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| 定価 | 6,080円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:Z(18才以上のみ対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 『Wolfenstein』の華麗なる帰還 昔ながらの激しい戦闘のFPS
 ステルスで倒していくのもあり
 気になるボリューム不足
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| Wolfensteinシリーズ | 
 
概要
1992年に発売され、FPSの始祖として知られる名作『Wolfenstein 3D』の2度目のリブート作。
エンジンには『DOOM 3』で使われたid tech 4の後継であるid tech 5を採用しており、よりグラフィックが一層綺麗になっている点が特徴。
なお、本作においてid Softwareは版権の管理・監修・エンジンの制作/提供のみで『Return to Castle』『Wolfenstein』同様と開発には関わっていない。
開発はid softwareと同じZenimax Media傘下であるスウェーデンのデベロッパーMachine Gamesが受け持っている。
ストーリー
1946年、史実ではすでに終了しているはずの第二次世界大戦はヨーロッパ中で激しさを増す一方だった。史実通り大戦後期以降優位に立っていた連合国軍に対して、ナチス・ドイツは「デスヘッド」の異名を取るヴィルヘルム・ストラッセ親衛隊大将が開発した謎の新・高度技術を用い、再度の逆転に成功する。デスヘッドに対し連合国軍は最後の急襲作戦を試みるがついに失敗に終わり、襲撃に参加したアメリカ人諜報員B.J.ブラスコヴィッチは頭部に重傷を負って植物人間となってしまう。
1960年のある日、ブラスコヴィッチは収容先の保護施設で処刑される寸前、奇跡的に植物状態から目覚める事になる。世界大戦に勝利したナチスが支配する悪夢のような世界で、ブラスコヴィッチの壮絶な戦いが幕を開ける。
(Wikipediaより引用)
特徴
世界観
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これまでの「第二次世界大戦中にエージェントとしてドイツ領内に潜入し、暗躍するナチスを阻止する」というスパイ映画・ファンタジー寄りの世界観から、「高い城の男」に代表される「ナチスに支配されたディストピア世界」を描くオーバーテクノロジー歴史改変SFへと変化。作中の想定年代もこれまでのシリーズで最も遅く、登場する品々もドイツ製品が順当に進化した60年代を想定したディーゼルパンク的造形で纏められている。
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第二次世界大戦は枢軸国が圧勝し、1948年にはニューヨークに核爆弾が落下され壊滅。敗戦したアメリカはナチスによる占領と深刻な経済不況によって弱体化し、対するドイツはフランスを初めとしたヨーロッパ全域とアメリカ、更には宇宙までもをその支配下に治め、極端な人種主義の下非道な行為を続けているという絶望的に不利な状況から始まる。
 
ゲームシステム
操作
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基本的なシステムは一般的なFPSと同様。
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『RtCW』同様のヘルス100/アーマー100の方式を採用。アイテムを取得することで一時的にヘルスが100を超えるが、超えた分は次第に減少し最終的に上限値の100に戻る。
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COD4後の近年のFPSにありがちな物陰に隠れての自然回復はできず、必然的に積極的な攻撃を行わなければいけないようになっている。
 
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一部武装はアキンボ(二丁持ち)が可能。ボタン1つで適宜切り替え、高い火力で敵を薙ぎ倒することができる。
ゲーム進行
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一般的なFPS同様に随時目標が示され、達成のために行動していく。
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進行はチャプター方式。ストーリーは分岐があり、序盤の選択によって終盤の展開が変化する。選択によって取得可能なアップグレードが異なる。
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主にファーガスを救うかワイアットを救うかで後のストーリー分岐があり、ワイアットを救うとアーマーの入手率を上げるアップグレード、ファーガスを救うとHPの最大値を上げるアップグレードが手に入る。
 
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一周目をクリアすると、二周目ではコレクションアイテムの取得状況を引き継いでのチャプター選択が解禁される。
 
PERK
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『Wolfenstein』のベールを継承した育成要素。隠密行動のステルス、武装のタクティカル、アキンボやタレット関連のアサルト、爆発武器のデモリションの4種の能力をアップグレードしていく。
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PERKには課題が設定されており、ゲームプレイ中にそれらの課題を達成することでPERKが解禁される。ステルス系PERKの課題内容は隠密行動であったりと、PERK傾向と課題傾向は連動している。
 
キャラクター
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ウィリアム・BJ・ブラスコヴィッチ(CV:中田譲治)
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シリーズから引き続き、本作の主人公。1946年に連合軍の大尉として仲間と共にデスヘッド基地の襲撃に試みるが、あえなく失敗。
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デスヘッド基地脱出の際に榴散弾の破片が頭の中に刺さり、14年間植物人間として施設に入院していた。
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1960年のある日、ナチス兵が施設の中で大虐殺をした日に目覚め、脱出後、クライソーサークルというレジスタンス組織に参加。
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身長は191cm、体重は111kg、年齢は1946年に34歳、1960年に49歳。
 
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アーニャ・オリヴァ(CV:木下紗華)
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本作のヒロイン。保護施設でブラスコヴィッチの看病をしていたが、1960年に施設がナチスに襲われ、両親を失ってしまう
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施設からブラスコヴィッチのおかげで脱出できたアーニャは、クライソーサークルに参加する。
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身長は170cm、体重は56kg、年齢は37歳。
 
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ヴィルヘルム・ "デスヘッド" ストラッセ(CV:青山穣)
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『RtCW』で初登場した、スキンヘッドの天才科学者。絵に描いたようなマッドサイエンティスト的言動が特徴。
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本作通してのブラスコヴィッチ因縁の相手であり、その頭脳を以って世界大戦の枢軸国勝利へ多大な貢献をした人物。
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身長は167cm、体重は48kg、年齢は100歳
 
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ファーガス・リード(CV:赤城進)
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元連合軍の中佐でスコットランド人。
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エピソード1の終わりで彼を生存することを選択した場合、アメリカの降伏後、彼はレジスタンスのメンバーとして活動する。
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面倒見のいい兄貴肌で、組織を支えている。
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逆にワイアットを生存することを選択した場合、脳みそをえぐりだされ、死亡してしまう。
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身長は173cm、体重は62kg、年齢は52歳。
 
 
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プロブスト・ワイアット3世(CV:四宮豪)
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元連合軍の新米兵士。純真で素朴な性格。正義感が強い。
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エピソード1の終わりで彼を生存することを選択した場合、アメリカの降伏後、彼もレジスタンスのメンバーとして活動する。
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音楽が好きで、Jとは良い音楽仲間である。
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逆にファーガスを生存することを選択した場合、脳みそをえぐりだされ、死亡してしまう。
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身長は183cm、体重は80kg、年齢は32歳
 
 
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キャロライン・ベッカー(CV:武田華)
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レジスタンス組織「クライソーサークル」のリーダー。
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ハンス・グロッセに背骨を打ち砕かれ、脊髄が粉々になったため車椅子に乗っている。
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ちなみに、『Wolfenstein (2009)』でも登場してるが、世界線は別のため別のキャラクターである。
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年齢は40歳。
 
 
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クラウス・クロイツ(CV:?)
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元ナチスの軍士官。家族をナチスに殺されてしまい、以後キャロラインの説得を受けレジスタンスになる。
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ある日拾ったマックスを実の子供のように可愛がっている。
 
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マックス・ハス(CV:アレックス・ソロウィッツ)
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頭部が陥没していて、障害を持っている謎多き大男。自分の名前しか話すことができない。
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話せなくてもドイツ語は理解できるようになっている。
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ある日ゴミ箱に隠れていたところにクラウスが保護した。
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自分の部屋にはたくさんのおもちゃが置いてある。
 
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セット・ロス(CV:林和良)
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ユダヤ系秘密結社「ダト・イシュード」の元エンジニア。
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ブラスコヴィッチの事を尊敬を込めてかサムソンとたまに呼ぶ。
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ベリカ収容所に収容されていたところをブラスコヴィッチが助けたのを切っ掛けに、レジスタンスとして活躍する。
 
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ボムバテ(CV:佐野康之)
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元軍人で黒人。ナチスがアフリカ大陸に攻めてきたときに何とか少し押し戻せたが、捕らえられてしまう。
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ベリカ収容所でセット、ブラスコヴィッチと脱出した後、レジスタンスに加入。
 
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フラウ・エンゲル(CV:片貝薫)
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ナチス親衛隊中佐にしてベリカ収容所の指揮官。
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子育てを評価され出世した既婚者だが、26歳のハンス"ブビ"ウィンクルを彼氏に持つ。
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命に対しての扱いが非常に悪い、いわゆるサイコパスであり、サディストである。
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ベリカ収容所からの脱走をきっかけに、顔とプライドを傷付けたブラスコヴィッチを執拗に狙い始める。
 
評価点
ステルススタイル、ランボースタイルどちらでも破綻の無いゲームバランス
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ステルスでは音を立てにくいサイレンサー付きのピストルまたはナイフで相手をテイクダウンしていき、エリア内にいるすべての司令官を倒せば警報が鳴らされず、増援が来なくてすむ。
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銃を発砲する等の音を出すまたは敵に見つかればそれが司令官であろうがなかろうが警報が鳴らされ、増援がやってきてしまいプレーヤーを苦しめる。
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ランボースタイルでは警報上等で二丁持ちで銃を撃ちまくり、敵をなぎ倒す激しいプレイスタイルとなる。
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なお、ランボースタイルでも司令官をすべて倒さなければいけない。増援は一回だけではない。
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一般的にステルス、ランボーどっちもあるゲームではゲームバランスが崩壊することが多い。実際前作の『RtCW』における問題点だった部分だが、本作では珍しく破綻がない。
 
 
深みのあるストーリー
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BJ、アーニャを筆頭とする主人公たちや、他のキャラクターが強烈な個性を光っていて、一人一人のキャラクターたちがしっかり印象に残る。
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ヴィランであるデスヘッドなどのナチスたちも強烈な個性を持ち、しっかり倒すべき絶対悪として憎しみを向けられるよう描画されている。
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キャラクターだけでなく、ストーリーも激しくも悲しい展開が続く序盤に、燃える後半といった展開もゲームをより楽しませてくれる。
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世界観も魅力を感じられるようにさまざまな楽曲が作られていて、1960年代のビートルズをパロディしたDie KaferのMond Mond Ja Ja等のたくさんの楽曲が世界観により深みを持たせてくれている。
 
 
魅力的にパワーアップした敵造形
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敵勢力となるナチスはパワードスーツにロボット、武器、航空機などの乗り物に至るまでその軍事力の多くがディーゼルパンク的なオーバーテクノロジーで構築されており、重厚な世界観を補強する魅力的なデザインとして高く評価された。
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大幅な年代と設定の変更により、多くの兵士が第二次世界大戦基準の装備だったこれまでのシリーズに比べ敵の戦闘能力も大幅に上昇。もちろんプレイヤー自身もその恩恵に預かることができ、これまで以上に激しい戦闘を楽しむことが出来る。
 
高品質なサウンドトラック
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本作のBGMはビデオゲーム作曲家として複数の賞を受賞しているミック・ゴードン氏が担当。さまざまなBGMが高クオリティな音楽に仕上がっており高い評価を得ている。
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特にタイトル画面BGMである『The New Order』や、ベリカ収容所をロボットで暴れまわるHerr Faust、ストーリー後半の重要なシーンを流れるRansacked、ラスボス戦手前の狂気を感じるPrototype等の楽曲は本作の世界観やシーンにマッチし、ゲームを一層盛り上げてくれる。
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本作のあとゴードン氏は他のid Software、MachineGames作品にかかわることになり、『Wolfenstein The Old Blood』『Wolfenstein II: The New Colossus』『DOOM (2016)』『Doom Eternal』に関わってくる。
 
 
豊富なロケーション
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プロローグの空戦や最初のステージである戦場に、警備の大きいアイゼンヴァルト刑務所やベリカ収容所、博物館兼研究所であるロンドンノーチカ、下水道に巨大な潜水艦であるU-ボート、崩れかけた橋、さらには月とさまざまなバラエティーに富んだロケーションでプレーヤーを楽しませてくれる。
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さらには後半の超巨大ロボットであるロンドンモニター戦など、見栄えの素晴らしいボス戦も評価点。
 
豊富でバラエティーに富んだ武器
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FPSで一般的であるナイフ、ハンドガンに加え、アップグレードでロケットランチャーを発射できるアサルトライフルに、アップグレードでレーザービームを発射するマークスマンライフル、連射が効くオートマチックショットガンや、エネルギー式の機関銃に、果てにはレールガンのようなレーザークラフトワーク…と武器にもさまざまな個性がある。デザインはルガーP09やStG44など実在の兵器をベースにスタイリッシュに強化されたような造形となっており、架空戦記ながら銃器ファンも納得の出来。
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武器一つ一つにもアップグレードがあり、先述したロケットランチャーに、ピストルには発砲音を小さくするサイレンサー、レーザークラフトワークにはスコープと、さまざまなアタッチメントが装着可能。
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なお、武器は機関銃以外所持数制限なく常に持ち運ぶことができ、リアル系FPSのように武器の交換や破棄の必要がない。
 
様々なアクション
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武器だけでなく、BJ自体にも様々な動きが出来、一般的なFPSの動作の他、スライディングに先述した二丁持ち、紐をつかんで滑って移動する等の様々なアクションがある。
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また、一般的なアクションにとどまらず、テイクダウン一つ取っても様々な敵のリアクションなどで、寝てる敵にナイフを刺す動きや、顔をトイレに突っ込むなどの少々笑えるものがある。
 
美しいグラフィック
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ただでさえ美しかった『DOOM 3』のid tech 4から性能を向上させたid tech 5の織りなすグラフィックは一層美しくなっている。
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中でもエピソード3の”新世界”では電車の振動に合わせて揺れるリアルなコーヒーの描写は話題になった。
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PS3/360版ではテクスチャ描写の遅れや解像度の低さ等あるものの、60fpsで固定されているフレームレートなどの快適なプレイが実現している。
 
 
質の高い日本語ローカライズ
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セックスシーンなどに規制こそあるものの、1人1人のキャラクターに声が当てられており、結果的に質の高いローカライズである。
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ファーガスやワイアット、デスヘッドなどのベテラン声優たちが演じるキャラクターはゲームのストーリーの中にプレイヤーを引き込ませてくれる。
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中でも本作の主人公、ウィリアム・ジョセフ "B.J." ブラスコヴィッチを演じ、過去には『鉄拳』の三島一八や、『ゼノブレイド』でソレアン等々を演じたベテラン声優である中田譲治氏の吹き替えの評価は非常に高い。
 
 
賛否両論点
過激なゴア表現
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ゴア表現は後の『II』にはまだ劣るが、それでも過激なゴア表現で、頭が粉々の肉片になって吹っ飛ぶ、足が引きちぎれる、脳みそをエグられる…といったグロ表現は苦手な人にはとことん厳しいだろう。
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だがそれらの要素に耐性があるのであればゲームの爽快感に直結し、過激なグロを楽しむことができる。
 
強烈なナチスによる人種差別・残虐行為の描写
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本作最大の評価点であり、同時に本作最大の問題点でもある要素。絶対的な悪として描かれ、同時に殺戮の正当性やカタルシスを生み出すことにも繋がっているナチス周辺の過激な作風だが、それ自体を苦手とする人には本作最大の欠点となり得る部分でもある。
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主な敵対勢力が魔物となるなどオカルト傾向が強く、ナチス自体が主要な敵となることがなかったリブート第1作『RtCW』『Wolfentein』の2作へ不満を抱いたファンからは、ヒトラー殺しなど強烈な反ナチ的作風を特徴とする『3D』と比較し「原点回帰を成し遂げた」と歓迎する声が多かった。
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一方で『RtCW』や『Wolfenstein』などのファンからは政治的メッセージが強すぎて、『Wolfenstein』らしさが薄れていると批判するファンも存在し、繊細に扱われるべき題材であることは確かであり、その描写の強烈さから一部の人間にはゲーム自体に悪印象を与える結果にも繋がった。
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特に序盤、ファーガスかワイアットのどちらかの死を強制的に選ばされ、選んだ相手が目の前で生体解剖される様子を見せつけられる(直接的な描写は避けられているが)という展開は非常にショッキングである。
 
散見される動物虐待要素
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『Wolfenstein 3D』でも存在し、スーパーファミコン版移植時に巨大ネズミに差し替えられるなどの措置が採られた問題要素「敵キャラクターとしての犬」が復活。装甲に身を包んだ番犬として強烈なキャラクター性を伴っているが、動物愛護の観点から抗議の声も挙がった。
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もちろん本編の強烈なシナリオに比べれば些細な部分ではあるが…。
 
マルチプレイの欠如
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近年のFPSにしては珍しく完全にシングルプレイに絞られており、マルチプレイは搭載されていない。軽視されがちなシングルプレイを作りこんだことを絶賛する声が挙がる一方、『RtCW』においてはオンラインマルチプレイが絶大な人気を伴っていたのもあり、排斥を惜しむ声も挙がった。
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インタビューに応じたMachine gamesのデザイナーTommy Tordsson Björk氏によれば「没入感が非常に高い物語体験を生み出すなら、シングルプレイだけに集中して取り組むことが唯一の方法だ。同時にマルチプレイ要素にも手を付けるとなれば、結果的にすべてを“薄める”ことになりかねず、危険なことだ」という。この姿勢はリブートの後のシリーズにも継続されることとなり、『Young Blood』までオンライン要素は排除され続けた。
 
敵のAIの出来が悪い
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敵のAIの出来は少々悪く、リアリティなどに欠ける。
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敵の視界に多少入っても「おかしいな」などと言うだけでこちらを調べようとはしない。
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だがかえって逆に出来が悪いおかげで遊びやすいという点もある。
 
問題点
気になるボリューム不足
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本作は一周クリアするのに25時間かかるが、6,000円というミドルプライスを考えると少なさが目立つ。
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ストーリーのつなぎ的な短いステージが複数あることも要因。
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別ルートクリア、色々とアイテムを集めていけばそれでもそこそこの時間になるが、それでもやりこみ要素の薄さが目立つ。
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乗り物やメカを操縦する場面もあるが、どちらもかなり短時間で終わってしまう。
 
無駄に大きいファイルサイズ
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ファイルサイズが非常に大きく、40GBというやや身の丈に合わないファイルサイズをしている。
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これは音声関係を無圧縮で保存している事や、id tech 5由来のメガテクスチャ問題などから。
 
言語関連の仕様
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音声と字幕は同一言語で固定されており、英語音声と日本語字幕の設定でプレイすることができない。
PCの様々な環境に対応しきれていない。
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本作はマルチモニター非対応であり、本作をマルチモニター環境で遊ぼうとするとデスクトップ表示がおかしくなることが頻繁にある。
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また、フレームレートの上限も60fpsに固定されており、(スペックさえ満たせば)144~240fpsは出せる高リフレッシュレート仕様のゲーミングモニターに対応しきれていないという問題も。
 
総評
既存のFPSの枠に囚われずに古典的なオールドスクールFPS要素やナチスを徹底的に殺戮する過激な作風といった『Wolfenstein 3D』で構築されたシリーズの原点に立ち返りながらも、それと同時に世界観やシステム、デザインをこれまでにない独自のものへと一新。
単なる焼き直しに留まらない新世代のリブートとして『Wolfenstein』シリーズの復活を成し遂げた作品。
作りこみや調整の行き届いたゲームプレイ、重厚なストーリー、美しいグラフィックなど単体の作品としても高いクオリティで纏まっており、新規ファン・シリーズファン双方から高い評価を得るに至った。
一度はリブートに失敗し音沙汰のなかった『Wolfenstein』シリーズも本作の成功をきっかけにして再始動。
以降過激な作風を維持しながら、本作から続く複数の続編やスピンオフが登場した。
ゴア演出や蔓延する人種差別描写など、その内容に人を選ぶ部分は多い。
しかしそれさえ受け入れられるのであれば、間違いなくおすすめできるFPSだと言えるだろう。
余談
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本作のレジスタンスの地下基地を散策すると、『Wolfenstein 3D』のタイトル画面が書かれた写真とベッドがあるが、そこで寝ると『3D』の最初のマップであるE1M1だけを遊ぶことができる。
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武器は変わらないが、敵が本家『3D』と同様2Dのスプライトで描かれていて、シークレットもしっかり完備されている。
 
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本作を制作したMachineGamesの設立自体は本作のリリースよりだいぶ前で、本作が処女作である。
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その後に本作以降の『Wolfenstein』シリーズだけでなく、『QUAKE』の新たな追加マップとして第五エピソードの制作も担当している。
 
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本作に登場するアサルトライフルには1946年の方にはAR46、1960年にはAR60とがっつり書かれてある。
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だがアサルトライフルはドイツ語で"Sturmgewehr"であり、ARはどうドイツ語で読んでもアサルトライフルにならない。
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この気にするほどでもない問題は『II』以降、アサルトライフル呼びで正式名称がSturmgewehrになる形で修正された。
 
 
その後の展開
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本作の前日譚となる『Wolfenstein: The Old Blood』が2015年5月28日にOneで、同年6月4日にPS4で発売された。
最終更新:2021年11月11日 21:30