カニノケンカ -Fight Crab-

【かにのけんか ふぁいとくらぶ】

ジャンル 3D対戦格闘アクション
対応機種 Android 5.0以降(12を除く)
iOS 10.0以降
MacOS
Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元 Android/iOS Pujia8 Limited
Switch(PKG) マスティフ
Switch(DL) カラッパゲームス
Steam PLAYISM
開発元 カラッパゲームス
発売日 Android/iOS 2021年11月18日
Switch 2020年8月20日
Steam 2020年7月30日
定価
(税込)
Android/iOS 無料(一部アイテム有料)
Switch(PKG) 4,378円
Switch(DL) 2,400円
Steam 1,980円
判定 良作
バカゲー
ポイント カニになりきり武器を使ってひっくり返せ
高い完成度と見た目のインパクト
Nussoft・カラッパゲームス海産物アクションシリーズ
甲殻王 - Ace of Seafood - カニノケンカ


ゲーム概要

『NEO AQUARIUM-甲殻王-』『Ace of Seafood』で知られるNussoft改めカラッパゲームスの海産物アクションゲーム第三弾。
今作はタイトル通りカニ(甲殻類)が主役の対戦ゲームとなっている。

物理演算で動くカニを操作し、相手をひっくり返せば勝利となる。
ハサミを使った挟み攻撃、パンチのみならず刃物や鈍器、はたまた銃やのりもの等、なんでもありのハチャメチャバトルに勝利するのだ。

2019年にアーリーアクセス(Windows)、2020年に正式リリース(Switch版)、2021年にスマホ版のダウンロード配信開始。

イントロダクション

こことは違うどこかの世界、
神に知性と力を授かったカニ達は人間の武器を奪い、地上を支配しました。
カニ達は不死身で、剣も銃でも殺すことはできません。
しかし、たった一つだけ、誰にも逆らえぬ、甲殻の掟がありました。
背を大地につけた者は負け…
そう、ケンカで逆さにひっくり返された者は屈服しなければなりません。
あなたは今、最強のカニを目指し、全てをひっくり返す旅に出るのでした。

あなたはカニです

基本ルール

  • カニの甲羅をひっくり返して「3カウント」とったら勝ち
    • カニを操作して相手のカニに攻撃を与える、ダメージを与えると体幹ゲージが蓄積してよろけやすくなる。
    • 体幹ダメージが限界になると、カニの甲羅がひっくり返ってダウンしてしまう。ようするにスマブラ×隻狼式。
    • ダウン時間で3カウントとられたら負け。ただし、カウント中に起き上がることができればカウントは戻ってセーフとなり、どちらかが3カウントとられるまで試合は続行されることになる。

ゲーム機種・ハードごとの違い

▼ Android/iOS版

  • 基本的には全て無料で遊べる
    • ただし「一部カニ及びブキが有料でロックされている」ので、カニクリスタルという名の課金方法で購入しなければならない(なお時間はかかるが、広告を視聴することにより全アイテムを無課金でアンロックすることも可能)。
  • 操作方法の簡略化
    • タッチパネルで操作するため操作方法がスマホに最適化されている。そのため、他機種版とは操作方法が根本的に異なっている。移植にあたりシステムは簡略化され一部の仕様や操作が削減された。ちなみに、ゲームパッドには非対応(昨今は非対応がほとんど)。
    • 複雑な操作(必殺技・投げる・白刃取り)もワンタッチで行えるので、操作がシンプルで分かりやすくなっている。スマホのほうが遊びやすいと言う人もいるが、そもそもスマホゲームの中では操作がトップクラスの難しさを誇る点には注意が必要。
    • 数あるスマホゲームの中でもあまりにも多すぎるボタン数でタッチパネルなのにフル3Dアクション操作を要求される特異なゲーム(実にカニノケンカらしい)。とはいえ、液晶パネルを連打するだけでも何とかなるように作られてはいる。
  • グラフィックの劣化
    • ポリゴン数の削減などによりカニのリアルさがなくなっている。
    • フレームレートは30で光源処理も省略しているがスマホゲームとしては十分きれい。そのため高負荷でありスペックも高いスマホが必要。性能が不足すると処理落ちが発生しやすくなる。
  • バランスの違い
    • 他機種とは異なる勝敗になることが多く、バランス調整にかなりの違いがある。
  • シカが使用可能、レックススカルは使用不可

▼ Switch版

  • Joy-Con(両手)2本持ち操作で、まるで体感ゲームのような直感的な操作でプレイすることができる。そのため、PC版よりは操作がしやすい。
    • Nusso氏曰く「カニとのシンクロニシティ(一体感)をより一層感じられる」とのこと。
  • キャンペーンクリア後に、Switch版限定色「ゴールド、シルバー、ブロンズ」が追加される。金属の外骨格をまとったカニはさながら甲冑を纏った騎士のよう。
  • シカは使用することができない

▼ Win(Steam)版

  • 外部作コラボとして『ごく普通の鹿のゲーム DEEEER Simulator』から「シカ」が参戦!
  • パソコンのスペック次第だが、常時60FPSでぬるぬる動き、ロード時間も短い。解像度もWQHDや4Kに対応。
  • 3Dアバター「Vroid Hub」との連携に対応、サンプルキャラや作成したアバターをカニに乗せてプレイできる。

▼ 備考
ネット対戦する場合、クロスプレイによりゲーム機種を合わせる必要がない。ただしスマホ版はスマホ同士のみの対戦しかできない。ちなみに、インディー界隈では発売後すぐに過疎により全くマッチングしなくなるゲームが多い。本作も人が少ないとはいえ、2年経過してもなおオンライン対戦が成立していること自体が意外な結果といえる。


基本システム

+ クリックで展開

ゲージ類

  • ダメージ
    • 画面下部の%で表示されている数値。
    • 攻撃を受けると増加し、それに比例して後述するよろけダメージが増えやすくなり、ダウン時の復帰がしにくくなる。
  • よろけダメージ
    • 名前部分に光る赤いゲージで表示される。
    • こちらも攻撃を受けるとゲージが伸びるが、ダメージ%に比例してゲージが伸びやすくなる。
    • ゲージが長いほど身動きを取りにくくなるが、ゲージは時間で縮んでいく。
  • スタミナ
    • 画面左右両端の武器アイコンの下に表示されているゲージ。
    • 攻撃をしたり腕に攻撃を受けると減少し、空になると武器を落としてしまう。

操作方法

※ボタン表記はSteam版(Xbox360コントローラ)準拠

  • 腕の操作(左右スティック)
    • 腕を動かす。広げながら攻撃すると威力が増す。
  • パンチ(LT、RT)
    • 基本的な攻撃方法。
    • ウデやブキに赤いエフェクトが発生し、この時相手のボディに当たった際に%ダメージとよろけダメージを与えることができる。
    • ウデや一部武器の特定部分(ハルバードの柄)などが相手のウデに当たった場合でもOK。
  • ガード(LB、RB)
    • ウデが青くなり、相手のパンチやブキ攻撃を防げる。
    • ガードしているウデに攻撃が当たった場合ダメージは0となり、そのウデのパンチとブキ攻撃の攻撃判定を一時的に消すことができる。
    • 青いウデ以外の部分にガード判定はなく、通常通りダメージを受ける。
    • 当然というべきかつかみ攻撃は防げない。
  • つかみ
    • ブキを持っておらず、相手にハサミが接触している状態でガードのボタンを押し続けると、相手を挟んで%ダメージを少しずつ与える。
  • 移動
    • 移動に関してはかなり特徴的で、「一度方向キーを押すと他の方向キーを押すまで最初の向きを保ったまま歩き続ける」というものとなっている。
    • また、同じ方向キーを二度押すとダッシュをする。ダッシュの性能はカニによってかなり異なる。
  • 旋回
    • 両側のスティックを左右同じ方向に傾けることで旋回する。
    • 一見何てことない行動だが、旋回速度が速いカニであれば旋回で勢いをつけて武器をぶつけることで攻撃の威力を上げることができる。
  • ウォールラン
    • カニによっては移動中にYボタンを押しつつ壁にダッシュすると、壁を歩くことができる。
  • 武器拾い
    • 武器を持っていない腕を武器に近づけてLB、RBを押すことで武器を拾える。
    • ステージに落ちているオブジェクト(ヤシの木や家具、果てには食べ物まで)を拾って叩きつけたり投げたりもできる。食べ物で遊んではいけません。
  • 武器捨て、武器投げ
    • X、Bボタンで武器をその場に捨てる。パンチボタンと同時押しにすることで武器を投げつけることができる。
    • シュリケンやブーメランなどの投擲武器は、敵に当たると戻ってくる。

必殺技

  • ハイパーモード
    • ダメージが蓄積するとゲージが溜まり、発動可能。一定時間以下の強化が施される。
      • よろけダメージ無効
      • 方向キー2度押しによるダッシュが方向キーを押し続けるとダッシュ継続できるようになる
      • ウォールランボタン長押しで空を飛ぶ
      • エネルギー武器へのボーナス
      • 一部のブキは、ハイパーモード中に特殊な行動を取れる。
  • また、ハイパーモード中に4種類の必殺技を出せる。
    • カニハメハ(左右スティックを同じ方向に倒しながら、LB・RB同時押しでチャージし、チャージが完了したらLT・RTを同時に押し続ける。)
      • 両手のハサミからどこかで見たことがあるビームを放つ。
      • ダメージ以上に押し出し効果が高く、狭いステージではリングアウトを狙うことも可能。
    • エンチャント(LB・RB・LT・RTを押し続けると発動する。)
      • 両腕に緑色(もしくは紫色)のオーラをまとい、パンチ及び武器攻撃が強化される。
      • 事実上スタミナ無限とも言える、単純に強力なスキル。ただし飛行ができなくなる点は注意。
    • カニタマ(移動を停止して両腕を上にキープしてチャージし、LT・RT同時押し)
      • やっぱりどこかで見たことがある巨大な光の玉を作り出し投げつける大技。
      • チャージした分だけ強化されるが、予備動作が大きく1対1の対戦ではバレやすい。2対2の乱戦では活きる。
    • カニオウケン(左右スティックを下方向に倒しながら、LB・RB同時押しでチャージし、LTかRTを押すと発動する)
      • あからさまにどこかで見たことがある赤い光をまとう自己強化技、一定時間移動速度が圧倒的に強化される。
    • カニコプター(左右スティックを左右どちらかに倒しながら、LT・RT長押しで発動。)
      • カニが高速回転する大技。一定時間入力した方向に回転し続ける。
      • うまく命中させることにより大きなダメージを与えられる。また、ウデへのスタミナダメージも非常に大きい。
      • カニの姿勢そのままで回転するため、発動タイミングによってはスタイリッシュなブレイクダンスを披露することも。

ゲームモード

  • キャンペーン
    • いわゆるステージクリア型の一人用モード。
    • 画面分割での2人協力プレイや、オンラインCOOPも可能。
    • ある程度進めると味方と戦うことができるようになり「2vs2」の場面が増えていく。
    • 明言されているストーリーはないが「強敵たちと戦いかにパルサーを目指す」というシナリオがある。ちなみにかにパルサーとはおうし座である。
    • ここで撃破した敵のカニ・ブキはショップに並び、アンロックされるので対戦モードでも使えるようになる。
    • このモード限定で、ファイトマネーを使ってカニのステータスを上げる育成要素がある*1。高難易度のクリアを目指すならレベル上げは必須。但し、このシステムも特殊で 各パラメータ数値及びレベルの上限は99だが、どちらかが99に達した時点でそれ以上の強化はできなくなる。
  • バーサス
    • オンライン・オフラインで対人戦が楽しめるモード。タッグ形式による4人対戦も可能。
    • オンライン対戦はランクマッチ、フリーマッチの双方が選べるため、仲間と集まって楽しむもよし高みを目指すもよし。オフ会向けのローカル通信(Wi-Fi)、大会向けのLAN接続も可能。
    • フリーマッチ戦に限りオンライン観戦機能も(カメラも3種類の中から切り替えが可能)。
  • トレーニング
    • サンドバッグ相手にダメージ確認やテクニックの練習が可能。スパーリングを選ぶとカニ相手の練習試合ができる(2P対戦も可)。

評価点(バカゲー要素含む)

  • 23+1種類のリアルなカニ
    • 前二作から引き続き「ズワイガニ」「アサヒガニ」「タラバガニ」は当然参戦、新規参戦で「ガザミ」「ケガニ」「モクズガニ」「ヤシガニ」「ダンジネスクラブ」「タカアシガニ」「シオマネキ」といったメジャーなカニから「エンコウガニ」「ヒシガニ」等あまり聞きなれないカニまで個性豊か。会社名の由来となった「トラフカラッパ」もアイドル枠として堂々参戦。
    • 中にはカニではない「ロブスター」「シャコ」、カニではあるが生き物ではない「メタルクラブ*2」なんていう変わり種も。
      • Steam版限定だが、甲殻類ですらないゲストキャラ「シカ」が参戦。シカが二体繋がって「鹿(カ)二(ニ)」ってか。*3
        + 問題の「シカ」
    • 一部性能被りはあるものの、23+1種類すべてのカニが性能が大きく変わり個性豊か。動かしているだけでも楽しい。
  • 48+1種類のブキ
    • ソードやカタナ、クレイモア(両手剣)、メイス、ハンマー、ランス等オーソドックスなもの、蛇腹剣やアンカーといった風変りなものから銃やドリル、パイルバンカーまで、古今東西の武器を網羅、なんでもござれな48+1種類。
    • その中でものりものとして、アザラシとスクーターが用意されている。世の中にはカニがアザラシやスクーターを乗りこなしてはいけない、という決まりはどこにもない。
      • ちなみにこのアザラシも不死身であり、どんなに攻撃を受けても一切ダメージを受けつけない。同じように、ほかの武器も破損して性能が落ちる・使えなくなるといったことはない(但しステージに落ちているオブジェを拾って使うとすぐ壊れる)。
    • 片手武器は両手にそれぞれ違う組み合わせが可能で、持たせるカニによってかなり戦術も変わる。
      • ズワイガニやガザミはスタンダードで(一部の武器を除いて)オールラウンドに扱える、軽量級のカニはジェットで軽快に飛び回れる、大型のカニはヘビーソードやグレートハンマーなどを軽々扱える、ロブスターはハサミの構えから銃の適性が高い…等々、カニとブキの相性を考えてビルドするのも勝利への近道。
  • ステージも個性豊かに10種類
    • 『甲殻王』『AOS』では基本的に海中が舞台だったが、今作は海を飛び出し都市や城内や砂漠、果てには中華料理店やスーパーマーケットで大暴れできる。もちろん海中ステージや海岸ステージもある。
    • ステージのギミックもそれぞれ異なり、ステージの特徴を活かした立ち回りができるかどうかも勝利に直結する。
    • ステージによってはリングアウトの概念もあり、吹き飛ばし力の強い鈍器や必殺技の性能が発揮される。
  • 以上の要素を踏まえて、ビジュアル面のインパクトは強い。
    • 「リアルなカニが武器を持って大暴れする」という存在感で見ているだけでも楽しめる。
    • フォトモードも搭載されており、公式イベントでフォトコンテストも開催された。
    • カラーバリエーションもいくつかあり、お気に入りの色にカニをデコレーションすることもできる。
      • 何故か蛍光色の緑や派手な紫色等、明らかに食欲が減衰しそうな色が多い。風邪の時に見る夢。
  • カニ達の激闘を彩る珠玉の楽曲
    • 楽曲は『甲殻王』『AOS』に引き続きDEKU氏が担当。意外にもおしゃれな楽曲が多かった『甲殻王』、どことなくシリアスな雰囲気の楽曲が多かった『AOS』と比べてかなりハイテンションな楽曲が増えているのが特徴。
    • 今作はボーカル入りの楽曲も2曲収録。片やかっこいいメタル調、片やエモいEDM調の名曲だが、歌詞はどちらも要約するとカニはおいしいということをひたすら歌い続けている。食わずに戦え。
      + 2曲の一方「Knight Crab」はトレーラーでも使用されている
    • スーパーマーケットで使用されている曲はDEKU氏曰く「なんとか越前をイメージした」楽曲であり、曲名もそのまま「DEATH CRIMSON」
    • 前2作で使用された楽曲のアレンジバージョンも採用されており、シリーズファンには嬉しい演出。
  • リアルなカニの挙動を再現しており、ごく一部のカニになりたい兄貴にとっては最高のゲーム。
    • 近年の流行りで物理演算で動く「カニ・シミュレーター」のようなシム系列にあたる性質も併せ持っており、リアルなカニで大暴れできる。
    • 全体的に癖が強く、独特な操作系統、重厚な挙動だが、やることはシンプルなので誰でも楽しめるようにできていること。
    • 操作に慣れさえすれば他のゲームでは味わえないような新鮮なアクション感覚を味わうことができる。その時はもう、あなたはカニです。
    • 前述のとおり、Switch版はJoy-Con2本持ちにより、まさにカニに近い操作を体感できる。
  • こんなに見た目がバカなのにとにかく作りこまれていたり奥が深いゲーム性
    • 一人用で遊んでも親切なチュートリアル、クリアごとに解禁されるアンロック要素、順当に強くなっていく相手のカニ、5段階の難易度&サバイバル・モードも搭載され、一人で遊べるやりこみ要素も充実しており遊び応えがある。
    • 「相手をひっくり返せば勝ち」というシンプルなルールだが、戦術の幅が広くカニ・ブキの組み合わせ含め自由度が高い。
    • カニを抜きにしても「ゴリゴリの物理演算を使用した剣戟チャンバラ」という類を見ない格闘ゲームであり、他の対戦ゲームとは全く違ったアクション性がある。物理演算の挙動を予測した立ち回り・戦略を考えるのも、このゲームの醍醐味といえる。
    • 本作はリアルな「刀剣シミュレーター」を再現した作品といえるが、そのようなゲームはVR専用ゲームでこそ数は多いものの特に希少なジャンルの作品といえる。
    • 不思議なことに、いわゆる格闘ゲーム特有のハメ技・永パなどが存在しない。むしろ、同じパターンは二度と再現できないという物理法則シミュレーターの鉄の掟がある。つまり、このゲームには無限のパターンがある。
    • ランクマッチでは、ある程度カニと武器の評価がはっきりしているものの、対戦相手と同等にステージの相性も影響が強い。そのため意外な組み合わせが力を発揮するケースも多々ある。
      • 例えば超重量の「グレートハンマー」はいかにも大型のカニ向けというイメージがあるが、そうでもなかったりする。実は旋回性能の高い小型のカニで振り回す(いわゆる室伏スタイル)戦法が強いなど、イメージと違った使い方を考察するのも楽しみの一つ。
  • アップデートで改善される点も多く、長期的なサポートの継続。
    • アーリーアクセス版リリース時はNusso氏もここまで対戦されると思っていなかったらしく最初こそ一部バランスに問題がであったものの、数々のアップデートを経て格闘ゲームとしてかなりの良バランスにまで洗練されてきている。
    • カニを差し置いて大暴れしていた凶暴すぎるシャコ・パンチの下方修正や、あまり強くないカニ・ブキの上方修正、ガン逃げ戦法対策のレギュレーション変更など、アップデートの内容は多岐に渡る。
    • 発売してからはしばらく鈍器の評価が低かったが、「低ダメージ時でもよろけダメージが大きく入る」という強みを得て選択肢に入るブキも多くなった。特に「バット」はダメージの悲惨さからネタ武器の烙印を押されていたものの、よろけダメージが非常に大きく「下手にダメージを与えないからハイパーを誘発せず押し倒せる」という特色が発見されて対戦環境に影響を与えることとなった。
    • 全体的には「理不尽な要素以外はアッパー修正」という方向で、プレイヤーからは最も文句の出ない改善方法といえるだろう。
    • 発売から2年近くアップデートが慣行され、対戦モードのバランスが様変わりした。
      • それまで弱すぎてネタキャラ扱いされていたカラッパ、クリスマスアカガニ、オオカイカムリ、シオマネキ等に上方修正が入り、バランスが激変した。
  • 前二作からお約束である、ところどころの細かいパロディ・ネタは健在。
    • 今作では「エクスカニバー」「水のビームを放つトライデント」「敵に当たると手元に戻ってくるジャベリン・ウォーハンマー」等、神に力と知性を授かった故か神話由来のネタが多いのが特徴。
    • 上記のとおり、ハイパースキルのほとんどがドラゴンボールネタで埋まっている。
    • 後付けとはいえ、そもそも、タイトルからしてデヴィッド・フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演の洋画『ファイト・クラブ』のパロディである。

賛否両論点

  • とにかく癖のある操作性
    • 本作はカニの動きをリアルに再現するために全ボタンと左右スティックをフルに使用するという独特すぎる操作系統を採用している。
    • 加えて、物理演算の独特な感覚にも慣れが必要である。例えば『ヒューマン・フォール・フラット』『〇〇〇シミュレーター』のような制御が非常に難しいところがあり、とっつきにくい操作感の要因となっている。カニになりきれないプレイヤーにはぎこちなく感じてしまうかもしれない。つまり、「操作に慣れるまでの我慢強さ」がプレイヤーに要求される。
    • やはり人を選ぶところがあるので「操作しにくいゲーム」や思ったとおりに動かないゲームにイライラしてしまうような人にはオススメできない。
    • 逆に言うと、うまく操作できたときは制御できないものを制御できた時に感じる一体感のような爽快感がうまれることがある。「操作しにくいゲーム」だからこそ、それを克服したときに得られる報酬は大きく、そこまでいくのに何時間かかるのかという疑問はあるが、上達すれば他にはないようなフィーリングが感じられる。
  • ステージのギミックをオフにできない。
    • ステージごとの地形やギミックの自己主張が激しすぎるため、ストレスを感じる人も。「ステージの特徴を活かす」というのが実力のひとつともいえるゲーム性なので、致し方ないともいえるが動きにくい障害物が多め。
    • 一方でプレイヤーマッチで「ステージ・ギミック無しの実力勝負がしたい」ということは不可能である。
      • 一見障害物が何もない「リング」ですら「吹き飛ばしによるリングアウトで即負け」という特性があり、純粋にテクニックで勝負というレギュレーションでは遊びにくい面がある。
  • ブキの種類が多い分、どうしても上位互換・下位互換のような関係性も存在する。
    • 刃物ではカタナがリーチ・ダメージ効率等すべてに優れており、ソードやその他片手剣の存在を食ってしまっている。
      • 一方でナイフについてはキャンペーンモード(特にRTA)で最重要武器となっており、余計ソードの存在感が薄くなってしまっている。
    • 鈍器では威力重視のガーダ、手投げ武器としても使えるウォーハンマー、ダメージの低さが強みとなっているバットに対して、メイスが器用貧乏という扱い。
    • アップデートである程度改善されている他、目立たない武器にも明確な強みもあるので使い手次第と言えるだろう。
  • 初期キャラの「ズワイガニ」が実はちょっと癖がある性能。
    • 具体的に言えば「スタンダードに近いパワータイプ」という性能で、攻撃性能は高いが移動や復帰がちょっと難アリ。
    • 人によっては「ガザミ」の方がスタンダードで扱いやすいという意見も多い。
    • ただしキャンペーンモードの攻略においてズワイガニの性能が不自由に感じるということは少なく、キャンペーンモードを攻略してからなじむカニを探しても遅くないだろう。
      • RTAでも高いパンチ性能から繰り出される攻撃のダメージ効率が非常に高く、タイムアタック適性も非常に高い。

問題点

  • カニのゲームなのにハサミでの攻撃が空気。
    • 基本的にブキを持っている状態を維持するため、ハサミ攻撃の出番が少ない。さらに、ハサミは一番弱いので素手になると「絶望的な状況」に追い込まれやすい。
  • リプレイ機能がない。
    • 見ているだけでも楽しい上に対戦がアツいゲームなので、自分のプレイを見返せないのは残念である。
    • 前々作『甲殻王』には搭載されていたため、やはりほしいところ。物理演算エンジン等の影響だろうか。
  • 密集してハイパーモード等エフェクトが重なると、視界が大変なことになる。
    • 正直なところ、画面がうるさい。うるさすぎて何をやっているのかわけがわからないことが多々ある。というかおそらく見やすくなったところでわけがわからないのは一緒な気もするが。
  • 画像調整
    • PCモニターだと画質調整をグラフィックドライバー側で調節したほうが発色が良い。彩度が高いゲームなので色を薄くしたりコンストラクトを上げないと画面が暗い。
    • スマホ版では明るさを最大にすると画面が白とびする可能性がある。さらにタッチ操作という性質上どうしても指で遮られるなど画面が見づらくなることが避けられない。

総評

前作同様、どこのだれに需要があるのか全くわからない「海産物」路線を突き進み続けた職人技。それと同時に、根本的な部分は至って真面目に調整されている。一部分では他の追随を許さないくらい作りこまれた尖った部分が持ち味。バカゲーだからといって遊ばないのはもったいないくらい良質な出来。
「カニが主役」というネタの尽きないバカゲー成分、カニ、武器、地形を組み合わせた奥深い対戦ゲーム成分がほどよく混ざり合っている。カジュアルにおバカなゲームで笑いたい層から強い相手を求めて蟹鋏腕を磨く対戦ガチ勢まで幅広い層を許容する、だれでも楽しめる作品に仕上がっている。
操作の癖の強さなどとっつきにくさはあるが、それもまた、人間から「甲殻類になるゲーム」としては必要不可欠な要素の一つと言えるだろう。見た目も中身もよく出来た、多くの対戦ゲーム好きにおすすめできる作品となっている。

あなたはカニです。


余談

  • Nusso氏のboothで今作のエンジンを流用した実験作『ケンカシムG』が有償配布されている。
    • カニではなく巨人かロボを操作し鈍器(メイス)でケンカするという、一見カニよりかはまともそうな内容だが、実際はカニの動きデータを流用したせいで体幹が弱すぎてへにゃへにゃという、物理演算ゲーム特有の問題を抱えていた。ちなみに、カニノケンカはこの問題をキャラクターを文字通り蟹化することで解決している。
  • 前二作であった「欠損」「脱皮」といった要素は今作では意図的にカットされている。
    • 今作のカニは前述通り不死身永久不滅というテーマのもと、刃物で斬られようが鈍器で殴られようが見た目的なダメージを受けることは一切ない。こういった「硬さの表現」はゲームならではの表現方法ともいえる。
  • エンディングの小ネタ
    • エンディング中のかにパルサーに吸い寄せられるシーンもギミック系武器の操作が可能であり、銃を乱射したりトライデントのビームを出し入れも可能。
    • この際軽いカニならジェットで場外の床に着陸してリングアウトで自害することもできる。やる意味はない。
    • Switch版はパッケージ版のみ、エンディングクレジットにマスティフスタッフが混じって少し尺が長くなる。
  • 「カニのゲーム」ということで、カニが名産の富山と鳥取の2か所で「e-Sports」大会が開催された。
    • 鳥取の大会はテレビニュースにも取り上げられ、Twitterトレンドにも今作が上がった。
    • また、両大会ともレギュレーションとしてシャコ使用禁止という処置が成された*4
  • 発売から間もなくテレビ番組「有吉ぃぃeeeee!」「おはスタ」で取り上げられている。
    • 「有吉ぃぃeeeee!」では初登場からちょうど1年後にまさかの再登場も果たした。
  • オンラインイベント「RTA in JAPAN 2021 SUMMER」の開催3日目にswitch版のキャンペーンモードAny%のRTAレースが行われ、3人の走者による熱いレースバトルが繰り広げられた。
    • 走者3名のうち、1名が当時のRTAの世界記録保持者で別の1名がランクマッチ上位かつ銃持ちロブスターで対戦環境を激変させたという経歴を持つ凄腕のプレイヤーが集い、解説者2名もまたランクマッチ上位という非常に豪華な布陣。
    • レース結果はロブスター使いのプレイヤーが「ハイパーを取得しない&途中からロブスターダブルリボルバーに乗り換える」という全く新しいチャートで見事1位で完走した*5
    • また、同イベントでは後のゲームで「○○ノケンカ」がミーム化*6する、カニやそれに似ているキャラが登場するたびに過剰反応される等、イベントのノリに大きな影響を与えた。
最終更新:2022年08月03日 02:44
添付ファイル

*1 強化できるパラメータは「チカラ」「タフネス」「スタミナ」「ワザ」「ハヤサ」の5種類

*2 某有名カニ料理店の看板がモチーフ。前作の艦船プラモに近い「メカ枠」。

*3 ちなみに見た目は一言でいうと「下半身同士が繋がったシカで腕(首)が伸縮する」というもの。当然ながら武器はハサミ(口)で掴んで使用可能。体の構造も無理矢理カニに似せている。

*4 ゲームバランス云々ではなく「シャコは口脚目でカニやロブスターとは別の生き物だから」とNusso氏にコメントされていた。

*5 現在はこのプレイヤーが同様のロブスター乗り換えチャートで世界記録を更新している。

*6 直後のプレイだった『AoE3』が「ヒトノケンカ」、『東方紺珠伝』が「ミコノケンカ」等。