フェノトピア
【ふぇのとぴあ】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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Nintendo Switch Windows(Steam)
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メディア
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ダウンロード
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開発元
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Cape cosmic
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発売元
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Cape cosmic (日本版)フライハイワークス
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発売日
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【Switch】 2020年11月26日 【Win】 2021年1月21日
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定価
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2,000円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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IARC: 7+
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セーブデータ
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4個
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判定
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良作
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ポイント
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メトロイドヴァニアとして高い完成度 ファンタジーの皮を被ったSF アクションの難易度は高い
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概要
Cape cosmicが開発・発売したインディーズゲームで、日本版はパブリッシャーであるFlyhigh Worksによるローカライズが行われている。原題は『Phoenotopia:Awakening』とサブタイトルが付加されている。
2021年1月21日にWindows(Steam)版が配信開始されているが、本記事では主にSwitch版について取り扱う。
ストーリー
科学文明が進歩した近未来の地球では、核兵器やロボットによる戦争が多発し、地球環境は壊滅的な打撃を受け、人類存続の危機が訪れていた。
共倒れを危惧した各国は協議の末、人工神である「フェニックス」を制作することで長きにわたる戦争に終止符がうたれた。
生き残った人々は壊された地球を元に戻すこと、および二度と同じ過ちを繰り返さないためにかつての文明・技術を全て封印し、その居住地を地下に移し長い眠りについた。
数百年の後、地球はかつての豊かな自然を取り戻し、過去の記憶を持たない新人類たちの手によって穏やかで平和な世界が再構築されていた。
辺境の村パンセロに住む少女ゲイルは家族と友人に囲まれ、幸せに暮らしていた。ある日、村の東にある遺跡に1つの隕石が降ってきた。
村の子供たちとともに隕石を探しに向かった帰り道、突如謎の円盤が空から現れ、村に残っていた大人達はみんな攫われてしまった。
今や最年長となったゲイルはパンセロ代表として、大人達を救出すべくバット1本を片手に単身で世界へと旅立つ。
システムと特徴
2Dのドットで描かれた横スクロールアクションアドベンチャー
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制作陣が参考にしたゲームとして「リンクの冒険」「メトロイドシリーズ」を挙げており、実際に本作はリンクの冒険をベースに従来のゼルダシリーズとメトロイドシリーズのシステムを形を変えて盛り込んだようなものとなっている。
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フィールドマップではリンクの冒険と同じ敵が定期的にリホップし、接触すると戦闘マップに移動する。敵の生死を問わずマップから出れば戦闘は終了する。
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村やダンジョンではジャンプを主とした各種アクションを使った探索がメインとなり、隠し通路や頭を使った仕掛け、ちょっとしたミニゲームも豊富。
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NPCもダンジョン、村問わずたくさんいる。彼らから情報を得たり取引をしたり、はたまた戦闘することでゲームが進行していく。
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オートセーブには対応しておらず、各所に配置された記録の書を利用することでセーブできる。ゲームオーバーになった場合は最後にセーブした箇所からやり直しになる。
多数のアクションで時には腕を、時には頭を使いダンジョンを探索する
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ダンジョンはメトロイドシリーズを彷彿とさせる複雑さ。複数の分岐点はもちろん、ヒビの入った壁や見えにくいが通り抜けられる穴があったり、持ち運びできる足場やon-offスイッチも多数仕掛けられている。
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ゲイルは初めのうちはジャンプとダッシュしかできないが、ゲームを進めることで遠くの仕掛けを作動出来るパチンコ、壁やブロックを爆破できるボム、壁に刺して足場に出来るスピアなどを入手し、行動可能範囲がどんどん広がっていく。
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本作はゼルダの伝説よろしく順番通りにスイッチを踏んだり、敵を利用したり正しい曲を奏でたりといった謎解きが満載。
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狭い足場をくぐったり仕掛けの攻撃をかわしながら進んだり、敵に見つからないようスニーキングする必要のある場面もあり、アクションゲームとしては相応の腕を要求される。
様々な武器、アイテムを駆使した戦闘
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ゲイルの基本装備はバットであり、近接武器として攻撃したり敵の弾を撃ち返して反撃したりできる。また、ボタンを押しっぱなしにすることで強力なチャージ攻撃を放つことも可能。
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迂闊に近寄れない敵に対してはパチンコやクロスボウ、ボムといった遠距離武器を使ってダメージを与えていくことになる。
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バットや服は上位の性能を持つものを手に入れ、装備し直すことで攻撃力と防御力を強化できる。
料理によるHP回復と有限なスタミナを管理しての戦闘
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ゲイルのステータスのうち「HP」と「スタミナ」はそれぞれダンジョンや街に落ちている「ハートルビー」「スタミナジェル」をとることで最大値を増やせる。
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HPは0になると倒れてしまうため、ダンジョンや戦闘中に適宜回復する必要がある。回復アイテムは街で買える食べ物の他、道中で拾った木の実や敵からドロップした肉をそのまま、あるいは火にかけて「料理」したものを食べることでHPを回復する。
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火はダンジョンの中にもたびたび配置されており、料理することで回復アイテムの性能をアップさせられる。ダンジョン内のモンスターには素材をドロップするものもいるため、ある程度は現地調達することも可能。もちろん基本的にはあらかじめ料理した食料を街から大量に持ち込むことが前提となる。
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食料は一部を除き、摂取に数秒の時間を要する。食べている間は隙だらけとなるため、敵のいないところで食べるかボスの隙をついて回復する必要がある。このため、少ない摂取時間で多くのHPを回復できる食料が重宝する。
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本作はジャンプを除き攻撃・ダッシュを含むほとんどのアクションでスタミナを消費する。したがって適当に攻撃しているとすぐにスタミナ切れを起こし、回避もままならなくなるためスタミナの管理が重要となる。スタミナは一定時間使用しなければ時間経過で回復していく。
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裏を返せばスタミナさえあればボムやクロスボウは使い放題であり、ゼルダシリーズやメトロイドシリーズと違って弾切れの心配はない。謎解きは何度でもやり直すことが出来る。
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一部の食料はスタミナの現在値を回復したり回復速度を上げたりできる。
多数の寄り道や隠し要素
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本作にはクリアに必須ではないマップやダンジョンが多数仕込まれており、同じくサブイベント用のアイテムも大量に存在する。
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あくまでクリアに必須ではないだけで、ゲイルが新しい特技を習得したり、ハートルビーなどステータス強化アイテム、あるいは最強装備の入手に必要なアイテムが手に入ったりと決して実利がないわけではない。寄り道すればその後の冒険も楽になると言える。
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上記の通り新しいアイテムを手に入れる度に今まで見えていたのに行けなかったところに行けるようになるため、すでに踏破したダンジョンも再度探索する意義がある。
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射的やフリーラン、パズルダンジョンといった遊び要素も満載であり、またこれらはステータスや装備強化にもつながるため決して無駄ではない。プレイヤーが興味の向くままに寄り道することができる。
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Switch版にも実績システムの代用であるバッジがあり、倒した敵の数や集めたアイテムの数によってバッジをもらえる。中には「4時間以内に最後のセーブポイントに到達する」「HPとスタミナを一度も強化せずに初期設定された難易度でゲームをクリアする」などRTAや縛りプレイに該当するバッジもある。
細かく調節できる難易度設定
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本作の難易度は高めに設定されており、ある程度アクションゲームに慣れた人でも手強く感じるレベルである。救済措置として、メニューの詳細設定から細かい設定を変更することで難易度を落とすことができる。
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「スタミナの消費量が減り、回復速度が速くなる」「被弾時の無敵発生が早くなる」など細かい部分で難易度を下げられるものもあれば、「攻撃にスタミナを消費しなくなる」「メニューから直接飲食出来る(=食料摂取を0秒で行える)」などゲームのシステムを根幹から易化させる設定も含まれており、これらをプレイヤーが個別に設定可能。難しいと感じたら難易度を下げて遊び事ができる。
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難易度を下げて遊ぶことによる弊害はほぼない(上記の縛りプレイ向けバッジがとれなくなるだけ)。
評価点
メトロイドヴァニアとして高い完成度をもった2D探索ゲーム
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概要にもある通りアイテムでプレイヤーを強化し、未知のダンジョンを少しずつ探索していくゲームとしてはバランス良く細部まで作り込まれており、屈指の出来を誇る。
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洞窟、遺跡はもちろんのこと、近現代の設定を生かしたラボ、城などダンジョンの種類も豊富で、その都度新たな仕掛けが加わるためプレイヤーを飽きさせない。もちろん、ダンジョン踏破の目的そのものもとってつけたものではなく、シナリオの進行によく合っている。
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仕掛けも後半になるにつれ複雑化していき、試行錯誤が必要となる場面が増えてくる。これを見越してか、ダンジョンでの敵の配置数は少ないか、あるいは倒すとしばらくはマップを切り替えてもリホップしないようになっており、過度に謎解きの邪魔をしないよう工夫されている。
必ず攻略法の存在するボス戦
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ボスはみな雑魚敵とは一線を画する強さであり、一見すると避けようがない攻撃を多彩かつ連続で仕掛けてくる。しかしいずれの攻撃にも固有の予備動作で予測できたり、安置があったり隙があったり、あるいは先んじて攻撃することで行動を阻害出来たりするなど攻略法が必ず仕込まれている。
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その攻略法も直前のダンジョンにヒントを教えてくれる人がいたり、あるいはほぼ同じ弱点を持つ雑魚敵を配置してあるなど気づかせようとする工夫がみられる。
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このため、初めのうちは敵の攻撃を避けきれずジリ貧になって負けてしまうも、何度も敵の攻撃を受けているうちに対処法がつかめるようになってくることで勝利をものに出来るようになる。アクションの腕や回復アイテムによるゴリ押しももちろん必要だが、プレイヤーの観察力次第では大幅に難易度を下げることができ、これがボスの弱点を見つけようとするモチベーションにつながる。
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諦めずに再挑戦していれば上達を実感出来るようになっており、実際には絶妙なバランスが丁寧に組まれていることがわかる。
ドット絵による美しいグラフィック
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ドット絵が非常に細かく丁寧に描かれており、特に背景は遠くの地形まで細部にわたって綺麗に描かれている。高地からは絶景を拝むことも出来、ゲームの世界に入り込みやすくすることに成功している。
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道ばたのオブジェクトや家屋も細かいところまで描写されており、色彩も鮮やか。
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丁寧すぎるグラフィック故にプレイヤーが介入出来るオブジェクトがどれなのかわかりづらくなっている部分もあるが、これについても「近づけば『!』が頭上に出る」「仄かに光らせる」ことでそこに何かあることを教えようとする工夫はみられている。
生き生きと描かれるキャラクター達
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特に主人公のゲイルに関しては一つ一つの動作まで細かくアクションが作り込まれており、その仕草やリアクションを見ているだけでも楽しい。ベッドから起き上がる動作だけで何十枚も使っている。
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掛け声や合いの手のみだがボイスもついており、首をかしげる動作など色んな仕草も可愛い。また、選択肢は単純な「はい/いいえ」ではなく会話形式になっており、その会話内容からゲイル自身が勝ち気で実直な性格をしていることが窺え、ゲイルに個性と愛着を持たせている(プレイヤーの選択肢にもよるが)。挑発的な選択肢も存在。「は?」
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ゲイルの装備を変更するとしっかりグラフィックに反映される。美容師に頼めば髪の色を染めて自由に変えることも可能。驚くことに髪の色はメインシナリオ攻略のために最低でも1回は変える必要がある。
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その他のキャラクターも掛け声のボイスがあったり笑ったり驚いたり、固有のアクションを取る者も多い。モブもみんな一癖も二癖もある連中ばかりで、ただのお使いイベントですら飽きさせない。
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ほとんどのNPCは会話が2種類用意されており、続けて話しかけると台詞が変わる。中には2回目に話しかけた時のみアイテムをくれたり依頼をしたりするNPCもいるため、話しかける楽しみも2倍。
多数の収拾要素とサブイベント、サブダンジョンによるやりこみ要素
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ハートルビー、スタミナジェルの取得率はセーブデータ選択画面で表示される。また、集めると良いことがある「ルーンストーン」を初めとした収拾アイテムも多数盛り込まれており、ゲームをクリアしても世界各地でアイテム集めをするやり込みが可能。
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上記3つのアイテムについては数が膨大であるためか、ゲーム終盤にとある場所で利用出来るようになる占い師を利用するとある程度までだが取得のためのヒントをくれる。
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ただゲームをクリアするだけなら一度も入らずに済むマップも沢山あり、中には初見だと見落としてしまうような隠しマップもある。これらを探索し尽くすこともまたやりこみの一つである。
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NPCとのサブイベントも大量に用意されており、シナリオを進行させると今まで何も頼まなかった人が新たに依頼をくれることもざら。
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一部のNPCはその後の展開や別のイベント、果てはエンディングの描写にまで影響を与える。
世界観を重視したゲーム設計
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シナリオ、グラフィック、BGM全てがフェノトピア独特の世界観を演出するために構成されて、上手く調和されている。2Dアクションで探索を行わせつつ、フェノトピアの世界を臨場感を持って味わえる。
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ネタバレ注意
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特にゲイルに関しては上記の通り実に「人間らしく」「生き生きとして」描かれており、これは彼女の正体を知った際により衝撃を受け、さらにその後の彼女の選択に説得力を持たせるよう意図的に強調されているともとれる。
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レトロゲーマーには嬉しいオマージュ要素
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そもそものベースが『リンクの冒険』と『メトロイド』であり、これらのゲームあるいはそれに類似したゲームをプレイしたことのある人ならにやりとする要素が多数仕込まれている。
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そもそも「隕石が落ちた日にティーンエイジャーが1人でバット1つを持って食べ物で回復しながら旅に出る」…この時点でとあるゲームの影響を強く受けていることがすぐわかる。
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クロスボウ(弓矢)、ボム、笛(楽器)はゼルダシリーズですっかりお馴染みのアイテム。ところどころにいる鶏をいじめすぎると…。
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ゲームオーバーした際の台詞は「やられちゃった…」。ちなみに制作陣は『洞窟物語』の影響も受けたと語っている。
賛否両論点
人を選ぶほどに難易度が高い
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スタミナ管理、時間のかかるHP回復、オートセーブ無しと昨今の2Dアクションゲームとは思えないほど制約が強く、初期設定でプレイするとこれらの設定にストレスを感じる人が一定数いることは否めない。
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また、謎解きもヒントが乏しかったりわかりにくい部分もあり、次にどこへ行って何をしたらいいのかわからなくなることもままある。
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詳細設定で一部の難易度は下げられるが、次に向かうべき場所や謎解きのギミックをゲーム内で追加で知るすべはない。このため謎解きが解けない場合はそこでゲームが詰んでしまう。
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また、ギミックがわかったところで狭い足場を物を持って渡る必要があったり巧みに足場を構成する必要があったり、敵の猛攻をかわしながら進む場面があったりとアクションそのものの難易度が高い場面もある。ダメージは回復アイテムで強引に突破出来るが、アクション面はプレイヤーが自分の腕で解決するしかない。
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特に笛を使った謎解きは非常に難しく、そのマップ内にヒントがあるとも限らない。知名度の問題からか攻略サイトも少なく、自力で解けない場合はスルーして先に進むしかない。幸いそういう場所はお金の入った宝箱かハートルビー、スタミナジェムのどちらかであるため攻略必須アイテムが取れないといったことはない。
街にいるNPCから情報を得ないと目的地や謎解きの答えがわからない
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街で何気なく歩いている人が重大なヒントをくれるというのが日常茶飯事であり、迷ったら町中の人に総当たりで聞き込みをするのが当たり前。
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会話を通じてゲームの世界に溶け込みたいプレイヤーにはむしろ嬉しい要素であるが、逆にさっさと先に進みたい人にとっては面倒でストレスを感じる要素でしかない。
デスペナルティはないが、救済措置もない
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ゲームオーバーになっても最後にセーブした地点からやり直しになるだけで、アイテムの消滅やステータス劣化などのペナルティはない。代わりに敵が弱くなったりこちらが強化されたりといった救済措置もないため、難易度を極限に下げても敵に勝てないのであればプレイヤーが自分の腕で突破しなければならない。
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寄り道して良質な回復アイテムをそろえたり、最大HPやスタミナを強化することも可能だが、それでも微々たるものであり、実際にはボスの攻撃を見極める観察力の方が大事になる。
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ただし中盤以降は大きく難易度を易化させられるアイテムも入手できるため、寄り道することで突破出来る機会がないわけではない。
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つまるところ、何度も死んで攻略パターンをつかむことが前提な「死に覚えゲー」の要素があり、これも人を選ぶ一因となっている。
問題点
マップが広大なのにショートカットが面倒
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移動が基本的に徒歩しかなく、かつて訪れた街に戻ろうとするとかなりの移動時間を要し、プレイヤーの気力が削がれる。サブイベントでは今まで通った街への移動を頻繁に要求されるため、面倒になりがち。
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ここは制作側も想定していたのか、世界各地にワープセンターや地下道が張り巡らされており、これらを利用することで移動のストレスを緩和させようとしている。
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しかしワープセンターの利用には収集アイテムである「ルーンストーン」が一定数必要。このため、ショートカットを作成するために世界各地を徒歩でまわってルーンストーンを確保する必要があるという本末転倒な状況になっている。
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地下道も入り口がダンジョン内部にあることが多く、結局双方のダンジョンを攻略していないと使用出来ない。
ストーリーが完結しない
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原題である『Phoenotopia:Awakening』からある程度は想像がつくかもしれないが、本作はフェノトピアという壮大なストーリーにおける序章に過ぎない。このため、本作で語られる多くの謎、あるいは成すべき事は最後までプレイしても解決しない点が多い。
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特に一部の課題は続編ありきで構成されており、ほとんど触れられないまま終わってしまう。これは作中でもほぼ触れられないまま話が進むため、最後までプレイして肩すかしをくらったプレイヤーもいるだろう。
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ネタバレ注意
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本作ではフェニックスとゲイルを中心に話が進み、世界の真実にたどり着いた時点で終わってしまう。冒頭に書かれている「攫われた大人達」は
本作を最後までプレイしても救われない。
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一応、収集率を100%にすることでエンディングに1枚絵が追加され、ゲイルの双子が別の世界で活躍することが示唆される。しかしゲーム単体で話が解決しておらず、前置きにもそれがないことは消化不良を招きやすい。
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総評
綿密かつ丁寧に設計されたメトロイドヴァニアであり、2D探索ゲームとしては文句なしの秀作。ゲームの世界に溶け込み、住民と触れ合いつつまだ見ぬ地を求めて冒険していき、その過程で世界の秘密が明らかになる。本作はこの臨場感とワクワクさを十二分に満たしてくれること請け合いである。
一方で、アクションゲームとしての難易度が高いこと、難易度設定はあるものの完全ではなく、人によっては詰みポイントが出来てしまうなどメトロイドヴァニアとしての悪い部分も持っており、万人がクリアできるゲームではないこともまた事実である。
また、本作で明かされる部分だけを見たシナリオは実に良く出来ているが、それだけに本作のみで完結していない点も気になるところ。
移動や探索を半ば強制している部分もあり、これらの要素から楽しいと感じる人と苦痛と感じる人がはっきりと二分化されやすい。
謎解き、探索、街の人とお喋り、手強い戦闘とアクションを好むのであれば本作は限りなくマッチしており、必ず応えてくれる。
逆に探索に時間をかけたくなかったり、適当に攻撃を振ってサクサク進めたいと考えたり、RPGにおける町の人からの情報収集をめんどうだと感じてしまう人は、本作をプレイしても苦痛に感じる場面の方が多いかもしれない。
メトロイドヴァニア系のゲームに慣れているか、上記にあげた点に馴染めるかどうかが、手に取る際の判断材料になるだろう。
最終更新:2022年04月15日 15:32