とらいあんぐるハート

【とらいあんぐるはーと】

ジャンル 学園純愛アドベンチャー
対応機種 Windows 95/98
発売元 JANIS
発売日 1998年12月18日(初版)
定価 8,800円(税別)
レーティング アダルトゲーム
配信 2008年2月18日/1,380円(税別)
判定 なし
ポイント 萌え恋愛ゲームの原型
「魔法少女リリカルなのは」シリーズの『原型の原型』
続編の展開は進化か迷走か


概要

株式会社アポロンクリエイト(現在はスペースプロジェクト)の所属ブランド、JANISによって発売されたアダルトゲーム。ただしアポロンは販売会社であるため、実開発は別ブランドのivoryによる下請けとなっている。キャラクターデザイン及びシナリオ(1作目は原画も担当)は都築真紀。
いわゆる学園モノ。

あらすじ

主人公、相川真一郎は童顔で背が低いのが悩みの男子学生。ハクをつけるために空手をやったり突っ張ったりしていたが、幼馴染の女の子2人と平和な学校生活を送っていた。
しかし季節は2年めの冬。無為に過ごすのもいいけど、何かもっと熱中できることを…或いは恋など…探すのもいいかもしれない。そう真一郎は思うのだった。

特徴

  • 公式ゲームコンセプトは「王子様と結ばれたプリンセスのその後」(公式ホームページより一部改変)。
    • つまり「恋人同士になったらハイおしまい」というわけではなく、恋人同士になってからの2人のあり方にも注力したシナリオ構成になっている。
      • 例えば、付き合い始めたらガラっと性格変わるとか、秘密を共有するようになってより愛が深まるとかいう具合となる。
  • 人間離れした要素を持ったヒロインが多い無茶な世界観。
    • 忍者の国家資格持ち*1やら学生に扮した非合法組織のエージェントやら、挙句の果てには吸血鬼*2と地縛霊が出て来る。
      • しかも後述の続編ではそういった超常的な要素がより濃くなっている。
      • ただし、単なる受け狙い的なものとして設定されているとは限らず、主人公とヒロインがより深い仲になったことを示す指標として、上記の恋愛要素の特徴ときっちり絡ませている物もある。
      • といっても、あらすじで挙げたような当たり障りのない導入とはギャップが激しいのも確かである。

評価点

  • 恋愛ゲームとしてはエロシーンの回数が多め。
    • 当時は「オカズ」でもない恋愛ゲーはエロシーンが1回限りの場合が多かった。
    • 2000年代あたりから、純愛ゲーでも恋人としての期間を長めに設けての複数回エロシーンを入れるゲームが増えてきたが(『ショコラ』など)本作はそれらの要素を先取りしていた。
      その意味では今日の恋愛ゲームのパイオニアとしての功績がある、と言える。
  • システムはオーソドックスで、学校の中を移動してお目当てのヒロインを探して交流を深めていく形である。
    • ただし遠い先祖の『同級生』シリーズや直近の『To Heart』とは違いどこに誰がいるかは一目瞭然のため、ゲームとしてはかなり親切になっている。
    • ちなみにこの女の子の居場所が表示されるシステム、DDWS(誰がどこにいるか分かっちゃうシステム)という名前だそうである。

問題点

  • 謎のパートボイス。
    • 女性キャラは声優が当てているが、何故かエロシーンも含めた一部だけ。日常シーンはあったりなかったりで安定していない。ただし続編からはフルボイスとなった。
    • 当時はエロゲ声優が出始めて約一年という時期に当たる。
  • 特定の状況では話がループするなどの、ゲーム進行に関わるバグが存在する。
    • 後に配布された修正パッチで解決した。
  • あくまでバッドエンドだが陵辱シーンがある。
  • 初期のCD-ROMには没になったヒロイン事故死エンドのテキストが混ざっており、当時のユーザーを騒然とさせた。当然ながら現在手に入るDVD版には混入されていない。
    • アンサイクロペディアとニコニコ大百科に没テキスト全文が掲載されている。しかしシャレにならない内容なので閲覧する場合は覚悟が必要である。

総評

当時における恋愛ゲームの状況を見れば、単なる「『なのは』の元ネタ」という括りに当てはまるものではない。
今日の萌えゲーにおけるスタンダードを98年の時点である程度備え持っていた、ということで『ONE ~輝く季節へ~』と並ぶ価値があるだろう。


余談

元々は主人公とメイン級ヒロイン2人との三角関係が主軸のストーリーになるはずだったが、路線変更により没となった。タイトルの「とらいあんぐる」は当初のシナリオの名残りである。

現在は後述するスピンオフ作品『魔法少女リリカルなのは』シリーズ*3に知名度の面で負けており、『桃太郎電鉄』に対する『桃太郎伝説』や、『ぷよぷよ』に対する『魔導物語』と類似した立場におかれている。*4
また、その『リリカルなのは』シリーズも、「シリーズの原点はエロゲーだが派生作品で非エロゲーとなった」という部分においては、のちの『Fateシリーズ』にも通ずる部分もある。

続編

とらいあんぐるハート2 さざなみ女子寮

1999年7月30日に発売。続編であるが舞台は本作の約2年前にあたる。
登場人物の人間離れは1より進行しているが、攻略対象ヒロインと攻略しなかったヒロインとの横の繋がりが描き出されたシナリオ構成も見所の一つといえる。

後に1の登場人物を絡めたおまけシナリオを収録した『ラブラブおもちゃ箱』が発売された。
OVA(18禁)も出されたが、エロゲのOVAにありがちな「ヒロインとっかえひっかえでH」という内容だったために、都築が直接介入して作り直され、それ以前の展開がなかったことにされた。

とらいあんぐるハート3 Sweet songs forever

2000年12月8日に発売。1の約7年後が舞台。シリーズの完結編として出された。
恋愛というより家族愛も含めた広範な愛情の描写がなされている。一方ではバトル物の路線が濃くなっている。OVA(2のものと違いこちらは一般向けで、本編のアフター)ではそっちの展開がより露骨となっている。

アニメにもなったネタ『魔法少女リリカルなのは』は元々このとらハ3における嘘予告であったが、ファンディスク『リリカルおもちゃ箱』で本当に長編ストーリーとして収録され、それが設定を改変しつつテレビアニメとなった。
ただし、アニメ以後と以前では主人公「高町なのは」のキャラクター自体に大幅な差異がある。以下は参考資料

とらいあんぐるハート1・2・3 DVD EDITION

2002年6月14日に発売された。シリーズの本編とファンディスク2枚、及び書き下ろしのおまけシナリオを、最終作のシステムエンジンに統一してDVD1枚に収録している。
ファンディスクのミニゲームこそ収録していないものの、とらハシリーズのシナリオ全てが詰まった決定版的存在。

また、2007年にはDVD版に準拠した内容で、本編3本がダウンロード販売にてバラ売りされた。

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最終更新:2020年12月22日 11:37

*1 ただしRPG的な忍者のように超常的な能力を持つわけではなく、特殊な戦闘技能等を身につけているという意味である。

*2 といってもいわゆるドラキュラとは縁もゆかりもないが、いちおう広義ではそう呼んで差し支えないだろう。

*3 無印とA'sでは原作者欄に開発社である「ivory」があるが、以降の作品(StrikerS、Vivid、Force)ではその会社が行方不明になった影響か原作者欄に表記されていない。

*4 最近ではリリなのがとらいあんぐるハートから由来している事をアピールすることは極めて少なく、原作由来のキャラも高町なのは以外はほとんど出ていない。「リリカルおもちゃ箱」キャラであるクロノ・ハラオウンも「StrikerS」では登場回数が激減、「Vivid」と「Force」では2019年現在全く出ていない。