F1レース

【えふわんれーす】

ジャンル レース
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
HAL研究所
発売日 1984年11月2日
定価 4,500円
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント 現実のF1では未だ実現していない時速497km/h


概要

1984年11月に任天堂が発売したレースゲーム。
ファミコン草創期の任天堂ソフトを象徴するような「現実で行われている名称をそのままタイトルに採用した」無印系タイトルゲームの1本(他には『ベースボール』『麻雀』など)。

画面構成などは1982年からアーケードで稼働開始したナムコのレースゲーム『ポールポジション』を意識したような作りになっている。


内容

  • その名の通りF1のレースゲームだが順位などはなく、走れば走るほどにスコアを獲得し、ハイスコアを目指すゲーム性。視点は常に自分のマシンを後ろから見た格好になっている。
    • コースは全10パターン用意されており、レベルによりスタートするコースが変わり、そこから5つのコースで行う。
      • レベル1(コース1~5)
        レベル2(コース3~7)
        レベル3(コース6~10)
        いずれのレベルでも、画面に表示されるコースナンバーは常に1~5である*1
    • コース毎にタイムが与えられ、それが尽きるとまるでガス欠のように強制的に減速されはじめ完全に止まったところでゲームオーバー。
    • 基本的に2周し、1周するとタイムが回復し2周目でゴールとなる。
      タイムが尽きて強制減速されても止まる前にゴールに達すればセーフ扱いで完走、または新しいタイム付与と同時に再度加速できるようになる。
      ナムコの『ポールポジション』と違って完走時残りタイムが得点に換算されることはない。
      • 最終コースとなる5コース目では2周目が終わってもゴールにはならずタイムが続く限りエンドレスに走ることになる。
        ただし「周回するごとに付与されるタイム」は周回数が増すごとに少なくなるので、いつかはタイムが尽きて止まりゲームオーバーとなる。
  • マシンは「LOW」「HI」の2段変速で、「LOW」はスタートの加速は良いが最高速が低く223km/hまで。
    • 「HI」にすると150km/h~380km/hあたりまではグングン加速するが、それを過ぎると再び鈍り始める。
      だが416km/hに達すると497km/hまで一気にグングン加速するようになる。これを「ハイパーターボ化」という。
      この状態は単に速度が増すだけでなくグリップ性能も向上し、普通のカーブ如きなら、減速の必要もなくあっさり回りきることができる(ハイパーターボ化していないと350km/h程度でもスリップする)。
      一度でもこの状態にしてしまえば以後はのっけからこの状態になっており300km/h台などアッという間に振り切って496km/h前後に達するようになる。
  • ライバルのマシンやコース脇のポールに衝突すると大爆発する。
    • とはいえあれほどハデな爆発をしているわりには単なるタイムロスでしかなく、爆発が終わったら新しいマシンで再開する。
      • とどのつまりライバルのマシンは単なる障害物でしかない。

評価点

  • BGMはタイトルと、コース披露とゲームオーバーの3種類しかないがいずれも低音が重厚に響く男性的なイメージ。
    • このようなゲームにはよく似合っている。
  • ファミコン草創期ながら背景までそれなりによく描かれている。また昼や夜など時間まで表現されている。
    • 基本的にただのお飾り部分なので、あまり意識する必要もない部分
  • ハイパーターボ時の快感。
    • 急に「ウォウウウゥーー」と甲高いエンジン音とともにコーナーも高速でスイスイ走破する様は快感そのもの。
      • 慣れるまで相当難しいので出せた時の快感もまたひとしお。
    • 因みに、当時のF1は最高でも330km/h程度であった。
      350km/hを初めて突破したのは1988年、400km/h超えは2006年の話なので現在の基準から見てもとんだオーバースペックである。497km/hとなればもはやドラッグレース並で現在でも達したことはない。
    • モデルと思われるナムコの『ポールポジション』は標準速で300km/h超程度、最高でも320km/h程度と現実のF1に即していただけに本作ならではの持ち味と言えるだろう。
  • バランスの取れた構成。
    • 10コース全部をプレーできない点には不満もあるだろうが、やはりそこは上記ハイパーターボのやりにくさなども考慮して、それぞれレベルという形で無難に取れている。

問題点

  • コース脇に障害物のポールが立っているのはF1レースとしては不自然。
    • 普通にコース外のラフゾーンではスピードが落ちるので、それで十分ではないだろうか?
    • 同様の問題は1988年に発売されたナムコの『ファミリーサーキット』などでもある。
  • いくらタイムを残そうがスコアに反映されない。
    • タイムオーバーによる減速中のすべり込みギリギリセーフによる残りタイム0だろうが、ハイパーターボでタイム30以上残していようが得点に反映されない。
    • そのためハイスコアを取るのは「最終コースをできるだけ長く走る」という点に限られ、それまでのコース完走時では均一な得点にしかならない。

総評

スピードを体感するゲームとしては、当時アーケードで体感できた『ポールポジション』を家庭でできるようになったといったところ。だが本作ならではのハイパーターボのスピード感は当時唯一無二の魅力に間違いないだろう。
反面スコアの概念が距離のみで、早くゴールしても(タイムを多く残しても)意味がないのはゲームの根幹で見るとスコアの固定化につながっておりスコアアタックの幅を狭めてしまっている。


余談

  • 任天堂は1987年10月にディスクファクスイベントを絡めて展開した『ファミコングランプリ F1レース』が発売された。同じタイトルが付いているが、こちらは本作との繋がりはなく内容もまったく異なる。
    • こちらは開発を任天堂自身ですべて行っている。むしろ、その続編『ファミコングランプリII 3Dホットラリー』の方が本作とスタイルが近いし、こちらも開発は任天堂とHAL研究所コンビで行っている。
  • 1990年11月9日に任天堂からゲームボーイ向けに『F1レース*2を発売している。こちらも開発・販売共に任天堂が行っている。
    • 本作と同じタイトル名で更に疑似3D方式のレースゲームではあるが、移植や続編ではなくシステム的には本作とほぼ別物となっている。
  • どこかで見たようなコースも見られる。
    • No5は富士スピードウェイ*3を左右反転させたようなコース、No.6(レベル2のコース4、レベル3のコース1)は後に日本でグランプリが行われるようになった鈴鹿サーキットに類似したコースになっている。
  • 実機では実現不可能、あるいは存在しない「創作技」を多数登場させた漫画『ファミコンロッキー』の第1話に取り上げられたのが本作である。
    • 作中ではライバルのハイパーターボ化でピンチに陥るのだが、そこで主人公が1秒間にアクセルボタンを50連打する事によって加速に加速が加わり、マシンが音速を超えて逆転勝利する。当然、こんな裏技は実在しないし、そもそも実現不可能である。
    • 作者は当初はハイパーターボ化を決め手とした内容でネームを書いたものの担当編集者に「地味」だとダメ出しを喰らい、実在しない派手な創作技を「ゲームで出せなくても漫画なら出せる」という担当の案で盛り込む事になり、このような内容になったと言う。
  • 「F1」が商標登録であるためか、本作品は「バーチャルコンソール」等では復刻されていない。
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  • HAL研究所

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最終更新:2023年11月17日 14:45

*1 例えばレベル2はコース3でスタートだが、画面表示では「No.1」表記。

*2 厳密にはタイトルロゴでは『F★1レース』となっており、Fと1の間に★マークが付く。

*3 当時のコース。現在はコーナーが増やされたことで目立ってレイアウトが変わっている