Grand Prix Racer

【ぐらんぷりれーさー】

Sports Car Racer 3D

【すぽーつかーれーさーすりーでぃー】

Sports Car Racer On Line

【すぽーつかーれーさーおんらいん】

Grand Prix Racing

【ぐらんぷりれーしんぐ/ぐらんぷりれーす】

Grand Prix Racing On Line

【ぐらんぷりれーしんぐおんらいん】

Grand Prix Racing PS4 & PS5

【ぐらんぷりれーしんぐぴーえすふぉーあんどぴーえすふぁいぶ】

ジャンル レース
Steamより
Xboxクリエイターズコレクションより
ニンテンドーeShopより
対応機種 Android 4.4以降
App Store iOS 10.9以降
iPadOS 10.9以降
Steam
itch.io
Windows
Macintosh
CS機 Xbox One
Nintendo Switch
プレイステーション4
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 下記以外 Pix Arts
PS4 Benoit Varasse trading as Pix Arts
発売日 Android/iOS 2019年
One 2019年2月2日
itch.io 2019年10月26日
Steam 2020年7月30日
Switch 2021年5月13日
PS4 2022年2月11日
定価
(税10%込)
Android/iOS 基本無料(※アイテム課金制)
One 470円
itch.io 4.99USD
Steam 512円
Switch 599円
PS4 55円
プレイ人数 オフライン 1人
オンライン 1〜8人
セーブデータ 下記以外 1箇所・オートセーブ方式
Switch 作成不可
オンライン 下記以外 対応(ランキング、対戦)
SwItch/PS4 オフライン専用
レーティング 下記以外 IARC:3歳以上対象
PS4(初期) CERO:A(全年齢対象)
備考 共通 日本語非対応
PS4 クロスバイ非対応
判定 下記以外 クソゲー
Switch/PS4 クソゲー
劣化ゲー
ポイント 共通 何も操作しなくてもアクセル全開
馬鹿で破茶滅茶なCPU
使用可能車種など一応光る点はある
Switch/PS4 一部機能削除で一層不便に
相変わらずセーブ不可能なSwitch版
まさかの定価55円のPS4版



High speed doesn't always means victory.
「ハイスピードレースゲーム」



概要

2018年に設立された、ウェブ系コンテンツとダウンロード専売ゲームを手掛けるアメリカカリフォルニア州に本社を構えるインディーズメーカー「Pix Arts」から発売されたレースゲーム。例に漏れずゲームエンジンにはUnityを採用しており、起動時にもUnityを使用して制作されたロゴが堂々と表示される。

大まかなゲーム内容としては、12車種から好きな車種を選び、1周約1分20秒ほどのサーキットを3周で駆け抜けていくというもの。

例に漏れず『Switch版』に限り説明文に独自の日本語訳が採用されているが、相当端折られた翻訳となってしまっている。
この部分は『PS4版』では直訳の「高速で走ることが勝利を意味するとは限らない。」となっているものの、この場合ニュアンスを汲んで意訳すれば「速さは必ずしも"勝利"を意味しない。」となる。


タイトル名

Pix Arts製ゲーム全般に言えることだが、本作も例に漏れず、ゲーム内容には細かな差異しかないのにもかかわらず、提供プラットフォームごとにタイトルが大幅に異なっている点が特徴である。名称は以下の通り。

Android 『Grand Prix Racer』
App Store
(iOS,iPadOS)
『Sports Car Racer 3D』
itch.io配信版 『Sports Car Racer On Line』
Xbox Online,Switch 『Grand Prix Racing』
Steam配信版 『Grand Prix Racing On Line』
PS4(PS5) 『Grand Prix Racing PS4 & PS5』

注意点

  • 『PS4版』には『PS4 & PS5』とタイトルに記載されているが、あくまで「PS5がPS4ソフトの後方互換を有する」点を指すもので『ファイナルソード』などとは異なりPS5版が別途用意されていると言う意味ではない点に注意。またクロスバイにも対応していないため、PS4とPS5のどちらでもプレイしたい場合はハードごとで別途購入しなければならない点にも注意。

特徴

使用可能車種
今作で使用可能車種は12車種。実在する車種にどことなく似ているものばかり。

  • メルセデスベンツ・SL55AMG風
  • マツダ・RX-7(FD3S)風
  • フォード・マスタング(Gen5)風
  • 日産・GT-R風
  • レクサス・LFA風
  • フォード・マスタング(Gen6)風
  • ランボルギーニ・ガヤルド風
  • フォード・GT(Gen1)風
  • エンツォ・フェラーリ風
  • ラ・フェラーリ風
  • ランボルギーニ・ムルシエラゴ風
  • ブガッティ・ヴェイロン風

Android及びiOS版について

基本無料のアイテム課金の体型をとっているため、他のどの移植とも異なる内容となっている。以下は相違点である。

  • 最初から使える車は一台も無く、どれか必ず購入しなければレースに出場すらできない。初期所持CREDITSは1000であるため、いきなり高性能な車が購入できないようになっている。
  • 海外製の基本無料ゲーム故、レース開始の度に動画広告が入る。これは「NO ADS」を1.99USDで購入すれば表示されなくなる。
  • 動画広告視聴の項目があり、これを最後まで再生すると、50CREDITSを獲得できる。
+ 価格表
車種 必要CREDITS
ゲーム内通貨で購入するアイテム
メルセデスベンツ・SL55AMG風 800
マツダ・RX-7(FD3S)風 1000
フォード・マスタング(Gen5)風 1500
日産・GT-R風 1750
レクサス・LFA風 2000
フォード・マスタング(Gen6)風 2500
ランボルギーニ・ガヤルド風 3000
フォード・GT(Gen1)風 3500
エンツォ・フェラーリ風 4000
ラ・フェラーリ風 4500
ランボルギーニ・ムルシエラゴ風 5000
ブガッティ・ヴェイロン風 6000
項目 価格
リアルマネーの課金項目
NO ADS(広告消し) 1.99USD
+1000 Credits 1.99USD
+2500 Credits 3.99USD
+5000 Credits 5.99USD
+10000 Credits 9.99USD
+25000 Credits 19.99USD

問題点

インターフェース

  • ゲームを開始すると、お馴染みのメーカーロゴすら表示されないまま、Unityを使用した旨のロゴが表示された後に、突然車種選択画面に飛ばされる。
    • 『Switch版』ではUnityのロゴすら出ずにいきなりレースに放り出されてしまうため、初見では何が起こったか分からず間違いなく戸惑うだろう。
  • コンシューマ機の場合、十字ボタンが使えない形でアナログスティックの使用を強制されているのにもかかわらず、キーアサインの変更は不可能。

レース中

  • レース中に表示される情報は「各種メニュー」「現在のラップ数」「経過時間」の3つのみ。スピードメーターやコースマップの表示は無く、車内視点でもメーター類が全く動かないため、現在の速度や回転数を確認することが完全に不可能である。
    • ラップタイムや自己ベストタイムは内部で記録されている筈なのに、リアルタイムでは表示されない。
  • 視点切り替え機能はあるが後方確認ができないため、現在どの辺りに車が接近しているのかが確認できない。また、車内視点のバックミラーも当然機能していない。
  • エンジン音などのSEがBGMと比べてあまりにも大きい。そのうえBGMとSEの音量調整自体は不可能である。一方で、車内視点とボンネット視点にすると、急にSEがまるで聞こえないくらいに小さくなってしまう。

操作体系

  • カジュアル路線も目指したせいか、操作は「ステアリング」「プレーキ」の2つのみ。アクセル操作はなんと「ブレーキを押していない間はずっとアクセル踏みっぱなし」である。つまりアクセルの調整そのものができないということである。
    • これの何が悪いかと言えば、アクオフやパーシャルを活用して速度を調整しながらコーナーを攻めたりすることができないと言うことである。ブレーキを操作すればアクセルオフ状態になることに加えて、ステアリング操作に応じて減速する仕様があるため、これを代わりにしろとも解釈できなくはないが。
      • カウントダウンが終わる前までは、他車含めて車が何故か宙に浮いており、カウントが終わった瞬間に着地する。なんらかの苦肉の策であることが窺えるが、当然真相は闇の中である。
  • 音で7速分(全車種共通)シフトチェンジしていることがわかるのにもかかわらず、MT(マニュアル)が実装されていない。そのため、自分でシフトチェンジができない。

「Device(CPU)」もお馬鹿

  • 今作のCPUには一律「Device」と言う名前が与えられている。この挙動や速さ自体はプレイヤーと似たり寄ったりで車の性能に沿ったもの、強いて言えば自車よりやや遅い相違点があるくらいなのだが、問題なのはそこではなくCPUのAI。
    • 率直に言ってしまうとお馬鹿。頻繁にコースアウトをし、壁に激突して派手にぶっ飛び、他車を豪快に巻き込んでクラッシュすることが当たり前のように発生する。
    • 上記のおかげでレースゲームがさほど得意でないプレイヤーでも「操縦性の良い車種を扱えば」比較的簡単に1位を取れてしまう。誇張抜きに集団クラッシュなどのせいで寧ろ2,3位を狙う方が難しいほどであるため、『PS4版』のトロフィー獲得における最大の壁として立ちはだかる。

テンポの悪さ

  • 3周完走するとゴールではあるが、ゴールしても他のCPUが全員完走するまではレースが終わらないため、テンポが悪くなってしまっている。そのままレースを抜け出すと途中棄権と扱われ、その時のレースが全てなかったことにされてしまう。
    • ゴール後はウイニングランをモチーフとしているのか、一定速度以上出せなくなり、速度超過した場合はその速度まで強制減速されるが、自動運転にならず、以後も自分で操作するスタイルとなっている。また、なぜかゴール後も4周目としてラップ数にカウントされるミスも。

ゲーム内通貨

  • 今作にはゲーム内通貨と言う概念が存在している。その名もズバリ「CREDITS」である…のだが、入手する手段がただひたすらレースに勝利するしかなく、その額も1位で150CREDITSと走行時間を鑑みれば少ない方である。
    • 『Android/iOS版』は最初に車種を購入する概念があるため、好きな車種を使いたいのであれば、後述の課金をするか、地道にレース(とビデオ広告視聴)をして稼がなければならず、時間的な意味でも高いハードルとして立ちはだかる。ゲーム内課金である程度解決できるものの、他の移植版にはそうしたものは一切無く、賞金の入手額が増えると言う代替措置も無いため、(無料版より必要ないとは言え)手間が掛かる一方である。
    • それ以外の有料版では最初から全車種選択可能であるため、チューニング(?)の必要性の無い内容を考慮すれば一転して実質空気になる。

実質空気なチューニング(?)

  • 申し訳程度のチューニング(?)機能が設けられており、「Max Speed(最高速)」「Acceleration(加速力)」「ABS(ブレーキ性能?)」の3項目をCREDITSを使って増加することができる。
    • しかし、元々からスピンしやすい車の挙動をマイルドにすると言ったチューニング(?)は不可能であったり、CPUの事故っぷり故に体感できないものとなってしまっている。そのため、基本はチューニングのことを考えるくらいなら素直にテクニックを磨いた方がよっぽど良い。
    • 「Max Speed」の上に「Weight(車重)」の項目もあるが、こちらは調整不可能であり、これによる効果は不明。こちらから知る術もない。
      • なお、公式ではこの概念をどう扱っているかは全く説明が無く曖昧になっているため、当記事では便宣上「チューニング(?)」としている点は留意。

単調なコース

  • コースは自分から選択できないのにもかかわらず、毎回変わる仕様。しかも変わると言っても数パターン程度しかなく、そのどれもが似たり寄ったりなもので風景が目まぐるしく変わるということもない。
    • コースレイアウトも単調そのもので、直角的でパターン化できそうなレイアウトである。その割に全長は普通に走って1分15秒で完走するレベルとそれなりに長いため、単調さに拍車を掛けてしまっている。
      • 一方で、ピットインの概念自体がないのにピットレーンに入れ、しかもそこを通るときちんと速度制限が掛かる、と言う妙なところで無駄に手が込んでいる箇所も。

劣化移植のSwitch/PS4版

  • 名前の変更ボックスが削除され、一律「Player」に固定されてしまった。
  • 初期所持CREDITSが1000から100に大幅減少した。
  • レース中のUIが微妙ながらも支障をきたすレベルに改悪されており、影の描写とBGMとSEのオンオフ機能が削除されてしまっているため、この設定が車種選択画面でしかできなくなってしまった。
  • Pix Arts製ゲームでおなじみだが、基本的な仕様自体は変わらないのにもかかわらず、『Switch版』に限りセーブが一切できない。そのため今までに稼いだクレジットやチューン状況が完全にリセットされてしまうため、車をフルチューンコンプリートする、と言ったことが全くできない。結果、完全にプレーするだけ無駄となってしまっている。

賛否両論点

物理演算に沿った挙動

  • Unityを使用したゲームに相応しく重めの挙動となっており、少なくとも車を操縦している感覚になれる程度には問題は見受けられない。壊滅的な操作性を期待したらある意味肩透かしを喰らうレベルには素直である。
    • ただし、対接触判定にも中途半端に物理演算から来る挙動が入ってくるため、壁や車同士とぶつかった際に豪快に吹っ飛んだり横転してしまう。そのため、CPUが密集している中で走行していれば、飛躍的にクラッシュに巻き込まれやすくなると言う意味でもある。

オンライン要素

  • CPU含めて車体上部辺りに「アットマークの付いたユーザーネーム」が一体になっている仕様からもわかる通り、今作ではオンラインプレーが実装されている。オンラインバトルの場合、マッチングが終わるまでは「トレーニング」と称したフリー走行となる。
    • しかし本作の劣悪な完成度は既に周知の事実である模様で、オンラインは常に閑古鳥が鳴く始末でマッチングは全く期待できない。さらにプレイヤーが少なければ必然ではあるものの、簡単にランキング上位にだって行けてしまう。結局無駄な機能と判断されたのか、『Switch版』『PS4版』では完全に廃止となり、1人プレー専用となった。

評価点

一応ゲームとしては成立している

  • 問題点からも分かる通り、無事に完走すること自体は可能。少なくともCPUが全く動かなかったり、スタート直後にすぐゴール、なんて言うことは起こらない。
  • プレイヤーが使用可能な車種として12車種が収録されている。しかも車種性能で差別化が図られているため「どれも同じ」と言う水増しにならないようにはなっており、更に全車種で異なる車内視点も用意されている。
    • これによる恩恵は無きに等しいとは言え、この点に限れば今作では数少ない純粋な評価点にはなる。
  • 一応、操作説明がハードごとのボタンに対応する形で用意されている。ただしハンドル操作とブレーキにアサインされているボタンは、レース開始時だけしか表示されない。

ハマり防止措置

  • 逆走したり、壁に嵌りスタックしてしばらく経過すると『マリオカート』のジュゲムよろしく正しい進行方向へ無理矢理戻される機能が搭載されている。
    • これはCPUにも適用されるため、少なくとも続行不能に陥ってしまうことは無い。

総評

車種以外は時代錯誤と断ずるレベルのボリュームの薄さに加えて、クレジットで車種性能を向上させるチューニング(?)も使い物にならないなど、どれも蛇足と言っていい未完成ぶりであるため、今作から楽しみを見出すことは不可能に等しいことは確かと言える。

しかしながら、開発中のゲームをそのまま市場に送り出してしまったような内容ながらも、世界最凶の(レース)ゲームとは異なり、ライバルカーはきちんと動くうえで完走も可能、更に車種も選べて車内視点まで用意されている点からも、一応はレースゲームとしては成立している。しかし、古今東西問わずレースゲームは他にもいくらでもあるため、いわゆる物好きでもない限りは他をあたるべきであることに変わりはない。


余談

アセットフリップ

  • 本作もやはりと言うべきかアセットフリップであることが有志の調査で発覚してしまっている。いずれもアセットはUnity Asset Storeで購入可能である。以下は有志による調査報告動画(※音量注意)の内容から引用。
    • コースは110USDで販売されている「Race Track Generator」で作成されたコースをそのまま使用している。このジェネレーターは「マウスひとつ(紹介文より)」で完成されたコースを一瞬で作成できると言うものであり、本来ならば、そのうえでその他3Dモデルを付け足して装飾を施したり、コース上の道路や看板などを別のテクスチャに替えて改造していくものである。
      • しかし、Pix Artsがアセットに手を加える事は殆ど無く、本作においてもコース上の広告がそのままになっている点などが動かぬ証拠となっている。
    • 車種も同様であり、それぞれ154USDで販売されている複数の「30 Fantastic Race Cars Pack」から流用されている。こちらは内装までもが最初から用意されている車のアセットパックである。上記のカーナビからもわかる通り、もちろんこれも手を加えられていない。

PS4版における謎の価格設定

  • 『PS4版』に限り、定価がなんと破格の55円となっている。先方の他機種版や他のPix Arts社製タイトルが500円前後である中で、どう言う訳かダウンロード専売タイトルでもまずお目に掛かれない価格に設定されているため、今もなお価格設定ミス説が囁かれるほど。
    • 他のPix Arts製PS4配信タイトルにも同じく55円で販売されているタイトルが『Space Invasion』『Galagi Shooter』の2種類存在しているため、仮に意図して55円に設定していたとしても、管理がガバガバと邪推されても仕方ないだろう。完成度の惨憺たる低さから皮肉で「55円でようやく価格相応」と評されることもしばしば。

「Benoit Varasse trading as Pix Arts」

  • PS4版をはじめ、原作のiPad版(Varasse Benoit名義)に記載されている謎の名義ではあるが、2つのFacebookが確認出来ている。「trading as(〜と言う商号を使用している)」からもPix Artsの代表と思われる(※参考リンク)。
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最終更新:2024年04月15日 15:38