バルトロン
【ばるとろん】
ジャンル
|
シューティング
|
|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
発売元
|
東映動画
|
開発元
|
ショウエイシステム ベアーズ
|
発売日
|
1986年3月19日
|
定価
|
4,900円
|
プレイ人数
|
1人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
比較的地味なシューティング 自由度が高く特殊武器やワープも完備
|
概要
1986年3月に東映動画が発売したシューティングゲーム。
2人プレイは交互なのでゲーム自身は1人用である。
典型的な横スクロールシューティングでパワーアップなどは無いが、サブウェポンを搭載し、後戻りも可能など自由度は高い。
タイトルの「バルトロン」とは敵の名前であり主人公では無い。
1980年のアーケードゲーム『ディフェンダー』をモデルとして作られている。
ストーリー
宇宙歴2999年、銀河系の果てにある地球に似た「レニオン星」に地球人は移住していたが、そこに強大な軍事力を持つ「ピスマーク帝国」が地球征服の足掛かりとするべく侵略の手を伸ばしてきた。
ピスマーク帝国はそのために前線基地をレニオン星に建設し、最強の兵器「バルトロン」を設置した。地球を守るためには、バルトロンが動き出す前にその基地を破壊しなければならない。
地球防衛軍は、最後の希望とも言える銀河系最速のスターシップ「ジストリアス」を発進させた。
内容
-
横スクロールのシューティングで8方向操作が可能。
-
攻撃はAボタンで行い、空中弾と地上弾を同時に発射する方式で、地上弾は1発ずつで着弾するまで次の発射はできないが空中弾は連射可能(画面内では2発まで)。
-
Bボタンを押しながら十字ボタンと複合で使用。
-
下でワープ(進行方向に向かって道中を飛ばして一気に進める)。
-
上でフラッシュボンバー(画面内の敵を全滅させる)。
-
左右なら今の進行方向と逆を押すことで進行方向を反転。
-
スピードは画面の進行方向(前)寄りの側にいると速くなり、反対側(後)だと遅くなる。
-
ただしラスボスのバルトロンが登場するステージだけは速度が固定であり、また方向転換も出来ないようになっている。
-
エネルギーは燃料のような位置付けになっており、移動時間で徐々に消費され、ワープやフラッシュボンバーを使うのにも一定量が必要。
-
それらが使用可能な状況であればハイスコア表示の下に「☆WARP」「:FLASH」が点灯している。
-
飛行によるエネルギー消費は時間のみなので、スピードが遅い後方にいると燃費が悪くなる。
-
発射台から打ち上げられる青カプセルを取ればエネルギーが補給され、黄カプセルならバリアーとなり一定時間無敵になる。
-
発射台にせよカプセルにせよ、自機の弾が有効で破壊できてしまうので注意が必要。発射台にぶつかってもやられてしまう。
評価点
-
スタンダードなシューティングながら、特殊武器や自在なワープなどこの当時のゲームの中でもオリジナリティがある。
-
実際シューティングの代表格である『グラディウス』にしても『スターソルジャー』にしてもワープは隠しアイテムや、条件を満たすことで発動するのみでしかない。
-
また、当時のスクロールは一方通行でシューティングなのに後戻りができるというのも高い自由度につながっている。
-
一歩間違えばパワーアップアイテムが破壊できてしまうというのも、やたらめったら撃ちまくればいいという単調さもある程度は排している。
-
画面上部のレーダーで早めに敵を察知できる。
-
これにより適切にポジショニングを取って迎撃しやすい。
-
難易度も過剰なものではなく、初心者でも楽しめる程度。
-
この当時はまだ容量が少なく、長く楽しませるために敢えて高難度設定のゲームが多かった。
-
実際上記のような変則的なことをしなくても、普通に撃っているだけでも充分クリアー可能なレベル。
-
残機が最初から5機もあるので、初心者にやさしい配慮になっている。
-
BGMがチープな割には、背景はこの当時にしては細かい部分までよく描かれている。
-
また、ワープ時のアニメーションがファミコン初期にしてはかなり凝っている。
問題点
-
自機の操作性自体は良いものの、スピードが画面上での前後のポジショニング依存ということもあって攻撃回避などで前後するだけでスピードまで変化してしまう。
それによって不必要な時でも画面の移動速度が変化するので想定外なことが起きやすいし目が疲れる。そのため、あまり前後移動したくなくなる。
-
また反転すると、それまでの後ろが前になるので、急に速くなるためやられやすい。
-
当時のゲームらしくハイスコアを狙うのが大目的なのだが、特にボーナスも無いのでじっくり稼ぐしかない。
-
当時のシューティングではボーナス要素は欠かせなかったので物足りなさがある。
-
BGMが少々チープすぎる。
-
雰囲気を壊すようなものではないが、クオリティ自体は1年ほど前のレベルでしかなく1986年のゲームとしては見劣りする。
-
ラスボス「バルトロン」のグラフィックがラスボスらしい威厳が感じられない。
-
コアを破壊していくスタイルはこれまでにもあり、コア以外は背景扱いという例はこれまでもあったが、タコの足のような触手っぽい曲線ばかりで最終兵器という感がまるで無い。
-
上記の通り背景自体のクオリティが良いこともあって、肝心なラスボスがこれでは勿体ない。
-
またバルトロン戦ではポーズを掛ける事が出来ない。これは恐らく弾幕への対処としてポーズを連打されるのを防ぐ為だと思われるが、バルトロン戦の最中に来客が来よう物なら悲惨な事に。
総評
グラフィックやBGM、効果音は当時のファミコンにしてもチープで、まるで1年ほど前のクオリティだが、ゲーム自体は特におかしな挙動も無く、操作性も良く敵キャラクターのバリエーションもそれなりに多いなど一定の水準は満たせており、目立った致命的なバグもない。
また、パワーアップこそ無いものの特殊武器やワープなどもあり、一本調子のような展開になることもない。同時に後戻りもできることもあって、自由度も高められている。
余談
-
発売・東映動画、開発・ショウエイシステムは、後に言わずと知れた「北斗現る所クソゲー在り」の伝説や『スケバン刑事III』などを作り上げたコンビである。
-
そのため、本作自体の出来は悪くないが、クソゲーのように扱われてしまうこともある不憫な一面がある。
-
また「自機の位置取りでスピードが変化」「エネルギー消費がスピードと関係なく時間のみ」というシステムも、メーカーは違うが半年後に発売された稀代のクソゲー『ゴーストバスターズ』と共通していることもクソゲー視される一因と思われる。
-
なお本作のデザイナーは後に『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』の隠しメッセージで有名になる「なかじまかおる」氏である(参照)。
最終更新:2023年09月11日 03:32