ダイノキングバトル 太古からの漂流者
【だいのきんぐばとる たいこからのひょうりゅうしゃ】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | タイトー(現:スクウェア・エニックス) | 
| 開発元 | SKONEC、NETDOL | 
| 発売日 | 2006年8月24日 | 
| 価格 | 4,800円(税別) | 
| レーティング | CERO:全年齢対象 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ボリュームと物語の説明不足が目立つ 運要素が強く感じられる
 セガの類似作の劣化版気味
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概要
タイトーのキッズカードゲーム(子供向けTCAG)『ダイノキングバトル』のニンテンドーDSへの移植版。
カードの恐竜達と仲間になり、南海の島を冒険する。
ルールの面では『甲虫王者ムシキング』や『古代王者 恐竜キング』と共通する点が多い。
ストーリー
南海の島に異常事態が発生していたため、オオシマ博士やタクヤ・アキとその仲間のロボット・ナノが調査に向かう。
その島では恐竜たちがタイムスリップによって現れていた。
調査に向かうオオシマ博士とタクヤたちだが、博士はダイノハンターにさらわれてしまう。タクヤとアキは博士の救出の為、島を冒険する。
特徴
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恐竜を召喚する「恐竜カード」とわざを覚えさせて強化する「スキルカード」を組み合わせてデッキを作り、強化した恐竜で対戦を行う。
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カードは対戦の度に手に入る他、後述する恐竜の巣やクイズでも手に入る。
 
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恐竜カードはパワー・テクニック・タイプ・後述する「必殺わざ」が設定されており、これでステータスが決まる。
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パワーは1000から500まで100刻みで設定されており、6段階ある。これが高いと体力と攻撃力が大きくなる。
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テクニックはパワーが高いと低くなり、このテクニックが高いとスキルカードの効果が大きくなる。
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タイプはステータスに補正がかからない「ノーマル型」・体力が少し高くなる代わりに攻撃力が少し低くなる「ディフェンス型」・攻撃力が少し高くなる代わりに体力が少し低くなる「アタック型」、攻撃力がかなり高くなる代わりに体力がかなり低くなる「超アタック型」がある。
 
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スキルカードは恐竜に攻撃わざを覚えさせて攻撃力・体力を上げるカードと、仲間を呼んで手助けをしてもらう「Tスキル」がある。
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「Tスキル」には特定の攻撃スキル系カードと一体化している「ハイパーTスキル」がある。
 
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対戦は『甲虫王者ムシキング』や『古代王者恐竜キング』のようにじゃんけんで行い、じゃんけんに勝った方が攻撃を行い、最終的に自分の恐竜の体力がなくなると負けとなる。
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恐竜ごとに必殺わざが1つ設定されており、この手は他の手の2倍の攻撃力があるほか、使用時に両者とも「ゲージが多くたまっている時にボタンを押す」というシステムがある。このゲージが攻撃される側よりも多いと更に威力が高くなる。
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あいこでも同じくゲージが表示され、多い方はダメージを受けず、少ない方が少しダメージを受ける。ゲージが同じだと両方とも同じくらいダメージを受ける。
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必殺わざは装盾亜目はグー、獣脚亜目はチョキ、角竜とカモノハシ竜はパーとなる。
 
 
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クイズモード
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ミニゲームとして収録されている。恐竜の雑学に関わる問題で、3択の中から正解を選ぶ。
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正解数に応じてカードやコインがもらえる為、対戦よりもこちらの方がカード集めがスムーズになる事もある。
 
 
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恐竜の巣
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不要カードをここに送るとコインがもらえる。20枚送ると高いパワーの恐竜カードがもらえる。
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希少価値の高いカードを送るともらえるコインが多くなる。
 
 
問題点
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ダイノハンターの行動原理がロクに説明されない。
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まず、「ダイノハンター」が博士をさらう理由の説明すらされない。最後までクリアしてもわからずじまいである。
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「ハンター」とあるが、狩猟らしい事をしている様子がなく、何を狩っているのかもよくわからない。ハンターの意味を知らずに名乗ってるんじゃなかろうか…
 
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途中で「恐竜が戦いを挑むので、倒す事で力を示す」という手段で仲間にする所があるが、一度倒したらもう出てこない為何のために出てくるのかいまいちわからない。
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ダイノハンターのボスである最終ボスのディランが撃破直後に「わしの野望がぁぁぁ…」と叫ぶが、どんな野望を抱いていたのか全く分からない。
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タイムスリップの原因についても不明のまま終わる。オオシマ博士は「タイムスリップの原因を突き止めた」と言っているが、誰にも説明をしない。さすがにタイムスリップ前の状態に戻してはいるため、見栄を張って嘘をついているわけではないだろうが…
 
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ストーリーモード進行の為の対戦の度にコインが必要で、コインがないと「別の場所でコインを集めてこよう」となり、対戦できない。
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連戦する所もあるが、その場合は対戦で負けてタイトルに戻ったりした場合だけでなく、コインが途中で尽きても最初の1戦からやり直しになる。
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このため、最初の対戦直後は前述のクイズでコインとカードを稼いだ方がいいかもしれない。
 
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この連戦する場所は、敵となるキャラクターが1人しかいない場所でも起こる事がある。
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その場合は大概キャラクターも使用カードも同じケースが多いため、なぜ1度で退散しないのかはっきりしない事が多い。
 
 
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鳥脚亜目と竜脚亜目と堅頭竜下目の扱い
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鳥脚亜目が
「パラサウロロフス」と「ランベオサウルス」の2種
しか登場しない。この分類群は全く登場しないことも度々あるとはいえ…
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これに分類される恐竜は知名度の高い恐竜に限っても「イグアノドン」「シャントゥンゴサウルス」「マイアサウラ」「フクイサウルス」など多くいるし、恐竜に焦点を当てていない絶滅動物図鑑にも記載されている事が多いのだが…
 
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竜脚亜目は
ゲーム内のオープニングムービーとストーリー解説の一枚絵でしか登場しない。スキルカードや敵限定の恐竜カードにもない。
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大概が後述する「パワー1000の恐竜」より大きいのでパワーの調整に困るかもしれないが、それらと比べて飛びぬけて大きい方でない「アマルガサウルス」「サルタサウルス」「プラテオサウルス」「ルーフェンゴサウルス」「プレウロコエルス」などは登場させて良かっただろう。
 
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堅頭竜下目も「パキケファロサウルス」だけで、登場はスキルカードだけとなっている。そもそもこの分類群の恐竜はあまり多くの種が見つかっていないのもあるだろうし、他の作品でもあまり優遇されない事が多いが…
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他の分類群の恐竜もあまり多くはない。
 
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同種の恐竜カードに複数のタイプが用意されているのが多く、使いたいカードを探す時にタイプを確認する必要がある。上記のタイプを4つとも用意されている恐竜カードも多い。
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「恐竜カード1種にバトルタイプ1つ」にして恐竜カードの種数を増やせば済む話だった。前述した鳥脚亜目と竜脚亜目と堅頭竜下目の恐竜も登場させれば十分に改善されていたはずである。
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「鳥脚亜目」「竜脚亜目」「堅頭竜下目」「当時は学名の無かった恐竜」を除いたとしても登場しない恐竜は多くいるのだから、これらにそれぞれ違うタイプを設定して登場させるべきであった。
 
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特にパワー1000の恐竜カードは必殺わざごとに「エドモントニア」「ティラノサウルス」「トリケラトプス」と1種ずつしかいない。「パワー900・パーが必殺わざ」も「ペンタケラトプス」、「パワー900・必殺わざグー」も「アンキロサウルス」だけ。
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「パワー900・必殺わざがチョキ」も「アクロカントサウルス」「アロサウルス」2種だけ。
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「パワー800」も「タルキア」「ステゴサウルス」「スピノサウルス」「カルノタウルス」「ランベオサウルス」「アリノケラトプス」しかいない為、必殺わざごとに2種ずつしかいない。
 
 
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カードの入手状況は入手カードに影響しないため、入手済みのカードも普通に手に入る。そのため全てのカードをそろえるとなるとかなりの手間がかかる。
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恐竜の巣やクイズでもらえるカードも同様。カード入手のパスワードなどもない。
 
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カードの入手後が対戦後で、対戦で使うカードが集まるペースがやや遅い。
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じゃんけんで戦うのだが、相手が出す手についてのヒントがない。初戦ですらヒントがなく、運任せ気味。
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対戦相手ごとに戦術に違いはあれど、手掛かりが少ない。 
 
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操作できるキャラクターは多いが、対戦中のセリフなどがなく、多く用意する意味があるのか乏しい。
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キャラクターごとにデッキをセットできるというメリットはあるが、キャラクターごとにしなくてもよかったのでは?
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しかもキャラクター1人につきデッキを1つしかセットできない。他のキャラクターでデッキを使いたかったら、最初からカード選びをしなければならない。
 
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特殊スキル以外のスキルカードが無駄に多い。
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強化量が「セットされる手」と「必要スキル」しか影響しないにもかかわらず、やたら多く用意されている。「甲虫王者ムシキング」の超必殺わざに相当するステータスはない。
 
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カードの説明文が「ダイノナビ」でしか見られない。
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この為、
対戦前のカード選択やデッキ作りの際に見られない
為、確認しようと思ったらその都度タイトル画面まで戻る必要がある。
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また、入手直後に見る事も出来ない。見ながらデッキ作りやカード選びもできないし、対戦直前のカード選びの際にも見れない。
 
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一応、バトルタイプや恐竜カードのステータスは表記されるうえ、恐竜カードのパワーやスキルカードの必要テクニックはカードの絵で見ることができる。
 
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スキルカードの説明文に「仲間」としか記載されておらず、登場する恐竜が竜盤目なのか鳥盤目なのかすらもわからないカードがある。中にはプテラノドンが出てくるカードもあるが。
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また、使用しても仲間が戦っている場所に出てこなく、恐竜の体力ゲージの下に小さく表示されるだけになっている。
 
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実際に対戦しない限り恐竜カードとスキルカードの相性の確認ができない。
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また、終盤でも相性の悪いスキルカードを使っている事も多い。
 
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セーブの度にキャンプに戻らないといけない。
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しかもキャンプに戻れない時もある為、セーブに関しては不自由を強いられる事がある。
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連戦中はセーブが出来ない。
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入手したカードを確認するためにダイノナビに戻るのもキャンプに戻る必要がある。
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しかもセーブとタイトル画面への移行も同時にできない。タイトルに戻るを選ぶと「これまでの進行状況がセーブされません」と表示される。
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なぜ同時にできるようにしなかったのかは不明である。
 
 
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「じかんへらし」がほぼ使い物にならない。
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本作ではわざを決める制限時間が20秒あるのだが、このスキル使用しても10秒以下にはならないため、使われても時間不足にとてもならない。
 
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超アタック型の恐竜カードは多いが、超ディフェンス型の恐竜カードがなく、バランスが悪い。
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「恐竜クイズ」には難易度が3段階あるのだが、違いは「難易度が高くなると制限時間が短くなる」だけ。
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問題文が1文字ずつ読み上げる形で表示されるため、テンポが悪い。別に誰かと回答する早さを競うわけではないのだが。
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また、問題数もあまり多くなく、カードとコイン稼ぎの為に繰り返していると全ての問題をすぐに目にする事になる。
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問題文が表示される前でも選択ができるため、うっかりボタンを押すと問題点を見ないまま当てずっぽうで答える事になる。
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問題文が表示されるまでは選択できないようにするだけで十分改善されたはずだが…
 
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間違えても正解が表記されない。
 
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ストーリーのボリュームもいまいち足りていない。
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普通にやっていたら余程何度も負けやコイン不足が続かない限り4時間程度でエンディングまで行けてしまう。
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ストーリーモード以外のゲームモードややりこみ要素も通信対戦くらいしかない。
 
 
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対戦時のBGMが全体的に少なく、ダイノハンターの幹部などの「ボスキャラに当たるはずの相手」でも変わらない為、緊迫感に欠ける。
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戦闘開始時に対戦相手のカードを確認するが、恐竜カードとスキルカードの相性しか確認できず、スキルカード名を確認できない。
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「Tスキル」が同じスキルの「ハイパーTスキル」の完全下位互換になっている。
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他のスキルカードの効果を兼ね備えているかの違いしかないし、スキルカードで弱体化する事がないため。
 
評価点
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じゃんけんの合間に出てくるアクション性
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必殺技やあいこの時に出てくるゲージは適度なアクション性があり、『古代王者恐竜キング』や『甲虫王者ムシキング』とは違う楽しさがある。
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スキルカードによる駆け引きもある。
 
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ダイノナビの解説
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恐竜のステータスだけでなく、生息時代、体長、発掘地、学名の意味だけでなく体重まで記載してある。
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体重が記載されている文献は珍しいため、図鑑としても十分に機能する。
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前述する「登場する恐竜の少なさ」がネックになっているが、それでも十分にありがたい。
 
 
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ストーリーも「島の謎を解き明かす」「仲間の救出・友情」「数多の敵」といった王道の要素はある。
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スキルカードなしの時の攻撃も恐竜の分類群ごとに違う攻撃方法になっている。
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「トリケラトプスは助走をつけて角をぶつける事はできない」という学説などが反映されている。
 
総評
クソゲーではないが、いくら何でも問題点が多すぎて良作には程遠い。
評価点もあるが、問題点のカバーは絶望的気味。
物語にしても発売時期を考慮するといまいちであるし、この前のGBAのソフトでもこれより作りこまれているのはごまんとある。
物語やじゃんけんによる戦闘を求めるのであれば、よほど「虫が嫌い」もしくは「恐竜が好き」な人でない限り『甲虫王者ムシキング』の家庭用ゲームの方が推奨できるし、よほど「虫が嫌い」もしくは「恐竜が好き」だとしても『古代王者 恐竜キング 7つのかけら』の方が楽しめる人が多かろう。
問題点が積もり積もって『甲虫王者ムシキング』や『古代王者恐竜キング』やそれらの家庭用ゲームソフトの劣化版気味になっている。
最終更新:2025年02月08日 15:06