ファミリートレーナーシリーズ7 ファミトレ大運動会
【ふぁみりーとれーなーしりーずせぶん ふぁみとれだいうんどうかい】
| ジャンル | 体感型スポーツ(運動会) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ (ファミリートレーナーB面使用)
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| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | ヒューマン | 
| 発売日 | 1987年11月27日 | 
| 定価 | 4,900円 | 
| プレイ人数 | 1~6人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | みんなでワイワイ楽しめて体力アップ 走るだけの競技でもアレンジが上手い
 一風変わったレースも楽しめる
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| ファミリートレーナーシリーズリンク | 
 
概要
『マットコントローラー』を使って足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の『ファミリートレーナー』(通称『ファミトレ』)のシリーズ第7弾。
シリーズは当初スポーツ系から始まって、第5弾『迷路大作戦』第6弾『マンハッタンポリス』と2本続けてゲームらしい路線で展開していたが、久しぶりにスポーツ系のゲームとして発売。ある意味原点回帰となった。
運動会系ゲームは史上初作品である。また『ファミトレ』は元々『ファミリートレーナー』の略称だったが本作では初めてそれを正式名称に据えている。
「運動会」ということもあって1人でクリアーしていくステージクリアではなく対戦プレイを重視しておりファミコンでは初めて6人がリアルタイムで対戦できる。
内容
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運動会らしくチーム対抗戦になっていて、白組側がマットの左側(青色の1・2・5・6・9・10)、紅組がマットの右側を使用する(赤色の3・4・7・8・11・12)とマットキーを左右半々に使う。
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同じようなスタイルの『ランニングスタジアム』と違って、前列・中列・後列それぞれが違った役割を持っている。
 
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いずれの競技も画面がタテ3分割で上段が白組プレイヤー、中段が紅組プレイヤー、下段がコースの進行度合いの表示になっている。
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下段はスタートとゴールの位置と、プレイヤーがどれほどの位置にいるかを表示している。
 
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ゲームのモードは4種類。
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1人プレイ
 CPU相手にプレーする。CPUは3段間の強さがあり「KOKERU(コケル)」<「KAKETA(カケタ)」<「HAYATO(ハヤト)」の順に強くなる。
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対象競技
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大障害レース
 障害レースA
 障害レースB
 スケボーレース
 
 
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2人プレイ
 プレイヤー同士で対戦する個人戦。競技のバリエーションは「1人プレイ」と同じ。
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2チームプレイ
 プレイヤー同士で対戦する団体戦。
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トーナメント
 上記「2チームプレイ」のトーナメントで6チームで戦う。競技のバリエーションは「2チームプレイ」と同じ。
競技の詳細
障害物競走
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本作のメインのモードで、6通りの障害、7通りの区間がある。
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丸太越え
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丸太に向かってダッシュしてタイミング良くジャンプして越える。
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越えられなくても、丸太の上に着地して走ってもOK。
 
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大玉ころがし
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走って大玉に体当りして転がす。
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早い足踏みでちょこちょこ当たるだけでなく、一旦バックして勢いをつけてぶち当たることで転がる距離を延ばすのも手。
 
 
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プール越え
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長いプールをジャンプして越える。プール内に落ちたら走ることで画面ではキャラが泳ぐので、それで抜けることもできるがスピードはかなり遅くなる。
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上記「丸太越え」にも似ていて、走って勢いをつけてジャンプすることで一気に越えるも手だが、幅があるので一気に全部越えることは難しく、いくらか泳ぐことは前提にしなければならない。
 
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カニカニレース
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カニの着ぐるみに入ってヨコ向きで歩く。
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プレイヤーも股を大きく開いて左側の前列と後列(白組側は「1」と「9」、紅組側は「3」と「11」)でカニ状でヨコ歩きをする。
 
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壁越え
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高い壁を助走をつけたジャンプで越える。
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前述の「丸太越え」「プール越え」とは反対にヨコ幅はないが高さがあるので高くジャンプすることが要求される。そのために、助走距離を伸して勢いをつけるべく一旦後退することも有効。
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ただ垂直な「壁」だけでなく、その上が平均台のようになっている部分もある。また丸太同様壁の上に一度着地して降りることもできる。
 
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シャボンレース
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前かがみになって、足でマットの中央部分(白組側は「5」と「6」、紅組側は「7」と「8」)を抑えながら手でマットの前列部分(白組側は「1」と「2」、紅組側は「3」と「4」)を連打して風船を膨らまして、その中に入って走る。
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風船に入ると少々走りが不安定になるので、風船の中でのキャラの位置を安定させて走る必要がある。
 
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ラストスパート
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上記7区間組み合わせを変えて下記4通りのレース方法がある。
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障害レースA
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障害レースB
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大玉ころがし→カニカニレース→シャボンレース→ラストスパート
 
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大障害レース
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丸太越え→大玉ころがし→プール越え→カニカニレース→壁越え→シャボンレース→ラストスパート
 
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障害リレー
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第1走者・丸太越え→大玉ころがし
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第2走者・プール越え→カニカニレース
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アンカー・壁越え→シャボンレース→ラストスパート
 
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大障害レースを二つに分けたのがAとBになる。
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リレーは画面上で、次の走者が待機しているグラフィックになっているので、それに合わせて人間もタッチする形になる。
綱引き(1対1~3対3)
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2チームに分かれて、それぞれのエリアでひたすら足踏みをする。
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足で後ろに踏ん張っている感覚で、たくさん踏んだ方に画面上のキャラが引っ張られていく。
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30秒の制限時間が切れた時、中央のリボンがどちらにあるかで勝敗が決まる。
 相手のチームをセンターラインまで引っ張り切れば時間を待たずして勝敗が決する。
 
ムカデ競争(3対3)
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こちらは3人同士での競争だが、上記の綱引きとの違いは、3人の足並みがそろっていないとつんのめって転んでしまうことにある。
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コース自体は一直線なので3人の歩調合わせが肝要となる。
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転んだ状態でも足踏みすることで立ち上がりを早めることができる。
 
スケボーレース
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2人でスケボーを操って対戦。
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2ラインの道路をスケボーで左右にスラロームしながらゴールを目指す。
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チェーンポールとハードルはジャンプで、それ以外の障害物(缶・消火器・イス)は左右のスラロームで避ける。
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同じような位置付けの缶・消火器・イスはぶつかってスピードダウンする度合いの強さがことなっており「缶」<「消火器」<「イス」の順に強い。
 
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また左右スラロームは行うごとにスピードをアップする効果もある。つまり今までのように走ってスピードアップするのではない。
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スラロームの操作は前の足から反対側へスライドさせ、その後を追うようにうしろの足をスライドさせる。これが逆になるとビタ止まりのブレーキになってしまう。
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転んだりブレーキングで止まった時は、今いる側のボタンに両足を乗せることで再び走り出せる。
 
 
評価点
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対戦ゲームとしては大人数で盛り上がれる理想的な作り。
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種目が限られるながら最大6人で楽しめるのは初でありファミコン全体でも有数。
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特に6人対戦に関しては4年も後の『ギミア・ぶれいく 史上最強のクイズ王決定戦』まで唯一だった。
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更にトーナメントモードまで完備されている。
 
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バリエーションに富んだ種目の数。
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大きな括りでは4種目ながら、メニューでは全部で7種類にも及び、特にメイン障害物競走はいろいろな組み合わせで楽しめる。
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このあたりは特に「マットを左右半々に分けて対戦」と同じスタイルだったシリーズ第2弾『ランニングスタジアム』よりも大幅に進化している。
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しかも、その大きなくくりの4種目はいずれもそれぞれが異なった個性を持っており、特にスケボーレースはこれまでのファミトレではなかったスラローム操作という斬新さがある。
 
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「綱引き」と「ムカデ競争」は6人で走るスタイルは同じでも「とにかくたくさん踏んで連打」と「しっかりタイミングを合わせることが重要」という差別化がしっかりなされている。
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障害物競走のプール越えはまるごと越えることは難しいだけに「ただ越えればいい」だけでなく「いかにジャンプで距離を稼ぐか」という違う重要さも生み出している。
 
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キャラのコミカルな動き。
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運動会らしくかわいい子供のキャラが飛んだり跳ねたりするのは見ていて和めるところもある。
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特にメインの障害物競走では転ぶのも妙に可愛く見えたりする。
 
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これまでにないファミトレのテクニックを生み出したスケボーレース。
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スケボーそのものは5月発売のシリーズ第4弾『ジョギングレース』でも登場していたが、こちらはただ自動で進むというだけのものでしかなかった。
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今までのように左右はただかわすための動作だったので、それを繰り返してスピードを上げるために行うテクニックを磨くことで、より差を付けられる。
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また正攻法のみの避けるためだけのスラロームでもそれなりにスピードの上昇が感じられる。
 
 
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『ランニングスタジアム』のハードルにあった、ぶつかった時の度合いによってスピードが殺され方が変化する微妙なバランスもしっかり持ち越されている。
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特にスケボーレースでは、それがしっかり活かされ例えばぶつかると最も痛手のイスでもスラロームで掠める程度なら、そこまで勢いを殺されない。
 
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お互いの位置関係がはっきりわかる画面構成。
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それぞれがプレイヤーを中心に置いた視点になっているが、画面下段でどれほどリードしているか、またはどれほど遅れているかが一目でわかる。
 
問題点
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障害物レースではマットの認識が少々甘く、プレイヤーは走っているのにキャラが跳んでしまうことがある。
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ただし『ジョギングレース』とは異なり、跳んでビタ止まりするのではなくジャンプしながらも進むので、それほど致命的なものにはなっていないのが救い。
 
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完全に大人数プレイありきなのでステージクリアの楽しみ方ができずCPU相手にできない競技もある。
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この頃のゲームはそれがゲームの根本に据えられていたので、強敵のCPU相手に勝ってクリアやハイスコア、エンディングを目指すと言ったものがないのは少々残念な部分。
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もっとも全競技によるステージクリアのようなモードをつけてしまうと、3人プレイ前提な「ムカデ競争」のせいで1人ではやり切れないという不都合も発生するので仕方ないのかもしれない。
 
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3人がかりで行う綱引きやムカデ競争は対戦プレイヤーがいないとできないので1人(1チーム)で楽しむことができない。
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特にこれはCPUの強さも設定しやすい部類なので、敢えて外す理由がないと思われる。
 
 
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メイン障害物競走のほとんどがある程度のスピードがあれば普通にダッシュ力でゴリ押せてしまい、個性が殺されてしまう残念な一面も。
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例えば「大玉ころがし」は十分なスピードが出せるなら一旦バックして勢いをつけなくても、スイスイ進めたりする。
 
総評
障害物競走に編重しがちなバランスではあるが4種類の競技はいずれも個性を持ったものばかり。マットの操作性も一部アクションの伝達が少々不十分とはいえゲーム自体に支障をきたすものではない。
根本は走ることばかりに思えるが、それぞれの競技が独立し求められるものが違うなど決して同じものばかりではない。シリーズ作品で比べても大勢で楽しむゲームとしての面白味に特化して差別化ができている。
ほぼ対戦ありきのゲームで1人で楽しむには少々不向きではあるが、いろいろ変わった競技を楽しめて、みんなでワイワイ盛り上がれることに関しては申し分なし。
1人で遊ぶとなると種目が限られる難点こそあるもののファミトレシリーズとスポーツゲームの相性の良さを感じられる作品である。
その後の展開
余談
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本作は当初『スポーツジョッキー』というタイトルで予定されており「ゴムひも大会、パン食いリレー、スケボーレースなどちょっと変わった運動会」として第5弾『迷路大作戦』第6弾『マンハッタンポリス』の取説裏表紙側で予告されていた。
 イメージイラストもスケボーに乗った少年がヤリを持ったアフリカの黒人原住民とライオンの横を突っ切るという運動会というより、その体を取ったハチャメチャなアクションゲームのようなイメージだった。
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しかし実際にはこのように正統派の運動会ゲームとしての登場となった。
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「ちょっと変わった運動会」のゲームは後に『ダウンタウン熱血行進曲 それゆけ大運動会』(1990年12月:テクノスジャパン)が発売された。これがファミコン屈指のエキサイティングな対戦ゲーとして不動の地位を築いた。
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現在は上記作品に運動会ゲームとしての立場を奪われているが、当時の本作はみんなでワイワイ楽しむ運動会ゲームとして、その存在感は大きなものだった。
 
 
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次回作『突撃!風雲たけし城』の説明書ウラには次回作の告知がなかった反面本作が「好評発売中!!」の扱いで載せられている。
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それによると「種目は個人戦から団体戦まで取り混ぜて10種目」と書かれている。しかし実際には上記の通り障害物競走を4種目(「大」「A」「B」「リレー」)と数えても7種目しかない。どういう基準で10と数えたのだろうか?
 
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ファミトレはアメリカでもNES用として『Power Pad』の名で発売されておりこれまでのファミトレ作品は大部分はアメリカでも発売されていた。
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これ以降の3作品はすべて日本のみの発売で、反対に『ショートオーダー/エッグスプロード!』はアメリカのみで発売され日本では未発売。
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そのため日米共通で発売されたものは本作が最後となった。
 
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また日本未発売を含めた以降の4作品はこのようなスポーツ系ゲームで出さなかったため『体感スポーツ』という観点ではシリーズ最後の作品となった。
最終更新:2023年10月11日 14:25