ファミリートレーナーシリーズ8 突撃!風雲たけし城

【ふぁみりーとれーなーしりーずえいと とつげきふううんたけしじょう】

ジャンル 体感型アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
(ファミリートレーナーB面使用)
発売元 バンダイ
開発元 ヒューマン
発売日 1987年12月28日
定価 4,900円
プレイ人数 1人(交代制で1~9人)
判定 良作
ポイント 超人気番組のゲーム化も再現度は低め
カート戦の操作性は悪いのは番組再現か?
番組との整合性を無視すれば充分に楽しめる内容
ファミリートレーナーシリーズ
TBSテレビ関連作品リンク
ビートたけし関連作品
挑戦状 / 突撃!風雲たけし城 / 戦国風雲児 / 風雲たけし城 二


概要

『マットコントローラー』を使って足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の『ファミリートレーナー』(通称『ファミトレ』)のシリーズ第8弾。
当時を含む1986年5月~1989年3月までTBSで放送され、人気を博していた視聴者参加型アトラクション番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』をゲーム化したもの。

元々番組の『たけし城』自身が「体でファミコンをやる感覚」という発想から作られたものだった。
それがこうして「体でプレーするファミコン」であるファミトレのソフトとして発売されたのはある意味逆輸入である。


内容

  • 上記番組『痛快なりゆき番組 風雲!たけし城』をゲーム化した内容で、立ちふさがる7つの関門を突破してたけし城に乗り込み、カート戦で城主たけしを破るのが目的。
    • 各種関門は下記7つに分かれている。
      • 国境の関所
        龍神池
        ジブラルタル海峡
        ビーチボーイズ&ギャルズ
        戦場にかける橋
        悪魔の館
        自由への壁
  • ゲームのモードは3つに分かれている。
    • 練習編
      • 7種類の各関門のゲームを個別に練習できる。難易度は「1の城」と同じ最低レベルになっている。
    • 個人戦
      • 6人まで挑戦可能で、各関門を時間制で挑み、クリアすれば残り時間に応じてポイントになる。
      • 時間制なので、失敗しても残り時間のある限り何度でも挑戦できる。クリアできずじまいでも加算されるポイントが0点というだけでゲームオーバーではない。
      • 城は1・2・3・4とあり、4はたけし城(カート戦)で、1~3は7つの関門になっており、それぞれ番号が難易度レベルになっている(下記団体戦も同じ)。
      • 1~3の城を1つでも突破すれば、たけし城に挑めるが稼いだポイントがカート戦での自身のライフ(耐久力)になる上に、1~3の城では7関門を突破後に「栄光への脱出」へ行く。
        「栄光への脱出」を突破すればカート戦用のアイテムが得られるので、それを1つでも多く得てからたけし城に挑んだ方が有利。
        城主のたけし戦車は非常にタフで強いので3城全て攻略しておかないと攻撃性能やライフ不足で非常に苦しい戦いになる*1
    • 団体戦
      • 根本的には上記の個人戦と同じく3つの城とたけし城を攻略するゲームだが、こちらは9人まで挑戦できる。
      • 時間切れを含めて失敗すると脱落となり通過した者だけが次の関門に進める生き残り方式。
      • 全滅してしまうとゲームオーバーという番組ルールに則った方式になっている。
  • 1・2・3の城での関門の順番が若干異なっている。
    • 1の城「国境の関所」→「龍神池」→「ジブラルタル海峡」→「ビーチボーイズ&ギャルズ」→「戦場にかける橋」→「悪魔の館」→「自由への壁」→「栄光への脱出」
    • 2の城「国境の関所」→「戦場にかける橋」→「ジブラルタル海峡」→「自由への壁」→「ビーチボーイズ&ギャルズ」→「悪魔の館」→「龍神池」→「栄光への脱出」
    • 3の城「国境の関所」→「自由への壁」→「ビーチボーイズ&ギャルズ」→「龍神池」→「悪魔の館」→「戦場にかける橋」→「ジブラルタル海峡」→「栄光への脱出」
  • 下記それぞれの関門に挑んでいると、画面下には家老の「東国原英夫守三太夫Jr.*2」と城主のたけしが番組同様に実況をしている。
    • スタートを切る時には谷隊長が「いけー!」と号令を発する。
    • プレイヤーはこれらの関門を番組よろしく、走ったり跳んだりで突破して、たけし城での決戦(カート戦)を目指す。
      たけし城では軍団の包囲網を突破して、たけしの戦車を落とせばクリアーとなる。
  • 挑戦中にIコンのセレクトボタンを押すとパスできる。
    • 練習編や個人戦ではクリアできずの0点となり団体戦ならそのプレイヤーは脱落となる。
    • カート戦でやると当然負けになる。
+ 関門及びカート戦の詳細

国境の関所

  • 当時最もポピュラーだった第一関門。
  • 走ってジャンプして垂直に立つ壁に飛びつき、そのまま登れば後は下り坂を滑ってゴール手前の池を飛び越してクリアとなる。
    • 池に落ちたら失格なだけでなく、池を飛び越してもマットの上に着地できずに尻もちをついてしまうと無効で失格。
    • 一気に登り切れなくても、掴まった状態からならそのまま走ることで登れる。
  • 番組では池はなく、とりあえず登ってクリアだった。もちろん最後に尻もちをついたからといって失格になることはない。

龍神池

  • たけし城一番の名物で*3、水面に見えているたくさんの石を足場に反対側へ渡り切ればクリア。途中で池に落ちれば失格。
    • 石の中にはニセの石が混じっており、それを踏んでも、池に落ちなければセーフ。大抵はこれを踏んでそのまま沈むかバランスを崩して横転、又は前のめりに突っ込んで落ちていた。
    • 「5」「6」「7」「8」のボタン4択(画面下から5)を選んで跳んで、ニセの石に着地するとグラグラし、そのうちに沈むので沈む前に飛び移ればセーフ。
    • 石のない所を選べば問答無用で落ち、マットキーの上に着地できなくても落ちる。最後の着地に関してもマットキーを踏んでいないと尻もちをついて失格となる。
  • 番組でもほぼ同じ。だが最後に尻もちをついたからといって失格になるようなことはない。

ジブラルタル海峡

  • 海峡に見立てた吊橋を渡っていくゲームで、たけし軍が迫撃砲(番組では黒いバレーボール)で妨害してくる。
    • 番組同様「不安定な細い吊り橋」ということで、焦って走ったりすると揺れはじめ、揺れている状態では伏せないと落ちてしまうので焦らずゆっくり進むことがカギ。伏せてしばらくして揺れが収まってからまた進むことができる。
    • 砲弾にあたるとフラついてしまうので、伏せることで復帰できる。フラついた状態でもう一発続けて喰らったり、上記の揺れている状態で喰らうと落ちてしまう。
  • 番組では、谷隊長から金の玉を受け取って、それを落とさないように気を付けながら立って渡っていたが、これは取り入れられていない。
    • この番組で「ジブラルタル海峡」という名を初めて聞いた子供が多かったほど。当時は最終関門「人喰い穴」の1つ前の定番だった*4。それだけに突破率約40%と屈指の難関だった。

ビーチボーイズ&ギャルズ

  • 自動で動くサーフボードに乗ってサメ(アーチ型)は屈んで口の間を通り抜け、ウーパールーパーはジャンプしてよける。ジャンプは両足を離すタイミングが同時ならば高く跳べる。
  • 実際の番組では、ジャンプが安定せずにサーフボードの上に乗れなかったり、着地はできてもバランスを崩してヨコに脱線したりもしたがゲームでは取り入れられていない。
    • ゲーム同様の形で行われたのはわずか3回だけでしかなく本作発売の頃には「まわってコマネチ」と合体し「まわってビーチボーイズ&ギャルズ」という形にリニューアルされていた*5

戦場にかける橋

  • 細い桟橋にあるサーフボードにダッシュして飛び乗り、桟橋の端から一定の範囲内で止まれれば合格。そこまで達しなかったり勢い余って落ちると失格。いわゆるチキンレースのようなもの。
    • ダッシュしてサーフボードに乗って最初の勢いをつけ、あとは前や後ろのボタンに手を置くことでスピード調整できる。
  • ゲームでは直立姿勢のまま乗っているが実際の番組ではヘッドスライディングするように飛び乗って、そのままうつぶせの姿勢で滑走し、足を上げたり、頭を上げてのけ反ったりと微妙な体重移動でスピードを微調整。

悪魔の館

  • 四角形の部屋が入り組んでいて、どの部屋にも四方に扉がある(ただしゲームでは後ろには戻れない)。それを通り抜けてゴールまで行ければクリア。館の外周は池になっておりゴール以外はこの池にでてしまい落ちて失格。
    • 館の中には2体の悪魔*6*7がうろついており、それに捕まっても失格。
  • 実際の番組では、初期の内に六角形にリニューアルされていた。つまりゲームでは相当初期の頃のモデルになっている。
    • また、番組では池に繋がる扉を開けても踏みとどまったり、そのまま出ても池に落ちなければセーフだったが、これらはゲームには取り入れられていない。

自由への壁

  • 3枚のうち、1つが突破できる壁になっており、残り1つは硬い壁になっていて破れず、あとの1つは池に繋がっており落ちて失格(1枚目は硬い壁1つと破れる壁2つ)。4枚の壁を通り抜ければクリア。道中には「よろい注*8」がいて、それに捕まっても失格となる。
  • 番組では壁は4択になっていて破れない堅い壁にぶつかった時点でアウト。池はないが「壁を破ってセーフ!」と思ったら「ネットが張ってあってアウト」というパターンがあった。または壁は最初は3枚がセーフ、3~4枚目は2枚がセーフ。よろい注は2枚目と3枚目の間にいるが捕まってアウトになることはない。
    • また硬い壁にぶつかっても、それを上回るパワーで壊して開けたり、硬い壁に跳ね返されたところに「よろい注」がいて、それにまた跳ね返されて普通の破れる壁を破って抜けたラッキーなケースもあり、これらはアドリブでセーフ判定になった*9(残念ながらこれもゲームでは不採用)。
  • これらを突破して、最後は下記に繋がる。

栄光への脱出(ゲームオリジナル)

  • すべての関門を抜けると、ここに到達しカート戦用のカートを操って障害物を避けてゴールを目指す。
    • 敵はいなくても弾を撃てるのでカート戦の練習も兼ねている。
    • ゴールに到達すれば、カート戦用のアイテムが得られる。
      • スピード(←)…カートのスピードがアップ。1の城で取得。
      • ウォーターガン(青いピストル)…射程が延びる。2の城で取得。
      • 弾丸(3つの弾)…弾が3方向同時発射になる。3の城で取得。

カート戦

  • 番組と同じラスボス戦。カートの操作方法は「栄光への脱出」と同じ。
    • 番組ではたけし(城主)1台、軍団5台だったに対し攻撃軍は残った人数次第だがゲームでは常に1人で戦わなければならない。
    • まずは向かってくる軍団と戦うのだが、時としてモグラのようなお邪魔キャラも出てくる。
      • 団体戦の場合、設定上ではみんなで戦っている体のため前のチャレンジャーが負けた時点での状態を引き継いでスタート。つまり殿までたどり着いていればのっけから殿との戦いで始まり、殿戦車はそれまでのダメージを持ち越している。
      • 軍団のカートを倒すとライフが少し回復。軍団やモグラを倒して出ることがある神様を取っても回復する。
    • 番組同様、たけし戦車を落とすとクリアーとなる。

評価点

  • 番組人気の関門アトラクションが選別されて採用されている。
    • 一番人気の「龍神池」、序盤の要で定番の「悪魔の館」、終盤の要「ジブラルタル海峡」など、いずれも番組での登場回数が多く初期から末期まで非常に親しまれたものばかりである。
      • アトラクションの選別自体は相当練り込まれて選ばれている。
      • FCのゲーム故に再現度の面では雑な面も目に付くが、時代を考えれば十分再現はなされている方だろう。
  • 番組の雰囲気再現にも配慮されている。
    • 谷隊長の「行けー!」や挑戦者の挙動に対しての家老と殿のツッコミ合いのやり取りなども、それなりに再現されている。
    • 実際の番組でもこの二人の掛け合いは視聴者にとって面白味を高めていたものでもあったので、ゲームとしてはそれほど必要ないとはいえ取り入れていることからこだわりが感じられる。
  • 走ったり跳んだりの操作性やレスポンスは非常に良好。
    • それまでのシリーズ作品と比べても感応が良く、走りの操作と画面のキャラの連動はバッチリ。
      • 走った勢いをつけてのジャンプは非常に反応が良い。
    • 「龍神池」でも、ちゃんとボタンの上に着地しないと落ちてしまうあたりは「石の上には降りたもののバランスを崩して落下」の再現になっていると言えなくもない。
  • 全体的には子供にも遊びやすい難易度
    • 番組通りの厳しい難易度にしてしまうと、さすがにクリアーの達成感を得る前に脱落してしまいがちになるので子供がプレーしてモチベーションが保てる難易度になっているのはゲームとしてはこれが無難だろう。
    • 「個人戦」のスコア方式は「とりあえずたけし城のカート戦まで一通りプレーできる」というゲーム性でビギナー向けとして丁度いい。
    • 「自由への壁」は番組に反して「硬い壁にぶつかっても失格にならない」のでは意味がないように思えるが、跳ね返されると少しの間は動けないのでそこを「よろい注」につかまる可能性があるため、ゲーム用にうまくアレンジした形になっている。
    • ラストのカート戦前の練習という意味もあってか、「栄光への脱出」という練習ステージをゲームオリジナルで作成。後述の通り、カート戦はかなり厳しい為、カート操作に慣れさせるステージの存在自体はワンクッション置くのにちょうどいい。
  • ゲームとしては自由度がかなり高い。
    • 個人戦ならたけしに挑戦する障壁そのものはそこまで高くない。
      • アイテムもなくライフ不足では到底太刀打ちできたものではないが1つでも城を落とせば勝負度外視でたけし城に挑戦し、とりあえず実地練習というやり方もできる。
    • 同じ関門アトラクションでも難易度の違う3段階が用意されている。

問題点

  • 上記の通り遊びやすくするバランスを取ったことやゲームシステムとの整合の影響でゲーム用のアレンジが入っている個所も多く、番組再現という面では気になる個所も多い。
    • 「国境の関所」は何故か番組にない池がある。
      • ゲームとして番組のように登っただけでクリアが確定し、あとはただ滑って終わりでは呆気なさすぎるというのもあるにせよ難易度の調整は他でもできるのでわざわざ改変した意義があまりない。
      • 最後にジャンプ必須にしたため後述の「尻もち失格」の違和感を生み出してしまっている。実際の番組では坂を滑り降りて、そのまま尻もちをついていた人も多かっただけにこの「尻もち失格」は腑に落ちない。
    • 「龍神池」はニセ石を踏んでから沈むまでの時間が長すぎて石の対応するボタン番号さえわかっていれば簡単に突破できる。
      • プレイヤー自身に慣性がないため勢い余っての前のめりやバランスを崩しての横転といったことは不可能なので仕方ないといえば仕方ないのだが。
    • 「自由への壁」は硬い壁に跳ね返されてもすぐ別のチャレンジできて、よろい注に捕まるとアウトという番組とはまるで違うルールになっている。横に並んだ壁の枚数も番組では4枚だったのに3枚に減らされている。
      • 上記の通りゲームとしてのアレンジでは上手くできているものの中身は番組とだいぶかけ離れたものになっている。
      • それというのも番組では「硬い壁に跳ね返されて失格」のイメージが圧倒的に強いだけに、それがないのは再現の観点では肝心なものが欠落している。
      • ネットと池はどのみちアウトな上に、ネットでアウトになったケースは少なかったのであまり気にならないかと思いきや、前述の「硬い壁」が失格にならないだけに池に落ちる失格ばかり見せられるので別物感を強めてしまっている。
    • 「ジブラルタル海峡」は、ボールに当ったり揺れ出したら四つん這いになることで簡単に事なきを得られる。しかも特定のポイントでしか命中しない。番組では最終関門に近い要だっただけに少々手ぬるく感じられる。
      • 番組での同ゲームは迫撃砲のスピードが時速100km/hと威力はすさまじく特に多くの女性挑戦者を泣かせるほどだった。ゲームでの再現が無理とはいえボールは山なりでスピードが遅く拍子抜けもいいとこ。
      • とはいえ、これをしっかり再現されるとゲームクリアの面で過度に厳しくなるので仕方ない面もある。
    • 特に顕著なのが「悪魔の館」で肝心の悪魔が執拗に追ってこない。また後ろに向かって移動できない。
      • 悪魔は扉を開けた時ランダムに出て部屋の中でランダムにウロウロするだけで向かってこず部屋から出てはこないため隣の扉を開けるだけで簡単に逃げることができる。そのため悪魔に追われることがないのはいくら「難易度をほどほどに保つための調整」にしてもコレじゃない感が否めない。
      • 実際の番組ではだいたい悪魔に見つかってダッシュで逃げる展開になり、扉を開けてダッシュで追ってきたことも当然でチャレンジャーは時として後ろに戻って迂回して振り切ったりもしたので、それができないのは前述の点も含めてその醍醐味をなくしている。
    • 「国境の関所」「龍神池」「ビーチボーイズ&ギャルズ」のゴール地点で尻もちをついて失格というのも番組ではなかったものなので違和感がある。
      • これはファミトレの基本仕様が「着地までしないと無効」であるためこうなったのだが。
    • このように遊びやすさの為に犠牲になった点も目立つ。
    • 「栄光への脱出」はそもそも架空なので、練習になる反面番組再現の面ではマイナスと言わざるを得ない。
  • BGMはすべてゲームオリジナルだが全体的に盛り上がりに欠け雰囲気を壊している。
    • 特に番組では「ジブラルタル海峡」は「コンバットマーチ」の、「悪魔の館」は「燃えよドラゴン」のテーマがBGMに使われて、見ている側のテンションを最大限に盛り上げていたことも好評の一因だったが権利関係の問題か使われていない。
    • それらが権利関係の問題で使えないのは仕方ない*10としても、ゲームで使われているBGMの出来そのものがスローテンポやおとなしい曲調のものばかりでこういったゲームには向かないものばかり。
    • ここはさすがにテンションの上がるBGMでないと特にゆっくり歩いて渡る必要を強いられる「ジブラルタル海峡」などは、気分がだれがちになる。
    • タイトルのBGMも番組のメインテーマを使用していないせいで、のっけから番組らしい盛り上がりを殺している。
  • カート戦の操作しにくさ。
    • ここだけは本当に操作性が悪く、方向操作はまだしも弾の発射まで足でマットを踏んでしなければならない。
      マンハッタンポリス』のように走りながら攻撃も足でする必要があったのを思えば、だいぶ改善されているが攻撃のための連打を足でするのは非常に不便。
      • 2人がかりで誰かに撃つ方を担当してもらうのもアリと言えばアリ。一応この方法は違った意味で番組再現になっていなくもない。実際番組でも当初攻撃軍用のカートは最大6台(途中から10台に増台)と限られ、それ以上残った場合はたけし軍同様、2人で乗って操縦と射撃の分担していた。
      • 再現といえば難易度的な意味でも同じで攻撃軍の台数の方が多かったにもかかわらず、6台のたけし軍に負けた例も多々あるように*11、基本的に毎回出ているたけし軍の方がやり慣れており攻撃軍の中には折角最終決戦に残ったのにカートを普通に操作することすらおぼつかなかった者までいた*12ので「攻撃軍のやり慣れなさ」まで再現しようとしたのであれば、まさにその思考は天才的とも取れるのだが恐らく偶然の産物だろうと思われる。
  • 無理ゲーな団体戦。
    • 番組同様の方式でプレーできるのは悪くないと思えるが挑戦可能人数が最大9人では全然足らない。
    • 特にそれが理不尽の感じられるのは運ゲー要素の強い「悪魔の館」と「自由への壁」である。
      • 掴まって失格になるのはゲームとして問題ないが扉を抜けた先が池になっているのは完全にノーヒントなので運に頼るしかない。 特に「悪魔の館」は番組では開けた先が池になっていながら落ちる前に根性で踏みとどまってピンチを脱して突破した者も少なくなかったので、そのあたりは取り入れてもらいたかったところである。
      • そのため、1度やられれば脱落する方式で全員がフルに挑戦しなければならないとなると9人程度なら簡単に全滅してしまう。これでは一番簡単な1の城すら突破することも至難の業。
      • 番組では関門ごとに脱落者が一定数に達すると残りの者は無条件で次へ進めたのだが、この「脱落者をある程度で打ち止めにするシステム」こそ9人までしか挑戦できないうえに運ゲーまであるゲームだけにバランスを取るために入れてもらいたかったところではある。

総評

たけし城を体感ゲームとしてファミトレに移植するにあたり、かなり丁寧に作られてはいるのだが、遊びやすさと交換に再現度が落ちている点も少々目立つ。
本来子供にとっては到底太刀打ちできないはず高難度な番組の関門アトラクションがそれなりに馴染みやすいバランスで整えられておりステージ構成は豊富でゲーム単体で見ると充分楽しめる作り。
一応低年齢層向けのゲームなので、そんな彼らが本来出場できない番組の気分だけでも味わえるくらいの出来にはなっているので及第点といったところだろう。
さらにファミトレマット操作とのアクションの連動もよくできている方なので番組再現を過度に意識しなければ体感ゲームとしての出来は充分良いといったところではある。


余談

  • 実は「悪魔の館」と「ビーチボーイズ&ギャルズ」だけでなく「ジブラルタル海峡」も番組草創期の頃にゲームとほぼ同等の形だった時期がある。
    • つまり金の玉はなく迫撃砲2門でガンガン集中砲火というもの。
    • ただし、この当時は「どんな形でもわたり切れば0K」だったため大多数の挑戦者は立って渡らなかったことから立たないと越えられない岩が取り付けられたこともあった。
    • また上記のような「山なりのゆっくりなボールしか撃てないまるで恐くない迫撃砲」も初期の頃使われていた*13。ただし、その頃はつり橋ではなくロープをレンジャー渡りするものだった点で若干違うが。
  • 『たけし城』の関門で使われたBGMは下記の通りゲーム作品のBGMアレンジもかなり多く使われた。
    • 『だるまさんがころんだ』では『ソンソン』のメインテーマ。
    • 『がんばれホエールズ』では『スターソルジャー』のバリア非装備時。
    • 『まわってコマネチ』では『ナッツ&ミルク』のメインテーマ。
    • 『当たって完パイ』(1回限りで姿を消した単発企画)『カルタでお手柄』『カルタでお勉強』では『スカイキッド』のメインテーマ。
    • 『これは玉RUN』では『ボンバーマン』の初期状態。
    • 『刺しつ刺されつ』では『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の通常戦闘曲「戦い」。
    • 『アドベンチャーゾーン』では『ファンタジーゾーン』のステージ4のテーマ「PROME」。
    • 関門紹介のアニメでは主に『ラリーX』をはじめ『ファミリージョッキー』や『ナムコクラシック』などナムコゲームのBGM。
      • これだけ使われていないがらバンダイのものは1つもない。また、これらは権利関係の問題でDVD(2010年発売)では全然違うオリジナルのBGMに差替えられている。
      • また、これらゲームサウンドが使われた関門アトラクションは本作にも次作にも1つも使われていない。
  • 『風雲!たけし城』は令和版としてリニューアルされ2023年4月からアマゾンプライム・ビデオにて配信放送されている。
    • 令和版ではまるで本作の設定を逆輸入したかのように、本丸の他に3つの小城があり4城構成となっている。

その後の展開

  • 『ファミトレ』シリーズは本作を最後にシリーズ作品の発売が急速に鈍化する。
    • 実際それまで第4弾『ジョギングレース』*14を除いて、必ずファミトレシリーズの次作品が予告されていたのに本作の説明書裏では次回作の予告は一切載っていなかった。
    • シリーズ第9弾は本作の直接的な続編『ファミリートレーナーシリーズ9 風雲たけし城 二』がほぼ1年を経た1988年12月に発売。
      • 上記の「ビーチボーイズ&ギャルズ」がこの作品では「ビーチボーイズ&ギャルズNEW」として「まわってビーチボーイズ&ギャルズ」の形で取り入れられている。
        番組再現度は全体的に高まっているが全体的なゲームとしては本作に比べて少々劣っているように感じられる出来。
      • 団体戦はあまりに無理ゲーが過ぎたか、この続編では個人戦のみになっている。
    • その翌月にあたる1989年1月に発売した『ファミリートレーナーシリーズ10 来来キョンシーズ ベビーキョンシーのあみだ大冒険』が最後となる(アメリカでは1989年12月にもう1作品発売)。
  • たけし城関連では番組の直接タイアップではなく、発売元も違うが上記作品の少し前にあたる1988年11月25日に『たけしの戦国風雲児』(タイトー)が発売される。
    • このゲームはオリジナルの対戦スゴロクゲームだがミニゲームの中に「龍神池」と「自由への壁」を模したものが取り入れられている。
      • ちなみに、この「自由への壁」モデルのミニゲームは「壁の枚数が3枚に減らされている」は本作と同じだが、ゲーム性では「破れない硬い壁に跳ね返されて失敗」と番組に近い形になっている。
    • この作品はオリジナルのゲームであり『風雲!たけし城』のゲームではないのだが本作を含めた正式な2作品は専用の「マットコントローラー」必須の『ファミリートレーナー』シリーズで、しかも後期の作品のためシリーズの衰えが見え始めた時期だった。
    • 加えて、レトロゲームブームが本格化するまでは「マットコントローラー」は中古品の入手が難しかったこともあって、中古でカセットの入手はできても意味がないなどプレイ障壁が高く、その機会が大きく失われていた。
      • 一方、この作品はカセットさえあれば普通のコントローラーでプレイできカセット自身の中古入手もしやすくレトロゲーム苦戦期でもプレーできる機会が多かった。
      • また、作中に「たけし城」(同名でも番組とは無関係)という城も出てくるので「たけし城のゲーム」と言われると正式な2作品を差し置いてこれを連想する人が多い。
  • 2023年9月1日にユーザーが自作ゲームを公開できる無料オンラインコミュニティ『ROBLOX』のアプリとして『風雲!たけし城』が配信された。
最終更新:2023年09月02日 16:32

*1 ある意味番組通り。番組でもたけし戦車は水鉄砲の射程が長く、的の紙が厚い上に油塗りで非常に破れにくくできていた。

*2 そのまんま東が番組で家老となってからの役名。「三太夫」とは先代家老だった石倉三郎の役名で、設定上その息子ということでその名を引き継いだ形で、それに本名の東国原英夫を組み合わせたもの。また、先代三太夫が家老だった頃は「そのまんま東」として「第一砦」の守備隊長などを務めていた。

*3 それが評価されてかレギュラー放送最終回では最終関門に採用された(基本は序盤の関門に用いられていた)。

*4 「人喰い穴」が廃止された番組末期は主に最終関門として登場。

*5 最後に行われたのは1987年7月31日の第55回。「まわってビーチボーイズ&ギャルズ」としては1987年11月6日の第67回に初めて行われ発売までに3回、最終的にはスペシャルも含めて37回も行われた。

*6 番組ではストロング金剛と丹古母鬼馬二だがゲームでは後者モデルのみ。

*7 後に部屋数が六角形で18部屋に拡大されると同時に亜仁丸レスリーが第3の悪魔として登場。

*8 番組でも様々な場面で登場した身長約3mの鎧武者人形。名前のルーツはもちろん元ドリフターズの荒井注氏(1974年4月に志村けん氏と入れ替わって脱退)。

*9 ついでにそのチャレンジャーには敢闘賞10万円も贈呈された。

*10 実際、番組終了後にVHSビデオで発売された『風雲!たけし城 珍プレイ!好プレイ!』ではBGMがなしになっており、2010年にDVD化された折には全然違うオリジナルのBGMに差し替えられている。

*11 最大で17人残ったこともあったがその回は負けて終わった。たけし軍は殿を含めて6台とはいえすべて2人・3人乗りなので攻撃と操縦が分担できるので1台2台多くても一概に有利と言えない一面もあった。

*12 他には攻撃軍にチームワークがまるでなかったことも敗因として挙げられる。谷隊長は「まず軍団を1人ずつ処理して最後にたけしを取り囲め」と作戦を伝えていたにもかかわらず皆一目散に殿に直行する者ばかりで殿戦車の高性能な水鉄砲で狙い撃ちにされたりノーマークの軍団に不意を突かれてことごとく落とされていった。1987年1月の初勝利時(生き残り攻撃軍10人)は、たけしが当時「フライデー事件」による謹慎の入って初の回でラッシャー板前がたけし顔のはりぼてを被っての代役殿だったため、その視認性の悪さが災いして接近される前に落とせなかったことから、いつものように殿めがけて一直線に向かってくる攻撃軍カートに群がられて動きを完全に封じられ集中放水を浴びたというラッキーなケース。

*13 あまりに弱すぎて役に立たなかったせいか途中から軍団が業を煮やして手で投げていたほど。一応ゆっくりな山なりボールの迫撃砲よりマシだったが挑戦者たちは誰一人ビクともしなかった。次の回で時速100km/hの高性能なものに切り替えて初めて脱落者を出した。

*14 この作品までは初作品『アスレチックワールド』の時点で告知されていたものを出し切ったような形。また、この次の『迷路大作戦』はそれまでのスポーツに限定した路線から脱却を図ったものだった。