Mario's Game Gallery

【まりおず げーむ ぎゃらりー】

Mario's FUNdamentals

【まりおず ふぁんだめんたるず】

ジャンル TBL

対応機種 MS-DOS
Macintosh
Windows
発売元 【DOS】Interplay Productions
【Mac】Stepping Stone
【Win】Mindscape
開発元 Presage Software
発売日 【DOS】1995年
【Mac】1996年
【Win】1997年
プレイ人数 1人
判定 なし
ポイント マリオと遊ぶ5つのテーブルゲーム
演出やマリオのボイスが愉快
備考 タイトルについては下記「概要」を参照
マリオシリーズ・関連作品リンク


概要

海外でPC向けにリリースされた、任天堂を代表するマリオシリーズのキャラクターが用いられたテーブルゲーム集。
最初にMS-DOSで『Mario's Game Gallery』が発売され、その後にMacintosh / Windowsで移植版『Mario's FUNdamentals』が発売された。
一般的な娯楽用のゲームとは若干異なり、子ども向けの知育ゲームとしての特性が大きい。
また、チャールズ・マーティネー氏が初めてマリオの声を担当した家庭用ゲームとしても知られる*1


特徴

  • COM(マリオ)単体を相手にチェッカー、ゴー・フィッシュ、ドミノ、バックギャモン、ヨットの5つのボードゲームを遊ぶ。
    • チェッカー、ドミノ、バックギャモン、ヨットが遊べるコンピュータゲームは多いが、ゴー・フィッシュが遊べるものは現在でも珍しい。
  • 操作は全てマウスのクリックで行うことができ、タイトル画面から直接ゲームを選択する。
  • 『FUNdamentals』では移植・解像度向上に伴い、一部グラフィックが描き直されている。

評価点

プレイを彩る演出が豊か

  • 各テーブルゲームを開始する際にはそのゲームにちなんだ短いアニメーションが流れる。
  • ゲームに用いる駒やカードに細かな演出が施されており、視覚的に楽しめる工夫がされている。
    • チェッカー・バックギャモンではそれぞれの駒がちびヨッシーとノコノコに置き換えられていて愛らしい。
      • チェッカーでは相手の駒を取るときはちびヨッシーはノコノコを食べ、ノコノコはちびヨッシーを蹴飛ばすアクションを取る。
      • また、キングはそれぞれ王冠を被ったヨッシー・クッパになる。
    • バックギャモンではそれぞれタマゴ・甲羅の状態で待機しており、駒を動かすとタマゴや甲羅から出て移動する。
    • ゴー・フィッシュの札にはトランプではなく、マリオシリーズのキャラクターの絵柄が用いられている。
      • また、山札からカードを取るときに魚が山札の上を水しぶきを上げて跳ねる演出が入る。
    • ドミノの牌にはサイコロの目の代わりにコインやスターなどのアイテムが描かれている。
  • タイトル画面でもマリオが足を鳴らしたりカーソルを合わせたゲームごとにマリオが手にしている物が変わったりする動きが見られる。
    • マリオが身に付けている蝶ネクタイが飛び跳ねて回転する小ネタもある。

実際にゲームをプレイしているような臨場感

  • ドミノ以外は正面でマリオと向かい合っており、下にはテーブルが広がっている一人称視点。
  • 後の作品で主流のパートボイスとは違い、フルボイスでマリオが流暢に話す。英語はイタリア訛りで、発音に合わせて唇もきちんと動く。
    • これにより、相手(マリオ)と話しながら実際にボードゲームを遊んでいるような感覚が味わえる。
  • マリオのセリフは有利/不利になったときのものやこちらのプレイを褒めてくれるもの、こちらが選択に悩んでいるときのものまで多岐に渡る。
    • セリフにはプレイヤーを称えてくれたりプレイを楽しんでいたりするような肯定的なものが多く、純粋にプレイを盛り上げてくれる。

賛否両論点

「マリオらしさ」の是非

  • 言ってしまえば普通のボードゲームの配役をマリオたちに置き換えただけであり、先述したささやかな演出以外はマリオシリーズらしい演出はない。
  • 現在でこそ『マリオパーティ』などでマリオたちのボードゲーム出演は定着しているが、当時はコンピュータゲーム上での両者の接点はほぼなかった*2
    • 前述の演出面や導入の手軽さから「家族全員で楽しめる」と評価され、基本的には受け入れられた。
    • しかしスーパーマリオシリーズ由来のゲーム性のなさから「構想の練り込み不足なスピンオフ」と評価されることもあった。

問題点

ゲーム中にBGMが流れない

  • タイトル画面やゲーム前のムービーではBGMが流れるが、肝心のゲーム中のBGMが無音。
    • マリオと向かい合っていることもあり、張り詰めた妙な緊張感のある空気になってしまっている。

マリオとの1対1でしか遊べない

  • ゴー・フィッシュ、ドミノは複数人でのプレイも主流であるが、マリオを含めた2人でしか遊べない。
    • 特にゴー・フィッシュはプレイ人数、山札の有無でゲーム性がかなり変わるので、実装されていないことが惜しまれる。
  • マリオ以外に動くのは駒のヨッシーやノコノコぐらいで、大半のメンバーはカードの絵柄にしか登場せず、シリーズ全体のキャラゲーとしては味気ない。
    • マリオ以外の相手と対戦するようなことはできない。その分マリオのセリフの多さで補われているといったところか。

その他の問題点

  • 難易度の調節ができない。多くは運要素の強いゲームで影響は少ないが、完全実力勝負となるチェッカーではそれなりの手強さがあるので影響が出る。
  • バックギャモンでは駒の移動が遅く、それを何度も繰り返すことになるのでテンポが悪い。
  • 『Gallery』ではドミノのときのマリオの肩幅が広すぎであり、『FUNdamentals』ではピーチの顔つきが下の前歯のようになっており不自然。
    • 前者はともかく、ドット数が増えている後者で描写が劣化しているのは大きな問題。

総評

マリオやちびヨッシー・ノコノコの駒の賑やかなアニメーションを楽しみながらプレイできるボードゲーム集。
一方でゲーム性には細かな問題があり、内容は通常のボードゲーム集にすぎないことも、マリオシリーズのブランドを損ねかねないとして賛否両論となった。
しかし、一人称視点やフルボイス実装でマリオと対面する臨場感は、当時一般にも普及し始めたPCで簡単にインストールできたこともあり、北米で広く親しまれた。
チャールズ氏によるマリオがフルボイスで流暢に話す貴重な作品でもあるので、プレイ映像だけでも視聴してみると良いだろう。


余談

  • ゴー・フィッシュでプレイヤー側として発せられる「Mario, go fish!」のセリフのみマリオ以外による声高なボイスとなっている。
  • 同じくゴー・フィッシュでマリオが発する「Come here fishy-fishy.」のセリフを印象的に感じたプレイヤーが多いからか、一部でネットミーム化している。
最終更新:2023年09月17日 19:16

*1 家庭用以外も含めると、1992年4月に北米で稼働したゴットリーブ社のピンボール機が最初

*2 実物のマリオのボードゲームは数多く発売されている。