戦国無双4 Empires

【せんごくむそうふぉー えんぱいあーず】

ジャンル タクティカルアクション

対応機種 プレイステーション4
プレイステーション3
プレイステーション・ヴィータ
発売元 コーエーテクモゲームス
開発元 コーエー(オメガフォース)
発売日 2015年9月17日
定価 通常版 / ダウンロード版 / プレミアムBOX
【PS3/PS4】6,800円 / 6,000円 / 10,800円(税抜)
【PSV】5,800円 / 5,143円 / 9,800円(税抜)
プレイ人数 1~2人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 『2 Empires』準拠に戻った
人間関係を重視した新システム
エディット武将もイキイキと活躍
無双シリーズリンク


概要

シミュレーション要素を備えた『戦国無双4』の派生作品。無双武将は『戦国無双4-II』で初登場の井伊直政を加えた56人が参戦。
前作『戦国無双3 Empires』が不評だったためか、ゲームシステムを『戦国無双2 Empires』のものに戻しそこに『4』ならではの新要素を加えている。


特徴

主なゲームシステムは『2 Empires』に準ずる。戦闘システムは『4-II』に準拠し、アニメ版からの要素も続投。

  • 人間関係
    • 『4』の操作武将切り替えシステムを利用するための本作の目玉。『2 Empires』では総大将しか操作できず、本作でも基本的にはそうなのだが、
      武将同士の間に特別な人間関係が芽生える事があり、その武将を総大将・プレイヤーにすれば戦闘の際に関係が生まれた武将と操作を切り替える事が可能。
    • 人間関係は「親友」「夫婦」「盟友」「師弟」「忠臣」などがあり、戦闘で発生するミッションを達成すれば関係が進展していく。
    • 特別な関係になった武将を同じ部屋の奉行にすると効果がアップ。また、戦闘で接近すると奮起してステータスがアップする。
    • また、戦場で最初に操作する武将と親子等の血縁関係(一門衆)にある武将は最初から切替可能。一門武将が多ければ多いほど操作武将を増やす事が出来るので「4」本編以上にダイナミックな采配をする事も出来る。*1
      • 一般武将にも設定されている為、織田一族などの一門衆が多くいる勢力は操作武将を増やしやすい。
  • 固有武将
    • 後藤又兵衛や山本勘助ら人気のある武将88名とまつや江など姫武将104名、総勢192名の公式エディット武将がデフォルトで登場。中には固有セリフがある者もおり実質エディット武将のガワを被った無双武将とも言える。
    • 『3 Empires』では刀と槍しかいなかったが本作では固有武将の多くに大太刀が、姫武将にはそれに加えて薙刀と双剣も割り振られておりバリエーションが増えている。
    • 『4-II』までにDLCで兜や防具が配信されていたが、それらは使用されず全て初期実装のパーツで作成されている。*2
  • エディット武将
    • 『4』の醍醐味であるエディットももちろん健在。本作では枠が200人に増加しており、新しい衣装セットやボイスなども追加されている。
    • 既存武将と入れ替える機能が追加された。一般武将はもちろん、無双武将や固有武将も変更可能。
    • 肖像(顔グラ)や鎧の家紋、奥義発動時の文字の画像取り込みも可能。キャラクリ自体は似てなくても雰囲気で似せられるかも?
  • 創世演武
    • 真・三國無双7 Empires』ではアップデートで追加されたシナリオエディットが本作は最初から遊べる。
  • 政略画面は『2 Empires』の日本地図・『3 Empires』の城下町から「シルバニアファミリー」のようなミニチュアの城で武将達が寛いでいるものに変更。
    • 壁紙や旗は様々なデザインに変更できる。デフォルトはシックな色合いだが賃貸会社レオパレス21とコラボも行っており、無料DLCをダウンロードすればポップな柄にも変更可能。

評価点

  • 人間関係に重きを置いたシステム
    • 操作切り替えによって戦略性に深みが出るだけでなく、福島正則が10歳年下の大道寺直次に教えを請うたりガラシャが義父細川藤孝と好敵手になったりと意外な人間関係が見られる事もある。
    • 交流コマンドや戦闘で組ませる事で積極的に狙っていくのもいいが、自然発生する人間関係を楽しむのもまた一興。
  • SLG部分の強化
    • 無双Empiresにはありそうでなかった武将の政略能力値が実装。「采配」「智謀」「政治」と3つのパラメーターが10段階で用意されており、「信長の野望シリーズ」における能力値と同様の働きをする。
    • 本多正信等の文官武将は「智謀」や「政治」が高く設定されており、政略において文官ならではの活躍が出るようになった。
    • 無双武将で見ても、信長の野望シリーズと同様に万能な三英傑(信長、秀吉、家康)や、「采配」が最大の10である武田信玄と上杉謙信、「政治」が苦手な風魔小太郎、石川五右衛門などの個性が出ている。
  • 豊富なイベント
    • プレイ中にシチュエーションが整う(季節が冬だと「懐中の草履」、戦闘で苦戦すると家康が脱糞した「しかみ像」)とイベントが発生する。
    • 本作はエディット武将もイベントに参加しセリフを発するようになったため、作った武将が無双武将たちと会話する夢のような光景が見られる。
    • 秀吉が信長の草履を温めた「懐中の草履」や毛利一族の「三本の矢」といった歴史イベントが数多く用意されており、「真・三國無双2」等と同様に史実武将の代わりに無双武将達が再現する。イベントの内容も必ずしも逸話通りになるのではなく、無双武将の性格が色濃く出ており、時には逸話をぶち壊しにするギャグイベントになる事も。
      • 例えば「懐中の草履」では叱る側(信長)と、叱られる側(秀吉)に分かれるが、叱る側の武将が秀吉になる事もある。この場合は叱られる側の対応に対して「わしも昔やったわ」といった、その武将ならではのユニークな反応を愉しむ事も出来る。
      • 「三本の矢」のイベントは失敗することもあり、主君に手渡された矢を折ってしまいそれぞれの反応も含めて笑えるイベントになりやすい。ちなみに元就本人が折る展開もある。
      • あくまで独自解釈という形ではあるが、あの武将が「鳴かぬなら○○○ホトトギス」といった句や「人は城」の歌の下の句を考えていたら?というようなIFが見られるのもポイント。
      • 一度発生させれば後で実行武将を入れ替えて見直す事も出来るのでより楽しめる。
  • 固有武将
    • 武将のほとんどは史実のイメージを崩さない秀逸なデザイン。姫武将達も可愛らしくそれでいて個性的に作られている。
    • 好評だったのか『真田丸』にも引き継がれた。
  • アクション性の向上
    • ハード性能の進化や神速アクションの追加も相まって爽快感も過去作より格段にアップ。
  • 『戦国2 Empires』の評価点はそのまま
    • 陣形や戦場策で苦境を覆したり、工作で敵地を攻めやすくするといった戦略性の高いプレイが可能。

問題点

  • 味方NPCがあまり賢くない。
    • 「全軍突撃」や「委任」の指示を出すと敵が強化された赤エリアに突っ込んでいき自滅してしまう事がある。
  • 『4-II』譲りの高難易度と『Empires』独自のシステムの相性の悪さ
    • 特に最高難度「地獄」で相性の悪い陣形を引いてしまった場合、敵の陣形を強制的に打ち消す「大喝」を使うか大幅に兵力で上回らない限り勝利することはほぼ不可能。
    • 序盤は武器の属性付加もままならないため、本作の「地獄」はシリーズ最高峰といえる鬼畜難易度である。
  • なぜか武器属性「攻撃」が削除されてしまった。
    • 瞬間火力の不足が目立ち、相対的に難易度が上がっている。
  • エディット関連は先発の『三國7 Empires』と比較すると大きく劣る。
    • エディットのコピーやお気に入りに入れた武将だけを登場させるといった事は不可能で、音声のバリエーションも少なく、ネットへのアップロード・ダウンロードなどにも対応していない。
  • 創世演武に問題点が多い。
    • 配置の内容を保存できない。これも『三國7 Empires』のシナリオエディットでは可能だったので劣っている点。
    • 武将の並び順がなぜか「無双武将(登場順)→固有武将→姫武将→一般武将(以上地域順)→エディット武将(作成画面での順番)」となっている。名前でのソートも○ボタンを押しただけでは降順となってしまい非常に不便(カーソルを一旦右に動かす必要がある)。
    • 城名が変更されているシナリオでも配置をクリアすると掛川城が小谷城に、大阪城が岸和田城にとデフォルトの城名になってしまう。
    • 一勢力は15地域までしか支配下に置くことが出来ない。
    • 一度に配置可能な勢力数にも上限がある。全40ヶ国を全て独立勢力にするためには、DLCシナリオの流用が必要。
  • カスタムサントラがない
    • これも(ry。本作は画像取り込みがあるのでカスタムサントラもあれば臨場感が増しただろうに惜しい所。
  • 争覇演武のルールが1つで固定
    • 総取りルール(大名攻略)のみで、総取りの有無の設定や分断攻略などができない。
    • 大名がいる国を攻めて勝利すると、その大名が隣国へ撤退したりせずにそのまま勢力が滅亡する。そして所有する国を全て支配下に置けてしまう。
  • 合戦パートだけを遊ぶ「模擬演武」が無い
    • 『2 Empires』ではメニュー画面で模擬演武のあった位置が、上記の創世演武となっている。
    • シナリオエディットは『2 Empires』では争覇演武の中の1シナリオ(群雄割拠)で収まっていたため、独立したモードにする必要性は特にないはずだが……
  • 史実ドラマは無双武将とエディット武将でしか発生しないものが多い
    • 一般固有武将も個性豊かなので彼らでも見たかったという声が多い。
    • 一応「七難八苦」の山中鹿介や「日本号呑取り」の母里太兵衛など原典で関係のある武将ならば例外的にちゃんと発生するが……
  • 固有武将は名乗りの際とそれ以外でキャラが大きく食い違う事がある。
    • 特に織田信雄は名乗りの際は父信長のような威圧感ある台詞を言うもののそれ以外では快活な汎用武将と同じ声なので違和感が凄い。
  • エディット武将を引き継ぐと名前が強制的に初期設定の「新武将(あらた たけまさ)」になってしまう。
    • わざわざ入力し直すのはかなり面倒。
    • 仕様上、姓と名の両方の設定が必要になるため、横文字のキャラや2文字のキャラを作成していた場合は名前の途中で分割するか何か足すかするしかない。
  • 累積データがほぼ存在しない
    • 『2 Empires』では育てた武将のレベル・技能・武器鍛工などを累積データとして保存し、それ以降の新規データを開始する際累積データの引き継ぎを任意選択することで「強くてニューゲーム」が可能だった。
    • しかし今作は無双Empiresシリーズでも異例となる「一切のゲーム内引き継ぎ要素なし」という仕様。累積されるのはギャラリーにおける「イベント」などの収集ぐらいで、「強くてニューゲーム」がそもそも存在しないのである。
  • ギャラリーから見られるイベントのメンバーの初期設定は争覇演武で最初に発生した武将で固定されてしまう。
    • エディット武将で発生した場合、そのキャラを削除してしまうと空白になってしまいしまらないことになる。
  • ゲームプレイに関わる問題点ではないが、武将列伝に全く同じ説明が2名に渡り載ってしまっている箇所がある。

総評

『2 Empires』の利点はそのままに戦略性を高める人間関係システムを引っ提げてさらに進化した良作。
武将達がプレイする度に変わる人間関係を紡いでいく様は、さながらニンテンドーDSの名作『トモダチコレクション』を彷彿とさせる。
エディット関連を始めとした細部には難があるものの、自分だけの戦国時代を作りたいという人には胸を張っておすすめできる。

最終更新:2025年02月09日 23:57

*1 合戦パートはこの仕様と神速攻撃でのスピーディーな展開となる影響か、制限時間が最大でも15分と短くなっている

*2 山中鹿助の頭防具がDLCの鹿角兜ではなく鉢巻となっている等