ファイナルラップ
【ふぁいなるらっぷ】
ジャンル
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レース
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1988年8月12日
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定価
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5,200円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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バトル特化のレースゲーム 8人対戦は出来なくても個性はバッチリ
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概要
1988年8月にナムコが発売したF1レースゲーム。
基本的には同名のアーケードゲームのアレンジ移植だが、中身はほとんど別物になっている。
内容
レースのシステム
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自分のマシンを真後ろから見た形のフィールドビューで展開される。同社の『ポールポジション』と同様。ファミコンならば任天堂の『F1レース』もある。
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Aボタンで加速し、Bボタンがブレーキ。
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他に上ボタンを押しているとニトロを消費して、急加速や最高速で走ることができる。
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ニトロ非使用時の最高速は、使用時のそれより30~40km/hほど下回る。
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画面を上下に分けた構成になっており、対戦要素重視の作りになっている。上記作品との一番の違いで本作独自の点。
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上側が1Pで下側が2P。
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画面上部のコックピットは左側が1P、右側が2P。
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マシンカラーは1Pが青、2Pが赤。コースマップ上の位置を現す点も同じ色。
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他に緑色のマシンが動く障害物的な位置付けでコースを走っている。
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レース中のマシン仕様の挙動は、全体的にバトルに特化している。
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どのマシンに対しても後ろからぶつかるとスピードが大幅に殺される。
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横からぶつかり合う分には対等。
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これを利用してカーブなどでは、敵車をコース壁のように使うことでスリップによる減速を受けずにカーブをクリアしたり、敵車をそのままコース脇の看板に突っ込ませたりできる。
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コース脇の看板にぶつかると、スピンしてゼロ同然なまでにスピードダウンする。
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つまり、カーブでは内側にいるマシンが圧倒的に有利。
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マシンのチューニング。
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「ノービスモード」以外では、エンジン、ブレーキ、タイヤ、ニトロにポイントを振り分けてマシンをチューニングできる。
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エンジン
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ブレーキ
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タイヤ
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ニトロ
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ポイントを上げるごとに使用できるニトロの量がアップ。
ゲームモード
1Pモード
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マッチレース
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いわゆるステージクリアのモードで、計20戦をCPUと競い合う。
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20戦を勝ちきるとエンディングになる。
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一度は負けてもリトライできる。二度目に負けるとゲームオーバー。
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奇数回目は「ポイントアップチャレンジ」となり、ベストラップでCPUより速い記録が出せるとチューニング用のポイントが1つ増える。
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テストレース
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1台で行うフリー走行で、チューニングして8つのコースを自由に選択してテスト走行。
VSモード
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ノービスモード
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チューニングはできず、同じ性能で対戦する。
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先行している方にハンデが課されるので接戦になりやすい。
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この仕様上、ニトロは終盤まで温存するのが効果的。
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トーナメントモード
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4~8人が参加できる。チューニングはできないので対等な条件で戦う。
評価点
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2人プレイ時に、それぞれの視点でリアルタイムに対戦ができる。
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ファミコンでは今までなかった趣向だけに非常に斬新。
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後のゲームボーイ版『F1レース』のようなシステムは当時できなかっただけに、このようにお互いがそれぞれ自分のマシンを中心にした画面を持って対戦できるだけでも画期的だった。
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抜群のスピード感。
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このようなゲームでは外せない魅力。
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これは特に画面が狭いだけに一層それを感じやすく、既存のファミコンでの同じ視点のレースゲームと比べても見劣りしない。
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モードの幅広さ。
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1人でコツコツレースを楽しむもよし、対戦にしてもバトル重視のノービスと、戦略性が試されるエキスパートと特性の全く違う2つのモードで楽しめる。
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ビシビシで弾き合うバトルレースの快感。
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これまではマシン同士ぶつかるとクラッシュしたりするのが定番だったが、バチバチ弾き合うバトルはこれまでになかった快感が得られ、対戦は盛り上がること間違いなし。
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また、そんなバトルの見せ場を起こしやすい「ノービスモード」は、初心者からエキスパートまで実力差があってもバトルを楽しむことができ、本作の魅力を最大限に活かせる。
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チューニングはシンプルと幅広さを両立。
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特にややこしいこともなく、レベル方式のような形で飲み込みやすく、対応している要素もわかりやすい。
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ゲームオーバー画面が夕暮れと哀愁漂うBGMである意味で気分が良い演出。
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本来ゲームオーバーは演出的にあまり気分の良くないものが多いが、本作は後味悪さどころか戦い終わっての爽やかさすら感じるほど。
問題点
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テストレースでは下部の画面を持て余している。
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1台でのテスト走行であるため、まるっと1画面プレイヤー用に充てても良さそうではある。
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最高速が今一つ物足りない。
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本作の最高速度は320km/hと、F1でも1世代ほど前の水準にとどまっている。
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上述の通りスピード感は他作品と比べて劣ってこそいないものの、当時本物のF1はやっと350km/hに達した頃だというのにそれを凌駕するスピードが味わえるのがゲームだったので、そこはもっとその特性を活かしたオーバースペックの方が快感がより高まっただろう。
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トーナメントモードでチューニングできない。
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そのため全員がイコールコンディションなマシンになるため少々単調なものになる。
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またノービスモードのようにバトルが頻発しやすい仕様というわけでもない。
総評
さすがにアーケードでの8人対戦はファミコンでは無理筋ではあるが、当時のファミコンでは限界に近い形でリアルタイムな対戦レースができる。
このようなゲームでは最も大事なスピード感も抜群で操作性もナムコらしく非常に良い。更にチューニングのシステムなどファミコン独特の個性を持ち、アーケード版とは一味違った楽しみ方もできる。
更に実力差があっても接近しやすくバトルレースを存分に楽しめるノービスモードの搭載など、幅広い年齢層、エントリー層、コア層にすべて対してウェルカムで親しみやすい点も大いに褒められる。
その後の展開
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本作は1989年7月にPCエンジンのHuカードソフト『ファイナルラップツイン』としてアレンジ移植されている。
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この作品ではRPGスタイルな「クエストモード」が搭載されている。
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アーケードでは正式な続編として1990年に『ファイナルラップ2』、1992年に『ファイナルラップ3』、1994年に『ファイナルラップR』が稼働開始。
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1999年に発売されたWindows95/98用ソフト『ナムコ・コレクション Vol.1』にアーケード版1作目が収録されている。
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2000年3月23日にWSで『ファイナルラップ2000』、2001年11月15日にWSCで『ファイナルラップスペシャル』が発売された。
余談
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アーケード版の『ファイナルラップ』は『ポールポジション』の続編のような位置付けだった(参照)。
業界で初めて筐体間のデータリンクを使った通信対戦を導入した作品として知られており、最大8人まで対戦可能な点がウリであった。
最終更新:2024年08月13日 00:48