ファミスタ'91
【ふぁみすたきゅうじゅういち】
ジャンル
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スポーツ(野球)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2M+64KbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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ナムコ
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発売日
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1990年12月21日
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定価
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4,900円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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アウト、セーフがボイス化 ポジション制と守備力導入 ホームラン競争導入 失われたものも多い
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ファミスタシリーズリンク
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概要
1990年12月にナムコより発売された人気野球ゲームシリーズ第6弾。
前作で搭載されたリーグモードは廃止され、旧来スタイルなステージクリアのようなリーグ方式(コンティニューはパスワード)に戻された。
同時にバッテリーバックアップもなくなり『'88』『'89』同様の4,900円というお手頃な価格を取り戻している。
代わりにホームラン競争や選手トレード、ライバルシリーズでは既に取り入れられている詳細なポジション概念が新たに追加されている。
『'89』発売直前時、任天堂とのライセンス契約更改に絡む問題に伴い1989年内に2つ発売された影響でタイトルと実際の年度が1つズレて前作は『'90』と冠しながら実質『'89』だったように、本作も『'91』と冠しているものの実質『'90』である。
パッケージイラストのキャラは同年デビューし、一躍注目の的となった野茂英雄(近鉄バファローズ)を踏襲し背番号11でトルネード投法のフォームをしている。
本項目では前作からの変更点を主体に記述する。
変更点
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タイトル画面が一新されて、キャラがグランドで練習しているアニメーションデモが挿入され、それを介してお馴染みのタイトル画面に移行。
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「ストライク」「アウト」「ファール」などが音声合成になった。
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試合のイニング数を選べるようになった(5回or9回)。
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5回制では7回がないので恒例の「ラッキー7」ができないが、代わりに4回が「ラッキー4」になる。
むしろ、それはアンラッキーの色が濃いのでは…?
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選手にポジション区分、守備、肩力のステータスが追加された。
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「S>A>B>C>D」の5段階で、守備が高い選手はエラーをしにくく肩力が高い選手は送球のスピードが速い。
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「ノーエラーモード」にすることによりファミスタ初期スタイルな試合も楽しめる。
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『'88』以降、ボールを持った野手の走るスピードが極端に速くなり、足によるゆさぶりがしにくくなっていたが『'87』以前と同じちょっと速い程度になった。
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同時に『'88』から搭載された「(先攻・後攻)びいき」がなくなった。
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前作で3割打者にあった打球のラインドライブが廃止された。
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「プロスターズ」や「アニメスターズ」は『'89』同様プレイヤーが操作できない隠しチームに逆戻り。やはり強すぎたのだろう。
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前作までの球場が一新され、全て新しいものになった。
球場名
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モデル球場
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両翼
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中堅
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備考
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まりん
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千葉マリンスタジアム
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100m
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122m
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かわさき
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川崎球場
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90m
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118m
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しかご
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リグレー・フィールド
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108m
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122m
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とうもろこし
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オリジナル
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91m
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119m
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ゴロが転がりにくい
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ホームラン競争が導入。
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プレイヤーは誰か1人を選び、各球団の決められた強打者と対戦する(例・「ガイアンツ(G)」なら「はり(原辰徳)」、「オリエンツ(O)」なら「らんぼう(マイク・ディアズ)」)。
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基本的に5球又は9球勝負(上記のイニング選択と結びついている)で、それぞれホームランを打てれば「1」、打てなければ「0」がスコアボードに入る。相手の番ではピッチャーを操作する。打たれた後の守備の操作もできるが飛球をダイレクトキャッチできても特に意味はない。
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決められた球数終了時点で同点なら延長戦に突入(差が付くまで続くサドンデス方式)。
その前に片方が逆転不能になっても、途中で終わることはなく決められた球数分は絶対に行う(後手側がリードで最終球を迎えてもカットせず行う)。
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勝てば次の相手と対戦し、負ければゲームオーバー。試合同様ニュース画面で結果が告知される。
評価点
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他とは一味違ったホームラン競争。
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ライバルシリーズ『究極ハリキリスタジアム』(1988年発売)では初作の時点で搭載されていたが、こちらはあくまでもミニゲームの色が濃いもので、それとも差別化ができている。
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上記作では、かなりホームランが打ちやすくなっているが本作は普段通り。
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また、完全な対戦形式で他球団の強打者相手に勝ち抜く方式で、相手が打つ番では、これを守備練習に使うという利用法もある。
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もちろんこちらの打撃時もバッティングのタイミングを掴む練習に転用できる。
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旧作システムにも対応したノーエラーモード。
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エラーは運に依存した部分なので、実力での勝負にこだわる人にはうってつけ。
賛否両論点
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音声が搭載されたことで、本来ならば質が上がったのだが、それまで使われていたお馴染みのセーフやアウトのSEが失われた。
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ACで展開されている姉妹作の『プロ野球ワールドスタジアム』では既に取り入れられているとはいえ、ファミスタらしさがなくなったと惜しむ声も…。
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実際後述のパチスロでは、前作までのSEが使われている。
問題点
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自由度の高いリーグ戦がなくなった。
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CPUを交えた場合のスキップ機能など、やはりシステム的に秀逸だったので惜しまれる。
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本作では試合のイニング数が5回か9回か選べるが、前作はリーグモードで1・3・5・9回から選べたので実質劣化。
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球場のバリエーションが減っただけでなく、個性があまりなくなった。
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前作のような左右非対象の「ふえいふえい球場(モデルはアメリカの「フェンウェイパーク」)」や規格外に広い「大草原球場(オリジナル)」といった見た目のインパクトも抜群なスタジアムがあっただけに地味臭さが否めない。
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一応本作にも特殊な癖を持った「とうもろこし球場」というオリジナルスタジアムがあるが前作の「大草原球場」に比べると地味に感じられる。
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また球場のラインナップもかなり地味。
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これまでのシリーズでは日本プロ野球の看板的存在の巨人・阪神、その年の優勝球団である中日・西武、新球団であり旧体制の頃は一世代前の70年代無類の強さを誇ったオリックス(阪急)といった、その年の話題性や人気の高い球団の本拠地モデルの球場を採用してきたが、本作で実在球団本拠地モデルは新球団でもなく低迷の真っただ中で特別感もないロッテの本拠地「川崎球場」のみ。
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「プロスターズ」や「アニメスターズ」が使えなくなった。
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元々隠しチームだったので気にしなければいいが、選択の幅が狭まったことに違いない。
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トレードが可能になりながらもエディットが完全になくなった。
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自分で能力値を振り分けて好きな名前を付けたりする楽しみがなくなった。
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ポジション制の導入も中途半端な一面あり。
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それぞれにポジションが導入されたものの、トレード以外無関係。
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実際代打を出すこともできるので、基本的に貧打のキャッチャーは代打で早々と引っ込められる。
総評
無印ファミスタから『'87』『'88』『'89』までマイナーチェンジの繰り返しだったこともあってか、本作もその流れから考えれば旧来親しんだゲームスタイルは継承されており決してクソゲーではない。
しかし前作『'90』はそれまでの良さを活かしつつ使い勝手の良いリーグモードを導入したりと、目覚ましい発展を遂げたこともあり、それが維持すらされていないのは少々寂しいものがある。
新しく導入したポジション制にしても既にそれを導入していた野球ゲームも多かったことから没個性で今更感が強く、しかも代打が普通に出せてしまうなど中途半端な一面もある。
とどのつまり1990年シーズンデータで遊べるファミスタという程度の立ち位置にすぎず、劇的な進化を遂げた前作と比べれば劣化したイメージが強い。
実際徳間書店の「ビデオゲームパーフェクトカタログ」では前作が「究極のファミスタ」と謳って2頁を割いているのに対し本作は1頁の扱いでしかない。
その後の展開
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翌1991年12月10日に続編『ファミスタ'92』を発売。
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しかしスーパーファミコンへの移行も順調に進んだことに加え、野球ブームもすっかり今や昔でファミコンに限っても発売初週で1位を取れないという惨憺たる結果に終わった。
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ファミコンでのシリーズ展開は1993年末に『ファミスタ'94』が発売されるまで続いた。
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1992年3月27日にはシリーズ初のスーパーファミコンソフト『スーパーファミスタ』を発売。
余談
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「まりん球場」のモデル「千葉マリンスタジアム」は、この年に誕生した新球場である。
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ロッテは1992年シーズンからそれまでの「オリオンズ」から「マリーンズ」に改称し、本拠地をそれまでの「川崎球場」から上記の「千葉マリンスタジアム」に移転した。
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奇しくもロッテの新旧ホームグランドが顔をそろえた形になった。
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前年シーズン限りで阪神タイガースを退団しメジャーに戻ったセシル・フィルダー(ゲーム中の登録名「おひるだ」)がメジャーリーガーズにちゃんと入っている。
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この年はメジャーで本塁打王、打点王の二冠と大暴れしただけに最強クラスのステータスになっている。
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ゲームでは彼を阪神に入れることができるので地味臭く感じるトレードシステムも阪神ファンにとってはありがたいシステムだったかも知れない。
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ゲームのイメージとは正反対の哀愁漂うCMソングは、当時スーパーファミコン発売後という不遇な時期ながら話題になった。
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この曲調は同じまま歌詞のみを変えたものが『'92』『'93』でも使われている。
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実に27年後の2017年、ニンテンドー3DS版「ファミスタ クライマックス」のCMでまさかの復活。翌年2018年8月には、パチンコホールで導入開始されたパチスロ機『SLOTファミリースタジアム(メーシー)』でも、本作版のCMソングがレバーオン時のプレミアム演出に採用されている。
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CM「♪今日もファミスタ 明日もファミスタ」
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CM「♪今日もファミスタ 明日もファミスタ」2017
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これまでのネームバリューやこのCMの話題のおかげか野球ゲームブーム終焉後ながら本作も発売初週、ファミコンの中では売上ランキングの1位を取ることができた。
最終更新:2024年08月13日 12:07