ドラThink のび太のわくわく頭脳アドベンチャー
【どらしんく のびたのわくわくずのうあどべんちゃー】
ジャンル
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学習ソフト
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対応機種
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Nintendo Switch
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発売元
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小学館
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開発元
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フリュー ワンダーファイ グルーブボックスジャパン
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発売日
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2023年1月26日
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定価
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6,578円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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ボリュームは十分だが変化に欠ける ストーリーはかなり雑
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ドラえもんシリーズ
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概要
『百ますドラ算』以来となる楽習ソフトシリーズの1作。3DSの作品では一貫してジュピターが開発していたが、本作では『ゲーム ドラえもん』シリーズと同じフリューによる開発となっている。
賞品を求めて物語の世界に入り込めるひみつ道具「ゲームブック」で遊ぼうとしたのび太たちが、誤って賞品になってしまったドラえもんを救出するために戦いに挑むというストーリーになっている。
システム
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ターン制で次々に敵を倒し、ステージクリアを目指していくのが本作の基本システムである。
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こちらのターンでは、まずのび太・しずか・ジャイアン・スネ夫の4人から攻撃するキャラを選び、次にいくつかの手札から問題を、さらに攻撃を行う敵を1体指定し、問題を解く。解いた後はその敵に攻撃を行う。
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問題とは知育ミニゲームであり、5問連続で解いて正解度が高いほど大きなダメージを敵に与える。
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同じ問題を何度も解くと「熟練度」が上がり、問題が難しくなる代わりに与えるダメージ量が増える(熟練度が下がることはない)。また、問題と敵にはそれぞれ属性の概念があり、同じ属性の問題で攻撃することでもダメージ量が増える。
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敵は一定ターンの経過でこちらに攻撃を仕掛ける。攻撃を受けたキャラは スタミナが減り、0になると行動不能になる。全員のスタミナが0になるとゲームオーバーで、そのステージをやり直すかステージ選択に戻るか選ぶことになる。
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問題を解く代わりに、攻撃や回復などの効果があるひみつ道具を使うこともできる。道具はステージ選択前に各キャラにつき1つずつ選び、プレイ中は問題を解くことで溜まるゲージが満タンになると使用可能になる。一度入手した道具は何度でも使えるが、1度使うとまたゲージが溜まるまでは使用できない。
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全ての敵を倒すとそのラウンドはクリア。全ラウンドをクリアするとステージクリアとなり、次のステージに進めるようになる。
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ステージには3つのミッションが設定されており、その条件を全て達成すると新しいひみつ道具がもらえる。道具にはステージで使えるものと使えないものがあるが、いずれもコレクションから説明が見られる。
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ステージクリア後は経験値が増える。一定値に達すると、基礎攻撃力(問題を問わず必ず与えられるダメージ)とスタミナが上がる。
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一部のステージはシステムが異なり、敵が出現しない代わりに迷路を解いていく。こちらは時間切れになった時点でゲームオーバー。
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本編とは別に「トレーニング」というモードがある。難易度別に1分間で問題を何問解けるか試す「毎日トレーニング」と、何問かを連続して解きデータを記録する、1日1回だけ挑戦できる「毎日トレーニング」からなる。
評価点
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演出面
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過去の楽習ソフトシリーズと違い、ドラえもんとのび太以外も登場し、ボイスもきちんと収録されている。
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のび太の部屋での出来事だったり、夢だったりと何かと理由をつけてのびドラのみの登場が続いていた本シリーズだが、ようやく一通りの仲間が出演することに。
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レベルアップの要素
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問題を解く以外に上げる手段がないのでシステム上はあってないようなものだが、ゲームを進めるにつれてレベルが上がり攻撃力やステータスが高まっていく様子はやる気を起こさせる。
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後述する問題点もあるが、解けば解くほど難しいトレーニングになっていくのも評価点。解けなければ難易度上昇は止まるため、難しくなり続けることもない。
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問題の内容
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ひとつひとつが短い分ステージ数自体はそこそこ多く、1日ずつ時間を決めて進めていくやり方に合っている。
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知育というアバウトなテーマに絞っている分、問題のバリエーションも多く、難しいものでは大人の脳トレにも使える。
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問題の視覚演出がわかりやすい。立体図形の問題では、視点が変わることで見える形状も変わる様子が直感的に表されている。誤答した際、どこが違うのかを平易に表示してくれるのもこれまた評価が高い。
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トレーニング
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これまでの楽習ソフトシリーズでは履修済みか否かだけが表示されるか、そもそも機械的に復習するだけのものも多かったが、本作ではきちんと問題・難易度ごとにハイスコアが記録される。何度も反復練習したくなる良い設計である。
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1日ごとに技能を測るトレーニングも『ドラがな』以来となる復活。保護者と見て成長を感じ取りたい。
問題点
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ゲームが総じて単調
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難易度変化や属性攻撃の要素がある分『ドラもじ』よりはマシだが、それでもゲーム進行はかなりワンパターンである。問題を解く以外にやることは一切無い。
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ストーリーに至っては同作以下の代物で、ゲームブックという設定なのに誰一人として台詞のあるキャラが登場しない。道に迷う、妨害があるといったシーンも一切無く、誇張抜きに「のび太たちが城を攻略して終わり」である。まるで没入感などない。
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キャラがドラえもん風ではない
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敵キャラやミニゲームなどの意匠がドラえもん(藤子・F・不二雄)テイストではない。メインキャラだけ画風が違うのでかなり浮いている。
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過去の楽習ソフトシリーズではオリジナルながらも原作に近い見た目で世界観・キャラクターが構成されていた。言うならば、本作にはドラえもんのゲームにする必然性がない。
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それもそのはず、実は本作はアプリゲーム『シンクシンク』の問題を抜粋して収録している作品である。移植にあたって原作の画風がそのままにされた結果、違和感を感じやすいチグハグな見た目になってしまっている。
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問題の見た目による選り好みの問題
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これは『シンクシンク』の時点から言われていることであるが、コミカルな見た目の問題と堅苦しい見た目の問題が共存しており、子供は前者ばかり選ぶことが多くなってしまいがち。
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無論デフォルメには限度があり、ある程度格差が出てしまうのは仕方ない。しかしシステム上、同じ問題を解けば解くほどその問題の攻撃力が強くなるため、ますます一部の問題が遅れたまま進みやすい。
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熟練度が低い問題から優先的に出現するといった配慮は(おそらく)存在しない。
総評
過去の楽習ソフトシリーズと違い、外部から持ってきた問題にドラえもん(風)のキャラとストーリーをくっつけた作品であり、キャラゲーとしての完成度はかなり低い。ゲームシステムそのものは子供向けにちょうど良いが、「ドラえもんの学習ゲーム」というコンセプトは期待しない方が良い。
問題については、思考力を高めるという部分ではクオリティの高い問題も多いものの、ゲームシステム上必ずしも全ての技能が鍛えられるとは限らないため、プレイヤー側で節度を持ったプレイをすることが必要になる。
総じて、難しい見た目の問題でも忌避せずにこなし、必要な技能を自主的に身につけられる意識の高い子供向けの作品と言えるのではないだろうか。
最終更新:2024年05月25日 16:52