本項ではPS2用ソフト『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄』と、移植版であるPSP用ソフト『かまいたちの夜2 特別篇』の紹介をしています(判定はいずれも「なし」です)。



かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄

【かまいたちのよるつー かんごくじまのわらべうた】

ジャンル サウンドノベル
対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 チュンソフト
発売日 2002年7月18日
定価 通常版: 6,800円(税別)
初回限定版: 9,800円(税別)
プレイ人数 1〜2人
廉価版 PlayStation 2 the Best
2003年4月3日/3,000円(税別)
判定 なし
備考 廉価版は初回限定版に準拠した仕様
ポイント 推理ゲームとしてはやや一本道に
グロ・スプラッタ・鬱要素が大増量
ミステリーの皮を被った怪奇ホラー
チュンソフトサウンドノベルシリーズ

概要

サウンドノベルの代名詞的名作『かまいたちの夜』の続編。
雪山の山荘が舞台だった前作に続き、本作は絶海の孤島という新たなクローズドサークル定番の舞台で起こる殺人事件の解決を目指す。
シナリオ担当として前作と同じく我孫子武丸がメインにクレジットされているが、実際には大半のルートは田中啓文と牧野修*1の両名が分担して執筆しており、我孫子氏は全体の監修と短いサブシナリオの担当にとどまっている。
初回限定版の「スペシャルBOX」にはメイキングなどの特別映像を収録したDVDが付属する。
後に出た廉価版は通常版ではなく「スペシャルBOX」に準拠した仕様で、同様の映像ディスクが付属する。


あらすじ

『かまいたちの夜』というゲームがある。

1年前にペンション「シュプール」に滞在していた実在の人々をモデルに、「シュプール」で起こる惨劇を描いたテレビゲーム『かまいたちの夜』。
その大ヒットの礼として、透と真理は『かまいたちの夜』の原作者である「我孫子武丸」の別荘・三日月館があるという絶海の孤島・三日月島に招待された。
しかし、そこで透たちを待ち受けていたのはゲーム『かまいたちの夜』さながらの惨劇であった…。

+ 登場人物(長いので折りたたみ)

登場人物

  • 矢島 透(やじま とおる)
    • 前作から引き続き主人公を務める。名前は変更可能。同じ大学に通っていた真理に想いを寄せている、という点は『かまいたちの夜』の作中と同様。
  • 小林 真理(こばやし まり)
    • ヒロイン。名前は変更可能。透とは『かまいたちの夜』の作中同様友達以上恋人未満の関係だが、家庭の事情で北海道に引っ越しており、今回の旅で透と久しぶりに再会する。
  • 小林 二郎(こばやし じろう)
    • 信州でペンション「シュプール」を営む真理の叔父。実は我孫子から招待を受けておらず、数日前に友達と旅行に行った妻の今日子に留守番を任されていた。
    • しかし、今回の話を真理から聞いてゲームの舞台のモデルとなったペンションオーナーの自分を招かないとは何事だとシュプールを臨時休業にし、強引に真理に同行して三日月島にやってきた。
  • 香山 誠一(かやま せいいち)
    • 大阪の会社社長。『かまいたちの夜』の作中にも登場した妻の春子とは既に離婚しており、現在は夏美と再婚している。招待状は本来なら当時の彼ら夫婦に来ていたのだが、別れた春子とは流石に今更来れないということで新妻の夏美と共に来た。
  • 渡瀬 可奈子(わたせ かなこ)
    • 19歳のOLで、気の強いロングヘアの美女。
  • 北野 啓子(きたの けいこ)
    • 可奈子と同い年の親友兼同僚で、色気より食い気が勝るぽっちゃり体型の女性。
  • 美樹本 洋介(みきもと ようすけ)
    • フリーのカメラマン。長身で口髭を蓄えた山男のような外見だが、振る舞いは紳士的。自家用クルーザーを持っている。
  • 久保田 俊夫(くぼた としお)
    • 「シュプール」で住み込みのアルバイトをしていた男性。みどりとの結婚を機に大学を中退し、現在はスポーツ用品店で働いている。妻のみどりを連れて三日月館を訪れた。
  • 久保田 みどり(くぼた みどり)
    • 旧姓は篠崎。「シュプール」で住み込みのアルバイトをしていた女性。俊夫と結婚し、彼と同じスポーツ用品店のパートとして働いている。
  • 香山 夏美(かやま なつみ)
    • 香山の新しい妻。派手な見た目に気の強い関西弁と、前妻の春子とは正反対の女性。
  • 正岡慎太郎(まさおか しんたろう)
    • テレビゲーム『かまいたちの夜』を手掛けたゲームプロデューサー。軽薄な女好き。閉所恐怖症のため、宿泊場所である三日月館が窓のほとんどない監獄じみた建物であることに参っている。
  • 村上つとむ(むらかみ つとむ)
    • 自称「大物作曲家」。『かまいたちの夜』の続編のBGMを手掛けることになり、打ち合わせのため島に呼ばれた。プライドが高く激昂しやすい性格。
  • 菱田キヨ(ひしだ キヨ)
    • 三日月館の管理を任されている老婆。
  • 我孫子武丸(あびこ たけまる)
    • 『かまいたちの夜』の原作者。ゲームが大ヒットして大金を得たため三日月島の別荘を買い付けたとのことで、当時の関係者らを島に招くが、肝心の本人は一向に姿を見せない。
    • ゲームの内容から1年前の吹雪の日に「シュプール」に滞在していた誰かかその関係者だと思われるが、その正体は謎に包まれている。

その他、メインメンバーではないものの、前作の登場人物であった河村 亜希(かわむら あき)小林 今日子(こばやし きょうこ)香山 春子(かやま はるこ)らも異なる形で登場している。
前作同様、サブシナリオで設定が一部変更されたり、新たな登場人物が出現することもある。


シナリオ

  • わらべ唄篇(田中啓文):「三日月館」で起こる連続殺人事件を解決するメインシナリオ。

事件を解決してトゥルーエンドを見ることで、新たなサブシナリオにつながる選択肢が段階的に解放されていく。
それと同時に「わらべ唄篇」にも本筋から外れたバッドエンドが多数追加される。

+ サブシナリオ、微ネタバレ注意
  • 底蟲村篇(田中啓文):不老不死の伝説が残る廃村「底蟲村」にまつわるホラー調のシナリオ。
  • 陰陽篇(牧野修):到底人間には不可能な方法で人が次々と殺されていく、ホラー色の強いオカルトシナリオ。
  • サイキック篇(牧野修):ヒロインの真理が主人公となり、彼女の超能力サイコメトリーで事件を究明するサスペンスシナリオ。

以上のトゥルーエンディングを全て見ると「ピンクの栞」が解放され、以下のシナリオが出現。

  • わらび唄篇(我孫子武丸):何かの事件に巻き込まれることを危惧した透が奔走するパロディギャグシナリオ。
  • 官能篇(牧野修):透が何故か色仕掛けの誘惑に巻き込まれていく官能的シナリオ。
  • ぼくの恋愛篇(田中啓文):短編ストーリー。招待され島に訪れた主人公と真理の前に現れたのは…。
  • ぼくの青春篇(田中啓文):短編ストーリー。透は真理に長年の想いを伝えるため島を目指す。
  • ラブテスター篇(我孫子武丸):PS2版限定。本編とは独立した2人プレイ専用おまけシナリオ。透と真理が本格的なデートをする。

上記のうちラブテスター編を除いたシナリオのトゥルーエンディングを全て見ると「黒の栞」が解放され、以下のシナリオが出現。

  • 妄想篇(牧野修):まるで悪夢の中のような不可解な描写がなされるホラーシナリオ。
  • 惨殺篇(牧野修):館で起こる連続殺人の中で狂気に侵されていく、題名通り残虐要素の強いシナリオ。
  • 洞窟探検篇(牧野修):岸猿家の財宝を求めて地下迷宮を進む謎解きシナリオ。
  • 陰謀篇(?):厳密には独立したシナリオ扱いではない。特定の場面で暗号を解くと現れる隠しメッセージ。

以上のバッドエンドを含む全てのエンディングと上記の隠しメッセージを見ると「金の栞」が解放。
ただしこれで解禁されるのは新たなシナリオではない。


特徴・評価点

  • グラフィックの強化
    • ハードがPS2になったことで、SFCだった前作と比べてグラフィックの表現力が格段に向上した。
    • 登場人物がシルエットなのは前作同様だが、のっぺりとした「影」だった前作とは異なりクリスタル状のポリゴンとなっている。また前作では限られたシーンでしか使われなかったキャラクターのアニメーションが随所で挿入されるようになり、臨場感と表現力が大幅に増している。
    • 人物とは逆に、背景はよりリアルな実写になった。中でも打ち寄せる波や風に揺れる樹木といった動きのある背景ムービーは、ループの継ぎ目がわからないほど自然なものに。
    • 舞台となる三日月館は3Dモデルで制作されており、前作よりも凝った演出が可能となった。
  • ボリュームの増加
    • 初回から遊べるメインシナリオである「わらべ唄篇」をクリアすると、「サイキック篇」「陰陽篇」「底蟲村篇」の3本が開放される。その後は、各シナリオのトゥルーエンドを迎えていくことで、ピンクの栞 → 黒の栞 → 金色の栞とさらに進めるルートが増えていく。
      • ピンクの栞はお約束の「官能篇」を始め、ギャグ要素が強い短編ルートものが豊富に用意されている。一方で黒の栞で開放されるシナリオは他ルートにも増して異質なものが多い。
    • エンディングの数はバッドエンドを含め全ルートを合わせると100以上。前作は50程度だったのでボリュームは倍増と言って良い。
  • 遊びやすいUI
    • 前作のPS版で追加されたフローチャート機能はより洗練。選択肢と章のつながりが一目瞭然なのはもちろん、シーンをつなぐラインが可変式になってネタバレを防止していたり、複数のルートに分岐する地点が緑色のボックスで表示されるようになったりと周回プレイ時も遊びやすくなっている。
  • 推理要素やサスペンス要素は健在
    • クローズドサークルで巻き起こる殺人事件の緊張感と、それを解決する推理ゲームとしての面白さは健在。
    • バッドエンドの中には他のルートの推理を覆す可能性を示唆しているものがあったりと、ゲームという構造を上手く推理ものに落とし込んでいる工夫も前作同様に見られる。
  • 良質なBGM
    • 新曲はいずれも新たな作曲家が制作。舞台である三日月島にあった和風のサウンドが多く、緊張感を掻き立てている。
    • 「ひとつの推理」など前作のBGMも使用されている。

賛否両論点

  • 前作が作中作扱いになっている
    • 本作は「『かまいたちの夜』というゲームがある」という、前作『かまいたちの夜』を作中作のゲーム扱いする一文からスタートする。前作プレイヤーからすればなかなか衝撃的な出だし。
    • プレイヤーの興味を惹くキャッチーな出だしではあるものの、「前作で描かれたエピソードはすべて架空のフィクションである」というメタフィクション的なちゃぶ台返しがいきなり行われており、前作に思い入れがあるプレイヤーは複雑な心理になるかもしれない。中には「『2』の設定は受け入れられない」という声もあるほど。
    • 一方でこのような設定であるため、「ゲーム」の出来事である前作の殺人事件に関する直接的なネタバレは無く、本作から始めても特に問題ないようになっている。序盤でゲームの犯人を知っているか聞かれたりする質問はあるが、それも物語の本筋には関係しない。
  • グロ・スプラッタ要素が多い作風
    • ミステリー・ホラー要素が強いジャンルのため、前作も刺激的なシーンは多かったものの、本作ではグラフィックの向上により直接的な映像描写が増えたこともあり、精神的に恐怖を与える描写や流血シーンが大幅に増量されている。
      • ギャグ調の短編シナリオを除き、ほとんどのルートにはこうしたショッキングな要素が多かれ少なかれ含まれている。全体のボリュームが増えたこともあり、「ずっと鬱々とした話が続く」という印象になりがち。
    • バッドエンドはもちろんトゥルーエンドであっても救いが無いような展開も多く、いわゆる鬱要素も多分に含まれている。
    • 他にも、サブシナリオの1つ「妄想篇」は全編通して悪夢の中のように脈絡がなく支離滅裂な、いわゆる電波的なテキストと展開が続く。
      • しかし最後までクリアすると、主人公が狂気に陥った理由と彼が見ていたものの正体が明らかになるという仕組みになっている。非常に後味が悪く好みが分かれるものの、構成の巧みさや印象的な演出を高く評価する声も少なくない。
  • トゥルーエンドの構造
    • 前作ではプレイヤーの選択次第で物語が分岐するという触れ込みであり、グッドエンドでは「主人公とヒロインが事件を解決して無事に生き残る」という綺麗な締めくくりが基本となっていた。
    • しかし今作における「トゥルーエンド」は物語としての完成度を優先した形となっており、陰惨な結末を迎えるケースもかなりの頻度で見られる。前作と違い、主人公とヒロインが離れ離れになってしまうという終わり方も多い。
    • これに伴い「トゥルーエンド」と「バッドエンド」の関係性も変化しており、場合によっては物語として中途半端に終わるバッドエンドの方が、主人公視点で見るとむしろハッピーエンドになる場合もあるという逆転現象が起きている。
      • 一例として、「陰陽篇」では推理の結果多くの人間が生き残り綺麗に大団円で終わるエンディングが、全ての謎を解いていないためなのかバッドエンド扱いになる。逆に「完」扱いのトゥルーエンドでは大量の死者が出てしまう。
    • 後述のように、前作ではミステリー編で犠牲を最小限に抑えたグッドエンドでは事件の全貌が明らかにならず一連の物語として見ると不完全という点もあったため、主体を主人公の行動選択に置くか、物語の完成度として見るかの違いではある。
  • 突拍子もないバッドエンドが多い
    • 大量に盛り込まれたバッドエンドは話のバリエーションを広げているものの、展開の前後に脈絡のないナンセンスなものも多い。
    • 一応、その大半はメインシナリオクリア後の追加選択肢によるお遊びなのだが、「突飛で面白い」という声もあれば「悪ノリが過ぎる」と否定的な声もある。
    • 前作のバッドエンドはそれまでのシナリオの流れと矛盾しない現実的なIF展開のような形で描かれることが多かったのだが、今作のバッドエンドはシナリオの設定そのものが大きく変わってしまったり、ギャグやシュールさを狙った一発ネタ的な超展開になることが多く、ここでもやや作風の変化が見られる。
      • 一例として、推理シーンでふざけて「自分が犯人だ」と言った場合、前作では激昂した登場人物に殺されるというバッドエンドだったが、本作では自白したことを褒められ、さらに外に待っていた警察に連行されるというそれまでの流れからはありえないギャグ展開になる。
      • 本格ミステリーを謳ったはずのメインシナリオ「わらべ唄篇」にて、それまでの流れとは異なる理不尽なオカルト色の強いバッドエンドがいくつも混じっている。本作にはそれとは別にオカルト系のサブシナリオも複数存在するため、ミステリーシナリオにまでそれを絡ませるのはやりすぎとの否定的な意見もある。
      • 前作の後に出たサウンドノベル『』には荒唐無稽なギャグエンドも多かったため、そのノリが今作にも引き継がれたのかもしれない。
    • 中には本編とは全く別の人物が犯人だった場合のIF展開を描くなど、意外性のあるバッドエンドも存在する。

問題点

  • 推理によって連続殺人を止められない
    • 前作『かまいたちの夜』は、プレイヤーの選択と推理によって殺人事件とゲーム全体の構造が大きく変化する点が高く評価されていた。
      • 具体的には、前作では序盤の推理シーンで真相を見破ることができれば、最も犠牲者が少ないトゥルーエンドにたどり着ける。
      • 一方、中盤の推理シーンで犯人を当てられればクリアはできるものの後味が悪いビターエンドに、そして推理に失敗すると惨劇のバッドエンドへ…という構造だった。
    • しかし本作では、終盤まで進み連続殺人の犠牲者が複数出てからでないと物語の全貌が明かされるトゥルールートに進むことはできない。
      • 最初の殺人を防いで犠牲者を出さずに終わらせたり、最初の殺人が起こった直後に犯人を当てて以降の事件を防ぐ結末も用意はされているので完全に一本道というわけではないが、いずれも事件の全貌が明らかにならなかったり、惨劇を止められない展開となるためバッドエンド扱い。前作とは逆の構造となってしまっている。
    • 逆に犯人当てを失敗した場合でもさらなる殺人は起こらない。前作で評価された「プレイヤーの選択肢によって展開が大きく変化する」という要素がかなりオミットされており、良くも悪くも普通のミステリーノベルゲームに近くなっている。
  • 「わらべ唄篇」の矛盾点・ツッコミどころ
    + ネタバレ注意
  • メインシナリオのトリックは、50年に一度の大風の日「鎌イタチの夜」にあわせての犯行だったが、50年前とそっくり同じ状況にならなかったら成立しないハイリスクなもので、ご都合主義感が強い。
    • 真犯人の指名の後、犯行に使用された大きなトリックの1つが明かされるが、ミステリーとしては反則級のオーバーテクノロジーが用いられている。
    • 最初の犠牲者は殺される直前に他の人物と部屋を交換していたことが明らかになっているのに、終盤になるまで誰も「その交換相手が狙われていたのではないか」とは考えない。
    • また犯行は古くから存在するわらべ唄に見立てた殺人であり、最初の犠牲者が出た時点でわらべ唄を知っている登場人物が見立て殺人であることに気付くのだが、こちらも終盤になるまで「わらべ唄の内容から次に狙われる人物を予想する」という定番の流れにもならない。

総評

前作『かまいたちの夜』は、プレイヤーの選択がミステリーを左右するというインタラクティブ性が高評価され、サウンドノベルの代表的傑作と評された。
しかし本作ではそうした双方向性は大きくオミットされ、無難な一本道のミステリーノベルゲームとなってしまった*2うえ、作風も全編通して精神的恐怖要素が多く好みも分かれる。
もっとも、一本のミステリーゲームとして見れば決して出来が悪いわけではないため、怪奇ホラー系の作風を許容できる人であれば十分楽しめる作品ではあるだろう。


かまいたちの夜2 特別篇(PSP版)

【かまいたちのよるつー とくべつへん】

ジャンル サウンドノベル
対応機種 プレイステーション・ポータブル
発売元 セガ
開発元 チュンソフト
発売日 2006年5月26日
定価 4,800円(税別)
レーティング CERO:18歳以上対象*3
廉価版 SEGA THE BEST
2007年8月30日/2,500円(税別)
判定 なし

概要(PSP)

「サウンドノベル・ポータブル」第2弾として『街 ~運命の交差点~ 特別篇』に続いて発売。


変更点(PSP)

  • 画面比率がPSPに準じた「16:9」(ワイド)に対応。従来の「4:3」にも変更できる。
  • サウンドが再構成され擬似サラウンド化されている。
  • 同時期にPSPへと移植された『街』同様、サウンドプレイヤーが追加されている。
    • 『かまいたちの夜2』で使われたほぼ全曲に加え、前作『かまいたちの夜』の曲も収録されている。
  • 「ピンクの栞」で出現する新録のサウンドドラマ『ちょっとHなかまいたちの夜2』が収録されている。条件を満たすとサウンドプレイヤーに出現。
    • キャストは初代から一新されており、『2』のドラマCDとも一部異なる。
    • 代わりに、仕様の違いにより「ラブテスター篇」は未収録となった。
  • 本編シナリオの内容自体はPS2版とほぼ同一のままだが、暴力や官能など一部の過激描写が削除されており、その関係で細かい表現が差し替わっている箇所がある。
    • 特にグロテスクな表現の多かった「惨殺篇」が顕著であり、死体や殺人に関する描写の文章や画像が直接的な表現を避けたマイルドなものになっていることが多い。
  • エンディングでは移植スタッフ及びサウンドドラマの声優のスタッフロールが追加されているためか、PS2版であった演出はオミットされずっと黒背景のみになっている。
    • カットされた演出は多くの場合シナリオ中の特等的な場面の背景絵が表示されるだけだったものの、「惨殺篇」では本編後から繋がる内容の専用ムービーが用意されていたため、これらが無くなったことを惜しむ声もある。
  • 細部を除けばPS2版のほぼベタ移植であり、PSP版独自のメリットは携帯機でプレイできることやサウンドプレイヤー、音声ドラマ程度のみ。

その他

携帯アプリ版(参考記述)

  • 2004年に携帯電話アプリ(フィーチャーフォン用)として移植された。
  • 「わらべ唄篇」「底蟲村篇」「陰陽篇」「サイキック篇」「わらび唄篇」の5シナリオのみプレイ可。
    • 初代と同じくそれぞれのシナリオが個別に分かれて配信された。
    • 容量の関係で選択肢やシナリオが削減・一部変更され、エンディングも大幅に減っている*4
      • エンディングの大幅削減に伴い、わらべ唄篇はシュールなバッドエンドが一掃され、数少ないバッドエンドも新たに文章を改稿した新規のものになっており、PS2版の矛盾を解消したものになっているものもある*5
    • 前述の「陰陽篇」のトゥルーエンドと解決バッドエンドがそれぞれ入れ替わっているなどの変更もある。
  • ケータイ小説として、小説版収録の独自シナリオを掲載。『三日月島奇譚』より田中啓文氏書き下ろしのゲームブック『香山さん探偵帳』『あなただけのかまいたちの夜2』より大賞受賞作「聖母篇」を掲載。
  • 初代と違い、スマートフォン版はリリースされていない。

余談

  • PS2の限定版には特典として、本ソフト発売と同年に放送されたTVドラマ版のDVDが付属している。
    • 単独でソフト化は一切行われていないものの、現在はTBSオンデマンドやHuluなど一部の動画配信サイトで視聴可能。
  • 本作のみ、各シナリオの「へん」の漢字表記が「~」ではなく「~」になっている。
    • 続編『×3』や『真』では再び「~編」に戻された。
  • 本作でメインライターを担当した田中氏と牧野氏の両名はゲームにほとんど縁がなかったらしく、公式ファンブックで田中氏が「前作はギャグゲームだったんでしょ?本編からの分岐はすべてギャグだと思った」と言った旨を発言している。
    • 後に『かまいたちの夜×3』の初回限定特典小説に収録されたゲームブック「〆切り編」が、本作制作当初に我孫子氏が田中氏・牧野氏に対してサウンドノベルのシナリオ構造を説明するために書いたものとなっているのだが、これも同様に選択肢を間違えると即バッドエンド系の作品であった。
      • これを参考にしたがために「本筋から外れるとバッドエンド」という方針が染み付いてしまったのではないかと言われることもある。
  • 前作同様にユーザーからの公募シナリオを募集する企画があり、優秀作品が『あなただけのかまいたちの夜2』として書籍化されている。
    • 大賞を受賞した「聖母篇」は、その完成度から上記のように携帯サイト公開シナリオとしても登場するまでに至った。
    • また、同書籍発売に合わせて惜しくも入選を逃した作品を特設サイト上で公開する『あなただけのかまいたちの夜2 another side』という企画も期間限定で行われていた(現在は公開終了)。
  • 上記以外に、本作のシナリオを手がけた3名の作家による書籍『かまいたちの夜2 オリジナルノベルズ 三日月島奇譚』も発売されている。
    • こちらの一編であるゲームブック『香山さん探偵帳』も後に上記のように携帯サイト公開シナリオとなった。
  • ドラマCD『かまいたちの夜2 監獄島のわらべ唄 オリジナルストーリードラマ』も発売されている。
    • 俊夫を主人公にしたオリジナルストーリーだが、謎の空間で囚われた彼の独白を中心に他の人物が1人ずつ現れるという変わった内容であり、本編のサブシナリオ同様に陰鬱かつシュールな雰囲気。キャストはPSP版と一部異なっている。
  • 本作で『1』が架空の出来事とされてしまったため、それに反発した『1』に思い入れのあるファン達によって、当時「『1』の殺人事件が本当にあった出来事とした上の"続編"」や、「『2』を架空の出来事とするパロディ作品」が独自にフリーソフトで作られたりもしていた。

その後の展開

  • 次作の『かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相』は、この『2』本編における設定を引き継いだ直接の続編かつ完結編になっている。
    • メインシナリオの脚本が再び我孫子氏に戻り、構造も『1』のものを踏襲して「プレイヤーが連続殺人を防いでいく」タイプのミステリーに戻っている。
    • 『1』と『2』の本編も同時収録されている。
  • 本作の「ラブテスター篇」と同様の形式を採用した2人プレイ専用シナリオが、PSV版『真かまいたちの夜 11人目の訪問者』にも「ふたりでかまいたち」として収録されている。
    • シナリオは新規で登場人物も異なるが、ペンション「シュプール」が少し登場している。
  • のちに発売されたサウンドノベル『忌火起草』では、本作の一部シナリオを執筆した牧野修氏がシナリオを手がけている。
最終更新:2024年10月21日 22:30

*1 共にミステリー・ホラー畑の作家。牧野氏はゲームのノベライズも多く手掛けている。

*2 後のインタビューで『かまいたちの夜』がウケた要因は小説にグラフィックとBGMがついたことであり、展開分岐はあまり重要でないと判断してしまったことが原因と語っている。

*3 改定後のレーティングはCERO:D(17歳以上対象)となっている。

*4 それぞれ、「わらべ唄篇」23個 → 3個、「底蟲村篇」14個 → 3個、「陰陽篇」14個 → 4個、「サイキック篇」19個 → 7個、「わらび唄篇」3個 → 2個。

*5 真犯人が謎を残したまま自害するバッドエンドで、PS2版ではその後何事もなくシュールなオチで終わったものが、携帯版ではトゥルーエンドと同様の惨事が発生するなど。