コナミックスポーツ イン バルセロナ
【こなみっくすぽーつ いん ばるせろな】
| ジャンル | スポーツ(オリンピック) |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| 発売・開発元 | コナミ | 
| 発売日 | 1992年7月17日 | 
| 定価 | 3,500円 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ナゾの11種競技 ゲームとしてのバランスは良いがオリンピックらしくない
 ソウルに比べてバリエーションもボリュームもダウン
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| コナミックスポーツシリーズ イン ソウル / イン バルセロナ
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概要
『コナミックスポーツ イン ソウル』(1988年9月16日発売・FC)の続編で『ハイパーオリンピック』(AC・FC)の流れを汲んだ、オリンピック競技スタイルのスポーツゲーム。
権利関係の都合上「オリンピック」という名称が使えないため、タイトルには明記されていないが『ソウル』同様、同年開催された第25回バルセロナ夏季オリンピックを模して作られた。
発売日も『ソウル』と同様に現実のバルセロナオリンピックの開会日(1992年7月17日)に合わせられている。
内容
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前作同様にオリンピックを模した内容だが、国と言うよりも完全に個人戦のようなスタイルになっている。
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ゲームのモードは3種類で、種目は11種目が収録されている。
 
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根本的にはスコア方式が取られており、それぞれの競技の記録に応じてスコアが割り振られている(1000点満点)。
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各種目で現実に応じた世界記録が設定されており、それを上回って新しい記録を樹立するとインタビューされるデモが挿入される。
 
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1 EVENT
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11種目の中から好きな競技を選んでプレイするフリープレイ。
 
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COMPETITION
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11種目を通しで行い、最後に総合点(1000点満点×11種目でトータル11000点満点)で順位やメダルを決めるオリンピックモード。
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10000点を超えれば1位(金メダル)で、以後の順位は2位は9200~9999点、3位は8400~9199点といった具合に800点間隔になっている。
 
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種目消化順は下記の番号通りに消化する。
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『ソウル』のようにクオリファイ制はなく0点でも先に次の競技に進めるので11種目すべて行う。
 
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VERSUS
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いわゆる「対戦モード」にあたる。
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タイトルメニューでは同時に選び、接続確認画面でスタートボタンを押した方が1Pとなる。
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1Pだろうが2Pだろうが「100メートル走」「110Mハードル」「100m自由形水泳」では、自分が画面下側(1人プレイの1Pの場所)に表示される。
 
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行う種目を1つずつ交互に選択して勝敗を競い合い決め先に勝ち越しを決めたプレイヤーの勝ちとなる。
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引き分けは「両方とも勝ち」のような扱いになる。
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引き分けが絡むなどして5勝5敗1分けのように勝敗が並んだ場合、最終結果はどちらのプレイヤーにも「YOU WIN!」と出て「両方とも勝ち」のような扱いになる。
 
 
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収録競技は下記11種目(「COMPETITION」での消化順に記述)。
100メートル走
走り幅跳び
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A・B連打で走り、十字ボタンでジャンプ(長押しで角度を上げる)。
ハンマー投げ
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A・Bボタン(連打不要)で回転をはじめ、十字ボタンで投げる(押す長さで角度調整)。
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連打不要で回転すればするほど勢いがついてパワーが上がるのだが、速いほど投げるイミングが取りにくい。
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最大で5回転までできるのだが、それまでに投げないとファール。
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投げる時に向いている方向も気を付けなければ、あさっての方向に投げてしまいファールとなる。
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試技は3回で、その中での最高記録を取る。
 
110Mハードル
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A・B連打で走り、ハードルは十字ボタンでジャンプ。
やり投げ
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A・B連打で勢いをつけ十字ボタンで投げる(押す長さで角度調整)。
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この競技ではスピードが最高ではなく、それよりも少し落ちるぐらいがベストとなる。つまり速すぎても記録は伸び悩む。
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試技は3回で、その中での最高記録を取る。
 
ウエイトリフティング
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A・B連打でパワーをチャージして、十字ボタンで持ち上げる(3段階)。
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最初にバーベルの重さを決める(100kg~350kg・5kg刻み)。
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持ち上げてからも次段階で持ち上げるには連打してパワーを上げなければならないだけでなく、現段階を維持するにも連打が必要。
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パワー不足で持ち上げようとすると落としてしまい失敗が確定する。
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パワー(連打の量)はバーベルの重量が重いほど、段階が上がるほど必要になる。
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持ち上げ切っても3秒間維持しなければ失敗となる。
 
 
アーチェリー
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十字ボタン左右でヨコの確度を調整し、上下でタテの角度を調整。
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A・Bを長押しして発射時のパワーを決める。
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タイミング方式で、押している間MIN→MAX→MINと伸び縮みする。
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的はド真中が10点でそこから外へ逸れていくごとに1点ずつ低くなる(的に刺されば最低1点で的に刺さらないと0点)。
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的は30mと70mに配置され、それぞれに3本ずつ矢を放ちを行い6本のトータルスコアを競う(60点満点)。
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「VERSUS」では1Pが30m(3本)を終えると一旦2Pに交替し、それを終えると1Pに戻って今度は70mに入る。
 
三段跳び
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A・B連打で走り、十字ボタンでジャンプ(長押しで角度を上げる)で、ジャンプを3連続で行う。
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2回目、3回目のジャンプは着地からもう一度押すタイミングが遅れるほどジャンプ力が落ち、一定時間以上跳ばないとファールとなる。
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試技は3回で、その中での最高記録を取る。
 
100m自由形水泳
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A・B連打で泳ぎ、十字ボタンで息継ぎを行う。
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酸素量が減ってくると「キンキン…」と鐘のような音で知らせてくれる。
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酸素が減ったままだとスピードが落ちる。
 
円盤投げ
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A・B連打で勢いをつけ十字ボタンで投げる(押す長さで角度調整)。
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「ハンマー投げ」同様投げる時に向いている方向も気を付けなければ、あさっての方向に投げてしまいファールとなる。
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「ハンマー投げ」に似ているが、こちらはパワーを上げるのに連打が必要。
 
棒高跳び
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A・B連打で勢いをつけ十字ボタンでジャンプしてそのまま長押しし、ボタンを離したタイミングでバーを離す。
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競技前にバーの高さを指定する(4m00~6m32・4cm単位)。
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この競技ではスピードが最高ではなく、それよりも少し落ちるぐらいがベストとなる。つまり速すぎても記録は伸び悩む。
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試技は3回で、その中での最高記録を取る。
 
評価点
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競技自体は連打とタイミングのバランスが取れているものが多い。
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後述の通り一部問題はあるものの双方のパワーバランスは取れている。
 
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対戦モード「VERSUS」は、時間バランスも程よい。
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11種目とはいえ1種目あたりにかかる時間は短く、全種目フルに行っても20分かからない。
 
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競技の操作そのものはいずれもシンプルで直感的。
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後述の問題点と一部被る部分ではあるが、このような競技構成だからこその強み。
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ベストのポイントが明示されておりわかりやすい。
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やり投げや棒高跳びは、スピードがマックスよりも、それより少し落ちるぐらいがベストなのだが、それもその場所がカーソルで表示されているため飲み込みやすい。
 
 
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シンプルな操作性に加えて競技前に操作方法の説明が入る。
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これにより説明書がなくても競技の操作方法がわかるため、説明書なしでカセットのみを中古購入したプレイヤーにも優しい。
 
問題点
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完全な個人戦のような形で国籍と言う概念がないためオリンピックらしさは感じられない。
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前作はそれぞれの国にそれぞれ個人名を持った選手がいたことを思うと、どちらかといえば一人の選手が11種目をやっているイメージが強い。
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もっとも「オリンピックとは一言も言っていない」と言われればそれまでだが、前作が「インソウル」とあるようにオリンピックを模したゲームであり、その続編ということで意識してしまう部分ではある。
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4年も前の『ソウル』では国や選手の個人名などがあってオリンピックらしい雰囲気があったので、ソフト容量の問題であるならばスーパーファミコンとまでは言わずともせめてファミコンであればもっとオリンピックらしい雰囲気が出せたと考えると発売したハードを間違えたように感じられる。
 
 
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上記に付随してエンディングも味気ない。
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エンディングは表彰式なのだが、1位=金メダルでも3位=銅メダルでも特に変わらない(立っている位置が変わるのみ)。
 
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上記に付随して、競技のバリエーションも陸上に偏っており『ソウル』ほどバリエーション豊かに感じられない。
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実際種目数こそ11種あるものの『ソウル』はエキジビジョン含め14種と種類数そのものは大差ないもののテコンドー、クレー射撃、カヌー、フェンシングなど本当に色とりどりだったのと比べると多少見劣りする。
 
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水泳は実は息継ぎしなくてもゴリ押せる。
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しかも息継ぎをするにも、スピードはガクっと落ちてしまうので、実際の所バランス的にどちらも大差ない。
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『ソウル』では酸欠状態になりしばらく動けなかったことを思うと、かなりユルいし息継ぎなしで100mも泳ぎ切れるというのも不自然。
 
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全体的なバランスは良いが「VERSUS」はどちらかといえば1Pが不利。
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それというのも、必ず1Pが先手になるので「ウエイトリフティング」「棒高跳び」は2Pは1Pの結果を見て高さや重さを選べてしまう。
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どうせならこれも、競技選択と連動するなどして先手後手が変わればより公平に対戦ができただろう。
 
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対戦自体は良いのだがゲームボーイならではの強みが活かされていない。
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お互いの画面を個別に持ってプレイすることでしかできないような競技は1つもない。
 
総評
対戦用ゲームとしては短時間で手軽に楽しめるバランスで持ち運びを前提としたゲームボーイとの相性も良い。ただ1人で遊ぶとなるとエンディングの味気無さもあって折角金メダルを取っても達成感がそれほどない。
種目は多いのだが『ソウル』に比べると少なく中身を見ても「色とりどり多種多様」なイメージは薄い。またタイトルからしてオリンピックをイメージするものでありながらオリンピックらしさが今一つ感じられない。
ハード性能の格差などもあってファミコンほどの内容を期待するのはお門違いかもしれないが、もう少し濃い内容が欲しかったところではある。
またゲームボーイはわずか2年目にして『4人用アダプタ』が発売されるなど早くから4P対戦が視野に入れられており、それから2年を経て既に対応した4P対戦対応ソフトも多々あっただけに、それができていればと思うと中途半端に感じられる。
その後の展開
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次は1996年開催の第26回アトランタ夏季オリンピックに合わせて『ハイパーオリンピック イン アトランタ』をプレイステーションソフトとして1996年6月28日に発売。
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『ソウル』と本作はオリンピックをモチーフとしながら「コナミックスポーツ」と称してきたがJOCの許諾を得て正式に「オリンピック」のタイトルでロサンゼルス以来の復活となる。
 
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1998年3月19日に発売されたゲームボーイのオムニバスソフト『コナミGBコレクション Vol.4』の『コナミックスポーツ』は本作がベースになっている。
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だが収録種目は「100m走」「走り幅跳び」「110mハードル」「やり投げ」「三段跳び」の5つに大幅スケールダウンしており対戦モードもカットされている。
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最高得点は5種目×1000点の5000点だが、ライバル選手の得点も1位が5000点で固定(以下は400点間隔で下がっていく)のため、優勝するには全ての競技で満点を取らなければならないという超難度のゲームになってしまった。
 
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また世界記録もこの6年ほどの間に100m走はトノバン・ベイリー(カナダ)が9秒84、110mハードルはコリン・ジャクソン(イギリス)が12秒91、やり投げはヤン・セレズニー(チェコ)が98m48、三段跳びはケニー・ハリソン(アメリカ)が18m04と更新しているが、それらも反映されておらず本作発売の1992年当時のままになっている。
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つまり本作と同じ1992年に欧州で発売された『Track & Field in Barcelona』(オリジナルは1985年発売のファミコン版『ハイパーオリンピック』)と同じで単なるベタな移植でしかない。
 
 
余談
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前回のソウルオリンピックに準えたゲーム作品は前作ぐらいしかなかったが同年のバルセロナオリンピックをモチーフとしたゲームは他にも発売された。
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その皮切りとなったのは2月14日発売のゲームボーイソフト『トラックミート 目指せバルセロナ』でヒロからの発売。
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収録種目は7種目だがすべて本作と被っている。なお、タイトルには「オリンピック」と直接冠してはいない。「目指せ」なので、その前段階のトライアル的な大会なのかもしれない。
 
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続いて本作の少し前にあたる6月5日にファミコンソフト『CAPCOMバルセロナ'92』がその名の通りカプコンからの発売。
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タイトルからもわかる通りオリンピックを模したゲームだが、こちらも「オリンピック」とは一言も言っていない。
 
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他にテクノスジャパンから『くにおくんシリーズ』の陸上競技を主体とした複合型スポーツゲームとして『びっくり熱血新記録! はるかなる金メダル』がファミコンソフトとして発売された。
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こちらは「バルセロナ」とすら冠していないが「金メダル」とあるようにオリンピックをモチーフとしており明らかにバルセロナオリンピックを意識している。
 
 
最終更新:2025年07月07日 11:12