もえろツインビー シナモン博士を救え!

【もえろついんびー しなもんはかせをすくえ】

ジャンル シューティング

対応機種 ファミリーコンピュータディスクシステム
ファミリーコンピュータ
発売・開発元 コナミ
発売日
()は書換開始日
【FCD】1986年11月21日(1987年1月10日)
【FC】1993年3月29日
定価 【FCD】3,000円
【FC】3,900円
プレイ人数 1~3人
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2010年7月27日
【WiiU】2015年10月28日
判定 良作
ポイント ファミコン初の3人同時プレイで「もえろ!」
新たに横スクロールも加わったツインビーの発展形
ツインビーシリーズリンク


概要

1986年11月にコナミがファミリーコンピュータディスクシステム用ソフトとして発売したシューティングゲームで『ツインビー』(AC版:1985年3月、FC版:1986年1月)の続編。
前作のスタイルを踏襲しつつ新たに横スクロールステージを導入し3Pキャラ「グインビー」を登場させサブコントローラーによる3人同時プレイに対応している。

ファミコン末期の1993年3月にはロムカセットで移植再発売された。


ストーリー

ツインビー、ウインビーがスパイス大王を倒してから早100年。シナモン博士はその間、優秀な頭脳を休めるべく冷凍睡眠に入っていた。
そして宇宙歴2901年、博士の研ぎ澄まされた頭脳は恐ろしい予感をキャッチして目覚めた。
その時、かつてツインビー、ウインビーに乗って戦った2人の息子「アンナモン」「ドンナモン」は既に亡く、その孫(博士からすれば曾孫)である2人の男の子と1人の女の子の時代になっていた。

博士は曾孫たちのためにツインビー、ウインビー、新たにグインビー3機の戦闘機を作り上げた。
その時、あのスパイス大王の孫「ガトランティス」が現れ、研究所は爆破され博士は円盤で連れ去られてしまった。
シナモン博士を救うべく、3人の曾孫たちはツインビー、ウインビー、グインビーに乗って戦いに向かうのであった。


内容

  • 前作の設定を受け継いだシューティングゲームで、本作では3人まで同時にプレーが可能。
    • 1Pがツインビー、2Pがウインビー、3Pがグインビーを操作する。
    • 3Pの参加にはジョイスティックやジョイカードなどサブコントローラーが必要になる。
  • ロムカセット版のみ難易度を選択可能。
  • ステージは全部で7つあり、スクロールも含めてバラエティに富んでいる。
+ 各ステージの紹介、国の設定などは架空の物
  • ステージ1:ドンブリ島(横スクロール)
    • シナモン博士たちが暮らす平和な島だったが、ガトランティス軍に襲撃されて研究所が破壊され、荒れてしまった。
    • 最初のステージだけあって、1周目では地上物が動かず弾も撃ってこない。
    • 敵は野菜やスイーツなど食べ物類で、ボスはスイカの「ウルトラアーク」。
  • ステージ2:ラマヤードラ王国(縦スクロール)
    • インド洋の沖に沈む国で、龍宮城とも交易があったがガトランティス軍に襲撃されて鎖国になってしまった。
    • 敵は海の生き物で、ボスは大ダコの「スプーキー」。
  • ステージ3:オルドラート公国(横スクロール)
    • エジプトの隣にある小さな国でピラミッドやスフィンクスはエジプトをまねたもの。
    • 敵はハンガーやたわしなど生活雑貨が中心で、ボスは蛇口の「ウォーターパイパー」。
  • ステージ4:ウラルフスク国(縦スクロール)
    • 北極圏にある寒い国で、ペンギンくらいしか住んでいなかった。
    • 敵はボスが持ち込んだ家電品たちで、ボスは「ロボガスター」。
  • ステージ5:ザマビ王国(縦スクロール)
    • 南米にある謎の国で、歴史の表舞台に出てくることは全くなかった。
    • このステージのみ、縦スクロールなのに雲が左右に流れる動きになっておりクリア後のボーナスステージでも同じ動きになる。
    • 敵はスポーツ用品が中心で、ボスはオーディオコンポの「サウンダー」*1
  • ステージ6:イプ=ガンマ帝国(縦スクロール)
    • 地球上で唯一宇宙との空間を共有する国で、背景にもロケットなどがある。
    • 敵は昆虫類が中心で、ボスは太陽の姿をした「アポロンガー」。
  • ステージ7:宇宙(横スクロール)
    • ガトランティス軍の本拠地に向かう最終ステージで、地上物が存在しない。
    • このステージのみ、敵を一定数倒すとコナミマンが出てきて鈴を1個落としてくれる。このステージでできるパワーアップの方法はこれのみ。
    • 敵は今まで戦ってきたボスの子供や崇拝者たちで、ボスは「ガトランティス」。
  • 本作では新たに横スクロールのステージが登場。
    • 縦スクロールステージは前作と同じで、横スクロールの場合Aボタンは上に向かってハートが飛んでいく。
    • このハートは攻撃力はないものの、雲や鈴を撃つことができる。主に鈴を撃つためのものと思っていい。
    • 地上も普通に空中と同じビームでの攻撃となる。
  • 魂によるパワーアップ引継ぎ。
    • 前作ではやられると強制的に全パワーアップが取り消しになったが、本作ではやられると魂が飛んでいって、これをキャッチするとやられる前のパワーアップ状態を取り戻すことができる。
      • なお、これは他のプレイヤーでも取れる。その場合も、やられた機体のパワーアップが引き継げる。
  • 本作の合体攻撃は1パターンのみで、縦スクロールの場合は左右並び、横スクロールの場合は前後並びになることで、貫通のワッカレーザーを発射できる。
    • ワッカ状なので、攻撃範囲も広いが速度は遅い。
  • 前作からの変更点。
    • パワーアップアイテムがベルから鈴に変わった。
    • バリアが赤色から青・白点滅に変わった。
    • 代わりに赤い鈴はレーザーになった。
    • 前作ではベルを撃ちすぎると化ける敵はハチの「ビックル」だったが今作では鈴を撃ちすぎると化ける敵は「ハッチャン」という人の顔のような敵になった。
      • 破壊してもたった100点にしかならなくなった。
  • 本作の地上アイテムがすべて新しくなっている(詳細は下記の通り)。
  • シナモン博士の顔
    • ステージクリア後にボーナスステージに行くことができる。
    • ボーナスステージは30秒ほど続き、雲を撃って黄色の鈴が取り放題。
  • 「R」
    • 右側(横ステージなら下)にも同時発射できるようになる。
  • 「L」
    • 左側(横ステージなら上)にも同時発射できるようになる。
    • RとLを重ねて取ると後ろに同時発射できるようになる。
  • 十字架
    • 残機が1つ増える。
    • このアイテムは地上物からではなく何もないスペースに出てくる。
  • 三日月
    • 3方向同時に発射できるようになる。
    • 5方向同時に発射できるようになる。
    • 上記の三日月と星は一人プレイの時のみ出現し、二人以上の時ははずれのドクロになってしまう。
  • ドル袋
    • 100点又は500点のボーナス点。
  • ドクロ
    • 何もない「はずれ」。
  • 「?」
    • 敵全滅、敵が全部鈴に変わる、10秒間無敵、はずれのドクロのいずれか。
  • このほかステージの各所に隠れアイテムがあり、取ると1,000点になる。
    • 隠れているアイテムはステージごとに異なっている*2

評価点

  • 3人同時プレイの実現。
    • 2人での協力プレイが楽しかっただけに、それが3人同時ともなれば、なおのことだろう。
      • サブコントローラー必須とはいえ当時はノーマルコントローラーに近い感覚の「ジョイカード」が発売されたことも追い風。
  • 新しい横スクロールステージ。
    • 旧来のコミカルさを受け継いで全く新しくアレンジできている。見た目通り今まで見てきた背景を別アングルで再現し、慣れ親しんだ中で新しい風を入れてきている。
    • 慣れない形ではあるが最初のステージがこの横ステージで始まるので、繰り返して練習する効率も良い。
  • 前作の良かった部分はほぼまんべんなく継承し進化。
    • 色鮮やかで華やかに描き込まれたグラフィックは本作でも引き継がれている。
    • 鈴を連続で取ってボーナスを伸ばしていくだけでなく、それをたっぷり取れるボーナスステージや「?」の効果で敵を鈴化したりなどは確実な進化。
    • 日常のものをアレンジしたコミカルなキャラクターの数々は本作でもしっかり受け継がれている。しかもすべて一新されている。
    • BGMやSEもその雰囲気を受け継ぎつつ使い回しはほとんどないまでに一新し、そのクオリティの高さも保たれている。
      • それに加えて最終面は通常BGM、パワーアップ時BGM、ボス登場BGM、ボス戦BGMがすべて専用の物になっているという奮発ぶり。
  • 新しい救済措置。
    • 前作の救急車だけでなく、やられた場合の魂を取ることで1回限りではあるものの、やられる前のパワーアップを維持できる。
    • 敵の攻撃は後半ステージでは相変わらず激しいので、一度のミスで初期状態に戻るのでは押せ押せでやられやすいので非常に助かる。
  • 前作よりも速い連射に対応できている。
    • 前作のファミコンは連射の対応限界が低く「分身+ツイン砲」以外では攻撃力不足が如実に現れていたが、本作はそれを克服しており速い連射に対応している。
      • 一度に表示できる弾数はそこまで多くはないが、これにより青い鈴のスピードアップで速い動きを利用した接射連射テクニックが通用するようになった。
  • 新しいパワーアップの数々。
    • これまでになかったレーザーも加わって、より一層攻撃の幅が増した。
      • レーザーも『グラディウス』のように連射に対応していて、その爽快感は相当なもの。
    • 前作になかった無敵も、出現場所は固定ながら発動したら非常に便利。
  • 可愛げがあり、設定の深い敵キャラ。
    • 各ステージに出てくる敵やボスは見た目もコミカルで可愛げがあり、それぞれエピソードも設定されている。
    • 「自分から喜んで配下になった」「永遠の命と引き換えに配下になった」という正統派な物から、「ボスに脅されてイヤイヤ配下にされた」「あまりの頑固さにボスも呆れている」という問題がありそうなものまで様々。
    • 敵たちはボスも含めて血液型まで設定されていて(一部は不明設定)、RH-まで存在している(ただし、AB型RH-のみ存在しない)。
    • 1周目では出現せず、2周目から出現する敵が各ステージに1体ずついる(最終面にはいない)。

問題点

  • 合体攻撃の一本化。
    • 新しい合体武器「ワッカレーザー」が強力なのは良いが前作は縦合体と横合体で異なるコンビネーションができたが本作では1つのみになってしまった。
    • また、せっかく3Pプレイが可能なのに3人合体の特殊武器はないなど、このあたりの進化があまり見られない。
  • オリジナルのディスク版ではタイトルデモが出てしまうと、またタイトルに戻るためにロードが発生する。
    • これが案外すぐ出てしまうだけに少々鬱陶しく感じる。
  • 「?」から出るのはドクロばかり。
    • 配置数が多く無敵や敵全滅など有効なものは魅力的な効果だが、それだけにドクロばかり出るので少々鬱陶しく感じてしまう。
  • 鈴の撃ちすぎで化けた敵「ハッチャン」の撃墜時がたった100点に。
    • 前作の「ビックル」は撃墜すれば15,000点とベルボーナスを大幅に上回るものになっただけに本当に無意味なものになってしまった。
      • 元々ペナルティのようなものだったが技術介入の報酬というバランスで考えれば、それなりに良かっただけに上級者向けのスコアアタック要素になっていたのが失われたのはもったいない。

総評

欠点の解消やグレードアップのみならず、実質違うゲームに感じられるほどのまったく新しい横スクロールや3人同時プレイなどを導入するなど新要素をたっぷり盛り込んでいる意欲作。
横スクロールになってもキャラクターの多彩な動きや、それに合わせての上方発射のハートなどシステムも的確に対応したものになっており新しさを感じつつ好評だった前作のコミカルなイメージも踏襲し両立されている。
人気シューティングの続編として充分その期待に応えられた内容。


その後の展開

  • 1988年3月11日に前作にあたる『ツインビー』を書換え専用ソフトとしてディスクカードで後追い発売している。
    • そのため、ディスクシステムでは前作が後に出るという逆転現象が起きている。
  • その翌年の1989年9月29日には3年越しで新作『ツインビー3 ポコポコ大魔王』をロムカセットで発売。
    • この作品では同時プレイは2人までに、スクロールも元通り縦のみに戻っている。
      • それに合わせるためかストーリーは本作で3Pにあたるグインビーがさらわれたことになっている。

余談

  • ロムカセット版のクレジットはパッケージこそ「(c)1986 1993 KONAMI」となっているが、何故かゲーム自身のタイトル画面では「(c)1987 1993 KONAMI」となっている。
    • なおロムカセット版はコナミ最後のファミコンソフトである(オリジナルソフトでは1月29日発売の『F1 センセーション』が最後)。
      • 同時期の3月26日にはスーパーファミコンソフトとしてシリーズ最新作の『Pop'nツインビー』が発売されている。
    • ロムカセット版は定価3,900円と安価だったが当時は既にスーパーファミコンへの世代交代も終わっていた時期だったこともあり注目度が低く、ほとんど売れなかった。そのため2025年現在では中古市場でその希少性から価値が高騰している。
  • 本作で登場した「ワッカ状レーザー」は1988年1月に発売された『コナミワイワイワールド』で登場するツインビーにも搭載される。
    • なお、この作品では合体の必要はなく単独で使用できている。
  • ウインビーのパイロットが女の子というのは本作で固まった設定である。
    • しかし、後のパステルのイメージまでは本作時点では存在しない。
      • 本作はストーリーで分かる通り時系列では最も未来とされていて、パイロットの3人には名前がなかったが、シリーズ10周年記念の際スカッシュ、ホイップ、メロウと名付けられた。
    • ウインビーが赤い機体なので、前作の段階でも女の子だと勘違いする人もいるようだが前作時点ではストーリーでわかる通り2機とも男だった。

最終更新:2025年08月27日 07:30

*1 見た目も派手で騒ぐのが好きなこいつが何故こんな地味な国にいるのかというと、ボス同士のジャンケンに負けたからという設定がある。

*2 1面火の鳥、2面コナミマーク、3面ゴエモンの顔、4面サンタクロース、5面ペンギン、6面ドラキュラ、7面は無し