あらしのよるに 

【あらしのよるに】

ジャンル ノベルアクション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 TDKコア(現:クリエイティヴ・コア)
開発元 ハイド
発売日 2005年12月22日
定価 5,040円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 16箇所
レーティング CERO:全年齢対象
判定 なし
ポイント アニメ映画のグラフィックと原作に忠実な文章
ライト層お断りのミニゲーム


ゲーム概要

  • 1995年作、児童向けの絵本『あらしのよるに』を原作としたノベルゲーム。2005年にはアニメ映画化されており、本作のキャラデザおよび背景画はアニメ映画準拠となる。
  • ノベルの内容は、絵本版とほぼ同一(7章構成)。嵐の夜にお互いの姿が分からないまま交わされた、ヤギとオオカミの奇妙で厚い友情の物語である。
  • プレイヤーは絵本版の物語を読みながら、時折挟まれるミニゲームをこなす。
  • ミニゲーム
    • 各章に1つずつ挿入されている。ジャンルはパズルゲーム、アクションゲーム、RPG等様々。タッチペンを使う場合と使わない場合がある。
    • 失敗することで物語がバッドエンドとして中断してしまう。
    • 6つのミニゲームを無事にクリアできれば、物語を最後まで読めたこととなり、トゥルーエンドとなる。
+ ミニゲーム一覧
  • ほわほわクエッション? (1章)
    • パズルゲーム。5×5マスの図形を操作で改変していき、お手本で示す内容にそろえなくてはならない。
    • 制限時間以内に6問以上そろえる必要がある。
    • 問題によってお手本が左右あるいは上下反転していることがある。
  • ペコペコハイキング (2章)
    • マリオの要領の横スクロールアクション。制限時間内にゴールに到達することが目標。
    • Aでダッシュ、Bでジャンプ、Lでキャラ切り替え。足は遅いが高く跳ねられるメイと、足は速いがジャンプ力の無いガブを切り替えつつ足場をまたいでいく。
    • 体力は無制限だが、野生動物にぶつかると後ろへのけぞらされてしまう。
    • また一定時間経つごとにガブが空腹に苦しむので、彼の頭に湧き出る肉のアイコンをタッチペンで突き壊して正気に戻す必要がある。
  • がさがさランナウェイ(3章)
    • 見下ろし型のレースゲームのような内容。プレイヤーはメイを左右に動かして障害物を避けながら走り続け、障害物に何度かぶつかってタプ(メイの仲間)に追いつかれてしまうと失敗。
    • メイは画面の上側に向かってひたすら走り続けるので、プレイヤーはタッチペンでメイを左右に導くこととなる。
      • メイをタッチするとジャンプ、スライドすることでメイを左右に移動させられる。
    • 途中に落ちている草のアイテムを使うと加速する。触ることで昏倒してしまうハズレアイテムが落ちていることもある。
  • もやもやアドベンチャー (4章)
    • 見下ろし型のアクションゲーム。バクバク谷に近く霧の深い岩山で、ヤギのメイをタッチペンで上下左右に移動させる。バクに出会うことでクリアとなる。
    • メイからは常に「ヤギの匂い」が出ており、匂いを頼りに狼が寄ってくるので注意が必要。バク以外の狼に捕まると失敗。
    • バクが近くにいると、DS上画面のガブの顔が大きくなるほか、DSから発せられる潜水艦のようなソナー音が激しくなっていく。
  • ぺらぺらファイティング(5章)
    • 狼と仲良くしていることがバレてしまったメイと彼を取り巻くヤギの仲間が繰り広げるRPG。
    • 仲間のヤギを調べると「敵」としてエンカウントするため、敵の精神力を0にして「説き伏せる」必要がある。
    • メイの精神力が0になると失敗。ヤギを説き伏せていくうちにメイのレベルが上がっていき、敵に与えるダメージが増え、逆に受けるダメージは減少していく。
    • プレイヤーが指示できるコマンドは説得、アイテム使用、逃走。
      • 説得のコマンドはRPGでいうところの「攻撃」に該当。説得の仕方が3種類あり、それぞれにダメージを受ける選択肢・何も起こらない選択肢・ダメージを与える選択肢がランダムで振り分けられる。
      • アイテムには精神力を回復するもの、敵と自分に強制的にダメージを与えるもの、メイのレベルを上げるものがある。アイテムは地べたを調べたり、仲間ヤギに勝つことでランダムで入手できる。
    • ラスボスの長老の説得に成功するとミニゲームクリア。
  • ぶるぶるサバイバル(6章)
    • SRPGとパズルを融合させたようなゲーム。真上からのアングルで格子状の四角いマスで表現された雪山が舞台。ガブは裏切り者として始末しに来た仲間から逃げ切らなくてはならない。
    • ガブのターン、敵(仲間だった狼)のターンが交互に到来。
      • ガブのターンでは、「移動する」「周囲を調べる」「アイテムを調べる」のどれかを合計3回までできる。
      • 敵のターンになると敵はガブめがけて近寄ってくる。敵がガブに接触してしまうとゲーム失敗。99ターン分敵に追いつかれずに生き残ればクリア。
    • ただ逃げ回るだけでなく、周囲を調べたときに雪崩を引き起こせそうなポイントがある。ここと隣接している状態でタッチペンで突くと5マス分真下一列に小雪崩が発生。その範囲にいた敵は消え去る。
      • 雪崩が起きた範囲に雪山があると連鎖する。雪崩の射程範囲および効果範囲のある列が増えていく。
    • 雪山のほかに、敵一体をピンポイントで狙える「岩」、行動回数を増やす「ハートマーク」、雪崩の射程距離を増やす「!」がある。
  • その他
    • 「友好度」「秘密度」のパラメータがあり、これらはシナリオの進行とともに変動。
    • 物語を読んでいる途中、野生動物がDS下画面に乱入してくることがある。この間物語が中断されてしまうので、突いて追い返す必要がある。
    • ミニゲーム時以外であればいつでも中断セーブが出来る。章の合間やミニゲームの直前でもセーブするかどうか尋ねられる。
    • スキップ・バックログ機能は無く、30文字程度ある1ページを1つずつ進めるか戻すか。

評価点

  • アニメ映画を活かしたグラフィック
    • 例外(問題点にて記述)もあるが、基本はアニメ映画の美麗なグラフィックを流用しているため、絵柄がきれい。
    • メイとガブ等のキャラの立ち絵もアニメ準拠。表情のパターンもいくつかある他、まばたきする機能もある。
  • 原作の良さをつぶさないマルチエンディング
    • ミニゲームを全てクリアしたうえでのトゥルーエンドのほかに、各ミニゲームを失敗したことによるバッドエンドが6種類用意されている。
    • バッドエンドはつまるところ「メイとガブがもう二度と会えなくなる」という内容なのだが、強引な展開ではない。メイのためにガブが自らを犠牲にしたり身を引いたりといった、キャラクターへ好感を持てるような幕切れとなっている。

賛否両論点

  • 文章は非常に原作に忠実
    • 良くも悪くも原作絵本とほぼ同一。下手なオリジナル展開が挟まれないため、原作さながらの世界観がゲームでは繰り広げられる。
    • 逆に言うと絵本の内容を知っている人からすれば、本作をプレイする必要性がほぼない。そんな人たちにとってのメリットを挙げるとすれば、アニメ映画の美麗さとミニゲームの存在、7冊(7章)から成る原作をまとめ買いできることか。
      • アニメ版の絵柄は写実的だが、絵本の絵柄は独創的でどこか力強い雰囲気を持つ。そのため絵に関しては一概にどちらが良いかは言い切れない。
  • 意欲的に色々なミニゲームを取り入れている
    • ただ原作絵本を読むだけでは物足りなかったはずなので、多ジャンルのミニゲームが挿入されてることで賑わいになっている。
    • ゲーム内容と物語にあまり脈絡があるとはいえないため、話に水をさされた感覚にもなる。特に5章のRPGは無理矢理ゲームにした感が否めない。
      • 特に、5章のミニゲームはストーリーとの齟齬が激しい。プレイヤーの選択肢によってはメイがヤギ仲間に怒鳴り散らして回る光景が出来上がったり。

問題点

  • 好きな物語の場面を読むことが出来ない
    • 一度読んだ文章を飛ばしたり、逆にもう一度読む機能がない。
    • 必ず1ページずつ送るかまきもどすかしかできない。30文字程度が1ページであり、文字が全て表示されて始めて次のページをめくる、という仕様なので非常にまどろっこしい。
  • ライト層向けとはいえない
    • ある程度ゲーム経験がないとミニゲームがなかなかクリアできず、原作が好きな子供が独りでクリアできる難易度とはいえない。
    • 基本的にミニゲームとして挿入するには、ルールが複雑で本格的過ぎる。特に1章、4章、6章。開始前に説明文は読めるがやってみないことには理解出来ない。
    • 2章では、ジャンプ力のあるメイではなく、走力のあるガブでダッシュで勢いをつけてジャンプしないと飛び越せない段差が多発したり。
  • 下画面のグラフィックがショボい
    • 上画面は写実的な水彩画で演出されているにもかかわらず、下画面はいかにもコンピューターで量産したような絵。グラデーションが多い↑画面に対して、下画面はベタ塗りが多用されておりミスマッチとなっている。
    • 木々や草木といった物体はフリーサイトから引っ張ってきたような印象が持たれる。

総評

原作絵本7章分をそのまま変えずにソフト内に一括落とし込んだ。そこにアニメ版のグラフィックとミニゲームを使ってアレンジしたソフト、といったところ。 普段ゲームに触れないライト層を阻むミニゲームが強制されるため、本だけを読みたいユーザーには適していない。ゲームが好きで原作をアニメからぼんやりと知っているユーザーにとっては本作をプレイする価値はあるかもしれない。

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最終更新:2023年09月19日 19:39