がんばれゴエモン外伝 ~きえた黄金キセル~
【がんばれごえもんがいでん きえたおうごんきせる】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1990年1月5日
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定価
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6,980円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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【Wii】2012年5月1日/500Wiiポイント(税5%込) 【WiiU】2015年10月21日/514円(税8%込) 【3DS】2013年6月5日/500円(税5%込)
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判定
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なし
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ポイント
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独特の世界観を構築 当時としては画期的な戦闘画面のフルアニメーション ヤエちゃんが脱ぐゲーム
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がんばれゴエモンシリーズリンク
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概要
がんばれゴエモンシリーズの3作目。タイトルに「外伝」とあるように、ジャンルをRPGに移した初の作品となっている。
前作『2』からコミカルなキャラクター性やストーリー展開を引き継ぎつつ、からくりロボなどの近代的な文明要素の混在によるギャグ基調のコメディ時代劇的な世界観が初めて打ち出された作品であり、世界観や作品全体のノリ含め、SFC版以降のシリーズ作品の実質的なベースとなった。
また、SFC版『ゆき姫救出絵巻』『奇天烈将軍マッギネス』にNPCとしてゲスト出演し、シリーズ中期からレギュラーキャラに昇格して人気キャラとなったヤエちゃんのデビュー作でもある。
ストーリー
長い旅から久しぶりに我が家に帰ったゴエモン。
旅の報告をしようと、神棚を見上げてびっくり。
な~~~~~い! 先祖代々伝わる家宝の大事な“黄金のキセル”が………
ない、ない、どこを捜してもない!
さー大変だ!
御先祖様に顔向けができない。
天下の大泥棒の家に泥棒が入っちゃシャレにもならねえ。
ゴエモン大慌てで“黄金のキセル”捜しの旅支度。
そんなところに、
「お困りのようですな。わてエビス丸といいまんねん。わて、困ってる人を見てると手伝いたくなる性分でんねん。
どうでっか、わても一緒に捜しに行かさしてもらえまへんか。」と、とても忍者とは思えない正義の忍者エビス丸が現われた。
まあ、足手まといにならないならという条件付きでゴエモンはエビス丸と一緒に旅にでることになった。
はたして“黄金のキセル”はどこに。
ゴエモンの新たなる旅が始まった。
しかし…ゴエモン一行を見つめる影が一つ…二つ…三つ…。
そして想像もつかないような大きなワナがゴエモンたちを待っている。
なにがあってもへこたれるな。
それ行けゴエモン! がんばれゴエモン!
(エビス丸も忘れないでねっ!)
(取扱説明書より)
特徴
『ドラゴンクエスト』形式のオーソドックスなコマンドRPG。
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日本各地を巡り、敵と戦ってレベルを上げ仲間を集めつつ事件を解決していき、黄金キセルを奪った黒幕を探して旅をしていく。
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各地の街を巡って情報を集め、フィールドやダンジョンを探索してその場のボスを倒して進んでいく。
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アクションゲームシリーズのように、食べ物屋で食べ物を買ってその場で食べたり温泉に入ることで体力回復できたり、見世物小屋でお遊びのアトラクションを見たり、アルバイト屋で体力減少と引き換えにお金を稼いだりと、町の施設にアクションゲームから引用された要素や本作独自の要素も存在している。
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和風の世界観に合わせ、お金は両、レベルは位(くらい)、魔法は忍術に置き換えられている。
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戦闘面の演出と豊富な敵の種類
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ファミコン末期の時代にも珍しい戦闘時のキャラアニメーション演出が採用されており、なんと全ての敵が動く。グラフィックは2パターン(または反転)の待機モーション、攻撃モーション、喰らいモーションが用意されており、どの敵も4パターンのアニメーションを見せてくれ、個性豊かで飽きさせない。
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また、RPGではお約束である色違いの敵が存在しない。
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敵の種類は非常に多く、短いダンジョンでも何種類もの敵がいる。
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味方側のキャラクターの一部に合成音声による演出が取り入れられており、ダメージを受けた時に専用の音声が流れるようになっている。
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独特の世界観
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江戸時代の世界に現代風の要素やパロディをごった煮にしたヘンテコなゴエモンワールドが本作で確立された。例を上げると……
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最初こそ和風の町並みに見えるはぐれ町。しかし何故か公衆電話ボックスが野ざらしにされている。試しに入るとちゃんと通じて次の位までに必要な経験値の量を教えてくれる。
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序盤のダンジョンをある程度クリアして進むとフィールドマップ上でいきなり巨大な芸者型ロボットが画面を横切ってどこかへ進んで行く。
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序盤こそ役人や妖怪といった和風らしい敵が出て来るが、中盤辺りからメカや宇宙人、更には「たのしいカゲ」のようなパロディ敵も出始めてカオス化。
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何の説明もなく現代風の駅員が施設を担当し、「リニアかご」というリニアモーターカーのような乗り物に乗せてくれる。乗ると足が生えて終着点まで運んでくれる。
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リニアかごの件でローテク世界なのかと思ったら先に進むと飛行場とジェット機がある。こっちは普通に飛ぶ。
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めちゃくちゃな世界なのに中国大陸に行く時には通訳とパスポートが必要。妙な所だけリアル。
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終盤にはななはち村の村長ぶんせさんから少しの間だけパワーアップするウルトラカプセルというアイテムが貰える。同時期にはバイクに乗った強面の改造人間・ホンドウさんが助けてくれる。もうなんでもありか。
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忍術は「ダボ!」「つーうえ!」「スピーダ!」「ばーりあ」「シーウ!」と同社パロディ全開。
評価点
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コミカルさを強めた作風と個性的なキャラクター達
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上記のように和風RPGにもかかわらず現代文明あり、SF要素あり、パロディありと、後続のシリーズ作品と比べてもかなりの何でもありなカオスっぷりが目立っているが、なんでもありながら和風RPG的世界観を悪い意味でぶち壊しているといったこともなくお笑い要素としてほどよく融和しており、前作『2』で初めて取り入れられたコミカル要素の片鱗が大々的にフィーチャーされると共に色濃く打ち出され、後のシリーズの世界観や方向性を決定づけた。
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味方側から敵に至るまで、キャラクターたちはどれもみな個性的で、SFC以降のゴエモンシリーズのユニークなコミカルさが既にこの時点で表れている。
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特に本作がデビュー作となったヤエちゃんは紅一点の仲間キャラとして強い存在感を発揮しており、SFC以降でシリーズに欠かせない人気キャラとなっていった。
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システム面ではオーソドックスながらこれらの個性的な世界観とキャラクターで強く印象付けてくれる。
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便利アイテム
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高速移動できる「ローラースケート」、エンカウント率を抑える「いんろう」で快適に進行が可能。ただし永続効果ではなくどちらも消費アイテム。
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「ローラースケート」もやっぱり和風では無いが、これは当時流行していた光GENJIのパロディとされている。
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和風に留まらない個性的なBGM
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アクションからシナリオ性を帯びたRPGということで、前2作から大きく雰囲気が変わり、和風を基調としつつ、ポップスのエッセンスあり、ロック調あり、トロピカルサウンドありと、以降のシリーズのサウンドの方向性を垣間見せるバラエティさが表れている。
問題点
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戦闘時のテンポの悪さ
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全ての敵が攻撃する毎に動く上、味方はダメージを受ける毎に顔グラフィックが変化したりと凝っているのだが、処理がとても重いためテンポが非常に悪い。それぞれのアクションに1~2秒ほど費やされて雑魚戦でも時間がかかり、戦闘のテンポが悪くなる。
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全体攻撃の術を使用した際に特に響く。喰らった時も当然長いのでストレス要因になりがち。
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さらに、1体の敵に2人以上で攻撃して、全員に回る前にその敵を倒してしまった場合、残った味方の攻撃は他の敵に振り替えられることがなく、無行動でターンが終わってしまうのも、テンポを損なう一因。(オート戦闘でも同様にターゲットが切り替わらない)
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ほとんどの敵が打撃攻撃しかしないため、ただの殴り合いになることがほとんど。ボスですら特殊攻撃の持ち主はほとんどいないため、戦闘がかなり単調になってしまう。
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忍術の使い難さ
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攻撃の忍術が、全体的に弱い。せいぜい10-40程度なので、役に立たない。
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ヤエだけが覚える全体全回復の術「りふおる」は効果こそ強力だが、消費忍術ポイントが72と莫大なため、燃費が非常に悪い。レベル20くらいでも1回しか使えない。
しかも、他に全体回復できる術が存在しないのも酷い。(あとは数に限りのあるアイテム「しんまいおにぎり」だけ)
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武器防具関連
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キセルや笛、爪や刀といった武器は、一目で誰の装備かわかるが、それ以外の共通武器や防具は、誰が装備できるのか、実際に装備させるまでわからないため、管理や装備が非常に面倒。
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また、攻撃力・防御力がどのくらい上がるのかも、装備させるまで不明。いちいち「ようす」で確認しなければならない。
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装備品は、「別の物との付け替え」をしなければ外せない。それ自体は、普通ならそんなに大きな問題ではないのだが、終盤、エビス丸のある武器をアイテムとして使わなければならないシーンが問題。その武器はエビス丸最強の武器なので、普通は装備しているはずだが、装備したままではアイテムとして使えないうえに、外すには他の武器との付け替えが必要。万が一、彼が装備できる武器が他に無い場合は、わざわざ買いに行かなければならず、非常に面倒なことになる。
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終盤のダンジョンで、エビス丸専用の攻撃力第2位の武器が手に入るのだが、
同ダンジョンではイベントで彼最強の武器が必ず手に入ってしまうため、第2位の武器の存在価値が全く無くなってしまっている。
せめて、第2位の武器の入手が1つ前のダンジョンならよかったのだが。
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仲間になるキャラの初期レベルが
一律で 1
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このゲームでは、レベル1でもその時点で買える最強の装備を整えればそれなりになるが、ただでさえ戦闘に時間がかかる都合でレベル上げも大変なだけにやはりキツい。
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逃げるの成功率が低い。
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逃げるの成功判定は「敵味方の素早さの合計値」でなされているため、大半の敵からはまず逃げられない。
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当然ながら仲間が倒れるほど逃げにくくなり、逃げたい時ほど逃げられないという使えないコマンドになってしまっている。
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中盤からのゲームバランスが適当
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ダメージが「攻撃力-守備力」という単純な計算式で計算されている。守備力を1.5倍にする「シーウ!」の術を使うと、ほぼすべての敵から受けるダメージがなくなる。通常攻撃しかできない敵は木偶の坊同然。
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逆に使わないと回復が難しい。術1つでゲームの内容が激変するほど。
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ラスボスなどの一部のボスは魔法攻撃しか使用しないが本当にごく一部。
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敵から得られる経験値とお金のバランスがあまり良くない。その地域で強い敵程低く、弱い敵程多いといった事もある。
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各ダンジョンがやたらと広く、その割に宝箱の中身はたいしたことないものが多い。ダンジョンによっては隠し階段もあるが、その場所は全くのノーヒント。
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また、ダンジョン含めてやたらと歩かされるゲームであるにもかかわらず、忍術ポイントを回復できるアイテムが1つも無い。
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今作でも賭博屋が存在する町があるのだが、勝ってももらえる金額が1回で10両とあまりにも少な過ぎるため、実利に乏しい。
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武器屋・防具屋ではアイテムを売ることができない。売れるのは道具屋だけなので、いちいち行き来するのが面倒。
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電話ボックスを調べると、次の位(レベル)までの必要経験値を教えてもらえるが、肝心のボックスが最初のはぐれまちにしか無く、利用するためにわざわざ戻る手間がかかるのでまず使われない。
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なお、戦闘で敵から得られる経験値はパーティ人数で分割する方式で、それ自体は珍しくはないのだが、メッセージでは分割前の経験値しか表示されないという、稀に見る不親切設計。そのため、ボックスで聞き出した必要経験値を獲得したはずなのになぜかレベルが上がらないという謎現象に最初は驚く。「ようす」コマンドを見れば現在の累積経験値がわかるので、そこでようやく状況を理解できる。
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フィールドに計4ヶ所ある茶店だが、情報を集める以外にすることが無い。次の町やダンジョンへの中継地点的な配置が多いため、せめて回復かアイテムの売買ができれば便利なのだが。
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終盤で初見殺しがある
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北の国に到達した辺りで何の脈絡もなくカゴを持った二人の男が出現し、仲間が全員さらわれてしまう。
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仲間の再加入まではボス戦を挟む必要がある。合間で救済用のウルトラカプセルが手に入るが、ゴエモンの位が低すぎると詰む事もある。
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もっとも、よほど敵から逃げ回っていない限りは、詰むほど低いレベルでここまで来るような事態には、まずならないと思われるが。
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ゴエモンの扱いがやや不遇
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術が一切使えない戦士タイプの主人公のはずだが攻撃力がとりたてて高いわけではない。
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それどころか時期によっては、本来忍術に秀でている代わりに攻守共に彼より一歩劣るという位置づけのはずのエビス丸や、位の差が10以上あるヤエちゃんにすら抜かされてしまうことも。
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EDがバグる
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エンディングのスタッフロールが文字化けでごちゃごちゃになる。ROM毎に発生率が違うということもなく、どのROMでも一律で発生してしまう。
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当時コナミに連絡すると修正済みのROMと交換してもらえた。またVC版では修正済み。
総評
独特のはちゃめちゃな世界観を構築し、この時期でフルアニメとプレイヤーを飽きさせない作りが随所に目立つドラクエ系RPG。
全体的に悪い作りではないものの、当時のコナミはRPG制作のノウハウが不足していたこともあり、派手なアニメーションの代償で生じた戦闘テンポの悪さと中盤以降の投げやりなバランスが目立ってしまった。
ゲーム性の面では非常に残念な部分が目立つものの、「パロディと現代文明要素が混在したコミカル時代劇」という作風を始めて掲示し、のちのシリーズの作風の方向性を示したターニングポイントとして地味に大きな位置を占める作品でもある。
続編
その後の展開
余談
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有名な裏技として、恐らく本作を語るとなると真っ先に出るのがこの2点。「ゲームのストーリーや内容は知らないが、裏技だけなら聞いた事がある」という人も多数見受けられる。
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トラのコテ
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店売りしている装備品「トラのコテ」。一見何の変哲もない装備だがこれをボス戦で道具として使用するとどんなボスでも一撃で撃破できる。
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あまりのインパクトの強さに本作のボス戦の話になると間違いなくこれが上がる。
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EDのヤエちゃん
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そして本作を象徴するのがこれ。エンディング開始直後の一枚絵のシーンでABボタンを交互に連打すると、戦闘中にダメージを受けた時の「いやん!」のボイスと共にヤエちゃんが下着(水着?)姿になる。
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ただそれだけだがEDで脱ぐ裏技というだけで話題となり、「ヤエちゃんが脱ぐゲーム」といった点だけ一人歩きしている事も…。
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この「ABボタン連打による小ネタ」はきらきら道中のゲームオーバー画面に密かに受け継がれた。(ついでにこの「いやん!」ボイスもヤエちゃんの被ダメージ時のボイス演出として受け継がれた)
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帯ひろ志氏のコミカライズが知られる本シリーズだが、同氏が最初に手掛けたのは本作の続編『天下の財宝』からであり、本作のコミカライズは行っていない。
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そのため、『ゆき姫救出絵巻』でゲストしたヤエちゃんとコバンネコがゲーム中で既に面識があるかどうかがあいまいだったのに対し、そちらの漫画版では完全に初対面となっている。
最終更新:2025年01月19日 02:19