SCP-2655-JP-J

登録日:2024/04/04 Thu 14:44:44
更新日:2025/04/26 Sat 22:02:01
所要時間:約 42 分で読めます




SCP-2655-JP-Jとは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトの1つ。
「-J」という識別符が示す通り、Joke区分のオブジェクトである。

本作はSCP-JPで2023年に開催された「Xのコンテスト」出場作品である。
選出テーマはSCP-2000-JPコンテストで提示された「変遷」。




概要

SCP-2655-JP-Jとは、日本の某県に存在する異常な競馬場である。後述の資料から、恐らく20世紀のどこかの時点で財団に発見されたと考えられる。
この競馬場は閉鎖から長らく放置されていたにもかかわらず、内部のインフラは完全に機能しており、現在進行形で競馬レースが開かれている。

SCP-2655-JP-Jの場内には多数の実体が存在しているが、概ね以下の5種類に分けられる。

競争馬。主にの形態をとるが、必ずしもその限りでは無いらしい。
騎手。主に人型爬虫類の形態をとるが、必ずしもその限りでは無いらしい
サバクトビバッタの頭部を持つ全裸の人型実体群
恐らく観客にあたると思われるこの実体群だが、観客席をたむろしてはレース展開に応じて不明瞭な言葉を発したり、紙吹雪のようなものを撒き散らしたりする模様。
④放送席に座っている、背部に翼を持った人型実体。日本語で発話を行い、実況を担当する。
⑤放送席に座っている、7つの頭部を持った人型実体。日本語で発話を行い、解説を担当する。

そしてこのオブジェクトの主たる異常性は開催されている競馬レースにある。
まず、本レースは"芝距離無制限の障害競走"という、多分現実では聞いたことがないルールである。
勝敗を決するゴールラインは先頭馬の走りに合わせ、馬場を滑るように高速で移動し続けるらしい。
なんともシュールな光景が予想されるが……つまりゴールライン君が頑張っている限りは永久にダービーが続いていくわけだ。
騎手や競走馬は走り続けて疲れたりしないのかと思うが、まぁ実際疲れないのだろう。SCPだし。

そしてここからが本題である。
競馬レースであるからには色々な競走馬が出場するわけだが、これら出走中の競争馬にはすべて、今後発生が懸念されるK-クラスシナリオの発生源にちなんだ馬名が付けられている。
そしてモデルとなった事象が深刻化し、人類に危機が迫るほどゴールラインとの距離が縮まっていく。

当レースにおける競走馬の「ゴールラインへの到達」は「K-クラスシナリオの進行による人類滅亡の確定」を意味していると予想されているが、幸い今のところゴールラインを踏破した馬は確認されていない。
なお、モデル事象による滅亡が何らかの理由により遠ざけられた場合、馬の失速、落馬、あるいは後方への斜行などに繋がり対象の馬は大幅に遅れをとる。
モデル事象による滅亡の可能性が完全に根絶された場合、対象の馬は失格処分となる。

ちなみにレースコースおよび放送席への物理的な干渉の試みはすべて失敗に終わっているとのこと。レースの帰趨に関しては観客席または競技場外部から指をくわえて見ているしかないということである。

なんとも悪趣味だが、「競馬レース」という視覚的な形で、世界終焉の進行度合いを教えてくれるわけで、意外と役に立つのかもしれない。
しかし少なくともレースに干渉するという形でどうこうすることは出来ないし、モデル事象の内容によっては走行中の馬などから致死性ウイルスや攻撃的ミーム、奇跡論的パルス等が放出されることがあるらしく、結果として時折この競馬場そのものがシャレにならない被害を出してくることがある。Keter分類は妥当であろう。

最後にこの競馬レースのレース名は、実況や掲示物によると

『第666回 地球大災厄』

とされている。

出場馬の紹介

ここからは本レースに出場している競争馬達を紹介していこう。
元記事には資料として「2050年時点での全順位」及び「3991年~4001年の実況解説記録」が記載されている。
……しれっとこのダービーが最低でも2000年以上続いていること、そしてこの財団世界が恐ろしくしぶといことが確定したが、ここでは一旦置いておこう。

2050年時点での全順位」は以下の通りである。



1. アトミックボム
2. ディープインパクト
3. メテオシャワー
4. スーパーボルケーノ
5. エーアンドアイ
6. シンコウエイリアン
7. パンデミッサ
8. ウィキドットチャン
9. ミスターデーヴィー(ここまで先頭集団)
10. キングスカーレット
11. アカイトリ
12. サイガスクエナイ
13. シナノウツロオー
14. ニーサンゼロゼロ
15. ヒノマルツヨシ
16. イマハネユルシタル
17. リンゴニシテヤルノ
18. ウンスカイ
19. ポテイトーズ
20. サミュエルロイド(失格のち復帰)
21. ケイキフェトル
22. ナイステスラ
23. ハーツオブアース
24. トウカイヤネウラ
25. ウオッカ
26. イナミサン
27. ヒシリヴァイアサン
28. アドマイヤディダル(失格のち復帰)
29. ムムムムムムム
30. アイアムツヨスギル
31. アイアムカミスギル
32. ヘイトフルスター
33. トワノダークホース
34. トケマスフウイン(2048年失格)
35. カブトヤロー(2037年失格)
36. ダエワスカーレット(2022年失格)
37. サイレンスデイズ(2019年失格)
38. ニクニクパニック(2019年失格)
39.      (2017年失格)
40. シーキングザイダン(2017年失格)
41. マヤノカレンダー(2012年失格)
42. キョウフノダイオー(1999年失格)
43. シケイダショパン(1998年失格)
44. ハレーノシッポ(発見時すでに失格、退場済)



名だたるSCP達と名だたる名馬達がミックスされた結果ネタの大洪水が起こっているが、実際の報告書にはそれぞれの馬にWikipediaのページや他SCP記事等へのリンクが張られており、どういった事象をモデルにしているかが分かるようになっている。
この記事では3991~4001年(以下便宜上「3990年代」とする)に言及がある馬はそれも交えつつ、登場する全ての競争馬とそのモデル事象を解説していこう。

+ 2050年時点順位1~9位

アトミックボム

リストの中でこの馬のみリンク付けが行われていないが、何がモデルかは明白だろう。「核戦争による滅亡」である。
2050年、3991年ともに先頭を走っていた本命馬の筆頭。
世界転覆を狙う不穏分子の虎の子として恒常的な脅威をもたらしていたが、3995年、遂に先頭から陥落する。
実況によると放射能除去老婆が実用化されたことで核兵器そのものの価値が暴落したらしい。

ディープインパクト

リンク先は1998年の同名のアメリカ映画(Wikipedia)。映画の内容から考えると「巨大彗星の衝突による滅亡」と思われる。
2050年、3991年ともに2位。有史以来最大となる直径120キロ以上の彗星によって一気呵成にゴールラインを狙ったが、宇宙艦隊の砲撃によって塵と化したことで6位まで順位を落とした。
やはりと言うべきか、どうやらこのディープにも武豊が乗っている様子。

メテオシャワー

リンク先は上に同じく1998年のアメリカ映画「アルマゲドン(Wikipedia)」。つまりは「小惑星の衝突による滅亡」と思われる。
2050年時点では3位につけていたが、3990年代には大きく落ちて中団の仲間入りしていた。多分ディープインパクトのついでに薙ぎ払われている。

名前の元ネタは同名のメテオシャワー。生涯38戦で14回の2着を経験したシルバーコレクターだが、引退後ナイスネイチャと仲が良かったことでも有名。

スーパーボルケーノ

リンク先は破局噴火(Wikipedia)」
地下のマグマが爆発的に地上に噴出することで、地球レベルでの環境変化をもたらす最悪の災害。
ペルム紀の大量絶滅の原因としても有力視されている、非常に有名な滅亡モデルである。
2050年時点では4位だが、3990年代には特に言及無し。2000年先ともなると人類は大地をも制御下に置けるようになったのだろうか。

エーアンドアイ

リンク先は「AIによる乗っ取り(Wikipedia)」
技術的特異点を超えて発達した人工知能が生みの親である人類を放逐、または実効支配してしまうというシナリオである。
AI技術を公衆よりも遥かに発達させ、収容活動に利用している財団にとっても当然他人事では済まされない。
2050年時点では5位、3990年代でも8位→3位→2位と粘り強く先頭集団に残り続けている。やはり根絶は難しいのだろう。

シンコウエイリアン

リンク先はSCP-2399「故障中の宇宙戦艦」。ここにきてようやくSCPがランクイン。
17世紀の木星に不時着した巨大戦艦とみられる機械的構造物で、一般に大赤斑の名で知られる破壊的な大気の流動は、この戦艦を中心に生み出されている。
この戦艦に向けて送られている信号の傍受から、太陽系外部に存在する敵対的宇宙人による侵略の尖兵であるとほぼ断定されている。
現在は不時着に伴う損傷の再生に時間を費やしているようだが、2015年には既に太陽系第三惑星をターゲットと指定する信号を送り始めている。
木星に地球3つ分はある渦を作り出すほどの超技術を持っている宇宙人、彼らが木星の重力圏を抜け出す力を得て本格的な攻撃に転じれば、人類に成すすべはないだろう。

2050年時点で既に攻撃態勢に入っていたのか6位。3990年代には超技術によってディープインパクトを差し向けたが、これを粉砕した宇宙艦隊の報復により下位に沈没、最終的には財団の運用する反ミーム兵器によって逆に討伐された。財団すげぇ!

パンデミッサ

リンク先は「パンデミック(Wikipedia)」。すなわち「感染症の世界的流行による滅亡」である。
令和始めに世を騒がせたCOVID-19こと新型コロナウイルスを始め、ペストに天然痘、結核など、現実世界の人類も幾度も辛酸を舐めさせられている古豪である。
2050年時点では7位、3990年代には3位→1位と追い上げゴールラインに迫るかに思われたが、3997年に突如沈没した。
どうやら財団は万能薬の普及に成功したらしい。副作用なんてなかったんや!

ウィキドットチャン

突然の超絶メタネタ。リンク先はSCP FoundationにおけるWikidotの不具合まとめページ
要するにWikidot(現在SCP Foundationのホストになっている海外のwikiサービス)が突然終了することで財団世界も終わる、というシナリオ。
そりゃ、確かにフィクション世界ならではの終わり方ではあるが、流石にこれはあんまりな終わり方ではなかろうか。
2050年時点では8位、3990年代にも先頭集団に混ざり続け一時は先頭まで取ったが、3999年飛び入り参戦したバドエンスキーに抜かれた。
その時の実況曰く「不運にも収益改善で鈍い走りです!不運とか言うな。
ちなみに解説の推し馬らしい。

ミスターデーヴィー

突然の超絶メタネタパート2。リンク先はSCP Foundationにおける「記事の削除に関するガイドライン」。
要するにSCP記事がサイトメンバーから多数の低評価(DV)を受けてサイト上から削除されることで財団世界も終わる、というシナリオだと思われる。
実際、そういう観点で書かれたSCP記事も存在するが……
とりあえずSCP-2655-JP-Jの本家記事は2024年10月時点でテレキル(+100)を超える高い評価を得ているので、当面この馬が優勝する心配は無いだろう。
2050年時点で9位、3990年代には特に言及無し。

ここまでが2050年時点での先頭集団。
……ということで、これだけ最悪なアレやらコレやらが跳梁跋扈する財団世界にあってすら、「本命馬」は核戦争やパンデミックなどの現実世界にも普遍的な因子が過半数を占めるらしい。しかもそれに該当しない内の2つは財団世界が上位世界の事情で消されるというメタネタである。
なんとも皮肉というか、ある意味では安心というか……

+ 2050年時点順位10~19位

キングスカーレット

リンク先はSCP-231「特別職員要件」
「緋色の王の子ら」を名乗る宗教団体から回収された、異常存在を身篭っていると推定される7人の妊婦(本家記事では7人中6人は既に死亡済)で、その出産、及び死亡に伴って周囲、あるいは世界全体に甚大な被害を齎すイベントを発生させる。
財団は出産を先延ばしにするために「処置110-モントーク」を制定し、彼女らはとても言葉では言い表せないほどの苦痛を受けているとされる。

2050年時点で10位、3990年代には先頭集団に食らいついていたが、3997年シンコウエイリアン共々討伐される。

名前はダイワスカーレットが近いが、後にダイワスカーレットを元ネタにしたと思しき馬がもう一頭出てくるので、こちらの方はキングカメハメハキングヘイローあたりが元ネタかも知れない。

アカイトリ

リンク先はSCP-444-JP「█████[アクセス不許可]」
荒廃した日本生類創研の施設から回収された、文章形式のオブジェクト。
読み上げると極めてリアルな幻覚世界に囚われ、赤い原野で緋色の鳥に捕食されるという体験を数百回もループする。
その正体は幻覚世界で人の心を食らうことで成長する「認識の鳥」。本家記事では財団職員が実験を繰り返したことで力をつけ、ただ「この文章を知っているだけ」でも緋色の鳥に支配されるようになってしまった。
いずれは赤い原野から飛び立ち、現実世界を食い荒らすようになるだろう。

2050年時点で11位、3990年代には中団から追い上げている。
実況の口ぶりから、既に何度も討たれかけているものの持ち前の潜伏力の高さから蘇ってきたと思われる。特に今回の復活では見るからに肥えているらしい。
ちなみにこの時解説が軽々にやっぱりあかしけやなげですよねぇ~」と口にしたことで被害が一段と悪化したらしい。いや何してくれてんの?

名前の元ネタは2010年の三冠牝馬アパパネ(ハワイに生息する赤い鳥の事)、あるいはその娘で2021年秋華賞の勝ち馬アカイトリノムスメだろうか。
もしくはエリザベス女王杯で10番人気ながらそのアカイトリノムスメを含む強豪達を下し超波乱を巻き起こしたアカイイトかもしれない。

サイガスクエナイ

リンク先はGoI-2015「犀賀派」
犀賀六巳という人物とその信奉者達によって構成される要注意団体
複数の異常オブジェクトに加えて平行宇宙の観察及び移動を行う技術を有し、数々の平行宇宙で危機に瀕した人類を救うために活動している。
しかしここでいう「人類」は平行宇宙を含む全ての宇宙の人類を指すため、より多くの宇宙(人類)を救うために必要と判断すれば、特定の宇宙に対して深刻なダメージを与える行動だろうと許容することもある。このレースに入っているのもそういうことだろう。
2050年時点で12位、3990年代には6位まで追い上げたが、途中で何故か切り離しを諦めて離脱。
解説にも「世界を救いたいのか滅ぼしたいのか、いまいちよく分かんないですよねぇ」と言われた。

シナノウツロオー

リンク先はSCP-280-JP「縮小する時空間異常」
日本国長野県の山間部の洞窟で発見された、物体や電磁波を取り込むことで過去(発見時)の直径を拡大する球状の時空間異常。
だが「現在の直径」は0.7mのままで一定であり、更に過去の改変に伴って「これまでに縮小した直径」の認識まで自然にすり変わっていく性質上、財団は異常の本質を認識できず、誰かが廃棄プロトコルを実行するたびに山間部が、中部地方が、日本国が、そして地球が消えていく。

2050年時点で13位、3990年代には中団を安定走行。
ちなみに3999年の実況における言及がこちら。
日本の星・チュウブ(・・・・)ウツロオー、肥大化で距離を稼いでいく!
どうやら少なくとも長野県はもう既に手遅れらしい。それだけで済んでるのも凄いが。

ニーサンゼロゼロ

リンク先はSCP-CN-1000「2300」
簡潔に言えば、2300年の1月1日から1月7日にかけて世界中にありとあらゆる種類の「異常」が溢れ返り、世界を滅ぼしにかかる現象
本家記事中ではO5達は300回以上も時間遡行を繰り返し、プロトコル-噎鳴(ムセビナキ)と称して数多の異常を人為的に放った世界でSCP-CN-1000に立ち向かえる正常性維持機関の育成を目指したが、全てのタイムラインは2300年を超えるに至らなかった。

2050年時点で14位、その後有力馬となるも、2300年失格となった。O5達がめげずに頑張ったのか、単にこの世界の財団が強すぎるのかは定かではないが、人類は2300年を超えることに成功した。
なお、この際にニーサンゼロゼロを含む328頭が連続して落馬した一件は「場内総むせび泣き事件」と呼ばれ語り継がれている。

以下は余談だが、日本における競走馬の馬名の登録には幾つかの規則があり、その一つに「アルファベット又は数字を片仮名で表記しただけの馬名は登録できない」というものがあるため、「ニーサンゼロゼロ」が現実の馬名として認可されることはほぼ有り得ないと思われる。
まぁ「     」が通ってる時点でここの規則とか考えるだけ無駄だが

ヒノマルツヨシ

リンク先はSCP-001/S.D.ロックの提言「夜明けの刻」
太陽があるイベントを経て突然オブジェクト化し、その可視光線に暴露した生物をドロドロのスライムに変化させるようになるという記事。

2050年時点で15位、3994年には例のイベントが発生したのか後方から猛烈な追い込みをかけたものの……
本家記事中では最初の24時間で68億人が犠牲になったというかなり絶望感溢れるアノマリーだが、この世界の財団はこんなものもどうにかしてしまった*1。詳細は3つほど下を参照。

名前の元ネタは1999年の京都大賞典でスペシャルウィークテイエムオペラオーメジロブライトらG1馬3頭を下したシンボリルドルフ産駒最後の重賞馬、ツルマルツヨシか。

イマハネユルシタル

リンク先はSCP-1000「ビッグフット」
かつて地球の支配種として繁栄を極めていた、現在はビッグフットと呼ばれる類人猿。
ある時に現人類の祖先が彼らの技術を盗み、一夜にして彼らの大多数を一掃し、文明を破壊。数少ない生き残りは知性を奪われ、猿のように生きることになった。
だが、その数少ない生き残りの子孫達が近年では知性を取り戻しつつある。
……彼らがもしもかつての我々のように「機会」を得たなら、どのような行動に出るだろうか?
……彼らが職員に対して英語で綴った「ゆるすよ」「やりなおそう」とは、何を意味するだろうか?

2050年時点で16位。しかし時は3995年、電撃和解により自ら馬場を去る。何があったのだろうか。

リンゴニシテヤルノ

リンク先はSCP-3049「ゼロから作るアップルパイ」
標準的な家庭用サイズのガス動力型対流式オーブンだが、中央ダイアルの下の部分にラベル付けされた「アップルパイ」に設定すると異常効果が発生する。
まずこのオーブンの中にミニサイズの宇宙が生成され、この宇宙で発生する星の誕生、ブラックホールの生成、銀河の創造などを超加速タイムスケールで見せる宇宙ドキュメンタリー的な映像が流れる。
この映像は太陽に近い恒星、その系の中にある居住可能な地球型惑星、そこに発生する知的生命体の営み……と段階的にフォーカスしていくが、最終的にこの知的生命体は自らが創造した自己複製分子ナノテクノロジーによってYK-クラス世界終焉シナリオを起こし自滅、ミニ宇宙はその全てがアップルパイになるという結末を辿る。
……以上の過程が流れたところでアップルパイが完成する。ここまで約30分。
要するにゼロから宇宙を作って、複製テクノロジーが出来るまで文明を進めてグレイ・グーで全部アップルパイにするという超ダイナミックなオーブン。

……で、なんでこんなのがここにリンク付けされてんのと思うかもしれないが、それについてはこう考えれば良い。
財団世界がこのオーブンで直接危害を被ることはないかもしれない。だが、財団世界が上位世界のオーブンの中でアップルパイになる宿命を負った宇宙ではないと、一体誰が証明できるだろうか?と。

2050年時点で17位。3990年代における順位は不明だが、3996年にはイナミサンが放った彫刻を次々とアップルパイに変えた。……これ競馬レースだよね?

名前はオンラインゲームキャラが必殺技を放つ際に放つ台詞から名付けられたとされる珍名馬・プリンニシテヤルノから。

ウンスカイ

リンク先はSCP-3649「圧倒的曇天」。2050年時点で18位。
北米ネブラスカ州の上空に発生した、地球表面に対して静止位置を維持する波状高層雲。
この雲を通過したものは有形物質だろうと電磁波だろうと分解され、更に通常の雲を吸収して大きくなっていく。
本家記事中では財団の努力も空しくこの雲が地球全ての空に広がり、世界は圧倒的曇天に覆い尽くされた……

……はずだったのだが、この世界の財団はあろうことか雲の成分解析に成功、2091年を以て収容されウンスカイも失格。
最終的に本現象はExplaindに再分類されて気象兵器やテラフォーミングとして利用されるに至り、3994年には障害サイドに回って上がってきたヒノマルツヨシを妨害し、再び中団に沈没させた。
う~む、これはけしからんねぇ。フェアプレー精神に反しますよ。走るからには正々堂々滅ぼさんと。まったくけしからんねぇ。

ポテイトーズ

リンク先はSCP-1689「ジャガイモ入れの袋」
北シベリアのクリソヴォ村で発見された、麻布でできた大きな袋。
常に約200個のジャガイモが入っており、内部に隙間ができると内部のジャガイモが分裂し元の数まで補充される。ちなみに他の種類のイモでもこの袋に入れるとその芋を分裂させることが出来る。
更にこの内部は見かけよりも遥かに広い空間に繋がっている。
機動部隊がこの空間の探査を行った結果、空間を埋め尽くす無尽蔵のジャガイモの中に、建物自転車といったものが発見されている。
何故「袋の中の世界」でイモが分裂するようになっているのかは分からないし、現時点でこの袋自体には「袋の外の世界」を滅ぼすような危険性は恐らくない。
ただ一つ確かなことは、際限なく分裂するジャガイモによって破壊された文明がどこかに存在するということである。

2050年時点で19位。3995年にはイナミサンに取り込まれた。どういう絵面なんだろうか。

名前の元ネタはそのまんま18世紀の馬ポテイトーズ(Pot-8-Os)。どうも名付け親がポテトの綴りを知らなかったらしく、Potooooooooと登録された事で有名な恐らく世界初の珍名馬。
ちなみにこんな名前だが、戦績は媒体によって28~34勝とブレがあるもののすこぶる良好。種牡馬としても大成功を収めており、現代を走る馬の約9割がこれの直系にあたり、父エクリプスの血を世界に広めた立役者でもある。

+ 2050年時点順位20~29位

サミュエルロイド

リンク先はSCP-3856「世界の破壊者、ロイド研究員」
既知の全ての宇宙に存在する「サミュエル・ロイド研究員」について、彼が死亡する場合、必ず所属宇宙に存在する彼以外の全ての人間よりも後に死亡する、という確率論的異常。
要するにロイド研究員が今にも死亡しそうになれば、所属宇宙の全人類が問答無用で即座に死亡するように世界が動くということであり、財団は自分の宇宙のロイド研究員に対して可能な限りの延命措置を行った上で地下施設に保護している。
なお、対象宇宙が迎える「滅び方」は、対象宇宙に所属している人類の数が多いほど平穏に、少ないほど破滅的になる。例えば数十億人の人口を擁する宇宙であれば普通に滅ぶだけだが、無人に近い宇宙でロイド研究員が死亡する場合、「高レベルユグドラシル切断イベント」……簡単に言えば周囲に存在する次元宇宙を多数巻き込んでの大崩壊を起こす。
そして本家記事では、やはりというべきか、数多の平行宇宙の財団同士でロイド研究員を押し付け合うという宇宙規模の爆弾ゲームが行われるに至っている。完全に疫病神扱いである。

2050年時点では20位。3991年には騎手の容態が悪化したことで大きく追い上げ4位に。

ケイキフェトル

リンク先はSCP-871「景気のいいケーキ」
大小も見た目も様々な237個のケーキ。24時間毎の周期に伴って復活または増殖し、適切に処理しなければエラいことになる。
まず、周期前に「人間によって食べられる」という形で消費した場合、周期時に食べられた場所の付近の平面に元あったものと類似したケーキが生成される。
そして周期前に人間が食べるという形での消費が行われなかった場合、ケーキは新たなケーキを付近の平面に生成し、この生成されたケーキもSCP-871の特性を受け継ぐ。
人間以外の動物に食べられたり、他の方法で損傷を受けた場合このケーキは周期を待たずに即座に再生する。この時、次の周期までの残り時間は復活前からリセットされないため、この方法によって増殖を止めることは不可能。
SCP-871は某栗まんじゅうとは異なり、総数を減らす手段が存在しない。放置すればケーキの総数は指数関数的に増加し、あっという間に収集がつかなくなった増殖ケーキの山が80日以内に地球を居住不可能にしてしまうだろう。

2050年時点で21位。3995年にはポテイトーズと共にイナミサンに取り込まれた。

ナイステスラ

リンク先はSCP-2700「テレフォース」
かの天才発明家ニコラ・テスラが設計した装置だが、とある事件によりテスラの設計図にはない機能を備えた非常に危険な代物になっている。
コア内部にはSCP-2700-オメガと分類された離散的なエネルギーが内包されており、この空間内ではエントロピーの流れが逆転している。
そしてこの装置を「起動」するとこの逆転エントロピーが周囲空間に漏出、それに伴う不可避的な連鎖反応によって宇宙全体のエントロピーが逆転……要は時間の流れが逆行したまま元に戻らなくなると考えられている。最終的には宇宙の全てがエネルギー無限大の特異点へと縮退することになるだろう。
更に最悪なのは、とある人物の悪意によってこの装置は2234年に自動で「起動」するよう仕組まれていることである。この装置の起動を止めるための財団の努力は目下進行中。

2050年時点で22位。3990年代には言及が無いが、未だに世界が続いていることから察するに財団は対処に成功したと思われる。

ハーツオブアース

リンク先はSCP-188-KO「地球の心臓」
サモア諸島の某市に存在するT字タワークレーン。クレーン全体が異常な破壊耐性を持ち、特に巻き上げ機構の部分は破壊不可能と断定されている。
毎日太平洋標準時で12時から1秒の間だけワイヤーロープを引き上げるのだが、それに伴って地球全体の重心がSCP-188-KOに向かって移動する。
これにより、1日に約0.05mm、年間で約1.8cmずつ地球の重心がSCP-188-KOに向かって移動し、地球全体の気流/海流にも少なくない影響を与えている。
オブジェクトの危険性が示された当時、ワイヤーロープを融解させて破壊する案が検討された……が、それをするとこれまで引き上げられていた重心が地球の中心に向かって「墜落」してしまうのではないかという仮説が提唱されたため、この案は一時保留されている。

2050年時点で23位。3990年代には言及が無いが、流石に無力化されたと思いたい。
ちなみに重心巻き上げが継続している場合、既に最低でも36mは重心が動いている計算になる。多分ここまで来る前に地球が歪みに耐え切れなくなるだろう。

トウカイヤネウラ

リンク先はSCP-100-JP「屋根裏部屋の宇宙」。
メキシコ、ユカタン州に存在する1922年に建てられた木造の2階建て家屋。
屋根裏部屋が宇宙を模倣した拡張空間となっており、ここにある「恒星」や「惑星」の模造品は実際の宇宙にあるものと対応している。
で、この模造星は「実物」と連動しているらしく、探査中に模造恒星の一つを誤って破壊したところ、対応する恒星が恒星寿命に関係なく超新星爆発を起こした。
これだけなら取り扱いに細心の注意を払えば良いだけの話だが、どうもこの家屋、老朽化により倒壊の兆候があるようで……

2050年時点で24位。3990年代には言及が無い。

ウオッカ

リンク先はSCP-CN-801「《天王星外》」
財団世界のとある人物が執筆した小説作品《天王星外》の中に発生する虚構実体。
この小説は「入れ子式SFメタ小説」、すなわち劇中劇がマトリョーシカのように何個も続いていくという構造なのだが、この実体に汚染された階層の物語は全ての人間が死亡するなど、「最悪な結末」に不可逆的に改変されてしまう。そしてこの実体は階層を破壊し終えると一つ上の階層に跳躍し、そこでまた物語を破壊する。
この実体は各物語で一貫して「Vodka(ウォッカ)」を名乗る登場人物として描写され、現時点で上から6番目、5番目、4番目の物語を破壊している。
最も上位の、原始の物語が破壊された時、次に何が標的になるかは想像に難くないだろう。

2050年時点では25位、3990年代には言及無し。

イナミサン

リンク先はSCP-173「彫刻 - オリジナル」。正確にはSCP-173が登場するTale「SCP-173のRevised Entry」
視線を向けていない者の首をへし折り、起源不明の汚物の分泌により収容コンテナを汚染する、原初(オリジナル)のSCP。
だが基本的に首を折る以上の危険性は無く、無害とは言えないまでも比較的安定収容されたオブジェクトである。
しかし173は原初のオブジェクトであるだけに関連Tale等による補足設定も膨大であり、特に「Revised Entry」の世界ではどういうわけかコンテナ内でSCP-173が増殖、収容コンテナを突破し、最終的には北アメリカのほぼ全人口を鏖殺し、ついでにクソトカゲを数の暴力でボコボコにするというシナリオが描かれた。

2050年代には26位。3990年代にはどういう原理か分からないがポテイトーズとケイキフェトルを吸収することで増殖力を強化し、怒涛の追い上げを行った。

ヒシリヴァイアサン

リンク先はSCP-169「リヴァイアサン」
少なくとも先カンブリア時代から生きていると考えられている、体長2000km~8000kmの超巨大な海生節足動物。
現在はある列島の土台として休眠中だが、僅かな身じろぎでも断層や津波が生じるほどの力を有している。
仮にこの地球最大の生物が目を覚まして暴れた場合、世界は間違いなく崩壊するだろう。

2050年時点では27位、3990年代も中団後ろ。実況曰くいつもフリーダムな走りで、一向に仕掛ける気配を見せないらしい。

アドマイヤディダル

リンク先はSCP-2998「異常放送、2485MHz」
不明な発信源から恒常的に発せられている周波数2485MHzの電気信号。
この電気信号に暴露した人間は、特に規則性のない電気信号になんらかの重要な情報が含まれていると思い込み、解析を行う。更に長期的に信号に暴露すると「Adidal」や「Ruhar」などの謎の概念を獲得し、錯乱状態に陥る。
本家記事内の財団は取り憑かれたように信号の解析を行い、他の職員に対して暴露を勧めたりもする有様であり、報告書は滅茶苦茶になってしまった。

2050年時点では28位。3990年代にも残っている模様。

名前の元ネタは皐月賞や日本ダービー、天皇賞(秋)にも出走したアドマイヤハダルか。
本家記事執筆時点において数少ない現役馬である。

ムムムムムムム

リンク先はSCP-1690-JP犭貪(トン)あるいはウロボロス」
ヘルクレス座・かんむり座グレートウォールの銀河が消滅する現象によって発見された、財団宇宙のどこかを超光速で移動していると考えられる平坦トーラス面。この面が通過した空間はそこにある物質や電磁波も含めて消滅する。その後に残るのは完全な「無」のみである。
現在の位置が分からないため、その時が来るのは1年後かもしれないし、何万年も先の話かもしれない。だがいずれにせよ、この「宇宙の終わり」に気付いてしまった財団にその時を座して待つという選択肢は無い。
本家記事では2つの対抗計画が立案されたが、そのどちらにも暗雲が立ち込めている。

2050年時点では29位。3990年代における順位は不明。実況曰く、いるにはいるが位置が分からないらしい。

名前の元ネタは大井の珍名馬として有名なスモモモモモモモモ(李も桃も桃)だろうか。
あるいは20世紀前半に現2歳の短距離戦で活躍した、イギリスが誇る名牝"Flying Filly"ことムムタズマハル(Mumtaz Mahal)かもしれない。

+ 2050年時点順位30~39位

アイアムツヨスギル

リンク先はSCP-682「不死身の爬虫類」
言わずと知れたクソトカゲ。生きとし生けるものを憎悪し、財団のあらゆる手段をもってしても殺すこと能わない爬虫類のような何か。
生物としては極度に高い力・スピード・反射神経に加えて身体の87%を失っても元通りになる脅威の再生能力を持ち、更に言語を理解し話すことも出来る(ただしほとんどは罵声)。
SCP Foundation黎明期に生まれた「ただひたすらに強い」オブジェクトであり、「ただコイツ以上に強いだけ(・・)のSCPは作るな」という一種のボーダーラインのような存在。

2050年時点で30位。3993年には陽電子ミサイルで蒸発してしまった。
あちゃ~、残念。僕的には、ツヨスギルは短距離向きだと思うんですよ。石器時代なら余裕で滅ぼせましたが、ここんとこの技術革新には流石に追いつけませんでしたねぇ。来世に期待です。

名前の元ネタは2021年初風ステークスにてオヌシナニモノと珍名馬ワンツーを決め、しかも名前で会話していると話題になったアイアムハヤスギルか。

アイアムカミスギル

リンク先はSCP-343「“神”」
「神」を自称する非常に強力な現実改変能力者で、外見は観測者によって異なる。
財団には表面上友好的だが、研究に関わっていた財団職員1名を消失させた形跡もあり、少なくとも安全に収容されているとは到底言えない。
クソトカゲ同様にサイト黎明期に生まれた純粋な強者であり、こちらも「ただ強力なだけ」のSCPに対するボーダーラインとして機能している節がある。

2050年時点で31位。クソトカゲと異なり4001年時点でも生存している。

名前の元ネタは同上(アイアムハヤスギル)。こちらは2010年の阪神牝馬ステークス勝ち馬アイアムカミノマゴもミックスされているかもしれない。

ヘイトフルスター

リンク先は旧SCP-1548「きらいきらい星」
かに星雲に存在する光学パルサー。太陽系に向かって光速に近い速度で移動しており、パルスによるモールス信号で敵対的な文章を送っている。
到達までには5700年程度かかると考えられているが、何故か明確に観測者(財団)の存在を把握して敵視する文章を送ってきたり、太陽に向かって何かしらの重大な攻撃を行っている可能性が示唆されていたりと油断ならない。

2050年時点では32位、3990年代にも生存しているものの、トップからはかなり離されている模様。

元ネタは2011年のセントライト記念を制したフェイトフルウォーか。新馬戦でレース前に放馬するもそのまま出走し、圧勝するなど、やんちゃなエピソードに事欠かない馬である。

トワノダークホース

リンク先はSCP-973-JP「エターナル・ダークホース」
日本国内で開催されるあらゆる分野の大会に「暗星 豪」という名前の人間として参加する黒鹿毛のうし馬。こんな大会にも参加してるのかよお前。
なお、正確には暗星氏本人は騎手として参加している。つまりは馬が馬に乗っていると思われる。……まぁ本家記事でも同じようなことをやってるが。

2050年時点では生存している中では最下位の33位。こいつに世界や人類を滅ぼすような能力は無いのだから当たり前っちゃ当たり前である。というか、仮にコイツが優勝してしまったらどうなるのだろうか……
3990年代も相変わらず最下位を走り続けていたが、終盤で意外な活躍を見せる。

トケマスフウイン

リンク先はSCP-2317「異世界への扉」
半径数キロにわたる塩田が広がる異世界へと繋がる木製の扉で、この塩田世界の地下には推定直立時全長200kmの巨大な人型実体が封印されている。
巨人は7本の鎖に繋がれており、これらは地上に突き出た7本の大理石の柱に対応しているが、既に「鎖」の内6本が破損済。
更にこの「鎖」が破損する度に連動して現実世界に何らかの破壊的なイベントが発生することが確認されており、第6鎖の破損では最終的に200万人の死者を出す「何か」を起こしている。
この巨人を繋いでいた鎖はこの巨人の同類の骨と腱から造られているとされており、再作成の試みは一切実を結んでいない。
そして報告書執筆時点から30年前後で最後の鎖が破損し、現実世界に避けようのない破滅が齎されると見積もられている。
O5評議会は尤もらしい偽の収容プロトコルを制定し、収容出来ているように見せかけることで指揮系統の混乱を防いでいる。

2048年失格で34位。どうやらこの巨人もなんとかなってしまったらしい。

カブトヤロー

リンク先はSCP-3003「歴史の終わり」
地球から208光年の距離に存在し、あらゆる点で地球と似た環境条件を持つ居住可能惑星。
生理学的に地球のものと区別のつかない非異常性の「人間」が約200億人居住し文明を築いているが、その在り方は我らのものとは大きく異なる。
彼らは全員が「マルセ」と呼ばれる小型のカブトムシに似た生物……正確にはこの「マルセ」もまた、ある真核生物の寄生により異常化しているが……による寄生を受けており、新たに生まれた子供にもマルセを寄生させることが当たり前になっている。
マルセに寄生された「人間」はマルセにとって利益になると彼らが信じる活動を最優先に掲げるようになり、感情が抑制されて過度に論理的になる。
利益になりそうな活動が見出せない場合は娯楽活動も行うが、それらも全て何かしらの形で「マルセ」が関与するものである。マルセの育成地を訪れるとか、マルセの羽音の録音を聴くとか、マルセの質感を模倣した服を着るとか。
生理学的に人間と区別がつかないと言ったが、彼らの遺伝的多様性は「マルセ」の宿主としての適性に重きを置いた組織的な選択的交配により我々の35%程度に狭まっている。彼らは更に今後30年にわたって人工的な遺伝子導入を行うとも発表している。勿論マルセのためにである。
そしてやはりというべきか、彼らの支配委員会は地球をマルセの拡散場所として利用することに興味を示している。向こう30年程度で惑星間の移動及びテラフォーミングが可能になると見積もられており、彼らの思惑が実現すれば地球も小型カブトムシの奴隷になってしまうだろう。

2037年失格で35位。まぁ危険なことには変わりないが、正直ここまでの連中に比べると対処は難しくない部類だろう。ぶっちゃけ倫理的問題を投げ捨てて反ミーム兵器辺りを使っちまえば流石に滅ぼせるだろうし

馬名の元ネタはカブトシローか。1番人気からの連敗や8番人気からの天皇賞優勝など成績にムラがあり「新聞を読む馬」とも呼ばれた。
ちなみにマジンガーZの主人公の弟・兜シローの名前はこの馬が由来らしい。

ダエワスカーレット

リンク先はSCP-6140「真の帝国」
SCP-140「未完の年代記」の大規模収容違反により、ダエーバイト帝国が2022年3月20日に蘇るという衝撃的な記事。
様々な関連オブジェクトから、異常存在が支配する非常に敵対的かつ強大な国家であることが示唆されるかの国の復活。
Xデーを前にして、財団はGOCを含む4つの他組織と合同し、史上最も苛烈な戦いが始まろうとしていた。

だが、その結末は意外なものであり……
2022年失格で36位。

サイレンスデイズ

リンク先はSCP-3519「静かなる日々」
2018年12月、とある宗教団体のラジオ放送を起点に爆発的に広まった、「2019年3月5日に世界の終わりが来るため、その時が来る前に自殺するのが最も望ましい」と感染者に確信させる伝染性ミーム。
極めて強力な拡散性と潜伏性と致死性、更には財団職員メタとも呼べる性質により、本家記事の財団はあっという間に機能不全に陥り、世界とともに静かに崩壊していった。
ローリー・ジョーンズ博士によって報告書の最後に残されたエントリはたった一言、「19/03/06: いい天気だ。」。彼はどんな思いでこのエントリを残したのだろうか。

2019年失格で37位。この世界の財団はこの最凶ミームの制御にも成功したらしい。もうここまで来ると驚かないが。

ニクニクパニック

リンク先はSCP-2217「鎚と鑕」
GoI-004「壊れた神の教会」の三大派閥の一つ、「壊れたる教会」が聖地と見なしているギリシャの某島の海岸にある砂浜一帯。
この砂浜では落雷、海岸線の侵食、生物/非生物の漂着などといった自然現象が総じて、明らかに人工的な構造物や機器を作り出す結果になる。その中には「潮の満ち引きによって形成された大都市のモデル」なんかもある。
SCP-610「にくにくしいもの」に深い関連のあるオブジェクトであり、2014年には先述の都市でM4.1の地震と同時にSCP-610が発生する事案が発生。
更に2019/01/01にはSCP-610の本来の発生地であるロシアのバイカル湖周辺にて、大規模な地震と同時にSCP-610の大群が押し寄せる。
O5評議会はこれらの兆候がXK-クラス世界終焉シナリオに繋がるとして、「壊れた神の教会」との一時休戦、及び協力の締結について議論し、全会一致でこれを可決。
境界線イニシアチブ・世界オカルト連合とも協力関係を結び、2019/12/31に発生するシナリオXK-610-Ωに備えている。

2019年失格で38位。
なお、サイレンスデイズ(その性質上2019/03/05までに決着)よりも下位扱いになっていることから、この世界の財団(達)は上述の「決戦の日」よりも早く決着をつけたと思われる。多分ヴェールも破れていないだろう。

馬名の元ネタは2008年の羽田盃を制したニックバニヤンか。

     

リンク先はSCP-3125「逃亡者」。名前がない訳ではなく、全角スペース5つで構成されている。
異世界に起源を持つ、極めて攻撃的なミーム・反ミーム複合体。
異世界での適応と進化により我々人間の精神構造では取り得ることのない極めて暴力的で破壊的なミームを有しているらしく、人間がこれを認識するだけで当該異常ミームへの強制適応による精神構造の改変、或いは個人の概念自体が破壊されることによる存在の抹消といった結果を招くとされる、非常に危険なオブジェクト。
更にこのミーム複合体は現時点では財団世界に「交差」、言い換えれば不完全な形で顕現しているとされているが、仮に複合体を構成する全ての要素が完全に到着した場合、数時間程度で世界中の人類が異世界ミームに憑依され、文化や社会といった既存の概念が全面的に破壊されると考えられている。
現時点では表向きSCP-3125の収容室とされる3125ユニット内部のみがこのミームの影響を受けない宇宙で唯一の場所とされ、内部では反ミーム部門の職員が対抗手段の研究を続けている……が、状況は芳しくない。

2017年失格で39位。財団はこの史上最悪のインチキミームに勝利したばかりか、なんと適切な調教を施すことでThaumielクラスの反ミーム兵器にしてしまった。流石に怖くなってきた。
3996年にはシンコウエイリアンとキングスカーレットを討伐し、更には馬群の半分を消し飛ばす活躍を見せた。反ミームなので見えないけど。

馬名の元ネタは当然いない…が、「見えない」ことからすると、あるいは牝馬初の年度代表馬に選ばれた名牝トウメイかもしれない。

+ 2050年時点順位40~44位+α

シーキングザイダン

リンク先はSCP-3002「思考抹殺計画」
極めて高い感染力を持つクラスⅩ相当のミーム実体。感染した人間に対する記憶の改変や除去が可能であり、更に自身という情報を他の情報に擬態させることで潜伏し、水面下でベクターを拡大する狡猾さも併せ持つ。
元は財団が行ったレテ・プロジェクトの被験体として選ばれた一人の現実改変能力者「リリー・ヴェセルカ」だったが、財団の処置によって心身に大きな苦痛を受け、最終的には肉体を失ったミーム実体となった。
その来歴上、財団と財団職員に対して強い憎しみを持っており、アメリカのサウス・ロック刑務所における異常記憶を関知した財団の介入に伴って2014年から財団内部に侵入、本家記事ではそれから3年足らずで財団を事実上滅ぼしてしまった。

だがこの世界においては彼女の復讐も上手くはいかなかったのか、2017年をもって失格となり40位。

元ネタはシーキングザダイヤだろう。シーキングザパールの産駒でGI2着が多いことでネタとして愛された。種牡馬としてチリでリーディングサイアーになった。

マヤノカレンダー

リンク先は「2012年人類滅亡説(Wikipedia)」2012年をもって失格となり41位。
マヤ文明で用いられていた暦の1つである「長期暦」が、2012年冬至付近に1つの区切りを迎えるとされたことから連想された終末思想に由来すると思われる。
……が、ここに載っているということは財団世界においては本当にモデル事象となる「何か」が起こっていたのかもしれない。

キョウフノダイオー

リンク先は「恐怖の大王(Wikipedia)」1999年をもって失格となり42位。
16世紀フランスの予言者ノストラダムスが遺した「空から恐怖の大王が来る」という語句を含む文章が色々あって1999年に世界が滅亡する予言と解釈され、市井を大変お騒がせした一件に由来すると思われる。
……が、ここに載っているということは財団世界においては以下略。

名前の元ネタはその名を示すがごとく1999年7月開催の宝塚記念にて大逃げをうったニシノダイオーか。
重賞での勝ちこそなかったものの、90年代のG2~G3レースを中心にタフに走り続け、キョウフノダイオーの後を追うように2000年を境に中央を去るも、高知競馬へと移籍。
最終的に中央・地方含め全70戦を9歳になるまで走る息の長い活躍を見せた。

シケイダショパン

リンク先はSCP-1710-JP「ショパン・ゴジラ」。恐らく正確には後述する「イベント・ペルセポネ」における滅亡がモデル。
ポーランド共和国マウォポルスカ県に存在する巨大な陥没穴。内部からは顔面がフレデリック・フランソワ・ショパンになったセミ型生物が発生する。このショパンゼミはショパンの楽曲っぽい羽音を出す。
このオブジェクトの発生経緯が壮大であり、本家記事では1998年7月12日、とあるショパニズム宗教団体の儀式行為により全長90mの巨大なショパンゼミ型神格実体(UE-1076)の降臨事象「イベント・ペルセポネ」が発生。
財団はGOCとの連携によりこれを何とか食い止めるものの、その代償にヴェールは崩壊し、跡にはこの陥没穴が残された。

1998年をもって失格となり43位。しかしこの世界が1998年ハブの延長線上にある可能性は低いため、この世界の財団及びGOCはヴェールを破ることなくUE-1076に打ち勝った可能性が高い。化け物か?

元ネタはマツリダゴッホだろう。珍妙な名前に反して有馬記念制覇、オールカマー三連覇など、特に中山競馬場でのレースにめっぽう強いことから「中山の鬼」「中山の帝王」などと評された。
ちなみにシケイダ(cicada)とは英語でセミのこと。別に「死刑だ」ではない。
尤も意味的に「死刑だ」でもあながち間違いとは言えない気もするが

ハレーノシッポ

リンク先は「ハレー彗星(Wikipedia)」発見時既に失格退場済みで44位。
恐らく1910年の接近事例において「ハレー彗星の尾が地表に致死性の有毒ガスを残していって人類は滅亡する」といった迷信が巷を騒がせたことに由来すると思われる。
……が、ここに載っているということは以下略。

バドエンスキー

3998年、突如レース場に現れ先頭を走り始めた謎の馬。
実況曰く「白毛に墨のような斑点、筆を思わせる尻尾を持った馬」で、「父にサッカーグループ、母にアクシュミホラーのエリートサラブレッド」。
もうぶっちゃけるがこの馬が象徴するものとは「バッドエンドが大好きな著者の都合」である。結局メタネタかよ!
いきなり参戦するや否や、翌年にはゴールラインを鼻先に据える距離まで人類を追い詰めるという理不尽っぷりを見せつけたが、ここで最下位トワノダークホースがゴールラインを逆走し、バドエンスキーに強烈タックルを決めるという掟破りの妨害を決めたことでレースは中断。

何が気に入らないのか!態度が気に入らないのか!
こんな終わりが気に入らないのか!?

しまった、すっかり忘れてた…!
彼、財団とは何かと懇意なんですよ。つまりですねぇ、ダークホースは獅子心中の虫、"隠れ障害"だったんです…!

ただ滅亡させるよりも苦しませる方向、例えば物理的に死ななくなったオチとかの方が愉快なのでは?」と思い直したことで直ちの滅亡は回避され、レースは続行されることになった。
この時観客からも放送席に届くレベルの歓声が上がっている。デウス・エクス・マキナ過ぎる展開は流石にウケが悪かったらしい。

ちなみに父母馬の名前はメタネタを扱った有名記事SCP-001/S・アンドリュー・スワンの提言」にて、ある財団職員がSCP-001実体群もとい著者のことを「ホラー作家の一団みたいに悪趣味な奴ら」と形容したことに由来すると思われる。

ゼンカイホー

リンク先はSCP-5000「どうして?」
4001年に追加エントリーを果たした馬。実況曰く「障害サイドからまさかの転向」。
本家記事は2020年に財団が不明な原因により暴走し、様々なSCPオブジェクトを「解放」しては人類を苦しめ追い詰める様が描かれるという中々に悍ましい内容である。
あちらではとある生き残りの財団職員が命をなげうつことで状況をリセットすることが出来たが、はてさて……

本家記事著者曰く名前の元ネタはハイセイコー。
言わずと知れた元祖アイドルホースであり、競馬の大衆人気化に大きく貢献した。

ジェラルディーナ

リンク先はSCP-666-J「ジェラルド博士の運転スキル」
4001年にゼンカイホーと共に追加エントリーを果たした馬。
ジェラルド博士が運転する乗り物に乗っている人間はジェラルド博士を除いて全員死亡するという、ジョークオブジェクト。遂にリンク先のオブジェクトまでふざけ始めやがった。
実況曰く前回チャンピオンとのことらしいが、これが一体どうやって世界を滅ぼすのかは謎。
地球を巨大な乗り物だと拡大解釈すればいける……のか?

名前の元ネタはそのまま、母に三冠牝馬ジェンティルドンナを持ち、自身も2022年エリザベス女王杯を制したジェラルディーナ。



余談

本作品のメタタイトルは「ウマ黙示録 滅亡ダービー」。
見ての通り、本wikiでも大人気の某著名競走馬を美少女化したプリティーなダービーのパロディ……だが、元ネタから抜き取られた部分が示す通り、プリティーな要素は全く欠片もない。
観客が全裸なのはこっちも混ざってそう。

また、メタタイトル及びナンバーはSCP-2655-JP「【アーバンヤクザRPG】ユビ娘 プリティーケジメ【★★★☆☆[3.2]】」のパロディ。言うまでもなくこれ自体がプリティーなダービーのパロディ作品である。
こちらは-Jとは逆にGoI-8102「有村組」が作った美少女アプリゲームのSCPであり、競走馬の要素は全く欠片もない。無駄に補完関係がしっかりしている。

実況と解説、観客の外見的特徴は、それぞれヨハネの黙示録に描写されている「天使」と「」、「アバドンが率いるバッタの大群」をモチーフにしていると思われる。
なんでも天使の方は世界を滅ぼすラッパが吹けて、獣の方は現役ならこの財団世界も30年で滅ぼせるらしい。真偽は不明だが。


追記・修正はレースの行く末を見届けてからお願いします。



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最終更新:2025年04月26日 22:02

*1 一応この世界以外にもこのオブジェクトをなんとか出来てしまった世界もあるにはあるが…(SCP-2050-JP関連Tale「日の出の刻」を参照)