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DOOM (2016) - (2020/11/26 (木) 22:43:40) の編集履歴(バックアップ)


DOOM

【どぅーむ】

ジャンル FPS
対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows
Nintendo Switch
発売元 Bethesda Softworks
開発元 id Software
【Switch】Panic Button
発売日 【PS4/One/Win】2016年5月19日
【Switch】2018年3月1日
レーティング CERO:Z(18才以上のみ対象)
判定 良作
ポイント 新生『DOOM』リブート
物量・過激演出路線へ回帰
旧作要素の多くも復活
DOOMシリーズ


概要

北米を中心に爆発的なヒットを遂げ、FPSというゲームジャンルを普及させた1993年の名作『DOOM』の、史上二度目となるリブート作。
タイトルが初代と同一のため、一般的には『DOOM(2016)』、または『DOOM 4』として区別されている。

開発はid Software、発売はBethesda Softworksが担当。ゲームシステムや音楽が高く評価され多くの賞を受賞し、リリース後数週間でPC版だけでも50万本以上を売り上げる大ヒットとなった。


ストーリー

西暦2145年。深刻な資源枯渇に悩まされていた地球は、火星表面に開いた次元の裂け目から「アージャントプラズマ」が漏れ出しているのを発見。これに目を付けた大型複合企業「UAC」は火星の開拓を行い、地球へのエネルギー供給を開始する。

しかし裂け目は、人々がかつて「地獄」と呼んだ場所へと繋がっていた。地獄へ調査隊を派遣したUACは謎の遺跡を発見し、大量の文献、謎の鎧「プラトエルスーツ」、そして一人の人間が入った石棺を回収する。

順調に進んでいたかのように思えた採掘事業だったが、突如として研究員の一人オリビア=ピアス博士が捕獲されたデーモンを解放。UAC火星基地は瞬く間に阿鼻叫喚の地獄絵図となり、さらには地球への侵攻さえも企てられる。

しかしそれに呼応するかの如く、研究所では安置されていた石棺の男が目を覚ましていた。間一髪で迫り来るデーモンを返り討ちにした謎の男「ドゥームスレイヤー」は、悪魔を一匹残らず駆逐するべく銃を手に立ち上がる。


ゲームシステム

操作方法

  • 移動や視点操作、武装選択といったものは現代的なFPSと同様。ただし移動速度はかなり早く、90年代のスポーツ系FPSに近い操作感覚となっている。
    • 複雑な操作は存在せず、最低限撃ちあいに必要なもののみ揃っている。体力やアーマーについては自動回復が無いため、隠れて回復するのではなく敵を倒し、その敵が落とした回復アイテムを拾って回復する。

武器

  • 武器は『DOOM』のチェーンソー、チェーンガン、ショットガン、ロケットランチャー、BFG 9000、『DOOM II』のスーパーショットガン、『DOOM 3』のマシンガンやパルスライフル、『QUAKE II』のピストル、レールガン(ガウスキャノン)といった過去作で登場したものをベースとしており、オリジナル版『DOOM』同様にADS(サイトの覗き込み視点)やリロードの概念がない。
    • 初期装備のピストルのみ弾数無限。それ以外は弾薬を消費する。また拡張機能が追加されており、アップグレードすることで性能が向上したり変化したりする。

グローリーキル(チェーンソーキル)

  • 敵の体力を一定まで減らすと敵が青く点滅し(有効射程に入るとオレンジに光る)、その状態の敵に近接攻撃で止めの一撃を放つと攻撃モーションが変化し一撃必殺の「グローリーキル」に変化。悪魔の肉体を刺し貫き、引き裂いて、引き千切って殺害する。
    • 本作の目玉として作られており、プレイヤーの状態(立ち、しゃがみ、ジャンプ中)や敵との角度、武器によって個別に殺害モーションが用意されているという拘りよう。またグローリーキル成功時にはヘルスやアーマーが獲得可能となっており、積極的に狙っていくことで有利に立ち回ることができる。
    • チェーンソーで殺害した場合には、敵の体から大量の弾薬アイテムが溢れ出る。血しぶきともに大量の弾薬が飛び散る光景は一見の価値あり。
      • なお、チェーンソーは燃料制限*1があるため頻繁には使えないが、ここぞという時の回復手段として利用可能。

ゲーム進行

  • 現代主流のルート固定・通路型マップではなく、オリジナル版同様の左右に広い迷路構造マップを採用。スイッチや脇道、隠しエリアといったシークレットもマップ上に多く詰め込まれており、非常に高密度。
    • ハードSF的な基地からダークファンタジー調の地獄まで、地形バリエーションは豊か。暗い通路ばかりだった『DOOM 3』と比較して、解放的な地形が増加している。

敵勢力

  • 登場する敵はシリーズ皆勤賞の悪魔(デーモン)たち。元のキャラの面影がかなり薄かった『DOOM 3』のものとは異なり、オリジナル版『DOOM』のキャラクターデザインをベースにしつつ現代的なリファインを行っている。
    • 「ポゼスド(ゾンビ)*2」「インプ」「ピンキー(デーモン)」「カコデーモン」「レヴナント」「サイバーデーモン」などなど、登場する敵はどれも個性的。攻撃方法や移動能力も差別化されており、単調さを感じさせにくい。

5段階の難易度

  • 難易度選択は『DOOM』のものを踏襲しており、おなじみの「死ぬには若すぎる」「手加減無用」「ウルトラバイオレンス」「ナイトメア」の4つに加え、新たに「 ウルトラナイトメア 」が追加。
    • 難しさ自体は「ナイトメア」相当だが、大きく異なるのは死亡した時点でそこまでの進捗(セーブデータ)が全て失われる、という点。まさに上級者に対する挑戦状とも言える難易度となっている。
    • また、「ウルトラバイオレンス」までの難易度であればゲーム中にいつでも変更できるのも特徴

サブコンテンツ

シークレット

  • 隠し要素を集めていったり、「ルーントライアル」と呼ばれる課題を達成することで特殊オプション解禁やフィギュアの入手、プレイヤーや武器の強化等が行える。
  • また、過去作のステージが再現されたエリアが各ステージに1つづつ隠されている。

コーデックス

  • 前作における音声ログに近い立ち位置の要素。作中さまざまな場面で更新されていき、読み進めていくことで『DOOM』を取り巻く世界観設定を把握していくことができる。

スナップマップ

  • 『DOOM』で登場し今日も勢いの衰えていない、オリジナルのステージを作れる「WAD」製作機能。本作においては「スナップマップ」というシステムに変化して受け継がれている。
    • 小規模ながらプログラミング機能などにも対応しており、マップ構成の幅はプレイヤーのアイデア次第。製作チュートリアルやマップ公開コミュニティも充実している。

マルチプレイ

  • 最大12人のマルチプレイを搭載。「チームデスマッチ」「ソウルハーベスト」「ドミネーション」「ウォーパス」「フリーズタグ」「クランアリーナ」の計6種類のルールから選んで戦う。

評価点

高いプレイヤー性能

  • 主人公「ドゥームスレイヤー」は機動力、火力共に非常に高く、1対複数であろうと立ち回り次第で一方的に殺戮が可能。
    • 部位破壊やドロップアイテムの散乱といった爽快感の高い映像表現も豊富に盛り込まれており、動かしていて非常に楽しい性能となっている。

強烈なゴア

  • 『DOOM 3』では鳴りを潜めていたゴア表現が堂々の復活。部位欠損描写や吹き出る血液といったグロテスクな描写が満載となり、グローリーキルの実装も相まってシリーズ屈指の残虐性を誇る。
    • 残虐な死に様は主人公であるドゥームスレイヤーも例外ではなく、首筋や腹部を食いちぎられる、腕をもがれた後にその腕で頭を叩き割られる、首を切断され生首が転がり落ちる、溶鉱炉に沈みながらサムズアップ…等、敵の死に様に負けないほどのグロテスクさ・ユニークさを誇る。
    • 悪魔だからセーフなのか、日本語版でも一切表現機制が行われていない。このため、日本語版でも爽快感溢れる殺戮を楽しむことが出来る。

迫力あるリアルなグラフィック

  • 本作から採用された「id tech 6エンジン」を使用した高度なグラフィックを実現しており、id tech 4エンジンだった『DOOM 3』とは雲泥の差。
    • 敵の3Dモデルもより緻密となり、血や臓物の飛散といった現象もリアルに再現。
    • さらに、過去作でも目にすることの多かった「死体」のオブジェクトも健在。辺り一面が血の海と化していたり、天井にぶら下がった夥しい数の死体から延々と血が流れ出ていたり等、恐怖や嫌悪感を煽るような描写の数々は圧巻。

良質なBGM

  • 各種BGMは『Wolfenstein: The New Order』『Medal of Honor』『Crysis』『Dead Space 3』といったFPSのゲーム音楽を手がけたことでも知られるミック・ゴードンが担当。アップテンポなメタルBGMは作中の雰囲気と合致しており、複数の賞を受賞するなど高い評価を得た。
    • オリジナル楽曲のみならず旧作BGMもアレンジして再登場。『DOOM』E1M1のステージBGMでありシリーズを象徴する曲でもあった「At DOOM's gate」も大胆にアレンジされ復活している。

豊富なシークレット

  • マップのそこらじゅうにシークレットが隠されており、これらを集めるのも本作の醍醐味の一つ。
    • ただ迷路構造なだけでなくゴール以外の場所にも価値があり、探索のうっとうしさをカバーしている。また、シークレットを活かした小ネタも満載。
    • 今作のプレイヤーは上記の通り機動力が高いため、ステージ探索であちこち歩きまわるストレスも少なめ。

賛否両論点

徹底した現代FPS要素の省略

  • 歩き回り、撃ちまくる90年代FPSへの回帰を掲げており、「カバーアクション」「リーン」「サイトの覗き込み」「リロード」といった現代FPSでは当たり前なシステムの多くが省かれている。
    • 遮蔽物に隠れてじっとしても回復せず、正確にヘッドショットだけを狙って戦うわけにもいかない。現代FPSに慣れたプレイヤーの多くはまず、その簡略化されたシステムに戸惑うことになる。
    • 逆に捉えれば、カバーも覗きも必要なく、ひたすらに動いて弾が切れるまで撃ち続ける…ひたすらにシンプルに、爽快感を追求した作りともいえる。

意図的に排除されたストーリー説明

  • ストーリーは現代のFPS、或いは前作『DOOM 3』と同等、あるいはそれ以上と言えるほど緻密に作りこまれている。しかし本編においてはストーリーを語る演出は意図的に省かれており、環境ストーリーテーリングからの考察、もしくは各種情報源の収集が必須。
    • サミュエル・ハイデン博士など語り部として成立しそうなNPCはいるものの、大抵の場合ドゥームスレイヤー自身が人の話を聞かない性格のため知りたくても知れない情報が多い。
    • 決してストーリーがないがしろにされているわけでもなければ、その世界観の出来が悪いわけでもない。しかしただ進めていくだけでは与えられる情報は僅かであり、ストーリーを楽しみたい場合は一旦手を止めなければならない。
    • 長時間手を止められることがないため、周回の際などは極めてストレスフリーで高速なゲームテンポを損なっていない。調整の方向性としては間違っているわけではない。

インフレ上等の武器バランス

  • オリジナル版や『Serious Sam』などのオールドスクールフォロワーにも共通する事だが、ロケットランチャーやプラズマライフルといったSF火器が多いためプレイヤーの火力上昇幅が非常に大きい。
    • QUAKE II』で水鉄砲扱いを受けていたショボい無限ピストルも相変わらず残されるなど、武器強化システムがありながら脚光を浴びない武器が複数存在する。
      • 使い所がなかったためか、次回作ではピストルは削除され、コンバットショットガン(通常のショットガン)が初期装備という『QUAKE』仕様となった。
    • 特に火力インフレが甚だしいのがスーパーショットガン。コンバットショットガンと比較して、「弾薬消費が2倍で射程距離が非常に短いが、威力は4倍(初登場の『DOOM II』では3倍弱だった)」という性能となっているのが特徴。
      • ここまでであればハイリスクハイリターンな武器であると言えなくもないのだが、問題はアップグレードが全て終わった後。なんと威力はそのままで弾薬消費が半分になるという、近距離戦闘におけるコンバットショットガンの役割を食ってしまいかねない恐ろしい強化が施される。
      • 補足するとコンバットショットガンには、小型爆弾による爆発で複数の敵にダメージを与えられる「爆破ショット」というMODが装備できるため、基本的に1~2体の敵しか相手取れないスーパーショットガンとはきちんと棲み分けがなされている。
    • 『QUAKE II』からDOOMに逆輸入されたガウスキャノン(旧レールガン)も弾薬消費は激しいものの威力が高く弾速もあり、オリジナル版同様に同じ遠距離武器でありながら偏差射撃を要求されるロケットランチャーの立場を奪うような形になってしまっている。
      • さらにロケットランチャーと異なり自爆ダメージも無いため、中~近距離でもためらいなく使えるのもこれに拍車をかけてしまっている。
      • こちらも補足すると、ロケットランチャーは爆風を利用して一度に複数の敵を処理したり、MOD「ロックオンバースト」で敵を自動追尾する様になる等、ガウスキャノンにはない長所はある。

問題点

蛇足感漂うマルチプレイ

  • 『DOOM 3』や『QUAKE 4』でも蛇足扱いされがちだったマルチプレイだが、本作でもそれら同様あまり革新性がなく見所に欠ける出来となってしまっている。
    • 一応COD的な成長要素は盛り込まれているものの、ステージ構成はスポーツ系FPSのアリーナタイプと群雄割拠のマルチプレイ市場で戦うにはいささか古臭すぎる内容。シングルプレイを絶賛された本作だったが、批判の多くがマルチプレイ部分に向けられていた。

ロードが長い

  • ハードによって上下するが、トライ&エラー的側面が強いが死亡時のロードがそこそこ長いため億劫。

移動制限の多いアリーナ形状のマップ

  • ドアで区切られたアリーナ型エリアに閉じ込められ、その中で出現した敵を全て倒しきるまで出ることが出来ない、という場面が多い。オリジナル版と比較するとゲームテンポを強制的に仕切る形となっており、敵を避けてでも先に進みたいプレイヤーには厄介な障害となる。
    • もともとスポーツ系FPSのシングルプレイはスピードラン種目として長く競われてきたもの。『DOOM』もステージごとにクリアタイムが個別集計されるほど盛り上がっていたため、そういった方面のプレイヤーにとっては不満点となった。

総評

DOOM 3』のように新たなスタイルを模索するのではなく、悪魔と血と臓物が彩るシリーズの原点へと再び回帰したリブート作品。
オリジナル版は「古き良きFPS」として半ば神格化されつつあったものの、意図的にキャラ造形やシステムといった構成要素を旧作に近づけることで「懐かしいが、新しくもある」ゲームプレイを実現。シリーズファンを中心に高い評価を獲得し、DOOMシリーズの復活をも成し遂げた。

一方で過剰なほどのゴア演出、語られないストーリー、ドッジング前提のゲームバランスなど、『CoD4』以降の現代戦FPSに慣れた一般プレイヤーからは「古臭く異質」と捉えられかねない要素も多い。
とはいえ根本的なゲームシステムはシンプルであり、FPSへの先入観がなければ非常にとっつきやすいもの。ゴア表現に抵抗の無いFPSプレイヤーであれば、問題なく楽しめるクオリティに仕上がっている。


余談

  • 残念ながらジョン・カーマック、ジョン・ロメロ、トム・ホール、アメリカン・マギーといったオリジナル版『DOOM』の開発メンバーの殆どは既にid Softwareを退社している。しかし、本作はかつてオリジナル版『DOOM』のファンだった世代によって製作されており、非常にリスペクト溢れるリブート作品となっている。
  • 元々『DOOM 4』自体はZenimax Media傘下となる前の2007年ごろから開発が進められていた。当時からホラー路線ではない原点回帰が掲げられていたが一旦頓挫した後、2013年に開発が再開された。
  • Wolfenstein: The New Order』同様、本作にも『DOOM』を再現したエリアが隠されている。そちらと同様に武器や敵などは『DOOM(2016)』そのままであり、1ステージまるごとの再現ではなく各所に隠しエリアとして部分的に隠されている状態なのだが、当時のテクスチャやアイテムもそのまま再現する拘りよう。
    • 一度発見したマップは、セーブデータを選択した後のメニューから「クラシックマップ」を選ぶことで1ステージまるごと遊ぶことができる。
    • また、『DOOM II: Hell on Earth』のラスボスである罪の聖像も部分的ながら登場。元ネタ同様に額にロケットランチャーを撃ち込む*3とスポーンブロックが飛び出すというファンサービスが用意されている。