忍道 戒

【しのびどう いましめ】

ジャンル 忍者アクション

対応機種 プレイステーション2
発売元 スパイク
開発元 アクワイア
発売日 2005年11月10日
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
判定 良作
ポイント 天誅のパクリではありません(同会社が制作)
大事なことなのでもう一度言います。天誅のry
ゲーム自体の出来はかなり良い
バグが多いのが難点


概要

侍道シリーズに続く、スパイクとアクワイアがタッグを組んだゲームプロジェクト。

  • このゲームを語る上でかかせないのが、かつてアクワイアが発売した処女作ともなるプレイステーション時代の傑作忍者アクション『天誅』。その天誅の版権はやや複雑な変遷を辿っており、初代~弐までは生みの親であるアクワイアが開発したが、その後の版権譲渡により開発に関われなくなってしまっていた。
    • 現在はフロム・ソフトウェアが権利を所有。『天誅4』の開発をアクワイアに外注している。
  • その後に発売された忍者ゲーこそが、この『忍道 戒』。システムや雰囲気が天誅に非常に近かった為か、事情を知らない一部のプレイヤーから「天誅のパクリゲー」扱いされる羽目になってしまった。
    • 天誅を作った会社が天誅に近いコンセプトで作ったのだから、似ているのは当然なのである。

システム

  • 天誅同様、本作も忍者が主人公のステルスアクションゲーム。天誅からは一撃必殺のシステムや気配システム等受け継いでるものは多い。
    • 一撃必殺とは、敵に見つからずに接近したり、敵の攻撃の隙をつくことで一瞬で敵を葬り去るシステムのことである。天誅シリーズでは必殺、忍殺と呼ばれていたが、忍道では『血祀殺法(ちまつりさっぽう)』という名称になった。忍殺と比べて壁張り付きやぶら下がり・ふすま越しなど発動できる状況が増え、また発覚中でもうまく隙をついたりすることで決めることができるのが大きな違い。
  • 任務目的もただ敵を倒すことだけではなく、手紙や金庫を運んだり盗んだり、キノコや草を集めたり、味方を敵から警護したりする等様々な目的が用意されていて、それらを達成したかどうかで戦の情勢に大きく関わってくる。
    • また、砦や城といった重要拠点へ侵入する任務をこなす際、任務の内容とは直接関係のない要人を暗殺するといった行動も可能。
  • プレイヤーが三つの勢力に介入することで情勢が変化する、因果応報をゲーム上で再現した「ハラキリエンジン」を搭載。
    • 「プレイヤーが任務を引き受けた際に、その依頼を出した大名からの御蓮(プレイヤーの忠誠度に対する評価)が上昇する」「任務で被害を受けた大名の勢力が減少する」だけでなく、「任務中に敵対する大名に見つかりつつ任務を達成した時に、敵対大名からの御蓮は下がるがプレイヤーの実力に対する評価は上昇する*1」、「兵糧を奪われた大名は勢力が減少するだけでなく、飢えて食べ物に釣られやすくなる」などなど、プレイヤーのゲームの進め方で大名の力関係に様々な変化がもたらされる。
  • 本作はマップの殆どが箱庭型となっており、マップ内を縦横無尽に駆け抜けることが可能。
  • 自分で集めた素材(草・きのこ・ヤモリ等のアイテム)を調合して忍具を作り、なおかつそれを任務に持っていって使用するという事ができる。
    • 壺に素材を調合して薬液を強化・継ぎ足しして、目的の成分を好みの数値にしたら、使い方に応じて瓶(主に飲んで使う)や煙玉(投げて使う)や武士騙し(寿司に似たトラップ。食べさせて使う)のどれかと組み合わせることで、自分だけのオリジナルの忍具が完成する*2
  • 天誅シリーズのミッションコンストラクトモードである虎の巻と同様、本作でも「ミッションエディター匠」という任務作成モードが存在する。
  • 他社開発によるPS2以降の『天誅』が、一撃必殺の忍殺やコンボなど戦闘面を進化させていったのに対し、『忍道』は盗み、誘拐、荷物輸送などあくまで“忍者”としての面にスポットを当てた仕上がりとなっている。

評価点

  • ゲーム内容は良く、特にアクションの要である操作性が高水準である。
    • 難易度選択があるため、初心者も上級者も楽しめる。
      • しかし、ずっとこちらに顔を向けている門番や、荷物を持った武士に血祀殺法をすると必ず振り向く絶妙な距離の護衛など、初心者には対策を思いつきづらい場面が多々存在し、また本編中助言と言う形で閲覧できるテクニック紹介ムービーも、基本を飛ばして発展的なプレイであることが多い。10種類の効果を持つ上記の調合システムも決して解り易いものではなく、とっつきにくさがある。
  • 『天誅』と比べ、スピード感は圧倒的に増している。
    • マップを駆け抜けながらの敵との高速戦闘は爽快といっても過言ではない。
  • 敵の行動パターンや台詞のバリエーションがかなり豊富。
    • 忍具を投げつけると過敏に反応してくれるなど、任務の達成よりも過程が面白いゲーム。例えば音に反応した場合、軽い物音を立てた程度ならばゆっくり歩いて、火薬玉を爆発させるなどして大きな音を立てればビックリして飛び跳ねてから何事かと走って確認してくる・・・といった感じにその挙動はなかなか細かい。
    • また、異常がないことを確認した後も、普通に歩きながら持ち場に戻る者・走って戻る者・はたまた確認した場所からなかなか離れようとしない者までおり、殺すにしてもやり過ごして別の目的を果たすにしてもそれぞれ対応の方法が異なってくる。
    • 学習機能があり、同じ道具や罠を使っていると対抗策を取るようになる。
    • 敵がもらす独り言や主人公への台詞も種類が多い。ゲーム終盤になると「戦ももう終わりか」とつぶやいたり、阿無璃他教の僧兵は「阿~無璃他~よ~いとこ~ぼベげ~べげん!」などとのんきに歌を歌いだしたりもする。敵に見つかった時の台詞も、信頼している大名の勢力に見つかれば「お主が何故ここに?」と驚きながら刀を抜いて襲い掛かり、実力を低く見ている勢力と相対すれば「殺されに来たのか?」と煽られることも。
  • ミッションエディター匠の存在も忘れてはならない。マップ構成、多様な任務目的や制限時間などを設定し、好きな任務をつくることができる。マップには高低差や木や建物、敵などの人間をフィールド内に自由に配置し、ステージまでもを作成できる。これがあるおかげで長く遊べる要素の一つにもなっている。
    • ちなみにこのゲームと、後に発売された『忍道 匠』は搭載されている任務作成モードが互換性を持っている。共有される任務データで、任務の作成、編集と、任務を遊ぶことが可能。
  • 初代天誅から音楽コンポーザーを務める朝倉紀行氏の和楽器とギターを絡めたリズミカルな楽曲に対し、忍道ではノイジークローク担当によるBGMとして特化した静かな環境音楽が殆どを占めている。*3
    • 忍者という闇の世界を舞台にした本作の雰囲気によくマッチしており評価が高い。
  • 初心者に優しい作りとなっている。
    • 本ゲームはステージ制ではなく、提示されるいくつかの依頼の中から任意のものを引き受けるミッション選択制である。上記の様に取っつきにくさはあるものの、イベントバトルでしかゲームオーバーにならないため、フリーズや任務失敗によるペナルティがほとんど気にせずプレイ出来る。*4
  • とにかく任務中の自由度の高さが魅力的。
    • ひたすら置物を収集しようが、護衛対象を裏切って殺害しようが、任務を放棄して逃げ出そうがプレイヤー次第で好きな遊び方ができる。

問題点

  • バグが多い 。ここではゲーム内で実際に起こりやすいバグの例を説明する。
    • 敵がたまに同じ場所をぐるぐる走り続ける。
    • 輸送する荷物が空高く消えていき、任務続行不可能になる。
    • 荷物を担いだまま襖越しに敵を血祀ると荷物が消えて、任務続行不可能になる。
    • 暗殺任務なのに暗殺対象がいない。(任務放棄するしかない)
    • 警護任務なのに警護対象がおらず、敵も出てこない。(任務放棄するしかない)
    • 牛車が段差に引っかかり進めなくなる(任務放棄するしかない)
    • フリーズする。(再現性100%のものもある)
    • 敵を全滅したはずなのにアイテムを盗まれていたり、目撃者を逃がした事になっていたりする。
    • 鉤鎖の長さに関わらずどこへでも飛んでいける。(裏技)
    • 首が取れる。
    • 「止まるのがバグ、楽しめるのは珍現象」 ~天誅忍百選おまけインタビューより。
    • 寧ろファンはこれらバグを「宇高多(ゲームの舞台)ではよくあること」と呼び、初見のバグが発生したら嬉々として関連スレに書き込むなど、楽しむ傾向がある。
    • しかし、これらのバグはほとんど発現しないこともある。それは恐らくPS2本体の型番によると思われる。
    • またバグの中には、敵が襲撃をかけてくる裏庭に「通過しただけで死ぬ床」を作る、荷物の輸送役に自発的に荷物を落とさせるなどテクニックとして組み込めるものもあり、もはやバグすらもゲームの一要素として楽しめるスルメゲーである。
      • 2ちゃんねるの忍道スレでは「宇高多ではよくあること」として、これらの現象がしばしばネタにされている。バグゲーとして嫌われているわけでは全くない。
  • 決して操作性が悪いという訳ではないのだが、全体的な操作を覚えて慣れるまで時間がかかる。
    • 操作に慣れず途中で投げだしてしまうプレイヤーもいたとか。
  • グラフィックに関してはお世辞にも綺麗とは言い難く、OPムービーこそかなりの出来だがそれゆえに落差も大きい。オブジェクトが大量に存在する時の処理落ちも非常に目立つ。
    • 美麗なポリゴンやCGが主眼となっているゲームではないので、そういう要素を求める人には残念ながらこの時点でお勧めできない。
  • 商人等一部のボスのモデリングが完全に使いまわし。
  • 用意されているマップの数が15とさほど多くない。
  • カメラアングルが何かと不親切設計。
    • ただし、主観や注視がある分まだマシな方であると思われる。
  • ストーリー上重要な任務やイベントバトル前に表示されるメッセージが若干浮いている。
    • 前者と後者で多少の差はあるものの共通して「GAME OVERになるかもしれない」という。「生きて帰れない」という言い回しは思いつかなかったのだろうか?

おバカな点

  • 特定成分の薬品
    • 本作に登場する薬品は、自前での調合・市販品問わず10種類の成分(効果)に分かれているのだが、そのうちの一つである「拡大」がもたらす効果が明らかにおかしい。
    • その効果は「手裏剣・まきびしといった忍具、薬品や調合素材の効果が倍増する」というものなのだが、単純な効果(攻撃力や持続時間)だけでなく使用したアイテムの見た目まで巨大化するという異常事態を引き起こす。
    • 具体例を挙げれば、「首を刈り取れそうなサイズの手裏剣」「脛の高さまであるまきびし」「自分の頭よりも遥かに大きい武士騙し(そしてそれを一口で食べる敵)」「リットル単位のペットボトル並の容積になった薬瓶」などなど、その光景はカオスの一言に尽きる。
  • 若干おバカなAI。
    • 評価点でも述べた通り行動パターンが細かく設定されている一方で、はたから見ると「何やってんだ?」とツッコミを入れたくなるシュールな行動も見せる。以下はその一例。
      • 「その場で人影に気付いて不審がる→通常状態に戻ってすぐにまた不審がる」という無限ループを繰り返す門の前の見張り。
      • 味方の死体を運んでいる最中に驚かすと、「跳び上がった拍子に死体を地面に落とす→自分が落とした死体を見つけて武器を抜いて警戒しだす」というコントの様な反応をする武士・忍者。
      • 物音に釣られる・プレイヤーを追いかけるなどして自室を出て自分の城の罠にはまり死ぬ大名
      • 自分の上司・君主の死体が発見されてもしばらくしたら通常シフトに戻る挙句、その死体を普通の武士や忍者と同じ感覚で井戸に投げ捨てる武士たち。
    • 中でも注目すべきは、強敵として主人公ゴウの前に幾度となく現れる「黒鷹のザジ」。前述した「武士騙し」を彼に向かって投げつけると過敏に反応してくれる…だけではなく、更にはそれを罠と知らず食べるという可愛げのある行動をしてくれる。クールで冷酷無比な性格とのギャップに加え、武士騙しを扱う流派の忍者(つまり武士騙しの存在を警戒出来るはずの立場)なのに簡単に引っかかる間抜けさから、ファンの間では親しみをこめて「寿司忍者」という愛称まで付けている。
  • モデルチェンジ
    • ゲームクリア後の特典として、ゴウ*5の挙動はそのままに本作に登場したキャラクターの外見へとチェンジ出来る「モデルチェンジ」というシステムがあるのだが、その中でも一際異彩を放つのが「」。
    • なんと本編中で猛威を振るった熊の姿で任務に臨めてしまう。熊のサイズのままゴウの挙動で動くため、身長2メートル以上ある巨躯で壁走りや武士登りをやってのける多芸な熊忍者が誕生することとなる。
    • なお、手に持った忍者刀の位置は熊に合わせてあるものの、基本的な判定はゴウの物として扱われている。そのため、人や荷物を担げば肩に埋もれる、壁から顔だけ出して覗き込んでいるはずが顔が相手にガン見え(にもかかわらず相手は気付かない)、頭上を空振りしたり中空を突いているようにしか見えない血祀殺法(でも相手は死ぬ)など、プレイすればするほどシュールさに拍車がかかっていく。
  • 裏忍道
    • 大名1勢力が生き残った時のエンディング(3種類)を全て見るか、隠しエンディングを達成するとニューゲームの難易度設定に追加されるモード。
    • このモードでゲームを始めると、登場するキャラクターのモデリングがことごとく、ミッションエディター匠で用いられるキャラアイコンの物に差し替えられることとなる。
    • そのフォルムを簡単に説明すると、「四角柱をベースとし両サイドに四角い腕が貼りついただけ」というデザイン。足や手は完全に固定状態なため「移動しても脚は分かれず四角柱の先端がモゾモゾ動くだけ」「手に持った武器や明かりは空中に浮く」という状態であり、こんにゃくの様に弾力のあるボディ・レゴブロックの様な簡略化した顔のまま微動だにしない表情なども相まって、プレイ時には非常にシュールな絵面と化す。

総評

内容の地味さや操作性の取っつきづらさに加えて、パクリ疑惑で割を食った感もある少し残念な作品。しかし、自由度の高さや豊富なアクション、隠し要素、若干おバカな要素も惹きつけるポイントの一つ。
アクションに自信がある・ステルスゲーを楽しみたいというプレイヤーには、PS2が現役ならばぜひ手に取って貰いたい一本である。


その後の展開

  • 2011年に開催されたゲームイベント・E3において、ファン待望の新作『忍道2 散華』が発表され、プレイステーションvitaのロンチタイトルとして(日本国内にて)2011年12月17日に発売された。

余談

  • にんどう かい」と読み間違えられることが多い。
  • 本作の前に発売された『侍』の技がいくつか流用されている。
  • 天誅の件や過去の忍者を題材にしたゲームと比べて見た目・ストーリーが非常に地味なゲームであった為か、推定累計販売本数は9万本弱という結果。
    • アクワイアスタッフに拠ると「思ったほどの利益が出なかった」と言う。
    • その後、PS2でミッションエディター匠で作成された100以上の任務*6を楽しめる『忍道 匠』、PSPで『忍道 焔』という派生作が発売されている。
  • 発売より数年が経過した後も続編を望むファンの声は大きく、週刊ファミ通2009年5/8・15合併号にて「読者が続編を熱望するゲームタイトル」で忍道シリーズが141票で11位を獲得している。