THE HOUSE OF THE DEAD
【ざはうすおぶざでっど】
ジャンル
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ガンシューティング
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対応機種
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セガサターン Windows
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発売
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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Tantalus Interactive
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発売日
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【SS】1998年3月26日 【Win】2000年10月6日
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定価
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【SS】6,000円 【Win】2,100円
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備考
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バーチャガン対応
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判定
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劣化ゲー
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ポイント
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AC版『HOD』の移植版 全体的に粗くなったグラフィック 頻発する処理落ちとロード 様々な個所が簡略化・削除 普通のゲームとしては遊べる出来 PC版は多少の改善あり
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THE HOUSE OF THE DEADシリーズ
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概要
ナムコの『タイムクライシス』と並ぶガンシューティングの代名詞的作品『THE HOUSE OF THE DEAD』のセガサターン移植版。
非常に高い完成度で高評価を得ていたAC版とは異なり、3Dにおいては非常に性能が劣るSSへの移植と言うこともあり、相当に苦しい移植となっている。
Win(PC)版も出てはいるがSS版ベースでの移植である。但し幾つか改善及びAC版から復活している演出もある(詳しくは「評価点」にて記述)。
移植を手掛けているのは過去に『マンクスTT スーパーバイク』や『AREA51』等のCS機/PC移植を手掛けているオーストラリアのTantalus Interactive(現:Tantalus Media)。
問題点
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非常に残念な点として、一目で劣化したと分かるのがAC版よりかなり粗くなったグラフィック。
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ゾンビ等のキャラクターのポリゴンがかなり角ばっており、フレームレート(fps)も大幅低下、それでいながら処理落ちも頻発する。
1Pキャラのトーマス・ローガンのトレンチコートも、コートがなびく表現が再現できなかった為、ただの茶色いスーツに変わっている。
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画面展開が速いと、テクスチャが読み込めずにモザイク状に表示される事がある。最悪の場合ゾンビが登場せず、しばらく待つ必要がある。
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元々AC版がMODEL2基板系列の中でも特に様々な演出を盛り込んでかつ美麗なグラフィックと高いフレームレートを実現していたこともあって、それを同世代の家庭用ハードの中でも3Dグラフィック周りの性能が大幅に劣るセガサターンに移植すること自体無理があったのは想像にし難くないが....。
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ステージの所々で10秒程度のロードが入る。
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基本的にロード終了後に敵が登場しない場面でロードが入るが、一部シーンではロード終了直後に敵の奇襲があり、それを知らなければほぼ確実にダメージを貰ってしまう。
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原作では同じくMODEL2を使用した『バーチャコップ』及びそれの『2』のSS版は、ロード時間はそれ程長くなくロードの入る場面も少なかった為、それと比較して批判の声が広まった。
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AC版では筐体設定でゾンビの血の色を赤・緑・青・紫に変更することが出来たが、日本のSS版では血の色は緑に固定されてしまった。
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しかしこれに関してはAC版の時点で当時一部で「過激すぎる」などのクレームも相次いだため、仕方ない面もある。
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海外版では隠しコマンドを入力すればオプションでAC版同様変更可能になる。
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様々な箇所の演出が簡略化・削除されている。以下はその一例である。
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一部効果音の変更や削除
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AC版でゾンビを水上で倒すと水しぶきが上がるが、SS版ではカットされている。
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その為ゾンビを倒すと、まるでゾンビがセメントの中へ沈んでいくように見える。
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第1章のボス、Chariotが自らの鎧を壊す演出が簡略化されている。
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第2章ではAC版で台所に置かれていた調理用鍋やチーズ、食堂のテーブルに置かれていた皿や蝋燭台、椅子が全て削除されている。
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第2章のボス、Hangedmanは体のあちこちが簡略化されている。
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第3章のボス、HermitはAC版では口にウネウネ動く触手が付いていたがそれも削除された。
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OPでは最終章のボス、Magicianの制御装置が表示されておらず、ラスボスの姿がOPから丸見え。
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AC版とはゲームバランスが大きく異なる部分もある。
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敵の胴体を撃って風穴を開けた場合、銃弾が敵を貫通するようになった。その為、一部の研究員救出ではAC版と異なる手段が必要となる。
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この影響をモロに受けるのが第3章の3人目の救出シーン。AC版の感覚で行くとほぼ確実に誤射をしてしまうため、救出難易度が大幅に上がっている。
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第2章にて特定のゾンビの両腕を撃ち落とすと、プレイヤーの目前で殴り攻撃を空振りし続けるバグが起こるようになっている。
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第3章のエレベーター選択では、AC版だとパネルを撃たずに待っていると右側のエレベーターが先に来たが、SS版では何故か左側が先になった。
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隠し要素だったコスチュームチェンジが本編では使えなくなっている(後述するオリジナルモードでは使える)。
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また、セガがこれまでSSに移植してきたガンシューティングと比べてオプションで弄れる項目が大幅に減り、命中率の項目すらカット。
評価点
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AC版とほぼ同じガンコントローラー(バーチャガン)でプレイ可能。
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隠し要素のスコア表示コマンドはAC版に引き続き搭載してあるのだが、バーチャガンのみでは出せない。
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バーチャガンは液晶テレビ非対応のため、ブラウン管テレビを使う必要がある点も注意。
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家庭版オリジナルのSATURN MODE(Win版ではPC MODE)は好評。
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ゲーム開始前にライフ数、装弾数、ショット火力等のパラメーターが設定されたキャラクターを一人選んで攻略していくというもの。選べるキャラは隠し含め全6人。
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「一度に2発しか撃てず、頻繁なリロードが必要だが頭以外を撃っても2、3発で倒せる程の高火力」「火力が低い代わりにライフ数が多く、ショットの当たり判定も大きい」「装弾数が24発と非常に多いが、火力が壊滅的に低く、それ以外の性能も低めな上級者向け」と特徴的な性能付けが施されており、ARCADE MODEとはまた違った楽しみ方が可能。
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音楽は全てAC版のBGMを手掛けた河内哲也氏によってアレンジされており、元々評価の高かった音楽はさらに評価を上げた。
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AC版ではオールクリアしないとできなかったスコアランキングへのネームエントリーが、途中でゲームオーバーになっても可能になった。
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ただし、ランキングやネームエントリーの画面はAC版とは異なる独自のものになっている。
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PC版では「概要」でも触れたように改善点も多く見られる。
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具体的に挙げると、ハードウェア性能を生かしたデータ読込の改善や高解像度テクスチャの補完によるグラフィックの向上、残弾数やライフ表示もAC版と同じものになり、SS版では削除されていたSEや一部オブジェクトも復活していたりネームエントリー画面の背景もAC版と同じものに戻されていたりなどの改良及びSS版で削除されたAC版の演出の復活が行われている。
総評
発売日が次期ハードのドリームキャスト発表の約2か月前と、厳しい環境の中で開発がなされたであろうとはいえ、劣化したグラフィック面があまりにも目立っている。
AC版で同じ基板を使用していた『ダイナマイト刑事2』のドリームキャストへのパワーアップ移植とは正反対の、末期ハードへの明らかな劣化移植と評価せざるを得ない。
とはいえ、ゲームの進行自体に極端な支障をきたすような要素は少なく、問題点を考慮しないのであれば、シリーズ独特の雰囲気も感じられて十分遊べる出来ではある。
最終更新:2025年01月01日 10:40