ワリオランドアドバンス ヨーキのお宝
【わりおらんどあどばんす よーきのおたから】
ジャンル
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アクションゲーム
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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2001年8月21日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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2個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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配信
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【3DS】アンバサダー・プログラム 【WiiU】バーチャルコンソール 2014年4月30日/702円(税8%込)
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備考
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ワリオの黄金シール入り
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判定
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良作
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ポイント
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ワリオランドシリーズ第5作目 体力制の採用等システムを一新 新たなやり込み要素も追加
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ワリオシリーズ
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概要
主にGB(及びGBC)にて展開されていた名作アクションゲーム、『ワリオランド』シリーズの第5作目に当たる作品。
本作ではハードをGBAに移し、さらなる進化を遂げた。
特徴
体当たりやヒップアタック、特定の敵や仕掛けに触れると起きる「リアクション」でステージを攻略していくところはこれまでのシリーズと変わらないが、以下の新要素や変更点がある。
体力制の採用
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今作のワリオは不死身ではなく、体力制になっている。
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ワリオの体力はハートで表されている(最大8個)。これがすべてなくなるとそのプレイ中に集めたコインや財宝を没収され、そのステージを追い出されてやり直しになる。
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ステージ中にあるハートアイテムを取るか、敵を倒したときに出る小さい玉(ライフ)を8個取ってハートの下にあるライフゲージを満タンにすればハートが1つ回復する。
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ハートとライフゲージがどちらも満タンになっている間は敵を倒すごとにライフの代わりにシルバーコインを落とす。
アクション
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基本的なアクションについては大体『3』までと同様。今作は前作とは異なり最初から全てのアクションが使える『2』を踏襲した仕様に戻った。
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今作では突進して強力な頭突きをする「ダッシュアタック」、高速で地面に激突する「スーパーヒップアタック」が新たに追加された。
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前者は新たに追加されたLまたはRボタンを押しながら一定距離移動すると発動する。操作方法といい今作のスタッフがかつて製作した『スーパーメトロイド』の「スピードブースター」まんまなアクションで、案の定耐久力の低いブロックや敵を次々と破壊しながら爆走していく。性能が性能という事から、例によって脱出パートとは相性が良い。
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後者は高所からヒップアタックを使用すると自動的に発動。当時のゲームとしては珍しく重力加速度の法則を用いた能力で、より強力な一撃を放てる。
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どちらも助走やそれなりの高さが必要だが、このアクションでしか破壊できないブロックもある。
リアクション
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今作でのリアクションは容量の都合で「ビリビリ」や「毛糸球」といった前作から削除されてしまった物も存在するが、主要な物については概ね続投。
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前作までのリアクション名は「つぶれる」や「燃える」といった様に動詞から取られていたが、今作では「ペッタンコワリオ」(つぶれる)「デブワリオ」(太る)といった様に、まるで本家マリオシリーズでのパワーアップ形態を彷彿とさせる様な名称が付けられている。ある意味、初代ワリオランドへの原点回帰的な要素と見ても良い。
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また、今作では以下のリアクションの内容が前作から変更されている。()内は前作までの名称。
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ボヨヨーンワリオ(跳ねる)…前作までは「複数回ジャンプを繰り返した後、点滅した上で元のワリオに戻る」という内容だったが、今作ではジャンプの回数が3回までに減少した他、小さなジャンプを2回繰り出した後に特大ジャンプを放った上で元に戻るという内容へと変更。
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コウモリワリオ(ドラキュラ)…前作では発動の際にボタンを押す事で蝙蝠に変身する効果だったが、今作ではドラキュラ形態が存在せず、直接蝙蝠形態に変身する効果に変更。これは前作で「ドラキュラ形態は不要」という意見が挙げられていたからと見られる。
ステージ
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全6エリア構成。最初のエリアと最後のエリアは1ステージ、他のエリアは4ステージずつで、合計18のステージがある。
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ステージ内を探索してさまざまな財宝を手に入れるのがゲームの主な目的だが、そのままではステージから出ることはできない。脱出するためにはステージ内のどこかにあるカエルスイッチを押して、スタート地点に出現する出口まで戻らなければならない。
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しかも、カエルスイッチを押すと同時に時限爆弾が作動するので、制限時間内に脱出しなければいけない。制限時間を超えると手に入れたコインが減り、コインがゼロになると集めた財宝を没収されてステージから追い出されてしまう。
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また、次のステージに進むためにはステージのどこかにいる「カギのはし」が、ボス戦に挑むには各ステージに4つずつある「宝石のかけら」が必要であり、それなりに探索をしなければならない。
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さらにカエルスイッチを押すとステージの地形も変わるので、行きと同じルートを通るステージはほとんど無い。
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各ステージには豊富な仕掛けが存在する。
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基本的に「みどりのつうろ」は自然、「あかのつうろ」は機械、「きいろのつうろ」はおもちゃ、「あおのつうろ」はオカルトをモチーフにした仕掛けが登場する。以下のような仕掛けが印象的なステージも多い。
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印象的なステージの一例
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「ピンボールタワー」(あかのつうろ):その名の通りステージ全体が巨大なピンボール台になっており、ボールをカップに投げ入れてロックを解除したり、ワリオ自身がボールとなってステージを進んだりする場面がある。
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「ドミノストリート」(きいろのつうろ):背景のドミノ倒しと競争し、宝箱への通路を開くステージ。
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「きいろのつうろ」はこのほかにも、積み木を指定の場所にはめ込むことで先に進める「つみきのおしろ」、サイコロの出目でさまざまな効果が発生する「すごろくのくに」など、いずれのステージも仕掛けが凝っている。
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「ほのおのどうくつ」(あおのつうろ):最初はその名の通りあちらこちらでマグマが噴出する洞窟だが、カエルスイッチを踏むと溶岩が凍りつき、一転して氷の洞窟になってしまう。出現する敵も岩男から雪男に変わり、溶岩の代わりに氷柱が襲いかかる。
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ボス戦の手前にはアイテムショップがある。
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ミニゲームで獲得したメダルの枚数に応じたアイテムが購入でき、ボス戦開始時に店主が登場してダメージを与えてくれる。
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アイテムは値段によって威力に差があり、同じ値段でもボスによって相性の良し悪しがある。難易度が上がると値段も上がる。
ミニゲーム
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各エリアではミニゲームを遊ぶことができる。以下の3つのミニゲームが用意されており、成績に応じてアイテムショップで使えるメダルが手に入る。
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ミニゲームの詳細
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ワリオホームラン:飛んでくるボールをバットで打ち返す野球ゲーム。ホームランを取ると1ポイント、3ポイントで1メダル。3ストライクでバッターアウトになるとゲームオーバー。
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2ストライクからのファールはノーカウントなので、追い込まれてもバットに当てることができればバッターアウトにはならない。
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毎回投げてくる球種が異なるが、ピッチャーのサインで判断できる。球種はさまざまで、中には途中でスピードアップする球や消える魔球、一時停止する球まである。
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9点ごとにチアガールが応援してくれる。また「げきむず」ではピッチャーが女性になり難度が上がる。
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ワリオホッパー:一輪車で走るワリオが目の前の障害物を飛び越えていくゲーム。障害物を越えるたびに1ポイント、15ポイントで1メダル。障害物を越えるのに失敗したらゲームオーバー。
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障害物はBGMに合わせて出現し、飛び越えるとユニークな効果音が鳴る。BGMが1コーラス終わるごとにスピードが上がる。
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ワリオルーレット:表示されるワリオの顔と同じように、目、口、鼻を選んでいくゲーム。正解するたびに1ポイント、3ポイントで1メダル。間違えた時点でゲームオーバー。
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1問クリアするたびに正解の顔が表示される時間が短くなる。10問クリアするとスピードは初期値に戻る代わりに、パーツが一つ増える。
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ボス
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各エリアにはボスが待ち構えており、倒すと宝箱とボスが身に着けていた装飾品が手に入る。4つのエリアのボスをすべて倒すと最終エリアに進むことができる。
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ただし、ボス戦には制限時間が設定されており、制限時間内に倒せなかった場合はやり直しになる。また、宝箱はタイムが残り1分(ラスボスは2分)を切ると1つずつ減っていくため、全ての宝箱を手に入れるためには素早くボスを倒す必要がある。
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ただし、実は宝箱が消えようとして壁面から浮かび上がってから消えてしまうまでは約5秒の猶予があり、その間にボスを撃破すれば消えようとしていた宝箱も含めて獲得できる。そのため実質的な宝箱コンプリートのタイムリミットは残り55秒(ラスボスは1分55秒)まで。
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ここで入手した宝箱の数によってエンディングが変化する。たくさん手に入れると良い事が…。
難易度の選択
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ゲーム開始時に難易度を「ふつう」「むずかしい」から選べるようになり、条件を満たすと最も難しい「げきむず」が登場する。
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「げきむず」は「最初から体力1」「敵の数の大幅増加」「宝石やCD、ダイヤの配置変更」「制限時間の減少」と、非常に厳しい条件で始まる。
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特に敵の増加が顕著で、たいていは「ふつう」の3倍近く、ステージによっては5倍近くの敵が登場する。
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ステージによってはスタート地点の真下にカエルスイッチが用意されていることがあり、はじめから制限時間付きで探索しなければならなくなっている。
評価点
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ハードがGBAに変わったことで、グラフィック・音質が大幅に向上。
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ボーカルつきBGM(後述)が実現できたのはGBAだからこそだろう。
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BGMもワリオの状態でアレンジが変化する徹底ぶり。転がるとテンポが速くなったり、しゃがむと遅くなったりする。
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ほぼ全ステージで使われる、カエルスイッチを押した後のワリオの「Hurry UP!」の声と歪んだ時計の鐘や針の刻む音から始まる脱出BGMは、ドラム中心で派手さこそ無いがまさに「急げ!!」と思わせてくれる焦燥感を煽る秀逸なBGMとなっている。
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豊富なやり込み要素。
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高難易度の変更やCD集め、スコア稼ぎなど前作にはなかった新たなやり込み要素が追加され、楽しみ方の幅が広がった。
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自由度の高いゲーム進行。
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プレイヤーのワリオは前作とは異なり、全てのアクションを最初から使える事から、デフォルトの時点でやれる事が多い。今作のゲーム進行は、基本ルールなどを覚える事を目的としてOPエリアをクリアした後は、4つのエリアを自由な順番でプレーできる、所謂「ロックマン形式」。各エリアもステージを解放した後はそのままになるため、攻略中のエリアを抜けて別のエリアに攻略を切り替える・・・といった様に、進行が限られていた前作とは対照的に自由なゲーム進行が魅力的。
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ボス戦も例外ではない。全体的にボスの耐久力が高めに設定されている関係上、馴れないうちはアイテムでの体力変動に頼りがちだが、アイテムの使用自体が任意のため、上達したらアイテムの使用をあえて封印した上でボスと戦う…という、プレイヤーレベルに合わせた様な作りになっている。
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総じて、今作は前作から一転して、アクション面よろしく『2』の様な非常に自由度の高いゲーム性に回帰したと言っても良いだろう。
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ライフ制かつボスステージが個別に分けられた。
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前作までの問題点だった「戻される」という点が改善された。
おバカな点
「時のCD」の曲
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ステージ曲のサウンドテストかと思いきやまったく関係のないオリジナル曲ばかり。しかも曲の大半がタイトルともどもシュールにもほどがあるものばかりで、初見ではまず理解に苦しむ。
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ただし曲の内容や表示されるワリオおじさん達(?)の画像は笑えるので、一見(一聴)の価値はあり。説明書のワリオ曰く「何かよくわからん曲も多いが、とりあえず楽しんでくれ!」とのこと。
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例:「やっぱり ねむいね…」→誰かの寝息、「つきのでんちゅう」→「Sunny Side Up」(ヤシのきじまBGMとなっているボーカル曲)の逆再生など。
更に濃くなったキャラクター達・世界観
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元々、ワリオランドシリーズのキャラクターは非常にふざけた輩が多かったのだが、GBA進出にあたりグラフィックも向上した事によって、元々濃かったキャラクター達が更に濃くなってしまった。
賛否両論点
「げきむず」のボス戦がげきむずすぎる
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ワリオの初期体力やボスの行動に変化はないのだが、制限時間が短すぎる。一応いずれのボスも瞬殺パターンが用意されているが、それでも厳しい。
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最初のボス「ピンキー」は「ふつう」では1分、「むずかしい」では30秒だが、「げきむず」ではなんと15秒しかない。理論上最速を目指すTASでさえ2秒しか残らないのだから、その短さが分かるだろう。
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ただし、実戦でTASが4秒も残してピンキーを撃破した例はある。 (参考動画)
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「開幕でダッシュアタックして片方の護衛を倒しつつ本体に攻撃」→「即座に低空ヒップアタックでもう片方の護衛を浮かせてタックルで始末(ここまでを2秒で済ませないと勝ち目はない)」→「ボスが死ぬまでタックル」でなんとか突破できる。
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4つの通路のボスは2分だが、宝箱を全て手に入れるには1分以内に倒さなければならない。
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「開幕で梯子に近づけて頭にヒップアタック」→「その勢いで梯子に戻る」→「フラワナの無敵が切れたら再びヒップアタック」を繰り返すことで30秒で倒せるフラワナ(みどりのつうろ)や、攻撃パターンが単調なコンダラー(あかのつうろ)は比較的楽だが、キャバット(あおのつうろ)はなかなか手強く、テンポよくダメージを与えてギリギリ1分を切れるほどである(頭のコウモリの飾りを短時間で倒し、ひたすら頭の上で落ちないようにヒップアタックを連発するのだが、壁際にじわじわと迫ってくるので連続攻撃が当てにくい)。
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そして最難関となるのがシッキー(きいろのつうろ)。
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詳細(ネタバレ注意)
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「クマのぬいぐるみにザコ敵を投げて下におろす」→「ぬいぐるみの足にアタックしてひっくり返す」→「ぬいぐるみの頭に乗っている本体のネズミにアタックする」ことでようやく1ダメージを与えられるため時間がかかるうえに、初期体力も16と高く、通常の方法ではアイテムなしで1分切るのはよほどの熟練者であっても難しい。
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「直角にジャンプ体当たりを繰り出し、ねずみ部分だけに攻撃を当てる」ということを繰り返して連続攻撃をすることにより素早く撃破が可能になるのだが、猶予が数ドットしかない上にぬいぐるみは常に移動しているため調整がかなり難しい。当然、失敗してひっくり返した後にぬいぐるみやねずみに触れてしまうと上昇してしまい最初に戻ってしまう。
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このため、宝箱をコンプリートしようと思えばアイテムを使うことはほぼ必須。
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ラスボス以外であればアイテムの相性次第で体力を2まで減らすことはできるが、「げきむず」モードではアイテムの販売価格が「ふつう」の倍と高額であり、アイテムを手に入れることも容易ではない。
問題点
少ないステージ数
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全18ステージというのは過去のシリーズ作品と比べても圧倒的に少ない。
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『3』は全25ステージであるが、ゲームが進むにつれて移動範囲が広がるので、完全クリアまでに実質100ステージ分を攻略することになる。本作は難易度の違いで数を増やしていると考えても3×18=54ステージ分にしかならない。『2』は全51ステージであるが、分岐のために同じステージを何回もクリアする必要があるので、やはり数では上である。
体力制とリアクションシステムの相性の悪さ
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前述の通り、本作のワリオは不死身ではなく体力制に変更されているのだが、不死身であることを想定した仕掛けである「リアクション」をそのまま採用しており、この2つのシステムの相性が悪い。
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触れるとリアクションを受ける敵と、ダメージを受ける敵の違いが分かりにくく、初見の敵は実際に触れてみるまでどちらになるか分からない。
そのため「ダメージを受けないように敵を避けていたら、全然先に進めない」「リアクションを受けようと敵に触れたら、ダメージを受けた」といった状況が頻発してしまう。
ミニゲームの難易度がアンバランス
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「ワリオホームラン」はルールが単純でメダルのノルマも少ないため、最も多くかつ確実にメダルを稼げる。
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これに対して「ワリオホッパー」は高難易度のわりにノルマが多く、「ワリオルーレット」は1ゲームにかかる時間が長く、「ワリオホームラン」以外のゲームをプレイする意味が薄れてしまっている。
総評
前作までのシリーズのシステムを一新し、これまでとはまた違った楽しみ方のできるゲームとなった。
また、ワリオに声がついたことを始め、ボーカル曲の採用、シュールでどこかアメコミを意識したキャラクターデザインなど、本作はワリオシリーズの世界観を大幅に変えるものとなった。
余談
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海外版ではタイトルが『WARIOLAND4』とナンバリング扱いになっている。
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5作目なのにナンバリングが「4」なのは2作目の『アワゾンの秘宝』が外伝扱いのため。
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『WARIOLAND4』ではED曲のボーカルが英語に差し替えられているのだが、なぜか「Sunny Side Up」(ヤシのきじまBGM)のボーカルは日本語のままである。
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ピラミッド内をうろついている「アレヲ=シタイン博士」(ボーナスステージで仕掛けを解くための道具として使われる人)は『カエルの為に鐘は鳴る』に登場した人物である。
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『伝説のスタフィー3』の「かいていいせき」に本作のワリオが友情出演している。
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ワリオのリアクションを利用する仕掛けがあったり、「りゅうせいあたっく改」をスタフィーに教えるなど、ステージの重要キャラとして登場している。
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アンバサダー・プログラムの一環として3DSのバーチャルコンソールとして配信された。
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後にWiiUのバーチャルコンソールにも登場したが、3DSではGBAソフトを配信しないとアナウンスされたため、3DSでの入手は現在では不可能になっている。
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ワリオは「スーパーキノコが嫌い」と公式HPに記載されている。
最終更新:2025年03月05日 01:14