エッグモンスターHERO
【えっぐもんすたーひーろー】
| ジャンル | 禁断のたまご召喚RPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| メディア | 256MbitDSカード | 
| 発売元 | スクウェア・エニックス | 
| 開発元 | ネバーランドカンパニー | 
| 発売日 | 2005年3月24日 | 
| 価格 | 5,040円(税込) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 新規要素の少なさ 子供向けの激ヌル難易度
 不必要なリンク要素
 単調な戦闘
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| 半熟英雄シリーズ | 
 
概要
スクウェア・エニックス初のDSタイトルにして同ハード初のRPG。ギャグタッチのシミュレーションRPG『半熟英雄』シリーズの外伝的作品。
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メインキャラクターはシリーズ第3作『半熟英雄 対 3D』・第4作『半熟英雄4 ~7人の半熟英雄~』からの登場だが、敵ボスはシリーズ第2作『ああ 世界よ半熟なれ…!』からの登場となっている。ラスボスまで含めて、展開は『ああ 世界よ半熟なれ…!』とほぼ同じである。
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ストーリー・フィールドなども第2作を彷彿とさせるものがあり、基本的には「第3作以降の要素を加えた、第2作のリメイク」という位置づけになる。
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また、第3作・第4作のサブヒロインであったカトリイヌの性格が若干変更されているなど、キャラ設定やデザインの変更点も多い。
 
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子ども向け漫画雑誌『コロコロコミック』や朝番組『おはスタ』でさかんに宣伝されたことを見ても、子供・ファミリー層を狙って過去作よりライトタッチなゲームとして製作された模様。
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とはいえ、一部エッグモンスター(エグモン)の「やや大人向けなネタ」はそのまま残っている。子供がわかるかはともかく。
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今作でもエッグモンスターデザインの一般公募が行われたが、こういった対象層の違いからか今回は悪く言えば幼稚、良く言えば素朴なモンスターが多く採用された。
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ちなみに、エグモンの募集は『半熟英雄4』と同時に行われたもの。
 
 
システム・評価点
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作りとしてはオーソドックスなRPGで、ダンジョンの構造も宝箱に入っている鍵を見つけて先に進むというもの。敵はシンボルエンカウント形式。
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バトルは本編シリーズのバトルをDS向けにアレンジした「スクラッチバトル」であり、タッチパネル上に表示されている自キャラをドラッグして相手にぶつけて戦うというものになっている。
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連打を必要としない分、スクラッチバトルは爽快。テンポも非常に良い。
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ただし、上画面をほとんど見られないという弊害はある。もっとも開発側も割り切っていたのか、上画面のカメラは常に自キャラ中心となっている上に移動が速く、見づらいので見る必要はない。
 
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エッグモンスターによるバトルは3×3の9マスに分かれたエグモンの体を触って技を出すという「おさわりバトル」。エグモン同士の戦闘になると同じく9マスに分かれた相手側のエグモンの体を触って攻撃を当てるというものになっており、ミスや弱点も存在する。
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第3作以降のシリーズと違ってボイスがないせいか、エグモン戦では第2作以前で見られたダメージ時の台詞が復活している。
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攻撃演出はタッチやボタンでどんどんスキップでき、テンポはかなり良くなっている。
 
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シリーズ旧作と同様に登場人物が舞台上で芝居を演じているような画面構成になっており、今作ではDSの2画面構成を活かして主人公の移動パートでの下画面は丸々観客席になっている。
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下画面では、観客が入れ替わり立ち替わり「トイレ行ってきた」とか「どのキャラが好み?」とかくだらない会話を続けるのが楽しめる。
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ストーリー中で倒した敵は「出番が終わった」ということで観客に加わるようになっており、たまにストーリー中のイベントに対して観客席からコメントする場合もある。
 
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最大8人まで利用できる、通信対戦モードもある。
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本編シリーズを彷彿とさせるシミュレーション風味のモードとなっており、マーカーを置いた場所にキャラクターが歩いてゆき、地形での加速減速要素もある。
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落ちている各種たまごを拾うことで「たまごポイント」を稼ぎ、それをプレイヤー同士の戦闘で奪いあう。制限時間経過後にたまごポイントを多く持っていた者の勝利。
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チャットアイコンなどの機能も付いており、手抜きにならない程度には作ってある。
 
問題点
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ボリュームに乏しく、クリア時間は平均10時間程度と推測される。
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リメイク元である『ああ 世界よ半熟なれ…!』から数体のボスが削除されており、ストーリー自体短くなっている。
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ラスボス後の隠しダンジョン・隠しモンスターや、2周目などの追加要素も一切ない。モンスター図鑑を完璧に埋めることはできるが、これはあまり時間がかからないしやる意味もあまりない。
 
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エグモンの種類は全110種だが、そのうち24種は通信対戦をしないと手に入らず、16種は『半熟英雄4』と同様に別媒体で入手した「パスワード」が必要(これは、現在ならネット検索すれば出てくるが)。これらを除いてしまうと、ゲーム本編で他媒体とのリンクなしで手に入るエグモンの種類は70種とかなり減ってしまう。
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そして、このパスワード入力がエグモン1体につき1度きりとはいえ非常に面倒くさい。何故かファミコンのゲームを彷彿とさせるようなデザインになっており、1文字入力するためにひたすらスクロールして選択しなければならない。
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「ひらがな(50音+濁音・半濁音・小文字)→カタカナ(50音+濁音・半濁音・小文字)→アルファベット(大文字+小文字)→数字」とこれだけ揃っているため、文字によっては1文字に10秒を超える手間を要する。
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例えばカタカナで「ナ」と入力したければ、「あいうえおかきくけこがぎぐげごさ…(略)…わおんぁぃぅぇぉゃゅょーアイウエオカ…(略)…ヅデドナ」と順にスクロールせねばならない。逆送りは可能だが、どちらにしろ真ん中あたりはあまりに面倒が過ぎる。
 
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本作で新規に追加されたエグモンも、計10種採用されたプレイヤーからの一般公募作品のみと乏しい。
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前述したが、本作は低年齢層をターゲットに製作し採用者も低年齢層であったためか、採用されたモンスターのネタの出来があまりよろしくない。安直なダジャレネタが多く、ひねった部分が感じられないものが大半である。
 
 
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エッグモンスター戦でのおさわりバトルも単調。
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9マスからそれっぽい場所を総当たりで探して相手の弱点を見つけたら、あとはとことんそこを突くだけである。セリフを楽しむ以外に、わざわざ威力が下がる他の場所を攻撃する必要はない。楽しいシステムとは言い難く、むしろより作業感が強いものになってしまっている。
 
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低年齢層向けということもあって、難易度としては非常にヌルい。
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所持金という要素がなく、バトルを助ける「切り札」は拠点に帰れば所持制限まで何度でも手に入り、ダンジョンの中にも至るところに落ちている。
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雑魚敵からの退却(逃走)もノーリスクで必ず成功する。
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回復ポイントも多数配置されている。
 
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雑魚敵と戦って得られるのは「その戦闘で使用したたまごに入る経験値」だけ。
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限界まで成長しているたまごしか使わなかった場合や、たまごを使用しなかった場合は勝っても何も得られないのである。
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終盤になってたまごがどれも育ちきってしまった場合は、鍵を落とすなどのイベント敵を除いて雑魚敵と戦うメリットは一切なくなってしまう。
 
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ちなみに主人公自身にレベルや経験値の概念は無く、成長は宝箱から取得するアイテムのみで行う。
 
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前述したように下画面では観客席で観客が喋るのだが、このパターンが少ない上に最後まで変わらないためすぐに見飽きてしまう。倒した敵が観客に加わって話すという要素も、いまいち有効に活かせていない。
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新規BGMの数が少なく、第3作からのBGMの使い回しが非常に多い。ラスボスですらBGMが使い回しである。
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一部の通常ボス戦などは新規BGMであるだけに、そこはキチンとして欲しかったところ。
 
総評
明らかにライトユーザー向けに作られており、難易度の低さに加え戦略性でも本家シリーズに劣る部分が大きい。
もっともその分頭を使わずに進めることはできるので、緊張感を必ずしも必要としないならノリが合えばある程度はまる可能性はそれなりにある。
ただフルプライスソフトにしては明らかにボリュームが薄いなど、問題点として残る要素は散見される。
一応、ファンは押さえておいても良いかもしれない。
余談
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2005年の別冊コロコロコミックにて本作の読みきり漫画が掲載された。作者は板垣雅也。
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購入特典として指にはめて使う「スペシャルタッチフィンガー」というオリジナルアイテムが配布された。
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…が、サイズが小学生くらいの子どもに合わせて作ってあるせいか、大人ではせいぜい小指ぐらいにしかはめられない。
 
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CMではお笑い芸人トリオの「ロバート」が起用され、とことん「タッチ&スクラッチ」の点が強調されていた…が、正直寒い出来。
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しかもバージョン違いがかなり多い。
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ちなみにCMの最後に謎の文章が表示されるが、これこそが前述のパスワードである。
 
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『脳を鍛える大人のDSトレーニング』が発売する前にDSの縦持ちを取り入れたゲームである。
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といっても、メインは横持ちであり縦持ちはオープニングとエンディングの演出として使われる程度。
 
最終更新:2021年02月12日 19:18