カプコンアーケードキャビネット
【かぷこんあーけーどきゃびねっと】
| ジャンル | オムニバス |  | 
| 対応機種 | プレイステーション3 Xbox 360
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| 発売元 | カプコン | 
| 開発元 | M2 ゴッチテクノロジー
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| 配信開始日 | 【PS3】2013年2月19日 【360】2013年2月20日
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| 定価 | 基本無料 各タイトル381円(税別)
 パック購入や体験版もあり
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | カプコン黎明期の8bitゲーム集 非常に充実したオプション
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概要
カプコン30周年記念作品。1984~1988年の間に稼働したカプコンの8bitのアーケードゲームを移植したオムニバスソフト。
ダウンロードによる販売形式をとっており、カプコンアーケードキャビネット(無料)を購入した後、プレイしたいタイトルを単体かパックで追加購入する形となっている。
配信当初は1987パックと本体のみだったが、数週間おきに他のパックも配信されていき、現在ではすべてのパックが配信されている。
収録作品
各タイトル共通の主な特徴
アーケード
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ゲームスタート
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通常のプレイを行う。ゲーム中はポーズをかける事でオプション設定(後述)を行う事が可能。ゲームを終了するとプレイの録画データを保存可能。
 
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スコアアタックモード
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決められた設定(標準、ハード、最難関)で全世界のハイスコアトップを目指すモード。一切の余計な操作が許されず、ポーズするとチャレンジ終了という実際のアーケードさながらの実践的なモード。
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ここで取ったハイスコアを送信する事でランキングに載る事が可能。ランキングトップ10に入ったプレイヤーのプレイの録画データをダウンロードして鑑賞する事も可能。
 
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トレーニングモード
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それまでに到達したステージの中から好きなステージのみをプレイ可能。ステージをクリアすると終了。なかなかクリアできないステージなどの研究向け。
 
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カジュアルモード
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通常のプレイでは難しすぎる人向けのモード。各タイトルに「当り判定の変更」「ミスしてもパワーアップを失わない」等の、更に難易度を下げる項目が用意されており、それらを適用した状態でゲームをプレイ可能。
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極限まで項目を適用させれば、初心者でも最後までプレイする事は難しくはない。各作品の雰囲気を味わいたい人向けのモードとなっている。
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「宙返り後にメガクラッシュ発動(1943)」「無敵時間の延長(サイドアーム)」といった痒い所に手が届く仕様となっている。
 
 
ネットワーク
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2人同時プレイのタイトル(『ソンソン』『エグゼドエグゼス』『アレスの翼』『サイドアーム』『必殺無頼拳』『1943』『1943改』)に関しては、ローカルプレイの他、世界中のプレイヤーとのネットワークプレイが可能。
 クイックマッチの他、条件を設定したマッチサーチが利用可能。
ギャラリーモード
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ギャラリー
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「ステージ〇をクリアする」「プレイ時間〇分」経過するといった条件を満たす事で解放されて行く資料集。原作の企画書や原画、本作の配信にあたって新たに描きおろされた新規イラストを閲覧する事が可能。
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アーケード版に限らず、コンシューマー版の資料が混じっていることもある。例えば『ひげ丸』ではFC版のアレンジ移植である『魔界島』の企画書を閲覧する事が可能。
 
 
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プレミアムギャラリー
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全タイトルのプレイ時間の経過や、特定のパックの購入によって解放される資料集。中には過去に発売された『カプコンレトロゲームコレクションVOL1~4』の攻略冊子部分が丸々と収録されており、非常に詳細な攻略情報を知る事が可能。
 
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録画データの再生
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通常のプレイなどで保存した録画データを再生。早送りや停止に加え、キー入力の情報も表示される。PS3版ではYoutubeにアップロードする事も可能だった。(現在はサービス終了につき不可能)
 
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サウンドプレイヤー
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各タイトルのBGMを聴く事が可能。タイトルからタイトルにまたがって切り替えが可能であり、好きなBGMをリストに登録して一斉に流す事も出来る。
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『エグゼドエグゼス』や『ガンスモーク』では未使用曲が収録されており、これらも聴く事が可能。
 
 
設定
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各ゲームの設定項目はアーケード版のディップスイッチと同様となっており、ゲーム難易度やプレイヤー数、アトラクトサウンド(デモサウンド)のON/OFFなどを自由に設定する事が可能。
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「クレジットの投入の再現」の切り替えも可能。デフォルトではOFFになっており、スタートを押すと即座にゲームが始まるようになっているが、ONにする事でクレジットを投入してからゲームを始めるといった一連の流れも再現可能。
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また、全てのタイトルで「国内版」と「海外版」を切り替える事が可能。『魔界村』では十字架の代わりに盾を投げたり、『アレスの翼』では女性の主人公がマッチョに変更されるなど「国内版」とは一味違う楽しみ方が出来る。
 
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スクリーン
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ゲームの背景をアーケード筐体風にする、キャラクターの集合絵にするといった変更が可能。
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画面サイズも自由に変更でき、画面の向きも変更可能。加えてスキャンラインによる画面走査線の再現といった細かい設定も可能となっている。
 
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サウンド
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ゲーム全体の音質を変更する事が可能。詳細にパラメーターを変更する事も可能だが、プリセットで手軽に変更する事が可能。重低音を重視した音でプレイといったゲームセンター風の音源を再現する事が可能。
 
評価点
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移植度の高さ
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アーケードゲームの移植に定評のある「M2」及び「ゴッチテクノロジー」が開発に携わっている為、各タイトルの移植度に関しては非常に高く、あらゆる挙動を含めて完全移植と言っても過言ではない出来となっている。
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それまでの『カプコンクラシックスコレクション』シリーズでは解像度の問題故に画面の表示が乱れたり、ロードの都合上BGMが途中で途切れるといった点が見られたが、本作ではそういった点は一切ない。
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加えて各タイトルで「国内版」と「海外版」の二種類が収録されているというのも、それまでのオムニバス作品からするとかなり太っ腹である。
 
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ボリューム
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完全移植に加え、スコアアタック、ネットワークプレイ、カジュアルモード、ギャラリーモード、サウンドプレイヤーと至れり尽くせりの内容となっている。
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特に名曲揃いなのにサントラCDにプレミアがついている『アレスの翼』のBGMを存分に聴く事が出来るのは価値があると言える。
 
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もちろん好きなタイトルだけ購入する事が可能なのでタイトルを絞れば非常に格安であり、購入する事によって次のパッケージの体験版がプレイできるようになるなどのフォローもある。
 
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カジュアルモード
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カジュアルモードを駆使すれば初心者でもそれなりにプレイが可能であり、アーケードゲームのオムニバスでありながらプレイのハードルは低い。適用する項目を徐々に減らしていく事で上達を楽しむ事も可能。
 
問題点
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インターフェースの操作が難しい
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カジュアルモードの設定項目を変更する場合、セレクト+決定を押しながらプレイする等、初見ではとまどい易い。
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サウンドプレイヤーとなると更に煩雑な操作になり、普通に再生するだけでは1ループでフェードアウトしてしまう、同じ曲を延々聞きたければ「一度リストに登録して連続再生」といった手順を踏まなければならない。
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また、一度のプレイで大量のギャラリー解放条件を満たした場合、メニュー画面に戻った際に大音量の効果音と共に大量のポップアップが行われ、なかなか戻る事が出来ずに煩わしい。
 
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収録タイトルに関して
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収録されているタイトルはそれまで何らかのオムニバスソフトにも収録されているものが多いため、既視感が強いものとなっている。
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完全に初移植となるのは『ラッシュ&クラッシュ』『必殺無頼拳』だが、国内発売タイトルとしての観点では『サイドアーム』『ブラックドラゴン』と2作も初移植作品が安価かつ輸入無しでプレイできる点は価値が高いだろう。
 
 
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選考漏れになってしまったタイトルがある。
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後にスタッフが「『虎への道』はどうしても入れたかったが、泣く泣く断念した」と語っていた。
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他にも『ラストデュエル』『ストリートファイター』も本作に移植されなかった。そのため、「過去のオムニバスソフトに何回も収録されている『1943改』『バルガス』を特典にする位なら、この三作を特典にするべきだったのでは」との意見が出てきた。
 
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また、それまでのオムニバスソフトに採用されていた「アレンジBGMへの切り替え」等のおまけは存在しない。
 
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中断セーブがない
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ゲームを途中で抜ける際の一時セーブがないために一度にクリアしなければならない。
 
総評
30周年記念作品にふさわしい完成度とボリュームを誇っており、カプコン黎明期のゲームを知りたければ文句なしにお勧めできる作品となっている。
ゲーム本編に加え、原作の資料や攻略本などの要素が含まれており、レトロゲームのオムニバスのクオリティとしては最高峰であると言えるだろう。
あらゆる点が配慮されている為、初心者から上級者まで楽しめるつくりとなっており、更にはPS3ユーザーならば無料で『ブラックドラゴン』の完全版をプレイできるので少しでも興味があればプレイしてみるのもよいだろう。
余談
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本作の配信にあたって様々な記念グッズが作成された。
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中でも『1943』の「主人公機」と「亜也虎III」と「大和(ちび丸仕様)」が「フジミ模型」とのコラボによって稼働26年目にしてプラモデル化されるという快挙を遂げている。
 
最終更新:2025年01月15日 13:25