カプコンアーケードスタジアム
【かぷこんあーけーどすたじあむ】
ジャンル
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オムニバス
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 Xbox One Windows(Steam)
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発売・開発元
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カプコン
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発売日
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【Switch】2021年2月18日 【PS4/One/Win】2021年5月25日
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定価
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基本無料
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DLC
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タイトル別:各200円
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魔界村:200円 |
パック1~3: 【Switch/PS4/One】各1,500円 【Win】各1,520円
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1,2,3セット: 【Switch/PS4/One】4,000円 【Win】4,080円
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その他:各100円
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サントラ:各150円 10曲セット:1,010円
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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ゲームセンターの雰囲気再現 至れり尽くせりのチート機能 上級者向けチャレンジも追加
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概要
カプコンが1980年代~2000年代初頭にかけて稼働したアーケード作品を収録したオムニバスソフト。
ゲームセンターの雰囲気を再現しつつ、現代ならではの快適プレイ機能の追加などを施した移植となっている。
Nintendo Switch版発売後に他機種でのマルチプラットフォーム展開もされている。
ダウンロードは基本無料となっており、DLCで配信されているパックを購入することで遊べるゲームが追加されていく方式を採用。お試し用のゲームとして『1943 ミッドウェイ海戦』が収録されている。
DLCパックはそれぞれ10本ずつゲームを収録しており、その他として『魔界村』が単品で配信されている。全パックを収録したセットを購入すると『魔界村』は無料で追加される。
なお、配信後の好評によりゲームパックの追加配信も予定され、これは後に『カプコンアーケード 2ndスタジアム』となった。
特徴
ゲームセレクト画面
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今作は『バイオハザードシリーズ』などで使用されているREエンジンを採用し、リアルなアーケード筐体が並んだセレクト画面からゲームを選択できる。
ゲームプレイ
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ノーマルプレイ
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普通にゲームをプレイしたい場合のモード。自由にクレジットを投入し、心行くまで遊べる。
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各種ゲームプレイオプションの他、オプションDLCを購入すれば無敵プレイも使用可能。
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スコアアタック / タイムアタック
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オンラインランキング対応のモード。ゲームによってどちらで競争するかは決まっている。
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スコアアタックでは一切の救済・コンティニューなしの一発勝負(いわゆる1CC)で一定以上のスコアを稼がないとランキング登録されない。タイムアタックはコンティニューやリワインドの使用が可能で、9時間59分59秒以内にクリアすればランキング登録される。キャラセレクトやクリアデモ中等の間もタイム計測が行われており、それらを効率良くスキップする事も要求される事から、ある意味公式RTAとも言える。
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ゲームオーバーもしくはクリア時点でデータがサーバーに送られ、オンラインランキングが更新される。
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スペシャルチャレンジ
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本作独自のオンラインイベント。期間限定で特定のタイトルを専用設定でプレイし、スコアやタイムを競う。ノーマルプレイで使用できる各種オプションが固定され、倍速や画面反転などの特殊な状態で競うことになる。
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コンティニューやリワインド機能などはチャレンジによって使用可否が異なり、選択時にランキング詳細で確認できる。低速プレイでもOKな場合もある。
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2022年7月22日の『2ndスタジアム』の配信開始と同日のアップデートにより、全ての収録作でスコアアタックとタイムアタックの両方が可能になった他、全てのスペシャルチャレンジが常時プレイ可能になった。また全作品共通の新規スペシャルチャレンジとして、スピード変更可能なタイムアタックが追加された。
オプション関連
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オプションは、各ゲーム専用のオプションと画面オプションの2種類が用意されている。
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各ゲーム用のオプションでは原作のディップスイッチなどの設定が可能で、初期残機やエクステンド、難易度などを設定可能。
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また、ゲームプレイ中にのみ表示されるオプションで、ボタンコンフィグやゲームマニュアルの閲覧ができる。
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画面オプションでは画面サイズやフィルター、画面回転といった定番オプションの他、ゲームセンターの筐体を再現した3D画面でのプレイが可能となっている(デフォルトでは3D)。
CASPO(キャスポ)
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ゲームをプレイ後、ゲームセレクト画面に戻ることで得られるポイント。
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ゲーム全体を通してのスコアのようなもので、ゲーム中に特定の条件を満たすことでボーナススコアを得られる。獲得したポイントでランキングを競うことも可能。
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一定のCASPOを貯めるとプレイヤーランクが上昇し、新しい筐体や壁紙を報酬として貰える。
収録タイトル一覧
各タイトルごとの判定は個別記事参照。
評価点
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圧倒的な高コストパフォーマンス。
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とにかくこれに尽きる。1タイトル一律200円という低価格は、他のアーケードゲーム移植作品の追従を許さないものがあり、硬貨を握りしめてプレイしていた世代からすれば文字通り一瞬で元が取れてしまうことだろう。もちろんそうでないプレイヤーでも「知っているタイトルだし、ちょっと試してみようかな」という興味だけで気軽に手が出せてしまう、凄まじい低価格である。
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この安さにもかかわらず下記のように多数の機能も付与されているため、逆に価格破壊が心配になるレベル。
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非常に多様性に富んだゲームプレイ機能の搭載。
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年を重ねたことで当時のようなプレイが出来なくなった人や初めてのプレイヤーでも遊びやすいよう、難易度変更や中断セーブ・ロード、リワインド機能はもちろん、有料DLC(100円)にはなるが無敵状態でゲームを蹂躙することも可能で、誰でも難しいタイトルを攻略可能になっている。
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特にスピード変更機能で低速プレイが可能になっているのは特筆すべき点であろう。STGなどの動体視力、反射神経が必要なタイトルに最適。
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一方で、オプションをいじることで難易度を上げたり倍速状態にしたりすることで、やりこんだ上級者でも新鮮な気持ちでのプレイが可能で、幅広いプレイヤーに対応している。
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もちろん、基本的な移植度は問題なく、デフォルト状態でも快適にプレイ可能。後述のように挙動がおかしいタイトルも、アップデートで修正されている。
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連射ボタンも用意されており、タイトルによっては連射速度を変更できるので有利な速度で連射可能。手動連射が苦手な人でも安心。
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『魔界村』は途中でバグや難易度修正が施された新バージョンが稼働していたが、今作では日本語版が新バージョン、英語版が旧バージョンとなっているため両方のバージョンを楽しむことが可能になっている。タイマー破壊バグなども再現されている。
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ゲーム終了時に表示されるCASPOの清算画面では様々なボーナスが用意されており、ノーコンティニュークリアやノーリワインドクリアなども用意されているので、この画面だけでも簡単に腕前を披露できる。
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各ゲームの詳細なプレイマニュアルが用意されているのも良点。
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基本的な操作方法、画面の見方からゲーム中に登場するアイテムの解説、格ゲーなら必殺技コマンド表、ベルトスクロールなら特殊技、STGならスコア稼ぎのヒント…などゲームを楽しむための情報もしっかり用意されている。初めてのタイトルでも安心してプレイ可能。
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『サイバーボッツ』などは隠しキャラを出すためのコマンド表まで完備されている。
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ゲームセンターの雰囲気再現度の高さ。
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多数の筐体が並んだセレクト画面は圧巻。3Dモードでプレイすると右スティックで周囲を見回すことが可能で、横の筐体から漏れ聞こえてくるデモサウンドなどゲーセンの雑然とした雰囲気が再現されている。
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画面オプションの中にブラウン管を再現して画面に丸みを付けるモードも用意されているので、3Dモードとスキャンラインを併用すれば昔ながらの筐体を再現可能なのも嬉しいところ。
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プレイ中は筐体のスティックやボタンも稼働するなど芸も細かい。筐体画面が見づらいならゲーム画面だけを表示することも出来るので、ガチプレイヤーも安心。
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筐体デザインも一台ずつ異なるものに変更可能なため、小さなゲーセンに見られる雑然とした光景にすることも可能。全筐体をランダムなデザインに変更するオプションまで用意されている。
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『ストリートファイター 30th アニバーサリーコレクション』や『カプコン ベルトアクション コレクション』はフリープレイ固定だったが、今作ではクレジット投入から再現されているため、クレジット投入音も聞けるのも雰囲気再現に一役買っていると言える。
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なお、選択画面は全タイトルやジャンル別に選択できる他、好きなタイトルをお気に入りに登録しておくことで、お気に入り一覧からの選択も可能などタイトル数が多いながら快適に選択可能。
問題点
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オンライン協力・対戦プレイが出来ない
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オンラインはランキングのみのため、協力・対戦はローカルプレイのみ。特に対戦重視の格ゲー、協力プレイで楽しさが広がるベルトスクロールなどを最大に楽しむのは難しい。
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ただ、『ストIIシリーズ』は『30thアニバーサリーコレクション』で、ベルトスクロールは『ベルトアクションコレクション』でオンライン対応しているので、それらと差別化されているとも言える。
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そもそもこれだけのタイトル数でオンラインプレイを実現するのは難しいという事情もあるだろう。こればかりは仕方ない。
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Steam版はRemote Play Together(ストリーミングを利用してローカルマルチプレイをオンライン上で遊ぶ機能)に対応している。
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過去のコレクションタイトルにあったようなアレンジBGM、設定資料、サウンドテストといった特典は皆無。リプレイ機能も無し。
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1タイトル200円という破格の安さもありゲーム個別の追加要素はほとんど無い。
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ランキングはキャラ別、機体別といった個別ランキングはなく総合ランキングのみ。
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また、スコア/タイムアタック時に2P側が使用出来ない影響で『ギガウイング』の特定の敵での倍率アイテム獲得数増加が得られない、『プロギア』で一部のフォーメーション変更が不可能といった問題もある。
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スペシャルチャレンジで上位に入っても特に特典はない。
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一部バグが見られる。
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無敵プレイを使用していてもやられてしまったり、一部ゲームで実機と動作が異なるバグが報告されている。
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前者については原因不明だが、後者についてはアップデートで修正されているので、あまり気にする必要はないと言える。見つけたら報告すべきだが。
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中断セーブのデータで再開したプレイ時にサウンドがぶつ切れになる。
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これはアップデート後、新たに発生するようになったものと見られる。環境によって発生したりしなかったりで、セーブデータを削除したら直ったとの声もある。
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微妙に操作遅延が発生している。ただ本当に「微妙に」で済んでいるため、普通に遊んでいる分には問題ない。
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縦画面ゲームの画面設定で画面の向きとメニューの向きがあるが、縦画面に対応した操作設定にする場合は画面の向きではなくメニューの向きで縦画面にしないとまともに操作ができない(画面の向きで横画面から縦画面に変えても横画面操作のままになる上、そこからメニューの向きを変更すると更に画面の向きが変わってしまう)。紛らわしい。
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Switch版のアップデートおよびPS4/One/Win版で修正された問題点
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『プロギア』の連射ボタン使用時にガンナーのショットが出ない。
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起動する度にネットワーク接続の確認メッセージが出てきて煩わしい。
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ポーズメニューが+ボタン、スタートが-ボタンという癖のある配置に加えて変更不可。
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変更可能になった際、ディスプレイ設定と同じく全タイトルで一括変更可能に。クレジット投入ボタンも一括変更対象。
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ディスプレイ設定によってはアドバタイズデモおよびコンティニューのカウントダウン中、ボタンガイドが画面に重なって邪魔になる。
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ゲームセレクト画面の設定から表示のON/OFF切り替えが可能に。
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ゲーム中何でも無い状況でもフレーム飛びが頻繁に発生する。
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連射ボタンの連射速度が現在の「NORMAL」相当で変更不可。これが非常に遅く、特に『U.S.NAVY』『バース』『1944』等は外付けの連射機能に頼らざるを得ないほど使い物にならなかった。
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『19XX』や『ギガウイング』等、連射速度設定が追加されていないものもあるが、これらは元々軽い連打でも高速連射が可能なので影響は無い。
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『フォゴットンワールド』でサテライトの回転速度の設定がゲーム開始前のゲーム設定でしか出来ない。
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『チキチキボーイズ』の国内版では残機なし体力多めの設定となっているが、本作収録版では当初海外版の残機ありの初期ライフ2回ダメージ1ミス又は残機1設定のライフ制しか選択できなかった。
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各タイトルのゲーム設定が変更しても起動時に設定がリセットされる。
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後に2ndと共にゲーム設定は保存されるようになった。
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総評
これまで多数発売されてきたレトロゲーム移植の中でもゲームセンターの雰囲気再現を重視した変わり種。
復刻版ミニゲーム機が好評を得ていたこともあり、単に移植するのではなく当時の雰囲気を楽しめるようにしたのは本作の売りと言えよう。
また、近年の移植では定番となった中断セーブ、リワインドに続きゲームスピード変更や無敵プレイまで取り入れ、非常に遊びやすい至れり尽くせりな内容とプレイ環境面でも手を抜いていない良移植である。
余談
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実質的に『カプコンアーケードキャビネット』の後継作と言える作りになっている。
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タイトル被りはいくつかあるものの、
『ラッシュ&クラッシュ』等いくつかキャビネットでないと遊べないタイトルもある。
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第1弾では未収録だったタイトルは後述する『カプコンアーケード 2ndスタジアム』に収録されている。
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「ねとらぼ」のインタビューでは、「
復刻に関しては事前に権利関係の精査をしなければならず、ロゴの権利を本当に会社が持っているか、どの様な契約でどこと一緒にやっていたのか、権利まわりの処理などを全部精査した。そのため数ある大人の事情で(収録から)弾かれてしまったタイトルも(当然ながら)ある
」旨を述べている。
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そもそもこの企画はカプコンの代表取締役会長CEOである辻本憲三氏が「カプコンの過去のタイトルを、ちゃんとユーザーに遊んでもらえるようにしたい」という話から始まったとのこと。
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パック3に入っている『ギガウイング』は開発会社であるタクミコーポレーションが既に無くなっているため版権が行方不明とされていた。
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同じく『プロギアの嵐』と『19XX THE WAR AGAINST DESTINY』は基板の関係(+『プロギア』は他社開発)で移植に全く縁がなく、同じく移植が長らく実現していなかった『エスプレイド』と並び『移植されない三銃士』とまで言われていたタイトルであり、発売時は大きく話題になった。
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これらのタイトルのためにパック3だけ購入するプレイヤーも出たほどで、いかに待ち望まれていたかが窺える。
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Steamでは発売当初、大量の不評レビューが付いてしまい、「非常に不評」な状態がしばらく続いていた。
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理由は発売前には各タイトルごとのDLCがストアに登録されており、タイトルごとに購入できるように見せて実際はCS機版同様にパック購入のみだったためというのが大きく不評を買った。
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こういった声を反映してか、2021年10月20日から開催のセールに合わせてSwtich版とOne版はタイトル個別での販売が開始された。その後Steamで配信中のWindows版も10月21日に、PS4版は10月27日にタイトル個別での販売が開始された。なお、DLはタイトル別に行う必要がある。
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本作収録の『ストII』シリーズにおいて、フェイロンの国旗や本田ステージの背景など、一部グラフィックが原作から変更されている。
カプコンアーケード 2ndスタジアム
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『カプコンアーケードスタジアム』の好評を受け、第2弾となる『カプコンアーケード 2ndスタジアム』(公式サイト)が2022年7月22日から配信された(PS4/Switch/Xbox One/Steam、カプコン)。
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お試し用ゲームとして『ソンソン』が収録されており、2022年6月24日発売の『カプコン ファイティング コレクション』の早期購入特典として『カプコンアーケード 2ndスタジアム』の『ワンダー3』が無償配布された。また、『カプコンアーケードスタジアム』では有料だった無敵DLCは無償DLCとなっている。
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収録タイトルは以下。全ゲーム30本+2本パックの価格は据え置きだが、タイトル単体の価格は当初400円だった。その後、2023年1月16日にPS4版の単品販売価格の改定が行われ200円に値下げされた。その後、1月26日からはSwitch/Windows(Steam)/One版も同様に200円に値下げされた。
最終更新:2025年04月11日 13:25