水滸演武
【すいこえんぶ】
ジャンル
|
2D格闘ゲーム
|

|

|
対応機種
|
アーケード(ST-V) セガサターン プレイステーション
|
販売・開発元
|
データイースト
|
稼動開始日
|
1995年
|
発売日
|
【SS】1995年8月11日 【PS】1996年1月26日
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
FHシリーズと並ぶ数少ないデコの格ゲー 武器破壊システム デコ版『サムライスピリッツ』 早過ぎた世紀末
|
概要
中国の奇伝小説『水滸伝』を題材に製作されたデータイーストの格闘ゲーム。
いわゆる「原作付きゲーム」ではあるが、同じ中国奇伝小説である『西遊記』『三国志演義』同様に著作権が切れているためか、キャラクター設定などに大きな改変が見られる。
プレイヤーは水滸伝の登場人物をモチーフにした11人のキャラクター達の中から一人を選択し、誰が梁山泊最強なのかを決めるという内容。
SNKのサムライスピリッツシリーズに影響を受けた作品ではあるが、彼方とは違い、相手が真っ二つになる等の残虐な描写はない。
主な登場キャラクター達
+
|
一覧
|
-
九紋龍 史進(くもんりゅう ししん)
-
本作の主人公。背中に彫られた龍の刺青が特徴の剣術使い。
-
行者 武松(ぎょうじゃ ぶしょう)
-
二本のトンファーを駆使しながら戦うパワーファイター。PS版、並びにSS版の表紙を飾っている為、彼を主人公と勘違いした人も多かったらしい。勝利ボイスが「1、2、3、ダー!!」、挑発が寝そべって「かかって来いこの野郎」、専用BGMのタイトルが「燃えよ闘魂」と、明らかにアントニオ猪木を意識したキャラクターとなっている。
-
神行太保 戴宗(しんこうたいほう たいそう)
-
高速移動能力を持つ飄々とした性格の青年。二本の筆架叉が武器。
-
一丈青 扈三娘(いちじょうせい こさんじょう)
-
二本の朴刀を武器に戦う女戦士。過去のとある経験から、情けない男には哀れみを感じている。
-
黒旋風 李逵(こくせんぷう りき)
-
無茶、無計画、無鉄砲な性格を持った色黒の大男。武器は二本の片手斧。
-
花和尚 魯知深(かおしょう ろちしん)
-
大型の禅杖を振り回しながら大暴れをするのが何より好きな乱暴者。
-
入雲龍 公孫勝(にゅううんりゅう こうそんしょう)
-
道術を修行中の老人。道術によって呼び出した神霊『ナタク』を駆使して戦う。
-
短命二郎 阮小五(たんめいじろう げんしょうご)
-
阮三兄弟の次男。見た目は河童そのもので、男性キャラに対してはお誘いの言葉を投げる反面、女性キャラに対しては厳しい態度を取る等、極端なゲイ。
-
活閻羅 阮小七(かつえんら げんしょうしち)
-
阮三兄弟の三男。見た目はイケメンだが、ややナルシシスト。
-
托搭天王 晁蓋(たくとうてんのう ちょうがい)
-
ラスボス。梁山泊二代目頭領であったが、毒矢を受けて死亡。以降、梁山泊の守護神として百八星を天より見守る。ある理由から三代目頭領・宋江の夢に現れて大会を開かせ、その優勝者が決まると突如現世に蘇り、勝負を挑んでくる。
-
一本目は生前の姿が生気の無い血色となった死人の様相だが、二本目から梁山泊守護神たる力を解放し、
超サイヤ人
超人の姿と化して襲いかかってくる。
CS追加キャラクター
-
双鞭 呼延灼(そうべん こえんしゃく)(CPU専用キャラクター)
-
武装した馬に跨がった武将。SPモードのCPU戦にて条件を満たすと晁蓋戦の前に乱入してくる。長い鞭が武器。
-
溝口誠(PS版のみ登場)
-
同社繋がりで『ファイターズヒストリー』(以下FH)シリーズからまさかのゲスト参戦。
-
本作ではタイガーバズーカを空中で撃てる他、野球のユニフォームに着替えて気のバットで相手をスイングしたり、羊の呪いを超必殺技として使うなど、かなりはっちゃけている。
「呪ったれや!」
|
システム
-
基本操作は8方向レバー+6ボタンで、武器攻撃(素手時はパンチ攻撃)・キック攻撃が弱・中・強の三段階となっている。
-
データイーストの6ボタン格闘ゲームといえば初代FHが存在し、あちらはそのせいもあってカプコンに訴えられたという経緯があるが本作に付いては特に訴訟問題などは起こっていない。
-
弱攻撃同時押しで挑発、中攻撃同時押しで騙し気絶、強攻撃同時押しで武器投げ攻撃が使用可能。武器投げ攻撃は持っている武器を投擲する技で、使用したら武器は残り耐久値に関係無く破壊され、素手状態になる。
-
本作では、必殺技は「奥義」と呼称され、他作品の超必殺技に該当するものは「秘奥義」と「究極奥義」の二種類がある。
『幕末浪漫 月華の剣士』を先取りしたと言える
-
耐久値
-
本作においては登場キャラクター達の武器には耐久値(画面下の剣型のゲージ)が設定されており、敵の攻撃をガードする、此方からの攻撃をガードされる、武器攻撃同士が相殺すると徐々に耐久値が減っていく。
-
耐久値が0になると武器は粉々に砕けてしまい、砕けた時の衝撃でキャラクターは気絶する。さらにその試合中は一切武器が使用できなくなる他、一部の必殺技も使用できなくなる。
-
このため「手数で相手を押して固めていたら、自分が気絶した」という 他の対戦格闘ゲームではまずありえない状況が発生しうる。
-
武器を持っている限りは耐久値の減少は避けられないので、壊れそうになったら武器投げ攻撃で気絶を回避するのも戦略となる。
-
公孫勝と阮小二の2人は武器が特殊なため武器投げ攻撃が使用できない。ただしこの2人に限って武器を破壊されて素手状態になっている間、徐々に耐久値が回復していき満タンに戻ると再び武器が使用可能になるという、『ジョジョの奇妙な冒険 (AC)』のスタンドゲージのような特徴が与えられている。
-
次回作『水滸演武 風雲再起』においては自由に武器を置ける様になった。また公孫勝と阮小二の2人も武器投げ攻撃が可能になったが、自ら投げた場合は耐久値は回復しない。
-
特殊ガード
-
地上でののけぞり、ガード、起き上がりの最中に(テンキー表示で)「82874」というレバーのみのコマンドを入力すると成立する。成立するとキャラの上に黄緑色のバリアのようなエフェクトが表示され、 「立ちガードのモーションで基本行動全般が不能だが、投げ技以外には無敵」という状態になる。
-
持続時間は大振りな強通常技を数回避けられる程度の長さ。もちろんそのままでは基本行動が不可能で投げられてしまうのだが、必殺技は出すことが可能。
-
また上記のように自分の地上での喰らいモーション中に出すことも可能で、極論を言えば地上の相手への連続技というものは事実上本作には存在しないのである。
-
後の『サムライスピリッツ 天草降臨』の「怒り爆発」も似たような所があるが、あちらは1試合中に1回のみ、さらに武器有り状態でしか使用出来ないのに対しこちらは何回でも使用可能で、武器無しでも使用できる。
-
特殊ガードを確実かつ迅速に出せるようになる事、特殊ガードを使わせないよう常に空中コンボのみを狙う事、敵の起き上がり後の特殊ガードを使っての暴れをしのげるようになる事、本作の対戦ではこれらが非常に重要となる。
-
連続技
-
本作は特定の攻撃できりもみや叩きつけてバウンド、画面端に磔状態になる時があり、そこに追い討ちを加えて連続技を繋ぐことが可能となっている。
-
前述のように地上では特殊ガードで抜けられてしまうため、特殊ガードの使えない空中にふっ飛ばしてからの連続技が重要となる。
CS版における各モード
-
アーケードモード
-
スペシャルモード
-
登場キャラクター達のCVが、置鮎龍太郎や郷里大輔、白鳥由里等といった豪華声優陣によるCVになっている。また、PS版ではエンディングもフルボイスになっている。
-
主人公の史進のキャスティングが堀秀行氏であったり屋良有作氏や上記のとおり郷里氏も参加している点から、妙に『魁!!男塾』を意識している。
-
対戦モード
-
PS版のみこのモードで溝口誠が裏技で使用可能になっている。
評価点
-
水滸伝の登場人物達がデコなりに脚色されている。
-
例えば原作では棒術使いだった史進が本作では剣を武器にしていたり、阮三兄弟が揃って褌一丁の姿になって登場したり、武松がアントニオ猪木風のキャラになったり等。流石は「ヘンなゲームならまかせとけ!」でお馴染みのデータイーストといえる。
-
連続技を繋げやすい
-
本作においては特定の攻撃手順を踏めば、相手を地面や壁に叩き付けた後の磔状態などから追い撃ちを掛けやすくなり、コンボを繋ぎ続けることが可能。
問題点
-
処理落ちが発生しやすい
-
特にセガサターン版は処理落ちが発生しやすくなっている。海外サターン版では改善された。
-
画質自体もPS版に比べると粗い。セガサターンは2Dに強いはずなのだが。
-
対戦のバランス
-
キャラクターの性能やCPUの強さ等、お世辞にもバランスは良いとはいえない。
-
連続技が繋がりやすいということは、即死や永久連続技も数多く存在するということである。例えば武松はコマンド投げの「烈旋空舞」を決めた後、再び烈旋空舞で追撃できてしまう。この技は空中に浮くため特殊ガードでも抜けられない。
-
使用可能キャラでは公孫勝がぶっちぎりの強キャラ。コマンド技で独立して動く幻術「ナタク」を駆使するニコイチキャラだが、そのナタクに食らい判定が無いためほぼ一方的に攻撃できる。
-
さらに必殺技の「幻魔烈靠」と「幻魔破膝脚」はナタクが突撃する突進技(というか武器を使った飛び道具)だが弱で出すと一瞬で本体が行動可能になるため、いとも容易く本体との同時攻撃を仕掛けることが出来る。つまり『ジョジョ』で言う所のノーゲージタンデム、あるいは『KOF』で言う所のいつでも出せる「三籟の布陣」。しかも幻魔破膝脚は下段判定なので、同時に本体がジャンプ攻撃を仕掛ければ中下段同時連携となる。
-
武器が一度破壊されるとその試合中は二度と武器が使用できなくなる他、修復して帰ってくる事は一切ない為、これがバランスの悪さに拍車を掛けていると思われる。
-
呼延灼戦(CS版のみ)
-
呼延灼はCS版のスペシャルモードで難易度を4以上にし、コンティニュー無しで勝ち進んだ場合のみ、ラスボスの晁蓋戦前に登場するというCPU専用乱入キャラ。
-
具体的には「投げと通常攻撃無効(奥義や武器投げ攻撃は有効)」「残りタイムが25付近まで遠征の疲れで攻撃してこない」「残りタイム25以下で即死攻撃の落雷を乱発」という、実質的に「クリアできないとゲームオーバーにされるボーナスステージ」である。
-
ガードが固く、通常攻撃は全く通じない為、主に飛び道具で倒さなければならないが、残り時間が少なくなると雷で即死させられるため素早く倒す必要がある。
-
なお、雷は戴宗の神行法や阮小五/阮小七の側転などで避け続けることも可能なのだが、そのままタイムアップになると呼延灼が延々と雷を落とし続け、ゲームが進まなくなってしまう。
-
AC版の棒読みボイス
-
AC版ではプロ声優を雇っておらずデコ社員がキャラクターボイスを当てているが、やはりというか棒読みが酷いキャラも多い。
-
林冲や扈三娘、阮小七などはそれが顕著で感情のこもっていない必殺技ボイスが(悪い意味で)印象に残っているという人も。
-
ただ戴宗など社員ボイスでも演技力が高いキャラもおり、スペシャルモードでもプロ声優に混じっても違和感を感じさせなかった。
総評
処理落ちや対戦のバランスの悪さ等の問題点もあるが、格闘ゲームとしては良くも悪くも普通といった印象が強い。
一部では連続技の繋がりやすさから、「早過ぎた世紀末ゲー」という声もある。
また、『水滸伝』を題材にしたゲームはあまり見かけない為、ある意味本作は貴重な一作ともいえる。
続編
『水滸演武 ~風雲再起~』がSSのみで1996年3月22発売。後述の内容から続編というよりかは「若干のアップデートが追加されたマイナーチェンジ版」という位置付け。
武器が自由に地面に置ける様になった他、『ファイターズヒストリーダイナマイト』から柳英美がゲスト参戦している。また、無印のスペシャルモードをベースにバランス調整が入り、溝口が通常キャラとして使用可能になった等改良はされている。その反面、呼延灼がリストラされ、エンディングもキャラ個別ではなく共通のものに差し替えられている。
最終更新:2022年02月14日 03:39