シャドー・オブ・ザ・ビースト 魔性の掟
【しゃどーおぶざびーすとましょうのおきて】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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メガドライブ
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売元
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ビクター音楽産業
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開発元
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シグノシス Reflections Interactive (MD/GENESIS移植)WJS Design
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発売日
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1992年3月27日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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単調でショボいアクション メリハリのないゲーム展開 終わりなき悪夢を見ているような世界 → プレイすればする程鬱になっていく
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概要
元は海外のパソコン・AMIGAで発売され、ある程度評価を得ていた作品であり、一部の日本のパソコンゲーマーからも注目されていた一作。
日本のCS機ではPCEのSuperCD-ROM2とMDに移植されたが、ここではMD版を扱う。
プレイヤーである主人公アーブロンは赤子の時に謎の組織に拉致され、魔術師から毎日得体の知れない実験を繰り返されやがて怪物となってしまう。
しかし、自分が人間であることに気付いたアーブロンは組織への復讐を誓う。
アーブロンは送り込まれた敵を倒しつつ、怪物になった呪縛から逃れる旅に出る。
システム
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1人プレイ専用、オーソドックスな横スクロールアクション。しかしある程度進むと途中、なぜか横シューティングゲームとなる。
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方向キーと3ボタンで自機を操作。3つのボタンはそれぞれ A or C ジャンプ・Bパンチ。しゃがみパンチ、ジャンプキックも可能だが…これだけ??
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体力は初期値で12、敵弾や敵に接触すると1失い、0になるとゲームオーバーだが、アイテムなどで回復可能。ちなみにコンティニューは存在しない。
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道中には謎解き要素があり、「たいまつが無いと洞窟が真っ暗」「カギが無いと先へ進めない」といった箇所も存在する。
問題点
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同期のMDアクションと比べ、内容があまりにも薄っぺらくショボい。ヘタをするとFCの『スパルタンX』の方がまだマシかも知れない。
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主人公の攻撃のリーチがやたら短く、あらかじめ敵が突っ込んできたタイミングでパンチを連打しておかないと高確率で接触ダメージを受けてしまう。
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「でかい図体でただ突進してくるだけ」といった芸のないザコ敵が大半を占め、しかもパンチ一発であっけなく倒せてしまう。対策など立てる必要も一切なく、アクションゲームとしての「やりこみ要素」など微塵の欠片もない。敵グラの種類だけは無駄に豊富でかつ不気味である。
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ゲームを開始しても何をしたら良いのかが全く分からない。にもかかわらず、敵の猛攻は止むことが無く、すぐ死亡してしまう。
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目を引く演出や盛り上がるSEなどももちろんない。陰鬱なBGMの中、延々と不気味な世界を当てもなく走り続け、淡々と薄気味の悪い敵を相手にし続けていると、まるで悪夢を見ているかのような錯覚に陥り、どうしようもなく不安な気持ちにさせられる。
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一応は要所要所でボスキャラらしい連中も存在しているのだが、ほとんどはヒット&アウェイで倒せてしまうザコのため、ステージクリアの達成感なども全くない。
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ラスボスらしき巨人は、真横を向いた足と時折降ってくる棍棒を握った手のグラフィックしか存在せず、しかもその倒し方とは足の親指のツメを数十発殴って倒すという訳の分からないモノである。
評価点
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「異形」「悪夢」といったゲーム自体のシュールでグロテスクな世界観は、おそらく如実に表現できていると思われる。
良い意味で「前衛的」であり、このようなゲームはこの世に2つと存在しないだろう。
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BGMは全体的に評価が高い。特に草原を駆け抜けていく際のBGMは、疾走感と悪夢がミスマッチしたような何とも言えない味わいがある。洞窟のBGMもまた、その景観にマッチした暗く荒涼とした曲調で、否が応にも耳に残るものとなっている。
総評
高めの難易度という洋ゲーならではの「魔性の掟」を感じるゲームではあるが…。
主人公含めどのキャラクターからも躍動感が感じられず、プレイヤーは淡々と地味な作業を繰り返すだけである。
正直プレイしていて「何が楽しいのか分からない」という気持ちになり、ウンザリさせられる。
長時間プレイしていると確実に精神に支障をきたすので注意が必要である。
開発元のシグノシスは、Amiga版『レミングス』や『ワイプアウト』と言った往年の名作も手掛けている。
だが、その一方で「変なゲーム」が多いのも事実で、本作においてもMDにおけるアクションゲームのクソゲーとして悪評を得るハメになってしまった。
前衛的なシグノシスらしいと言えばらしい作品ではあるが、デザインやグラフィックに注力し過ぎたせいで作りこみが甘くなり、大味でやりこみ要素に欠けるという結果になってしまったのだろう。
しかし、地雷級のバランスの不具合や凶悪なクソ要素は特に存在せず、単にショボくて飽きやすいクソゲー止まりなのは唯一の救いかもしれない。
『ソード・オブ・ソダン』や『デスクリムゾン』といった伝説級のクソゲーと比べると、その存在は地味で突き抜けるものでも無い。
ある意味このゲームは
ストレステストの一環
としてプレイすると効果的かもしれない。
とにかく喜びや爽快感、達成感というものがこのゲームには一切存在しないのだから。
余談
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ちなみに、この作品は海外ではメガデモの素材としてやたら人気がある。エミュレータ用やPC用などかなりの数が存在する。
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オリジナルのAmiga版は当時のスペックの限界に挑んだ作品で、50fps128色表現などアーケードゲームと遜色ないグラフィクスに海外ゲーマーからは人気があった。
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また世界観を紹介する分厚いストーリー兼説明書にはダークファンタジー調の絵が散りばめられ、詳細なバックボーンの解説がされているなど(ゲーム内でやれよ!)ハマる人にはハマる要素が多くてゲーム以外の部分で人気があった。ちなみにAmiga版はTシャツもついていた。
その後の展開
続編
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その後、続編として『シャドー・オブ・ザ ビースト2 獣神の呪縛』が日本ではMCDとFM TOWNSで発売されたが、評価はお察し。同作のMCD版は『BEEP!メガドライブ』では主に難易度面で非常に厳しい評価を下された。
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そして、Amiga版のみではあるが最終作となる『Shadow of The Beast III』が1993年に発売されている。
フルリメイク版
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それ以降さっぱり音沙汰が無かった本作だが、なんと最終作『III』の発売から23年を経た2016年5月19日、あろうことかPS4にてフルリメイク版がダウンロード配信された。
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ダウンロード専売でお値段2,000円(税抜)。なお、レーティングはCERO:Z(18歳以上のみ対象)となっている。
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リメイクにあたり、シリーズ3作のストーリーをまとめた上で再構成した作品となっている。
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1:幼少時に誘拐されビーストになったアーブロンが、邪悪な魔導師マレトスに復讐する
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2:マレトスを倒したアーブロンの妹を誘拐し、ビーストを作ろうとするマレトスの腹心ゼレクを追う。
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3:完全な人間に戻るため、復活したマレトスを倒す。
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リメイク版ではこれらのストーリーをミックスし、幼少時にゼレクによって誘拐され、邪悪なビーストとなったアーブロンが、その妹もまたビーストとするためゼレクに使役され人間の住処を襲撃した際、立ちはだかった父を殺害した際の返り血で記憶を取り戻し、赤ん坊の妹を攫ったゼレクを追うというストーリー。
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これらはちゃんと旧作スタッフがストーリーの再構成に関わっている。
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リメイクにあたり単調だったゲーム部分はアクション性と爽快感とグロが大幅パワーアップ。
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グラフィックも、大幅に向上させつつ旧作の面影を残している。
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最低難易度でもなかなか歯ごたえがあるが、コンティニュー無限の上クリア時のスコアに応じてポイントで主人公のアーブロンを強化できるのでリトライすれば誰でもクリア可能。
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ストーリーは短めで、クリアまでの時間も4時間程度だが、スタイリッシュなコンボを決めることでスコアが上昇し、オンラインでクリアタイムやスコアを競うやりこみ要素もある。
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また大まかなストーリーはゲーム内でちゃんと解説されるようになっているが、さらなるサイドストーリーなどはステージ内の隠し要素を見つけ出してアンロックされるなど、世界観にハマるプレイヤーにニクいおまけが多数用意されている。
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ちなみにゲーム内に初代作(Amiga版)が収録されているが、コンティニュー無限版も遊ぶことが可能。ご丁寧に攻略動画も収録されていて閲覧可能になっている。
結論
(1992年時点では)腐ってやがる…早すぎたんだ
最終更新:2024年08月10日 08:10