ボクらの太陽 Django&Sabata
【ぼくらのたいよう じゃんごあんどさばた】
| ジャンル | アクションRPG |  
 | 
| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売・開発元 | コナミデジタルエンタテインメント | 
| 発売日 | 2006年11月22日 | 
| 定価 | 5,229円(税込) | 
| 廉価版 | コナミ ザ・ベスト:2007年8月9日/2,940円(税込) | 
| プレイ人数 | 1~4人 | 
| 判定 | シリーズファンから不評 | 
| ポイント | 世代交代&太陽センサー廃止 良くも悪くもこれまでのボクタイとは別物
 作品単体としての出来は十分
 | 
| ボクらの太陽シリーズ ボクらの太陽/  続・ボクらの太陽  /新・ボクらの太陽 / ボクらの太陽DS
 | 
 
概要
- 
ハードをDSに移行した「ボクらの太陽」シリーズ第4作。通称『ボクタイDS』。
 「Django&Sabata」は「DS」とのダブルミーニングであることは言うまでもない。
- 
本シリーズと言えばカートリッジに取り付けられた太陽センサーが最大の特徴であったが、本作では使用されておらず、通常のDSカートリッジの形状となっている。
 これまでのシリーズは夏季に発売するのが通例だったが、本作が秋の暮れに発売となったのは、太陽センサーを利用しないということも一因だろう。
- 
ちなみに、初代DSやDSLiteのダブルスロット機能を用いてGBAシリーズのカートリッジを差し込んでおけば、そちら側の太陽センサーでキャッチした光量分がこちらの太陽・月光ゲージに上乗せされる。
 つまり従来作のカートリッジがあるなら、従来通り太陽センサーを用いたプレイも可能。
 
ストーリー
星々の間を多種多様な文明が行き交う「星紀末世界」。辺境の惑星、地球。
伝承の時代より人々を脅かす存在であり続けた闇の一族「ヴァンパイア」は、
星の世界より得た新たな力、
強化服「棺桶スーツ」と環境改変システム「ギジタイ」によって太陽の光を克服。
地上は明けることのない夜の闇に閉ざされ、
人々はヴァンパイアの支配を受け入れ奴隷として生きるか、
戦って死に行くかの選択を迫られていた。
そんな恐怖と絶望の中…
暗黒の剣を手にヴァンパイアと戦い続ける1人の少年と、
今はまだ力を持たないが、その心に太陽を宿したもう1人の少年、
2人の少年の物語が始まろうとしていた。
(公式サイトより)
特徴
- 
世界観
- 
本作における舞台は、GBAシリーズにて展開された「世紀末世界」とは異なる「星紀末世界」と呼ばれる世界である。
- 
前作『新』のエンディングからは直接つながっていないパラレルワールドであるため、GBAシリーズの登場人物が本編中に直接登場することは一切ない。
- 
また「イモータル」「ダークマター」など、GBAシリーズに登場した用語であっても本作では別定義で用いられているものも存在し、ストーリーは全体として仕切り直しの趣が強い。
 
    
    
        | + | 世紀末世界との繋がりについて | 
星紀末世界の正体は、『新』に登場したトリニティが元いた「ラタトスクに支配された破滅の未来」である。作中でもそれを匂わせる描写が複数存在し、公式ガイドにてこの設定が明言されている。ただし本作開始時点でラタトスクは、『新』の物語のあとこちらの世界に帰還し、成長したトリニティとの戦いで深手を負ったところをデュマに始末されてしまったようであり、登場しない。
 | 
- 
あらすじのとおり、この星紀末世界ではヴァンパイアは「棺桶スーツ」及び環境改変システム「ギジタイ」によって太陽の光を克服し、星の支配者として君臨している。ギジタイによって本物の太陽は昇ることはなくなり、人々はヴァンパイアの支配を受け入れ、日々正気を失いつつも血を吸われる奴隷として生きる生活を受け入れている…という、GBAシリーズ以上にダークな世界観となっている。
- 
主人公
- 
「Django&Sabata」の副題通り、本作はジャンゴとサバタの2人が主人公となっている。
 なお、この2人は名前こそ同一だが、GBAシリーズのジャンゴ及びサバタとは全くの別人であり、兄弟ですらない。
 ゲーム中では常にどちらか一方を操作することになり、ストーリー上で両者が行動を共にしていない一部期間を除き、いつでも操作キャラクターの切り替えが可能。
- 
以下、GBAシリーズのジャンゴとサバタは旧ジャンゴ・旧サバタと呼称する。
 
- 
ジャンゴは旧ジャンゴと同様の太陽銃の使い手。遠距離攻撃が可能だが、攻撃の都度エナジーを消費するという点も過去作と同様。
 本作では太陽銃のカスタマイズができない代わりに、異なる特徴を持った5種類の太陽銃が最終的に使えるようになり、いつでも切り替え可能。
 旧ジャンゴ同様、太陽の力を使う戦士であるため、太陽ゲージが出ている間に太陽の元で太陽チャージを行うことでエナジーを回復する。
- 
なお、旧ジャンゴと異なり、他のキャラクターと同様に普通に喋る。子供っぽく頼りない面も見受けられるが正義感が強く純粋な正統派主人公である。
 
- 
サバタは暗黒剣と呼ばれる近接武器の使い手。バランス型の「剣」、リーチの長い「槍」、威力重視の「鎌」の3種類の武器を操る、『続』における旧ジャンゴをモチーフとしたような剣士タイプのキャラクター。エナジーを消費せずに攻撃することもできるが、それぞれの武器のリーチからしか攻撃できないという点も過去作と同様。
 旧サバタと同様に暗黒の力を操る戦士であり、悲壮な宿命を背負っている部分も共通している。
 なお、旧サバタと異なりこちらのサバタは月光から力を得るため、夜間月光ゲージが出ている間にチャージを行うことでエナジーを回復する。
 
- 
環境改変システム「ギジタイ」
- 
太陽センサーに代わり登場したシステム。
 設定上、星紀末世界に発生する気象現象は全てこのギジタイによって作られたものである。
 このギジタイによって作中では従来の太陽(月光)ゲージに加え、昼夜及び気温・湿度・風速の概念が存在し、このうち昼夜については現実の時間とは関係なく約15分ごとに切り替わる。
 気温・湿度・風速については作中の気候に依存しており、シナリオが進めばギジタイをハッキングし、自由に気候を切り替えることができるようになる。
最初はいずれの気象条件も平均的な温暖湿潤気候しか選べないが、最終的には高温低湿の砂漠気候、高温多湿の熱帯雨林気候、風速の強い亜寒帯湿潤気候、そして極寒の氷雪気候の5種類の気候から選べるようになる。
- 
ダンジョン内では随所にギジタイギミックと呼ばれる、これらの気象条件によって作動するギミックが存在するため、挑戦するダンジョンに応じて適宜気候を切り替えていく必要がある。
 また太陽・月光ゲージの強さも基本的に気候に依存しており、例えば砂漠気候などはゲージが高く、氷雪気候などはゲージが低い。
 
- 
シューティングステージ
- 
こちらはこれまでのパイルドライバーに代わる新要素。
 前述のとおり本作のヴァンパイアは棺桶スーツとギジタイによって太陽の光を克服しているため、従来通りのバトルにて棺桶スーツを破壊した後、魔法戦機ラプラスと呼ばれる宇宙船に乗って宇宙空間に繰り出し、太陽光を直に浴びせることで浄化するという何ともスケールの大きいものとなっている。
 そして浄化を妨害する敵機を駆逐しながら宇宙空間を進む、という設定のもと、ヴァンパイア戦後にはタッチペンを用いたシューティングステージに挑む必要がある。
 なお、実際の浄化作業自体はムービーのみであり、プレイヤーの行う作業はない。
- 
ちなみに、公式ガイドの裏面ではこのシューティングのことを「棺桶シューティング」と記載しているが、ゲーム中では一度もそのような呼称をされておらず、肝心の公式ガイドの中身ですらも単に「シューティングステージ」としか呼ばれていないため、公式名称と呼べるかは微妙なところ。
 
- 
星霊獣
- 
星の意志の代行者であり、各属性に1体ずつ存在するサポートキャラクター達。
 最初はサバタの相棒であるネロ、ジャンゴの相棒であるオテンコのみだが、ストーリーを進めるにつれて新たな星霊獣が解放されてゆく。
 この星霊獣を召喚している間、操作キャラクターの攻撃は星霊獣に対応した属性が付加された攻撃となる。
 更に『新』同様にトランスゲージを貯めればジャンゴはオテンコとトランスし「ソルジャンゴ」、サバタはネロとトランスし「ダークサバタ」へと変身できる。
 残りの星霊獣についてはトランスこそできないが「バースト」と呼ばれる必殺技を一定時間使えるようになる。
- 
また、シューティングステージにおいても常にいずれかの星霊獣を選択した状態となり、星霊獣に応じて攻撃方法が変化するため、状況に応じて使い分けが必要となる。
戦闘以外のストーリーにおいても重要な存在であり、本作を代表するキャラクター達と言える存在である。
 
- 
クロスブラザーバンド
- 
『続』及び『ロックマン エグゼ4』以降、毎回エグゼシリーズとコラボを行ってきた本シリーズだが、あちら側のシリーズ移行に伴い、本作では『流星のロックマン』とのコラボイベントが存在し、クリア後にはウォーロックが星霊獣の一体として使えるようになる。
 また、本作同士、あるいは本作とあちらのソフトとの間でブラザーバンドを結べるようになり、ステータスの強化やアイテムのやり取りが可能になる。
- 
余談だが、あちらよりも本作の方が発売日が早かったため、星河スバルやウォーロックは『流星』本編の発売に先駆けて本作へ出演したことになる。
 
 
評価点
- 
相変わらず完成度の高いシナリオ
- 
舞台こそ大きく変わったが、ダークファンタジーな世界及びそれらに立ち向かう人々の戦いという構図は共通しており、メッセージ性の強いシナリオも健在。
- 
キャラクターもやはり個性豊かな面々。
未熟な面を持ちつつも当初から「仲間を守る」という強い意志を持ったジャンゴ、ミステリアスな雰囲気を持ち、自らの復讐のためだけに戦うとしながらもどこか人間臭さを持ったサバタと主人公は両者ともキャラクターが立っており、当初はまるで意に介していなかったジャンゴをサバタが認めていくまでの過程もストーリーの見どころのひとつ。
- 
他の味方勢も個性的な人物が多く、特にアーネスト等のギルドメンバーは自らよりも仲間の命を優先したり、過去のとある事件を戒めに、ヴァンパイアに囚われた人々の救出に確固たる意志を見せるなど、好感を持てる人物である。
- 
本作のマスコットである星霊獣はいずれも非常にかわいらしく、出番及び活躍も多いため愛着が湧きやすい。
- 
敵側ではヴァンパイアの親玉である公爵デュマは主人公たちとの因縁やその言動、そして何よりシリーズでもトップクラスの圧倒的な強さから一際印象に残りやすいキャラクターである。
 
- 
演出面の強化
- 
ハード面のスペックの向上により、演出面が大幅に強化されている。
 会話時にはキャラクターの立ち絵が挿入されるようになり、複数の表情パターンが用意されている。
 ボイスもGBAシリーズとは比べ物にならないほど増加しており、モブキャラクターの中にもボイスが設定されている者が多い。
 ストーリーの節目で挿入されるムービーは非常に美麗で、現在の目線で見ても遜色はないほどの高クオリティ。もちろんスキップも可能。
 
- 
爽快感がアップした戦闘周り
- 
後述のとおりGBAシリーズと比較すると戦闘メインのバランスとなっており、湧き出てくるアンデッドの数が圧倒的に増えているが、こちらの攻撃手段も強化されており、多くの雑魚敵を一掃する爽快な戦闘が可能。
- 
ジャンゴはロックオンや構えダッシュといった新アクションの恩恵が大きく、慣れれば太陽銃で常に一定の距離を置きながら一方的な攻撃が可能。
 新登場した太陽銃についても、これまでの太陽銃とは比べ物にならない圧倒的な連射性能を誇る「ニンジャ」、追尾機能があるため距離をとった状態でも攻撃可能であり、威力も高い「ウィッチ」など使いやすいものが多い。
- 
サバタの武器についても過去作と比較して使いやすく調整されており、例えば暗黒鎌ヘルは溜め攻撃を行うことで回転しながら全方向に攻撃でき、『続』におけるハンマーの攻撃範囲の狭さを克服している。
 また、サバタについてもやはり構えダッシュの登場が大きく、上記の溜めを行いながらもダッシュ移動が可能で、溜め中には移動できない欠点を克服している。
 
 
- 
シリーズファンへのサービス
- 
GBAシリーズの人物が直接登場することこそないものの、ジャンゴの父親の正体やサバタの3種類の暗黒武具の名前及びそれらの出自など、GBAシリーズのプレイヤーならばニヤリとさせられる要素は多い。
 特にGBAシリーズのあるキャラクターの口癖であった言葉が、オテンコを通じてジャンゴ、そしてリスベスへと受け継がれるシーンはある種の感動すら覚えるシーンである。
- 
また、「古ぼけた太陽銃」や「大地の衣」など、GBAシリーズに登場したアイテムがコレクションアイテムとして数多く登場する。
 
- 
その他細かい改善点
- 
前作では周回時にレベルが強制的にリセットされてしまう点が大きな不評点となっていたが、今作では周回時にレベルをリセットするか否かは任意で選べ、その上で次周の難易度を3種類から選べる。
- 
また、セーブデータスロットも4つに増量されている。
 複数のセーブデータが作成できるのは初代以来である。
 
賛否両論点
- 
ゲーム全体の方向性の変更
- 
世代交代によるキャラクターの一新に対する賛否はどの作品にもつきものであるが、本作はそれに加えてゲーム性や世界観の方向性も過去作とは異なったものとなっており、大きく賛否が分かれる要因となっている。
- 
世界観、シナリオについて
- 
世紀末世界の古風ファンタジーの雰囲気が鳴りを潜め、逆にこれまでほとんど存在しなかったSF要素が前面に押し出されていることには戸惑いの声が大きい。
 シューティングステージなどはその最たる例であり、ロケットに乗って宇宙空間に飛び出す、宇宙空間で戦闘機や巨大ロボットと艦隊戦を繰り広げるといった要素はGBAシリーズの世界観では到底考えられないものである。
 
- 
キャラクターデザインについて
- 
会話時に挿入される立ち絵の絵柄そのものについても少々好みが分かれるデザインで、全体的に幼い印象を受けるキャラクターが多い。
 さらに言えば、実年齢が幼いキャラクターも一部存在する。公式設定によるとジャンゴは10歳、ヒロインのリスベスに至っては8歳とのことであり、いくら何でも幼すぎではとの声も。
- 
また、異星人という設定で獣人などの亜人キャラクターも多数見受けられるが、やはり過去作では全く存在しなかった種族である。
- 
敵キャラクターのデザインについても変遷が見られる。
 GBAシリーズでは(大ボスとしての意味での)イモータルは伯爵のような正統派デザインの吸血鬼や、神話に登場するような怪物然としたものが多かったが、本作の大ボス格は「棺桶スーツに身を包んだヴァンパイア」という設定で統一された影響か、いずれも妙に機械的なデザインのものが多い。『新』のニーズホッグなど、過去作にも機械的なデザインの敵がいなかった訳ではないのだが…
 
- 
ゲーム性について
- 
真っ先に指摘されるのが、やはり太陽センサーの廃止だろう。
 面倒な点もあれどやはりシリーズ最大のオリジナリティであったため、廃止を惜しむ声も少なくなかった。
 しかしハードがDSに移行した以上、物理的に太陽センサーの導入は困難であったことは想像に難くなく、こればかりは現実問題として仕方なかったと言える。
 また、惜しむ声も強い一方で、日中に遊ぶ事が難しい人でも詰まらずに遊べるようになった点は評価もされている。
 むしろ問題は太陽センサーに代わって登場したギジタイが後述のとおり多くの問題点を抱えていることであろう。
- 
これまでのシリーズでは敵に見つからないように立ちまわったり、背後から攻撃したりといったステルスゲームとしての趣が強かったが、本作では最初からこちらを認識して湧いてくる敵が多く、雑魚敵の発生数も大幅に増えているため正面から多数の敵を殲滅する戦闘が中心になっており、GBAシリーズのステルス要素は鳴りを潜めている。
 一応、敵に見つからないように立ち回るスニーキングミッションは存在する。
- 
シリーズではおなじみであったパズル要素が本作では激減しており、どのダンジョンも多少のギミックこそあれど知恵を使うような箇所はほぼ見当たらない。
 …と思っていると終盤のダンジョンで氷パネルの迷路が登場するが、急に出てくる割には妙に難易度が高い。
 
- 
誤解のないように言っておくが、ここに列挙した要素のうち、ほとんどはゲーム単体として見た際に問題点にはならない。
 ただこれまでのシリーズ作品の雰囲気にそぐわないというだけである。
 しかし、太陽センサー等の仕方ない部分のみに留まらず、シリーズの特色が必要以上に削られてしまったことで、「これでは一介のアクションRPGも同然」との感想を抱いてしまったプレイヤーも少なからず存在する。
 
- 
シューティングステージ
- 
シューティングステージが世界観にもたらす影響については前述のとおりだが、このシューティングゲームそのものについても好みが分かれるところ。
- 
操作はタッチペンオンリーであり、自機の移動と攻撃を同時に行えないなどの仕様も相まって初心者のうちはかなり難しい。
 そのうえ1ステージあたりの所要時間が長いためテンポは悪く、馴染めないプレイヤーからすればかなりの苦行である。
- 
もっとも、シューティングゲームとしてのクオリティが特に低い訳ではなく、普通に楽しめるというプレイヤーも無論存在する。
 また、苦手なプレイヤーであっても、普通にシナリオを進めるだけならば流石にゲーム進行が詰むということはないだろう。
 
    
    
        | + | ただし…(終盤のネタバレあり) | 
ただし、ラスボス戦のほとんどがこの棺桶シューティングで済まされてしまうのは流石に考え物と言わざるを得ない。従来通りのアクションバトルは第1形態でしか行わないうえ、1つ前のボスであるデュマと比べれば明らかに弱く、完全に前座扱い。
 その後、宇宙空間に飛び出して第2形態とのシューティングバトルとなるが、何と3回も倒さなければならない。しかしその割に攻撃パターンは3つしかなく、初見では回避が難しいものの慣れてしまえば単調ですらある。
 その後の一騎打ちもタッチペンシューティングによるものであり、圧倒的にシューティング側が占める比重の方が大きい。
 
この点は『新』のラスボス戦のバイクバトルを連想させるが、あちらはあくまでも直前のアクションバトルがメインであった。
 |  
 
 
- 
また、後述のとおり武器の強化が大詰めになってくると、強化素材として棺桶シューティングを高ランククリアした際の報酬が複数要求されるが、シューティング中にミスしても中断することができないのも地味ながら難点である。
問題点
- 
ギジタイについて
- 
太陽センサーに代わり登場した本作の根幹と言えるシステムであるが、大量の問題点を抱えている。
- 
ギジタイはシェリダンの館でしか切り替え出来ないため、ダンジョン内で現在の気候では作動しないギジタイギミックに出くわした場合、わざわざ一度ダンジョンを脱出し、ギジタイを切り替えてから同じ場所に戻ってくる必要があり、非常に面倒。
- 
一応、バーストによる荒技(トーベをバーストして雨を降らせる)もなくはないが、この場合でも一度画面を切り替えなければギミックが作動しない。そもそもバーストではどうにもならないギミックの方が多い。
 
- 
さらに、このギジタイギミックは正確には「気候」ではなく「気象条件」が発動条件であることが厄介となる場合も。
 例えば貯水路は、気温が30℃以上のときに蒸発して通行可能になるが、最も気温の高い砂漠気候下でも時間帯次第では気温が30℃に達しないこともある。
 ゲーム内ではこうしたギミック発動の詳細な条件までは情報を得られないため、「ギジタイを切り替えればギミックが作動する」と思い込んでいるプレイヤーが混乱する要因にも成り得る。
- 
また、作中の時間帯は手動で切り替えられない。そのため、ジャンゴorサバタのエナジー回復やギミックの為に昼夜を切り替えたい場合にも、現実の時間経過を待つ必要があり、かなり面倒。
- 
ちなみにソルジャンゴへのトランス時に昼、ダークサバタへのトランス時に夜へと強制的に時間帯が変更されるのでこれを利用するのも一つの手だが、トランスゲージを消費してしまうためそう簡単に頼れるものではない。
 
- 
そもそもギジタイ気候に関する要素は基本的にプレイヤーの有利に働くものが少ない。
氷雪気候や亜寒帯湿潤気候は太陽・月光ゲージが小さいため使いづらく、熱帯雨林気候はすぐにアイテムが腐ってしまう。
 特定条件下で発生する特殊天候の中にはプレイヤーの有利に働くものも存在するが、狙って発生させることは難しい。
 
- 
総じてギジタイはプレイヤーの冒険をサポートするというよりも、特定のギミック用に切り替える面倒なものといった印象が強い。
 
- 
新アクションの周知不足
- 
GBAシリーズには無かった新アクションが多数追加されているが、それらの存在をゲーム内で知る機会がほとんど無い。これらの新アクションを知らないままプレイすると、攻略の難易度が大幅に上がってしまう。
- 
「ガード」や「口笛」は最初のチュートリアルで触れられるためまだよいが、応用テクニックの中にも「ジャストガード」や「構えダッシュ」など、上手く使えば戦闘が大幅に楽になるものが多い。それら応用テクニックは、酒場のキャラクターとの会話(ストーリーの進行に応じて変化)にて攻略情報として教えてもらえるのみ。
- 
一例として、中盤以降出現するリザードマンという敵は、鉄球を振り回している間はほぼ攻撃が通らず、攻撃力・防御力も高い難敵だが、実は鉄球攻撃をジャストガードできれば気絶するため途端に雑魚になる。
 リザードマンは非常に配置箇所が多いため、このことを知っているか否かでゲーム全体の難易度が大きく変わるといってもよいのだが、作中では前述の酒場の件を除くとノーヒントである。
 
 
- 
武器の強化が面倒
- 
本作の武器はジャンクパーツを集めることで性能を強化できるが、パーツの必要数が総じて多い。敵ドロップだけではとても足りず、店からの購入に頼るとすぐに金欠に陥ってしまう。
- 
さらに2人の武器(合計8種)のうち6種は、強化レベルが上がると非売品の貴重なパーツを要求される。
 これらのパーツはドロップ率が非常に低く、安定した入手方法は棺桶シューティングやボスバトルを高ランク制覇した際の報酬しかないため、苦手な人にはかなり辛い。
 
- 
アイテム管理がシビア
- 
アイテム枠は『続』や『新』から4枠増えて20個となっているが、操作キャラクター2人で共有のためそれでも少ないと感じることも。
- 
また、敵がドロップしたジャンクパーツは使用するまで未鑑定品としてアイテム1枠分を占めてしまう。こまめに鑑定していかなければすぐにアイテムが満杯になるため地味に面倒。
 
- 
シリーズ最高難度の称号
- 
本作にもシリーズ通例のやりこみ要素として称号の概念が存在するが、一部の取得難度が異様。
- 
特に困難なのが全ての武器のレベルを最大値まで上げる「ソードマスター」「ガンマスター」及び全ての盾を限界まで強化する「ガーディアン」。
- 
前者については前述のとおり、武器の強化には莫大な費用及び高難易度のボスバトルや棺桶シューティングでハイスコアを狙う必要があり、苦手なプレイヤーには厳しいのはもちろんのこと、そうでないプレイヤーであっても何度もトライしなければ全ての武器を極限まで強化できるだけの素材は集まらないため、かなりの苦行。
- 
盾については種類によって強化条件が異なるが、基本的に何度も敵の攻撃をタイミングよく受け続ける必要があり、普通にプレイしているだけではどの盾もまず強化に繋がらない。称号を得るには作業同然の戦闘を延々と繰り返す必要がある。
 
 
- 
キャラクター間の格差
- 
本作はダブル主人公制となっているが、シナリオ面においては基本的にサバタのデュマへの復讐が本筋となっているため、必然的にサバタが目立つ場面が多い。
 ジャンゴもサバタにはない「仲間たちを守る」という主人公らしい独自の戦いの理由を持っており、またデュマとの間にも父親の仇という因縁が存在するのだが、サバタの復讐と比べるとやはり今一つ薄い動機に感じられてしまう。
- 
また、サバタがネロとトランスできることには設定上重要な理由があるが、ジャンゴがオテンコとトランスできることには特に設定上意味はなく、ジャンゴが初めてオテンコと出会った直後からトランスできる。
 ソルジャンゴのデザインも『新』との差異がほとんど見受けられず、少々適当な扱いと言わざるを得ない。
- 
もっとも、シナリオについてはそもそも公式がサバタの方をメイン主人公として扱っている節がある。パッケージイラストではジャンゴよりサバタが前面に出ており、DSのメニュー画面のアイコンはサバタ単独、エンドロールのクレジットでもサバタが一番目に表示されている。
 
- 
一方で性能面においては、慣れないうちはエナジーを消費する必要のないサバタの方が使いやすいことも多いが、構えダッシュなどのアクションをマスターしてしまえばジャンゴの方が使いやすいというプレイヤーも多く、十分にバランスが取れていると言える。
 
総評
ハードの移行に伴い、システムや世界観を大幅に刷新した一作。
これまでのシリーズとは良くも悪くも様々な面で変化が見られ、新システムが抱える問題点も少なくはないが、新しい世界観の作りこみはしっかりとなされており、戦闘や演出の強化なども確かな評価点。GBAシリーズとはまた違った魅力を持つ作品であることは間違いない。
しかしこれまでの作品とのあまりの方向性の違いから敬遠してしまったファンは多く、GBAシリーズと比較して大きく売上を落としてしまったようだ。
そして本作の売上が納得いくものとならなかったためか、DSというハードにこれ以上「ボクタイ」を落とし込むことが困難と判断されたためか、本作をもってシリーズは打ち止めとなってしまった。
しかし繰り返すが本作はひとつのアクションRPGとしてみた際には十分に佳作と呼べる出来栄えであり、また本作で新たに描かれたシナリオについてもGBAシリーズに決して勝るとも劣らぬ魅力的なもので、わずか一作限りで終わってしまうにはあまりにも惜しい世界である。
もともと『ボクらの太陽』というゲームが生まれたのは、当時の主力ハードがカートリッジに太陽センサーを搭載できるGBAであったという事情も大きく、その主力ハードがDSへ移ったことでシステム面に大きな変革が求められることは半ば必然とも言える事態であったため、本作にてゲーム全体の方向性が大きく変化したこと自体が間違いと断ずるのも筋違いであろう。
そういった意味でも正当な評価を受けづらい作品である。
余談
- 
本作の中では明かされなかった謎も少なくなく、また続編への伏線も作中で多く張られているが、次回作は実現していない。
 既に本作の発売から10年以上が経過していることや、その後のコナミ及び小島プロダクションが辿った経緯を鑑みると、これらの伏線が回収されるのはもはや絶望的と言える。
- 
本作のコナミスタイル先着特典として、シリーズのイベント等で使用されたサウンドを収録したボーナストラックが配布されたが、こちらは非常に流通数が少なく、中古市場に出回ることも滅多にないレアアイテムとなっている。
- 
海外では『Lunar Knights』のタイトルで発売された。
- 
本作の発売が早かった為、それに従い、『流星のロックマン』コラボイベントが削除されている。
 
- 
メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオットではステージ内のフィギィアを回収した状態でクリアすることで『太陽銃・ナイト』を武器として使用可能になる。
最終更新:2022年12月05日 21:07