NINJA GAIDEN (SMS)
【にんじゃがいでん】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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マスターシステム
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開発
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SIMS
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発売
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セガ
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発売日
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1992年
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備考
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日本未発売
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判定
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良作
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ポイント
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本家とは別物、GGとも別物 イベントは紙芝居 日本が舞台なのに、日本未発売 長らくシリーズ最新作だった
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忍者龍剣伝/NINJA GAIDENシリーズ
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概要
一応、忍者龍剣伝シリーズであり、海外でのみ発売された作品。セガ製としてはGG版以来の第2弾で開発はシムス。本家のテクモは関わっておらず、ストーリーも原作との繋がりも特に無く全くの別物と見て差し支えはない。
全体的にカンチガイニッポン的な怪しい世界観であり
海外のみの発売という事で日本での知名度は低く、『NINJA GAIDEN』が出るまで長期間に渡ってシリーズ最新作だった事は殆ど知られていない。
原作の後に発売されたという割には至らぬ点が多いがSMS作品の中では売り上げトップ10を記録した。
基本仕様
登場人物
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RYU HAYABUSA(リュウ・ハヤブサ)
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本作の主人公でDragon Ninjaである。村人達の恨みを晴らし、武士道の巻物を取り戻すのが目的。
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設定的にもキャラ的にも本家のリュウとはかなりかけ離れており、邪鬼王やアイリーンなどの他の本家キャラも一切登場しない。
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TSUTENKAKU SAMURAI(通天閣の侍)
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GEISHA(芸者)
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本作のヒロイン格。最後の最後まで重要な役割を帯びる。
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固有名詞があるのは主人公のリュウのみ。他のキャラは名前ではなく職業名である。
ストーリー
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世界観は本家どころか、同社のGG版とも全くの別物となっている。
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GG版がかなり低難度だったが、本作はうって変わって難易度が高めになっている。
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コンティニューは無制限
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死んで覚えろ仕様で何度でもコンティニュー可能。スコアは0からになるものの、忍術やNポイントは保持されており、N999で術が無制限に使えるようという仕様もある。
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再開地点はステージ最初からではなく中間ポイント、あるいはボス戦からとなる。
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こう言うと至れり尽くせりだが、パスワードの仕様はなく殺しポイントも牙を剥いてくるため決して簡単というわけではない。
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プロローグ
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主人公のRYU HAYABUSAが務めをやって村に戻ると滅ぼされていて最後の生き残りからBUSHIDOの巻物を奪われた事を告げられる。そこから、黒幕に立ち向かう旅が始まる。
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ストーリーは8つのCHAPTERで構成される。
アクション
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基本仕様
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原作よろしく、横スクロール仕様で構成されており、基本仕様はファミコン版にかなり近いものとなっている。
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剣
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RYUの標準装備、アイテムを取らないと弱いという事はなく最初から同じ性能。ジャンプ中からの振り返り斬りが出来ないのも原作同様。
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ノックバック
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敵に当たるとノックバックするので落下死をすることが多い。
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壁の仕様
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壁にジャンプをすると自動的に逆方向にジャンプをして、これにより壁登りも出来る。
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壁を上っていく事は出来ず、また、張り付くことも出来ないためファミコン版とは勝手が異なる。ハシゴおよび柱を登る事も可能。
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ぶら下がり動作
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木の上などの地形ではよじ登ったりぶら下がったりする。ぶら下がったままの移動は出来ないが剣を振る事は出来る。
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しゃがみ歩き
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しゃがんだまま移動する事も可能で一部のステージでは必須。
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忍術
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手裏剣に火炎車などが登場しており放つ際は上ボタン+攻撃ボタンでNポイントを使って繰り出せる。更に本作独自に4方向、ホーミングなど優秀な忍術も登場。
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取得した際は、前の忍術を上書きするようになっている。
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HPを削って全体攻撃
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AとB同時押しで発動。NポイントではなくHPを削って即座に全体攻撃を繰り出す。
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ボス戦でも使えるのだが、HP4消費で2ダメージと甘くはない。
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アイテム
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スコアアイテムなどが用意されており「忍」でNポンと回復、「体」はHP回復。「時」は制限時間の増加など漢字が使われているのが面白い。尚、ミスしても失効する事は無い。
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一枚絵
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ステージの開始とクリア後には一枚絵が入る。
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動きは特にないが、GG版では実写っぽかった仕様からアニメ調になっており親しみやすい。
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文章については、キャラクター名の後に台詞が表示されるので誰の発言か分かる。
評価点
世界観
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カンチガイニッポン要素
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力士、ヤクザの親分、侍、芸者、将軍などが登場。舞台も森林、市街地、氷などの他、通天閣、富士山などが用意と、海外ゲームらしく、ステレオタイプでどこかズレた日本観で描かれているのが特徴。富士山は赤い仕様でゴエモンのようで味わい深い。
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カンチガイニッポン要素は日本では好みが分かれるが、楽しめる人は大いに楽しめる。
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しかし実は開発会社は後に『まぼろし月夜』などを手掛ける日本企業のシムスである。海外向けという事であえてはっちゃけたのだろう。
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おかしな日本観という点はシリーズではAC版に共通するものがある。
ヒーロー忍者という時点でカンチガイニッポンとか言わない。
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忍者ゲームの割に日本が舞台になる事が少ないシリーズだが、セガ製としての前作であるGG版でも神戸を訪れた事がある。
ゲーム性
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ステージ構成
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ステージ1の森は平坦な道のりから始まり、地下エリアを経てからの後半は地上がトゲで埋め尽くされており木の上を渡っていくのだが、そこには忍者との戦いも複合されてステージ1から容易ではない。
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後の市街地も、屋外、屋内、工事現場などがあり、高低差の概念もあり2Dゲームながらも立体的という表現がマッチしている。
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道中には隠し部屋というおまけがあるのが面白い。
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豊富なステージには、出没針、水流、氷地形、出没ブロック、風で流されるなど多彩なギミックも用意されている。
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敵も多彩
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忍者も豊富で下から跳んで挟撃や投擲をしてきたり、高速剣を繰り出す侍、虚無僧、カラス、軍人、魚など多岐にわたっている。
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本作でも鳥が飛来して猛威を振るうが一度に5体以上で来るのは圧巻。
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ボスも多彩
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最初のボスは力士。戦い方は突進して壁に激突した衝撃で上から忍者を落下させるなどをする。なお、AC版でも力士は登場しており、「ニッポン」のゲームには欠かせない存在である。
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ヤクザの親分は出没針を仕掛け更に複数の人間で襲撃させており残りHPに応じてグラも異なっている。通天閣侍は正々堂々勝負を挑み、それ以降も下からパーツが飛び出てきて合体するボス、ラスボスの雷撃3連発…と、既視感はあるものの実に多彩。
演出
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オープニング導入
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多数の一枚絵とともに、リュウハヤブサの登場、村を滅ぼされた事、最期の生存者、決意を固める場面などで曲調が変動して盛り上がって〆る。この際の演出にはフェードアウトも使われている。
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直後のタイトル画面は巻物が展開して「忍者外伝」という筆文字が味わい深い。更には、NINJA GAIDENの文字も苦無や手裏剣で構成。
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高品質のグラフィック
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OPでは一枚絵が複数用意されていると前述したが、本編でも各ステージ毎に、ボス撃破後とステージ開始直後の2枚ずつ用意されている。アニメーションどころかスクロールすら無いのは残念であるが色数においてはFCに勝っており美麗に描き込まれており、フェードアウトも行われる。
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ステージの遠景は多重スクロールしないのは残念であるが、屋外では森の奥、山、森、雲などで奥行きを表現。
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ステージ1ではこれにより森の広大さを見事に表現しており、更に木々の葉っぱが僅かに動くという拘りっぷり。
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他にも、建物内部の消火器、コンセント、城の破れた障子なども表現されている。
賛否両論点
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アクション仕様
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壁については、GG版では出来ていた登りが出来ず、壁で待機という事も出来ず即座に壁ジャンプになってしまうので、思い通りの動作が出来ない事も多々ある。
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特にジャンプボタン押しっぱなしで壁に行くと勝手に逆ジャンプが出るので違和感と取る方の意見が強い。
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壁を登り切れない仕様は、足を滑らせて壁に捕まったという、他作品では何でもなかったところでミスが確定するのがやるせない。
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ぶら下がり
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ぶら下がったまま移動が出来ないので微調整が出来ない。しかも風に流される際はしっかり流されている。
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乱暴なリュウ
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リュウが敵の胸倉を掴んだりと、本家では特に見られなかった乱暴な一面がある。
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リュウ・ハヤブサではなくRYU HAYABUSAという事なのだろうか…?
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エンディング
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スタッフロールの背景は一枚絵が表示されるだけで物足りない。そして、その後はタイトルに戻る。本家のように色々な場面をダイジェストすれば良かったのに。
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日本未発売
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カンチガイニッポンとは言え日本が舞台なのに、日本未発売というのは残念である。
問題点
演出面
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デモシーン
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徹頭徹尾で一枚絵の紙芝居であり、BGMもOPはともかく作中では同じ曲の使い回しでアニメーションしないどころかスクロールもないため資料映像になってしまっている。
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見栄えもさる事ながら分かりにくさにも直結しており、英文で話を補完しているので何とか理解出来るというレベルに。極端なところ英文が読めなくてもゲームを進めるのに問題はないが、ステージ1をクリアした直後は画像だけではリュウが力士を殺害したような印象を持ってしまうかも知れない。
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英文のフォントも大文字のみのみである。
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原作ではNES版(ファミコンの海外版)でもしっかり小文字も使われていたので余計に目立ってしまっている。ただ、白1色ではなく2色でデザインされているのは良い。
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ステージの見た目
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一部ではあるが真横から見たもので安っぽい箇所がある。他には、多重スクロールも一切なく、奥行きも立体感の演出についてはどうしても弱く感じてしまう。
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ステージ2ではイベントでは夜だったのに、始まると日中というのは流れがおかしいと言える。更に背景のビルが無地の四角形はシンプル過ぎる。
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紙芝居ではフェードアウトしていたがアクションパートではそういう演出がないのは勿体ない。
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BGMの扱い
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各ステージに1曲ずつ用意されているが、ステージをある程度進むと画面切り替えの際に再生位置が初期化される。
ゲーム性
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ザコ敵が非常に厄介
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1撃で倒れてくれない敵も結構いるので、倒しきれずに思わぬダメージを負ったり下手をすればノックバックで突き落とされてしまう。
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スライム
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地面を這う敵で動きも早くはない。こう言うと大した事がないように思えるが、しゃがみ斬りでも当たらないので倒すのが困難。しかも狭い通路にいる場合が何度かあるため越すのは難しい。
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人魂
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CHAPTER7で登場するのだが、一定の場所で突然近くに3体出て来て突き落として来ようとする。
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しかも足場が悪いところに限って出てくるので反撃や回避が難しい。こちらも一撃では倒れないため更に厄介。
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トリに落とされるのは仕方がないにしても、あまり褒められたものではない理由でやられるのはいかがなものかと思われる。
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アイテムの取得について
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空中に配置されている巻物は第一作仕様で中身は斬ってみるまで分からない。それなのに、斬って出しても落下先が地面ではなくロストする事が多い。つまり、出たとこ勝負で取得するのか、斬って見送るのかの2択をさせられる。
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ボス戦
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通天閣の侍
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やってくる攻撃は接近しつつ上段振り下ろしのみで面白みがない。それと通天閣と侍は一般には結び付かない。
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ステージ7のボス
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落下してくる毎に1ダメージを与えるチャンスしかないので時間がかかる。しかも向こうへ渡ろうとした際に運が悪いと上からの落下物でノックバックして落とされるとアウトになってしまう。
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ラスボスの見た目が簡素
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最終形態は顔が左右に飛び回り、曲線を描く玉と3つの落雷のみである。動きが速い複合攻撃なので見た目以上に厳しく本作のラスボスとしての強さではある。
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コンティニューした際はラスボスからの再開となるので別な忍術を手に入れてくるという事は出来ない。
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見た目が乏しいので、このため別作品のラスボスと比較されては笑いのネタにされる事もある。
総評
本家に対して及ばない点は否めないものの、SMSのゲームとしては高品質であり、特にグラフィック関連ではマスターシステムの強みを活かし本家とはまた違った本作独自の魅力を持つのも確かであり、一定の評価する声はあるようだ。
余談
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ステージ2のビルではSEGAと表記されている。当時よくあった演出である。
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本家でもAC版の道中で開発チームがやたらアピールしてくる描写があった。
最終更新:2025年01月29日 11:33