スーパーロボットスピリッツ
【すーぱーろぼっとすぴりっつ】
ジャンル
|
3D対戦格闘ゲーム
|
|
対応機種
|
ニンテンドウ64
|
発売元
|
バンプレスト
|
開発元
|
VertexEG
|
発売日
|
1998年7月17日
|
定価
|
7,800円
|
プレイ人数
|
1人~2人
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
スパロボ版バーチャファイター 格ゲーとしては微妙だがなりきり遊び可 ガード不能だが当たる気がしない必殺技 機体身長はほぼ統一なので違和感は多々あり 寺田Pも未把握の超作画アニメCM
|
スーパーロボット大戦シリーズ
|
概要
-
バンプレストが始めてニンテンドウ64に進出した作品で、スーパーロボット大戦の派生作品。
本家シリーズとして見ても『スーパーロボット大戦64』よりも早い参入である。
-
ニンテンドウ64の性能を生かした3DCGによる2D視点格闘ゲームで、雰囲気としては『バーチャファイター』と『ドラゴンボールZ 超武闘伝』を組み合わせた印象。
地上・空中の二つを舞空術のように移動することが可能で、地上・空中限定のスピリッツ技(必殺技)もある。
-
また、バンプレストオリジナルのキャラ&ロボットであるレビ・トーラー&ジュデッカのデビュー作である。
基本システム
-
Aボタンでキック、Bボタンでパンチ。同時押しで投げ技へ移行。
-
近づいてきた相手を少し弾き飛ばすスパークを発動したり、スピリッツゲージを消費して発動するスピリッツ技等に利用するスパークボタン。
-
スピリッツ技はガード不能。超必殺は加えて一定打数を当てるか投げを除きカット不能。
L・Rボタンで地上・空中のラインを変更する。移動には十字キーを使用し、64コントローラー特有の3Dスティックは一切使用しないファミコンポジション持ち。
-
対戦ステージは広く、地上と空中を移動できるので自由度が高く『ドラゴンボールZ 超武闘伝』をベースに、よりシームレスにしたような構成。
-
ライン変更する際の挙動は「一瞬地上と空中の間でフワッと滞空してから移動」という形なので、ロボット感をよくゲーム内で表現している。
-
移動には一瞬の隙が生じ、対地攻撃や対空攻撃もあり、攻撃されそうなので空中or地上に逃げるといった安易な回避手段も取りにくい。
ただし、手段はあれど、全ての機体が万全というわけではないが…
ストーリー
異星人エアロゲイターの無人機動兵器の侵攻により、地球とコロニーの連合軍は為す術がなく駆逐され、地球圏は未曾有の危機を迎える。
地球を守るスーパーロボット達も、エアロゲイターが誇る巨大機動兵器『ジュデッカ』の前には刃が立たなかった。
絶望的な状況の中、エアロゲイターを統べる少女、レビ・トーラーが奇妙な通告を放つ。
「30日後人類抹殺作戦を遂行する。人類が未来を欲するのならばそれまでに『ジュデッカ』を倒せ」
人類の未来をかけたスーパーロボット達の最後の戦いが始まる。
登場機体
★は隠し。なおシャイニングとマスターは特定の条件により金色化する。
-
R-1(バンプレストオリジナル)
-
初心者向けのシンプルでスタンダードな格闘タイプ。超必殺技が比較的当てやすく、初段をガードされても最終段をガード不能にできるため強力。
-
ダイターン3(無敵鋼人ダイターン3)
-
ゲームに登場する主役ロボットの中では100m超えの最長身だが、本作ではMSサイズにまで落とされている。飛び道具や中距離攻撃が豊富で、唯一スピリッツを溜める技を所有している。
-
ダンクーガ(超獣機神ダンクーガ)
-
原作と同様に豊富な武装で戦う。超必殺技も遠近両方に存在するが、やや打撃の動きが遅め。断空剣等、通常必殺技にもスパアマ付与される技を持つ。
-
シャイニングガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
-
本作のストーリーでメイン扱いを受ける。打撃は使いやすいが、必殺技は全般的に癖が強い。
-
ダンバイン(聖戦士ダンバイン)
-
参戦機体の中では最も小柄なはずだが、本作では統一されMSサイズに。デザインのそれもあってかなり大柄に見え、打撃等も優秀。
-
ウォーカー・ギャリア(戦闘メカザブングル)
-
本作唯一の後期主人公機。後ろに転ぶことができたりコミカルな技が多い。原作再現のICBM投げ等スピリッツ技もそれなりに優秀。
-
ボルテスV(超電磁マシーン ボルテスV)
-
超電磁系の例に漏れず多種多様な武装が多く、遠近共に技が充実しており、総じて使いやすいキャラ。
-
★マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
-
シャイニングよりも全般的に使いやすい技が多い。本作の石破天驚拳は空中専用技。
-
★デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
-
中ボス扱い。地上では人型、空中ではMA形態に変形する。見た目は最終形態だがパイロットはキョウジ・カッシュ。倒れても肩がうねうね動くなど生物的演出がある。
-
★ジュデッカ(バンプレストオリジナル)
-
本作が初出。ラスボスであり、それらしくかなり強力かつ胡散臭い技を数多く持つ強キャラ。身体はラスボスらしく大きめ。
評価点
-
ロボットらしい重量感ある操作感と爽快感
-
悪く言えば重い操作感であるが、ロボットを使っているという感覚は得られる。
-
格闘のコマンドコンボや必殺技を決めた際の爽快感も十分ある。
-
バーチャファイターでは個性でもあるが人間がカクカクしたポリゴンであるため、違和感の無いロボットならではの特徴が活用されている。
-
程よい再現度
-
ダイターン3のサンアタックや、ボルテスVの超電磁ボールVの字斬りといった「前段階の技を当てた後本命の技を決める」という流れも、技を個別化することで再現している(つまりサンアタックからのダイターンクラッシュの発動は任意)。
ちなみに本作では珍しく、サンアタックを介さずダイターンクラッシュの直出しも可能(ただし命中補正はかからず当てにくい)。
-
スピリッツ技でトドメを刺すと複数のカットインによる特殊演出が入る。
-
またシャイニングとマスターのフィンガー技が同時にぶつかると、原作さながらの打撃乱打の演出が起こるニクイ演出も。
-
各機体のSEも極力忠実に再現されている。
-
スピリッツ技も発動時は各パイロットのカットインが入るため、大技を出している感が出ている。
-
微妙にニッチな参戦作品。特に『ザブングル』は『α外伝』よりも先行している。
-
本家スパロボで当時未登場・出番が少ない技も登場する。
-
ダイターン3の「ダイターンスナッパー」や「サンアタック乱れ撃ち」は本家スパロボより先に登場(前者は2008年の『Z』、後者は1999年の『COMPACT』で採用された)。
-
ダンバインのハイパーオーラ斬りは衝撃波を撃つオリジナル技となっているが、後に生まれたオーラシュートの原案とも取れなくもない。
-
簡潔ながらもしっかり設定練り込んだストーリー
-
ストーリーモードでも全てのキャラに戦う理由等、納得のいく設定を行なっている。
一切絡まず一方的に戦うこともあるが、特定の組み合わせで会話が発生するクロスオーバーはスパロボ要素を活かしている。
-
いずれの展開も『ダイターン3』の破嵐万丈がリーダー格となり指揮している点が目立つが、裏を返せば万丈なら納得いく万能感もあるため、強引でもストーリー展開を繋げるには便利な存在ではある。
-
サブキャラも充実しており、ボルテスチームや獣戦機隊メンバー等が会話にしっかり参加しており賑やかさを醸し出している。
2人乗り機体はサブパイロットが、1人乗りでもレイン・ミカムラやギャリソン時田、アヤ・コバヤシ等のサポートメンバーが会話に参加している。
-
64のゲームでは珍しく多種多様に喋る
-
『スターフォックス64』程の長い台詞ではないものの、全てのキャラに豊富な台詞が用意されている。
ボルテスVの超電磁ボールVの字斬りを例にすると「天空剣!」「超電磁、ボォォォル!」「とあぁー!」「必殺、Vの字斬りィ!」と、言葉が途切れ途切れではあるが台詞が成り立っている。
-
『Gガンダム』のドモンなどは『新』時代の流用なため違和感もない。
-
『スーパーロボット大戦64』ではボイスが未収録だったので、シリーズファンにとってはこれだけでもうれしい要素である。
-
随所挟まるムービー
-
キャラクター選択等で専用ムービーが各機体毎に用意されている。
シャイニングガンダムは搭乗時のバンクを再現。合体機構を持つ機体は合体シーンが流れる。
賛否両論点
-
対空攻撃の格差
-
対空攻撃手段そのものは評価点ではあるが、技の性能に格差がある。
-
ワイヤー系は発生が早い、低燃費、コマンドが容易と極めて優秀。
該当するのはボルテスV、ダンバイン、ダイターン3、マスターガンダム。
-
問題は非搭載機の対空手段の性能差。ギャリアは発生早く、当たる場所が予測しにくいブーメランイディオムは優秀。
一方でR-1のランダムシュートやシャイニングガンダムの対空ショットは距離感・当て感を要するため使いにくい。
-
最悪なのがダンクーガの断空砲。発生遅い、技名言ってから発動するので、やることが見え見え、弾速が遅い上に
じゃ○りこみたいな単発の断空砲を撃つ
といった、対人戦ではまず当たらない性能をしている。
-
スパロボ御三家のマジンガーシリーズやゲッターロボシリーズ、宇宙世紀ガンダムが全て不参加である。
ロボット物のクロスオーバー系ゲームで宇宙世紀ガンダムやダイナミックプロが一切関わっていないゲームは珍しく、他の例では『バトルロボット魂』辺りしかない。
-
ロボットごとの身長再現は無視されている
-
ダイターン3が120m、ダンバインが6.9mとそのまま再現したら格闘ゲームにならないので、致し方ない点ではある。
-
64のスペックでは再現が難しいと思われるが、アクレッシブ・ビーストやボルトマシン・スピンといった合体機の分離形態攻撃は一切実装されていない。
問題点
-
重量感と引き換えにもっさりとした操作感
-
ロボットらしい重みを感じることができる反面、格闘ゲームとしては全体的にスカッとしない操作感も目立つ。ダッシュ攻撃等で補われているが、やはりスマートな立ち回りは難しい。
スーパーロボット系はともかく、元々小型軽量機体のダンバインはかなり違和感が生じる。
-
超必殺技が当たる余地のない機体がいる
-
前口上や必殺技を叫んでから放つため、前動作が長い。攻撃で止められるのは投げ技だけなのでカットは容易とは言えないが、そもそも当たる余地がない技がいくつか存在する。
-
CPUであれば流石に当たるが、対人戦ではそもそも実用に足るものがほとんどない。
-
特に酷いのがダンクーガ。全体的に技の発生が遅く、賛否両論点で触れた通り対空性能は壊滅的。
超必殺技の断空光牙剣は範囲も広くスーパーアーマー付きだが、構えてから名乗るまでの時間が長く、見てから離れて避けることが可能。
もう一つの断空砲フォーメーションは発生こそ早いが、空中に逃げれば簡単に避けられる。
-
他の機体の場合、ダイターンはサンアタック、ボルテスは超電磁ボールといった相手の動きを止める技、ダンバインはハイパーオーラ斬りが対空・対地を即座に撃ち分ける手段を持つが、ダンクーガにそういった手段は無い。
-
コマンドが難しいものがある
-
スピリッツ技は基本的に波動拳コマンド等で出せるが、打撃系のコマンド等になると一般的なそれを近いものになるため、一気に難易度が上がる。
-
参戦作品やプレイアブルの問題
-
プレイアブル10機という数少ない参戦機体のうち、『Gガンダム』だけ3機参戦(シャイニング、マスター、デビル)しているアンバランスさ。参戦作品の中で当時最も支持を集めていた作品のため仕方ないとはいえ…。
-
加えて言うと、ストーリーの裏にスパロボ等と同様DG細胞を都合よく設定に利用しているからなのだが。
-
そもそもシャイニングが参戦しているのに石破天驚拳を搭載しているマスターやデビルガンダム最終形態搭乗のキョウジが出てくるという微妙に時系列のあっていない仕様。まるで小説版である。
-
仮にゴッドガンダムで登場した場合、ハイパーモード等の背中の背部のエネルギー発生装置による展開がモデリングに手間がかかる等の推測は出来る。
-
「レディーゴー!」などの掛け声も『Gガンダム』のストーリーテラーであるストーカーである。一応こちらは条件を満たすと林原めぐみ氏のものに変えられる。
-
一方でR-1とダンクーガ以外の機体BGMはOPのアレンジ曲だが、「FLYING IN THE SKY」等の主題歌は使われず、劇中曲で統一されたりと基準が謎。
総評
格闘ゲームとしては微妙な要素が多く、ヒーローロボット故のもっさり感もあり、対人ツールとしてもそれほど優秀とは言えない。
しかしキャラゲーとして破綻している部分は無く、自分の好きなロボットを自由に操れる快感は十分味わえる。
版権巨大ロボット同士の格闘ゲームというもの自体が珍しく、内容としても貴重である。
あくまでキャラゲーとして割り切ってガヤガヤと遊ぶタイプのゲームである。
その後の展開
-
『リアルロボッツファイナルアタック』(1998年1月8日)
-
本作同様に版権クロスオーバーによる巨大ロボット同士の対戦ゲーム。こちらは雰囲気としては『電脳戦機バーチャロン』に近い。『超機大戦SRX』も参戦している。
-
『スーパーヒーロー作戦』(1999年1月28日)
-
『超機大戦SRX』が参戦している版権クロスオーバーのRPG。本作の黒幕と同一人物と思しきキャラが登場し、本作のように時間移動機能を搭載したジュデッカをラスボスに与えた。
-
『スーパーロボット大戦α』(2000年4月25日)
-
レビ・トーラーとジュデッカが本家SLGに初参戦。本作の「エアロゲイター」という単語もバルマー帝国軍に対する呼称として組み込まれている。
-
また、後述するCMで使用された楽曲「鋼の魂」がSRXの戦闘BGMとして採用された。以降の作品でもこれが定着し、今となっては「鋼の魂=SRXのテーマソング」という認識の方が一般的かもしれない。
-
『スーパーロボット大戦 ORIGINAL GENERATION』(2002年11月22日)
-
『α』の物語をパンプレストオリジナルだけに再構成したドラマCD『スーパーロボット大戦α ORIGINAL STORY』の設定を更に再構成したGBA作品で、『α』と同様に参戦している。
-
また本作の攻略本に掲載されていた小説「スーパーロボットスピリッツ プレストーリー」に登場したカイ・キタムラも参戦、小説の「L5戦役」の設定も組み込まれている。
余談
-
本作のCMは専用のアニメーションが製作された。作画監督は佐野浩敏氏が担当、CMで流れる主題歌は作曲が渡辺宙明氏で歌唱が水木一郎氏と影山ヒロノブ氏というかなり豪華なもの。
-
デジタル作画で過去作のロボット達の戦闘が見られる貴重な機会であった。スパロボOGではなく版権ロボ同士の対決が作画されている。
-
ボルテスV対ダイターン3、T-LINKナックルとシャイニングフィンガーを激突させるR-1とシャイニング、ダンクーガの断空剣を白刃取りするマスターガンダムなどかなり熱い構図が見られる。
ちなみにアニメに登場していないダンバインとギャリアは対戦画面で僅かに出演している。
-
本作はスパロボのプロデューサーとして有名な寺田Pが本作も担当しているが、この10秒程度のアニメPVは寺田Pのあずかり知らぬところで話が進んでいたという。
-
「エアロゲイター」の名称は、『銀河漂流バイファム』の「アストロゲーター」が元ネタであることが『スーパーロボット大戦α攻略本 魂』で示唆されている。
-
本作発売時点では『ザブングル』のみスパロボ未参戦だったが、後に『α外伝』にてスパロボ参戦を成し遂げた。
-
2022年8月2日配信の「生スパロボチャンネル」では『新スーパーロボット大戦』実況時に提案された寺田Pと森住Pの2人による『スーパーロボットスピリッツ』実況プレイが実現。新スパに続いてストーリーモードを遊びつつツッコミを入れる内容となっている。ちなみに寺田Pの評価は「(シナリオの出来が)新スーパーとそんな変わんない…」、プレイヤーである森住Pは「意外と良く出来てる」とそれぞれ評価が分かれた。
最終更新:2024年06月24日 16:57