ロックマン ゼロ コレクション
| ジャンル | 横スクロールアクション(オムニバス) |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 開発元 | インティ・クリエイツ | 
| 発売元 | カプコン | 
| 発売日 | 2010年6月10日 | 
| 定価 | 3,991円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 廉価版 | NEW Best Price!2000 2011年4月21日/2,000円
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 赤き英雄の軌跡をこれ1本で 豊富なオプションで初心者から上級者までフォロー
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| ロックマンシリーズリンク | 
 
概要
ゲームボーイアドバンスで発売されたカプコンのアクションゲーム『ロックマン ゼロ』シリーズを一本のソフトにまとめたオムニバスタイトル。
各タイトルの評価については個別ページを参照のこと。
特徴
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イージーシナリオモード
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シリーズ全作を強化系サポートやパワーアップを最初から全開放にした状態でゲームを進める事が出来るモード。
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最強状態でシリーズ全作を通してプレイする関係で、本作からシリーズに触れるプレイヤーには適している。
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と、聞こえは良いのだが、本モードの実態は「シリーズ全作における「アルティメットモード」を一つにまとめた物」という旨の内容である。
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ただ、本作のイージーシナリオモード内のアルティメットモードは各タイトルの発売当時の物を忠実に再現しているのでは無く、改善点や新規追加された要素も存在する。(後述)
 
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セレクトモード
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シリーズ全タイトルを選択してプレイ出来るモード。
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収録されているタイトルの内容は基本的にオリジナルのベタ移植だが、改造カード(後述)など他のモードの影響を受ける物も存在する。
 
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コレクションモード
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ゲーム内のイラストや改造カードといった要素を閲覧する事が出来るモード。特定の条件を満たす事によって徐々に項目が増えていく。
 
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改造カード
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本作には『ゼロ3』の際に展開されていたトレーディングカードシリーズである『ロックマン ゼロ3改造カード』が電子版としてPart1、2共に全種類が収録されている。
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収録されているカードは『ゼロ3』の内容に変更を加える事が出来る「改造カード」とゲーム内のイベントで表示される一枚絵が描かれている「キャラクターカード」の2種類が存在。
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収録カードのうち改造カードは実際に『ゼロ3』で改造効果を使用する事が出来る。ちなみにいずれのカードもオプションでON/OFFが可能。
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本作ではイージーシナリオモードとセレクトモードの各タイトルをクリアする事によってカードが「コレクションモード」内で解禁されていく。全てのカードを解禁するには全タイトルのクリアが必要になる。
 
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オプション画面
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本作はボタン数が増えたニンテンドーDSでの発売に合わせてか、DSのX、Yボタンに他のボタンの役割を与える機能が新たに追加された。
 
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下画面
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本作の下画面の操作は本作のタイトルやポーズ画面といったメニュー関連程度に留まっている。
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プレイ中にはゼロの装備や遭遇したキャラクターに合わせて公式攻略ガイド等に掲載されたキャラクターのイラストが表示される様になっている。
 
評価点
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イージーシナリオモードについて
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『ゼロ1』におけるアルティメットモードは、オリジナル版の記事を見て分かるように出現条件が「これでもか!」というレベルで非常に厳しく、モード自体のプレイ経験のあるプレイヤーも条件が条件だけに非常に限られていた。
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だが、本作のイージーシナリオモードにおける『ゼロ』のアルティメットモードはゲーム冒頭で必ずプレイすることから初めて触れるまでのハードルが非常に低く、どのプレイヤーでも気軽にプレイ出来るようになったのは大変喜ばしい点ではある。
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当然ながらモード同様に入手条件が非常に厳しかった隠しサイバーエルフ「ジャクソン」もこのモードではあらかじめ使用済みという事になっている。このため、中々お目にかかれなかった「ジャクソン」の効果も簡単に見られるようになったのも喜ばしい点と言える。
 
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『ゼロ2』のアルティメットモードはオリジナル版ではそもそも存在していなかったのだが、イージーシナリオモードへの収録に伴い新規のアルティメットモードが制作された。
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『ゼロ2』のオリジナル版に存在する『アルティメットフォーム』は、存在こそアルティメットモードに相当するのだが、全てのエルフを使用した状態という事もあってか、常にリザルトの「エルフ」欄がマイナスの状態でプレイしなければならず、実質強制的に低ランクで進まなければならなかった。
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だが、イージーシナリオモードで登場した『ゼロ2』のアルティメットモードは従来作同様にエルフ減点無しという、文字通りの「最強状態」で進められることから、高ランク取得やEXスキルのコンプリートも楽勝だろう。
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厳密には原作における全開放状態を再現しているのだが、原作における全てのエルフを使用した状態であるのにもかかわらずリザルトの「エルフ」の項目の減点が行われていない事や、道中エルフ問わずサブタンクを全て所持している=体力回復系エルフに頼る必要が無い事から、他作のアルティメットモードと同様に常に最強状態のゼロをデフォルトで使用する事が出来るモードという事になっている。
 
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『ゼロ4』は原作のアルティメットモードの仕様に加えて、全てのパーツを所持済みかつ全強化チップ作成済みという状態でのスタートになる。
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加えて、特定アイテムとの交換で入手できるサブタンクも全て交換済みの状態でもある事から、イージーシナリオモードにおける『ゼロ4』は文字通り、真のアルティメットモードに進化したと言える。
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全チップ作成済みという点は、全ての作成レシピがゲーム内であらかじめ公開されているという事でもある。このため、オリジナル版ではほとんどノーヒントだった強化チップのレシピが、イージーシナリオモードを経て初めてゲーム内で全て明かされる事になった。
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勿論、セレクトモードでプレイ可能なオリジナル版『ゼロ4』ではイージーシナリオモードで公開されているレシピをメモってからの強化チップ開発、すなわちオリジナル版へのフィードバックも可能。また、イージーシナリオモードにおける『ゼロ4』は必然的に最後にプレイするため、『ゼロ4』のデータを保持している状態を維持出来るのは、セレクトモードへの移行に際する大きな助けになるだろう。
 
 
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セレクトモードは基本的にオリジナルの完全移植。
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これに加えて、ゲーム内の音声もDSというハードに合わせてクリアな物になっている。
 
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X、Yボタンへの操作配置割り当て
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本作はX、Yボタンに操作配置を割り当てることによって、『ゼクス』シリーズや他のDSで発売されたアクションゲームと遜色の無い快適な操作制を実現させる事が出来る。
 
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下画面について
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本作はGBAで発売されたゲームのオムニバス作品という事もあってか、基本的に上画面のみで進行し、下画面の操作はメニュー画面程度のみに留まるため、ゲームテンポが阻害されにくい作りとなっている。
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下画面で公式イラストが見られるようになっている点も、8ボス相当以外の中ボス類は原作ではゲーム内でイラストが見られる事が無かったので、ある意味では貴重な機会と言えるだろう。
 
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改造カードについて
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本作に収録されている改造カードは『ゼロ3』当時におけるメディア展開の一つとしての史料価値が大いにある。
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改造カードの全解禁はセレクトモードの全タイトルをクリアする必要があるのだが、改造カードを用いてゼロを最強まで強化したカタルシスはなかなかの物。同時にステータス強化は初心者でも高ランク取得への足がかりになるだろう。
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本作はバトルチップゲートとの連動機能が廃止された関係で、『ゼロ3』における各ミニゲームは非常に難解な条件を満たさないと出現させられなくなったのだが、改造カードによるプレイヤー強化を利用することによって、ミニゲームの出現条件を比較的容易に満たせられる様になったのは大変良い。
 
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『ゼロ3』当時における改造カードの効果を解除するにはパック内にランダムで封入されている「かいぞうしたものをすべてリセットする」という効果のカードを使わなければ効果を解除する事が出来なかった。だが、今作に収録されている改造カードは個別でONとOFFを切り替える事が出来る様になったことから、オリジナルから効果解除の煩わしさも解消されている。
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イラストカードに描かれているイラストは『ゼロ2』のギャラリーモードと被っている内容の物もあるものの、解禁条件が「イージーシナリオモードクリア」と非常に簡単という事もあってか、手軽にゲーム内の一枚絵を見られる様になったのは評価出来る。
 
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その他
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スタート+セレクト+L+R同時押しで使用できるソフトリセットではセレクトモードは各作品のタイトル画面に、イージーシナリオモードは本作のメインタイトル画面に飛ばされる仕様になっている。
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飛ばされる部分が部分だけに、セーブからのやり直しも非常に効きやすくプレイヤーに掛かる負担も少ないのが良い。
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ちなみにセレクトモードのタイトル画面でソフトリセットすると本作のメインタイトル画面に飛ばされる。
 
 
賛否両論点
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イージーシナリオモードにおける『ゼロ3』
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イージーシナリオモードに登場する各作品のアルティメットモードの多くでは手が加えられているのだが、『ゼロ3』のみ全く手が加えられていない。
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そもそもの話、『ゼロ3』のアルティメットモードはオリジナルの時点で既に完成されていたモードであったことから、移植の際に全く手を加えなかったことに関しては妥当と言うべき措置だろうか。
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ちなみにイージーシナリオモードの『ゼロ3』では改造カードの効果を使用した状態も反映されるが、これはイージーシナリオモードのみに限った話では無い。
 
 
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削除された機能の存在。
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『ゼロ2』は通信ケーブルを使って対戦プレイが出来たのだが、本作収録版ではバッサリとカットされてしまった。
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もっとも、『ゼロ2』における対戦プレイは原作の時点で不評意見が殆どだったという事もあってか、削除して黒歴史化したのは正解だったのかも知れない。
 
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また、本作はDSでの発売に伴い、『ゼロ3』に存在していたバトルチップゲートやロックマン エグゼ4といった外部との連動機能も廃止されている。
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中でもロックマン エグゼ4との連動を使用したサイバー空間の敵変化が再現されてないのは、人によっては残念に思う点ではある。
 
 
問題点
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イージーシナリオモードの問題点
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イージーシナリオモードは収録タイトル全てをぶっ通しでプレイする関係で、それぞれ個別にプレイする事が出来ない。
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『ゼロ1』ではOPデモとスタッフロール、『ゼロ2』ではOPデモがそれぞれスタートボタンでスキップできない。
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特に『ゼロ1』のOPデモは最初からプレイする際に必ず流れる上にシーン自体も非常に長い。
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加えて、このデモはイージーシナリオモードを最初からやり直す度に挿入されることから、周回プレイの際にいちいち見せられるため非常に面倒になりがち。数少ない原作からの改悪部分と言わざるを得ないだろう。
 
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イージーシナリオモードにおける『ゼロ4』のアルティメットモードは上述の通り真のアルティメットへの強化がなされているのだが、オリジナルで問題視されていたアニマル系エルフの同時発動に関しては据え置き。
 
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セレクトモードは良くも悪くもオリジナル準拠。
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セレクトモード収録のオリジナル版はいずれも原作のベタ移植である。
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このため、イベントスキップの機能が改善されていない、コマンドダッシュのオンオフの設定が『1』~『3』にない、『1』はセーブ数が3つと異様な少なさが目立つなど、ベタ移植すぎるせいで不便なところも存在する。
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セレクトモードでは『ゼロ1』のアルティメットモードや『ゼロ3』のミニゲームの出現条件が非常に厳しいのも原作と同様。
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イージーシナリオモードにおける『ゼロ2』のアルティメットモードや『ゼロ4』アルティメットモードにおける全パーツ所持も原作で実装されていないのも残念に思うプレイヤーが多い。
 
 
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プレイ画面が小さく見える
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というのも、本作のプレイ画面はGBAの物をほぼそのまま持ってきている関係でこうなってしまった模様。
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後に発売されたニンテンドー3DSのバージョンでは画面サイズが拡大している関係でDS当時と比較してゲーム画面が見やすくなっている。特にNEW 3DSで顕著。
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要するに(後発という事になったが)本作は3DSでのプレイには向いているゲームなのかも知れない。
 
 
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キーコンフィグについて
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今作のキーコンフィグにおけるデフォルトのボタン配置は原作と同様のため、DSでは非常に操作し辛いと言わざるを得ない。
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これを解消するにはキーコンフィグ変更とXYボタンへのボタン配置割り振りを上手く組み合わせる必要があるのだが、ほぼノーヒントであることからこれに気づかずデフォルトの配置で最後までクリアしてしまったプレイヤーも少なくは無い様子。
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また、『ゼロ3』『ゼロ4』収録のミニゲームではオリジナル同様にゲーム本編で設定したボタン配置が無効になってしまう。
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本作はXYボタンにボタン配置を割り当てるシステムが採用されているので、それが無効になると操作性も悪化。強制的にGBA基準のボタン配置でプレイしなければならない。
 
 
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下画面のイラストについて
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本作のプレイ画面ではシチュエーションに応じて下画面にキャラクターの公式イラストが表示されるのだが、そもそも『ゼロ4』はサブデザートコアやカルネージフォースゼロといった公式イラストが存在しないボスも多い。
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このため、これらのボスとの戦いにおける下画面ではバイルのイラストが表示される形式になっているのだが、下画面が特定のイラストに統一されてしまっては他の作品と比べて味気ない印象を抱きがち。
 
 
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その他システム面
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本作ではポーズ時に下画面をタッチすると各種メニューに移行する事が出来るのだが、タイトルに戻る項目はソフトリセットを使った方が非常に手っ取り早いことから形骸化していると言わざるを得ない。あくまでソフトリセットの方法を知らないビギナー向けの機能と言える。
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本作には『ゼロ3』当時に存在していた改造カードが全種類収録されているのだが、改造効果を全て解除する「かいぞうしたものをすべてリセットする」も存在する。
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だが、本作の改造カードは個別に効果のONとOFFを切り替えられる事から、同カードの効果はほとんど意味が無くなったと言わざるを得ない。
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また、この効果のカードは当時の再現として複数枚収録されているのだが、効果が全く同じかつ重複して発動が出来ないのならカードが複数枚存在する意義自体も薄い。
 
 
総評
GBAの傑作シリーズを一本のソフトにまとめた移植作品。
「原作からのベタ移植」という点や微妙に不便な操作方法の変更が気になるものの、
ただでさえ難しかったロクゼロシリーズにイージーシナリオモードや改造カードといった初心者への救済要素を加えた事によって、よりユーザーフレンドリーな作品へと仕上がったのは大変良いだろう。
下記にもあるように、現在はシリーズ全作+ゼクスシリーズ2作が収録された『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』が発売されているため存在意義自体はやや薄まっているものの、
「どうしてもロクゼロだけやりたい」という人にはおすすめできる1作と言える。
その後の展開
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本作からしばらくの間はロックマンシリーズのパッケージタイトルは発売されてなかったが、2016年に『ロックマン クラシックス コレクション』がリリースされた事を皮切りに再びロックマンシリーズのパッケージタイトルが発売される様になった。
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本作発売から約10年後の2020年2月27日にはSwitch/PS4/One/Steamにて『ロックマン ゼロ&ゼクス ダブルヒーローコレクション』が発売された。
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同作は本作の要素に加えてシリーズの流れを汲む『ゼクス』シリーズ2作が収録され、システム面の調整やZチェイサーやアシストセーブといった新システムの追加によって、実質的に本作の上位互換的な位置づけの作品になっている。
 
最終更新:2022年07月28日 11:30