ロックマン ゼロ4

【ろっくまん ぜろふぉー】

ジャンル アクション
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 128MbitROMカートリッジ
発売元 カプコン
開発元 インティ・クリエイツ
発売日 2005年4月21日
定価 4,990円
レーティング CERO:全年齢対象
配信 バーチャルコンソール
【WiiU】2015年6月3日/702円
判定 良作
ポイント ついにシリーズ完結
色濃い人間ドラマ
強化パーツが作成式に
キャラクターボイス超強化
あれ、でも四天王はどこへ?
ロックマンシリーズ


概要

ロックマン ゼロ』シリーズ第4作。
キャッチコピーは「そして、すべてがゼロになる。」
パッケージ裏に「ネオ・アルカディア編完結!」と書かれており、実質シリーズの最終作となった。


ストーリー

(Wikipediaより引用)

  • ゼロたちは荒野に散った人々やレプリロイドを助けるため、大型トレーラーで各地を転々としていた。
  • ある時ゼロたちは、レプリロイドの軍団に襲われているキャラバンに遭遇する。キャラバンを救ったゼロたちは、人間のジャーナリストである女性、ネージュに悪の科学者「ドクター・バイル」の手により変わり果てたネオ・アルカディアの現状を聞かされる。かつて人間の理想郷であったネオ・アルカディアは、ゼロによりリーダーであるコピーエックス*1を失い、バイルが全権を握っていた。人間を守るどころか、人間だろうがレプリロイドだろうがイレギュラーとみなされた物はすべて処分の対象となる…。
  • キャラバンの人間達は、バイルの支配から逃れるため、唯一の自然が残った場所である「エリア・ゼロ」にある人間の集落を目指していた。

新特徴

  • ロッド、シールドブーメランを廃止し、新武器…というよりも打撃攻撃の「ゼロナックル」及びそれによってシージングできる武器類が追加。
ゼロナックル
ゼロの手に埋め込まれたチップが本体である武器。格闘に近い為射程は短いが、殴り倒した敵の武装を一部奪い(シージング)、銃やミサイルを発射したり、剣や斧等で打撃攻撃をしたり、盾をそのままゼロの防御に使用したりできる。またシージングせずとも植物やスイッチを引っこ抜く等の芸当が可能で、チャージするとチャージセイバーと同じ威力になる。
  • 『3』のアンケート用紙には、「次回作はどんな武器を使いたいですか?」の項目があり、様々な要望を一度に採用するためにこの仕様になったと思われる。
  • 本作ではオープニングステージから全ての武器が使用可能であり、さながらゼロナックルのチュートルアル的な作りになっている。
  • チャージセイバーの威力が16(ボス8目盛り)から14(ボス7目盛り)に下方修正。
  • チップ開発
    • ザコ敵が一定確率でパーツ(そのザコ敵の名前が付いている)を落とすことがあり、そのパーツを組み合わせることでヘッド・ボディ・フットの各カスタマイズ用チップを作成するシステムに変更。
    • 一部チップはLv1~3まで存在し、レベルが高い方が必要パーツが多い代わりに性能が高い。
    • また、サイバーエルフの効果が変更(後述)されたこともあって、前作で登場したエルフ能力の多くがカスタマイズ用チップに変更。レベル制チップの存在も相まって、登場するチップは前作から大幅に増加する事になった。
    • 本作ではチップ以外のアイテムも作成が出来るのだが、それらは思わぬ使い道が……
  • ロープアクションが追加。空中にあるロープに十字ボタンの上を押すと掴まることができ、そこからジャンプしたり、掴まったまま攻撃したりできる(『X5』『X6』のようなスライド移動はできない)。
  • サイバーエルフについて
    • 今回は1体しか登場しないが、その1体がナース系・アニマル系・ハッカー系のあらゆる能力を引き出せるように改良された。
    • 各系統レベル1~7まで存在し、Eクリスタルを与えることでレベルを上げ、上げたレベルまで能力を付けることができる(最大は7×3=21)。
    • またゼロ側には「キャパシティ」という制限があり、エルフに付けた能力の数がキャパシティを超えるとリザルトが減点される。
    • キャパシティは8ステージをクリアするごとに1ずつ上がっていくので、ノーマルモードでの最高値は8となる。
      • ボディチップの「エルフ」を装備すると+1される為、9まで付けることが可能。
    • サイバーエルフを入手した直後に名前を付けるイベントがあるが、この際にアルエットが提案した名前を拒否すると他のレジスタンスメンバーからも名前を募集できる。
      • わずかながらゼロの能力に補正がかかるほか、付けた名前によって補正がかかるパラメータが異なるという隠し要素がある。
  • 難易度選択について
    • シリーズ初めてイージーモードが登場。天候(後述)が常に敵に不利なものになり、エルフのレベルが5までであれば自由に能力を付けることができる。
    • ハードモード、アルティメットモードは隠しコマンドではなくなり、タイトル画面で選択できるようになった。
      • ハードモードは前作同様、連続斬りとフルチャージが不可(ゼロナックルはチャージ可)、サイバーエルフ使用不可、また天候は常に敵の有利になるがEXスキルは手に入らない。
      • アルティメットモードはサイバーエルフが最高レベルまで成長されており、かつキャパシティの上限が無い、付けている能力より下位の能力も同時発動するというシステムに変更された(問題点を含んでいる為後述する)。
  • ウェザーチェンジングシステム
    • 8ステージではプレイヤーの任意で天候を変更でき、敵側の有利不利な状況が変化。
      敵に不利な天候を選ぶとステージや一部ボス戦の難易度が落ちる代わりにリザルトのウェザーレベルが0点になる。
      敵に有利な天候を選ぶと向かい風が吹いたり地面が滑る等の仕掛けが増えるが、EXスキルが手に入るようになる。
    • なお、8ステージ以外では天候変化の概念がなく、リザルトは常に10点保持となる。
  • 8大ボス「アインヘルヤル八闘士」
    • シリーズどころかロックマンシリーズ全体でも初となる女性型*2の8大ボス(ノービル・マンドラゴ、ソル・ティターニャン)が登場した*3
    • さらにノービル・マンドラゴは貴婦人口調、ソル・ティターニャンはギャル口調だったりと妙にキャラが濃い。
    • とはいえボスキャラなので、ゼロには容赦なく真っ二つにされる。
  • エレメントチップの廃止
    • 本作ではエレメントチップが廃止され、チャージ攻撃に属性が付かなくなった。属性はEXスキルおよびゼロナックルでシージングした武器に付く。
    • バスター系のEXスキルは、従来は装備したエレメントチップでEXスキルが変化したのに対し、本作ではEXスキルそのものを選んで装備する方式になった。
    • 前作でエレメントチップが位置していた「ボディ」の部位では「ライト」のチップも廃止され「アブソーバ」のみが残ったため、本作における「ボディ」部位の強化チップはほぼ総入れ替えということになった。
  • ミニゲームについて
    • 今回は全てゼロナックルorシージング武器を装備したゼロを操作するもので、全て出現させてハイスコアを更新するとさらに隠しミニゲームが解禁される。
  • データベース
    • 新たにタイトル画面のメニューから行けるようになったモード。
    • ゲーム中に出会った登場人物や敵が登録され、キャラクターの姿や説明文を自由に閲覧が出来る。
    • 要するに前作の「シークレットディスク」におけるキャラクター閲覧機能を独立させた様なモード。

評価点

世界観・キャラクター

  • 従来から大きく雰囲気を変えたこと。
    • 今回の拠点はレジスタンスベースそのものではなく、エリア・ゼロ近くに停車させたトレーラーとなり、シエルやセルヴォ等の主要メンバーは同席しているが、レジスタンスとしての登場人物は極端に少ない。
    • その代わり、従来ほぼ描写の無かった人間キャラが多数登場するようになり、今までの戦いは彼らにどんな影響を与えたのか、これからどうすればいいのか…と色々考えさせてくれる。
  • 人間キャラだけでなく、アインヘルヤル八闘士(8大ボス)を中間で束ねるクラフトのキャラ性も良質。
    • 何故バイルに仕えているのか、何が目的なのか、ゼロとの戦いが彼に何をもたらすのか…が丁寧に描かれており、専用BGMが2曲も(会話シーンでの「Kraft」、戦闘曲「Power Field」)用意されており、何より初見では非常に強い等、色々と優遇されている。
  • さらに強化されたボイス
    • オープニングのナレーション部分はネージュ役の後藤邑子氏によるフルボイス。さらにエンディングではシエル役の田中理恵氏が歌うテーマソング「Promise - Next New World -」が収録されている。
      • ただし容量の都合なのか、ナレーションは全体的に早口で、エンディングテーマの歌唱パートは歌い出し部分のみに限られている。
    • 八大ボスも個別に声優が演じているのはもちろん、初戦とボスラッシュで戦闘開始および撃破時の台詞が異なるなど、『3』よりもさらにパターンが豊富になっている。
    • ラスボスは戦闘時だけでなく会話の合間にもボイスが挟まれている。多いわけではないが、大塚周夫氏の熱演によって凄まじい貫禄を出している。
    • チャージセイバーのボイスが変更され、ゼロが「タァッ!」と叫ぶようになった。
      • その他ゼロナックルやロープでも積極的にボイスを発するようになり、従来より風間勇刀氏の声を聴ける機会が格段に増えた。
  • シエルの顔アイコンが「通常の表情」の他、「困った表情」も用意された。
    • ちなみにネージュは同様の表情に加え「微笑」「怒った表情」が存在する。
  • 『1』での名言「オレは悩まない。目の前に敵が現れたなら…叩き斬るまでだ!」がある場所で再現されており、非常に熱い展開となる。
    • 初代ロックマンから描写されていた「ロボットに課せられた一つのタブー」、Xシリーズからあった「イレギュラーの定義」の2つのテーマにも一石…どころか真正面から真っ二つ*4にしており、長らく続いてきたシリーズを区切るに相応しい展開も用意されている。

システム関連

  • 自由度の増したゲーム進行
    • 本家・Xシリーズのように、最初から8ステージを選択できるようになった。
      比較的「難易度の低いステージ・高めのステージ」がハッキリしており、経験の浅いプレイヤーも攻略しやすく、熟練プレイヤーはあえて難解なステージから挑む等のやり込みもできる。
    • 前作における強化チップは、ゲーム進行に応じて選択可能なステージが増える方式であった事やステージ内で取得する関係で「後半ステージになるほど強力なチップが手に入る」という方式だった。
      しかし、本作では(レシピを覚えていればの話になるが)ゲーム最初の段階からほとんどの強化チップを作成でき、8ステージを選択可能になったことも相まって、従来作以上に自由度と戦略性の高いゲーム進行が出来る。
      • 特に前作までは後半にならないと入手出来なかった「ダブルジャンプ」や「クイックチャージ」を最初から作れる様になった点や、全サブタンクを減点無しで作れるようになった点(後述)は大きく、上手くいけばゲーム前半の段階で最強装備を揃えられることも…
  • サイバーエルフのシステム変更による副次的効果
    • サブタンクが4つとも減点なしで入手できるようになった。
      本作のサブタンクのうち、2個は従来同様に特定ステージ内で入手。2個はレジスタンスメンバーのイロンデルからSクリスタルと交換してもらえる。
      全てのサブタンクが減点無しで入手出来る様になったことや、サイバーエルフの効果も変更されたことから、本作では高ランク狙いの場合でも体力にかなり余裕のあるプレーが出来る。
    • シリーズおなじみの「メットール」が普通にザコ敵として出現するため、エルフ非使用プレイヤーでも出会えるようになった。
    • コマンド攻撃のON/OFFが可能に。前作までのアルティメットモードではコマンド入力でチャージ攻撃を溜め無しで出せる反面、コマンド内容の関係でジャンプやダッシュ斬りの最中など、至る所でチャージ攻撃が暴発してしまう事があった。しかし、本作のコマンド攻撃はエルフ効果に変更されたため、従来作と比べてコマンド暴発の無い快適なプレーが可能に。
  • EXスキル周りの調整。
    • EXスキルがリザルトに関係なく、敵に有利な天候であれば確実に取得できるようになった。
      EXスキルは従来より「ゼロシリーズにおける特殊武器」という位置づけであったが、ほぼ確実に取得出来るようになったことや8大ボスのみに絞られた点、エレメントチップの廃止により、よりロックマン伝統の「特殊武器」という旨が強くなった。
    • 代わりに終盤のボスには「SA技」が設けられ、従来のようにゼロのレベルがAの以上の場合に特別な攻撃を繰り出してくる。
      本作では概要にもある通り、従来作における「フュージョン系」に当たるサイバーエルフが廃止されていることから、前作までで出来た「初心者がサイバーエルフの効果で1ステージだけボスの特殊攻撃を無理矢理見る」という行為が出来なくなっている。これに関連した「SA技」の存在は本作における「プレイヤー間の棲み分け」の象徴的存在と言えよう。
  • ミニゲーム解放条件の緩和
    • ミニゲームについて解放条件に前作のような理不尽な条件はなく、レベルSクリア等のある程度のやり込みができれば問題ない。
    • また、ミニゲーム中にスタートボタンでポーズ・中断ができるようになったのも地味にうれしい。
  • オプション画面でコマンドダッシュのON/OFFが可能に。
    • 従来のシリーズの移動時ではコマンド入力によってダッシュが暴発してしまう事があったが、オプション画面でコマンドダッシュをOFFにする事により、安定したステージ内移動が可能になった。

その他

  • BGMについて
    • サウンドトラックにて「雰囲気を変えたかった」とコメントしている通り、1曲(後述)を除いて、『1』からの通しの曲は存在しない。
      • 例えばボス戦の曲では、従来は主旋律が控えめでどちらかと言えば環境音に近かったが、今回の「Nothing Beats」はメロディ性が非常に重視されている等。
    • 今回は明確にテーマ曲を設定し、多方面にアレンジして使用しているのも特徴。その一つであるエリア・ゼロの「Esperanto」は前作の「Cannon Ball」と並んでシリーズ最高峰の名曲と称される。
    • 「1曲だけならいいと思って使ってしまった(笑)」として、「Clash」(『1』のボス~『2』『3』の中ボスBGM)を「Clash IV」として使用しているが、今までなかった前奏やメインメロディを取り付ける等、原曲の面影も残っていないほど大胆にアレンジされている

賛否両論点

  • 四天王やエックスは全く登場しない
    • エックスは前作のラストで消滅したかのような描写があった(真相自体は想像任せ)が、前作で行く末が語られなかった四天王の3人も顔すら見せることはない。
    • これについてはスタッフも「心残りだった」と話しており、四天王の行く末についてコメントしたことはあったが…
      • 『u-capcom』内でのインタビュー(現在はリンク切れ)では「彼らは人間を守るために別のどこかで戦っているのかも知れない」とする一方で、『オフィシャルコンプリートワークス』の誌面では「オメガの爆発からゼロを守って全員死亡した」と書かれている。
        …と、公式が全く相反する二つの回答を出したことに波紋が広がった。
        2012年に発行された書籍で「ネオ・アルカディアの公式記録では3人のその後の活動が記録されていないため 登録抹消(死亡扱い) となっているが、ネオ・アルカディアの監視が届かないどこかで 人間のために戦っている可能性も否定できない」と書かれており、一応これが最新の公式設定の様子。
      • 一応四天王の一人であったファントムの部下だったキャラがボスとして登場している事から四天王の存在が完全に無かった事にされている訳では無い。
  • エレメントチップ廃止の是非
    • 本作ではエレメントチップの廃止やEXスキル取得条件の緩和が施された。これにより無視されがちがったタイプのEXスキルも日の目を見る事になり、ロックマン伝統の「特殊武器でボスの弱点を突く」という攻略も可能になった。
    • 反面、本作では属性を各種武器に付加させる事が不可能になった事に伴い、従来作における基本の戦闘スタイルであった「属性を有効に活用しながら戦う」のなら、使い勝手の悪いEXスキルorシージング武器を使わざるを得なくなってしまった。
    • 弱点目的で使い勝手の悪い武器を使うのが嫌なのなら無属性の武器で戦うべきなのだが、今度はチップ作成のレシピが基本的にノーヒント(後述)である点が足を引っ張っている。結局本作の一部EXスキルorシージング武器での弱点を突く行為の場合は「やらされている」感が否めない。
  • ステージ探索について
    • 前作までのサイバーエルフやシークレットディスクといった収集アイテムは基本的にステージの至る所に散らばっていたが、データベースの自動登録機能や本作における各種パーツの入手仕様の関係で、本作ではステージ内で隠されているアイテムの種類が限られてしまった。
    • また、サブタンク以外のステージ探索のみで入手可能なアイテムも全てのステージで共通しているセラミカルチタン*5であるため、後期ロックマンシリーズにおける特色だった「ステージ探索の楽しさ」が大幅に薄れてしまった。
    • とはいえ、Eクリスタルといった消耗アイテムはステージ内の探索で比較的豊富に入手できるため、ステージ探索の魅力が無くなった訳ではない。

問題点

  • シージング武器の大半が微妙な性能
    • 誰しもが最強と言い切れるのはアクスロイドから奪う「メガアックス」。セイバーの3段目とほぼ同じ攻撃範囲で威力16(『3』までのチャージセイバーと同じ威力)の攻撃を連発でき、かつ使用回数無限、と全シージング武器の中で最も抜きん出た性能である。攻撃後のわずかな隙を差し引いても十分強く、アクスロイドが出現するステージではセイバーの代わりにするプレイヤーも多い。
    • しかし、その他ほとんどの武器については威力が低かったり、使用回数が少なかったり、独特すぎる挙動だったりして使いづらい。
      • ラスボス第一形態からシージングできる専用武器「デスピアス」は威力20と唯一メガアックスを上回るが、使用回数たったの1回。第二形態では使わなくなるので、やっぱりメガアックスを保持していた方が良い。割と強い武器なのに余りにも惜しい。
    • それ以外ではオープニングステージでのみシージング出来る「バーストボム」が、強いが微妙扱いされている。
      • 「弾数が3」「ボム軌道」と一見使いにくいが、火力が尋常ではなく、具体的には3発全部ボスに当てれば後は虫の息となるほど。
        火力面だけで最強の称号が確定しうるほどの性能を持つが、前述の通り使用できるのが「オープニングステージのみ」なのが最大の欠点であり、微妙扱いされる要因でもある。
    • シールドブーメランの代わりにシールド系シージングも存在するが、ブーメランとして投げることはできない(シージングを放棄する場合のみ投げられるが、それは「捨てる」と言った方が正しい)為あえてゼロナックルの攻撃手段を削ってまで装備する意味合いは薄い。
      • ブーメランとして投げる武器としてはジャイロアタッカーの「ジャイロブーメラン」が存在する。しかし投げた後のキャッチは自動ではなくゼロナックルをタイミングよく当てる必要があり、失敗するとブーメランがゼロを素通りしてなくなってしまう。
    • 最悪なのがビーネランの「ハイブボム」。ビーネランのように子バチを召喚するが、子バチはゼロに向かって攻撃してくるという完全な罠である。攻略本でも「全く役に立たない」という烙印を押されている。
    • 何よりも問題点と言えるのは、メガアックス以外ほとんどの場合において素のゼロナックルやセイバー、バスターに勝るものがないということ。
      • これにより、強化チップにおけるシージング武器強化の効果による恩恵をあまり受けられないのは否めない。
      • ただし攻撃力の下がるハードモードだったり、障害物を破壊する等の観点で局地的に使える武器が一部存在することは追記しておく。
  • パーツ制について
    • ゲーム中でチップの組み合わせのヒントをほとんど得られない為、高性能のチップについては攻略本かネット上でレシピを調べることになる。
    • また、ヒントの内容自体も「バリアントっていうテキのいっしゅ」やら「オレンジいろのボディをしたメカ」と非常に紛らわしい表現方法で、どの敵のパーツを使えば良いのかわかりづらい。
    • 本作は評価点にもあるとおりシリーズでも最も高い自由度を誇る作品ではあるのだが、チップ作成のヒントがほとんど無いことから、「レシピを知っているかどうか」と必ず付け加えなければならないのは否めない。
      • 後に発売された移植作では、イージーシナリオモードで全チップの作成方法を知る事が出来るので、ある意味では改善されているとも言える。
    • レベルがあるチップについては上位のものが下位のものの完全上位互換であり、必要なパーツもそれほど増えるわけではない為、LV1や2は作らずに3を作るのが圧倒的に効率が良く、わざわざレベルを分けてある意味が薄い。
    • 敵がパーツを落とすかは基本的にランダム。このため運が悪いとパーツを落とすまで延々と敵を倒し続けなければならない
      特に顕著に見られるのはミニゲーム「ハンマーハーベスト」の解禁条件の「1周目を1時間以内にクリア」。これについては時間短縮を目的として「ダブルジャンプ」や「クイックチャージ」といったチップの開発が必要になるのだが、パーツドロップの引きが悪いとクリアタイムにも直結してしまう。
  • 「一度クリアしたら二度と入れなくなってしまうエリア」の存在。
    • 本作にもミッションクリアすると二度と入れなくなるエリアが存在しているのだが、1、2つ程度だった過去作と比較して4カ所と多い。とりわけ問題視されているエリアは以下の2カ所。
    • 8ボスステージの一つ「深海」(テック・クラーケン)前半。ここに出現するザコの全般はパーツを落とすのだが、ミッションクリア後にステージを訪れると潜水艦内部からのスタートになってしまい、現在の周回では二度と同エリアに入れなくなってしまう。同エリアのザコは終盤ステージで再登場することが幸い。
      同エリアに登場するザコのパーツから作れるチップは、即死トゲを無効化しダメージに変換する「ストロンゲスト」氷の床でのスリップ効果を無効化する「スパイク タイプI」など優秀な物も揃っていることから、ミッションクリア後にこのエリアに入れなくなる点は非常に大きい。
    • 緊急ミッション「エリア・ゼロの集落」(クラフト)。このエリアに出現するザコの「ケロッシュ」のパーツは取り逃してしまうと、深海前半と同様に終盤戦まで出現を待たなければならない。作れるチップの性能自体はサイバーエルフで同様の効果が得られるのが幸いか。
      それ以上に問題視されているのがザコ敵の「モールロイド」。このザコの何が問題なのかというと「ゲーム全体でこのステージにしか登場しない」という点。要するに「ミッションクリア後に再びエリアを訪れてじっくりパーツを集める」という本作の基本戦術がこのザコに対しては無効。モールロイドのパーツを使う機会は少ないが、隠し要素解放には必要なのでミッション中に収集する必要がある。
  • 基本的にイベントはSTARTボタンで飛ばせるが、一部スキップできない箇所が存在する。
    • 一番分かりやすいのがラグナロク制御室。作中でトップクラスに長い会話であるにもかかわらずスキップ不可(最初にセーブするかどうか聞かれるためと考えられる)。
      高レベルを目指して失敗・リセットするとまた長々と会話を聞かされることになり、さながら『2』のラスボスのような面倒さになる。
  • イージーモードについて
    • ノーマルモードと比較して様々な救済措置が用意されているが、それらが充実しすぎていてゲーム性が崩壊してしまっている。
      • どれくらい簡単かというとステージはギミックを無視してバスターを連打しながら突進、ボスは至近距離でセイバーをひたすら振り回していればほとんどクリアできてしまうほど。
      • 初心者向けのモードではあるのだが、あまりの簡単さに逆に投げ出してしまいかねない。
      • 同時期に発売されていた『ロックマンX8』でもイージーモードがあり、様々な救済措置が用意されていたが、代わりにラスボスと戦えず真のエンディングは見られない制約があった。こちらでもそういった制約があればまだ良かったのだが…。
    • ステージのギミックが消滅している。
      • 大半は簡単になってはいるが生きた都市のブロック地帯は別、ダッシュ壁蹴りジャンプを知らないと詰む構成になっている。
  • ハードモードについて
    • 従来作と変わらず、ただゼロ自身の能力を制限されたモードでしかない。当然エルフも育成不可且つ使用不可。
    • ステージの天候がボスに有利な天候で固定の為、コールドスリープ施設ステージ特有の敵「プアエルフ」を倒せない。*6
      • 幸い倒さないと手に入らない「エルフ」のボディパーツを装備する意味が無いためコレクター要素以外に問題はない。
      • それでも接触ダメージのある完全無敵の雑魚敵というのは邪魔ではある。
      • 本作でアルティメットモードを出現させる条件は「パーツを全て所持+サイバーエルフをLv.7以上に育ててクリア」なのだが、ハードモードではプアエルフのパーツを回収出来ないこととサイバーエルフを育てられない関係でモードの出現条件を満たせない。同様にイージーモードでもエルフを育てられないことから、本作でのアルティメットモードはノーマルモードでしか出現させる事が出来なくなってしまった。
  • アルティメットモードについて
    • 前作までのような「アイテムを全部コンプしている」状態ではない。パーツ・チップは一つも無い。故にエリア・ゼロをクリアするまではノーマルモードとほとんど変わらない
      • そもそも、本作におけるアルティメットモードの出現条件の一つである「全てのパーツを所持している」という点も微妙に難しい条件である。というのも、前作までの出現条件だったサイバーエルフやシークレットディスクは未取得の物も含めて全種類がリストに表示される仕様だったのだが、本作におけるパーツリストは文字通り所持しているパーツのみが表示される形式なので前作までと比較して把握が難しい。
        一応、チップを全て作成していればレシピの中に未所持パーツが表示されるのだが、少なくとも本作発売当初ではゲーム内でチップの作成方法を知る手段が限られていたので、あまりうまみが無かった。
    • アニマル系の上位能力を発動させると、下位の「属性の弾を撃つ」が複数発動して弾幕を形成してしまうため、攻撃を邪魔されたりする。
      「弾幕の発動によって攻撃を邪魔されるのが嫌」なのなら下位レベルの能力のみを発動すれば良いのだが、今度は最上級クラスの能力が発動出来なくなってしまうのが痛い。
      • この点は地下樹海(ノービル・マンドラゴ)ステージで顕著に見られる。ステージ内ギミックの仕様の関係でステージ進行のテンポが大幅に崩れやすく、このステージのみ能力を解除して進んだ方が手っ取り早いと言われている。
    • プレイヤーからの不満が行き届いたのか、後述の移植作におけるイージーシナリオモードでは、アルティメットモードの要素+アイテム全作成済み及び強化チップ全て所持している状態からスタートする仕様に変更されている。
      また、アイテム全作成済み状態を利用することによって、ゼロ4本編のアルティメットモードの出現条件も容易に満たす事が出来るようになった。
  • Eクリスタルについて。
    • 本作でシステムが変更されたサイバーエルフは仕様の関係でノーマルモードでしか育成が出来ない。これに伴いエルフの育成に必要なEクリスタルもノーマル以外の難易度では意味の成さない只のコレクションアイテムに成り下がってしまった。
    • この点は後継作の『ゼクス』でも見られている。

総評

イマイチに終わった新システム、触れられなかった四天王との因縁、シリーズ最高傑作と名高い『ゼロ3』の続編……などの要因により、発売後はやや評価を落としてしまった作品。しかしゲーム全体は変わらず高水準にまとまっており、クライマックスを迎えた熱いストーリーもひとつの決着を見せている。シリーズ完結にふさわしい一作といえるだろう。

シリーズ完結を惜しむ声は未だに根強いが、ストーリー的に次回作の製作は絶望的であり、オフィシャル・ファン両方の見解としてゼロシリーズについてはこれで終わりとされている。


移植

  • DS『ロックマン ゼロ コレクション (2010年6月10日発売)
    • ゼロシリーズ『1』~『4』を一つにしたカップリング移植。
    • のちに廉価版が2011年4月21日に発売。

余談とその後の展開

  • 上記の通り四天王がスポイルされているにもかかわらず、四天王役の声優で唯一レヴィアタン役の今井由香氏だけがクレジットされているが、これは彼女がルージュ(オペレーター)も兼任している為である。
  • 本作のリマスターサウンドトラックCD『リマスタートラック ロックマン ゼロ ピュシス』には、前述のエンディングテーマのフルバージョンにあたる「Freesia」が収録されている。
    • 後述の『ダブルヒーローコレクション』発売に合わせ、田中理恵氏本人による「Freesia」の歌唱動画がYouTubeに投稿されている。→外部リンク
  • 翌年には、ニンテンドーDSで本作の続編である『ロックマンZX(ゼクス)』シリーズが発売された。
    • ダブルスロットによる連動要素として、DSに本ソフトを挿入したままプレイすると、本作のボスであるノービル・マンドラゴ、ペガソルタ・エクレール、フェンリー・ルナエッジ、ソル・ティターニャンと戦える。
      ただし、ティターニャンの熱波カーテンは存在しない。
  • 2014年8月20日、ロックマンシリーズのプロデューサーとして知られる稲船敬二氏とインティ・クリエイツが再び協力して開発した2Dアクションゲーム、『蒼き雷霆 ガンヴォルト』がニンテンドー3DSのDL専売ゲームとして発売された。
    • ロックマンシリーズと直接の関係はないが、主人公のイメージカラーが青、ボスを選択してステージに出発する、等明らかにロックマンを意識して作成されている。その一方で革新的なシステムも多数導入されており、単なるロックマンフォロワーに留まらない出来栄えとなっている。
    • システム的にはロックマン ゼロ・ゼクスを踏襲しており、特に諸事情により今後の新作発売が絶望的であるゼロシリーズファンから高い評価を受けている。
    • また、特に『ゼロ2』を意識したと思われる構図やイベントが存在し、ゼロシリーズをプレイ済であれば更に楽しめる。
  • 時系列設定は『ロックマン→ロックマンX→ロックマン ゼロ→ロックマンZX→ロックマンDASH』となっているらしい*7*8
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最終更新:2022年03月12日 14:47

*1 人間達にはコピーである旨が知らされていなかった。

*2 従来作にも「女性口調」のボスは存在したが、全て男性であった。

*3 ミッションの構成上『1』のレヴィアタンも8大ボスではあるが、立ち位置がやや異なる。

*4 「人間であることを笠に着てレプリロイドに服従を強要する」「人間、レプリロイドの区別なく虐殺や弾圧を繰り返す」「人工衛星を人間の居住地へ降下させ、さらに自分を殺さなければ降下を止められない状況に仕立ててゼロを挑発する」など、例えタブーを犯しても誰もが納得するであろう対象と状況ではあるが。

*5 「ボディ」部位のチップ作成に必須となる本作で登場したパーツの一つ。

*6 天候が「晴れ」の状態で光が射す場所までシージングした電灯で誘導することでのみ倒せる。ハード時は「雪」固定であり、倒す手段がなくなる。

*7 インティ・クリエイツのスタッフの独自解釈であるが。

*8 ロックマンX→ロックマンDASHという説も存在する。