聖剣伝説4

【せいけんでんせつふぉー】

ジャンル アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
メディア DVD-ROM 1枚
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2006年12月21日
定価 7,140円(税込)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 クソゲー
ポイント 2006年クソゲーオブザイヤー次点
クソゲーすぎる、どうなってんだ…?
従来作を無視した不親切で高難易度のシステム
薄い電波で超展開という三重苦のシナリオ
凄まじい3D酔い
ひたすら報われない主人公
悪役の極悪非道ばかりが目立つ胸糞展開
世界観とムービーシーンは好評
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧
聖剣伝説シリーズ


概要

『聖剣伝説』ナンバリングタイトルの4作目。ナンバリングタイトルとしては前作『聖剣伝説3』から実に11年振りの新作であり、同時に完全版・アップデート版・マルチプラットフォームを除くと本作がスクウェア・エニックスから発売されたPS2最後のタイトルとなる。
ストーリーテーマは「原点回帰」。シリーズ初の3D化・ボイス付き作品でもある。

シリーズの生み親で知られる石井浩一氏がディレクターを務め、『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』のキャラクターデザインに携わった池田奈緒や同作の背景美術に携わった高橋一彦と『クロノ・クロス』や『ファイナルファンタジーXI』に携わった当時の『スクウェアエニックス第3開発スタジオ』の開発陣が中心となっている。

それまでSFC時代のドット絵の印象が強かったシリーズだったが、突如PS2末期の高レベルグラフィック&フルボイス化と言う変化を遂げ懐古色の強かったシリーズのイメージを大きく変える事になる。
「PS2最高水準のグラフィック」と「Havok社の物理計算エンジンによるオブジェクト『MONO』の滑らかな挙動」がセールスポイントとして前面に打ち出されていたが、本作は結果として聖剣伝説シリーズの商品展開に多大な影響を及ぼす事になってしまった。


ゲームシステムの特徴

  • 過去作にあったマップ間を跨いだ移動が廃止され、本編は序章含む全9章+チャレンジアリーナと言う実質上のフリーバトルで構成される。本編の章立てが過去作で言うメインシナリオに該当し、幕間に挿入されるムービーを見ながらアクションステージを攻略する事となる。
  • 主人公エルディは、序章から1章の前半までは特殊な能力等は一切持たない村人として扱われ、武器も「序章の森で拾った木の棒」と言うぞんざいな装備しかない。
    • しかし1章中盤で謎の精霊フィーと出会ったことをきっかけとして右腕に謎のツタが寄生し、射撃能力を持つパチンコ・ツタから発生した剣・ツタで相手を拘束するムチの三つが攻撃手段として追加される。
    • ステータスは過去作と同じく体力・攻撃力・MP・防御力の四種類。このうち前の三つは敵をパニック状態(RPGで言うスタンに該当)にする事でメダルを入手してパワーアップできる。さらに攻撃力とMPがそれぞれ一定の値に達すると「ツタレベル」と「魔法レベル」がそれぞれ上昇し、前者は攻撃回数が上昇してムチで拘束出来る対象が幅広くなり、後者は使用できる魔法が多くなる等の拡張要素がある。
    • 上記に加えてパチンコ(ムチの伸縮性を生かした射撃能力)による投擲が攻撃手段として利用可能。ステージの至る所に隠されている「精霊を入手」する事で、特殊能力を持った弾を撃つことができる。
  • 1つの章につき、高低差に富んだ3Dマップを突破しながら章のボスを倒す事が目的となる。
    • 各章は5つ程のエリアで区分されており、エリア間には必ず途中経過を保存するセーブポイント「マナの苗」が配置されている。
  • チャプター間のステータスの持越しは後述の「エンブレム」を装備しないと全てリセットされ、一から育成し直しとなる。
    • エンブレムは特定条件を満たすか各難易度クリア後に通常メニューから開ける「ショップ」で段階的に入荷され、前者は高額な料金を払わずに入手できるメリットがある。
    • ただし条件を達成するのは非常に困難。後者は高額であるが、地道にルク(お金)を貯れば入手可能である。入手できる金額は難易度ごとによって異なる。

問題点

シナリオ関連

  • 本作はシナリオの展開が全体的に雑で必要最低限のあらすじと大雑把な状況しか明かされないため、プレイヤーが置いてけぼりになってしまっている。特に感情移入を誘うための「主人公達の村からの旅立ち」や「赤の他人だった人物と交流を経て仲間として引き入れる展開」や「知らない土地にたどり着く達成感」等の描写は皆無。壮大なストーリーにしようとした節はあるのだが、人物・世界観を説明する描写やシナリオの絶対量が圧倒的に不足している。
    • その元凶は、ストーリーの大半を各ステージ終了時で流れるムービーのみで描写していることにある。ムービーで省略した部分/用語説明は一枚絵とナレーションだけで手短に済ますという構成であり、村人との会話も基本的に存在しない(一応、一部の章ではモブキャラとの会話が存在している)。そのため壮大な物語をダイジェストで見せられている感じがあり、旅の目的がよく分からないままに意表を突いた超展開が続くのを見ていく羽目になる。言うなればゼノギアスのノベルパートが全編に渡り展開されていると言えば分かりやすいだろう。
    • 公式のアートワークを見ると本作の世界観が初期三作の様な簡素な物ではなく『LOM』の様な人間だけでは無く獣人や奇妙な生き物も共存する世界だと言う事が分かるのだが、彼らの姿を確認出来るのは5章のみ。舞台となる6大大陸もジャドとイルージャの一部分しか歩く事が出来ず、他の4大陸は説明のみで全くと言って良いほど触れられない
    • 一応、解体新書に書かれている設定資料を読むとトップルは水源に溢れた国、ロリマーはストラウドが治める極寒の国、ウェンデルはニキータの王が治める富裕国、イシュは火山が発達した工業国だと言う事が分かる。しかし設定だけ見るとどれもこれもRPGのテンプレでしかないうえ、ゲーム中では断片的にしか描写されないため世界観の全容を窺い知ることはできない。
    • 作中では世界全体を巻き込んだ大戦が勃発したせいで各国の主要都市が壊滅したという設定の為わざわざ出す必要が無かったとも取れるが、やはり6大陸中2大陸のみの実装は不自然であり、幾ら3Dが美麗でもこれでは手抜きと思われても仕方がなく、どうにも未完成感が漂う。
  • 全体的に描写不足ではあるものの、何度もプレイしてムービーパートの視聴機能を解禁していけば登場人物の心情や物語が徐々に理解できるようにはなってくる。しかし理解できたらできたで俗に言う「後味の良くない展開」と言う事が分かってしまう。
+ 大まかな粗筋と問題点(ネタバレ及び倫理的に問題があるために格納)
  • 本作の世界は、シリーズの象徴であるマナの女神が存在しない所から物語が始まる。過去作との繋がりの無い独自の時系列に位置し、『先代の勇者と巫女が魔界と現世を繫ぐ大樹の暴走を封印する為に大樹そのものを石化し、事態を鎮めた後の世界』と言う独自の設定を持つ。その為、本作における大樹の役割とは2つの世界を繋ぐゲートに近いものである。
    • 一方、公式で「原点回帰」と称しているためエンディングのみ他のシリーズとの繋がりを示唆するシーンがあるのだが、詳しい設定は明かされていない。
      • 精霊達の会話から察するに『初代』に繋がる物語とも解釈出来ない訳でも無いが、未来文明が崩壊した後の世界の『2』とも邪悪な神獣をマナの女神が打ち倒した後の世界の『3』とも繋がらないので、公式で宣伝されていた『聖剣伝説はじまりの物語』のキャッチコピーと食い違う事になってしまう。
      • ゲームシステムとして見ても1作ごとにゲームシステムが毎回異なる為に非ナンバリングとの境界線が薄いのでわざわざ本作にナンバリングを付ける必要性は何処にも無い。SFC時代の2作のファンを購入させる為の恐らく販売側の戦略だと思われるが、これではタイトル詐称としか言いようがない。
  • 発売当初は『3』の続編を期待して購入したファンも数多く存在したのだが如何せんナンバリング過去作との繋がりがない別の世界と登場人物逹の物語だったため、落胆した者からは批判を呼ぶ結果となった。
    • 世界観一新そのものは長期に渡ったシリーズにはまああることとは言え4の世界観は魅力に欠けており、さらに刷新された登場人物達も『2』や『3』の主人公達と比べるといまいちなキャラクターが多い。『終止つまらない他人事をダラダラ聞かされる』と言う批判意見が多く、世界観も暗く閉塞的な為に人によっては気分が悪くなる事もある。
      • 上記の様にストーリーに対する批判が集まった要因を考えるとするならば、過去作ならば陰鬱な世界観であっても人の意思の強さを感じさせる描写に魅力を感じるファンは多く存在したが、本作の場合、過去作にあまり無かったジャパニーズホラー要素を取り入れた『憑き物落とし』が根底にあるので不快感を催す要因となったのだろうと思われる。
      • つまり魅力を感じない人間達が呪縛から解放された大樹によって終始地獄を味わうと言う悪く言えば品の無く、肯定感が全くないストーリーに誰も共感出来る訳がないとしか言いようが無い。 勿論、大樹自体が悪の根源では無く呪縛から開放させたストラウドが一番の巨悪だと言えるが、折角のシリーズ初のフル3D作品なのに聖剣伝説でやる必要が全く無いジャパニーズホラー要素を3Dとして反映させても単なる開発側の自己満足でしかない。 どうしてこうなった……
    • 本作は4の発売より半年程先駆けて出た『CoM』の前日譚と言う位置付けなのだが、一部の登場人物を除いては死亡または行方不明となっているため実質的な続投は無い。言うなれば大抵の登場人物は本作をもって戦死していると言う事である。
  • 本作の悪役である氷の国ロリマーの王ストラウドの主な目的は「聖剣と大樹の巫女リチアの闇に染まった力を利用することで二つの世界を繋ぐ大樹の力を解放し、魔界に滞留する邪悪な精霊タナトスの力を現世に拡散させて世界を支配しようとする」というもの。それに対抗して大樹に体を乗っ取られたエルディは故郷のイルージャ島を侵略したストラウドに反旗を翻しつつ、魔界化の惨状の中で行方不明になったリチアを助け出すため奔走することになる。
    • 本作では主人公の活躍よりも悪役サイドの蛮行、愚行の方が目立っている。エルディとリチアは敵であるストラウドの所業に押し潰される悲劇の主人公とヒロインと言う位置付けで、全編に渡って予測不可能な重く救われないストーリーが展開される。
    • ストーリー中では悪役であるはずのストラウドが異様なまでに贔屓されており、メインシナリオの半分以上は彼の出番と言っても差し支えないほどの優遇ぶり。しかし『FF7』のセフィロスの様な濃い人間性がある訳でも無く、彼のやることは無慈悲な民間人の殺戮でしかない為に、胸糞展開が続くばかりで全く好感が持てない。
    • 彼がなぜそのような残虐非道な王になってしまったのかという背景は作中では一切説明されない。彼が行う殺戮についてはただ「悪ければ良い」程度の認識でしか描かれておらず、まるで殺人を肯定するかのような描写には倫理感を疑いたくなる。一応、ダークファンタジー色が強かった過去作の流れを継いだ展開とも思われるが本作の場合はただ不快感を煽るものでしかない。
    • ストラウドが欲しているタナトスの力は現世の人間達にとっては極めて有害なものであり、生き物が彼らに憑依されると不老の妖魔へと変貌してしまう。
      • 「不老にしてくれる精霊」と書くと字面的に善良な存在に見えるが、前述の通り憑依されると百害あって一利なしの言葉通りに肉体ごと彼らに寄生されてしまうので、出来の悪いゾンビ映画を見ている様で非常に気分が悪くなってしまう。当然の事だが、作中では元の姿に戻す様なご都合的な解毒法等は存在せず、 殺す以外に解決策は存在しない。 恐らく開発側が未完成だった本作を納品まで強制的に漕ぎつける為に生み出したアイディアだと思われるが、こちら側にとっては絶望的な事態をただただ押し付けられるだけである。
      • ゲーム中ではタナトスに寄生された者の名前を『 タナトス○○(○○内には犠牲者の名前が入る) 』と言うあまりにも直球なネーミングで表記され、ラビやマイコニド等のシリーズの定番のキャラが醜く変貌してしまうのはファンであるほど心を抉られてしまう。 どうあがいたって絶望しかないのだ。
  • 物語後半、現世と魔界が一体化した事により多くの人間が殺され世界が地獄の惨状と化す中、エルディはようやくリチアと再会する事になる。しかしリチアは世界を元に戻す事は不可能だと告げて「ストラウドを討ち倒し、魔界化した世界を自分と共に統治する」事を提案する。これに対しエルディは真っ向から拒否するのだが、以降リチアとは敵対関係になり、かつての恋人さえも殺害対象となってしまう。
    • 実はこの時点でリチアの体は千年前の大樹の巫女であるアニスに支配されており上記の提案も彼女の本心からのものではない。だが主人公とヒロインが完全に敵対してしまうというのはプレイヤー置いてけぼりの超展開でしかないだろう。
  • 最終章では唐突にリチアの体を完全に乗っ取ったアニスとストラウドが殺し合いを初め、ストラウドが聖剣でアニスを刺し殺す。その惨状を目撃したエルディはついにストラウドと決着を付ける事になるのだが…。
    • なぜかストラウドが息絶えた後にアニスが復活する。彼女の復活については全く説明がなく首を傾げる展開でしかない。そしてこれまた唐突に襲い掛かってきたアニスを倒すとエンディングに突入。
    • エンディング中、エルディは死後の世界でアニスから分離したリチアを救い出そうとするのだが、フィーから助からない事を告げられる代わりに「精霊の子であるフィーとリチアとエルディに寄生した大樹の種子を融合させてマナの女神を生み出し、世界を元の状態に戻す」と言う衝撃の事実を告げられる。そして、種子を解放し一般人に戻ったエルディだけを取り残してマナの女神が誕生。さらに女神が聖剣を生み出す。
      • エンディングムービー自体はファン感涙の屈指の表現力だが、今まで散々残酷な展開をやってきた末の世界の救済だと言う事を考えると強引さは否めず、美麗ムービーでマナの女神が誕生するシーンは笑いさえ誘うシュールさがある。やはり世界を滅亡させる終わり方は不味かったせいか、無理に愛の力で全部解決した感が強い。恐らく全てが浄化された事により魔界の扉は完全に閉じ、タナトスも消滅したのだろう。
    • ちなみにスタッフロールはフェルトアニメーションによる精霊たちが元に戻った世界を風の様に駆け巡る穏やかな映像と言う力の入れようである。制作したのは本作のモンスターデザインを担当した吉岡愛理氏。彼女曰く『物語の少しもの悲しい結末を和らげたいと言う理由で発案しました』との思いでのフェルト制作らしいが、 聖剣ブランドを崩壊させた憤りや、本編の陰鬱さなんでどうでも良くなる位の穏やかさである。 その上、映像としての完成度は無駄に高い。
    • そして、スタッフロールが終わると後日談のムービーが始まり、世界が元に戻った事をエルディが知ると同時に今まで自身が経験してきた残酷な戦争体験を振り返り、村を後にして行方不明となるという結末を迎える事になる。一応最後に挿入されるムービーで彼は自身の経験に後悔をしていないという事が明かされるのだが、 これでは後味の悪く感じるバットエンドでしかない
    • 『大樹の意思によって自分の意思とは関係無しに戦争に駆り出された少年が壮絶な殺し合いを経験し、戦争が終結した時には全てを失った』と言う結末は非常に報われない上に、彼のその後の行方を補完する資料は何処にも載っていないのは残酷極まりないものである。一応、後年に出版された設定資料集の石井氏のインタビューでは『リチアとフィーを失った喪失感からダークサイドに堕ちた……かもしれません』とあまりにも投げやりな回答を下している。 やはり兄貴似なのか
  • 展開自体はオリジナリティに溢れているものの描写不足感や唐突感は否めず、プレイヤー自身が物語を繋ぎ合わせていかないとストーリーの全体像を把握できない。そのため本作のシナリオを「馴染めない、理解が追いつかない」など低評価を下す人、さらには『電波』と酷評する声も少なくは無い。
    • もう少し補足するとカタルシスを得られる様な王道的なストーリーでは無い為、互いの歪んだ信念をぶつけ合ってかつての友と殺しあう『LoM』のエスカデ編や他社作品で言う 『俺は悪くねぇ』で有名な 本作と同じく戦争の無慈悲さを描いた『テイルズ オブ ジ アビス』に近いと言える。また、中盤で起こる大災厄の影響で現世と魔界が一体化した事が原因で作中で大量の人物が亡くなると言う鬱展開に突入し、死者の数はシリーズでも屈指の多さである。

省略され過ぎたゲームパート

  • 開発側の都合で実装を見送られたと思わしき部分が数多く存在し、下記の通り徹底的に省略されている部分が多い。
    • 島に侵略してきた軍隊を撃退するために「守護聖獣」の助けを借りに行く章において、道中はアクションゲームとして操作するのだが、軍隊を追い払う部分、村を救って勇者として認められるシーン、一斉蜂起して戦争に発展するシーンはあっさりと1枚絵とテキストで済まされている。
    • ストーリー全体としてはは多くのキャラクターが登場しながら変化していく世界の情勢を見守るつくりなのだが、主人公サイドは一人で延々とダンジョンを攻略するのみのため、彼らと接点が無い完全に蚊帳の外状態で最後まで戦うはめになる。
+ 以下、登場人物についての問題点(ネタバレ注意につき格納。)
  • エルディについて
    • 『2』の主人公ランディや『3』の6人の主人公に代わる新たな主人公。ヒロインであるリチアと友達以上恋人未満の関係を持つ樹の民の少年であり、声を演じる柿原氏の演技あってハキハキと喋る明るい性格である事が分かる。物語の序盤でロリマ―軍がイルージャに侵略し、守護聖獣の力を借りる為に大樹の祠にリチアと2人で向かう事になるが、祠の片隅に落ちていた大樹の種子を気紛れで拾った事で大樹の戦士に選ばれ、ロリマー軍との戦争に身を投じると言うあまりにも不自然なシチュエーションで本作の主人公を務める事となる。恐らく大樹が取った防衛手段だと思われるが、このシチュエーションを真に受けるのならば「大樹が理由も無く村の少年を誘拐し、自分を悪用する軍隊を退ける為に戦闘用の戦士に改造する」と言うトンデモ設定である。その為、主人公に抜擢される理由付けが無いに等しく、その後大樹から生み出された精霊フィーと偶然出会い、彼女に懐かれたお陰で間接的に魔法の力が使える様になると言う何の説明も無いご都合展開に突入する。会ったばかりの幼女に好かれた上に魔法の力が使えるようになる言うのはある意味羨ましい事であるが……。しかし、その代償で否応が無く戦争に参加させられる事になり、彼もまた殺し合いの現実に苦悩しながら一人の少年として成長していく事なる。
    • 彼の目的の大前提として行方不明になったリチアを助け出す事は明確だが、親友のレキウス同様に戦争を終わらせ魔界化した世界を元に戻したいと言う願望を兼ね備えており、世界を救いたいのかリチアを救いたいのか目的がはっきりせずに物語が進むので、目的意識が薄く何がやりたいのかが分からないまま戦争に参加している感は否めない。一応、作中のムービーから察するとリチアを助け出し世界も元に戻したかったと言う戦争に身を投じるものとしては平凡な願いだっただと言う事が分かるが、動機が二重になっているので非常に分かり辛い物である。
      • 序盤は降りかかる現状に対して恐怖を感じるだけだったが、戦争に身を投じる事で性格も理性的になる。しかし、依然として殺し合いの現実に苦悩している事には変わりなく、彼の一人の人間としての苦悩は非常に重い物となっている。行方不明となったリチアを助け出す事が目的だが、彼女に対しての感情は人一倍強いものとなっており、また、フィーに対してもリチアに対する感情とは異なる妹を思いやるかのような感情を持っている事から根は誠実だと言う事が分かる。
      • 上記の通り作中通して彼の成長は描けているが、主人公に抜擢される理由付けが今一つ薄いせいで愛着の沸き辛い物となっている事が問題点と言える。
  • リチアについて
    • 本作のヒロインの一人である大樹の巫女の少女。作中では強い霊感を持ち、あの世の者の声が聞こえると言う明らかに『アレ』な特殊能力を持つ。1章のラストで魔界に捕えられたアニスの声を聞いてしまい、彼女に憑依されてからは意識が朦朧として廃人となってしまうと言う残酷な運命を辿る事となる。その影響でストラウドが欲している魔界の扉を開く力を身に着ける事が出来たが、危険人物故にロリマー軍に監禁されたりする等作中の扱いは散々で、特定のダンジョンで共に行動する仲間になるが、近づくと会話があるのみであり従来作の様に戦闘に参加する様な事はせずに、何か攻略に役立つ事をしてくれるわけではない。そもそも彼女は霊感がある以外は一般人でしかなく、公式でメインキャラと釘打たれていてもゲーム中ではRPGの村人レベルの存在感しかない不自然極まり無い扱いなのは確かである。前述の通り突然離脱する中盤以降、分かりにくい立ち位置かつ電波状態な発言が目立つことも相まって人気がない。また、4章のラストでは急に意識を取り戻したと思えば、船の砲撃でエルディを爆殺しようとするストラウドに対して『お願い、もうやめて!』とあまりにも単刀直入過ぎる嘆きを喚いて泣き崩れると言う、主役にしては情けない姿を見せるなど(言っている事は間違いではないが)あまりにも恥ずかしい一面を見せる。そう言った点では『LOM』の真珠姫に近く、恐らく「特殊な能力を持った故の悲劇のヒロイン」と言う位置付けだと思われる。
      • 上記の事から扱いが散々なヒロインだと思われがちだが、「お淑やかな少女が悪霊に憑依されたせいで身体の自由を奪われ皮肉にも利用されてしまった」と言う不運な末路を辿っただけで彼女に罪は無いと言える。ちなみに、廃人となった彼女が意識が朦朧として体の自由が奪われるシーンは非常に不気味。一応、容姿だけは高評価であり、見た目はヒロインらしく可愛らしい姿をしている。
  • ストラウドについて
    • ロリマ―国の若き王にして本作の最大の胸糞要員。作中では強大な軍事力でイルージャを侵略し、石化した大樹の封印を解いてタナトスの力で天下を統一しようとするのが目的だが、その為には戦争勃発させる事も厭わないある意味豪快な性格であり、序盤において先代の勇者が振るっていたとされる聖剣を手に入れた事で更なる強大な力を手に入れる事になる。命の重さに重点を置いた聖剣シリーズの登場人物にしては類を見ない位の人格破綻っぷりであり、ポジション的には『初代』のシャドウナイトを思わせるが、最終的に純粋な悪役ではなかった事が判明したシャドウナイトとは違い、最初から最後までドス黒い悪役でしか無かった。悪役であるが、作中で唯一自らの意思を貫き通した人物であり、人々の憎悪に押しつぶされて心身共に疲弊していったエルディとは違い、彼は何万人の人間を殺しても快楽としか感じない位の危険な人間であることが分かる。
      • 中盤の大規模鬱イベントを経て魔界の扉を開く事に成功し、望み通り天下を統一する悲願を達成する事になるが、同時に 『3』のクラスチェンジを彷彿させる ロリマーの王から冥王へとクラスチェンジすると言う本人にとっては絶好の展開を迎える事になる。しかし、絶頂の展開を迎えたせいか中盤辺りから徐々に存在が薄くなり、最終章の中盤に置いて似ても似つかないFFシリーズの様な召喚獣に姿を変貌させ、唐突にエルディと決着を付けると言う中ボスの様な扱いまでに降格されられる事になる。エルディに討たれた後も一切の心境の変化も見せずに、死ぬ間際に不気味な高笑いを発しながら死んでいくと言う杜撰な最後を見せる事になり、苦労して撃破しても特に得られる達成感は無く、それ以降は完全に忘れ去られた存在となる。作中最大の討つべき主要ボスが只のボスモンスターに成り下がり、戦いに勝利しても何も解決しなかったと言うのは如何なものか……。
      • このテの最期を迎える敵は少なからず居るが、それまで主人公側の思想などとの衝突や対比、十分な深掘りを行った上で「主人公達とは絶対に相容れない思想を貫き通した」という表明で行う事で登場人物やプレイヤーへのカタルシスを煽る事で存在感を発揮するが、彼にそういった要素とはことごとく無縁であり、やりたい放題悪行三昧ばかりで人物としての魅力が無いのに全く報いを感じる事なく一片の悔いも無しといわんばかりに退場する為、寧ろ「醜悪な悪役に本懐を遂げさせてしまった」という不快しかない。
      • 上記の問題点から彼のゲーム中での役割はストーリーの進行を延滞させるだけ役にしか過ぎず、中盤以降、存在意義を失えば後は御払い箱と言うあまりにも杜撰な扱いだったと言う事が分かる。どうにも開発側の都合で無理に差し込まれた悪役と言う感じが強いが、魅力が無いと言えどもここまで人の醜さを体現した悪役も中々居ないであろう。
    • 序盤において、エルディとの関係を示唆するシーンがあったが、終盤でエルディの実兄と言う事が明かされる。彼曰く「赤ん坊の時に海に捨てた筈なのに何故生きてたんだ」としか発言せずにそれ以降は全く触れられていない投げっ放しである。一応、本作の攻略本である解体新書では彼の少年時代について明かされ、謎の変死を遂げた先代ロリマーの王に代わり8歳で即位し、15歳の成人式の時に民衆の前で披露する舞台劇では、演技を通り越して実際に兵士を殺害する等相変わらずのサイコパスであった事が明かされる。ゲーム中で語られなかったエルディとの関係も先代ロリマー王と第二夫人の間に生まれた腹違いの弟と言う事実が明かされ、エルディを海に捨てた理由も『嫉妬に駆られたから』言う失笑モノな理由だったことが明かされている。
  • フィーについて
    • 大樹から生み出された精霊であり、リチアと並ぶ本作の第二のヒロイン。作中では誕生した際にエルディに懐き、魔力を供給する事でエルディが魔法の力を使える事になるが、ゲーム中のみの活躍であり、話に関わる事は余りなく言わば脇役の様な存在でしかない。そのせいか作中では数少ない「明るい」と言える性格であり、戦争によって疲弊するエルディを慰めたりするなど序盤早々廃人となってしまったリチアと比べるとヒロインらしい役割を果たしていると言える。彼女に対しての問題点は他のキャラに比べると極僅かだが、それ故存在感は希薄なのが問題なのだろうか。
  • レキウスについて
    • エルディとリチアの幼馴染であるイルージャの防衛隊「守人」の若き隊長。言うなれば大樹を防衛する緑色M字前髪のイケメン隊長であり、容姿の恰好良さだけ見るとエルディとリチアに並ぶ三人目の主人公に見えなくもないが、彼の姿が確認出来るのはゲームパートではなく序盤のムービのみ。作中では守人として先陣切ってロリマー軍と交戦する姿が見られるが、16歳にして隊長に就任しただけあって実力は伊達ではなく、何処かの仮想現実映画の様なスローモーションで回転する弓矢を放ちながらゴーレム兵を3体纏めて貫通させると言う 面白 技を見せる。しかし、ストラウドが魔界の扉を開く事で防衛隊は壊滅してしまうと言う何とも惨敗した結果を生み出す事になり、同時に彼の安否が分からないまま物語は先に進んでしまう。
      • そして5章のラストでタナトスに憑依され、妖魔となった姿でストラウド率いる冥王軍の配下に寝返ってしまうと言うあまりにも残酷な事実が判明し、エルディは『闇に堕ちて妖魔となってしまった親友と再会、戦って殺すことになる』と言う鬱展開を味わう事になる。この描写に関しては非常に賛否両論であり、「元々出番も見せ場も『親友』という描写もあまりないキャラだったので悲しみが沸かない」言う意見も多く見られる。しかし、描写が少ないにしても序盤のムービーで「彼がエルディと同じくイルージャを守りたかった」と言う動機はしっかり描写されており、ロリマー軍に敗退した事で魔界の扉は開き、彼もタナトス憑依され犠牲になってしまったと思われる。しかし、戦闘に勝利してもエルディに対しての憎しみは消える事無く、恨み節を吐き捨てながら息絶える胸糞展開を迎える事になり、「かつて同じ志をもっていた友が敵軍に敗退した事により寝返ってしまう」と言う人間関係を木っ端微塵に粉砕すると言う展開は王道とはかけ離れた斜め上の展開である事は確かである。そう言った意味では『初代』のメデューサ殺害の結末を思わせるかもしれない。ただし、投げっ放されたストラウドとは違い、ラスボス前に霊体として声のみの状態で語り掛けてエルディを励ましてくれる。あの世で成仏でもしたのだろうか。
  • トレントについて
    • LOM』『新約』にも登場した顔の付いた老木。作中では2章で初登場し、先代の勇者が使っていたとされる聖剣を不思議の森の地中に匿っていたが、リチアを捕虜として捕えたロリマー軍の捜索隊が聖剣を回収しに来る前に何故かタナトスに憑依される。その後リチアを捕虜から解放する為に不思議の森に向かったエルディと唐突に戦う事になり、勝利後にかつての聖剣を地上に放出すると同時に息絶える。つまり、『LOM』で登場した優しい老木が本作では敵として登場することになり、過去作の様に彼に会っても果物の栽培等は行ってくれず、タナトスに憑依された姿も非常にショッキングなので非常に不快でしかない。なお、彼が匿っていたかつての聖剣も仮面の導師に取られ、エルディも目当てのリチアを助ける事が出来きず、彼を慕っていたポロン族のチットは恐怖のあまりに絶叫し泣き叫びながらその場を逃走したので章の締めとしても非常に後味が悪い。過去作で登場したトレントとは完全に別人(木)なので、パラレルだと割り切れば溜飲が下がるが、本作の場合過去作軽視とも取れる酷い扱いでしかない。
  • ガイアついて
    • LOM』『新約』にも登場した顔の付いた巨大な岩。作中では死の山の頂に住む山の主として登場し、千年前の戦争で深く傷付いたフラミーを匿い、彼を地中の中で療養させていた。扱いが酷かったトレントとは違い、3章のボスであるロリマ―軍から放たれた刺客であるワイバーンとエルディが戦う時に回復アイテムを供給してくれるなど頼もしい存在となっている。ボス戦後にロリマー軍の砲撃が激化した時に、エルディにフラミーを託す為に地中から出してエルディはフラミーに乗って死の山から脱出する。しかし、その代償でガイアは砲撃を受けて顔面が崩壊し死亡してしまうと言うやはり後味の悪い最期を迎える。
  • 仮面の導師について
    • ストラウドの側近であり、ロリマー軍の参謀を務める奇妙な衣装を纏った仮面の男。軍のトップでありストラウドの右腕であるはずなのだが、作中ではストラウドとの関わりは全く無い所か、彼が起こす凶行をひたすら傍観しているだけの存在でしかなく、エルディに対して謎の助言を残しては去る極めて中途半端な存在となってしまっていて非常に存在感が薄い。
      • その正体は千年前に巫女アニスと共に大樹を石化させた先代の聖剣を携えていたかつての勇者であり、本名は『 グランス 』彼の目的は『魔界に捕えられたアニスともう一度会う事』だけで、ストラウドが勝手に目的を達成してくれた為、中盤までは全く存在感が無かった。しかし、第6章でエルディがイルージャに存在するタナトスの制御装置を起動させるイベントで、唐突に行く手を阻むボスとして出現する。中盤以降全く出番が無かった彼だが、6章での突然のボスとしての出現は説明の無い物となっており、この時点で冥王軍との関わりは一切無くなった為、単なる敵キャラに成り下がってしまっている位の扱いの雑さである。ストラウドに付き合いきれなくなって退役したのか?。かつての聖剣を振るっていた先代の勇者であるせいか、彼とのボス戦は作中屈指の高難易度となっており、撃破すれば案の定、斬り殺す展開となる。死ぬ間際に『人の愚かさも醜さも何も変わってませんでした。ですが本当に愚かなのは誰なのでしょうね』と本作のテーゼと繋がる遺言を残して息絶えるので、これもまた後味が悪い結末である。
      • 『かつての聖剣を振るっていた先代の勇者』と言う設定は『初代』の主人公を思わせるが、繋がりに関しては明かされていない。
  • アニスについて
    • 本作のトリを務めるラスボス 。千年前に仮面の導師と共に魔界の扉を封印した巫女であり、その代償で魔界に閉じ込められて肉体そのものを失い故人となってしまう。1章のラストで現世への復活を果たす為に電波受信を使った伝達方法でリチアを唆して憑依するが、物語の中盤で現世と魔界が一体化した現象により、完全復活を遂げる。彼女の目的は『 タナトスの根源である滅びのこだまを覚醒させ、世界を滅亡させる 』と言うものらしいが、何故そのような破滅願望を持っていたのかは作中では一切説明されない、いわゆるぽっと出の超展開ラスボスとなっている。恐らくリチアを犠牲にさせてマナの女神を誕生させるプロットを作る為に用意したラスボスだと思われるが、エルディとの繋がりは全く無いので超展開でしかない。
      • ラストバトルでは姿を変貌させ、『 メデューサ 』と言う下半身が巨大な双蛇と化した直球過ぎる姿に変貌することになるが、捨て駒故に変貌したストラウドと同様に投げやりな変貌しかなく、撃破すると死後の世界で声だけの仮面の導師に導かれ、成仏していくと言う感動的だが置いてけぼりな結末を迎える事になる。
  • PS~PS2時代のスクエニ(スクウェア)はムービーに注力した『FF7』や『FF8』などの商業的成功を受けて、ゲーム内ムービーを最大のセールスポイントとしてムービー製作に大量の予算と時間をかける傾向があった。本作はその悪い面が最もよく表れたゲームの一つと言える。
  • 登場人物のキャラクター表現に悪影響を及ぼしている。
    • シナリオの短さゆえに全体的な登場機会が少なく、村要素が無いため自由に会話することもできない。各々の細かい心理描写や魅力のあるシーンが少ないため、非常に感情移入しづらい上、大抵のキャラクターは愛着がわく前に何らかの理由で殺害されてしまう。
    • フラミー、トレント、ガイア、ワッツなどといったシリーズ過去作のキャラクターも登場するが、それぞれは出番こそ与えられているものの活躍してすぐに去る「ファンサービス」的な登場シーンが多く、扱いがぞんざいな印象は拭いきれない。
    • モティ、ニキータ、ルサ・ルカなど、『CHILDREN of MANA』にも登場した各国の王様や、主人公に味方する友軍達は設定のみの登場であり、ムービー内で一瞬登場するのみ。直接会話する機会すらなく、誇大広告以上のなにものでもない。
    • 『2』や『3』では苦労しながら仲間に加えた8種の「精霊」は、オープニング以降目立った登場はなく、今作では道を進んでいると唐突に現れ、パチンコの弾になるアイテムをくれるだけというなんとも投げやりな扱いを受けている。
    • 仮面の導師・ラスボスなどの敵役の設定は、戦闘前後の会話テキストで全て語られてしまうため、唐突な設定が目立つ。
    • このようなグダグダがありながらストーリーの大筋は「原点回帰」らしいがコンセプト自体がすでに破綻してしまっている。そのせいで旧来のファンからさしてつかめず「どこが原点回帰?」と疑問を抱く者もいた。
  • シナリオの原案を勤めた加藤正人氏は後にブログで「自分のシナリオとは別物」と語っており、スタッフが原案からかなりの描写を削り取ったことを暗に示している。加藤氏の言葉が真実ならライターが哀れ。

システム関連

今までのシリーズ作品と比較して

  • 2Dアクションから、ボイス付きの3Dアクションとなったことへの少なくない違和感。
    • 無論3D化・フルボイス化そのものが悪ではなく、後述の通りクオリティ自体は全体に高いが、2006年当時のゲーム業界で3Dに特化したゲームはそう珍しく無く、悪く言えば「見慣れている」「平凡に感じる」等の意見が多く、スクウェアエニックス製のファンタジー路線の3Dはキングダム ハーツドラゴンクエストシリーズで先取りされていたので本作が後発だったのが悔やまれる。
    • シリーズの大きな特徴である自然や緑を主体とした世界観は感じられるものの、全8章とメインシナリオのボリュームが短い事やグラフィックの使い回しが多い為、人によっては飽きやすい。
      • これに関しては旧世代作品の3D化に関して必ず付いて回る話なので本作固有の問題ではないが、本作の場合フル3Dの上にカメラワークとゲームバランスが劣悪なせいでユーザに対する配慮が全く無いため「3Dだけ上乗せれば良いと言う物ではない」と批判が集まっている。
    • 批判されがちな本作の3D化だが、ラビやポロン等の齧歯類をベースにしたモンスター等は正確にモデリングされている事や2章の「これぞ聖剣」と言うべき「ロザ平原」や「こもれびの森」等のシリーズ特有のアナログ画の様な背景も違和感なくモデリング出来ている。「もっともゲーム自体の出来が出来のせいで気づかない人も多いが」
    • 前作3まで「アクションRPG」とされていたジャンルが「アクションアドベンチャー」に変更されたことによる不満も少なからず出た。
    • ステージ制のゲームであるためワールドマップなどの要素はなく、決まった場所しか移動することはできない。息抜きになるような場面も少ない。
    • いわゆる「操作できる仲間」は一切存在せず、終始主人公のエルディしか動かせない。
      • パーティを組んで行動していた過去作では、2Pコントローラで他の仲間を操作するという複数人プレイができた。今作でも一応複数プレイには対応しているが、できることは1Pの代わりに補助や回復などの魔法操作を担当できる*1というやりがいのないものである。
  • これらに関してはあくまで過去作と比べた上での批判だが、それにしても製作者側はシリーズファンからこういった批判が来るとは思わなかったのだろうか。
    • 前述のように11年間も本流に手を付けず、その間にPSや携帯機で外伝を出していたため、外伝のノリを悪い意味で持ち込んだとも取れる。

単体のゲームとして

  • RPGとアクションゲームの要素を乱雑に組み合わせて台無しに
    • 本作では、敵を攻撃したり倒したり何かを壊したりすることで時々出現するメダルを集めて「HP」「MP」「攻撃力」を強化出来る。「HP」を上げるメダルを一定数以上取ればレベルアップし、「MP」メダルを集めれば精霊フィーがレベルアップし使用できる魔法が増える。
    • 問題はその集めたメダルがステージをまたいで持ち越せず、クリア毎にリセットされるという点。当然、レベルも魔法習得も各ステージ開始時に1からやり直しである。
    • 石井氏(聖剣シリーズの生みの親)によると、「プレイヤー自身のスキルアップを促す」という目的ゆえにレベルリセットシステムになったらしい。
      • 確かに、アクション系の作品では高難易度においてはスキルアップも必要になる。だがRPGはそういった腕によるスキルアップを廃して成立しているため、聖剣伝説をRPGとして楽しんできたユーザーのニーズとは噛み合わなかった。
    • ステージごとにS~Cランクでクリア評価されることから察するに、オールドタイプの面クリア型アクションゲームのようなものをイメージして制作したのだろうという推測はできる。
      レベルを上げてゴリ押せば簡単にSランクが取れるような構成ではなく、何度もプレイしてプレイヤー自身のスキルを上げなければSランクが取れないようにしたかったのだろう。
      • だが、仮にそうだとしても、本作のような明確な章立てのストーリーやキャラクター性のあるゲームとその構成は全く噛み合っておらず、ましてや『聖剣伝説』シリーズのナンバリング作品でやることではない。
        真・三國無双』や『がんばれゴエモン』といった、ある程度ストーリー性を持ったアクションゲームは、総じてリセットされない成長要素を採用している*2
  • にもかかわらず、RPGではよくある「ステージが進むにつれて敵も強化される」という仕様が残っている。
    • つまり、リセット仕様と合わさると「ステージが進むにつれて敵は強化されるのに主人公は弱体化される」という(悪い意味で)ステキなことになる。
    • 誤解の無いように言っておくと、各ステージの序盤にはこちらのレベルが1にリセットされるのに合わせて弱めの敵が配置されており、急に敵が強くなるということはなく、詰んでしまう可能性自体は少ない。
      • ただし、このステージ序盤の敵でメダルを集めておかないと中盤以降の苦戦は必至で、プレイヤー自身がスキルアップしていなければやはりここでのメダル集めを強制されることになる。そして敵も無限沸きということはないので限界がある。これではリセットさせる意味がない。
    • さらに、ファイナルファンタジーシリーズの「サボテンダー」などのような成長要素の稼ぎに向いた敵はいない。
    • おまけにHP回復アイテムの出し方だけは踏襲しており、敵を倒した時にしか回復アイテムを落とさず*3、回復アイテムを持ち越すこともできない。
      • スキルアップできず低HPに陥ると後述MONOで相手をひるませてからでないと敵を1匹倒すのでさえリスキーになり、もしMONOを投げ尽くして回復アイテムが出なかったら一気に詰むという、中途半端にベルトスクロールアクションを取り入れた仕様になっている。
    • 一応、章のスタート時には「エンブレム」という主人公を強化できるアイテムを最大5個まで選べる。しかし、入手方法が至難であるため救済策になっていない(後述)。
  • 盛り上がりに乏しい攻撃手段。
    • 攻撃手段は大きく「剣」「ムチ」「パチンコ」の3種類に分かれるが、ムチやパチンコを使うアクションはどれも地味。
    • 途中で精霊が仲間になるとシリーズ伝統の8属性の魔法も使えるようになるが、これが「パチンコ弾」扱い。しかも1属性1種類しかない。魔法…?
      • 8種類の特殊弾の性能も使い勝手の良さが極端で、サラマンダーとウンディーネは追加ダメージ+炎上と凍結と言う序盤の時点からかなり有利になる性能を持ち、ボス戦ではパズルの様に使い分けて攻略する場面が存在する。しかしジンは上に吹き飛ばすだけ、ドリアートとジェイドとルナは一時的に敵の動きを封じるだけで全く使い道が無い。最も優秀なのがノームで、周囲の敵同士を引力で一斉に衝突させる事で大量にメダルを入手出来ると言う高性能っぷり。従ってゲーム中で実用性が高いのはたったの3種類しか無い上に、弾数制限も限られているので使用頻度は限られてくる。
    • 剣での攻撃も迫力や派手さのあるものではなく、悪い意味でデフォルメの効いたものになってしまっている。ポコンポコンという斬撃音からは爽快感を感じがたい。
      • 同社のアクションRPG『キングダム ハーツ』を想起させるが、あちらはディズニーの世界観を踏襲した結果でありシリアスな場面では控えてもいる*4。しかし問題点でも挙げた通り本作はキングダム ハーツ様な王道的なファンタジーとは対照的な救いの無いダークな世界観な為、漫画的なコミカルな演出・エフェクトと全く合っていないのである。勿論、表現を緩和する為に実装した物だと思われるがどう見ても違和感しかない。
    • 序盤で地味なアクションしか使えないのは目を瞑るとしても、本作はストーリーが進んでも新しい技やアクションが増えない。どれだけ進んでも豪快な必殺技や爽快なアクションが存在せず、後述のMONO投げを繰り返す羽目になる。
    • レベルが上がるとアクションが若干増えるが、リセット仕様によりステージ毎に覚え直しである。「(ステージ進行に伴って)多彩なアクションが可能」という、アクションゲームにあって当然の要素すら欠けている。
    • 『2』や『LOM』であった多くの武器や魔法(楽器)を自由に使用できたり、『3』は武器こそ固定であるもののキャラクター毎の武器や特性(必殺技など)の違いを楽しめるといったそれぞれの自由度は保持されていたのを比較すると窮屈に感じざるを得ないのは必然。リセットされるシステムであれば尚更である。
  • その他、アクションに対する問題点
    • シリーズでもアクションに特化した仕様になっているが、全体的にボタンを押してアクションが実行されるまでの処理が遅く、特に魔法を実行して効果が発揮されるまで5秒程時間が掛かる位の遅さである。そのせいで魔法を使うにしてもモタモタ実行までに時間が掛かるので隙を突かれて一瞬で即死してしまう事も珍しくない。
    • 過去作では敵の行動パターンが非常に少なく、レベルさえ上げていれば難なく倒せる位の敷居の低い難易度だったが、本作では敵の行動パターンが増加し、状態異常等の搦め手で攻めてくる事も珍しくないの高難易度と化している。一度状態異常に掛かると解除されるまでの時間が異様に長く、特にボタン操作が全て反転する『混乱』や視界が一切見えなくなる『暗闇』等に掛かると足を滑らせてステージから落下するので非常にテンポを悪くしている。
  • 看板倒れな「MONO」システム。
    • 「MONO」とはタルや岩のようなつかんで投げられる設置物、いわゆる「物」である。これを鞭で引き寄せたりして敵にぶつけると、敵が混乱して動けなくなる。
      • シリーズ共通の概念である「マナ(MANA)*5」をもじった呼称なのだろうが、この名称もやや滑り気味である。多くのプレイヤーは消しゴムの方を先にイメージするだろう。
    • 「駆使すると楽に進める」「アクションの幅を広げる」という前口上だったが、実際は明らかに「MONO」の使用を強制するバランスになっており、「駆使しなければ攻略はほぼ不可能」である。
      • 後半の強力なザコ敵やボスは攻撃が激しく、MONOをぶつけて混乱状態にすることで動きを止めなければ反撃を食らって死ぬ。
      • さらに上述のように回復アイテムは敵と殴り合ったあとに出るため、あと一撃で死ぬという時にはMONOを投げまくらなければ死ぬ。
      • おまけに、敵を意図的に混乱させてから倒さないとメダルが殆ど出ない(=成長できない)ので、その点からもMONOを使う事を余儀なくされる。
    • こんなバランスのため、敵を見つけるとまず敵にぶつけるMONOを探さなくてはならず、テンポが損なわれること甚だしい。
      • MONOは割とそこら中にあるためそれ自体はまだ何とかなるものの、敵にぶつけるのを失敗したりしてしまうと今度はそれを取りにいくことになる。
      • さながらドッジボールで外野の向こうに転がっていった球を取りに行かされるような面倒さであり、こんなことが起きる可能性が雑魚戦含めて頻繁に付きまとうのだから堪ったものではない。
    • MONOを動かせば敵をまとめて混乱させられる場所や、MONOでギミックを作動させれば回復アイテムが手に入る場所などもあるのだが、面倒な割にはリターンが微妙で、成長がステージ毎にリセットという仕様も相まって魅力に乏しい。
    • 混乱した敵は、解除されるまでのカウントを表す数字が頭上に出て、バタバタと暴れる。
      • 目視する上で分かりやすいのは確かではあるが、挙動がいかにも「ゲームの要素」といった感があり不自然さが否めない上に、演出がコメディタッチ過ぎてシリアスな場面では興が削がれる。
    • 「ステージのギミックを使って敵を妨害した上で攻撃する」という要素は大抵のアクションゲームなら楽しいものなのだが、本作はそれが強制されている上に「落ちている物をぶつける」というワンパターンしかなく、あまりに単調なものになっている。
    • 本作には物理演算ソフトである「Havok」が使われており、さかんにそれが喧伝されていたことから、なんとか物理演算をシステムに組み込もうとしてこのようなシステムになったと推測されている。
      • それが本当だとしても、そもそも物理演算機能はゲームの開発・製作サイドが重視するもので、殆どのプレイヤーにとってはどうでもいい要素である。プレイヤーが重視するのはそれを活かして生み出されるゲームの遊戯性であり、「MONO」が滑らかに動いたからといってゲームとしての面白味に直結していないのでは意味が無い。まず物理計算エンジンの導入ありきで出来の悪い「MONO」システムを作ったのならば、それこそ手段と目的が逆転しており、主客転倒と言わざるを得ない。
    • 本作の発売をさかのぼること2年、2004年に発売された『Half-Life 2』が「ほぼあらゆるオブジェクトに物理計算が適用され、周囲に転がっているものを投げつけられ、破壊できる」「死体からガラクタまで手近にあるものをなんでも自在に積み上げられ、実際に干渉できる」というコンセプトを高いレベルで実現し、旋風を巻き起こしていた。現在では「それで?」と思ってしまうほど当たり前になった要素なのだが、当時のマシンパワーでは「オブジェクトにダメージを与えると事前に設定されたアニメーション通りに壊れる」「押したり運んだりできるオブジェクトは設定されたものだけ」というものが当然だったため大きな衝撃を持って迎えられ、そこから数年の間「高度な物理計算を活かしたxxx」という要素をセールスポイントとして推すことが流行していた。本作はその流れを汲んだものと思われる。なお、Havokエンジンはその『Half-Life 2』に採用されたものであり、当時家庭用機のタイトルで採用されているものはまだ少なかった。
      • Havok社の物理演算プログラムは、その後『サイレントヒル5』や『大乱闘スマッシュブラザーズX』、『スタークラフト2』など別ジャンルでも利用され、現役で多くのタイトルで利用されているが*6、本作のように「Havok社の物理エンジンを採用」とそれ自体を宣伝しているのは珍しいケースだろう。
  • 視点カメラが主人公に追従して上下左右にしょっちゅう動くため、3D酔いを起こしやすい。
    • 慣れていなければ30分も画面の前にはいられないほど。長時間のプレイは本当に気分が悪くなる恐れがあるので、慣れていようがいまいがご注意を。ゲームは一日一時間と教えてくれる良心的なソフトといえる。 ついでに、その一時間で他のゲームをやった方が有益であることも教えてくれる。
    • カメラの動きは壁に阻まれるので、狭い場所や部屋の角で戦っていると主人公が透過され、しまいには主人公にカメラが潜り込んでしまい、もう何が起きているのかさえわからなくなってしまう場合もある。
  • ターゲットロック機能が役に立たない。
    • 説明書には主人公に一番近い対象にロックすると書かれているが、主人公のすぐ目の前に対象物があろうとも、地形の向こうの遥か彼方にある対象物をロックしてしまうことがある。
    • あろうことか、壁の向こう側や、山の向こう側にある物でさえもロックしてしまう。なんという千里眼。
    • ロックオン対象の切り替えとカメラ操作が同じ右スティックに割り当てられている。そのため右スティックでカメラ操作を行うとロック対象も勝手に切り替わる。MONOをロックしそれをぶつける相手の位置を把握しようと右スティックを動かそうとすると、別の対象にロックが切り替わってしまう。
    • 一応、L2で敵、R2でMONO(操作デフォルト時)を区別してロックできる機能は備わっているのだが、複数の対象が画面内に存在すると、やっぱり思った通りの物をロックできない。
    • どうも画面中央付近の対象物が優先候補となるらしく、多数の対象物が転がっている中で、自分のすぐ目の前にある対象をロックしたいと思うのなら、カメラをぐっと下に向けて他の対象物を画面から外した上でL2(R2)ボタンを押さなくてはならない。
    • しかもロックオンターゲットは行動前に表示されない。アクションを起こして初めて判明する。
    • この役立たずのロックオン機能を使うよりも、いっそMONOに近づいて手当たり次第にムチを出して敵に投げつけるという戦法を取ったほうが早い。敵との交戦中に正確にロックする方が難しい。
  • もっさり感満載かつ作業感に溢れるバトル。
    • 酷いカメラワークに耐えつつ、対象の定まらないロックに翻弄されつつ、遠くからMONOをぶつけてチマチマ一体ずつ雑魚を潰すことを強いられる通常戦闘が楽しいはずもない。爽快さもやりがいもない。
    • 華であるはずのボス戦も然り。長時間雑魚の大量虐殺を行いメダルを集めまくらない限り、基本的にMONOを利用するか魔法を当てないと倒しにくいバランスになっている。結果的に逃げ回りつつMONOや集めたパチンコ玉(魔法)を遠くから打ちまくるチキン戦法しかない。
    • ゲーム中盤にもうひとつの聖剣を携えた、いわゆるライバルのようなボス敵が現れるのだが、そいつと正々堂々タイマン勝負を行うのかと思いきや、やはり逃げ回ってスキあらばMONOをぶつけては削っていくという、相変わらずのセコい展開になる。
      • ボス戦だというのに、操作に馴染めなければ若干の眠気をもたらしてプレイ意欲を無くしてしまう。操作を怠れば敵の猛攻にやられ即死してしまう。
  • 通常画面右上に表示されるレーダーマップが使い物にならない。
    • レーダーには方向方角とクリア地点(ボスならボスの場所)と敵の位置くらいしかマトモに表示されず、「今何階にいるか」「どこの地点にいるか」「目標地点までどれくらいの距離か」といった肝心の情報が出ない。
    • しかも、フィールドには階層・高低差・壁が存在するのに、レーダーにはそれらを無視した相対距離しか反映されない。
    • フライトシミュならともかく、本作は建物や入り組んだ地形の多い3Dアクションゲームである。要するに、全く役に立たない。
    • エリアの全体マップはポーズ画面を開かないと出ない。いっそレーダーではなく縮小した全体マップを表示したほうがよかったのではないかと思われる。
  • マップ自体が複雑な構成になっており迷いやすく、難易度が高い。
    • どのステージにも起伏の激しいマップが存在し、アスレチック要素も高い。小さな足場に乗る必要もあり、レベルの高い3Dアクションスキルが求められる。ハシゴも垂直に向かわなければ登る事ができないうえ、ジャンプして空中でつかまらなければならない場所もある。当然のごとく、アクションに失敗して落下すれば以前のマップからやり直しである。
      • 特に仮面の導師との戦闘が象徴的である。螺旋状の塔での戦闘なのだが、マップの仕様上ボスが何階にいるのかわからず延々と探し回り、各階には当たり前のように敵が居るので足止めを食らい、やっとこさ見つけ出し攻撃しようとした時に最下層に落とされると最初からやり直しである。
      • また、今作は二段ジャンプが出来るが二段目のジャンプは水平に飛ぶのが困難で使いづらい。加えて、今作には崖につかまるといったアクションはなくアクション面の難易度を上げる一因となっている。
    • 前述の役立たずカメラと迷子レーダーのせいで、マップストラクチャーを把握しづらいのもネック。
  • 主人公強化用の「エンブレム」の収集方法が、困難なものばかり。やる気を完全に殺ぐ仕様と相まって、ほぼ無理ゲー。
    • 倒したモンスターを戦わせる「チャレンジアリーナ」と呼ばれる闘技場で勝てば手に入るが、敵が強すぎる。弱いモンスターでは厳しいが、強いモンスターを使おうが厳しい。どうやったって難しいのだ、結局は合わない人には合わないゲームである。
    • 各ステージでレアな敵を討伐すると手に入るエンブレムもあるが、探し出すのが困難な上明らかにそのステージのボスよりも強く、後半のステージではとてもじゃないが探す気にはなれない。探し出したとしてもスキルアップができていなければ返り討ちにされる。
    • アリーナ内のショップで購入出来るものもあるが、値段が高い。本作はルクが貯まりにくいこともあって、気軽に買う事も出来ない。
    • 一応、根気良くルクを貯め続ければどのエンブレムも入手可能になり、ステータスを上げるエンブレムを重点的に装備すればゲームバランスは僅かに安定する。しかし、装備枠が5枠しか無いので一方向に強化する事は可能なだけで、万遍なく強化する事は実質的に不可能となっている。つまり『一方向に尖った強化を行えるが他の部分は諦めるしかない』と言うRPGとして見ても面白さが全く感じないシステムである。
      • そのエンブレム自体も微妙な性能、似たような水増しが多く、高い金額を投じても使い道の無い物も多く存在する。攻撃力や体力を最大までに上げる有利なエンブレムも存在し、開幕から敵にやられにくい状態で始める事が出来るが、強化出来ない部分は依然として初期化されたままなので、実質的なバランスの悪さは改善されないと言うお粗末な仕様である。中にはエルディを一般人の状態で戦わせると言うネタ目的のエムブレムも存在し、防御力無視で攻撃を行う事も出来るが、代償として他のアクションが一切出来なくなると言う装備してもあまり恩恵の感じない物となっている。
      • ちなみに、ゲーム中に店のような施設があるわけでなく、準備画面から入る別モードなので、店に立ち寄って買い物しているという雰囲気は無い。
      • 何故かナビゲーションを担当してくれるのはテキストのみの登場となる『謎の声』。しかもこの声の主、姿を現さない割には性格が尊大で、料金を踏み倒して商品を買おうとすると『けしからん、ルクが足りん!』と叱責する成金臭さ持つ。購入画面に緑に囲まれた派手な背景が表示されるので、それを察するに声の主はゲーム中にほんの少しだけ登場したとある国の王だと思われるが、謎のままである。

賛否両論点

  • 描写不足の極みたるシナリオではあるが、土台については良かったという意見も存在する。本作で明かされた聖剣シリーズの設定も少なくはない。
    • ただし、主人公のエルディは顛末は同社の『ドラッグ オン ドラグーン』並みに救いの無いものとなっており、描写がしっかりなされていても賛否は分かれただろうと思われる。
  • ゼノギアス』の脚本に携わった加藤正人が原案を勤めているせいか、所謂『性悪説』になぞらえたダークなシナリオは非常に独自性が強い。『初代』の戦いに身を投じてもヒロインやアマンダ等、何一つ救えなかった主人公の悲壮感や『2』の聖剣を引き抜いてしまったランディを悪人呼ばわりして迫害する村人達の胸糞さからして、本作の陰鬱さも概ね過去作を踏襲していると言える。
  • 問題点でも書いた通り本作の登場人物逹も『電波』と低評価されがちだが、ある種の突き抜けた人間性を持っている事は確かである。人格の歪みは突出した何かを生み出し、同時に戦争に翻弄され破滅していく姿は何処か切なさを感じると言える。

評価点

  • グラフィックに定評のあるスクエニのナンバリングタイトルであるため、グラフィックは非常に美麗。PVやOPの美しさはPS2ソフト全体から見ても高レベルであり、PS3やXBox360と肩を並べても遜色ない程の造形力を持つ。
    • それまで2Dでしか表現されていなかった過去作に比べてイベントシーンの表現力が強化され、シリーズの持ち味であった残酷な展開等が視覚化され、直接的な殺害シーンや暴力シーン等が非常に生々しいものとなった。
      • アニメ界の巨匠、金田伊功が携わったお陰か3Dゲームにありがちなキャラクターの表情や演技に固まった部分はなく、後に発売される表情も固く口パクすら無かった『2』のリメイク版と比較すれば出来は雲泥の差である。
      • モンスターのアニメーションも流用が無く1体ずつ拘りのある作り込みがなされており、ドット時代の動きを彷彿させるゴブリンメイジの詠唱やドゥバルやリュウケイオス等の巨大なモンスターでも違和感無く躍動するので非常に迫力のあるものとなっている。
    • 敵のAIも非常に優秀で、エルディがどの空間内に居ても必ず見つけ出して仕留めようとする正確さは悪い意味で難易度を上昇させている。つまり恐ろしい位執拗に追いかけてくる正確なAIと言う事である。
  • 本作で最も批判されている物理演算も一概に不要だったという訳では無く、特に6章の巨大ゴンドラに乗って高所を渡り歩くステージはPS2の表現力の限界に挑戦した物となっており、技術力は屈指の物となっている。
    • ただし、技術力は有るもののゲームとしての快適性に結び付かなかったせいか、『2』と『3』の3Dリメイク版ではそれらが全面的に廃止され、ドット時代を踏襲した一本道のステージになってしまったのが惜しい所である。
  • 前作『COM』がボリュームが極端に少なかったのに対し、ナンバリング相応と言えるほどのボリュームが増加。難易度ごとに敵の攻撃パターンやステータスが異なってくるので、周回プレイに長けた仕様となっている。他にも「チャレンジアリーナに挑戦する」や「ルクを払ってムービーの視聴機能を解禁し、怒涛の鬱展開を振り返る」や「ひたすらルクを集めてステータス強化となるエンブレムを収集する」など幸いにもやれることが多い。ただし、ゲームバランスが劣悪なせいでやり込むには「有料デバッグ」と直喩すべき苦行が求められる。加えて、本作の問題点に目を瞑って周回プレイできる人自体がそうそう居ないと思われるが……。
  • 薄い&電波&超展開のストーリーや人物の細かい心理描写がことごとくすっ飛ばされているせいで魅力を感じづらいが、聖剣らしい独特の世界観やキャラクターデザインは好評。また、本家のスタッフが手掛けた事もあり独自性に富んだ先の読めない展開は別の意味で秀逸であり、特に本作の悪意の総決算とも言える最終章の展開は必見。トリを勤めるだけあって他の章よりも2倍以上のボリュームを誇り、最深部の展開は陰鬱ながらも何処か人間故の儚さを感じる物となっている。
  • BGMは伊藤賢治氏、関戸剛氏らが作曲しているだけあって、非常に高評価。苦労してラスボスまでたどり着いたプレイヤーをイトケン節全開の名曲群が迎えてくれるのは唯一の救い。
    • さらに、メインテーマは世界的音楽家である坂本龍一氏が手がけている。
    • 過去のシリーズの曲も、それぞれの作品毎、数曲アレンジされている。
    • その結果、中古価格ではソフトよりサウンドトラックの方が値段が高いという事態になっている。4,000円以上することも少なくない。
  • 主要キャラを演じる当時新人だった柿原徹也氏や近藤隆氏を始めとして、声優陣の演技は良好。多額の予算を費やしたせいか全編に渡ってフルボイスであり、敵味方問わずステージ中に聞ける掛け合いも含めるとかなりの物量である。
    • 本作で出演した近藤隆氏は『3』リメイクのとあるキャラとして再演しており、本作のセルフオマージュが含まれている。 どうやら無かった事にされてない様だ
  • ラスボス戦後のエンディングについては、過程はともかく美しいムービーとBGMが相まって切ない雰囲気を醸し出しており、この部分については感動したという声もある。ちなみに、本作のムービーパートのボリュームは2時間18分38秒。過去作のあっさりとしたイベントシーンに比べれば比較にならない程の力の入れ具合であり、正に映画1本分である。
    これでシナリオの描写が伴っていれば…。
  • 成長要素のある3Dアクションというプログラム構造的には複雑なジャンルであるが、目立ったバグは見当たらない。スタッフが丁寧なテストプレイをしたということなのだろう。
    • ……だからこそ、なぜこの出来で出荷したのかという疑問が浮かぶわけだが。

総評

『聖剣伝説』シリーズのナンバリングタイトルとして販売されたため、発売当初は多くの人々から期待を浴びていた。
しかし、ふたを開けてみれば、電波なストーリー、成長要素の強制リセット、主人公の強さに反比例する敵の強さ、吐き気を催すカメラワークなど、シリーズどころかゲーム単体で見ても非常にお粗末な出来という有様だった。
後年の公式本で発覚した情報から判断するに、シリーズの岐路に立たされ3D化による刷新を試みたものの、システム移行に完全に失敗し、更に扱いきれないエンジンで作った結果として、過去作のノウハウが全く活かされず大失敗に終わってしまったと言える。(聖剣シリーズ外を含めても)以降のスクエニ作品で本作の後継と言えるような作品は出ておらず、本作での挑戦は何一つ継承される事が無かったという点からも、根本的な部分の出来が悪かったと言わざるを得ない。一応、過去作の長所であった世界観の重厚さは概ね本作でも厳守されており、シリーズ伝統の「美しくも救われない物語」はこの作品も踏襲しており、次世代機に匹敵する程のグラフィックや音楽面など、見るべき部分も無い訳ではない。何よりスタッフの技術と努力によって生み出されたであろう本作にしかない唯一無二の独自性は評価して然るべきである。

実質的な前作である『FF11』から続投されたベテランの開発スタッフや豪華声優陣や音響に携わった坂本龍一等、様々な人材を起用し豪華なグラフィックに予算を投入した事から決して会社としても手を抜いたわけではない。誤解の無い様に言うと、曲がりなりにもシリーズの短所であった予算不足と2D作品故に表現の乏しさをPS2の表現力で改善した点では十分に進歩したと言える。だが、本作で視覚化された残酷な展開は極めて人を選ぶ要素と言わざるを得なく、 表現力と引き換えに大幅削減されたゲーム部分はユーザーにとっては苦痛でしかなかった 。こうした豪華さがもっとも肝心な「遊び」に結び付かなかったのが本作が失敗した最大の原因であり、本家スタッフが携わったのにもかかわらず、シリーズを支持していたファンからは 公式から流通された出来の悪い同人作品 と認識される様になってしまった。

結果としてスタッフの努力も虚しく、ユーザーや市場からは本作は商品失格レベルのクソゲーという残念だが至極真っ当な評価が下され、人気シリーズのブランドをも完全に失墜させてしまう結末に至ってしまう。


余談

  • 据え置き部門クソゲーオブザイヤー2006では次点を受賞した*7
  • 出来の悪さがゲームショップでの販売価格にも反映された結果、中古価格はおろか新品価格も光の速さで暴落していった。
  • ゲーマガの「期待外れだったゲームランキング」では、3位にランクインした。
  • 本作の他媒体展開については、多数の書籍とサントラが出ている程度。小説において支離滅裂な原作を改善する等といった、シナリオ面へのフォローは今の所存在していない。
    • 過去には『新約 聖剣伝説』の小説版が出版された前例があるので、本作にも何かしらのフォローがあれば…。
    • 一応、シナリオ原案を担当した加藤正人氏による原案は、本作の攻略本にあたる解体新書で読む事ができる。但し本作同様読後感は良くないので注意が必要である。

シリーズ関連

  • シリーズ25周年本『ART of MANA』で石井浩一氏と一人の生み親とも言える田中弘道氏のシリーズを振り返る対談が行われ、長年黙秘されていた本作についても言及された。
    • 開発スタッフの前作に当たる『FF11』の商業的成功を受けてPS2で『魔法やマナの世界を体感出来る新たな聖剣伝説』をコンセプトに従来作とは異なる方向性で水面下で開発が始まった。しかし新エンジンのHavokの導入により開発は難航し、ゲームとして成立させる為の技術研究に時間と労力を費やし過ぎた事が原因で開発のスケジュールが大幅に遅れてしまい、結果本作が生まれたと言う。
    • 対談の中で石井氏は『今までの聖剣伝説とは違う作品にしようと思ったら物量的には膨らまざる得なくて、一つ一つを固めて作って行ったら一ついじると全てをいじらなくてはならない。終いには世界自体がパラメーターで出来ているんじゃないかと思った。ゲームを作っているよりは実験している感じだった。』『ああいう作品を作るのなら田中さんと組んで作るべきだった』と本作が暗に未完成だと取れる発言をしている。一応、不祥事に関しては反省はしている様に見えるが、本作の残虐性に対しての責任やファンからの心象を悪くした事に関しては一切触れていない。余程無かった事にして欲しいのだろうか……。
      • 氏の発言を受け取るのならば本作の失敗の原因は『シリーズ迷走末、存続か終了の岐路に立たされ、感性から生み出されるアイディアでは無く新エンジンを使った技術力で押し切って開発したが、どうにもならなかった』と言う事である。ある意味ゲームボーイと言う極限の制約上の中で生み出されて成功した『初代』とは真逆である。
  • 社内にノウハウがなく、海外製で言語の壁もあるHavokを安易に導入した結果扱いに苦慮した事が述べられている。本作の「単調で迫力に欠け、未発達な感が残る戦闘システムや演出」「宣伝でのHavok強調」などを考えると頷ける話ではある。
  • デザイン画で描かれているゲームシステムも、「人間のエルディを動かす『人間世界』と精霊のフィーを動かす『精霊世界』を切り替えて戦う」「ギミックでつり橋や船を動かす」といった初期仕様が描かれており、完成版の仕様と比較するとだいぶ単純化されているのが分かる。
  • スクエニとしても商業的に失敗したという認識なのか、本作のゲームアーカイブスでの配信やリメイクや移植などは一切行われていない。ただし、この件に関してはPS2ソフト全体の問題でもあるので一概に本作だけの問題と言う事ではない。
    • 2017年6月1日にはNintendo Switch用ソフトの『聖剣伝説コレクション』が発売されたのだが、収録されているのは1~3であり、『4』は入っていない。一応インタビューでは「ゲームハードの関係上移植が困難」と言及されてはいるが…。
      • もっとも、仮に移植やリメイクの話があろうとも、本作の評価を考えると完全に「誰得」としか評し様が無い状況なのは事実ではある。
      • 挙句に2021年6月24日に『聖剣伝説 LEGEND OF MANA』のHDリマスター版が発売された際には、(本来スピンオフであったはずの)同作がシリーズ4作目として紹介された。確かに元々発売順はそちらの方が先なのだが…
    • 一応、シナリオを追加したリメイクを要望する声もあるが、開発に携わったスタッフは軒並み退社している為再現するのは非常に困難だと思われる。

その後の展開

  • 次作『聖剣伝説 HEROES of MANA』を以て元祖聖剣チームは解散し、スクエニを退社した。シリーズ25周年本『ART of MANA』によると、本作が発売された後に若手スタッフによる新作の企画が多数社内で持ち上がったが、全て凍結となっているらしい。
    • 聖剣シリーズについても近年再始動の動きを見せているが、本作の評価の低さのせいで全盛期のリブートが中心となっており、完全新作の動きは未だに無い。
      • 現在の製作指揮を勤めているのは石井氏の後輩に当たる初代~LOMのファンを自称する小山田将氏。氏の熱心な営業の甲斐あって多くのリマスター版が発売される事になったが、如何せん贔屓の弊害で新約以降の不祥事については触れておらず、本作の抱えている問題点も黙秘したままである。
      • しかし2021年6月27日夜、インターネットで配信された聖剣シリーズ30周年の公式生放送番組の最後で小山田氏がコンシューマ向けの聖剣シリーズの最新作を開発中である事を明らかにした。ただし、完全新作であるかは不明であるが恐らく完全新作の可能性が高い。
      • 生放送中には石井氏も音声のみの『天の声』と言う斜め上の出演を果たし、 氏が座るはずだった席にはラビのぬいぐるみが置かれている と言うシュールな事態が起きた。本人の意志での番組出演を断った物だと思われるが、やはり本作で起こした不祥事が余程影響しているのだろう。
  • 本作を手掛けたスタッフの多くは株式会社グレッゾに移籍し、任天堂の下で『ゼルダの伝説 時のオカリナ』や『ゼルダの伝説 夢をみる島』のリメイク版の開発を担当する事となるが、こちらは見事にファンも納得のクオリティに仕上がっている。
    • また、2017年に任天堂から発売された『Ever Oasis 精霊とタネビトの蜃気楼』は、グレッゾに移籍した本作スタッフが中心になって開発されている。
      • 本作で不出来だったりオミットされた「他種族との交流」や「旅をする感覚」や「様々な物体を動かす事で解ける仕掛け」等の反省点が生かされているとも思える部分が存在し、10年以上の時を越えて実質的なリベンジに成功したとも言えるかもしれない。ストーリーも「風魔法が使える主人公が能力を行使する事で自分の村を発展させ、未開の砂漠を冒険して様々な物資を村に持ち帰る」と言う本作のネガティブさから一転しアグレッシブな物に見直されている。
  • 長い間、公式でも存在が抹消されていた本作だったが、発売から15年経った2021年12月21日にファミ通の公式サイト上で突如特集記事が組まれ、伊藤賢治氏が手掛けた楽曲20曲がストリーミング配信される事となった。
  • 2022年にサービス開始したスマートフォンアプリ『聖剣伝説 ECHOES of MANA』で本作の主人公であるエルディと(便宜上の)相方であるレキウスが登場する事となった。

海外版について

  • 2007年5月24日に本作の海外版『Dawn of Mana』が発売されている。
    • 海外版はボイスが全編英語に差し替えられている他、レベル2で回復技であるヒールライトが使えるようになる等ゲームバランスが若干調整されているが、レベルのリセットやカメラワーク、MONOシステムといった評判の悪いシステム自体は相変わらずそのままである。
    • 国外では国内で根強い人気のある『3』が発売されず、ナンバリング作品の続編という概念がないことと日本ほど熱心なファンがいないためか大手レビューサイトであるメタスコアでも100点満点中57点と「クソゲー以上並以下」程度の評価に収まっている。

最終更新:2022年08月19日 02:22

*1 主人公に同行する精霊の「フィー」を操作しているという設定。

*2 前者は能力値や装備品、自己強化アイテム等。後者はまねき猫によるライフゲージ強化や特殊技など

*3 フィーのLvが上がると回復魔法を使わせることもできるようになるが、フィーのLvを上げるにはメダルを多く集めねばならず、結局メダルを集めるまではこの回復アイテム頼みになる

*4 そもそもあちらはディズニーのディテールを守らなければならないという事情もある。本作では亜人種や動物もたくさん出てくるし、上述のように鬱イベントや大規模イベントも起きる。

*5 『聖剣伝説』シリーズのキーワードのひとつ。万物に影響を与える、自然エネルギーのような概念である。

*6 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』などでも利用されている。タイトル画面等で、使用ミドルウェアの一つとしてHavokと書かれた歯車のロゴが表示されていることを一度は目にしたことがあるだろう。

*7 ただし、いわゆる「四八ショック」が起こる2007以前の受賞であり、現在のKOTYは選定基準が大幅に異なる点には注意