ソニックフォース

【そにっくふぉーす】

ジャンル 3Dハイスピードアクション

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Xbox One (ダウンロード版のみ)
Windows(Steam)
発売元 セガゲームス
開発元 ソニックチーム
発売日 2017年11月9日
定価 5,990円
廉価版 2019年11月21日/2,990円(税別)
判定 なし
ポイント 久方ぶりのソニックオールスター
“ケモノ”のアバターという新機軸
大言壮語に見合わないストーリー
フルプライスに見合わないボリューム
ブーストソニック入門編に最適との声も
ソニックシリーズ


概要

ソニック ロストワールド』以来となる「モダンソニック」シリーズ作品。本作でも2Dと3Dを活かしたスピードアクションゲームとなっている。
ただし、システムとしては前作がジャンプアクションに寄ったことから、本作では『ワールドアドベンチャー』『カラーズ』『白の時空』と続いてきたブーストシステムに回帰している。
『ソニックトゥーン』シリーズの展開に「従来のソニックシリーズはなくなってしまうのか?」という不安がユーザーの間で広まっていた*1が、ゲーム完成の4年前から水面下では並行して企画が動いていたという。
なお開発が長期に渡った理由は、新たなゲームエンジンである『Hedgehog Engine2』などの新技術に切り替えつつ研究する期間があったためとのこと。

シナリオに関して今作はシリアスさを前面に出した内容を意識していたといい、2017年E3のインタビューでもソニックファンのストーリーに対する期待感を意識しつつ期待感を高める発言が存在した。
加えて展開としては『ソニックアドベンチャー2』に近いともされていた。
こういった長い空白期間を経た背景や事前の情報から、ファンの間ではシナリオ面での期待も含めて久々のモダンソニックとしての期待が膨らんでいた。

ゲーム的には自分で作ったアバターを操作する新要素、クラシックソニックや歴代ライバルキャラたちが登場するPV等、発表当時から話題を集める試みが熱心であった。
しかし実際の作品は必ずしも旧来のファンの期待に応えられるだけの内容には至らなかったと言える。


ストーリー

Dr.エッグマンの新たな力により、ソニックは敗れ、世界の99%が支配されようとしていた……。
謎の敵・インフィニットとかつて倒した強大な敵、この絶体絶命の危機を救えるのは、あなたしかいない。
立ち上がれ! レジスタンスと共に、世界を救うため!!

(パッケージ裏より抜粋)


特徴

3種類の主人公

  • モダンソニック
    • お馴染みのブーストやホーミングアタックを駆使して2D+3Dステージを走破する。
      • 新アクションはモダン個人に限ればほぼない。その代わりモダンソニックとアバターのタッグで進むステージが存在する。
  • クラシックソニック
    • ギミック満載の2Dステージを進めていく。
      • スピンダッシュの他に『ソニックマニア』で実装されたアクション「ドロップダッシュ」が本作でも使えるようになっている。
  • アバター
    • 本作でシリーズ初登場。選んだ種族によって固有アクションに変化がある。
      • モダンソニックよりもギミック多めで、ワイヤーを用いたアクションやウィスプの力を用いた「ウィスポン」を使いながらゴールへ向かう。
+ アバターに関するゲームシステム

7つの種族

  • 7種類ある内の1つを選ぶ
    • 一度決めた種族・性別は変えることができないが、ゲームクリア後に「2人目以降のアバターを作る」ことができ、他の種族でステージを遊ぶことができる。
      イヌ ミスした後にリングを保持してリトライできる
      オオカミ アイテムを引き寄せる
      ウサギ ダメージを受けた時に無敵時間が長くなる
      クマ ワイヤーアタックでエネミーを吹き飛ばす
      ネコ ダメージを受けた時にリングが残る
      トリ 2段ジャンプができる
      ハリネズミ 落としたリングが消えるまでの時間がのびる

ウィスポン

  • アバターのメインとなる攻撃手段で、『ソニック カラーズ』や『ソニック ロストワールド』にて登場したウィスプを用いた装備。
    対応したウィスプを入手すればカラーパワーのような特殊能力を使用ことができる。
    バースト 前方に火炎放射を放つ
    特殊能力は爆発による連続空中ジャンプ
    ライトニング 電撃の鞭を振る
    特殊能力は過去作におけるライトスピードダッシュ&アタック
    キューブ ハンマーで地面を叩き、エネミーをブルーキューブ及びブルーリングに変える
    特殊能力は足場の生成
    ボイド リングもアイテムもエネミーも吸い込む小型ブラックホールを放つ
    特殊能力はスティック入力方向への瞬間移動
    ホバー 前方に衝撃波を放ち、エネミーを吹き飛ばす
    特殊能力は一定時間の飛行と落下のリカバリー
    ドリル ドリルアームで目の前を突く
    特殊能力で地面や壁に沿った突進攻撃を放つ
    アステロイド オートロックオンした周囲のエネミーに自身の分身をぶつける
    特殊能力は一定時間の無敵&アイテム引き寄せ
  • ミッションをクリアすると、ステージ開始時にバリアが付いたりグラインドのスピードが上がる等の特殊な効果が付属したウィスポンがもらえる。
    スキル無しのウィスポンと併せて、その総数は63種類。

ドレスアップ

  • グローブやシューズ、ボディ等を自由に組み替えられる。種類はかなり豊富で、カラーバリエーションも多い。

レンタルアバター

  • 他のプレイヤーが作成したアバターを自分で使える。

スコア評価・経験値

  • 『ソニックジェネレーションズ』で廃止されていた、プレイ内容で累積されるスコアが復活。
    • また残機の概念が廃止され、その代わりにミス数が少ないほど高得点のボーナスが用意された。
  • ステージクリア後の最終スコアに応じて、使用キャラクターに経験値が加算されるようになった。
    • 一定量貯まると勲章が得られる。この勲章は、集めるとブロンズ、シルバー、ゴールドと変化していき、ゴールドを入手するとアバターのウィスポンやコスチュームがもらえる。

ミッション

  • 「チャレンジミッション」と「デイリーミッション」の2つに分けられている
    • チャレンジミッションはモダンソニックでブーストするといった簡単なものや、特定のステージを規定のタイムでクリアするといったやりこみ要素まで多数存在する。
    • クリアするとアバターのウィスポンやコスチュームがもらえる。
  • デイリーミッションをクリアすると、経験値ボーナス(時間指定あり)といった特典が得られる。
    • 二日先のミッションまで攻略しておくことが可能。

SOSミッション

  • 一度クリアしたステージにてランダムで発生するいわゆる縛りモード。1回でもミスすると失敗となるパーフェクトチャレンジ。

ダブルブースト

  • モダンソニックとアバターがタッグを組んでいるステージに存在するQTE。
    • ブーストボタンを連打した後、垂直の壁を駆け上がる程の猛スピードで移動。大量の敵やリングを突っ切って高得点を得るチャンス。スピード感は屈指。
+ ダウンロードコンテンツ

アバターコスチューム

  • アバターの見た目をシャドウっぽくできるコスチューム「シャドウパック」(108円)、スーパーモンキーボールNiGHTSといった計4種類のセガキャラクターの装備ができる「セガパック」(432円)、海外ネットの落書きからミームとして広まったSanic(サニック)Tシャツ(無料)が配信されている。

シャドウストーリー

  • 発売と同時に配信された無料コンテンツ。シャドウを操作できる短編エピソードが追加される。
    また、一部のモダンソニック専用ステージで彼と交代できる。

スーパーソニックモード

  • モダンソニックとクラシックソニックのステージ選択画面で、キャラクターを切り替える形で使用できる。
    リングを50個獲得することで無敵&高速状態になる。

評価点

美しいグラフィック

  • キャラクターやステージの背景は、リアルとデフォルメを織りまぜた丁寧な作りになっており好評。
    • 本作では先の通り独自ゲームエンジンの改良版である『Hedgehog Engine2』により、シリーズ最高峰のグラフィックを表現している。
  • PS4/One/Win版のフレームレートは処理落ち無しの60fpsで動くため、ソニック達の滑らかな動きを楽しめる。
    • Switch版だけは30fpsとなっているが、こちらも処理落ちは皆無で、ストレスなくハイスピードアクションを堪能できる。
  • また、PS3/360時代はロードが長いことが問題点に挙げられていたが、今作はロードが短い。
    • 特にステージ前のロードはワンランクスペックを落としたSwitch版ですらサクサク進むレベル。
      単純な快適性で言えばモダンソニックの中でも屈指と言えるかもしれない。

アバターの存在

  • 俗に言う「ケモノ」を自分で構築するアバター要素という、他のゲームでもあまり見られないポイントは大きな話題を読んだ。
    • 特に海外で盛んだが、国内外のソニックファンのコミュニティではオリジナルのソニックキャラクターを創作する文化があり、古くから存在していた「オリジナルキャラクターをソニック本編に出してほしい」という要望に対してある程度答える形となった。
      なお、元々こういったシステムの構想はあったようである。
  • 種族のタイプもいろいろと存在するほか、ドレスアップ可能なパーツも非常に豊富。やりこみによって解禁される為、ファッションはモチベーションアップにもつながるだろう。
    特に劇中キャラのパーツも色違いを含めて多数実装されており、お気に入りのキャラとおそろいのコーディネートにすることもできる。
    • 服だけでなくアクセサリーも豊富。装着箇所も非常に細かく設定されている。
      ボディカラーの色味によっては選択したものによっては安っぽくなってしまうが、ソニックの世界観を損なわないキャラクター作りが可能となる。
      • 勿論、着せ替え要素にありがちな色物枠も多数存在。メガドラロゴの入ったメカスーツや、中には顔が赤い球体&星マークという「全身スプリング男」になれるケモノアバターの強みを全否定するギャグ全開のコーディネートアイテムも。
        ストーリーは終始シリアス一辺倒で進むため、この状態でムービーに出演させると雰囲気を完全にぶち壊すことになるが…。
  • 細かい所では、(数は少ないが)リザルトモーションまでもカスタマイズできる。ソニックとのタッグステージのリザルト画面では、ソニックがこちらの動きに合わせてくれる嬉しい仕様も。
  • 能力的にはソニックのようにブーストやスピンダッシュはできないが、ワイヤーアクションやウィスポンを使ったスタイリッシュなアクションができ、ソニックとは違った面白さがある。
    • 本作は敵が大量に出現する場面があるが、ウィスポンの性能は総じて優秀なため、敵を一網打尽にする爽快感が得られる。
    • ワイヤーアクションの動きもよく作られており、カメラ演出と相俟って躍動感がある。

数多くのキャラクターの再登場

  • 近年の作品では、ソニック以外にはテイルスやナックルズ、エミー程度しか出演していなかったが、本作では他にもシルバーやカオティクス、ルージュやE-123"Ω"が『ソニック ジェネレーションズ』以来の再登場を果たす。
    • その「ジェネレーションズ」ではほとんど台詞がなかったためゲスト出演に近いものがあったが、本作ではムービー以外にもゲーム画面に会話ウインドウが表示され、ソニックなどに話しかける演出があるなど、しっかりと出番が存在する。
  • 敵勢力もエッグマンの他にメタルソニック、カオス、シャドウ、ザボックといった過去に戦ったキャラクターが再びソニックに立ちはだかる展開で、旧作ファンに衝撃を与えた。

新キャラクター「インフィニット」

  • 本作初登場の敵キャラクターで、ソニックを圧倒する力を持つ謎の存在。
    • 何者も寄せつけないクールで冷酷な性格と、バトル時の演出のかっこよさから、シャドウやメフィレスに次ぐ名悪役として外観は高い評価を得ている。

シャドウを操作できる

  • 発売と同時に無料配信されたシャドウストーリーによって、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ (2006年)』以来、久しぶりにシャドウを操作できる*2
    • ブーストが使えるシャドウは本作が初。ブーストモーションは『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』にて使用したカオスコントロールのモーションになっている。

良質な音楽

  • シリーズ恒例の良質なBGMは健在。本作の主題歌である「Fist Bump」(ボーカルはアメリカのロックバンド"Hoobastank"のボーカルでもあるDouglas Robbが担当)」は、歴代主題歌と並んで人気を博している。
    • 海外からの要請もあり『ロストワールド』ではボーカル曲を作れなかった経緯があったことから、本作では取り入れたという。
  • アバターのステージでは、ソニックシリーズでは少数派である女性ボーカルを取り入れたBGMを採用している。

豊富なやりこみ要素

  • アバターのパーツ収集の他に、レッドスターリング集め、タイムアタックといったやりこみ要素が豊富。
    • レッドスターリングを5つ全て集めるとナンバーリング、シルバームーンリングの順に更に収集アイテムが増える。

賛否両論点

ステージの物足りなさ

  • 全体的な傾向として、ステージそのものが短い。同じシステムを採用している『ワールドアドベンチャー』や『ジェネレーションズ』『カラーズ』と比較すると、全体的にステージのギミックが大幅に減り、アクションが単調になった。
    モダンソニックのステージでは特に顕著で、スピードが乗ってきて『さぁこれからだ!』というあたりがゴールであることも多い。ブーストボタンを押しているだけでクリア出来てしまうステージもある。
    初見でも1ステージ2~3分程度でゴールできてしまうものが多く、総じて物足りなく感じてしまう。
  • ギミック減少に伴い、本作は初見殺しが少なくなっている他、残機の概念が無くなったことで何度でもリトライできるため、エンディングまでの難易度が低めになっている。
    • 逆に言えば周回しやすい構成とも捉えられる。ルート分岐もこれまで通り多く存在し、ステージ中には収集アイテムのレッドスターリングが散りばめられているなど、決して作り込みが浅いという訳でもない。
      • ソニックファン目線では「近年のモダンソニック入門編のゲーム」として評価する声も多い。
    • 実際『ロストワールド』ではその難易度の高さが問題視されたことから、スピード感を損なわず比較的わかりやすくプレイできる点は悪くないだろう。
    • もともと一定数居た「ソニックのキャラクターは好きだがゲームのハードルが高い」というタイプのファンからは特に本作の評判はよく、新規プレイヤーにも勧めやすいタイトルとしてよく名前が挙がる。
  • 何度もリトライが出来るようになったため、これによって攻略ルートを吟味しやすく、レッドスターリングの取り逃しもカバーしやすい。
    • レッドスターリング集めに関して、前作までは同じステージを何度も周回してリングの位置を把握して入手するような仕組みであったため、非常に作業的になっていた。
  • また、ステージが短いため、タイムアタックもしやすい。PS4やSwitchからの動画アップロード機能もあり、過去作に比べてもタイムアタック動画の投稿は盛んに行われていた。この辺りの評価はプレイスタイルによって大きく分かれると言ってもいいだろう。
  • スピードが売りであるはずのソニックだが、クラシックソニックを操作する一部2Dステージでは「スピードが制限された強制スクロール」ステージが登場。また、一部ステージには強制的にQTE操作をしなければいけないパートがあり、回避する手段がない。
    • QTE自体は『ワールドアドベンチャー』より存在していたが、ボス戦を除いてはステージ攻略中のルート分岐のみに使われていたため、意図的にミスをしても大丈夫だった。
  • なお、本作のレベルデザイナーはたった3名しかいなかった事がスタッフロールで判明している。発売前には本作のレベルデザインを解説した講演会が開かれていた。
    • これが難易度調整に影響しているかどうかは不明だが、物足りなさを感じるプレイヤーはこれを理由に本作の調整を疑問視している。

本編におけるアバターの立ち位置

  • アバター機能そのものは悪くない出来。
    • シナリオにおいてアバターが喋ることは無いため、ソニック達との掛け合いが無い。
      また、名前も無いためソニックからは「相棒」、仲間たちからは「キミ」「新入り」などと呼ばれる。
      • そしてやたらソニック達から高評価を受ける。ゲーム上も周りのレジスタンスが情けなくやられていく中、「頼りになるのはお前だけだ!」といった展開が一定数起こるため、既存のキャラクターを利用した持ち上げになっている感も否めない。
    • そもそもシャドウを使わせてくれるなら、『ソニックマニア』のように「テイルスやナックルズといったレギュラーキャラクターを使わせて欲しかった」という声も多い。
      • ただし彼らがプレイアブルキャラだった頃は反対に「他のキャラを操作させるよりソニックのステージをもっと増やしてほしい」という声も多かったため、開発としては頭の痛い点である。
      • 後述するが、本作ではシナリオ上の出番はあるが、ゲーム上では不思議な程に仲間達は登場しない。
    • こういった持ち上げを好むプレイヤーも当然いるが、それによってレギュラーキャラの出番や役割が裏方に回ってしまうことが多発しており、賛否が分かれた。
  • 一部のパーツの微妙さ
    • 目は数パターン用意されているが、ギョロっとした目は少々ホラー。イロモノ枠は必要とは言え若干物足りなさが残るラインナップなためその点は惜しい。
      • 頭パーツなどは種族のキモとも言える「耳」の部分が全て隠れてしまうアクセサリーが多く、せっかくの特徴が台無しになりやすい。
  • アバターの種族による特殊能力の調整不足
    • 特色も過半数が被弾ミスに対するフォローが主であり、初心者はともかくソニックシリーズに慣れたプレイヤーや記録に挑む際には不要になってしまう。
      トリ・クマ・オオカミの3種は他と比較すると特殊な能力ではあるが、トリ種族の2段ジャンプはソニックとのタッグステージであれば誰でも出来てしまうため個性が薄い、クマ種族の能力はエネミーが吹き飛んでしまう影響でワイヤーアタックのコンボに支障が出る場合がある。
      その為、最終的にはアイテム回収能力が便利なオオカミを選びがちに。
      • しかしながら、極端に効率を重視しなければ好きな種族で遊べる範囲のバランスではある。

クラシックソニックについて

  • 『ソニック ジェネレーションズ』に続いて二度目の登場となっているが、前年にクラシックソニックの完全新作『ソニックマニア』が発売された事もあり食傷気味。
    • 『カラーズ』以来、久々の高速アクションであり、且つソニックの仲間たちが久々に登場しているので、先の通りモダンのキャラクターを操作したいと思う要望がでている。
  • クラシックソニックの立ち位置も不明な点があり、『マニア』と繋げる必要があったのか疑問が残る。

モダンソニックのアクションの減少

  • 前作『ロストワールド』の新アクション「マルチロックオン」「パルクール」などといった操作が排除された。また、「ドリフト」などシリーズで好評だったアクションも復活しなかった。
    • アクションが増えるにつれて求められる操作が複雑になり難易度が上がっていたのも確かなので、ステージ構成と合わせてそれを一旦整理することにはある程度成功している。
    • 『ロストワールド』ではマルチロックオンした敵を一気に倒せたため、非常にテンポが良かった。しかし本作では再度「ホーミングアタックを連続して行う」方式に戻ってしまったことにより賛否が割れる。
      • 一部は『ロストワールド』だからこそ合う操作だと言う部分はあるものの、本作では敵が大量に出てくるわりにはまとめて倒しづらい機会が多いため、『ロストワールド』にあった「キック」かそれの代替要素は欲しかったところ。
    • アバターなどはウィスポンによる攻撃で排除しやすいが、ソニック達はブーストによる弾き飛ばしのみとなる。よって空中にいる敵など地上ダッシュでは倒せない敵はどうしてもテンポ面で問題が出てくる。

問題点

唐突な獣人の設定

  • ソニックアドベンチャー』時代には、ソニックの世界には人間が普通に存在する描写が存在していた。本作は世界観を改めて仕切り直したためか、エッグマン以外の人間は登場せず、代わりに大勢の獣人が人間のように生活している事が判明した。
    • 本作の3人目の主人公であるアバターもその獣人の1人だが、世界規模の大惨事が起こっているにもかかわらず『アドベンチャー2』から登場した人間の軍隊「GUN」が出てこないなど、これまでの設定との乖離が起こっている。
    • ただし『秘密のリング』以降一般人としての人間キャラが登場したことはなく、エッグマンが軌道エレベーターを作っていた『カラーズ』等でもGUNは不在だったのでもともとそこまで一貫した世界設定があったというわけでもない。
    • 「獣人は人間ではないので英語は使わない」という設定になり、『ジェネレーションズ』などであったイースターエッグ(街中の看板に旧作のネタが書かれているといったお遊び要素)も消滅した。
    • 獣人世界設定は後にアメコミ版ソニックへと引き継がれた。
  • 仕切り直した割には説明もなく過去作品に登場したキャラ達をオールスターとして描き、整合性を一切考慮していないのは、やはり気になるファンも居る。
    • 特にシャドウはGUNや人間の不在によって出自と所属がよくわからないことになっている。

過去作からのステージ

  • 『ジェネレーションズ』『ソニックマニア』から引き続き「グリーンヒル」と「ケミカルプラント」が登場している。それぞれ新たな素材は加えられており、当然レベルデザインも変わっているが、マンネリ感は拭いきれない。
    その上でモダン・クラシック・アバターと都合3回挑むことになり、(当然ステージ内容はそれぞれ異なるものの)嫌でも記憶に残ってしまう。
    • グリーンヒルは『エッグマン軍の侵攻のせいで砂漠化が進行してしまった』という事で、過去作から大幅にデザインを変えている。また、デスエッグなど懐かしの再起用モチーフなどもあるため、ただ闇雲に使いまわしているわけではない。

アバターステージにおけるウィスポン等の難点

  • ウィスポンを利用した分岐ルートが存在するのだが、所持しているウィスポンが対応していない場合、もどかしい思いをする羽目になる。
  • この難点はボスステージでも同じで、相性の悪いウィスポンで挑むと、攻撃が当たらずワイヤーアタックでしか攻撃できなくなる。ワイヤーアタックの威力は低いため、撃破まで時間がかかる。
    • 道中で切り替えられるようにしてほしかったという意見も存在する。一応レンタルアバターという救済要素があるにはあるのだが、根本的な解決になっていない。

相変わらずのガッカリシナリオ

  • 本作発売前はシナリオへの期待感に応じるといった発言がインタビューで散見されていたが、本作はゲーム性との兼ね合いか、かなり駆け足でストーリーが進行し、展開が急すぎたり緊張感に欠ける場面が存在する。
    • 本作のシナリオライターはEDクレジットによると"STORY & SCRIPT"が「MAKOTO GOYA」氏、"ENGLISH STORY & SCRIPT"が「KEN PONTAC」氏と「WARREN GRAFF」氏、"JAPANESE STORY & SCRIPT"が「EITARO TOYODA」氏。
      • EITARO TOYODA氏はスタッフロールで最初に出てくるため主に海外で本作のメインライターであると思われていたが、実際はDLC部分のシナリオ担当だったと後に明かした。
      • 『カラーズ』以降のアメリカ人ライター両氏も参加している。肩書的にはMAKOTO GOYA氏の書いたものを英訳担当だったのでは?とも見えるが、どちらが主導だったかは結局は不明。
      • 前作『ロストワールド』では海外セガの意向でボーカル曲の採用が見送られたエピソード等もあり 「日本スタッフが書いたまともな脚本をアメリカ人ライターが台無しにした」と言い回るファンが居るが、これは一切ソースのない憶測である。
      • 本作のプロデューサーはシナリオについて「日本でストーリーや流れを書き、アメリカで台詞や間をリライト、日本語版はそれを更にリライトした」と言及している。
      • なお、MAKOTO GOYA氏は過去に同社の『シェンムー』シリーズなどに参加している。
      • 「プレイの展開はアドベンチャー2に近い」という発言や、ストーリーを楽しみながらできるアクションゲームにしているといった発言から、尾ひれが付いて「アドベンチャー並のシナリオが楽しめる」と期待したファンも多かった。*3
  • 世界観や舞台設定を活かせていない
    • 先のストーリーの通り「世界の99%をエッグマンに侵略された危機的な状況に陥っている」「ソニックが敵の手に落ちる」という魅力的な開幕から始まるのだが、先の通り緊張感不足で盛り上がらない。
      • ソニックが負けた途端いきなり文字情報だけで半年分一気に時間軸がすっ飛ぶ。エッグマンの軍団が世界を支配していく姿やレジスタンスの奮戦などをもっと描いてくれれば良いのだが、そういった演出もないので世界が支配されている感が薄い。
      • 一応アバター達がインフィニットに襲われているシーンはあるが、どうしても侵略シーンの切れ端に過ぎないため、世界的に危機に陥っている感がない。
    • ムービーが全体的に描写不足。
      • 特に尺の問題が大きい。決められた尺でもあったのかその中で必死に収めようとしている感もいくらか見られる。
      • ハイクオリティな映像自体は相変わらず。それだけに、余計ギャップを感じるところである。また、特報等で流れていたムービーはOPでは流されない。
    • 先の通り冒頭で歴代ボス達に打ちのめされるシーンからレジスタンス軍のパートまで飛ぶのだが、この繋ぎが唐突感が否めない。それ以外も要所要所の端折り方から面食らいやすい。
      • 全体的にゲーム本編では説明不足な所も多く、『ソニックマニア』をプレイしないと不明な点*4や、『フォース』の後日談を描くアメリカンコミック、公式サイトのデジタルコミックで説明されている部分が多く占めている。
  • 細かい演出が不足している
    • 先のやられる場面でもダメージを負った様子が表情からしか感じ取れず、砂埃等も浴びていない。その後捕まっているソニックも劇中で語られる噂に対して痛めつけられた様子がない。
      • ステージ前の会話でナックルズ達が「数ヶ月もの間ただひたすら酷い目に合わされている」とエッグマンを詰るが、実際のソニックは余裕綽々。牢屋の中で手錠で繋がれているだけで、傷等もないため到底過酷な目にあった様子が見られない。
      • ソニックらしい余裕を出しているとも取れるが流石に苦む描写が薄く、「酷い目に合わされている」感が薄い。これも緊張感を落としている。全年齢向け作品でどこまで描写できるかという話ではあるが…
  • 全体的に絶望的な世界観のそれに対して世界情勢の背景がほとんど映像としては描かれないため、新ソニのような緊迫感に欠ける。よって総じて少々拍子抜け。
    • 重要な会話も、ウィンドウのみの会話で済まされていることが多く、どうしてもストーリー展開上の盛り上がりに欠けてしまう。
      • レジスタンスの味方が次々に倒されていく絶望的な展開や、他のメンバーが作戦のために頑張っていると思われる部分もほとんど道中の会話により済まされてしまう。ムービーにすれば面白そうな場面も多く、総じて掘り下げが薄いところが非常に惜しい点である。
    • ムービーになった部分が盛り上がるかと言えばそうでもない。尺の都合があるのかいかんせん短く、特に総力決戦のムービーパートの盛り上がりが弱いのが残念。
      • 序盤で半壊していたオメガが復活参戦したりといった盛り上がる場面もあり、レジスタンスの主要メンバーがコピーされたボス軍団と戦うという面白い展開もあるのだが、見せ場が全員一瞬すぎるため決戦としては最低限度しか描かれていない。せっかくの集団戦なのにあまりにも勿体ない。
  • 『カラーズ』以降のお決まりとも言うべきだが、一部のキャラクターの性格が従来に比べて崩れてしまっているシーンも多い(後述)。
    • これは過去作と比較してもそうだが、直近のそれらの作品と比べても変わっているため余計に疑問を感じる変更も多い。
      • 幸い本作で復活登場したキャラクターの崩壊要素は少ない。ソニックも前作までの変な描き方と比べると、ヒロイックなイメージにある程度は回帰している。
  • シリアスかどうかはさておき、しっかり盛り上がる熱いパートもあるので、開発スタッフの言っている事も全てが的外れだったわけではない。

オールスターを活かせていない

  • 近年のソニックの方針としてソニックを中心に描くというものがあるが、本作でもそれは変わらなかった。
    • 主人公3人にフォーカスを当てた結果、それ以外のキャラクターの活躍は少なく、影が薄くなってしまっている。味方陣営は無線での会話があるが、重要なシーンに限ってステージ攻略中に流されることが多く、じっくり聞く余裕がない。
      • ただしムービーでは仲間たちも一定の見せ場があるので、『ジェネレーションズ 白の時空』における「時を取り戻して一言だけ喋る」「一部のステージで援護してくれる」といった程度の扱いよりかは非常に良くなっている。
    • ただしキャラクター性を推すというよりは舞台装置のような形になっており、以前程感情移入できる要素が少ないのは惜しい。
      • 特にジェネレーションズのように一部ステージでの援護や、背景で戦っている姿を見せる、QTEで出番を作る等いろいろ考えられたと思われるため、キャラクター資産を活かせていないのが単純に惜しい。

レジスタンスのメンバーの描写等についての問題

+ ネタバレ注意

"ブレイズとシルバー"

  • 未来世界の住人であるシルバーが最初から説明もなく登場している。シルバーが登場する経緯は公式サイトのデジタルコミックにて描かれている。一応、「ソニックアドベンチャー」での描写が全く考慮されていないテイルスとは異なり、原作通りの描写になってる分、まだマシだろうが…。
    • これも先の通り半年が経過したという文字情報で飛ばされてしまった部分であり、ムービーで紹介すればより盛り上がるものになっていたと思うと…。
  • シルバーが登場しているにもかかわらず、同じく未来世界の住人であるブレイズは登場しない。『ジェネレーションズ』では出演していたため、尚更気になる点である。*5
    • 後にアメリカンコミック(日本語訳アリ)にて真相が判明。気づいてはいたがやって来たのはこの作品から一月が経った後だった。どのみち残念な扱いであるが。
  • 本編では説明されないため、シリーズファンからすると困惑する点である。

"テイルスのキャラクター性の軽視"

  • 『アドベンチャー』のテイルスシナリオは「ソニックからの自立」をテーマとしていたが、本作の彼はソニックに頼り切りの「弱虫」に見えてしまう場面が多い。
    • モダンでは原則プレイアブルキャラクターではなくなった*6『ワールドアドベンチャー』からその指摘はあったものの、今回は『アドベンチャー』で倒しているカオス4や6よりも弱いカオス0相手に戦いもせず「助けてソニック!」と発言する場面があり、特に批判されている。
      • 他の敵ならいざ知らず、事もあろうに同テーマが描かれた作品の宿敵と対峙しながらこういった行動を起こしたことについて、オールスターでありながら明らかにシリーズを踏襲していない点についての批判は大きい。
    • ソニックがそばに来た途端急に強がったりする描写もあり、余計に批判される。
      • ソニックの安否が不明というシリーズでもあまりない展開だけに弱気になっていたのかもしれないが、そういう解釈だとしてもやはり『アドベンチャー』のテーマを蔑ろにしたキャラ描写は頂けないだろう。
    • ただし大前提として、前述の通り本作は人間キャラクターが普通に登場していた『アドベンチャー』シリーズとは明らかに異なる世界観であり、直接ストーリー的な繋がりがあるわけでもない。 あくまでもこれらの不満は『アドベンチャー』に思い入れの深いファンからのものである。
    • また少し弱気でソニックに助けを求めるという描写も10年以上前(かつ、アメリカ人ライター起用前)の『ソニックワールドアドベンチャー』で既にあったものであり、この点を問題点として見ているのは極端に言えば『アドベンチャー』シリーズだけしか知らないプレイヤーであることも多い。
  • 最終決戦でも他のキャラクターたちが申し分程度に戦闘描写が存在するが、テイルスだけは戦闘描写が一切なく、更にはラスボスにはソニックたちと一緒に対峙するにもかかわらず、ソニックたちが立ち向かう中、彼は後ろでただ応援するだけと闘う気が全く見えない。
    • 『ワールドアドベンチャー』以降からテイルスは不思議なくらい戦いからは遠ざけられているが、方針上の問題もあるのかもしれない。
      • 『ロストワールド』での批判が大きかったためかもしれないが、自己主張を薄くすれば良いというものではない。『カラーズ』以降のテイルスは原則どこか不安定なキャラ付けが目立つが、本作でも拭うことはできなかった。

"クラシックソニック"

  • 本作の世界になぜ登場できたのか、ゲームでは最後まで一切明かされない。
    • 実は 先に発売された『ソニックマニア』と設定を共有していて 、『マニア』世界のファントムルビーとクラシックソニックが本作の世界に転移してきたものであることが仄めかされているが、それが明確に描写されているわけではない。
  • また、今作に登場するクラシックソニックは『ジェネレーションズ』の時と異なり、終始『別世界のソニック』と呼ばれている。
    これは『ジェネレーションズ』でモダンソニックが過去に干渉したことで未来が分岐してしまったから*7だが、劇中では一切そのことが語られない ため、急に呼び方が変わりプレイヤーの混乱の元となった。
    • ちなみに本作後のクラシックソニックの後日談が『ソニックマニア・プラス:アンコールモード』と、Webアニメ『ソニックマニア アドベンチャー』となっている。

"エミー"

  • ロストワールドと同じくただ影の薄いヒロインとなってしまっている。はっきりいって個性が以前よりもかなり薄くなっている。
    • この状況で恋愛要素を押されても…というのはあるが、仮にもヒロインがそういった素振りすらほとんど見せないのは違和感を禁じえないだろう。無線での出番はそれなりにあるが、総じてレジスタンスの中核であるナックルズに出番を奪われがち。
      • 総力戦のシーンでは一応アクションを見せて活躍しているが本当に1シーンだけ。あとは集団戦で少し戦闘が見えるくらいである(これは他のメンバーも同じだが)。ただ一瞬とはいえエミーが久々にムービー中でハンマーを使っているのは評価点か*8。それにしてもズームにすることで敵を破壊するシーンをごまかしているのが残念であるが。
    • もっと詳しく言えば、影の薄いヒロインというよりは「仲間ABCDE…」と居る内の一人という印象に薄まってしまっている。仮にもシリーズのヒロインの扱いがそれでいいのか…。

敵役について

+ ネタバレ注意

"復活した4人のボスの扱い"

  • PVでも大々的に登場していた過去作の強敵たちだが、ザボックとメタルソニックは実際にボスキャラクターとしてバトルする場面があるが、実はシャドウとカオスはボスキャラクターとしての実装がないトレーラーではこの4人は同等に扱われており「ボス戦をもっと見せたい」とプロデューサーが発売前に期待を煽るような発言をしたため、発売後には「誇大広告だった」と反発を招く形になった。
    • シャドウはストーリー内で4人の中で最も活躍しており、DLCによるプレイアブル化が為されているため、そこまで悪い評価は見られない。
      一方、カオスはムービーでクラシックソニックに一撃で倒された後、実質出番は無くなる。カオスの出演は発売前から大きく注目されていたのだが、このような扱いに多くのファンが落胆した。
      • ザボックもボスキャラとして戦う機会こそあるものの物語序盤で戦う最初のボスエネミーという枠であり、しかもHPの2/3程度を削るとイベント進行でソニックがトドメを刺してしまう為、ストーリー冒頭の強敵感は全く感じない。
      • シャドウに関しても敵としてシャドウのコピーが大量に出てくるという展開は『ソニックヒーローズ』~『シャドウ・ザ・ヘッジホッグ』を彷彿とさせるものであるため、それらがちょっとしたムービーだけで済まされてしまっているのはやはり惜しい。

"インフィニット"

  • どのような経緯で誕生したのか明かされないまま出番を終えてしまう。彼の最期も唐突すぎて拍子抜けしてしまう。
    • デジタルコミックとシャドウストーリーでやっとインフィニットの正体が分かる。
      • デザインなどは秀逸な一方、台詞自体は悪役としては非常に安っぽい。基本的には「ゴミ」と相手を罵って見下すだけで台詞や煽りがワンパターンすぎて、正直悪役的な魅力には欠けてしまう。
      • 以上のことからメフィレスなどと比べるとこれといって印象に残る台詞回しがないのが惜しい。デザインや出自等、キャラとしての素材は良いのだが…。

"エッグマン"

  • ラスボスの「デスエッグロボ」のデザインや攻撃方法が『カラーズ』とよく似ているため、焼き直しではないかと指摘されている。
    • ただしラスボス戦自体が形態変化を伴う三連戦となっており、似ているのはあくまでもその内の一つ。
    • 『カラーズ』ではエッグマンの台詞といった演出が入ったが、今回はそれもないので単に盛り上がらなく地味とも言われている。撃破後のエッグマンの顛末も描かれない。
      • 『ワールドアドベンチャー』から『ロストワールド』まではちゃんとオチとしてエッグマンの顛末が描かれていただけに、元の木阿弥となったエッグマンの描写がないのは寂しい。
      • 但し、上記の作品におけるエッグマンの顛末はいずれも非常にコメディチックに描かれている為、本作のシリアスな雰囲気とは噛み合わない。更に後日談的なパートはストーリーを終えるアバター(プレイヤー)へのはなむけとして簡潔ながらも綺麗にまとまっており、この雰囲気を壊さないようにする配慮ともとれる。
      • また、本作のエッグマンはインフィニットに皮肉を言われたりしてバカにされる等、全体的に扱いがあまり良くない。そのくせラスボスを張るため本作では少々風格が不足している。

"メフィレス"

  • なんと、 ソニック・ザ・ヘッジホッグ(2006年版)」の悪役を代表する彼は本作だと未登場である。
    • 彼と関わりのあるシャドウ、シルバー、ブレイズが本作で登場している上、ソニックファンの間から根強いカルト的人気を誇っている為、彼だけが未登場なのは首を傾かずにはいられないであろう。*9
    • いくら、ファンの間から不評を受けているゲームでのゲストキャラだとはいえ、他の悪役(ガオスやザボック等)が登場しているので、やはり理不尽な扱いを受けてしまっている印象が強く感じられてしまう。

本作のキーアイテムについて

  • 『ソニックマニア』で登場した謎の宝石「ファントムルビー」の謎が本作で明かされるが、これについても不満が多い。
    + ネタバレ注意
    • エッグマンのロボットの変身、本来なら異なる島が舞台であるはずの『ソニック1』から『ソニック3』までのステージが地続きになる、『マニア』のラストが本作に繋がるという描写などから、時間や次元を歪める力を持つと予測されていたファントムルビーだが、その正体は相手の脳を誤認識させる仮想現実兵器であったことになっている。
    • 上記の2つの描写と矛盾はないが、『マニア』で過去シリーズをつなぎ合わせた演出や、ラストが本作に繋がる描写は「脳の誤認識」では説明がつかない。
      • それどころか『マニア』の冒険の一部(あるいは全て)は「現実には起こらなかった」という解釈が可能になってしまい、それと『マニア』が高い評価を受けた事実が仇となって、特に海外のファンから批判されている。

その他の不評点

  • 世界規模の大惨事が起こっているのにもかかわらず、これまで世界の危機に何度も関わってきたカオスエメラルドが一切登場しない。
    • ラスボス戦もスーパーソニックに変身せず、ノーマルソニックのまま倒す。無料コンテンツとしてスーパーソニック自体は追加されたが、無論ストーリー上では登場しない。
    • デジタルコミックにてマスターエメラルドは登場しているが、そこでもファントムルビーがマスターエメラルドを越える物質として描写されていた。
    • 後にアメリカンコミックにてカオスエメラルドが登場しなかった原因が判明する。どちみちプレイヤー(及び待たされた読者)には優しくないが。

総評

久々のソニックオールスター作品となった本作。
エッグマンに征服された世界が舞台であること、過去に登場した敵キャラが再登場することから、発売前から多大な期待を受けていた。
シナリオについてもインタビューでしばしば期待を煽る発言が存在し、誇大広告とまではいかないまでもこれがファンの期待感を不用意に膨らませてしまったのは否めない。
蓋を開けてみれば魅力的な舞台設定やプロローグを台無しにするレベルで駆け足で説明不足が多く、本作のストーリーには多くのプレイヤーが落胆させられてしまった。

シリーズおなじみの美麗なグラフィックや良質なBGMは健在。
そしてシリーズで散々ネタにされてきた長いロードや処理落ちがほぼないと言ってよく、ツボを抑えた高速アクション自体は概ね好評である。
ゲーム部分も賛否両論ではあるが、ステージが短い分何度も気軽に楽しめるため、タイムアタックなども盛り上がっている。
また、アバターという新たな試みなどユニークかつ評価できる点もしっかり存在する。

発売当時のソニックがやや不作であり、その反動として開発スタッフの一部期待を煽ってしまう発言が仇となってしまった感じは否めない。
ただしゲームとして大きく破綻している点はなく、価格も新価格版の設定で大幅に安くなったという追い風もある。
セール時は1,000円を下回ることもあるなど、現状は『マニア』と並んで手を出しやすいタイトルとなっている。
「手軽にモダンソニックスタイルのシリーズを楽しみたい」「初めて、あるいは久しぶりに3Dソニックを遊ぶ」という人にはオススメできる要素も十分にある作品。

一方でファンを意識した演出や展開により期待を煽りすぎたわりに拍子抜けにさせたことは、既存ファン目線では大きな問題だったと言える。
この反省を活かしてなのか、本作以降は過去作品の設定等に焦点を当てたゲーム外のコンテンツが国内でも少しずつ増えるようになっている*10


余談

  • 本作の体験版はモダンソニックとアバターステージとクラシックソニックのボスをそれぞれ1つ、1分間のみプレイできるといった内容。
    • このタイムはモダンソニックのステージをギリギリゴールできるが、アバターのステージは確実にゴールできない*11
    • 過去作の体験版は必ずステージを完走できたため、この時点で出来映えを怪しんだファンも多く存在した。
    • 本作のボリューム不足はスタッフも承知の上だったのだろうか。
  • この作品の後日談から始まるIDW社によるアメリカンコミックが連載中。日本語訳もワイズ・パブリッシング社により2023年2月現在、6巻まで発売されている。
    • ブレイズがなぜいなかったのか、なぜカオスエメラルドが本編に登場しなかったのか、レジスタンスがどのような活躍をしていたのか、しているのかと言ったゲームでは見られなかった設定が描かれている。

その後の展開

  • 本作でシナリオに参加し、しばしばシリーズでも名前が上がっていた「ケン・ポンタック」「ウォーレン・グラフ」両氏は2019年に契約満了でシリーズから離れているため、本作は彼らが関わっている3Dソニックとしては最終作である。
  • 2022年11月に次回作『ソニックフロンティア』が発売された。シリーズ初のオープンワールド的な要素*12が採用されたアクションアドベンチャーとなる。詳細は作品ページを参照。
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最終更新:2023年11月19日 21:20

*1 当初から『ソニックトゥーンは派生シリーズであり、従来のソニックの展開をやめるわけではない』とインタビュー等では語られていた

*2 厳密にいえば「ソニックと暗黒の騎士でも」使えたが、この時のシャドウはよく似た別人である「ランスロット」としての登場であった

*3 厳密には「『アドベンチャー』の流れを汲むタイトルを展開してこなかったので、今回はストーリーを楽しみながらアクションゲームを楽しめる形にしています」という飯塚Pの発言がある。これらもファンの期待感を無用に煽ってしまった感がある。

*4 インフィニットがファントムルビーを使用するシーンの演出や効果音で関連性を多少は推測できるが…

*5 なお、ブレイズは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ(2006)』でも、プレイアブルキャラクターであるのにもかかわらず、シルバー編のエンディングで死亡してしまった為、「ラストエピソード」では唯一未登場と理不尽な扱いを受けている。(ラスボス(ソラリス)撃破後のエンディングで出来事そのものがなかったことになったので、結果的には生存したが。)

*6 直近の『ソニックマニア』ではプレイアブルキャラになったがあくまでクラシック

*7 モダンソニックはエンジェルアイランドの冒険の後にカオスにかかわる戦いに巻き込まれるが、『ジェネレーションズ』後のクラッシックソニックの世界ではこの戦いが起こらずに『ソニックマニア』の冒険に繋がっている

*8 当時だと久々にプレイアブル復帰した『トゥーン』くらいだが、世界観が大きく異なる

*9 一応、ソニック・ザ・ヘッジホッグ(2006年版)のエンディングで出来事そのものが消滅したことで、メフィレスの存在自体もなかったことになり、シャドウ達からにも認知されていない...とフェロー出来なくもないが、本作では悪役集合を謳っているので彼だけが不憫な扱いを受けているようにも感じられてしまう。

*10 例えば動画配信企画『テイルスチューブ』では、アメコミ独自設定と言われていたエッグマンの本名が正式に言及されたりしている

*11 特定の操作をすることでゲーム内タイマーを止めることができるバグが存在し、それを利用すれば最後までゴールすることはできる。

*12 厳密には「オープンゾーン」としており、オープンワールドの中に本作までのようなステージが配置されている形式。