ドラゴンボール改 サイヤ人来襲
【どらごんぼーるかい さいやじんらいしゅう】
| ジャンル | RPG |  
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| 対応機種 | ニンテンドーDS | 
| 発売元 | バンダイナムコゲームス | 
| 開発元 | モノリスソフト | 
| 発売日 | 2009年4月29日 | 
| 定価 | 4,800円(税別) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) | 
| 判定 | 良作 | 
| ドラゴンボールシリーズ | 
 
概要
(便宜上は)アニメ『ドラゴンボール改』のゲーム化作品。
全15章のRPGで、原作における「第23回天下一武道会編」と「サイヤ人編」のストーリーを再現している他、『ドラゴンボール(無印アニメ版)』や『ドラゴンボールZ』のアニメオリジナルエピソードやゲームオリジナルのエピソードも盛り込まれている。
特徴
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操作キャラは悟空、悟飯、ピッコロ、クリリン、ヤムチャ、天津飯の6人(戦闘に出せるのは3人まで)で、章によってパーティ構成は異なる。
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サイヤ人編終盤では、原作通りピッコロ達は死亡してしまうが、
占いババの力であの世から一時帰還
という形でパーティーに加わる。
 
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パラメータはHP、KI (気。要はMP)、力、防、復、技、速、運の8つ。
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キャラがレベルアップした際、各パラメータの上昇に加えてボーナスポイントが2ポイント得られ、HPとKI以外の6ついずれかに自由に振り分けられる。
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経験値とは別のAPというポイントを消費することで、キャラの能力を上げたり必殺技や究極技を習得することができる。また、既に覚えている技もAPを消費して強化することが可能。
 
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戦闘はサイドビューで行われる。『強襲!サイヤ人』などのようなカードバトル方式ではなく、基本的にはオーソドックスなコマンド選択式バトルである。
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必殺技
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一般的なRPGにおける魔法のようなもの。「かめはめ波」「気円斬」といったお馴染みの技が中心で、それぞれに攻撃範囲や追加効果などの個性付けがなされている。
 
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究極技、スパーキングコンボ
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味方キャラは戦闘中にダメージを与える、もしくはダメージを受けるごとに「怒りゲージ」が溜まっていく。これがMAXになると「Sparking!」状態となり、各キャラごとに異なる「究極技」を放てるようになる。究極技に設定されているのは「元気玉」「魔貫光殺砲」など納得のチョイス。
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さらに複数の「Sparking!」状態となったキャラが同時に特定の技を使うと、強力な連携技「スパーキングコンボ」が発動する。技の組み合わせのヒントは、各地に隠されているメモから得ることができる。
 
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アクティブガード
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敵の攻撃時、攻撃を受けるキャラの頭上に「ピキーン!」という効果音と共にアイコンが表示される。このタイミングで各キャラに対応したボタンを押すとダメージが軽減され、状態異常攻撃の場合はその状態異常を付与される確率も下がる。
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攻撃してくる敵の種類にもよるがタイミングは中々シビア。また、敵が複数攻撃を放ってきた場合でもアクティブガードができるのは一人だけ。
 
 
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カプセルアイテム
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通常のアイテムとは異なり、下画面の枠にセットしておくことで常時効果を発揮するアイテム。特定属性の攻撃やダメージ床を無効化したり、エンカウント率を上下させたり、バトルの報酬に影響を与えたりと効果は様々。
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アイテムをセットできる枠は最大4つだが、メインで使用している1つ以外は「待機中」となり効果が下がる。アイテムによっては待機中でも100%効果を発揮したり、逆に全く効果を発揮しなくなったりもする。
 
評価点
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グラフィック
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戦闘シーンのキャラドットは敵味方ともに美麗でアニメパターンも豊富。特に女性の敵キャラはどれも中々可愛らしい。
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マップも細部まで書き込まれている。さらに様々な場所にアイテムや小ネタが隠されているため探索心に火をつける。
 
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戦闘
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攻撃や必殺技の演出はスピーディーかつ迫力があり、爽快感のある戦闘が楽しめる。敵の攻撃中もアクティブガードの入力があるので退屈しない。
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ゲームバランスは概ね良好。簡単すぎず難しすぎない絶妙な調整である。
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キャラクター間のバランスも良く、弱すぎて使えない、出番がないといったキャラはいない。
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全てのパラメータが高い万能キャラの悟空、速のパラメータが高く連続攻撃でゲージを貯めやすいヤムチャ、最初は弱いがレベルを上げると爆発的にパラメータが伸び始める悟飯など、キャラ性能も原作に基づいたものとなっている。
 
 
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アニメオリジナルエピソードの網羅
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ある意味本作最大の特徴。アンニン、蛇姫、C-6号など知る人ぞ知るアニメオリジナルキャラクターが登場するのはマニアにとっては感涙もの。ストーリーには絡まないが、悟飯の必殺技扱いでハイヤードラゴンも登場する。
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ドラゴンボールのゲーム化作品は数あれど、彼らがクローズアップされている作品というのは非常に貴重である。
 
 
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高い原作再現度
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一部ゲーム化に合わせた改変はあるものの、ストーリーは基本的に原作やアニメを忠実に再現しており、前述のアニメオリジナルキャラクター達もアニメの役回りそのままで登場する。
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戦闘中の演出にも原作ファンをニヤリとさせるものが多数。ラディッツ達サイヤ人のモーションが原作の戦闘描写を元にしている、ヤムチャが戦闘不能になるとあのポーズで倒れる…など。
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ヤムチャの髪型や悟飯の服装など、時期によって外見が異なるキャラはそれぞれの戦闘時のドットをきちんと描き起こしているというこだわりぶりである。
 
 
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ゲームオリジナルエピソード
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原作やアニメで描かれなかった部分の補完が主となっており、ストーリーの合間に無理なく挿入されている。
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また、ハッチャンとスノや兎人参化など無印時代のキャラクターが登場するエピソードが多く、オールドファンにはたまらない。
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栽培マンシリーズ(キュウコンマン、カイワレマン、テンネンマン、ジンコウマン)が登場するなど、過去作へのオマージュもみられる。
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そして、特定の条件を満たすと、あの
伝説の超サイヤ人ブロリー
と対決できる隠し要素もある。
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その強さも、伝説の超サイヤ人に恥じぬ圧倒的な強さを誇る。
 
 
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音楽
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BGMはほぼ全てオリジナルだが質は高く、ドラゴンボールの世界観にも合っている。
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ファミコンソフト「ドラゴンボール 神龍の謎」のBGMが2曲アレンジされて使われている。ここでも過去作へのオマージュがみられる。
 
問題点
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イベントシーンのテンポが悪い
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キャラがセリフを発する度にそのキャラの頭上に感情を表す絵文字が表示され、1秒ほど硬直するため非常に鬱陶しい。
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Rボタンで高速化している間は絵文字は出ないが、それでもセリフとセリフの間に微妙な「間」があるため根本的な解決には至らない。
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絵文字の種類自体も少なく、ベジータやナッパが可愛らしいニッコリマークを浮かべる様は脱力を誘う。
 
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イベントスキップは可能なのだが、ボス戦前のイベントはなぜかスキップできない。
 
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餃子が使用できない
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れっきとしたZ戦士の一員であるはずの餃子だが、今作では一切戦闘に参加しない。
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正式なパーティメンバーでなくとも、バブルスやグレゴリーのようにNPC戦闘員として一時的に参戦させるのではダメだったのだろうか。
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一応ストーリー面では冷遇されている訳ではなく、ゲームオリジナルの3章や12章ではまるでヒロインのような扱いを受けている。
 
 
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スパーキングコンボ
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本作の売りの1つとして扱われているが、発動元の技をそのまま繋げただけというコンボが多く、やや手抜き感がある。
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「かめはめ乱舞」など凝った演出のコンボもあるにはあるが。
 
 
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違和感のある敵キャラクター達
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本作のザコ敵は熊や猪といった野生動物、盗賊やならず者といった悪党などがメイン。
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野生動物の中には「きょうりゅう」や「ダチョウニワトリ」等原作のどこかで見たようなキャラクターも。
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まだそこまでインフレが進んでいない時期とはいえ、圧倒的な強さを持つはずのZ戦士達が動物や一般人相手に普通にダメージを受け、あまつさえ倒されてしまうのは違和感が強い。
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また一部のエピソードではピラフマシンやホワイト将軍といった無印時代のキャラクター達がボスとして登場するのだが、少年時代の悟空にあっさり倒された彼らがZ戦士達と対等に戦えるほど強くなっているのも謎。鍛え直したとでも言うのか…。
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もっとも、ゲームとしての歯応えを出さなければならないことを考えれば致し方のない設定ではある。
 
 
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面倒さが目立つやり込み要素
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天津飯の必殺技「魔封波」でザコ敵を捕まえて収集するというどこかで聞いたような要素があり、捕まえた数に応じて神様から報酬が貰える。
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ザコ敵を弱らせることで捕獲しやすくなるというこれまたどこかで聞いたような仕様があるのだが、ストーリーが進んでから序盤の敵を捕まえようとしても一撃で倒してしまい「弱らせる」のが困難。
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一応ダメージを与えなくても捕まらない訳ではないし、「毒状態にしてHPを減らす」「ダメージがパラメータに依存しない攻撃用アイテムを使う」などの抜け道はあるが。
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原作の設定を反映したのか、魔封波を使う度に天津飯のHPが減るという仕様も厄介。幸い、魔封波使用時のダメージで戦闘不能になることはない。
 
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カプセルアイテム「人参化のてぶくろ」をセットして敵を倒すとその敵が人参になり、アイテムとして手に入る。
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この人参をある男に一定の本数渡すことで報酬が貰えるのだが、最後の報酬を得る為に必要な人参の数はなんと1000本。単純に1000体の敵を倒す必要があり、かなり作業感が強い。
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さらに、人参化のてぶくろをセットしていると敵を倒してもゼニーが入手できなくなる。経験値は入るのでレベル上げと並行して集められるのが救いか。
 
 
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取り返しのつかない要素
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レベルアップ時のボーナスポイントは一度振り分けると振り直すことはできない。
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とはいえそこまで厳しいゲームバランスではないため、よほど極端な振り分け方をしなければストーリーで詰まるようなことはまずないだろう。
 
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5章最後のダンジョンの中ボスはルート選択によっては戦わずに進むことができるのだが、そのダンジョンはクリアすると二度と入れないため、スルーした場合は敵キャラ図鑑の完成が不可能になる。
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カプセルアイテムの「スカウター」を敵に使用するとその敵の耐性やドロップアイテムが図鑑に記入されるのだが、ボスは基本一度しか戦えないためスカウターを使い損ねるとそのボスの情報が不完全になる。また、スカウター入手前に戦うボスは全ての情報を記入できない。
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もっとも、図鑑をコンプリートしてもこれといった特典は無いため、完全に自己満足の域であるが。
 
 
総評
『ドラゴンボール』のRPG化作品としては全体的に手堅くまとまっている。
イベントシーンはテンポが悪いが、肝心の戦闘シーンはスピーディーでゲームバランスも良く、まさしくスピーディーな構成に生まれ変わったアニメ版『改』の如くサクサク進められる。
また、これといって変わったシステムが存在しない、ドラゴンボールの正統派コマンドRPGというのも何気に貴重な存在。
多数のアニメオリジナルキャラクターが登場するのも他のドラゴンボールゲームにはない特徴で、彼らのファンなら是非ともお勧めしたい一作である。
余談
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本作は当初『ドラゴンボールZ STORY サイヤ人来襲』というタイトルであったが、『改』の放送開始に合わせて現タイトルへ変更になったという経緯がある。
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ゲーム内容がドラゴンボールZ準拠なのはそのためと思われ、海外では『Dragon Ball Z: Attack of the Saiyans』のタイトルで発売されている。
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キャストに関しても天津飯は鈴置洋孝氏、ナッパは飯塚昭三氏とZ準拠の声優が起用されている。(音声は過去のゲーム作品の流用)
 
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原作の名有りキャラである「男狼」がなぜか普通のザコ敵として量産されている。
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また、「きゅうけつき」「ミイラ男」というザコ敵は、外見が原作の「ドラキュラマン」「ミイラくん」と全く同一である。後者はなぜかスコップを持たされているが。
 
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エンディングのスタッフロールが全て流れ終わると、原作の次エピソード『ナメック星編』のボスであるフリーザのシルエットが不穏なBGMと共に表示される。
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物語がまだ終わっていないことを露骨に匂わせる演出だが、続編にあたるゲームは未だ発売されていない。
 
最終更新:2024年03月21日 21:08