バレーボール
【ばれーぼーる】
| ジャンル | スポーツ(バレーボール) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 任天堂開発第一部 パックスソフトニカ
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| 発売日 | 1986年7月21日 | 
| 定価 | 2,500円(片面) | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| レーティング | 【VC】CERO:A(全年齢対象) | 
| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2007年8月21日/500ポイント
 【WiiU】2014年3月12日/524円
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| 判定 | なし | 
| ポイント | 今では伝説のサイドアウト制 慣れるまでちょっと難しい
 1P時は世界の強さがリアル(当時)
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概要
文字通りバレーボールのゲーム。
当時のバレーボールのルールをそのまま採用しているので現在のものとはかなり違ったものになっている。
ゲーム自身のタイトルにそのままストレートにスポーツの名前を使った『テニス』『ベースボール』『ゴルフ』などと並ぶ任天堂の無印系スポーツゲーム。
本シリーズとしては初のディスクカード専用での販売となった。
元々はMSX用ソフト『アタック・フォー』の移植版であるが、こちらはタイトルの通り4人による変則バレーボールになっているのに対し本作ではちゃんと本来のバレーボールである6人制になっている。
内容
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無印系スポーツゲームらしく1試合して終わりと言うスタイルで基本対戦ありき、COMプレイはその相手がいない場合に相手役となるだけで、クリアもエンディングないシンプル構成。
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1Pの場合、プレイヤーは日本固定。相手の国を選び、それがCPU思考パターンの強さになる。
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強さは「ソ連>中国>アメリカ>キューバ>ブラジル>韓国>チュニジア」で大体当時の情勢を現している。
 
 
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女子と男子のモードがあり、男子の方がボールのスピードが速い。
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トレーニングモードがあり、このモードは1P専用で自分も相手も基本は白いユニフォームで女子限定。CPUの強さは最弱のチュニジアに準拠している。
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動く選手が赤色になるので、どんなタイミングやシチュエーションでどの位置の選手が動くのかを覚えるのに適している。
 
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6人制なのにローテーションもないが、選手のステータスはまったくのイコールコンディションなので特に意味はない。
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ポジショニングフォルトは起きないように動ける範囲でカバーされている。
当時のルール
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サイドアウト制
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サーブ権を持った側がラリーに勝つことでのみ得点が入り、持っていない側がラリーに勝った場合はサーブ権を得るのみで得点は入らない。
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つまり現在で言う「ブレイク」の場合のみが得点となり「サイドアウト」を繰り返している間は1点も入らない。
 
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5セットマッチ(3セット先取で勝ち)でセット単位では15点先取でセットを獲得し、2点差がつくまではデュースとなる。
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最終セットはどちらかが8点目を先取した時点でコートチェンジ(これは現在も同じ)。
 
 
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サーブがネットに当った時点でサーブミス扱いとし、相手側にサーブ権が移行。
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後述の通り現在のようなネットインは当時認められていなかった。
 
評価点
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『アタック・フォー』と違って6人で現実のバレーボールに即しており、また選手の動きもかなりスピーディーになり、ぎこちなさがなくなっている。
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更に頭身も若干高くなり、ジャンプの仕方も自然なものになっている。
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ブロックなどにもちゃんとアクションあり。
 
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リアルさも追求。
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レシーブでも、強烈なスパイクをレシーブするとひっくり返るなど、いろいろアクションが細かい。
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ポーズはサーブを打つ前にしかできず、ポーズするとまるでタイムアウトのようなアクションがされる。
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ゲームとして多少自由度がきかない面もあるが、ラリーが終わるまでの時間は短いのでさほど気にならない。
 
 
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ドライブサーブの打ち方。
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サーブも単に入れるだけでなく、ボールを投げ上げて、落ちてくるところで打つとトップスピンがかかり、更に床に落ちる寸前のタイミングほど変化球が強くなりレシーブされにくくなる。
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もちろん狙いすぎると落としてしまいサーブミスになるので、こういった部分でも技術介入を持たせている。
 
 
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前衛を固めることができる。
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ディフェンス時にAボタンを押すと前衛を集めてブロックすることができる。
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またこの場合、ジャンプの人数も連打することで増やすことができる。
 
問題点
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トレーニングモードがあるとはいえ、動きを覚えるのはそう簡単ではない。
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そのため同じ無印系スポーツの『ベースボール』や『サッカー』に比べると上級者向けと言える。
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トレーニングモードで対戦ができない。
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これができただけでも上記の問題点はだいぶ改善されるのに、それができないのはかゆい所に手が届いていない。
 
 
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18点以上でデュースになると点数で表示されず点差表記になる。
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当り前と言えば当り前だが、お互いが18点でデュースになると決着時は20点以上になるので、表示が得点ではなくなる(10の位が縦棒1本分しかないので)。
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表示は「0」「1」「2」だけになる(それぞれ10の桁に、半分の「1」が表示される)。
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つまり、この状態で「2」になれば、そのセットを取ったことになる。
 
 
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クイックや一人時間差ができない。
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ゲームの都合上、高いトスでもジャンプして降りてまたジャンプというだけで精一杯で打てる余裕がない。
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高いトスが上がった時点でバレバレなのでやる意味がない。
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クイックにしてもトスを上げると同時にジャンプする必要があり、ゲームではやはり操作のタイムラグが大きいのでかなり難しい。
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つまり「コンビネーションバレー」というスタイルが確立されていなかったメキシコオリンピック(1968年)当時に近いようなものになっている。
 
 
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ビビってアタックを打ってこないCPU。
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こちらが前衛でブロックをさせるためにジャンプすると、それだけでCPUはアタックしてこず、トスされたボールをみすみす落としてしまう挙動が時折見られる(弱いチュニジア等は特に)。
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そのため、アクションは当時にしてはリアルでスピーディーながら、こういった部分で歯痒さを感じやすく、リアル要素を殺している感が否めない。
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ダメならダメなりにアタックしてくるぐらいのロジックは欲しかったところ。
 
 
総評
当時はもはや当たり前だったコンビネーションができない点に物足りなさや、動けるキャラを把握しにくいゲーム性に関してはシステム面のフォロー不足が否めない。またCPUのロジックにも問題はある。
しかし複雑で難しいバレーボールのゲーム性を、最低限ながら操作の限られたファミコンに落とし込め、バレーボールらしくスピーディーな動きも両立できており、草創期のゲームとしては及第点な完成度にはなっている。
その後の展開
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任天堂による無印系タイトルのスポーツゲームは1986年10月6日、『プロレス』をディスクカードで発売。
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これまでの同シリーズは選手の能力差や個性や個人名がなかったが、この作品ではそれぞれのキャラに名前があり技やステータスなどにも個性があるのが特徴。
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開発は後の『ファイプロシリーズ』を生み出したヒューマンの前身TRYによるものである。
 
余談
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実は本作はロムカセット版の発売も予定されていたが、こちらはお蔵入りとなった。
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元々ディスクシステム発売にあたり任天堂は完全に供給を転換する予定だったことを考えると無理もない話。
 
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これ以後バレーボールはルールがどんどん変わっていくことになる。
 サイドアウト制が廃止されるまでの間に素人目にわかるものでも下記のようなことがあった。
    
    
        | + | ルール変更の詳細 | 
1989年最終セット以外はデュースが17点で打ち切り
 最終セットのみラリーポイント制が導入
1994年サービスゾーンはエンドライン一杯まで広がった
1995年足で扱うことが可能になった(以前は膝から下を使うと反則)
1998年リベロ制が導入
1999年サーブのネットインが認められた(ネットに触れても相手側コートに落ちればポイントになる)
 サイドアウト制が廃止され完全ラリーポイント制となり15点から1セット25点制となる(同時にデュース打ち切りも廃止)
 
このように15年に満たない間にみるみる変わっている。やはり特に大きいのがサイドアウト制の廃止だろう。
サイドアウト制の特徴としては10点差をつけられても普通に逆転できるのが大きな特徴で、それを惜しむ声が現在も多い。
 
実はそれ以前にもいろいろルールの変遷があり、国際バレーボール連盟(FIVB)が創設された1947年まで遡れば
1965年オーバーネットを反則から除外(以前はネットを越えて相手側に体をはみだすのは禁止だった)。
1967年サーブの制限時間5秒が導入。
1977年ブロックをノーカウント化(それ以前はブロックしきれなかったら、あと2手で返さなければならなかったので失敗時のリスクが高かった)。
1984年サーブブロックを禁止。
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バレーボールのゲーム自体ラインナップが少ないのは、低年齢層にはやや難しめのルールだけでなく、このようなルール変更が多いためとも考えられる。
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他には1986年の時点でも、日本代表がかつての強さを失い人気が低迷気味だったのに、1990年代以降に入ると、それが加速度的に進んだことなどもあるだろう。
 
    
    
        | + | CM「田中さんちでバレーボールが始まるぞー!」 |  | 
最終更新:2023年10月27日 18:53