プロレス
【ぷろれす】
| ジャンル | スポーツ(プロレス) |  | 
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ディスクシステム | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | TRY | 
| 発売日 | 1986年10月21日 | 
| 定価 | 2,500円(片面) | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 初のエンディングがあるスポーツゲーム この時期にして早くも確立された王道システム
 無印系スポーツのタイトルながらファミコン初を逃した
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概要
『テニス』『ベースボール』『ゴルフ』など、任天堂の無印系タイトルのスポーツゲーム。
本シリーズは、ゲーム自身のタイトルにそのままストレートにスポーツの名前をそのまま使ったものであり、いずれもそれぞれのジャンル初作品だが、本作はナムコの『タッグチームプロレスリング』(同年4月2日にロムカセットとして発売)の後塵を拝しているという残念な点がある。
しかし、シンプルながら後のプロレスゲーム王道となるスタイルを早々と築き、後の世につなげたのはまぎれもなく本作である。
またプレイヤーキャラクターが固定の名前を持たない任天堂の無印系スポーツゲームのシリーズながらキャラクターに固有の名前や個性があるというシリーズでも珍しい特徴を持っている。
ただし、タイトルは『ゴルフ』と『サッカー』を除く今までのシリーズ恒例の「スポーツ行進曲」のアレンジ版を使用している。
開発のTRYはヒューマンの前身で、組み合ってからの十字ボタンと複合して技をかけるという『ファイヤープロレスリング』のシステムの地盤が築かれており、同シリーズの原点とも呼ばれている。
そのため同シリーズと共通する部分がいくらか見られる。
内容
プレイヤーは6人のレスラーから1人を選び、FWAチャンピオンを目指す(最初は5位からスタート)。
勝つとランクが1つ上がり、負けると1つ下がる。6位に転落するとゲームオーバー。
チャンピオンになると防衛戦に突入し、10回連続で防衛するとFWFのチャンピオン「グレート・プーマ」とのダブルタイトルマッチに突入。
ダブルタイトルマッチは勝てばエンディング、負ければリターンマッチへ、そのリターンマッチで負けるとゲームオーバー。
システム
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ルールはシングルマッチのみで5分間勝負。
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フォールして3カウントのピンフォール、リング外で20カウント以内に戻れない時のリングアウト、コーナーポスト上で5秒間乗りっぱなしでの反則負けで決着。
 
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体力はゲージなどで表示されるわけではなく、技が決まった瞬間に一定の水準を下回るとSEで知らせる形式。
1回目に笛のような音が鳴り、2回目になるとブザーのような音が鳴る。
 2回目が鳴った時はもはや風前の灯火で、やっとこギリギリフォールが返せる程度(その状態で2度ほど喰らったらまずアウト)。
登場キャラクター
ファイターハヤブサ
スターマン
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固有技はフライングクロスチョップとサマーソルトキック
キン・コン・カーン
ジャイアント・パンサー
ジ・アマゾン
キング・スレンダー
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固有技はシュミット式バックブリーカー
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FWAチャンピオン
グレート・プーマ
評価点
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任天堂の無印スポーツシリーズのため地味だがエンディングがある。
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それまでの同シリーズはあくまでプレイヤー同士の対戦ありきで、相手がいない場合コンピュータが相手になるというためだけのもので、単戦するだけで目的意識が生まれにくかったが、それが解消されている。
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実はエンディングのあるスポーツゲームは初だったりする。これまでのスポーツゲームは1戦するだけか、スコアを競うのみでエンディングを持つものは意外にも1つもない。
 
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ファミコン初期のゲームながら技のパターンが多彩
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任天堂の無印系スポーツゲームながら、地味ながら立ったままの打撃、走りながらの打撃、トップロープ技、など後のプロレスゲームの大部分を網羅できている。
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絞め技や関節技こそないものの、コーナーポストからの飛び技や、果てはリング外に落下した相手に対してのブランチャーまで搭載している。
 
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技も、かなり多彩でそれぞれ固有技も持っている。
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しかも、そのかけ方も異なっており、個性が出せている。
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ハヤブサの延髄切りのように使いこなすには相当コツが必要で、しかも失敗(空振り)した場合、少ないながら自分がダメージを受ける代わりに、当てれば超強力な威力だったりなど、バランスもいい。
 
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技をかけるコマンドはタイミングが重要で当時のゲームによくあった「なんでも連打連打でゴリ押せばいい」という悪癖を払拭している。
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全体的に公平なバランスでお互いに個性を持ったキャラで対戦ができる。
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それまでの無印系スポーツシリーズはチームの名前があれども所詮はイコールコンディションだったが、本作ではレスラーそれぞれに固有技がありトータルでは公平ながらも変化のある対戦ができる。
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贅沢を言うなら同キャラ戦もできたなら完璧だったが、当時はそれができないのが標準だった。
 
問題点
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ダブルタイトルマッチには防衛戦を10連勝、つまりタイトル奪取までを含めれば最低15戦、同じ相手と3度も戦うのは若干冗長気味に感じるところがある。
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ただ上記の『タッグチームプロレスリング』は同じ相手としか戦えず、ワールドチャンピオンになるためにはそれを35回も繰り返すという極悪なものだったので、それを思えば…
 
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評価点と被る部分だが組んで技をかける(コマンドを入れる)タイミングが感覚で慣れるしかない。
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組んだらすぐ技がかかるわけではなく『ファイヤープロレスリング』シリーズのように、腰を落とすような目に見えるものがない。
 
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スターマンにお手軽なハメ技がある。これを使えば誰でも無敗のままエンディングまで行ける。
総評
まだ草創期ということもあり、登場レスラーの人数も少なく、絞め技もなくピンフォールのみという地味さはあれど後々のプロレスゲームの基礎となるスタイルは早くも築かれている。
順当にクリアを繰り返せば、エンディングに辿り着けるなど、これまでの「スポーツを再現して1戦するだけ」という無印スポーツにはない目的意識を生み出している。
プロレスゲーム自体ファミコンでは3年後の1989年まで発売されず全体でも少ないとはいえ、まだ草創期の作品である本作が最高だと言う声も多いのが頷ける内容。
その後の展開
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任天堂の無印系スポーツとしては1988年1月のディスクソフト『アイスホッケー』が最後となる。
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上記作品は再び「プレイヤーキャラクターに個人名なし」「1戦限りの対戦ゲーム」というスタイルに戻っている。
 
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上記の通り本作を開発したTRY(後のヒューマン)は後にこのシステムを活かして自社の看板シリーズとなる『ファイプロシリーズ』を作り上げることになる。
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1990年にゲームボーイソフトでも同名タイトルの『プロレス』というタイトルのゲームが出ているが、こちらはヒューマン自身が発売している。
余談
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延髄切りを必殺技としているので察しはつくと思われるが、パッケージにも描かれているファイターハヤブサのモデルはアントニオ猪木である。
 同様にモンゴリアンチョップを使うキン・コン・カーンはキラー・カーンがモデルである。
最終更新:2023年10月27日 18:56