甲虫王者ムシキング 対戦バトラーズターミナル
【こうちゅうおうじゃむしきんぐ たいせんばとらーずたーみなる】
| ジャンル | トレーディングカードアーケードゲーム | imageプラグインエラー : 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 | 
| 対応機種 | アーケード(SYSTEM SP) | 
| 発売元 | セガ | 
| 稼働開始日 | 2007年1月18日 | 
| 料金 | 1プレイ:100円 専用カード発行:300円
 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | ムシキング衰退期に登場した対戦台 だがその対戦が過疎状態
 オンライン対戦ができない通信対戦ゲーム
 稼働からたった1年余りで稼働終了
 「町の有名人」にはなれません。
 | 
| 甲虫王者ムシキングシリーズリンク | 
 
概要
2006年に突如セガが稼動開始を発表した『甲虫王者ムシキング』(以下、本家)の派生的作品。
もうひとつの派生作品『ポポの冒険編』が思ったより芳しくなく、この頃徐々にムシキングの衰退が本格的に始まりかけていたため、歯止めを掛けるためにセガが導入した……はずだった。
特徴
タイトル通り「対戦」に主軸を置いており、筐体は2台セットのいわゆる対戦台で、ムシキング初の2on2対戦が可能。
独自要素として「バトルランク」がある。専用の記録用カードを登録すると、バトルで勝利することでポイントが溜まり、10級から10段まで上がっていく。
初開催のムシキング全国大会にも本作が用いられた。
カードの種類
- 
バトルライセンスカード
- 
本作専用の記録用カード。自分の成績やバトルランクが記録される。
 
- 
ムシカード、わざカード
- 
本家のものと効果は同じだが、専用のデザインで、一部を除きバーコードが青色になっている。もちろん従来のカードも使用可能。以下の2バージョンが登場した。
- 
第1弾の「対戦バトラーズターミナルver.」では本家で稼働開始時から登場している虫の一部が登場。当時の本家のバージョンで排出されていない虫も収録され、特に「セアカフタマタクワガタ」は排出終了から2年ぶりの再録となった。なお、バーコードは色が異なるが、通常版と同じ。
- 
第2弾の「対戦バトラーズターミナル 2007 Ver1.0」では「オールスターズ甲虫カード」(作中の登場人物が使用する限定カード)が登場した他、当時本家でカードの出荷が遅れていた「2007ファースト」で初登場のカードが先行登場した。こちらはバーコードは再録となるカードも含め、全て新規のものとなっている。
 
 
評価点
- 
映像が美麗に
- 
ブラウン管ではなく液晶で登場する虫はリアルさ極まって美しい。
- 
だが、メインターゲットである子供にはあまり伝わらなかった。また筐体が従来の物と同じため大人でも驚いた人は少ない。
 
- 
データの作製図のように出てくる虫はかっこいい。ちなみに登場時のフレームの色はプレイヤーのバトルランクで変化する。
 
- 
記録用カードに自分の成績やバトルランクが記録され、他のプレイヤーと競える。一番の売り出しポイントで、対戦重視のファンには嬉しい。
- 
最高位の「10段」になると、特殊なカード「Aランク バトルライセンスカード」が貰える。
- 
バトル演出が派手になる、専用のステージが出るなどの特典がある。
 
 
- 
稼働を記念して新デザインのカードが登場した。
- 
もちろん従来のカードも使える。
- 
また、新カードの中には色違いが入っていたりする。
 
- 
イベント
- 
毎週水曜日に新人戦があり、初級者はバトルポイントを多く貰える。
- 
週末には一人用モードで特殊なキャラと戦える。
- 
さらに「バトラーズミッション」というイベントが配信された。もっとも、こちらは「段位10段を目指せ!」を二回やった「だけ」で稼働終了してしまったのだが…。
 
- 
対戦面のパワーアップ
- 
作品タイトルとコンセプトの通りに本家よりも対戦面は改善されており、上述したように2on2対戦が可能。
- 
本家ではじゃんけんシステムを採用しているのに1台のみの対戦のせいで手元で出す手が丸見えになるというトラブルになりかねない大きな欠点があったが、店内通信対戦によってそれは対策された。
- 
筐体には本家の筐体でも後付けで手元のボタンを隠すカバーが設置されることがあったが、本作では基本的に筐体のボタン部分にカバーが付けられるなど不正対策も強化されている。
- 
しかし、2007年時点の対戦型ゲーム、しかも対人戦では選択肢を隠す必要のあるムシキングのゲームシステムを考えると、これらの改善はやっと行われたというべきのかもしれない。また、ムシキングの人気自体が衰えたことによる過疎というゲーム外の要因や対戦要素をアピールしている割には何かしらのオンライン要素による競技性がないなど、パワーアップとしてはあくまでも本家と比較すればという感じであり、単体の対戦特化型ゲームとしては貧弱な印象も強い。
 
 
問題点
- 
登場した頃にはムシキング自体の人気が沈静化していた為に過疎が酷く、あまり人が集まらず、肝心の対戦がほとんどできない。
- 
一番のウリのポイントであるはずの店内ランキングも勿論過疎。「少しやれば」順位に入れるレベルであり手応えに欠ける。
- 
公式の宣伝には「君も町の有名人になれる」と書かれていたが、この過疎状態ではまずなれない。
 
- 
オンライン対戦機能がないのも過疎の大きな原因だろう。このせいで沈静化前であってもできなかったかもしれない。
 
- 
1人用モードとして「ネブ博士と戦う」があるのだが、タッグマッチでは「グラントシロカブト」を使わない。タッグ相性の関係からか「ゴホンヅノカブト」と「タイゴホンヅノカブト」で固定されている。
- 
もっとも、「グラントシロカブト」は同属の小型甲虫がフォレストグリーンで登場した「超必殺わざ・究極必殺わざ以外が全く同じステータス」の「ティティウスシロカブト」しか登場していないため、やむを得なかったのかもしれないが…
- 
ネブ博士が使用する虫には他に「エラフスホソアカクワガタ」がいるが、こちらは同属の虫が登場するのはアダー完結編になってからだった。
- 
ただし、アダー完結編では強さ140程度に引き上げられたため、小型甲虫ではなくなった。もっとも、本来では中型甲虫として出すべきである体格だったのだが…
 
 
- 
ルールは一切変わっていない。本家が廃れる要因でもあった為に、もう少し手を加えられなかったのだろうか?
- 
ストーリーもない。ランキング対戦は前述した通りなので、本家から画質「以外」は劣化。
 
- 
設置店が少ない。……というよりも普及する計画の前にセガが突然、2008年の4月頃にホームページにて撤退宣言。僅か1年程度で終わった。
- 
恐らく、本家の『アダー完結編』への移行に伴うものと思われる。
- 
実施中だった大会も中止。楽しんでいたプレイヤーが憤怒したのは言うまでもない。
 
- 
カードデザインの視認性
- 
電脳空間のような背景にワイヤーフレームで甲虫が描かれているデータ風のカードデザインが評価されている一方、「イラスト付きカード」として評価すると視認性が本家よりも悪化している部分がある。全ての甲虫が似た背景でシンプルなワイヤーフレームで描かれていることで体色などが描かれていないために甲虫の個性が薄れていたり、複数の甲虫や動きが描かれるわざカードのイラストの状況などがわかりづらくなっている。
- 
例えば本作では「ヘルクレスオオカブト」と「ヘルクレスオキシデンタリス」などの形状が同じ甲虫が排出されているが、イラストにおける甲虫だけで判断すると、互いに反転したようなポーズになっていることもあって甲虫の差別化されている個性の部分が分からない。ゲームにおける性能やテキストも違うため、同じカードと誤認するような可能性はまずないだろうが。
 
 
- 
対人戦重視だが対戦プレイに関する調整は無い
- 
本家は対戦ゲームとして見ると「とくしゅわざのバランス調整が雑で対人戦では大型甲虫+とくしゅわざ全振り編成になりやすい」「タッグマッチの相性設定が甲虫の属に由来するルールの問題で実質的に使用カードに制限が出来ている」など、究極的にはじゃんけんで運が上振れすれば何とかなるとは言え、小さくない問題点が見当たった。しかし、対戦特価を売りにしている本作がそういった対戦面でのバランスを調整していたり、或いは何かしらの調整が出来る新モードや独自ルールを搭載しているということも一切ない。
- 
ただし、対戦バトラーズターミナルは本家とのカードの完全互換を保っており、ゲーム自体のルール変更も一切ないため、その部分に大胆なテコ入れが出来なかったとは思われる。
- 
また、後に大きなゲームシステムの変更が起きた『アダー完結編』ではゲームのバランス調整は改善どころかむしろ悪化しているとまで言える事態になっていたため、下手にテコ入れをしても悪化した可能性も考えられるかもしれない。
 
 
総評
結局は無駄だったセガの最後の抵抗。と言えるくらいに発売する時期が遅かったゲーム。
乾坤一擲のランキング対戦も過疎で機能しなかったために、同じくアーケードカードバトル勢力として台頭していたバンダイやタカラトミーの作品に対抗できなかった。
これだったら「スーパーコレクション」などの家庭用ゲーム機に移植して販売した方が良かったんじゃなかろうか…
その後
この作品の人気の無さがムシキングそのものの人気にも響き、逆に衰退を進めてしまった。
というわけで本作の稼動終了後の1年半後には、本家ムシキング自体も6年間の沈黙へといざなわれてしまったのであった。
余談
- 
本作の稼働終了後からおよそ7年程経って稼働した『新甲虫王者ムシキング』にも「ふたりでたいせん」というモードがあるが、前述したオンラインどころか店舗内での通信対戦もできない。1つの筐体で2人で対戦するという、今となってはやや時代遅れ感が否めないものとなっている。
- 
本作限定カードの「オールスターズ甲虫カード」には、カード化されていないものが存在する。これらは『スーパーコレクション』でも没データとなっている。上記の通り、稼働途中で突然終了した為か、これらのカードはお蔵入りとなり、日の目を見る事はなかったのであった。
- 
ネブ博士スペシャル
- 
ブラック博士スペシャル
- 
ギラファノコギリクワガタ、ヘルクレスオオカブト、タランドゥスツヤクワガタ
 
- 
ムシ王スペシャル
- 
「クワ王スペシャルオオクワガタ」「ムシキングジョニースペシャルネプチューンオオカブト」は『スーパーコレクション』に音声データのみ存在するが、カード化されておらず、専用グラフィックも無い。
- 
「クワ王スペシャルオオクワガタ」に関してはクワ王は「オオクワガタ」に特殊わざでもないのに相性○になる「ガンガンスマッシュ」しかカスタマイズしない為、超必殺わざの設定に困って断念したのかもしれないが。
 
 
- 
わざカードの「スーパーローリングクラッチホールド」も、『スーパーコレクション』の「カードコレクション」画面でのバージョン表記から、本作でカード化される予定だったと思われる。
- 
一応、改造コードか解析データを用いて印刷したバーコードを使えば使用はできるため、解析データを用いて印刷したバーコードを使えばアーケード版でも使用できたと思われる。
- 
「スーパーアタックタイプ版カブト丸」も同じ手段を使えば使用できる。ただし、「スーパーアタックタイプ版キング」はちゃんとカード化されているため、併用したい場合やアダー完結編で専用の物語をする場合でない限りこちらでも事足りる。
 
 
- 
ネブ博士を演じた根布谷朋範は本作の稼働終了から長い年月が経過した後年に本作について言及している。それによると本作は「全てをかけた」らしいが、夢半ばで稼働終了という結果に開発者人生で一番つらい経験となり、悔し涙も流したとのこと。一方でお客様の事をもっと知る事が出来たとして大切な一作と語っている。
- 
このことから本作がムシキングの今後の命運を握る一作であったことが推測できる。仮に本作が成功していた場合、ゲームシステムなどの都合から『アダー完結編』以降の展開が現在とは異なる形になっていた可能性もある。
 
最終更新:2025年04月03日 20:57