ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オフライン

【どらごんくえすとてん めざめしいつつのしゅぞく オフライン】

ジャンル RPG


対応機種 プレイステーション5
プレイステーション4
Nintendo Switch
Windows(Steam)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 B.B.スタジオ
発売日 2022年9月15日
定価 通常版:8,580円
デラックス版:12,980円
超デラックス版15,730円(すべて税込み)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 なし
ポイント 完全1人用RPGになったDQX
所々から滲み出るオンラインへの導線と名残
オンライン無料体験版で本作の物語は全て体験可能
ドラゴンクエストシリーズ


概要

ドラゴンクエストシリーズ第10作目であるMMORPG『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン』(以下オンライン版)を1人用RPGに調整した作品。
タイトルの通り1stパッケージの『目覚めし五つの種族』のストーリーが収録されているほか、超大型拡張DLCとして2ndパッケージ『眠れる勇者と導きの盟友』の配信が予定されており、デラックス版には2ndパッケージのダウンロードコードが同封されている。


特徴、オンライン版からの変更点

ストーリーやキャラクター、マップなどはオンライン版のものを使用しつつ、オフライン化にあたって様々な調整がされている。

演出面

  • キャラクターがリアル頭身で描写されていたオンライン版と異なり、本作のキャラクターは3頭身ほどにデフォルメされている。雰囲気としては『IX』や3DS版『VII』、3DS版『XI』に近い。
  • オンライン版ではVer.5から導入されたキャラクターボイスが最初から収録されており、イベントシーンやバトル時には声を発してくれる。『ライバルズ』など他作品で先行してCVの付いたキャラクターはキャストが続投しているほか、本作で初めて声の付いたNPCも多い。
    • 主人公も『XI S』のように掛け声程度にはボイスが付いていて、キャラメイク時にCVを選択可能。

パーティメンバー

  • オンライン版では他のプレイヤーや、酒場で雇えるサポート仲間とパーティを組むことで冒険できたが、本作では代わりにオンライン版で登場したNPCが仲間になる。
    • オーガ代表としてマイユ、ウェディ代表としてヒューザ、エルフ代表としてフウラ、ドワーフ代表としてダストン、プクリポ代表としてラグアスが各ストーリーでゲストとして同行し、その後正式に加入する。
  • パーティメンバーの成長は『XI』から輸入されたスキルパネルシステムによって行う。
    • 『XI』にはなかったシステムとして「スキルアップパネル」が登場。スキルパネルの空欄にはめ込むことで隣接するスキルがレベルアップする。*1レアリティの高いスキルアップパネルをはめ込むことでレベルの上昇量がより大きくなる。
    • スキルアップパネルは自由に付け外しが可能だが、入手できる数には限りがある。よって全てのスキルを満遍なく強化することは不可能。
  • 仲間キャラの装備は武器と盾以外は見た目には反映されないが、装備とは別枠の専用の衣装を着せることで見た目を変更することができる。
  • その他にも多くのキャラクターがNPC戦闘員として一時的にゲスト加入する。
  • 主人公のみオンライン版同様に転職が可能。Ver.1で使えた12種の職業のほか、オンライン版ではVer.3以降に導入された踊り子と遊び人にも転職できる。
    • 主人公は14種の武器スキル+格闘、盾スキルの16種のスキルパネルを持つ。各スキルパネルは完全に独立しているが、スキル及びスキルポイントは全職業で共通であり、戦士で獲得したスキルポイントを僧侶のスキルに振ることもできるし、戦士で覚えた片手剣の特技はバトルマスターでも使える。(『IX』のシステムに近い。)
    • 「ゆうかん」や「しんこう心」といった職業スキルで覚える特技やパッシブは、各職業のレベルを上げるだけで獲得できる。オンライン版同様、全職で有効なものと対応する職業だけで有効なものが存在する。
    • 習得技はオンラインそのままという訳ではなく、Ver.2以降のマップで使用可能となる特技や呪文もVer.1の範囲内で使用できる。

オリジナルストーリー

  • オンライン版では破邪舟師フルッカの姪という役割しか持っていなかったキャラクターのフィーフィであるが、本作で追加されたストーリーでは重要な役割を担うこととなる。
  • 過去の世界では仲間キャラクターを連れていけない代わりに、幼少期の巫女ヒメアとガミルゴの娘のガルミィ*2がゲストキャラとして加入し、エルジュと彼女たちとの交流が描かれる。

アイテム作成

  • オンライン版での職人システムはすべて『XI』の「ふしぎな鍛冶」に統合されている。
    • どこでも使用可能、足りない素材をその場で買えるなどの便利システムは『XI S』準拠となっている。
    • 『XI』との違いとしては各装備品に「鍛冶レベル」が設定されており、主人公の職業の最高レベルが鍛冶レベルに達していないと作成・うちなおしができない。オンライン版での装備レベルが形を変えて採用されたとも言える。また、店で購入したり宝箱から入手した装備品でも対応するレシピを所持していないとうちなおしができない。
  • 装備品以外のアイテムは「れんきんがま」で作成する。『IX』及び3DS版『VIII』のように待ち時間なしでその場で完成する。
    • ただし、上記2作品と違いレシピを所持していないものは作成できないほか、ふしぎな鍛冶のように足りない素材をその場で買うことはできない。

戦闘

  • オンライン版の戦闘中にフィールドを移動し敵に干渉するいわゆる「相撲」システムは廃止され、ターン制コマンドバトルとなっている。
    • PS4版『XI』及び『XI S』3Dモードとほぼ同じシステムで、行動順が回ってきたキャラクターに直前でコマンドを入力し決定する。
    • 新機能として「ここだけおまかせ」機能が搭載されており、「めいれいさせろ」時でもボタン1つでその行動の間だけAI操作に切り替えることができる。
  • テンションシステムはオンライン版とも過去作とも異なる本作独自のシステムとなっている。
    • 「ためる」等の特技のほか戦闘に突入する、敵にとどめを刺す、ダメージを受けることでひっさつゲージが溜まっていき、これを消費することで必殺技を発動できる。
    • ゲージを100まで溜めるとスーパーハイテンション状態となり、消費テンション100以外の必殺技を消費なしで使用することができるようになる。スーパーハイテンションは消費100の必殺技を使用するか一定回数行動する、いてつくはどう等の技を受けることで解除されてしまう。

依頼書クエスト

  • モンスターを倒すとたまに討伐依頼書をドロップするが、その依頼は自分ではなくフレンドを派遣することで受けることになる。
  • 酒場に自分を登録すると「フレンドのじゅもん」を発行してもらえる。それを他プレイヤーが入力するとフレンドとして登録が可能。多くのゲームのフレンド機能と違って相互に認証をする必要はなく、ネット上の掲示板などに貼られたじゅもんをそのまま入力するだけでいいし、それ以降の交流は発生しない。
  • また、じゅもんを発行する際に自分が見つけた依頼書を1つ持たせることができ、フレンド登録した相手はそれを受け取ることができる。『IX』の宝の地図をすれちがい通信で交換する機能を簡略化して復活させたとも言えるかもしれない。

変更されたアイテム、施設

  • ルーラストーンは1つのみだが複数の場所が登録でき、上書きもされない。
    • 街、キャンプ地を訪れたときは自動で登録され、フィールド上ではいざないの石碑を調べることで場所が登録される。
  • 釣り道具は回数制限がなく、無限に使用が可能。
  • ドルボードは燃料が必要なくなり、使い放題になった。
  • 腕防具は体上防具に、足防具は体下防具に統合された。
  • アクセサリー装備枠は2つだけに減ったが、同じ分類のアクセサリーを2つ装備することもできる。
  • 各職業の証はアクセサリーではなく、だいじなもの扱いになっている。
  • サポート仲間を紹介する紹介人は、上記のフレンドを登録する役割に変更された。
  • 預かり所は廃止されゴールド銀行のみになった。
  • 旅人バザーはランダムなアイテムを販売する施設となった。品ぞろえはプレイ時間1時間ごと、ゲーム内で朝を迎えるたびに更新される。
  • 各種ギルド、モンスター酒場はVer.1現在特に意味のない施設となっている。当然ながらオンライン版で実装されていない職人ギルドには(職人ではなくお宝の写真として実装された採掘ギルド含め)入ることはできない。住宅村への入り口はあるが入ることはできない。

しばりプレイ

  • スキルパネル等と同様に『XI』からの輸入要素。
  • 『XI』および『XI S』にあった、「防具を装備できない」「楽な戦いは経験値なし」「主人公がやられたら全滅」「すべての敵が強くなる」「逃げられない」に加え、「消費MPがすべて2倍」「必殺技はテンション100消費」「使う道具の持てる数を制限」の3項目が追加された。

オンライン版への引継ぎ

  • エンディングを迎えたあとに教会で聞ける「ふっかつのじゅもん」と、本作を新品で購入した際についてくる引継ぎコードをオンライン版に入力することで、オフライン版で使用できた14種の職業が最初からレベル70の状態でスタートできる。
    • 対応する職業クエストや、ダーマ神殿出張所や預り所のなどの便利施設の利用のためのクエストなどは最初からクリア済みとなっている。
    • 無料体験版でも引継ぎが可能。この場合、本来は転職できない踊り子と遊び人にも最初からレベル70で転職ができる。
  • ただしクリアしたオフライン版と同じ機種でしか引継ぎはできない。(PS5版オフラインはPS4版オンラインに、Steam版オフラインはWindows版オンラインに引き継げる。)

評価点

『DQX』のストーリーを1人で遊べること

  • オンライン版は無料体験版の登場などでハードルは大幅に下がったとはいえ、やはりMMORPGというだけで敬遠されナンバリングタイトルの中で『X』のみ未プレイというプレイヤーは一定数存在した。本作はそうしたプレイヤーへの窓口となり、さらにはオンライン版への導線となってくれる。
  • ボイスや仲間の追加など、オフライン版ならではのメリットの多い。

快適になった要素

  • オンライン版ではマップの広さのわりに移動速度が遅く、ルーラストーンの制限もあって移動だけで相当な時間がかかったが、本作ではルーラストーンの仕様変更およびダッシュ機能の追加、ドルボードが使い放題な上乗ったままダッシュも可能と、とても快適となっている。
  • 『XI』では『XI S』で追加された戦闘中の倍速機能も最初から実装済み。
  • 敵の報酬や経験値テーブルも1人用RPGに合わせて見直されており、オンライン版のように長時間の稼ぎもなく簡単にレベルが上がりゴールドが貯まるようになった。
  • オンライン版ではギャンブル性の強かったアクセサリー合成だが、本作では付与する効果を自分で選べるようになった。
  • スキルリセットは最初から解禁されている。1つのスキルを振りなおすのに3000G必要だったオンライン版と異なり、パネル1枚につき20Gと格安になっている。

戦闘バランスの調整

  • 仲間はいくつかの職業を掛け合わせたような性能であり、いずれも個性豊かで差別化ができている。加入時期も含めてしっかり調整されており、どの仲間も終盤まで活躍できる性能。
    • スキルパネルの取り方やスキルアップパネルによる強化などでビルドの幅も広く育成を楽しみやすい。
  • その分主人公は転職を繰り返しステータス補正を手に入れていかないと仲間の劣化版のような性能になってしまうが、転職により足りない所を補えるという強みがある。
  • オンライン版のように序盤のマップでも道を外れると強力なモンスターがおり、フィールドの戦闘も緊張感がある。

賛否両論点

グラフィック

  • タイトル発表時点から現在に至るまで、デフォルメされたグラフィックは賛否が分かれている。
  • アストルティアは個性的な外見の種族の入り混じった世界であるが、本作では高身長のオーガも低身長のプクリポもあまり見た目の差がなくなってしまっていて、プクリポの2倍以上の身長のあるオーガなど、一同に会した見た目のインパクトが薄れている。
  • 低頭身のグラフィックになった影響で、おしゃれ装備の魅力が減ってしまった。
  • イベントシーンではオンライン版でも使われたリアル頭身のムービーがたびたび挿入されるが、キャラメイク可能な主人公(及び兄弟姉妹)は映せない関係上、リアルグラフィックとデフォルメグラフィックが頻繁に入れ替わり一体感が削がれる。
    • このイベントシーン、場面によっては動作がやや不自然になったりフレームレートが低下することがある。これは音声のなかったオンライン版ムービーの口パクを台詞の尺に合わせてリアルタイム処理しているためだと考えられる。
  • もっともオンライン版は複数のプレイヤーが存在する都合上フィールドが広く、そのままのスケールで1人用RPGに落とし込んでも移動の手間を増やすだけというのは容易に想像ができる。
    • ニンドリによるとオンライン版を本作に再構成するように工夫した結果が遊びやすさを重点に置き、従来のドラクエファンに親しみのあるデフォルメキャラを選んだという。
  • その一方でモンスターのグラフィックはそのままのため、プレイアブルキャラの小ささに対してモンスターが大きく違和感が生じる事もある。フィールドと戦闘時では縮尺が倍近く変わるモンスターも。

自由度の低下

  • オンライン版では出身村の事件を解決したあとは一人前の証と大陸間鉄道パスをもらえて、以降は自由な順番でキーエンブレムを集めることができた。(もちろん難易度的には推奨される攻略ルートが存在するのだが。)そして全10個のキーエンブレムのうち6つ以上を集めるとイベントが起こりラスボスに挑める。
  • 一方本作では大陸間鉄道パスの入手タイミングが出身大陸の小国のキーエンブレムと同時となっているため、最初のキーエンブレムの入手が固定となっている(勿論選んだ種族によって訪れる町が異なるが)。その後は他の大陸の小国のキーエンブレム4つを集め、その後に過去の世界へ訪れる展開へとなる。そして残る大国のキーエンブレムを5つ集めることでようやくラスボスに挑めるようになっている。という風にストーリーの流れがある程度固定されており、全て集めなくても良いようになっていたオンライン版と違って自由度が下がったという風に捉えられなくもない。先に大国に行ったとしても城前で門前払いを食らってしまう。
    • とはいえ4つの小国と5つの大国を巡る順番は順不同であり、自由度が全くないというわけではない。
      • 仲間キャラの加入タイミングが各メインストーリーのクリアと同時であるため、オンライン版と同じ仕様にしてしまうと仲間の数が少ない状態でラスボスに挑むという状態が発生する可能性も存在する。また全ての国を訪れてそこで発生する問題を解決してからラスボス戦と言う流れになっているため、オンライン版と比べると納まりが良い展開になっている。
    • 最初に転生した種族によっては主人公一人でボスに挑まなければならない区間もあるが、小国のボスは仲間の数と集めたキーエンブレムの数によって強さが変動する。適宜NPC戦闘員も加わるためゲームバランス上は特に問題はない。

問題点

カメラワーク

  • 視点は左右方向には自由に動かせるが、上下方向は斜め上からの視点で固定となっている。さらに一人称視点やズーム機能などは存在しない。そのため森や王都カミハルムイなど木の多いエリアは非常に見づらくなっている。
  • つばの広い帽子を被ると斜め上からの視点では顔を隠してしまうため、ヴェリナードの魔法戦士団などはイベントシーンでカメラワークが切り替わらない限り顔が見えないという残念な事態に。
  • 町に入った時に妙な角度の視点がデフォルトになっていることがある。特にメギストリスの都は正面が南西になる角度から開始するように固定されておりいちいち直すのが面倒。

仲間キャラの扱い

  • オンライン版ではNPCだったキャラクターを後付けでパーティに加入させているため仕方ないのだが、ところどころ不自然な箇所がある。
    • 流浪の一人旅をしているヒューザ、町で厄介者扱いされているダストンはともかく、フウラは新たな風乗りとなった直後、ラグアスは先王が亡くなり王位を継いだ直後にパーティに加入するため少し無責任に感じてしまう。マイユも一緒に旅をしている婚約者の元から離れて仲間に加わるのは不自然である。
    • NPCの反応も不自然で、カミハルムイではフウラの級友のキュウスケが、ドルワームではダストンの養女のチリがメインストーリーに登場するのだがこちらには特に言及しない。ストーリーの順番の都合上この2人は必ずパーティに加入しているにもかかわらずである。(NPC戦闘員としてゲスト加入するキュウスケは仲間会話ではフウラと少し絡むが。)
    • パーティメンバーではないがヒメアも過去の世界でゲストとして加わるのに、現代で主人公に会っても特に言及しない。
  • サイドクエストにもあまり仲間たちは関わってこない。特にランガーオ村のクエスト群「ランガーオ村の王者」ではマイユの故郷と父親に恨みを持つ男が復讐にやってくるのだが、彼女は何も言わないし村人も彼女に一切言及しない。
    • 流石にアズランのクエスト群「人形たちのラグナロク」にはフウラが密接に関わってくるため、少しストーリーに手が加えられているが。
      • 受注タイミングの都合上仲間入りしているかどうかでストーリーが変わってしまう都合もあるのだろうが、後述のように難易度はクリア後相当なのでクリア後コンテンツにしておけば無理なくくみこめたのだろうが…

オンラインから継続された仕様

  • オンラインの仕様をそのまま持ってきたためにオフラインゲームとしては不便な箇所がいくつか見られている。
    • ゴールド銀行やちいさなメダル納品など、ほぼ全ての機能解放にクエストクリアが必要。これらはクエストに独自のストーリーがあるため残したものと思われる。唯一ダーマ出張所の開放クエストのみ削除されている。
      • レベル開放クエストはレベル制限を撤廃している一方で独自のクエストとして収録されている。
    • 敵が武器や防具を落とさず、中盤以降の武器・防具屋に売られているアイテムは相変わらず弱い。これはオンラインでは装備品を作成してバザーで取引をする前提の設計であったため。オンラインVer.4で導入された白宝箱(ザコ敵が武器や防具を落とす機能)も実装されていない。
    • クエストの討伐対象は変わっていない。そのためにオンラインでバージョンアップ後に追加されたクエストは突然難易度が跳ね上がるものがある。序盤から受けられる「かばん工房の秘密」がその例。
    • ドラクエシリーズでは久々にアイテムの所持数に限度がある。オンラインよりも初期の持てる数は増えてはいるが、預かり所が無くなった為にアイテムのほとんどは捨てるか消費しなければならない。
    • 宝箱から手に入るアイテムが素材や小銭だらけ。一部が「スキルアップパネル」に差し替えられたのみで、ほぼオンラインそのままで探索の肩透かし感が強い。これはオンラインのβテストでサブキャラを作って周回するマラソン行為を抑止するために行われた施策なのだが、その仕様が継続してしまっている。
  • また、職人ギルドやコロシアムもオンライン版の同様に存在しているが、対応するコンテンツが実装されていないため休業しているなどと言われるのみ。各地にそのような場所があるのでプレイヤーに違和感を与えてしまっている。

ストーリー関連

  • ストーリーが全て収録されていない。 Ver.3以降で追加されたストーリーはまだしも、Ver.1台のものすら一部抜けがある。以下はその一例。
    • Ver.1台のマップで遊べる細かいクエスト(写真クエストや便せんクエストなど)が一部歯抜け収録。
      • これらはオンラインのチュートリアルやオンライン要素に絡んでくるため未収録なのは仕方ない、便せん屋自体は街にある施設として残っているため、クエストのセリフ自体は残っている。
    • 職人システムがふしぎな鍛冶に統合された弊害として職人絡みのクエストは全て無くなっており、職人独自のストーリーを見ることはできない。
    • 長編ストーリー「神話篇」やクリスマス等の季節限定クエストも未収録。
      • 季節イベントに関してはその特性上収録は難しいのは想像に難くないが過去作のキャラクターが登場するため少々勿体ない。
      • 「神話編」は過去作との繋がりを思わせる内容だったり、裏ボスの位置付けにもなる強敵であるため未収録を疑問に思う声が多い。
    • オフラインでありながらオフラインモード*4で遊ぶことができない。
  • またそもそもの問題点として、インターネット環境が整っていてシナリオを体験したいだけであるのなら Ver.2のラスボス戦直前部分まで遊べるオンラインの無料体験版が存在する。
    PlayStation PlusやNintendo Switch Onlineへの加入は必要ない上に初心者救済要素も整っており、1人でも進めやすくなっているため、純粋に「ひどい」と感じたユーザーも。
    • ただし、これに関しては仲間の追加やボイスの追加などの追加要素、オンライン版では救済要素により苦戦せず終わってしまう戦闘バランスの調整など、オフラインならではのメリットもある。
  • 概要にある通りフィーフィが重要キャラとなっているが、それに伴いストーリーにもかなり強引な変更が加えられ、端的に言えばフルッカの存在価値がなくなってしまったとも言える。一方ガルミィの方は「仲間キャラの補充」という面があった上にストーリーへの噛ませ方も無理がなかったために、こちらはかなり違和感が強い。

育成要素の弊害

  • 主人公が使いにくい。
    • 主人公にのみオンライン版と同様の転職システムになっているが、他の仲間が複数の職業の特性や特技・呪文を掛け合わせたものになっているため、実質1つの職業しか選択できない主人公が使いにくくなっている。
    • 他にもいわゆる個別スキルラインが呪文と同じようにレベルアップでの獲得になっている上に獲得レベルも高めに設定されているため、スキルポイントで自由に個別スキルで強力なスキルやパッシブを早い段階で獲得できる仲間と比べると彼ら以上にレベルを上げる必要がある。
    • 武器スキルも仲間たちは強力な特技を覚えるのに対して、主人公のそれは覚える特技が物足りないものになっている。
    • 他にも鍛冶レベルが「主人公の職業の中で一番高いもの」になるため、職業解放やパッシブの獲得のために転職を繰り返すプレイスタイルだと作れる装備が限られてしまう。もちろん回避方法はあるが…
      • 一応ある程度のレベルの装備でもラスボス撃破まではできるようにはなっている。
    • 独自の育成要素となっているために仲間と比べると使いにくい印象を受けるが、職業にもよるがパッシブスキルを獲得していれば相応の活躍はできる。ただし育ちきるのはクリア後以降というレベルになってしまうので、ver1までしか遊べずエンドコンテンツもない現状使い所がないというのも否めない。

装備の入手

  • 本作において装備は基本的に「ふしぎな鍛冶」で手に入れるのだが、鍛治レシピを手に入れても「鍛治レベル」=主人公の最も高い職業レベルが足りないと作ることはできず、前述のように主人公を強くするために転職を繰り返しているとレベルが足りなくなってしまう。
  • 更にレベルが足りても必要素材の入手手段も日替わりかつランダムの「旅人バザー」やあいことばを使っても入手手段として心許ない依頼書などに限られており、店売り以上の装備を作るのが特にストーリー中では非常に難しい。
  • 結果ストーリー中では装備更新がまともに出来ず、ラスボス付近でも序中盤と同じ装備のままで戦うことがほとんど。せめて宝箱からレア素材が多く手に入っていたり、オンライン版でのオーブの入手手段だった強ボスが実装されていればまた違ったのだろうが…

やりこみ要素

  • 裏ボスが居ない
    • 自由に戦える隠しボスが存在しないため、育成のし甲斐が無い。
      • 各街の外伝クエストのボス、一部のコインボス等ある程度の強さのあるボスは居るが、それでも最大レベルのパーティでは苦戦しない相手である。
      • 過去作では『IX』の歴代大魔王や3DS版『VIII』の追憶の回廊、『XI S』の失われし時の怨念といった最大レベルでも苦戦するようなボスが収録されているため、そういったボスを期待する声もあった。
      • オンライン版でもVer1の範囲の時点で強ボスや上記の「神話編」のボスが報酬が貰える何度でも戦える強敵という位置付けであるため、これらを実装してほしいという声も大きい。
      • これに関してはDLCで実装する予定であるとアナウンスされている。

メインストーリー以外の戦闘難易度

  • メインストーリーにおいてはキーエンブレムの数による前半ボスの強さの変化など難易度がしっかりと調整されているのに対し、魔法の迷宮や外伝クエストはうってかわって不親切。
    • 外伝クエストはその街のエンブレム取得後などかなり早い段階で受注できるようになるにもかかわらず、ボスは追加要素だったオンライン版の強さを引き継いでいる。基本的にクリア後基準の難易度なので、すぐに受注してしまうとボス戦ありのクエストで手も足も出ず全滅させられてしまう。
    • 逆に魔法の迷宮のコインボスはエンドコンテンツであったオンライン版と違いかなり弱くなっているのだが、導線がないためストーリー中の適正なレベルで戦うことはまずない。アトラスやバラモスなど過去作のボスと戦えるということでクリア後にやりこみのつもりで戦うと秒殺してしまい、拍子抜けする事になる。特にオンライン版のプレイヤーはまず騙されてしまうだろう。

その他

  • ロードが長い。マップの切り替えに5秒ほど要する。戦闘でも演出の派手な超必殺技だと数秒の読み込みが入る。
    • オンライン版ではシームレスだった場所も画面切り替えが発生するため、マップ切り替えのロード程ではないが煩わしい。
  • 高レベル装備のレシピを売られている場所が機能していない後半の職人ギルドにある。マップ上には販売店を示すアイコンも表示されておらず、かなり分かりにくい。
  • 一部の台詞がオンライン版から差し替えられている。オンライン版の方は未修正な上にその内容も「異性からモテる香水が動物からモテる香水に差し代わる」など、本当に修正する必要があるものなのか疑問符が浮かぶものも多い。
  • オンライン版とは異なり、各種族に転生してから最初に戦うボスが討伐モンスターリストに登録されない。
  • 各種族の初期装備をマイコーデに設定出来ない。
  • マップ上で回復アイテムを使用する際、主人公がわざわざ専用のモーションをするせいでテンポが悪い。

総評

本作を一言で言い表すと、シリーズの中でも特に革新的な作品である『X』を「オーソドックスなドラクエ」に調整した作品である。

本作のストーリーの範囲はオンライン版の無料体験版でも遊べるが、体験版での制限やボイスや仲間キャラといった追加要素を考慮すれば、本作も決して割高とは言えない。無料とはいえMMORPGには手を出しづらい、でも『X』には興味があるというユーザーなら本作を手に取ってみる価値があるだろう。

そして本作をプレイしてさらに『X』への興味がわいたのなら、引継ぎを利用してオンライン版をプレイしてみることをお勧めする。


余談

  • 本作でのフルッカの声優は、お笑いコンビ「ハリセンボン」の近藤春菜氏が担当している。
    • フルッカの容姿が近藤氏にそっくりだという話題はオンライン版の時点で一部プレイヤーからネタにされており、2016年にはワイドショーの視聴者投稿にて紹介され「フルッカじゃねーよ!」と本人が持ちネタを披露したこともあった。
  • 当初の発売日は2022年2月26日だったが2022年夏に延期とアナウンスされ、実際は9月15日に発売された。9月中旬を夏と呼べるかは微妙なところ
    • フウラはオンライン版(Ver.6.1、2022年3月)より先に本作でボイスが付く予定だったが、この延期によって順番が前後した。
  • Ver.3『いにしえの竜の伝承』以降については未定となっており、公式では売り上げ次第だと発言がされている。
    • 元々『眠れる勇者と導きの盟友』も売り上げ次第という話だったが、ストーリーの評価が高い事や勇者にまつわる物語であるために特別に制作が行われたとの事。
    • メインストーリーに関してはVer.1とVer.2で回収されない伏線が多い。続きが気になる場合は引継ぎを行って先のストーリーを楽しむこともできるが、本作が「オンラインに抵抗がある人にも楽しめる」という触れ込みであるためVer.3以降の製作を望む声もある。
    • オンラインでVer.3以降をプレイした人なら分かるだろうが、現在のオフライン版の仕様(特にパーティ面)ではどうやってもVer.3にのシナリオに繋げることはできないため、もし製作があるとしたらここの変更点が気になるところである。
  • 声優のキャスティングはオンライン版のスタッフと連携して候補を挙げ、声優が決まっていなかった一部のメインキャラはオンライン版のスタッフからの要望で固めていた。
    • 例えば幼少期のヒメアを担当した能登麻美子氏は幼少期らしい演技を表現し、ヒメアの演技力の高さに白石氏は驚愕したという。
    • また、ナブレット団長の古川登志夫氏とアルウェ王妃のこおろぎさとみ氏はオンライン版のスタッフからのリクエストで選ばれた。
最終更新:2023年03月25日 02:52

*1 攻撃技なら威力が上がる、補助技なら継続ターン数が延びるなど。

*2 フィーフィと違い完全新規キャラだが、オンライン版にはガミルゴの子孫が登場するためこの時点で子供がいたとしても特に不自然ではない。

*3 但しあちらは元が低頭身かつ2D見下ろし型

*4 オンラインのVer.1.0~3.5の期間で遊べたモード。兄弟姉妹が主役の話。オンラインではVer.4.0以降、Ver.2.3で訪れる街で回想という形でしか見ることができなくなっている。