Minoria
【みのりあ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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Steam Nintendo Switch プレイステーション4
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発売元
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DANGEN ENTERTAINMENT
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開発元
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Bombservice
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発売日
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【Steam】2019年8月27日 【Switch/PS4】2020年9月10日
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定価
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【Steam】2,050円(税込) 【Switch/PS4】2,200円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:D (17歳以上対象)
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判定
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なし
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ポイント
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パリィ(迎撃)が決め手のストイックアクション 高難度やりこみの間口は広い 探索アクションとしては練り込み不足
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概要
『Momodora』シリーズで知られるブラジルのデベロッパー「Bombservice」が手掛ける、メトロイドヴァニア式2Dアクション。
同社の得意とする「修道院」「女性主人公」という設定と高難度が特徴となっている。
ストーリー
第4次魔女戦争の勃発により、聖職庁と魔女たちの抗争は激化していた。
聖職庁の意思に背く者は異端者と呼ばれ、拷問にかけられ、村ごと焼かれていった。
そんな中、聖職庁の属する聖ラメジア王国の姫姉妹が魔女にさらわれるという事態が発生。
異端審問官であるシスター・セミヤとシスター・アンナ・フランは、姫を救出し魔女の儀式を阻止すべく、大聖堂へと向かった。
しかし、そんな2人もまた、異端者の濡れ衣によって家族や故郷を失い、贖罪のため聖職につかざるを得ない過去を持っていた。
キャラクター
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シスター・セミヤ
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21歳の修道女。プレイヤーが操作をするキャラクター。
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高い戦闘能力を持ち、異端審問官として異端者の排除の役に就いている。
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シスター・アンナ・フラン
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18歳の侍祭。戦闘能力は無く、セミヤの助手として同行している。
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直接操作することはできないが、ボタン押下で進行度に合わせた一言メッセージを発言する。
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アメリア・ソリエット
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聖ラメジア王国の年長の姫。
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魔女から逃れようとした際に呪いを受けたため、頭部に動物の角が生えている。
システム
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パリィシステム
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セミヤは近接攻撃のほか、敵の攻撃を受け流す「パリィ」を発動できる。
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パリィに対応するボタンを押下すると、瞬間的にセミヤを中心とした小さい円の波動が描画される。
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これに敵の攻撃が重なると画面の静止演出が発生し、ダメージを無効化したうえ相手とその周囲に反撃が行われる。
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投擲武器に対しても効き、距離関係なく投げた敵に反撃が発動する便利仕様。
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お香
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様々なバフやデバフ効果をもたらすアイテム。
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限られた個数を消費して発動するアクティブタイプと、装備するだけで常時効果のあるパッシブタイプがある。
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効果は「回復」「攻撃魔法の発動」「ステータス異常の治療」や、「HPを消費して攻撃力を一時的に上げる」「獲得経験値を増やす」など様々。
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秘密の図書室
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大聖堂に隠された空間。いわゆる拠点であり、チュートリアルの確認、買い物などを行える。
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大聖堂のみならず、各マップにこの図書室へのワープポイントが点在している。
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但し一度ゲームをクリアするまでは図書室を経由して別マップへと行くことはできず、入った地点へしか戻ることはできない。
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例えばエリアAとエリアBに図書室へのワープポイントがあったとしても、Aから入ったらAに戻ることしかできないし、Bから入ればBに戻ることしかできず、AとBとを行き来することはできない。
評価点
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パリィの気持ち良さ
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敵が攻撃するタイミングに合わせ的確にボタンを押下し、その結果一方的な反撃を行えるというのは如何にも爽快なシステムとなっている。
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パリィによる反撃は必ず連撃であるため、効果音と共に幾つものダメージ表記が重なるのが演出として秀逸。
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また前提として「敵の攻撃の発生を待ち、瞬時に対応する」という格好になるため、常に戦闘に緊張感が生じる。
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ボタン連射しても都度のパリィ発動には間が空くため、「とにかくパリィし続けていれば問題なし」のような便利すぎる事態にはなっていない。
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先述の通り投擲武器にも有効だが、不意打ちや集団での攻撃も多いため、比較的対処しやすいとはいえ完全無敵とならない工夫がされている。
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観察がキモとなる手強いボス戦
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各ボスの動きはかなり速く、攻撃を行う前の予告動作も短いため常に反射神経を要求される。
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基本的にスーパーアーマーであり、調子に乗ってコンボを重ねていると行動不可フレーム間に反撃を喰らいやすい。
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攻撃種類も多彩かつ同時発生することが多く、画面内に飛び道具のダメージ判定が残った状態で斬撃を繰り出してくるなど、こちらの移動が制限されやすい戦いとなる。
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しかし、それぞれの技をよく見ると、かわし方がちゃんと解るようになっている。
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速攻狙いでゴリ押しすると体力負けするうえ自分由来のエフェクトで何が何だかわからないうちに死にがちだが、落ち着いて観察すれば活路が開ける良バランスである。
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ノーダメージ報酬の存在
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更に加えて、ネームドボスにはノーダメージクリア報酬が設定されている。
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一瞬の油断で被弾するため非常に難度が高いが、お香のセットを見直したり、相手との距離感を変えてみたりしつつ10回20回と戦えば自然に達成できるようになるため、上達の実感を得やすい。
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探索によって補強される世界観
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各キャラクターにどんなバックボーンがあるのかや、その形成に至った舞台設定については道中に点在している「情報」というアイテムで得ることができる。
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むしろ漫然とゲームを進めるだけでは、対立する聖職庁と魔女たちの短いセリフという形で聞くことしかできず、物語の表層を読み取ることしかできない。
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ただし、それでもゲームクリアには全く問題はない。最低限の設定は十分に理解できつつ、能動的に探索することで世界観に深みが増すという仕掛けになっており、考察勢もライト層も楽しめる形式といえる。
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解釈に柔軟性のあるセミヤとアンナの関係
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セミヤとアンナは2人とも任務に対する不安を抱えており、途中のイベントでアンナがセミヤに心の内を打ち明ける形でそれが表される。
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イベントでは抱擁や入浴シーンを伴うため百合的要素も感じられる場面だが、その描写はあっさりしている上、セミヤが終止無表情・無言という昔ながらの主人公であることから、戦友同士の絆とも、友情とも、思慕ともとれるような振れ幅のある適度な表現になっている。
賛否両論点
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あまりに軟弱な主人公
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被ダメージが異常に高く、雑魚敵からの攻撃でも最大HPの2~5割を削ってくる。
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一部の技(爆発物の投擲など)については8~9割ほどのダメージを食らうものもあり、実質的に一発死になり得る。
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投擲の方が近接よりパリィ対処しやすいための調整と思えるが、それにしたってやりすぎ。
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反面、雑魚敵は大抵5~10度前後斬りつけないと倒せず、ほとんどの敵に対して体力差を感じながら探索を進めていくことになる。
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パリィも強力ではあるが、敵のHPを削り切るにはダメージ不足。
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被ダメージの面だけで言えば極論スーパーマリオブラザーズだって1発か2発でミスとなるが、それは敵も1発か2発で容易に倒せるフェアな世界でのことであり、本作においては主人公の軟弱さが際立つバランスとなっている。
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一応レベルアップによってパラメータは成長するのだが、その分ステージが進むにつれ敵の攻撃力も上がっていき、常に現レベルに対して上記被ダメージの割合が保たれている。そのためレベルアップしても主人公が成長しているという実感が得にくい。
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このため、HPがゲージ制である意味がかなり薄いという印象を与え得る。
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ただ一方で、逆に一発死上等のマゾプレイを推奨している節はある。
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道中得られるお香には「経験値が得られなくなる」「どんな攻撃でも一発死する」といった不利な効果をもたらすものもあり、低レベルやりこみの門戸が広く設計されている。そのため、最初から「如何に被弾しないか」が念頭に置かれたゲームだと見ることもできる。
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そもそも攻撃を喰らうのがアウトで、HPが残っているのはたまたま致命傷にならなかっただけ、という調整を理解し楽しめるなら、シビアなバランスを楽しむことも可能かもしれない。
問題点
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人間の反応速度を超える素早い攻撃
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一部パリィを非常にとりづらい敵が存在する。
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本作の敵は基本的に「自身の周りに赤い円形のエフェクトを表示する」→「攻撃の予備動作(振りかぶりなど)を行う」→「実際の攻撃を行う」という3段階のフェイズを経てダメージを与えてくるが、このうち「予備動作」がほぼ視認不可能な敵がいる。この場合赤いエフェクトを確認次第、自身の中でフレームをカウントしてパリィを発動する、という対処になる。
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多少素早かったり、ディレイが設けられていたりであれば他のゲームでもよくあることだが、上記の場合「動作が丸々無い」であるためアンフェアに感じ得るし、迎撃したという実感も薄くなりやすい。
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メトロイドヴァニア的な探索要素が少ない
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セミヤ達は大聖堂、森、地下牢と様々なロケーションを巡り、また2段ジャンプや空中ダッシュなどのスキルを獲得しながら行動範囲を広げていく。
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しかしその進行ルートは大部分が一筆書きであり、枝分かれや、スキルを得たことによる「そういえば前のマップで行けない場所があったよな」という要素が僅かな例外を除いて存在しない。
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前述の移動系スキルも「これがあればさっきスルーした障害が越えられる」といったものではなく、取得した目の前の順路で必要になるというだけであり、マップ設計上はあっても無くてもさほど変わらないものとなっている。
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このため、マップ上のショートカットの開通ですらほとんど意味をなしていない。
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これらから、地続きのマップを擁する2Dアクションとしては探索要素が非常に薄味に感じられる。
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ファストトラベル間放がクリア後
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探索要素が少ないとはいえ、一応買い物やマップ埋めを目的として引き返すシチュエーションはあるのだが、前述の通り「秘密の図書室」を経由したエリア間の行き来がクリアするまでできないため、移動がやたらと面倒くさい。
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特にクリア後まで行き来が制限される理由づけも無く、ただでさえ希薄な寄り道意欲が更に削がれがちになる。
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また、図書室へのワープポイントは各エリアに基本1個であることから、数が少なすぎて結局歩かされるという問題もある。
総評
敵の攻撃をチャンスに変えるスタイリッシュ修道女アクション、という旨味を感じる題材であり、実際操作感や劇中の雰囲気は○。
しかしメトロイドヴァニアらしさを活かせているかというとそうでもなく、ゲームボリュームとしては(クリア後要素を含めても)こぢんまりとした印象が残る。
高難度方向に特化したやりこみという点も含め、尖ったゲームバランスを楽しめるならアリな一作だろう。
最終更新:2024年06月19日 15:49