ファミリートレーナーシリーズ10 来来キョンシーズ ベビーキョンシーのあみだ大冒険

【ふぁみりーとれーなーしりーずてん らいらいきょんしーず べびーきょんしーのあみだだいぼうけん】

ジャンル 体感型アクション
対応機種 ファミリーコンピュータ
(ファミリートレーナーA面使用)
発売元 バンダイ
開発元 ヒューマン
発売日 1989年1月26日
定価 4,900円
プレイ人数 1~3人
判定 クソゲー
ポイント ファミトレシリーズ最終作
単純すぎて手応えゼロのヌルゲー&運ゲー
ただ作品数を10にする数合わせ目的で作られた?
ファミリートレーナーシリーズリンク


概要

『マットコントローラー』を使って主に足で走ったり跳んだりしてキャラを動かす「体でするゲーム」の『ファミリートレーナー』(通称『ファミトレ』)のシリーズ第10弾にして最終作。
10作品目ということもあってパッケージでも「ファミリートレーナー 第10弾記念ソフト」と銘打たれている。
プレイヤー自身をキョンシーに重ね合わせたジャンプによる体感アクションゲーム。
第4弾の『ジョギングレース』以来久しぶりで3作目のAマット対応ゲームである。

また本作自身はパッケージにもあるようにTBS公認のゲームでもある。
『来来!キョンシーズ』関連のゲームは1987年9月にファミリーコンピュータソフトとして原作の原作にあたる『幽幻道士』のアクションRPG『キョンシーズ2』(タイトー)が発売されているので、それ以来となる。


内容

プロローグ

パパとママと幸せに暮らしていたベビーキョンシーは、ある日一家をつけ狙う道士に捕まってしまいます。
ひたいにお札をはられパパ、ママのあとから橋をわたっていたその時、足をふみ外して川の中へとザンブラコ!
落ちたひょうしに、ひたいのお札もとれました。川に流されたどりついたところはあみだの国。
さあ、これからパパとママをさがして大ぼうけんのはじまり~~!

(取扱説明書4頁より)

システム

  • オープニングデモが終わるとあみだマップのスタート地点に移行。先の方は巻物状にクルクルと巻かれていて見えない。
    • 巻物状のマップは7画面構成で、その端まで行って続きが開かれないと先の方は見えないようになっている。
    • 3つのコースに青、緑、赤と最大3人のベビーキョンシーを配置する(1人・2人でも可)。確定したらAボタンでスタートし、最初の1画面分のマップが開く。
    • スタートすると、それぞれのベビーキョンシーがピョンピョンとジャンプしながら、あみだくじよろしくその上を伝っていく。
    • その道中には障害エリアになるマスがあり、そこに着くとアクション面に移行することになる。
    • ベビーキョンシーのライフ初期値(兼最大値)は10で画面右に串ダンゴのような形で表示されている。敵からの攻撃で0.5単位で減少し、0になるとゲームオーバーになる。
  • 操作法は、Aマットの「中央2つ」・「中央右と右」・「中央左と左」と、この3通りだけしか使用しない。
    • ファミトレは元より、これまでのファミコンソフトの中でもトップクラスの操作ボタンの少なさ。
  • 障害エリアは下記5通り。
    • 屋敷
      • 道士がお札を投げて攻撃してくる。それにあたるとミスとなり、ライフが0.5減る。ここでは道士が投げてくる武器以外にアイテムも出る。一定時間経過又はアイテムの「時計」取得でクリアとなる。
        ベビーキョンシーは同じ場所で動かず左右移動のみで道士の攻撃をかわす。ミスしてもクリアまでの時間はそれまでのを引き継ぐため、まんま最初からのやり直しではない。
      • ここでは道士が剣を投げて攻撃してくる。剣のスピードがお札より速いというだけで基本的に「屋敷」と同じ。道士というわりには牙があったりするのでどう見ても魔物にしか見えない。
    • 墓場
      • ここでは4画面構成で、前に向かって進んでゴールすればクリアとなる。
      • 敵は狂暴なキョンシーが左右にジャンプしてゆく手を阻んでくる。つかまるとライフが1.0減り、一定時間内に抜けられないとライフが5.0減る。
      • 「屋敷」や「森」は前に進むことはなかったがこの面ではジャンプと同時に前に進んでいく。そして最後まで抜ければクリア。
      • 捕まった場合は、その面の最初からやり直せる(3画面目でミスしたら3画面目の最初から)ので最初に戻されることはない。
      • ここは2画面構成で、池の上の足場をジャンプして渡る。池に落ちるとライフが1.0減り、一定時間内に抜けられないとライフが5.0減る。
    • テンテン
      • これは障害ではなく味方で、このマスに来るとテンテンがどアップで現れベビーキョンシーのライフを満タンにしてくれる。
  • 屋敷と森で出現するアイテムは下記の通り。
      • 一定時間無敵になり攻撃にあたってもスルーできる。
    • バナナ
      • ライフが1.0回復する。
    • 時計
      • 宙に浮いて先に進むことができ、その面はその場でクリアとなる。
  • あみだマップのゴールはA・B・Cと3つに分かれており、それぞれ扉があり、ベビーキョンシーがそこから呼びかけると「パパとママ」「テンテン」「道士」のいずれかが出てくる。
    • とりあえず、ここでの順列は「パパとママ」>「テンテン」>「道士」なのだろうが、この後の展開に変わりはない。そこでクリア終了となり最後にベビーキョンシーがバンダイの立場で「ファミトレ10作目の達成」と「これからもバンダイのファミコンソフトをよろしく」とあいさつしてタイトルに戻る。
    • 3コースすべて埋めてスタートして3人そろってクリアすれば全パターンを見ることができる。

問題点

  • 単調且つ簡単すぎてまったく手応えがないゲーム性。
    • 足で行うファミトレであることを加味しても左右にジャンプするだけでしかなくテクニックもほとんど要求されないなど、あまりにゲームとしては味気ない。
    • シンプルでわかりやすいというよりファミコン中期作品とは思えないほど内容が薄い。ゲーム本編は当時としては元よりファミコン初期のゲームと比べても見劣りするレベル。
      • ゲーム本編は3人分を1人でプレイしても10分そこそこで終わってしまうほど。
  • 説明書に示されているように「はぐれたパパとママに会うこと」という目的はあるが、それの達成もただ運だけ。
    • 上記の通り障害のマス目を通るか否かも運ゲーだが、最後まで完走してA・B・Cのどれに着くかも運だけ。そしてその中から目的のパパとママに会えるのも運だけ。
      • 更にそこから本来会いたがっているパパとママに会えても特別なエンディングなどはない。
    • ゲームとしての部分にあたる障害エリアは簡単すぎて張り合いがなく事実上の運ゲーでしかない。ラストも大して意味のないものになっている。説明書では「あみだの国はくじ運次第」と清々しいまで公式に運ゲーと認めている。
    • ファミコン初期作品はゲームの内容そのものは単純でも「ハイスコアを目指す」という目的があったが、本作はスコア要素もないので何を競うのかよくわからないゲーム性。
  • プレイヤー人数もあまり意味がない。
    • 最大3人でプレーできるが、障害エリアのミニゲームはいずれも1人でしかできないし上記の通り何を競うのかもよくわからない。
      • 「いつからベビーキョンシーは三つ子になった?」というツッコミどころも。しかも3人のうち1人としか会えないのに喜ぶパパママキョンシー。
  • 障害の池は筋金入りに1つのパターンしかない。
    • 似たような『たけしの戦国風雲児』(タイトー)のミニゲーム「川渡りゲーム」でも同じだったが、こちらでは8つのうちに1つニセの石があるので見た目は同じでも実質的に8パターンあることになる。
    • それ以前に1年以上前のファミトレシリーズの8作目『突撃!風雲たけし城』では、石の配置パターンがいつも変化していたので、それが本作でもできなくもなさそうなのにしていないのは手抜きとしか思えない。
  • 「墓場」や「池」では時間内に抜けられないとライフが5.0も減る大ダメージなのだが、そうなった場合でもやられるアクションなどなくただフェードアウトするだけ。
    • ダメージで見ると最大の半分に相当し言うなればかなり痛烈な一撃を喰らったような大ピンチのはずなのに淡泊すぎる。
    • もっとも、その制限時間は3分ほどもあるので意図的でもない限りありえないケースだが。
  • 原作からはキャラクターを一部拝借しただけでストーリー性などは一切無視。
    • 本来なら主役級で外せないはずのチビクロは出てすらいない。
  • 大した意味がなく見た目も全然似ていないテンテン。
    • テンテンマスでは、どアップでテンテンが登場するのだが全然似ておらずキャラゲーとしてのこだわりも感じられない。
    • また、このマスは体力を全快してくれるのだがゴール手前ということもあって今更全回復してもらっても大した意味はないし、そもそもこの難易度の低さでライフが初期値が10もあれば回復の必要すらないぐらい。
      • もちろん最後にライフをいくつ残しているのかは最終結果に一切反映されない。
  • あみだマップの上を移動するベビーキョンシーの遅さ。
    • 先がわかっているだけに、やたらゆっくりピョンピョン進んでいくのは時間がもったいない。こんな形でプレイ時間を水増ししなくても…
      • とはいっても、それ以外にゲーム根本の問題が山積み過ぎて、この程度のことはもはや気にならないかも。
  • スタートにわざわざコントローラのAを押させる無意味さ。
    • 前や後ろのボタンはどうせ使っていないのだから「マットの前ボタンでスタート」で良かったのではないだろうか?

評価点

  • オープニングのデモはファミコンにしては出来が良い。
    • これは当時の最新作クラスのゲームと比べても遜色ないレベルになっている。

総評

目的である「パパとママに会う」というのはほとんど運だけに加えてスコアのようなものもないなど内容自体があまりに薄く、足で操作することを加味してもあまりに簡単すぎて手応えがなさすぎる。
10分少々あればすべて見れてしまうという内容のなさは致命的で、ただの手抜きだけのクソゲーとしか言いようがない。単純に「10作品」という数合わせのためだけに作られたとしか思えないゲーム。
一大シリーズの「10作品という節目」「締めくくりの最終作」どちらの意味でも全く輝きのないものになったのは間違いない。


その後の展開

  • 本作はシリーズ最終作となったがアメリカでは同年12月に『ショートオーダー/エッグスプロード!』というパズルゲームがNES版ファミトレに相当する『Power Pad』ソフトで発売されている。
    • そして20年近く時は流れ、このシリーズ自身が知る人ぞ知る過去の遺産となったように思われていた2006年12月12日、体感路線を重視した任天堂のハード『Wii』が発売。
      それから間もない2008年5月29日、体感ゲームの走りでもある本シリーズも同じ『ファミリートレーナー』として衝撃的な復活を遂げることになる。だが、この時過去にファミコンで10作品も出ていたことは特に触れられることはなかった。
      • 上記の少し前にあたる2005年にバンダイはナムコと合併し『バンダイナムコゲームス』となる。そのためかWii作品以降は、この当時ナムコが展開していたスポーツやテーブルゲームのシリーズ『ファミリーシリーズ』のカテゴリにも含まれることになる。
  • アメリカ版ファミトレ最終作が発売された同時期にあたる1989年12月8日、日本でもIGSから『スーパーモグラたたき!!ぽっくんモグラー』が発売されている。
    • 専用のマットコントローラー「Tap-Tap Mat」が付属しており、画面を見ながら付属のトンカチで叩くモグラたたきのゲーム。
    • ファミトレのシリーズ作品ではないが、このゲーム専用のマットコントローラーは3×4の12ボタン構成でファミトレの「マットコントローラー」とは互換性がある。
      • ファミトレのマットよりだいぶ小さいのでファミトレで使えば本来足で操作するを手で行える。

余談

  • 『来来!キョンシーズ』の関連作『幽幻道士』を原作とするゲーム『キョンシーズ2』もクソゲーと呼ばれているがゲームとしてのボリュームは十分すぎるほどある。
  • 実は取扱説明書やパッケージ裏側で最上位エンディング「パパとママに会えたベビーキョンシー」を堂々と公開している。
  • 上記の通りアメリカではこの後1作品発売されているが、その反面本作自身は日本のみでの発売となっている。
  • 本作を以って10作目となったこともあってか説明書の最終頁には本作を含めこれまでのシリーズ全作品のタイトルが載せられている。
    • その片隅に「みんなのおかげで、堂々10作目が完成したよ。これからもず~っとファミトレをおうえんしてね。」と、はっきり完結とは言われていないので、日本でも11作目を出す予定があった可能性は否定できないように思える。
    • 片やエンディングでは「これからもバンダイのファミコンソフトをよろしくおねがいします」としか言っておらず「ファミトレシリーズをよろしくおねがいします」とは一言も言っていないので、この時点で見限ったとも考えられなくもない。
      • 仮にあったとしてもファミコンをはじめゲーム市場全体がRPGや野球ブームや新ハードの波にのまれてしまっていたことや、ファミトレ(マットコントローラー)は所有者が限られる上に発売当初と違ってこの頃には特別な人気があったわけでもないので、それよりはファミコン本体さえ持っていれば遊べる普通のファミコンソフトを優先している間に自然消滅したような格好になった可能性が高い。
      • さすがに20年近くも後に復活する予定は立ててはいなかったのはまず間違いないだろう。
最終更新:2024年04月13日 14:10