CHAOS BREAK -Episode from "CHAOS HEAT"-
【かおすぶれいく えぴそーど ふろむ かおすひーと】
| ジャンル | アクションアドベンチャー |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | タイトー | 
| 開発元 | タイトー | 
| 発売日 | 2000年1月27日 | 
| 定価 | 5,800円 | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | CERO:C(15才以上対象) | 
| 配信 | ゲームアーカイブス 2009年01月28日/628円
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| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | 最悪のカメラワーク 恐怖の製薬体験ツアー
 ノーマル以下は認めない
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概要
クリーチャーの蔓延る研究所を探索するアクションアドベンチャー。
サブタイトルの通り、1998年に稼働したアーケードゲーム『CHAOS HEAT』の続編であり、前作から2年後を舞台としている。
特徴
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プレイヤーは研究所を探索し、武器やアイテムを集め、セキュリティを解除したりクリーチャーを倒しながら奥に進んでいく。
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基本の骨子は『CHAOS HEAT』と同様だが、アーケードゲームということで一本道だった前作に対し、本作は『バイオハザード』や『メタルギア』的な探索要素が付加されている。
 
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戦闘は銃撃と格闘攻撃が可能。
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銃弾に相当するエネルギーパックを入手すると残弾が増え、また、新しいカートリッジを入手する度に装填数が増えていく。
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格闘攻撃は連続して当てると強力なコンボ攻撃になる。回避行動も可能。
 
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主人公は『CHAOS HEAT』から続投したミツキとリックから選択する。
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リックは前作から容姿が変わっていないが、ミツキは髪をはじめカラーリングが変わっていたり脚の露出度が上がっていたりと変化が大きい。
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前作の3人目の主人公だったヴォートは今作には登場せず、選択不可になっている。
 
問題点
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劣悪なカメラワーク
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『メタルギアソリッド』的な俯瞰視点だった前作『CHAOS HEAT』に対して本作はカメラワークが適宜回転するのだが、これがとにかくプレイヤーに不利に働いている。
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時代的に右スティックでの視点回転や敵のロックオンなどは無く、プレイヤーが自由に動かせないので戦闘で思うよう敵の位置が把握できない。L1ボタンでカメラリセットだが、完全にはリセットしてくれず変な方向で止まってしまうことが多々ある。
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主人公に寄ったカメラワークが多く、敵が画面外に行きがち。プレイヤーの視界外から攻撃を喰らうことなど日常茶飯事である。
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マップを出入りすると、主人公の前方に視点が移動する事が多く、入り口付近に敵が入りされているマップも多いので出会い頭に画面手前から攻撃されることも珍しくない。
 
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一応、銃撃は敵を近くの敵を自動で狙ってくれるが完全ではなく、敵を捉えられない状況ではよく見当違いの方向に撃ってしまう。
 
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歪なゲームバランス
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上述のように戦闘はきつい仕様だが、作中で手に入る銃弾や回復アイテムが少なく、余計にきついサバイバルを強いられる。
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カメラワークの所為で、銃はちゃんと敵を捉えないと無駄撃ちになりがち。見え辛い位置からの攻撃で余計なダメージを受けがちなので、慎重にプレイしないと冗談抜きで銃弾やアイテムが枯渇しかねない。
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敵は倒せば一旦安全は確保できるが、ストーリーが進むと敵が再配置されるのでいちいち倒していたら弾薬も体力も追いつかない。
 
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アイテムは物陰に配置されている事が多く、前述のカメラワークがここでも牙を剥く。最早、廊下などでなければ○ボタン連打が基本操作である。
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主人公のHPは多めとは言え、後半になると更に避け難く強力な攻撃も喰らうので一気にアイテムが減ってしまう事も。
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これに加え、後述するような時限イベントやエンディング分岐がプレイヤーに襲い掛かる。
 
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薄いストーリー
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まず第一に、本作が『CHAOS HEAT』の続編とは全く説明されない。サブタイトルにチラっと書いてあるだけである。
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にもかかわらず、作中では当たり前のように「2年前の事件」「前の任務ではこんなのはいなかった」「前に見た事がある」などと前作に触れる台詞が飛び出すので、未プレイヤーは置いてきぼりにされる。
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ストーリー自体も、舞台設定は相応に用意されており、序盤は仲間が戦死したり獰猛で無敵のモンスターに襲われたりと動きがある。
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だが、それ以降は起伏も無く淡々と研究所を進むだけであり、ステージもほとんどは研究所の代わり映えのしないフロアばかり。
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『CHAOS HEAT』はアーケードゲームということでストーリー性は薄くとも展開は起伏に富み、バリエーション豊かなステージや敵も登場していたのだが、今作は探索メインということなのかそう言った要素も薄い。それでいて、その探索で描かれるストーリーはあって無いようなものである。
 
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ザコの種類が少ないばかりか、ボスと呼べるような敵もほとんどおらず、終盤も終盤にラスボスを含めて2体程度が登場するだけ。『CHAOS HEAT』にはステージ毎に様々なボスが居たのだが…。
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特にミツキ編は本当に大したイベントも起こらず、最後まで盛り上がらないまま終わってしまう。ラスボスを倒しても何の感慨も湧かないほどの希薄さであり、『メタルギア』や『バイオハザード』的なストーリーを期待すると間違いなく肩透かしを喰らう。
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リック編はミツキ編にいないボスがいたり、あるキャラの出番がミツキ編より多かったりと若干マシになっているが、本質的にはさほど変わらない。
 
 
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地獄の薬剤精製イベント
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中盤、寄生体への特効薬となる薬剤を精製するイベントがあるのだが、これが鬼畜としか言いようが無い。
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一連の流れとしては、保管庫からクリーチャーの入った容器を持って来る → クリーチャーを解剖して材料を取り出す → 制限時間以内に薬剤を精製して戻ってくる、となる。最初の過程は然程苦労は無いし、持ってきたタイミングでセーブ可能。
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クリーチャーの解剖は後の『超執刀カドゥケウス』を先取りしたかのような手術ゲームで、臓器が異様にリアルに描かれているので人によってはかなりきつい。
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メスの操作も十字キーとスティックで行うので、切り込み線からズレてダメージになりやすい。ただ、『ポリスノーツ』の爆弾解体ほどの鬼畜さは無く、ここもクリア自体はそこまで厳しくはない。
 
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問題は解剖ミニゲームをクリアした後。制限時間以内に薬品室に走って薬剤を作るのだが、何故か製薬には目押しを5回もクリアしなければならない。
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連続でクリアしろという訳ではないにしても、判定が厳しい上にボタン操作と若干のラグがあり、しかもクリアする度に難しくなっていく。これを制限時間以内に全てクリアし、且つ戻らなければならない。
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そして後述する通り、残り時間が少なくなると主人公の動きが鈍くなるトラップまで仕込まれているので、時間に相応の余裕を残しておかないと到底間に合わない。
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作中のメールでも「あれはない」「3時間も掛かった」「目を閉じた方が早い」と散々な言われようだが、プレイヤーが実際にそれをやらされるのは最早、意地悪の域である。
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何より、解剖が終わったら即座に時限イベントが始まるのでセーブ不可。つまり、ここで失敗したらまた解剖ミニゲームからのやり直しである。
 
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制限時間がある理由は、この製薬は一旦人間に注射してから取り出さないといけない為。この制限時間は注射した人間の感染が進むまでの猶予である。
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注射の際には主人公にするか、研究員にするか選択可能だが、主人公にした場合は「残り時間が少なくなると動きが鈍化」で、研究員の場合は「主人公の動きは変わらないが猶予が短い」であり、実質的に研究員に注射するメリットは無くほぼ罠である。
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主人公に打って時間切れになると即死亡。研究員の場合はゲームオーバーにはならないがバッドエンドフラグが立つので、どちらにせよ真っ当なゲームクリアは不可になる。
 
 
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エンディングの鬼畜仕様
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本作はマルチエンディングであり、作中に登場する女性研究員と男性研究員の生死で展開と結末が変わる。
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但し、エンディングの内容自体は研究員の生死とはほぼ無関係。基本的にはフラグの都合である。
 
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研究員は同行パートがあり、その途中でクリーチャーの攻撃を数回受けると死亡する。女性研究員は上記の製薬イベントのキャラでイベント中の時間切れでも死亡する。
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しかし前述したカメラワークの問題がつきまとい、同行パートではちゃんと護衛しないとすぐに死んでしまう。
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ミツキ編では同行は女性研究員のみだが、リック編では序盤でいきなり男性研究員の同行パートが入るので初っ端から苦労する。
 
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この2人を生存させるとラスボスと戦うシーンまで進行可能になり、ラスボスを撃破すれば完全クリアとなる……のだが、それでクリアしたとしても大抵はラスボスを倒さなかった場合と同様のノーマルエンドに到達し、非常に味気ないエンディングでスタッフロールも流れず終わってしまう。
    
    
        | + | 実は… | 
本作の難易度は「イージー」「ノーマル」「ハード」の三段階から選ぶのだが、実は「ハード」でクリアしないとグッドエンドにならない。しかしそのヒントは何処にも無い。
これ見よがしな条件を用意しておきながらこのような罠を仕込むのは意地悪としか言いようが無く、しかも「ハード」は敵の耐久力が上がったりなど文字通りのハードモードであり、本作の仕様では本当にきつい。
挙句、グッドエンドを迎えないとクリア後のリザルトでは最低の「E評価」で固定。つまり「ノーマル」以下ではまともに評価されない。てめぇイージーモードでのうがきたれてんじゃねえ!どころかノーマルモードでも認めて貰えない。例の如くその説明も無いので、プレイヤーにとっては理不尽以外の何物でもない。
上述した味気ないノーマルエンドは「主人公達のヘリが飛び立つと同時に序盤から登場していた触手が現れるが、間一髪逃れる」。バッドエンドは「触手にヘリが落とされる」というもの。
バッドエンドルートでは触手の本体を倒さず脱出するのでこの結末も納得できるのだが、本体を倒すノーマルエンドルートでも触手オチになる。内容の薄さに加え、展開が噛み合わず混乱する。『CHAOS HEAT』の場合、エンディングは主人公が「無事に脱出する」か「脱出後に発症してしまう」かという分かり易い内容だったのだが。
なお、研究員が2人とも死亡すると、救援のヘリに蜂の巣にされる別のバッドエンドになる。こちらも理由は直前のイベントで察せられるので、やはりノーマルエンドばかり意味不明ということに。
グッドエンドにしても、主人公がヘリ内で研究員と再会してスタッフロールが流れる程度。しかもどのエンディングでも最後に表示されるのは「THE END」などではなく死亡時と同じ「GAME OVER」である。アーケードゲームや昔のFCソフトじゃあるまいし…。
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ボリュームも薄い
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初見でも1周に数時間も掛からず、主人公が二人いるとは言えストーリーも大きくは変わらない。それでいてクリア特典などの周回要素も無い。
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全50枚のデータディスクという収集要素があるが、集めても何の意味も無い。リザルト画面に影響するだけで、これを集めたから情報が得られたり特典が解禁されるなどという事は皆無。
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しかも画面上に見えるものばかりではなく本棚やロッカー、死体などにも隠されているので、集めるにしても○ボタンを連打しながら探し回る羽目になる。
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データディスクは『CHAOS HEAT』からあった要素だが、それを探索型ADVの本作にもそのまま持ってきてしまったとも言える。エンディングで「GAME OVER」と表示される仕様と言い、このデータディスクと言い、どうもアーケードゲームの感覚を引き摺っている節がある。
 
 
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現在時刻の要素があるが、あまり意味を成していない。
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冒頭やエンディングの空の明るさが変わるのと、時間帯に応じて入出可能になる部屋が存在する程度。そして後者はかなり不便。
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何しろ本体に時刻設定が無いPS1なので、普通に始めると01:00からスタート。以後はゲームプレイ中にリアルタイムに進むのみであり、例えば15:00から入出可能な部屋はプレイ中にリアルで14時間経たなければならず、実質入出不可。
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ではどうするのかと言うと、ポケットステーションを差してゲームを開始するとその設定時間から始まる仕組みになっている。しかし適用されるのはニューゲーム選択時のみで、以降は時間をいじれない。このタイプの部屋は3つ存在するが入出可能時間はバラバラなので、入れる部屋は1つがいいところ。
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ラスボス前哨戦前には03:00~09:00に入出可能な部屋があるので、ポケットステーションが無い場合でも入れない事も無いが、上述したようなゲームバランスなので出来ればもっと早く弾薬のボーナスを得たい所である。
 
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クリアに必須ではないとは言え、具体的な説明が無いのでポケットステーションを持たないプレイヤーには歯がゆさと混乱の元になっている。
 
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その他
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セーブ回数は無制限だが、セーブブロックは一箇所のみ。ミツキ編とリック編の両方を同時プレイしたり、複数セーブして慎重に進めるなどは不可能。
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ゲームオーバーになるとコンティニュー画面に移るが、コンティニューしたとしてもセーブデータを読み込むだけなので実質タイトル画面に戻るのと変わらない。チェックポイントなんてものも無いのでセーブを怠ると泣きを見る。
 
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セーブは随所にある端末から行うのだが、セーブの項目があるか否かが端末によって異なる。使用できる端末を見つけても、起動してみないとセーブ可能か否かが判らない。
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また、使用できない端末(モニターが点いていないもの)を調べるといちいち「この端末は使用できません」と出る。数も多く、上述したアイテム探しの妨げになる。
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項目の種類に関わらず全ての端末にゴミ箱アイコンがあるが、別にこれを調べる要素は無く、選択しても無意味。確かにあって然るべきものではあるが、拘る所を間違えている気もする。
 
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L2ボタンを押すと、現在の状況やこれから成すべき事を教えてくれる機能があるのだが、何も出ないケースが多々ある上に、「生体サンプルを取りに行くシーンなのに通信塔に向かうように指示される」など行動次第ではゲーム側が目的を見失って見当違いの情報を出す事すらある。
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マップを開くと目的地を表示してくれるがこれもL2ボタンと同じく、出なかったり間違った行先を指示する事も。
 
 
評価点
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内容はともかく上述の解剖ミニゲームや、探索の際に数独バズルやクロスワードを盛り込むなど、新しいことをしようとする意欲を感じられる部分はある。
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『CHAOS HEAT』からの引き継ぎだがキャラデザインは悪くなく、作中のポリゴンも時代的にはそれなり。
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ミツキは『CHAOS HEAT』時代の膝のプロテクターが無くなっており、主人公にばかり注視するカメラワークも相俟って全編に渡ってローポリながら生足を晒し続ける。きつく単調なプレイの清涼剤になる…かも?
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ただ、リックは説明書の全身絵とゲーム中の顔グラフィックがだいぶ違う。というのも、全身絵は書き下ろしだが、顔グラフィックは前作のイラストの流用だからである。
 
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ポケットステーションではミツキに恋愛や運勢を診断してもらえるミニゲームがプレイできる。
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もちろん内容自体はランダムだが、ドットのミツキの顔が可愛らしく描かれており、ポケットステーションながら本編同様のボイス(CV:ルミコ・バーンズ)付きというなかなか凝った作りになっている。
 
総評
AC版のベタ移植ではなく、新たなゲーム性を付加した新作としてリリースする。
過去にもそれで成功した作品は少なくなく、決して間違ったものではないのだが、本作の場合はプレイヤーに苦痛を強いるような要素ばかりが追加されている。
単純に同系統のゲームと比較しても、悪いカメラワーク、操作性、薄いストーリーと見劣りする点が目立ち、これと言った強みもほぼ皆無。
プレイした人からは「『バイオハザード』or『メタルギア』の劣化版」という意見も見受けられるが、それが至極妥当な評価と言えてしまうだろう。
最終更新:2023年11月26日 14:14