ニコロデオン オールスター大乱闘 アルティメットエディション
【にころでおん おーるすたーだいらんとう あるてぃめっとえでぃしょん】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション5 プレイステーション4
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開発元
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GameMill Entertainment
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発売元
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3goo
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発売日
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2022年11月24日
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定価
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6,578円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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備考
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PS5版はダウンロード専売 PS4版はPS5版へアップグレード可能
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判定
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なし
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ポイント
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どう見ても『スマブラ』 日本ではマイナーなキャラ盛りだくさん クオリティは低くないが物足りない出来
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概要
2021年に発売された『Nickelodeon All-Star Brawl』に、追加キャラや追加要素などをすべて盛り込んで日本語に対応させた完全版。
「アルティメットエディション」というタイトルだが、日本語版に通常版は存在しないので注意。
そもそもニコロデオンとは、主にアメリカで展開されている子供向けアニメ専門のケーブルテレビチャンネルである。
『スポンジ・ボブ』が有名なほか、現在『ミュータント・タートルズ』の版権を保有したりもしている。
本作はそんなニコロデオンの代表的なキャラクターが乱闘を繰り広げる、対戦アクションゲームである。
使用可能キャラクター
+
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折りたたみ
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タイトル
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参戦キャラクター
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スポンジ・ボブ
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スポンジ・ボブ パトリック サンディ
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アバター 伝説の少年アン
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アン トフ
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レジェンド・オブ・コーラ
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コラ |
ラウド・ハウス
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リンカーン・ラウド ルーシー・ラウド
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ミュータント・タートルズ
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レオナルド ミケランジェロ エイプリル・オニール シュレッダー
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レンとスティンピー
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レンとスティンピー コナコナトーストマン |
インベーダー・ジム
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ジム
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キャットドッグ
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キャットドッグ
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ラグラッツ
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レプター
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ワイルド・ソーンベリーズ
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ナイジェル・ソーンベリー
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ヘイ・アーノルド!
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ヘルガ
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ダニー・ファントム
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ダニー・ファントム
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ぎゃあ!!!リアル・モンスターズ
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オブリナ
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ガーフィールド
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ガーフィールド
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ジェニーはティーン☆ロボット
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ジェニー
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ジミー・ニュートロン ぼくは天才発明家!
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ヒュー・ニュートロン
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ロッコーのモダンライフ
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ロッコー
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ジェニー、ヒュー・ニュートロン、ロッコーは海外版では有料DLCによる追加キャラクターとなっている。
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システム
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全キャラ共通で弱攻撃・強攻撃・特殊攻撃のそれぞれに方向キーとの組み合わせで3種類の派生技がある、という極めてシンプルな操作スタイルである。
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複雑なコマンド技などはないが、空中から発動すると違うモーションになり、投げ技もあるので、全体の技の総数自体はそれなりに多い。
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ガードやパーフェクトガードも可能。
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最大の特徴は、体力ゲージが存在せず、相手を場外に落とすことでのみ勝敗が決すること。
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ダメージを食らうとパーセンテージでダメージが蓄積されていき、これが貯まると同じ攻撃でもより強く吹っ飛ぶようになる。
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強攻撃はモーションが遅いが相手を吹っ飛ばす力が強め。弱攻撃でダメージを稼ぎ、強攻撃でトドメ、という立ち回りが基本となる。
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特殊攻撃は単純な攻撃技の他、飛び道具やカウンターなどの効果がある技が揃う。上特殊攻撃はほとんどのキャラクターで上方向に上昇する効果になっており、場外からの復帰に用いることができる。
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ルールは主に「ストック制」「タイム制」から選べ、ストック制は設定した残機を最後まで残したプレイヤーの、タイム制は制限時間内に相手を撃墜して稼いだポイントが最も多いプレイヤーの勝ちとなる。
…以上を見ていただけるとわかると思うが、ほぼ全ての基本システムが任天堂の『大乱闘スマッシュブラザーズ』シリーズと全く同じである。
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『ドリームミックスTV ワールドファイターズ』『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』のように「スマブラっぽい作品」の前例自体は少なからずあるが、これらはあくまで「色々な作品のオールスターが集まって乱闘をする」というコンセプトが『スマブラ』っぽいと評されているだけで、少なくとも大小の差別化が施されてはいる。
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一方、本作は「%形式の蓄積ダメージ」「相手を撃墜して勝利」「上特殊技で復帰」など『スマブラ』そのまんま。
「相手を撃墜すると光の柱が立つ」「プレイヤーごとにチップを配置して操作キャラを選択」などの、限りなくどうでもいい所まで『スマブラ』と酷似している。
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空中緊急回避を地面に向かって斜め下に行うことで発生する『大乱闘スマッシュブラザーズDX』のテクニック「絶」まで使用可能であるなど、細かい類似点は枚挙に暇がない。
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「大乱闘」というタイトルもド直球だが、原題の“Brawl”からして英語版『大乱闘スマッシュブラザーズX』の副題そのまんまである。
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ニコロデオンは以前『スーパーマリオカート』もどきとも言える『Nickelodeon Kart Racers』を出しているが、カートレースを題材にした作品は数多く存在するのに対して本作はあまりにもオマージュ元が露骨なため余計に悪目立ちしている印象を受ける。
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一応相違点は存在する。弾き操作がないため技の構成が異なり、弱攻撃と強攻撃の区別が無くスマッシュ攻撃が本作の強攻撃であることや、横必殺技(横特殊技)がないことなど。
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ガードは上中下の3種類存在し、相手の技に合わせてガードを張ることでふっとばされにくくできるというシステムもある。
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操作面では「向き固定」がワンボタンでできるのも大きな違いか。相手への向きを固定したまま自由に移動できる、という地味に便利な機能である。
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アイテムはデフォルトではオフになっており、オプションルールで追加される形式になっている。
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本作の開発にはLudosityが参加しており、操作様式やルールなどは同社がリリースしたスマブラのクローンゲーム『Slap City』とほぼ同じでもある。何をか言わんやである。
評価点
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元のゲームシステムの出来の良さに助けられている部分も大きいとはいえ、爽快感やスピーディーさなどは本家譲りのもの。
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本家『スマブラ』に比べると、相手が吹っ飛びやすく複雑なコンボを組みにくいが、その分お手軽に相手を吹っ飛ばせる爽快感はある。
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操作性自体は弾き入力の無い『スマブラ』なので、実はお手軽な面がある。
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ある程度の技の数が用意されており、キャラクターごとの差別化もしっかり施されているため、極端に底が浅いということもない。
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基本のゲームモードは、対人戦、1人用のアーケード、トレーニング、オンライン対戦、コレクションなど一通り揃っている。
オンラインは発売から1年経たずに過疎っているが…。
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対人戦のオプション項目はかなり充実しており、ストック制と制限時間を組み合わせたり、一定%以上の蓄積ダメージを受けた相手を強攻撃で強制KOできるオプションなどもある。チームバトルでの味方攻撃のオンオフなどもしっかり搭載済み。
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特筆すべきは「スポーツ」という本作独自のルール。チーム制で、ステージ両端に設けられた両チームのゴールに「ボール」を入れて得点を競うユニークなバトル。
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ボールは5種類から選べ、それぞれのボールごとに特徴も異なる。単調ではあるが、駆け引きが楽しめるものになっている。
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キャラクターのモーションはしっかりと作り込まれており、元が2Dアニメーションのキャラたちもちゃんとした3Dモデルとして再現されている。
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特に、キャットドッグ、レンとスティンピー、ロッコーなどは元がシュールなドタバタアメリカンカートゥーン出身ということもあり、非常にコテコテなカートゥーンそのものな動きをしてくれる。
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目玉飛び出しがそのまま攻撃アクションだったり、ロケットで飛び上がってぺちゃんこに潰れたり
そして直後にそのまま復活したり…。
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任天堂ハード以外の機種で『スマブラ』(もどき)ができる。
賛否両論点
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吹っ飛びやすい
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『スマブラ』で言うところの『ルーペ状態』が無い為、ある程度の勢いで画面外に出たら即撃退となる。
これはこれでスピーディに勝負が付きやすいと言えるが、防御側にとっては少々しんどい。
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作品・キャラクターの選出について
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全体的に作品の選出が古め。
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『スポンジ・ボブ』『ガーフィールド』や『アバター 伝説の少年アン』シリーズなどの比較的新しい作品や『ミュータントタートルズ』などの近年まで新作が出ている作品もあるが、殆どは2000年代初頭ぐらいまでで更新が止まっている作品であり「発売当時の子供は喜ぶか?」「喜ぶ以前に知っているのか?」と言われると微妙。エイプリルもいわゆる旧亀版の設定であるニュースキャスター仕様。
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近年のニコロデオンの代表作である『ザ・ペンギンズ from マダガスカル』や『パウ・パトロール』が未参戦なのは惜しいところ。一応前者は映画制作会社ドリームワークスの関連作品なので安易に出しづらく、後者は典型的な幼児向けアニメなので対戦アクションゲームには出しづらいキャラクターなのは察せられるが…。
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日本でも地味に知名度がある『ドーラといっしょに大冒険』が未参戦なのも、『パウ・パトロール』と同様の理由と思われる。
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使用された作品中での参戦していないキャラクターの基準にも疑問が残る。特に謎なのは『ミュータント・タートルズ』だろう。
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戦闘描写が全くと言っていい程無いエイプリルがラファエロとドナテロを押しのけて参戦している。ただし戦闘描写が一切無いにも関わらす登場しているキャラは他にもいる上、タートルズを全員登場させると見た目上の区別がつきにくいキャラが4人出る事になるのを避けた可能性も否定しきれない。「それだったらいっそレオナルドだけにすればよかったのでは?」という気もするが…
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それでもニコロデオン関連作品の中でもまっとうにアクションが作れる希少なキャラであり、それぞれの所持武器という形では差別化も容易なタートルズが全員参戦できていないのはファンとしては残念なところ。
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『ラグラッツ』『ワイルド・ソーンベリーズ』『ヘイ・アーノルド!』『ジミー・ニュートロン』はなぜか主人公を差し置いて他のキャラが参戦している。いくらなんでも主人公が出ていない作品が多すぎである。
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『ラグラッツ』の場合主人公が赤ちゃんなので対戦アクションに出しづらいであろう事情を察することはできるが、『ワイルド・ソーンベリーズ』も『ジミー・ニュートロン』も主人公を差し置いて父だけが参戦しているのは微妙に釈然としない。
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ただ、日本では知名度がほとんどないだろうマイナーキャラたちが縦横無尽に動き回ることそれ自体は評価点と言えなくもない。キャラの動きそのものは前述のようによくできている。
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日本ではドマイナーの極みとも言えるコナコナトーストマンがまともに使えるゲームなんて本作ぐらいであろう。
問題点
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一通りのゲームモード自体は用意されているが、それぞれの中身は薄い。
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最初からキャラクターやステージは全て解放済みであり、やりこみ要素はギャラリーを埋めることぐらい。いきなり全てのキャラクターが使えるのは楽ではあるが、やりがいはない。
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ギャラリーはアートワークなどが見られるだけで、作品解説や設定資料などは一切なし。前述の通り更新から2000年代初頭まで作品が多いので、キャラクターから出典に興味を抱いても、原作名すら調べられないのは不親切である。
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アーケードモードは、単にランダムに用意されたキャラとランダムに設定されたステージでタイマンするのを7回繰り返すだけのモード。途中で対戦相手の選択も挟まるが、マスターハンドのようなボスなどは一切おらずチーム戦やミニゲームなどもないため中身は薄い。
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対戦前には簡単な掛け合いも行われるが、相手のことを全く考慮していないランダムなセリフが流れるだけなので掛け合いというか独り言に近い。
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レオナルドとシュレッダーのような原作で因縁のある組み合わせであってもランダムなセリフのまま。せっかくフルボイスなのに…。
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アーケードではクリアタイムの更新が一応の目的になるが、「対戦前の掛け合いイベント中でもなぜかタイマーが進む」「上の難易度をクリアすると下の難易度でのクリアタイムが記録されなくなる」など、妙な不備が多い。
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対戦の基本ルール自体は大きく変えることはできず、「体力制」などの特殊ルールは不可。痒い所に手が届かない。
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プレイヤーキャラは全25体。決して少なくはないしスマブラと同じ数を求める訳にはいかないが、『スマブラ』で言えば20年ほど前の『DX』未満の数であり、人によっては物足りなさを感じるかもしれない。
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キャラクターの色は基本ともう一種類しか用意されていない。
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そのため、そうなるケースは少なかろうが3人以上が同じキャラクターを使うと誰が誰なのか全くわからなくなる。せめて、最大対戦人数と同じ4パターンは用意してほしかったところ。
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またほとんどのキャラクターは単にアクセサリーや帽子を被るだけで体色などはほとんどそのまま。色替えしても区別しづらい。
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ステージ総数はそこそこ多いが、多くのステージは単に足場の配置くらいしか違いがないだけで特別ギミックはない。それぞれの見た目が凝っているだけに惜しい。
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ギミックがあるステージも「移動する足場」がせいぜいで、ダメージゾーンや強制スクロールなどの複雑なギミックのあるステージは数えるほどしかない。
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また、背景と足場が地続きになっているせいで、乗れる場所と落ちる場所の区別がつきづらいステージもある。
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アイテムはわずか16種類。
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ある程度仕方ない面はあるが、効果も『スマブラ』で既視感のあるものばかり。
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回復アイテムは「カーニバーガー」(50%)のみ。
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PS5版以外はロードが多めかつ時間も長い。
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特に対戦前に長めのロードが挟まるのはテンポを損ねている。SSDは必須か。
総評
あまりにも『スマブラ』そのままのゲームシステムが目につくが、それを置いておけば単純なゲームとしてのクオリティそのものは低くない。
ただ、「ニコロデオン版劣化スマブラ」以上の評価は下しづらいのもまた事実。
日本ではマイナーなあんなキャラからこんなキャラまで使えること自体は評価できるが、キャラに愛着がなければ本家を超えるような評価点は特に見いだせないだろう。
余談
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XSX/One/Win(Steam/Epic Games Store)では2021年10月5日にオリジナル版である『Nickelodeon All-Star Brawl』が発売されているが、DLCは別売となっている。
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『Brawlout』『Rivals of Aether』など、Switch/PS4/One/Winにおいていわゆる「スマブラもどき」に分類される対戦アクションゲームは本作以前にも何本か発売されており、「%形式の体力」「画面外に相手をふっとばすルール」「『スマブラDX』の"絶"が使える」といった点まで共通している。
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『Brawlout』は『Hyper Light Drifter』『覆面闘士』『Yooka-Laylee』『Dead Cells』から、『Rivals of Aether』は『ショベルナイト』『Ori and the Blind Forest』からそれぞれゲストキャラが参戦しているが、その他の大半はオリジナルキャラが占めている。一方で本作は全キャラが原作付きのニコロデオン版権キャラであるため、「人気キャラが集合した対戦アクション」という本家『スマブラ』のコンセプトには最も忠実であると言える。
その後の展開
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続編として『Nickelodeon All-Star Brawl 2』が2023年11月7日に発売された。
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国内ではXSX/One/Win(Steam)のみの発売で、日本語には対応していない。現時点では日本語版の発売は未定。
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『スポンジ・ボブ』からイカルド・テンタクルズなどが新規参戦している一方、本作で話題になったコナコナトーストマンなどはリストラ。レオナルドとミケランジェロもリストラされ、入れ替わる形でラファエロとドナテロが参戦している。
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ステージもリファイン、一部が削除されている。
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他にはゲージを溜めて“最後の切りふだ”の様な超必殺技が出せるNPCのボスが登場する、とますます『スマブラ』になってきているが、一方でNPCボスに超必殺技を喰らわせる事ができるなど独自要素も。
最終更新:2025年01月15日 21:09